月例経済報告
月例経済報告

2024年

4月

23日

月例経済報告

 

月例経済報告(R6.4.23)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の

 効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、

 世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外

 景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。

 また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の

 影響に十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震

 経済に与える影響に十分留意する必要がある。

 

 

世界の経済情勢

○  世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

  先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めや中国における不動産市場の停滞に伴う 影響

  による下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域 をめぐる情勢、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。

 

GDP速報

   202310-12月期(2次速報)のGDP成長率は、実質では前期比+0.1%(年率+0.4%)となった。

 

令和6年能登半島地震の影響

○ 令和6年能登半島地震では、1.12.6兆円程度のストック毀損が生じたことに加え、石川県・富山県・新潟県の3県で1-3月期に

  1,000億円程度の直接的なGDPの損失があったと試算される。

○ 3月16日に延伸した北陸新幹線(金沢~敦賀間)は、開業1か月で72万人(1日平均2.3万人)が利用、北陸応援割をはじめと

  する政策効果も相まって、北陸経済の活性化に寄与した。

  「景気ウォッチャー調査」の北陸地域の現状・先行き判断DIは2月以降50を超える水準に回復した。

  引き続き、復旧・復興支援を切れ目なく進めていくことが必要である。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直しに足踏みがみられる。

個人消費は、名目では過去最高水準に拡大する一方、実質では力強さを欠く。

 実質の耐久財消費は相対的に堅調な一方、非耐久財消費は長期的に緩やかな減少傾向となっている。

 サービス消費も、実質ではコロナ禍前を下回る。

・足下の小売販売は、一部自動車メーカーの出荷停止の影響で自動車は減少する一方、百貨店等が増加した。

 かばん・アクセサリー等の高額品が増加しており、インバウンド増加の影響のほか、株価上昇の影響もあり日本人の消費も

 増加した。

外食売上高はコロナ禍前のトレンドを超えて増加している一方、客数の回復は途上にある。消費に占める60歳以上世帯のシェ

 は4割超まで拡大した。外食支出の小さい高齢世帯の増加、コロナ禍後の高齢者の外出回復の遅れも影響している可能性がある。

大型連休の旅行者数は、国内はほぼコロナ禍前水準に戻り、海外も持ち直す見込みとなっている。そのほか、ライブやテーマ

 パーク、 スポーツ観戦は、売上高・人数ともに挽回消費の動き。学習塾は、少子化の中でも受講生数、売上高ともに底堅い動き

 となっている。

実質総消費動向指数は、前期比で、11月▲0.2%、12月▲0.3%10.0%2+0.2%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、11+0.4%12+0.9%1+0.8%2+0.9%3+0.5%。 

  ・2月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.5%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、横ばいとなっている。輸入物価は、おおむね横ばいとなっている。

消費者物価は、このところ緩やかに上昇している。

消費者物価は、前年比2%台で、引き続き緩やかに上昇した。4月には、食料品や日用品等で値上げが実施されているが、POS

 データ(レジから収集される顧客の消費行動をデータ化したもの。販売実績のデータでみると、全体として食料品価格等の前年比は、現時点では、

 引き続き縮小傾向で推移している。

・中東情勢が不安定化する中、原油価格は再び上昇しており、輸入物価を通じた影響に留意が必要である。

・サービスの物価上昇率は、0%の割合が縮小、プラスの割合が増加し、1980年代の姿に近づいている。企業の中期的な予想

 物価上昇率は、ここ2年程度は2%程度の安定的な水準にレベルシフトした状態が継続している。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、11月▲2.0%12+3.1%1月▲1.5%2月▲0.9%

・持家着工数は前月比で、11+1.7%12+1.7%1+0.4%2+7.1%

・貸家着工数は前月比で、11月▲2.7%12+0.6%1+5.0%2月▲1.0

・分譲着工数は前月比で、11月▲4.8%12+9.1%1月▲11.0%2月▲9.3%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、10月▲3.3%(出来高▲0.3%)、11+4.3%(出来高▲0.6%)、12+5.7%(出来高+0.9%)、1月▲4.5%

 (出来高+2.6%)、2+21.7%3月▲10.1%             

 

雇用・賃金の動向

   2024年の春闘(第4回集計)の賃上げ率は、引き続き定昇込みで5%超、ベアで3%台半ばと、33年ぶりの高水準となった。

   定昇込みの賃上げ率の分布は、昨年は3%強に山があったのに対して、今年は5%強にシフト。ベアの分布は、昨年は2%弱に

  山があったのに対して、今年は3%台半ばにシフトしており、より多くの企業で高い賃上げ率が実現している。

   昨年2023年の賃上げ率は、若年層、特に高校卒で男女ともに高めだった一方、大学卒は男女ともに中年層で低い傾向と

  なった。 また女性の賃金は、男性に比べ、水準が低く、年齢を重ねても上昇幅が小さい。

    産業別にみると、昨年は、男女とも、人手不足感の高い建設業等で高い賃上げ率となった一方、医療、福祉など公定価格

   部門で は横ばいとなった。本年は、診療報酬改定等における加算措置等により、同分野の高い賃上げに期待される。

)診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬の同時改定において、賃上げに必要な改定率として、医療では+0.88%、介護では+1.59

(処遇改善加算の一本化による賃上げ効果等も含め ると、2.04%)、障害福祉では+1.12%(同1.5%を上回る水準)を確保。賃上げ促進税制の

 活用を組み合わせることにより、2024年度に+2.5%、25年度+2.0%のベアの実現が期待される。

○ 2024年の賃上げの流れを広げるため、適切な価格転嫁や省力化投資の継続、賃金の高い分野への労働移動の後押し、大卒中年

    層を含む全世代リ・スキリングが重要となる。

○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。

 ・就業者数は、最近、中高年を中心に増加傾向にある。長期的にみると、中高年の労働参加率は男女ともに上昇した。

 ・日本人の寿命の最頻値は、男性88歳、女性93歳と長く、男性の4分の1、女性の半分が90歳以上まで生きる状況であり、意欲ある

   高齢者が長く活躍できる環境をつくることが重要となる。

 ・主要先進国間で比較すると、日本の高齢者の労働参加率は高く、伸びも大きい。

 ・有効求人倍率は、111.28121.2711.271.26(正社員は1.01)となった。

 ・完全失業率は、102.5%112.5%122.5%12.422.6となった。

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

 ・設備投資のうち、商用車や船舶等の輸送用機械は約6%である。トラックやバンなど貨物車の新車登録台数は、一部自動車メーカー

  の生産・出荷停止の影響で、小型と軽を中心に大幅減となった。241-3月期の設備投資への一時的な影響に注意が必要である。

 ・企業の設備投資は、2023年度は実績見込みで前年度比プラス10.2%2024年度は3月時点の計画としては1990年度以来の伸びとなる

   など、企業の投資意欲には力強さがある。ただし、中小企業では、非製造業で2023年度の実績見込みが23%と高い伸びとなった

   一方、製造業では一部自動車メーカーの生産停止の影響もあって投資先送りの動きもあるなど、ばらつきもある。

○ 業況判断は、改善している。ただし、製造業の一部では、一部自動車メーカーの生産・出荷停止による影響がみられる。

 ・  企業の業況は、売上の約7割を占める非製造業で、バブル期以降の最高水準となった。建設業は過去10年程度、業況が「良い」と

   答える企業が、「悪い」と答える企業を上回る。運輸業では近年、「良い」が増加の一方、「悪い」が減少傾向となっている。

 ・  倒産件数は、増加がみられる。

 ・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20236+59+912+1220243+116+10

  「大企業・非製造業」は、20236+239+2712+3020243+346+27

  「中小企業・製造業」は、20236月▲59月▲512+120243月▲16+0

  「中小企業・非製造業」は、20236+119+1212+1420243+136+8

 

生産

 生産は、持ち直しに向かっていたものの、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響により、このところ生産活動が低下している。

  ・製造業では、一部の業種に、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響がみられる。ただし、3月以降、輸送機械の生産は、

    これらのメーカーの生産再開に伴い、徐々に持ち直す見込みとなっている。

  ・鉱工業生産指数は前月比で、12+1.2%1月▲6.7%2月▲0.6%3月(予測)+4.9%4月(予測)+3.3%

  ・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、11+1.6%12+4.4%1月▲6.1%2月▲3.2%

  ・電子部品・デバイスは前月比で、11月▲0.9%12+2.0%1月▲4.0%2+0.2%

  ・輸送機械は前月比で、11月▲1.6%12+2.0%1月▲9.9%2月▲11.5%

 

外需

○ 輸出はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。輸入はこのところ弱含んでいる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

   ○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2月ぶりに下降した

・現状・季節調整値DIは前月差で、12+1.01月▲1.62+1.13月▲1.5

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、5か月ぶりに月下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、12+0.11+2.12+0.53月▲1.8%

  

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は政策効果により持ち直しの兆しがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうこと

      が期待される。ただし、不動産市場の停滞や物価の下落が続くことによる影響等に留意する必要がある。

・中国の20241-3月期の実質GDP成長率は5.3%(前期比年率+6.6%)。政策効果により、自動車販売やインフラ投資が増加

  した。景況感にも改善がみられる。

・一方、不動産市場の停滞は、企業・家計の資金需要や銀行の融資姿勢に影響し、足下で新規貸出は低調となっている。また

  消費者物価は4四半期連続ゼロ近傍、GDPデフレーターはマイナスが継続している。物価の下落が続くことによる影響に

  留意が必要である。

・消費は持ち直しに足踏みがみられる。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・財輸出はおおむね横ばいとなっている。

・固定資産投資は伸びが上昇した。

・新築住宅販売価格は下落している。

・消費者物価は下落した。

・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きがみられる。

○ 韓国では、景気は持ち直しの動きがみられる。

○ インドでは、景気は回復している。

  ・乗用車販売台数が伸びるなど、内需にけん引されて8%台の成長が続いている。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾・タイでは、景気は持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は拡大している。 先行きについては、拡大が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による

    下振れリスクに留意する必要がある。

202310-12月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+3.4%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

3月の失業率は3.8%となった。

○ 設備投資は緩やかに増加している。

○ 消費は増加、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 生産はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工数はおおむね横ばい・住宅価格は上昇している。

○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気は弱含んでいる。

 ・2310-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.2% (イギリスは▲1.2%、ドイツは▲1.1%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスは弱い動きとなっている。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+3.1%3月)、イギリス+4.6%3月)。

○ 財輸出は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。イギリスのサービス輸出はおおむね横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。

2024年

3月

22日

月例経済報告

 

月例経済報告(R6.3.22)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の

 効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、

 世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外

 景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。

 また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等

 の影響に十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震

 の経済に与える影響に十分留意する必要がある。

 

 

世界の経済情勢

○  世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

  先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めや中国における不動産市場の停滞に伴う

  影響による下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域 をめぐる情勢、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。

 

GDP速報

   202310-12月期(2次速報)のGDP成長率は、実質では前期比+0.1%(年率+0.4%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直しに足踏みがみられる。

新車販売(消費に占める輸送機械の割合は2.6%)は、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響により、このところ弱い動きと

 なっている。

・国内旅行消費については、宿泊施設の稼働率は、コロナ禍の落ち込みから回復した。一方、宿泊業の就業者数はコロナ禍前に

 戻っておらず供給制約。こうした中で、客室単価は上昇する一方、日本人宿泊者数はこのところ横ばいとなっている。

 ・消費者のマインドや資産価値(株式等)に関する見方は改善が継続している。

 ・実質総消費動向指数は、前期比で、100.0%11月▲0.2%、12月▲0.3%1月▲0.2%

   ・消費者態度指数(DI)は前月差で、10+0.5%11+0.4%12+1.1%1+0.8%2+1.1%。 

   ・1月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.1%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、横ばいとなっている。輸入物価は、おおむね横ばいとなっている。

  消費者物価は、このところ緩やかに上昇している。

消費者物価の前年比は、昨年秋以降2%台で推移。なお、資源価格が落ち着く下で、電気・ガスの激変緩和事業の開始から1年

  が経過し、押下げ効果が薄まったことから、2月は上昇幅が拡大。一方、食料品は、値上げの一服から、引き続き上昇幅が緩やか

  になった。

・デフレに陥る前の1990年代前半以前は、サービスの物価上昇率は2%前後で推移している。足下では、財の物価上昇が落ち着く一方

  で、一般サービスの上昇率が徐々に高まり、財の上昇率と同水準となった。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は弱含んでいる。 

・住宅の新設着工戸数は、持家を中心に弱含みが続く。長期的にみると、1960年代後半に住宅戸数(ストック)が世帯数を上回り、

  持家など戸建の住宅を中心に、新規着工戸数は減少トレンドにある。

・世帯構造の変化をみると、単身世帯等の割合が増加する一方で、夫婦と子供のいる世帯や三世代同居世帯など戸建住宅の需要層と

  考えられる世帯の割合が減少した。

・建築費の高止まりの中で、戸建住宅の新設着工が減少する一方で、中古住宅の販売量は増加傾向にある。リフォーム促進等を

  通じた中古住宅流通市場の拡大も重要となっている。

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、10+0.1%11月▲2.0%12+3.1%1月▲1.5%

・持家着工数は前月比で、10月▲6.6%11+1.7%12+1.7%1+0.4%

・貸家着工数は前月比で、10+0.9%11月▲2.7%12+0.6%1+5.0%

・分譲着工数は前月比で、10+5.0%11月▲4.8%12+9.1%1月▲11.0%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、9+8.5%(出来高+0.7%)、10月▲3.3%(出来高▲0.3%)、11+4.3%(出来高▲0.6%)、12+5.7%

(出来高+0.9%)、1月▲4.5%(出来高+2.6%)、2+21.7%             

 

雇用・賃金の動向

    2024年春闘(第1回集計)の賃上げ率は、定昇込みで5.28%、ベアで3.7%と、30年ぶりとなった

昨年を大きく上回った。

   ベアは、中小企業でも3%近い伸びとなり、組合計のベースアップ額は、平均月1万円を超える水準となった。

   賃金の改定は、昨年のパターンでは、5月頃から夏場にかけて実際の賃金支払に徐々に反映されている。現在、一般労働者の

    所定内給与の伸びは前年比1%台半ばだが、今後高まっていくことが見込まれる。

   昨年、3%以上の賃上げを行った中小企業は6割弱、うち価格転嫁ができた企業では7割強となっている。すそ野の広い賃上げの

    実現のためには、重層的取引の先端に至るまでサプライチェーン全体での適切な労務費の価格転嫁と製品価格の設定が重要となる。

○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。

    ・有効求人倍率は、101.30111.28121.2711.27(正社員は1.00)となった。

   ・完全失業率は、92.6%102.5%112.5%122.5%12.4となった。

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

  ・昨年10-12月期の企業収益は、経常利益・営業利益ともに10-12月期として過去最高となるなど、総じて改善が継続している。

   他方、1月の生産活動は、一部自動車メーカーの生産停止により低下した。輸送機械では2月も減少が続く見込みとなっている。

・自動車産業は裾野が広く、関連品目の生産も低下した。また、半導体品目の一部では、令和6年能登半島地震の影響もみられる。

・こうした中、1-3月期の大企業の景況感は、製造業で大きくマイナスとなった。ただし、4-6月期以降の先行きは改善した。

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

 ・202310-12月期の設備投資は、実質前期比プラス2.0%と上方改定、名目金額(年率換算)は1991年以来初めて100兆円を超えた。

  半導体や自動車関連で生産能力強化のための工場新設等の投資が実行され始め、契約金等の支払が進んでいる結果とみられる。

 ・他方、企業の高い投資計画に比べ、実際の投資の伸びは依然、例年より弱く、引き続き供給制約等の影響に留意が必要となる。

2024年度の投資計画(215日時点調査)は、2023年度の高い実績見込み(9.3%)の後、前年度比7.5%の強い伸びとなっている。

○ 業況判断は、改善している。

  倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20233+16+59+912+1220243+8

  「大企業・非製造業」は、20233+206+239+2712+3020243+24

  「中小企業・製造業」は、20233月▲66月▲59月▲512+120243月▲1

  「中小企業・非製造業」は、20233+86+119+1212+1420243+7

 

生産

 生産は、持ち直しに向かっていたものの、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響により、このところ生産活動が低下している。

・鉱工業生産指数は前月比で、11月▲0.6%12+1.2%1月▲6.7%2月(予測)+4.8%3月(予測)+2.0%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、+10+0.3%11+1.6%12+4.4%1月▲6.1%

・電子部品・デバイスは前月比で、10+6.6%11月▲0.9%12+2.0%1月▲4.0%

   ・輸送機械は前月比で、10+2.2%11月▲1.6%12+2.0%1月▲9.9%

 

外需

○ 輸出はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。輸入はこのところ弱含んでいる。

財の輸出は、アメリカ向けは増加傾向が続く一方、欧州向けが弱く、アジア向けも持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・インバウンドについて、訪日外客数は2月として過去最高となった。一人当たり旅行消費額は欧州等からの旅行者が高い。

・財の輸入は、弱含みとなっている。紅海危機の影響により、1月は、欧州からの輸入について、海上輸送割合が高いワイン、

 化粧品、自動車部分品等の輸入が大幅に減少した。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2月ぶりに上昇した

・現状・季節調整値DIは前月差で、11月±0.012+1.01月▲1.62+1.1

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月連続で上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、11+1.012+0.11+2.12+0.5

  

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待

  される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある。

・実質GDP成長率は、2310-12月期で前年比+5.2%(前期比+4.1%)。

・消費は持ち直しに足踏みがみられる。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・財輸出はおおむね横ばいとなっている。

・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。

・新築住宅販売価格は下落している。

・消費者物価は下落した。

・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きに足踏みがみられる。

   【全国人民代表大会(3/5~11 主な目標・政策方針(決定)】

○ 24年の成長率目標は5%程度。(23年目標5%程度、実績5.2%)

○ 現状認識:有効需要が不足し、一部産業(鉄鋼、不動産等)の 生産能力が過剰。

雇用機会不足とミスマッチ失業が併存。

 一部地方の財政がひっ迫。

○ 財政拡大: 新たに超長期特別国債を発行、24年は1兆元(対GDP比0.8%)。

地方特別債の発行枠:3.9兆元(23年目標3.8兆元)

財政赤字目標は対GDP比3%で維持。

○ 耐久財消費の拡大:自動車の買替え促進(老朽車の強制廃棄を執行)、

自動車ローン頭金比率(現行20%以上)の引下げ等。

 ○ 重点分野のリスクの防止・解消: 不動産企業の資金需要を支援、ビジネスモデルを刷新。

 地方政府の債務リスク解消と行政の安定運営を一体的に推進。

 

○ 韓国では、景気は持ち直しの動きがみられる。

  韓国経済は、世界的な半導体需要の持ち直しにより、景気は持ち直しの動きがみられる。長期的にみると、1997年のアジア

  通貨危機後、 安定的なマクロ経済環境の維持に努めたこともあって着実に成長し、2023年の一人当たり名目GDPは3.3万ドル。  

・他方、合計特殊出生率は0.72と低く、人口は50年後(2072年)には約3,600万人に減少することが見込まれている。

○ インドでは、景気は回復している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾・タイでは、景気は持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は拡大している。 先行きについては、拡大が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による

  下振れリスクに留意する必要がある。

・アメリカの一人当たり名目GDPは約8.2万ドルで、日本の約2.4倍。長期的にみると実質GDPはおおむね2%以上の成長率

 で推移。

 足下では6四半期連続で2%以上のプラス成長が継続し、2023年は2.5%2024年も2%程度の見通し。

・安定的な物価上昇と、それを超える名目賃金の上昇に支えられた個人消費の増加が、内需主導の経済成長をけん引している。

2008年の世界金融危機のような大きな経済的ショックに見舞われても、デフレには陥っていない。

・アメリカは世界の名目GDPの約25%を占める最大のマーケットである。2023年の財輸入においては、カナダ・メキシコ・

 中国のシェアが全体の約4割となっている。中国のシェアは、2001年のWTO加盟後に急上昇した。2009年以降首位で

 あったが、米中貿易摩擦を契機に、2023年のシェアは2位に低下した。対内直接投資残高では日本は首位である。

 ・コロナ禍後の就業者数をみると、55歳以上は伸びが停滞しており、外国生まれ労働者の増加にもかかわらず、労働供給の不足

  が継続している。株価上昇を背景とした金融資産の増加がコロナ禍後の早期引退に繋がっている可能性。名目賃金上昇率は

  高水準で推移しており、物価上昇率は鈍化傾向にあるものの、金融政策に与える影響に留意が必要である。

 ・202310-12月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+3.2%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

 ・2月の失業率は3.9%となった。

○ 設備投資は緩やかに増加している。

○ 消費は増加、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 生産はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は上昇している。

○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気は弱含んでいる。

 ・2310-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.2% (イギリスは▲1.4%、ドイツは▲1.1%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスは弱い動きとなっている。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+3.3%2月)、イギリス+5.5%1月)。

○ 財輸出は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。イギリスのサービス輸出はおおむね横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。

2024年

2月

21日

月例経済報告

 

月例経済報告(R6.2.21)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の

 効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、

 世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外

 景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。

 また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢金融資本市場の変動等の

 影響に十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震の

 経済に与える影響に十分留意する必要がある。

 

 

令和6年能登半島地震の影響

○  北陸地域の景気ウォッチャーからは、令和6年能登半島地震の影響について、地域の景気への影響や自粛ムードが長引くこと

   などを懸念するコメントが多く寄せられている。先行きについては、北陸新幹線延伸や北陸応援割、復興需要に期待するコメント

   もみられる。

○ 地震で被災したサプライヤー企業からの部品調達が滞り、県外でも一部で生産活動に影響が生じている。

○ 北陸地域の人流に関するビックデータをみると、震災直後の落ち込みからもとに戻る動きもみられる。

 

世界の経済情勢

○  世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

 先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めや中国における不動産市場の停滞に伴う影響による

 下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域 をめぐる情勢、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。

・アメリカは、2023年の実質成長率葉2.5%と、個人消費主導で景気は拡大している。スマートフォンや音楽ライブなどが好調である。

  ・中東地域の緊迫が続く中で、昨年末から海上貿易はスエズ運河を回避しアフリカの喜望峰周りとなる動きが増加している。また、

   昨年末にみられた物流コストの急上昇には一服感がみられるものの、今後の動向には留意が必要である。

 

GDP速報

   2023暦年のGDP成長率は、実質で1.9%、名目で5.7%と高い伸びとなっている。

名目成長率は1991年(6.5%)以来の水準である。

   202310-12月期(1次速報)のGDP成長率は、実質では前期比▲0.1%と2四半期連続のマイナスの一方、名目では同+0.3%と2四半期

  ぶりのプラスとなった。名目GDPの実額は596兆円と過去最高を更新した。

   実質GDP成長率の内訳をみると、外需はプラスに寄与した一方、個人消費はマイナス0.2%、設備投資はマイナス0.1%3四半期連続

  マイナスとなった。また、内需は力強さに欠ける。

   日本とドイツの比較

2023年のドイツの名目GDPは、米ドル換算で日本を上回った。

米ドル換算のGDPは、為替レートの影響を受けること、また、日本に比べ、ドイツの物価上昇率が高いことに留意が必要で

ある。ただし、ドイツは、日本の3分の2の人口、約6割の就業者数、約8割の労働時間で日本と同程度の名目GDPを実現し、

生産性が高い。

・ドイツは、2000年以降、平均で実質1%、名目2%以上の成長を実現した。

日本では、バブル崩壊以降の約30年の間、デフレ心理と コストカットの縮み志向の中、名目・実質ともに低成長となって

いる。デフレから脱却し、経済を熱量溢れる新たなステージに移行 させる千載一遇のチャンスを逃さず、「物価上昇を上回る

賃上げ」の実現と潜在成長率の引上げに取り組むことが必須となる。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直しに足踏みがみられる。

個人消費は、サービス消費回復の一服に加え、物価上昇や暖冬の影響もあり、半耐久財や非耐久財が減少した。一方、雇用環境

 の改善に加え、物価上昇の落ち着きにより、消費者マインドは持ち直し、実質総雇用者所得も持ち直しの動きが見られる。

・コロナ禍で積み上がった超過貯蓄は、アメリカでは取り崩しが進む一方、日本では取り崩しは限定的となっている。賃金・所得の

 増加が継続していくという成長期待が重要となる。

・本年開始の新NISAに向け、口座開設数は、3040代を中心に増加。貯蓄から投資への流れも期待される。

実質総消費動向指数は、前期比で、90.1%100.0%11月▲0.1%、12月▲0.1%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、9月▲1.0%10+0.5%11+0.4%12+1.1%1+0.8%。 

12月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.5%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、横ばいとなっている。輸入物価は、おおむね横ばいとなっている。

消費者物価は、このところ緩やかに上昇している。

消費者物価の前年比は、昨年1月のピーク時は4.3%まで上昇したが、激変緩和措置もあり、足下は2%台で推移している。

・財のうち食料品については、昨年までの値上げラッシュが一服。2024年の年明け後の値上げについては、原材料高等を理由と

 する企業の割合が低下し、人件費の転嫁を理由とする割合が増加した。

・サービス物価の上昇も、当初は、原材料高を受けた外食や設備修繕等が中心であったが、昨年以降は、宿泊料に加え、塾や習い事、

 理美容など人件費割合が相対的に高い分野の寄与が徐々に高まってきている。人件費を含む適切な価格転嫁が着実に進展していく

 ことが、賃金と物価の好循環のために重要となる。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、9月▲1.5%10+0.1%11月▲2.0%12+3.1%

・持家着工数は前月比で、8+5.8%9月▲9.3%10月▲6.6%11+1.7%12+1.7%

・貸家着工数は前月比で、8月▲4.4%9+4.8%10+0.9%11月▲2.7%12+0.6%

・分譲着工数は前月比で、8+17.0%9月▲2.0%10+5.0%11月▲4.8%12+9.1%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、8月▲10.8%(出来高▲0.4%)、9+8.5%(出来高+0.7%)、10月▲3.3%(出来高▲0.3%)、11+4.3%

 (出来高▲0.6%)、12+5.7%(出来高+0.9%)、1月▲4.5%             

 

雇用・賃金の動向

   一般労働者の賃金は1%台の上昇の一方、パート労働者の時給は、需給のひっ迫や最低賃金引上げもあり足下で4%まで上昇した。

  2023年の一般労働者の賃金上昇率をみると、若年層で高めとなっている。

   主要国やデフレ前の日本では、物価上昇と労働生産性向上が名目賃金上昇をけん引している。物価上昇を賃金に反映させ、物価

  に負けない名目賃金上昇率を実現・継続し、賃金と物価の好循環を回すとともに、労働生産性を高めていくことが重要となる。

 ○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。

 ・有効求人倍率は、91.29101.30111.28121.27(正社員は1.00)となった。

  ・完全失業率は、82.7%92.6%102.5%112.5%122.4%となった。

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

○ 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。

 ・企業の設備投資意欲は高いが、実際の設備投資には必ずしも結び付いていない。建設投資(工事出来高)は、これまでの大型工事

  の一服で減少傾向にあったが、建築工事費予定額は持ち直しており、今後、建設投資につながることが期待される。

 ・建設技能者は不足しており、特にエレベーターの設置等に携わる電気工事士等では過去最高水準の不足超となった。こうした中、

  エレベーター等の建設関連設備は受注が伸び、需要は堅調である一方、受注残が積み上がっている。

 ・電工や配管工の就業者数は、長期的に減少傾向が続き、過去20年でそれぞれ10万人強ずつ減少している。

○ 業況判断は、改善している。

  倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20233+16+59+912+1220243+8

  「大企業・非製造業」は、20233+206+239+2712+3020243+24

  「中小企業・製造業」は、20233月▲66月▲59月▲512+120243月▲1

  「中小企業・非製造業」は、20233+86+119+1212+1420243+7

 

生産

 生産は、持ち直しに向かっていたものの、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響により、このところ生産活動が低下している。

・鉱工業生産指数は前月比で、10+1.3%11月▲0.9%12+1.4%1月(予測)▲6.2%2月(予測)+2.2%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、9月▲3.4%+10+0.3%11+1.6%12+4.4%

・電子部品・デバイスは前月比で、9月▲0.2%10+6.6%11月▲0.9%12+2.0%

   ・輸送機械は前月比で、9+4.2%10+2.2%11月▲1.6%12+2.0%

 

外需

○ 輸出はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。輸入はおおむね横ばいとなっている。

2023年の経常収支は、海外からの配当受取等の第一次所得収支が過去最高水準となる中で、コロナ禍前並みの黒字となった。

・財の貿易収支は、自動車等の輸出増加と、鉱物性燃料の価格下落を受けた輸入減少により、2022年に比べ赤字幅が縮小した。

・サービス収支は、輸出面では、インバウンドの回復等を受けて増加した。一方、輸入面では、デジタル関連や保険分野の輸入が

 増加し、収支は引き続き赤字である。デジタルや知財等のサービス分野の競争力強化も重要となる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月ぶりに下降した

・現状・季節調整値DIは前月差で、10月▲0.411月±0.012+1.01月▲1.6

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、10月▲1.111+1.012+0.11+2.1

  

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待

   される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある。

・実質GDP成長率は、2310-12月期で前年比+5.2%(前期比+4.1%)。

・消費は持ち直しに足踏みがみられる。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・財輸出はおおむね横ばいとなっている。

・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。

・新築住宅販売価格は下落している。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価は下落した。

・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きに足踏みがみられる。

○ 韓国では、景気は持ち直しの動きがみられる。

○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾・タイでは、景気は持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は拡大している。 先行きについては、拡大が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による

  下振れリスクに留意する必要がある。

202310-12月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+3.3%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

1月の失業率は3.7%となった。

○ 設備投資は緩やかに増加している。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は上昇している。

○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気は弱含んでいる。

 ・2310-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.2% (イギリスは▲1.4%、ドイツは▲0.3%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスは弱い動きとなっている。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+3.6%1月)、イギリス+5.5%1月)。

○ 財輸出は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。

○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。

 

2024年

1月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R6.1.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復して

 いる。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果

 もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な

 金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の

 下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、

 物価上昇、中東地域をめぐる情勢金融資本市場の変動等の影響に

 十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震の経済に

 与える影響に十分留意する必要がある。

 

 

令和6年能登半島地震のストック面での影響試算

○  令和6年能登半島地震では、住宅や道路・港湾施設等のストックの損壊に加え、停電や断水が広範に発生した。これらは、地域住民

  の生活のみならず、生産や物流、観光等を通じて幅広く経済に影響を及ぼしている。

○ 能登半島地震による経済への影響を分析する一環として、東日本大震災や熊本地震の際の試算方法を踏まえ、市町村ごとの震度や

  被害状況に応じて、過去の大地震における損壊率を参照しつつ、ストックの毀損状況を暫定的に試算した。

○ 今回の試算は被害額を積み上げたものではなく、市町村ごとの震度に基づいた機械的な試算であり、幅をもってみる必要がある。

 

世界の経済情勢

○  世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

 先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めや中国における不動産市場の停滞に伴う 影響に

 よる下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域 をめぐる情勢、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。

 

GDP速報

○  20237-9月期のGDP2次速報では、名目GDPは横ばいの一方、実質成長率は前期比▲0.7%(年率▲2.9%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

消費者マインドは、昨年秋以降、持ち直しに足踏みがみられていたが、雇用環境の改善や食料品等の物価上昇の落ち着きを反映

 して、再び持ち直している。世帯属性を問わず、持ち直している。

・コロナ禍を経て、オンライン消費は大きく増加した。特に、60代以上の高齢世帯の伸びが大きい。一方、他の主要国と比較すると、

 オンライン消費には更なる拡大の余地がある。

・個人消費に占める分野別支出の割合を他の主要国と比較すると、我が国は、飲食料品の割合が高い一方、娯楽やスポーツ・文化、

 外食・宿泊サービスが低い。これらのサービス消費は、一人当たり支出金額でも、他国より低い。

・この30年間の一人当たり支出額をみると、高齢化で医療関係、IT化で通信関係が伸びる一方、娯楽・スポーツ・文化は減少した。

 余暇時間を比較すると、我が国は、男性を中心に低い水準となっている。働き方改革による長時間労働の抑制、有給休暇取得の促進

 は、ウェルビーイング向上とともに、時間消費型のサービス消費の拡大に資することが期待される。

実質総消費動向指数は、前期比で、8月▲0.1%90.1%10+0.1%110.0%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、8月▲0.9%9月▲1.0%10+0.5%11+0.4%12+1.1%。 

  ・11月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.3%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、横ばいとなっている。輸入物価は、このところ上昇している。

 消費者物価は、このところ緩やかに上昇している。

消費者物価は、食料品値上げ一服により2%台で緩やかに上昇。電気・ガスの激変緩和措置等は、これまでの物価上昇を和らげる

 ことに寄与している。

・コロナ禍以前の米欧の物価上昇はサービスの寄与が大きく、日本でもコロナ禍前に比べてサービスの寄与は高まりつつある。

 人件費の割合が高いサービス分野で、賃金上昇が価格に転嫁され、賃金と物価がともに持続的に上昇していくことが重要となって

 くる。

・物価上昇の主因は、食料品など財からサービスへとシフトしつつある。アメリカでは、物価は、財を中心に落ち着きつつある一方

 で、堅調なサービス需要を背景に2%を上回る伸びとなっている。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、8+4.4%9月▲1.5%10+1.0%11月▲4.0%

・持家着工数は前月比で、7+1.0%8+5.8%9月▲9.3%10月▲8.4%11+0.9%

・貸家着工数は前月比で、7+1.5%8月▲4.4%9+4.8%10+1.8%11月▲5.6%

・分譲着工数は前月比で、7月▲16.0%8+17.0%9月▲2.0%10+8.5%11月▲6.6%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、7月▲4.3%(出来高+1.7%)、8月▲10.8%(出来高▲0.4%)、9+8.5%(出来高+0.7%)、10月▲7.9%

(出来高▲0.3%)、11+7.0%(出来高▲0.6%)、12+9.2%             

 

雇用・賃金の動向

○ 企業の人手不足感はバブル期以降最高水準に高まる一方で、ハローワーク(公共職業安定所)の有効求人倍率は横ばい傾向と、

  両者に乖離がみられる。デジタル化に伴う求職手段の多様化が進む中、ハローワークを経由した就職者の割合は15%程度まで低下し、

  民間職業紹介所等が増加した。

  ハローワーク利用者は若年層で減少し、高齢者の利用は増加した。

   民間職業紹介を通じた正社員の求人は着実に増加している。さらに、近年は、すき間時間を活用したスポットワークという形で、アプリ

  を通じた短時間の就業のマッチングも増加した。

   転職の希望者は、男女ともに正社員を中心に1,000万人超(就業者の15%)まで増加した。賃金の上昇圧力につながる可能性を含んで

  いる。転職希望者の割合は、男女とも2534歳で最も高く約25%となっている。

   今年の春闘に向け、経営側からは、2023年以上の意気込みと決意が示されており、特に物価動向を重視し、ベースアップを念頭に

  おいた賃金引上げを各企業に要請している。また、労働側からは昨年を大きく上回るベースアップの要求額が示されている

○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。

   ・有効求人倍率は、81.2991.29101.30111.28(正社員は1.01)となった。

・完全失業率は、72.7%82.7%92.6%102.5%112.5%となった。

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

○ 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 業況判断は、改善している。

  倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20233+16+59+912+1220243+8

  「大企業・非製造業」は、20233+206+239+2712+3020243+24

  「中小企業・製造業」は、20233月▲66月▲59月▲512+120243月▲1

  「中小企業・非製造業」は、20233+86+119+1212+1420243+7

 

生産

 生産は、持ち直しの兆しがみられる。

・生産は、世界的な半導体需要の底打ちから、電子部品・デバイスが持ち直すなど、持ち直しの兆しがみられる。一方、一部自動車

  メーカーにおける国の認証制度に係る不正問題により生産・出荷が停止されたことから、輸送用機械の生産への下押し、サプライ

  チェーン企業への影響に留意が必要である。

・鉱工業生産指数は前月比で、9+0.5%10+1.3%11月▲0.9%12+6.0%(予測)、1月▲7.2%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、8月▲0.5%9月▲3.4%+10+0.3%11+1.6%

・電子部品・デバイスは前月比で、8+0.5%9月▲0.2%10+6.6%11月▲0.9%

   ・輸送機械は前月比で、8月▲3.7%9+4.2%10+2.2%11月▲1.6%

 

外需

○ 輸出はこのところ持ち直しの動きがみられる。輸入はおおむね横ばいとなっている。

輸出は、欧州経済の弱さを受けてEU向け輸出が弱含んでおり、持ち直しの動きに足踏みがみられる。工作機械等の金属加工機械

 は中国からの受注が弱く軟調の一方、建設・鉱山用機械は米国向け等で堅調、半導体関連も今後の持ち直しが期待される。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに上昇した

・現状・季節調整値DIは前月差で、9月▲3.710月▲0.411月±0.012+1.2

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月ぶりに下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、9月▲1.910月▲1.111+1.012月▲0.3

  

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待

     される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある。

202310-12月期の成長率は、前期比年率4.1%に減速した。国内需要が伸び悩む中、一部品目は輸出に向かい、輸出価格は

  下落傾向にある。不動産市場の停滞が続き、住宅価格は下落傾向となっている。若年失業率は12月は14.9%と高水準となった。

・実質GDP成長率は、2310-12月期で前年比+5.2%(前期比+4.1%)。

・消費は持ち直しに足踏みがみられる。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・財輸出はおおむね横ばいとなっている。

・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。

・新築住宅販売価格は下落している。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価は下落した。

・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きがみられる。

○ 韓国では、景気は持ち直しの動きがみられる。

○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾・タイでは、景気は持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は回復している。 先行きについては、回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による

     下振れリスクに留意する必要がある。

20237-9月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+4.9%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

12月の失業率は3.7%となった。

○ 設備投資はこのところ増勢が鈍化している。

・設備投資は、インフレ抑制法や半導体法等を受けて、製造業による投資が大幅に増加したことにより、構築物投資(工場建設等)

  が増加傾向となっている。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は増加しており、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

背景には家計のバランスシートの改善があり、総資産に対する負債の比率は過去 20年間で最低水準となっている。ただし、

  低所得者層の預金水準はコロナ禍前を下回っている。クレジットカードローンの 新規延滞率は上昇傾向であるが、過去に比べ

  低水準となっている。

○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は上昇している。

○ コア物価上昇率はこのところおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気は弱含んでいる。

 ・237-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.5% (イギリスは▲0.5%、ドイツは▲0.5%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスは弱い動きとなっている。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスは上昇している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+3.9%12月)、イギリス+5.8%12月)。

○ 財輸出は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。

○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。

2023年

12月

19日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.12.19)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復して

 いる。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果

 もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な

 金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の

 下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、

 物価上昇、中東地域をめぐる情勢金融資本市場の変動等の影響に

 十分注意する必要がある。

 

 

世界の経済情勢

○  世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

・欧米の物価上昇率は低下傾向にある中で、政策金利は秋以降据置きとなった。今後も物価上昇率は低下する見通しとなって

 いる。

2024年の世界経済は、これまでの欧米の金融引締め等を受けて、やや減速する見通しとなっている。

 なお、アメリカの年末商戦は、ネット販売等が好調であり、足下の消費は増加基調となっている。

・中国では、不動産市場の停滞が継続している。不動産貸出残高の対GDP比は2020年にピークアウトしたが、日本のバブル期

 よりも規模が大きい。

消費者物価は、特殊要因もあり下落した。

・台湾の景気は、世界的に半導体需要が持ち直す中で持ち直しの動きとなっている。輸出は情報通信機器が急増した。

・今後、中国の成長率は徐々に低下する中で、インド、ASEANの成長率が上回っていく見通しとなっている。

 

GDP速報

○  20237-9月期のGDP2次速報では、名目GDPは横ばいの一方、実質成長率は前期比▲0.7%(年率▲2.9%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

家計可処分所得は、名目では雇用者報酬を中心に増加基調だが、物価上昇に追いついておらず、実質で減少した。総合経済対策

 の着実な実行により、名目可処分所得が物価上昇を上回る状況を確かなものとする必要がある

新型コロナの5類移行後初の年末年始となり、鉄道予約や国内旅行人数はほぼコロナ前に回復の見込みとなっており、忘年会・

 新年会開催も増加となった。

・POSデータ(どの商品が、いつ・どこで・いくらで・どのくらい販売されたか、という情報を含む販売実績のデータ)では、コンビニは価格

 転嫁で販売数量は減少しているが、商品入替もあって売上高は増加が継続している。

実質総消費動向指数は、前期比で、70.0%8月▲0.1%90.0%10+0.1%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、7+0.9%8月▲0.9%9月▲1.0%10+0.5%11+0.4%。 

  ・10月の実質総雇用者所得は、前期比で▲1.2%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、横ばいとなっている。輸入物価は、このところ上昇している。

 消費者物価は、このところ上昇テンポが緩やかになっている。

財の企業間取引価格を示す国内企業物価指数は、2021年以降、世界的な物価上昇を起点に上昇してきたが、 足下では、資源

 価格の下落の影響もあって横ばいで推移している。

サービスの企業間取引価格を示す企業向けサービス価格指数は、財に遅れて、価格転嫁が進み、2022年以降緩やかに上昇して

いる。

・この結果、財・サービスともに、コロナ前の物価が動かない状態から、幅広い品目にわたって物価が上昇する姿に変化しつつ

 ある。

・消費者物価は、前年同月比の上昇率が低下傾向にあるなど、上昇テンポが緩やかとなった。

背景には、食料品等で値上げが一服したことによる上昇幅の縮小がある。

・こうした中、5%以上の高い物価上昇を予測する家計の割合は縮小し、5%未満を予想する家計の割合が、2022年2月以来、初めて

 逆転した。

・物価上昇品目の割合は増加し、広がりが見られつつあり、デフレ前の1980年代の姿に近くなっている。

  企業の価格転嫁の動向

  素材型製造業では、 2008年のリーマンショック前に仕入価格が大きく上昇した時は販売価格の上昇は限定的 だったが、

  今回の物価上昇局面では、仕入価格が2008年並みに上昇する中、販売価格への転嫁が進んだ。

  加工型製造業や非製造業では、この30年間、販売価格引上げ企業の割合が十分高まらなかったが、今回は販売価格への

  転嫁が進展した。なお、非製造業は、1980年代~90年代初めは仕入と販売価格の動向が連動している。

  仕入価格の販売価格への転嫁は、デフレに陥る前の1990年代前半までの姿に近づいている可能性がある。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、7月▲4.1%8+4.4%9月▲1.5%10+1.0%

・持家着工数は前月比で、6+0.1%7+1.0%8+5.8%9月▲9.3%10月▲8.4%

・貸家着工数は前月比で、6月▲8.9%7+1.5%8月▲4.4%9+4.8%10+1.8%

・分譲着工数は前月比で、6月▲5.9%7月▲16.0%8+17.0%9月▲2.0%10+8.5%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、7月▲4.3%(出来高+1.7%)、8月▲10.8%(出来高▲0.4%)、9+8.5%(出来高+0.7%)、10月▲7.9%

  11+7.0%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。

   ・企業が賃上げで重視した要素は、「労働力確保」がバブル期以来、「物価動向」が40年ぶりの高さにとなった。

  ・中小企業では、原材料費に比べ、労務費の転嫁ができていない。持続的な賃上げの実現に向けて、労務費を転嫁できる取引

     環境の整備が重要である。

  ・本年10月の最低賃金引上げにより、コンビニやファストフードを中心に募集時賃金が上昇した。

 配偶者のいる非正規雇用の女性では、「年収の壁」を超える労働時間で働く人が増えている可能性がある。

・有効求人倍率は、71.2981.2991.29101.30(正社員は1.01)となった。

・完全失業率は、62.5%72.7%82.7%92.6%102.5%となった。

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

   ・20237-9月期は、企業の経常利益・営業利益ともに過去最高となった。売上高に対する利益の比率も過去最高水準となった。

  企業部門の好調さを設備投資や賃金に回していくことが重要。

・非製造業の業況判断DIは、引き続き、バブル期以降の最高水準となった。

製造業 では、大企業の業況判断DIが3期連続で改善し、中小企業も20193月以来初めてプラスに転じた。

○ 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。

2023年度の企業の設備投資計画は、12月時点で前年度比+12.6%と、引き続き投資マインドは堅調である。

・機械投資は、受注残高は高水準。実際に工場等に納入された時点で、投資として顕在化している。

・建設投資(出来高)は、2022年前半着工の大型案件の工事進捗の一服もあって減少しているが、2023年秋か ら着工は再び増加

  しており、今後の投資として計上される見込みとなっている。

・ソフトウェア投資は非製造業を中心に増加傾向が続き、研究開発投資も堅調に増加の見込みとなっている。

○ 業況判断は、改善している。

  倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20233+16+59+912+1220243+8

  「大企業・非製造業」は、20233+206+239+2712+3020243+24

  「中小企業・製造業」は、20233月▲66月▲59月▲512+120243月▲1

  「中小企業・非製造業」は、20233+86+119+1212+1420243+7

 

生産

 生産は、持ち直しの兆しがみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、8月▲0.7%9+0.5%10+1.3%11月(予測)▲0.3%12月(予測)+3.2%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、7月▲4.8%8月▲0.5%9月▲3.4%+10+0.3%

・電子部品・デバイスは前月比で、7月▲5.1%8+0.5%9月▲0.2%10+6.6%

   ・輸送機械は前月比で、7+0.4%8月▲3.7%9+4.2%10+2.2%

 

外需

○ 輸出はこのところ持ち直しの動きがみられる。輸入はおおむね横ばいとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 消費者マインドは、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、前月と同値となった。

・現状・季節調整値DIは前月差で、8月▲0.89月▲3.710月▲0.411月±0.0

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、8月▲2.79月▲1.910月▲1.111+1.0

  

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが

      期待される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある。

・実質GDP成長率は、237-9月期で前年比+4.9%(前期比+1.3%)。

・消費は持ち直しに足踏みがみられる。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・財輸出はおおむね横ばいとなっている。

・固定資産投資は伸びが低下している。

・新築住宅販売価格は下落している。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価は下落した。

・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きがみられる。

○ 韓国・台湾では、景気は持ち直しの動きがみられる。

○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ タイでは、景気は持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は回復している。 先行きについては、回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等

     による下振れリスクに留意する必要がある。

20237-9月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+5.2%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

11月の失業率は3.7%となった。

○ 設備投資はこのところ増勢が鈍化している。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は増加しており、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は上昇している。

○ コア物価上昇率はこのところおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気は弱含んでいる。

 ・237-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.5% (イギリスは▲0.1%、ドイツは▲0.5%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスは弱い動きとなっている。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスは上昇している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は低下している。イギリスはこのところ低下している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+4.2%11月)、イギリス+6.3%10月)。

○ 財輸出は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。

○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。

 

2023年

11月

22日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.11.22)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復して

 いる。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果 

 もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な

 金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の

 下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、

 物価上昇、中東地域をめぐる情勢金融資本市場の変動等の影響に

 十分注意する必要がある。

 

 

世界の経済情勢

○  世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

  先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めや中国における不動産市場の停滞に

  伴う影響、物価上昇等による下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動の

  影響を注視する必要がある。

○ アメリカは、雇用の増勢がコロナ禍前の景気拡大局面の平均水準まで落ち着きつつあり、物価上昇率が低下傾向にある

  中で、政策金利はこのところ据置きとなっている。

○ ユーロ圏経済、ドイツ経済及び英国経済は弱含みとなっている。 ドイツの個人消費は、2021年後半以降、横ばいで、背景

  には、名目賃金の伸びが物価上昇を超えない状況がある。一方、スペインは、名目賃金の伸びが物価上昇を上回り、個人

  消費は持ち直し基調、経済も堅調となっている。

 

GDPの動向と供給力強化に向けた課題

○  20237-9月期のGDP1次速報では、名目GDPは横ばいの一方、実質成長率は前期比▲0.5%(年率▲2.1%)と3期ぶりに

  マイナスとなった。

○ 上場企業の決算をみると、経常利益は、7-9月期としては過去最高を更新した一方、企業の設備投資は、名目では2期ぶり

  に増加したものの、実質では2期連続の減少となり、持ち直しに足踏みがみられた。

○ 198090年代の景気拡大局面では、労働投入の寄与がわずかなプラスないしマイナスの中、資本投入と生産性の伸びが、

  潜在成長率を引き上げていたが、近年はこれらの寄与が縮小している。供給力(潜在成長率)引上げのためには、国内の新規

  投資拡大、研究開発や人への投資を通じた生産性向上が喫緊の課題となってくる。

 

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

○ 名目では増加した一方、実質では物価上昇の影響もあり横ばいになった。雇用者報酬は、名目では増加基調にある一方、

  実質は、物価上昇の影響で二期ぶりに減少した。

7-9月の個人消費は、過半を占めるサービスの増加が継続した一方、耐久財を中心に財が減少した。財は、物価上昇の影響

 のほか、工場停止を受けた自動車の国内向け販売の減少という一時的要因も影響した。

・外食サービスは、名目・実質ともに緩やかな増加基調にあり、コロナ前水準を超える。コロナ禍で控えられていた年末の

 外食需要にも期待できる。

・小売販売を業態別にみると、低価格の食品への需要増加等もあり、ドラッグストアの売上が堅調である

実質総消費動向指数は、前期比で、70.0%8月▲0.1%90.0%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、6+0.2%7+0.9%8月▲0.9%9月▲1.0%10+0.5%。 

  ・9月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.4%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、横ばいとなっている。輸入物価は、このところ上昇している。

消費者物価は、上昇している。

・食料品は値上げの一服で上昇幅が縮小する一方、生鮮食品は上昇幅が拡大した。特に、猛暑による生育不良でトマトなどの

 野菜の価格が高騰している。

・コロナ前と比べると、財の物価上昇に広がりがみられる。サービス業では、労務費増加分の価格転嫁が相対的に限定的と

 なった。賃金と物価の好循環の実現に向け、適切な価格転嫁の促進が鍵となる。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、6月▲5.9%7月▲4.1%8+4.4%9月▲1.5%

・持家着工数は前月比で、5+0.1%6月▲0.5%7+1.0%8+5.8%9月▲9.3%

・貸家着工数は前月比で、511.3%6月▲8.9%7+1.5%8月▲4.4%9+4.8%

・分譲着工数は前月比で、5+23.7%6月▲5.9%7月▲16.0%8+17.0%9月▲2.0%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、6+5.1%(出来高▲5.0%)、7月▲4.3%(出来高+1.7%)、8月▲10.8%(出来高▲0.4%)、9+8.5%

(出来高+0.7%)、10月▲7.9%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。

  ・就業者数を産業別に見ると、過去5年間で、医療・福祉、情報通信等で大きく増加する一方、卸売・小売では減少、コロナ

  で大きく減少した宿泊・飲食等は、回復するも依然コロナ前を下回る。

・公定価格の医療・福祉等を除く産業計では、春闘賃上げを反映し、所定内給与で2%程度賃金上昇した。

・ 年末のボーナスは、好調な企業収益等も背景に、現時点では、夏以上の高い伸びが見込まれている。

・我が国の実質賃金上昇率は昨年からマイナスが継続している一方、欧米では足下で前年比プラスに転化した。

・長期的にみると、アメリカでは20年間で平均名目賃金が1.9倍に増加した一方、我が国では横ばいとなっている。職種別に

 比較すると、弁護士、ソフトウェア開発、大学教員、トラック運転手などでアメリカとの差が大きい。

・多くの主要国では、長期的に名目賃金上昇率が物価上昇率を上回って推移しているが、日本では、長期的には両者ともゼロ近傍

 となっている。

・有効求人倍率は、61.3071.2981.2991.29(正社員は1.02)となった。

・完全失業率は、52.6%62.5%72.7%82.7%9+2.6%となった。

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

○ 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 業況判断は、総じてみれば緩やかに改善している。

・ 倒産件数は、コロナ禍を経て経済社会活動が正常化する中、昨年秋以降は増加傾向で推移している。飲食等のサービス業を中心

  に、小規模な事業者の倒産が増加した。

  民間金融機関を通じた実質無利子無担保融資(ゼロゼロ融資)を受けた中小企業の状況をみると、本年8月末にかけて、据置期間

 中の割合が低下し、完済または借り換えの割合が増加した。条件変更や代位弁済の割合は微増となっている。

  長期的にみると、足下は、件数・負債金額別の構成比ともにコロナ前と同程度である。なお、バブル期前の1980年代半ばは1500

 前後で、負債金額の構成も異なっていた。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、202212+720233+16+59+912+10

  「大企業・非製造業」は、202212+1920233+206+239+2712+21

  「中小企業・製造業」は、202212月▲220233月▲66月▲59月▲512月▲2

  「中小企業・非製造業」は、202212+620233+86+119+1212+8

 

生産

 生産は、持ち直しの兆しがみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、7月▲1.8%8月▲0.7%9+0.5%10月(予測)+3.9%11月(予測)▲2.8%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、6+3.0%7月▲4.8%8月▲0.5%9月▲3.4%

・電子部品・デバイスは前月比で、6+6.8%7月▲5.1%8+0.5%9月▲0.2%

   ・輸送機械は前月比で、6月▲2.8%7+0.4%8月▲3.7%9+4.2%

 

外需

○ 輸出はこのところ持ち直しの動きがみられる。輸入はおおむね横ばいとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 消費者マインドは、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月連続で下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、7+0.88月▲0.89月▲3.710月▲0.4

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月連続で下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、7+1.38月▲2.79月▲1.910月▲1.1

  

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが

   期待される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある。

・実質GDP成長率は、237-9月期で前年比+4.9%(前期比+1.3%)。

・消費は持ち直しに足踏みがみられる。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・財輸出は弱含みとなっている。

・固定資産投資は伸びが低下している。

・新築住宅販売価格は下落している。

・都市部調査失業率はこのところ低下となっている。

・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きがみられる。

○ 韓国・台湾では、景気は持ち直しの動きがみられる。

○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ タイでは、景気は持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は回復している。 先行きについては、回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等に

   よる下振れリスクに留意する必要がある。

20237-9月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+4.9%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

10月の失業率は3.9%となった。

○ 設備投資はこのところ増勢が鈍化している。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は増加しており、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は上昇している。

○ コア物価上昇率はこのところおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気は弱含んでいる。

 ・237-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.2% (イギリスは▲0.1%、ドイツは▲0.1%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスは弱い動きとなっている。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスは上昇している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は低下している。イギリスはこのところ低下している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+5.0%10月)、イギリス+6.3%10月)。

○ 財輸出は、ユーロ圏・イギリスともにおおむね横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

 

2023年

10月

30日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.10.30)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに回復している。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果

もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な

金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、

中東地域をめぐる情勢金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界の経済情勢

○  世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

  先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めや中国における不動産市場の停滞に伴う

  影響、物価上昇等による下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動の影響を注視

  する必要がある。

○ アメリカは、個人消費主導で堅調な成長が続き、景気は回復している。

中国は、不動産市場の停滞や輸出の弱含みが続く中で、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。

欧米の物価上昇率は低下傾向にある。

   世界の半導体出荷高は足下では底打ちの動きとなっている。今後は各国の半導体生産や輸出が増加する可能性がある。

   中国の貿易構造をみると、2020年以降、EV等を中心に自動車輸出が大幅に増加している。特に、「一帯一路」沿線の中央

   アジア・西アジア・ロシア等への輸出が急増している。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

・飲食や宿泊などサービス消費は持ち直しが継続している。家電販売のうち、エアコンや洗濯機は猛暑の影響や共働き需要も

  あって増加し、携帯電話は新製品の発売もあり増加した。

・一方、消費者マインドは、食料など身近な品目の物価上昇率の高止まりもあり、持ち直しに足踏みがみられる。40年ぶりの

  物価上昇に直面する中、消費者心理は物価動向に、より影響を受けるようになっている。

30年ぶりとなる新たな経済ステージへの移行の好機を逃さず、賃金と物価の好循環に着実に結び付けていくためには、物価

  上昇を上回る継続的な賃上げを実現する中で消費が増加していくことが重要である

実質総消費動向指数は、前期比で、60.0%7+0.1%8月▲0.1%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、5+0.6%6+0.2%7+0.9%8月▲0.9%9月▲1.0%。 

  ・8月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.1%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、このところ横ばいとなっている。輸入物価は、おおむね横ばいとなっている。

  消費者物価は、上昇している。

・原油価格は産油国の減産などで本年7月頃から再び上昇し、足下では中東情勢の影響もみられる。それに伴いガソリン価格も

  上昇してきたが、9月からは激変緩和事業の新たな措置により、足下では175円程度に抑制されている。

・輸入物価は足下で上昇傾向に転じており、今後の川下の物価への波及にも注意が必要である。

・消費者物価は足下で前年比3%程度で推移。その中で、子育て関係の物価については、授業料や保育料は抑制されている一方、

  塾・習い事、紙おむつなどで上昇した。

・食料品価格の上昇が続く中、消費者は、保存性のある品目は低価格の商品にシフトしている可能性がある。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設はこのところ弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、5+11.8%6月▲5.9%7月▲4.1%8+4.5%

・持家着工数は前月比で、4月▲0.8%5+0.1%6月▲0.5%7+1.0%8+5.8%

・貸家着工数は前月比で、4月▲12.9%511.3%6月▲8.9%7+1.5%8月▲4.4%

・分譲着工数は前月比で、4月▲19.8%5+23.7%6月▲5.9%7月▲16.0%8+17.0%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、5+3.0%(出来高+2.8%)、6+5.1%(出来高▲5.0%)、7月▲4.3%(出来高+1.7%)、8月▲10.8%

 (出来高▲0.4%)、9+8.5%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。

   ・デフレに陥る前の1980年代や90年代前半までは、物価上昇を上回って名目賃金が伸びていたため、実質賃金の伸びがプラス

     で推移してきた一方、足下では、物価上昇が名目賃金の伸びを上回り、実質賃金の下落が継続した。デフレ脱却に向けて、

     物価上昇に負けない名目賃金の継続的な上昇が重要となってくる。

   ・宿泊・飲食サービス等の業種では、人手不足感が強まる中で、賃金上昇率に高まりがみられる。

  ・追加的に労働供給を望み、働くことができる人口は約530万人となった。人手不足の中、意欲のある就業者・就業希望者の

     持てる力を十分に発揮できる環境整備が喫緊の課題である。

   ・労働時間の追加希望がある就業者には、「年収の壁」対策に加え、副業・兼業や転職の後押しが重要となってくる。

   ・仕事内容や勤務条件等のミスマッチに対しては、効果的なマッチングやリ・スキリングの支援、多様で柔軟な働き方の促進が

     重要となってくる。

・有効求人倍率は、51.3161.3071.2981.29(正社員は1.02)となった。

・完全失業率は、42.6%52.6%62.5%72.7%82.7%となった。

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

   ・ 中小企業の製造業では厳しさが残るものの、コロナ禍から平時へと移行する中、非製造業の業況判断DIは、大企業・中小

      企業ともにバブル期以降の最高水準となった。

・業況が改善する中で、人手不足への対応が課題となっている。雇用人員判断は、業種・規模にかかわらず人手不足感が強まって

  いるが、とりわけ中小企業の非製造業では、人手不足感が過去最高水準となっている。

・非製造業の人手不足感は、コロナ禍後の経済正常化やインバウンド復活で需要が回復している宿泊・飲食、建設、運輸など

  幅広い業種で拡大した。これら分野の求人倍率は平均を大きく上回る。

・多くの企業は、採用増加等により人手不足に対応している一方、省力化投資を行っている企業は未だ限定的で、人手不足が

  厳しい業種では省力化・省人化投資への後押しが重要となってくる。

○ 設備投資は、持ち直している。

・今年度の企業の設備投資計画は前年度比13%増加と、投資マインドは引き続き堅調となっている。ただし、中小企業では、

  非製造業で投資意欲の高まりがみられる一方、製造業はやや弱めの伸びである点に留意しなければならない。

  ・非製造業では、業況が改善し人手不足感が高まる中で、設備にも不足感がある。省力化投資や高付加価値化に資する投資へ

    の後押しが重要となってくる。製造業の投資計画は、各地域で堅調である。半導体関連の集積が進む九州では、製造・非製造業

    ともに他地域に比べて伸びが顕著となっている。

○ 業況判断は、総じてみれば緩やかに改善している。

・ 倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、202212+720233+16+59+912+10

  「大企業・非製造業」は、202212+1920233+206+239+2712+21

  「中小企業・製造業」は、202212月▲220233月▲66月▲59月▲512月▲2

  「中小企業・非製造業」は、202212+620233+86+119+1212+8

 

生産

 生産は、持ち直しの兆しがみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、6+2.4%7月▲1.88月▲0.7%9月(予測)+5.8%10月(予測)+3.8%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、5+3.6%6+3.0%7月▲4.8%8月▲0.5%

・電子部品・デバイスは前月比で、50.0%6+6.8%7月▲5.1%8+0.5%

   ・輸送機械は前月比で、5月▲4.0%6月▲2.8%7+0.4%8月▲3.7%

 

外需

○ 輸出はこのところ持ち直しの動きがみられる。輸入はおおむね横ばいとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、6月▲1.47+0.88月▲0.89月▲3.7

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、6月▲1.67+1.38月▲2.79月▲1.9

  

アジア経済の動向  

 

○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。  先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが

     期待される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある。

・実質GDP成長率は、237-9月期で前年比+4.9%(前期比+1.3%)。

・消費は持ち直しに足踏みがみられる。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・輸出はこのところ弱含みとなっている。

・固定資産投資は伸びが低下している。

・新築住宅販売価格はこのところ下落している。

・都市部調査失業率はこのところ低下となっている。

・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きがみられる。

○ 韓国では、持ち直しの兆しがみられる。

○ 台湾では、景気は下げ止まりの兆しがみられる。

○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ タイでは、景気は持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は回復している。 先行きについては、回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等に

     よる下振れリスクに留意する必要がある。

20234-6月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+2.1%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

9月の失業率は3.8%となった。

○ 設備投資は緩やかに増加している。

○ 消費は増加しており、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は上昇している。

○ コア物価上昇率はこのところやや低下した。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態に、ドイツでは弱含んでいる。

 ・234-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.6% (イギリスは+0.8%、ドイツは+0.1%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっており、イギリスは弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスは上昇している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともにこのところ低下している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+5.5%9月)、イギリス+6.8%9月)。

○ 輸出は、ユーロ圏・イギリスともにおおむね横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

2023年

9月

26日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.9.26)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに回復している。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果

 もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な

 金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の

 下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価

 上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界の経済情勢

○  アメリカ経済は回復しているものの、中国は持ち直しの動きに足踏み、ドイツを始め欧州も足踏み状態となっている。

○  24年の世界経済は減速の見通しとなった。中国における不動産市場の停滞による下振れリスクに注意する必要がある。

 ・中国の輸出入は、18年以降、米中貿易摩擦を受け減速している。感染症収束後の現在も輸出入ともに弱含んでいる。

 ・ドイツは、中国向け輸出が20年以降停滞している。景況感は大幅に悪化した。ドイツ政府は、国内企業の競争力強化の

  ための経済対策を発表した。

  「経済拠点としてのドイツのための計画」 (8/29公表)ポイント

 〇「成長機会法」を決定

 2028年まで年間70億ユーロ(1.1兆円)規模

 ・研究開発費用の損金算入を現行の3倍へ引上げ。

 ・グリーン技術投資に対して15%を補助。

 ・中小企業への研究開発補助金の補助率 を引上げ(25%35%)。 等

 

日本の実質GDP成長率

○  20234-6月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比+1.2%(年率+4.8%)となり、実質GDPはコロナ前の水準を

  超え、過去最高になった。

 ・GDPギャップは解消に向かい、234-6月期には、33四半期ぶりにプラスに転換したものの小幅であり、また、外需

  高い伸びによるものである。今後、内需中心の成長により、プラス傾向が安定的に続いていくことが重要となる。

 ・一方、潜在成長率(潜在GDPの伸び率)は、G7諸国の中で最も低い。供給力の強化が課題である。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

・雇用・所得環境の改善が続く下、家計調査(2人以上世帯)は弱い一方で、供給側の動きを捉えた指標やカード支出データ等の

 様々な指標によると、個人消費は持ち直してきている。

・物価高が続く中で、相対的に低所得の世帯における消費動向には注意が必要である。消費支出に占める食料品やエネルギーの

 シェアは、収入が低い世帯ほど高い。また、消費者マインドを見ると、収入が低い世帯ほど「暮らし向き」の回復が弱いなど、

 所得階層間のバラツキが拡大した。

・個人金融資産残高はコロナ禍で積みあがった貯蓄(超過貯蓄)もあって2,115兆円まで増加したが、これが消費に向かうことが

 期待される。また、米欧と比べ現金・預金の比率が高く、物価が上昇する中、貯蓄から投資に回っていくことが重要である

実質総消費動向指数は、前期比で、5月▲0.2%60.0%7+0.2%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、4+1.5%5+0.6%6+0.2%7+0.9%8月▲0.9%。 

  ・7月の実質総雇用者所得は、前期比で▲1.2%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、このところ横ばいとなっている。輸入物価は、おおむね横ばいとなっている。

 消費者物価は、上昇している。

・消費者物価(生鮮食品を除く総合)は、激変緩和措置等によりエネルギー価格が抑制される中で、前年比3%程度で推移

 している。その構成は、財(食料やエネルギー等)、サービス(家賃や外食・宿泊等)が半々となっている。

・消費者物価上昇の主因である食料品価格は、ロシアによるウクライナ侵略等を受けた世界的な価格高騰等により、食パン

 をはじめ、幅広い品目で価格が上昇した。

・サービス物価は、宿泊料・外食等で大きく上昇している。その他サービスでも、家賃や公共サービスを除き、上昇率が

 高まっている。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設はこのところ弱含んでいる。 

・住宅着工は、持家や分譲住宅を中心に弱含んでいる。木材価格の上昇は一服したものの、コンクリート等の資材価格は上昇

 した。加えて、労務費上昇もあり、建築費が高止まりしていることが主な背景としてある。

・首都圏マンション新規販売平均価格は、都区部の高価格マンション供給の影響もあり上昇した。住宅リフォームは、補助事業

 の効果もあり、23年以降増加がしつつある。

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、4月▲12.1%5+11.8%6月▲5.9%7月▲4.1%

・持家着工数は前月比で、3月▲8.0%4月▲0.8%5+0.1%6月▲0.5%7+1.0%

・貸家着工数は前月比で、3+9.8%4月▲12.9%511.3%6月▲8.9%7+1.5%

・分譲着工数は前月比で、3+0.1%4月▲19.8%5+23.7%6月▲5.9%7月▲16.0%

   公共投資は、堅調に推移している。

・請負金額は前月比で、4月▲4.1%(出来高+2.9%)、5+3.0%(出来高+2.8%)、6+5.1%(出来高▲5.0%)、7月▲4.3%

(出来高+1.7%)、8月▲10.8%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。

  ・有効求人倍率は、41.3251.3161.3071.29(正社員は1.02)となった。

・完全失業率は、32.8%42.6%52.6%62.5%72.7%となった。

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

   ・ 234-6月期の経常利益は過去最高を更新した。今年度の設備投資計画に おいて、大企業・中小企業ともにデジタル化や

   省力化を背景にしたソフトウェア投資を最も重視する傾向にある。

・本業による収益である営業利益も総じてみれば増加した。ただし、中小企業では、製造業は2期連続の減益となり、設備

 投資も減少した。継続的な賃上げに向け、適切な価格転嫁とともに、中小企業が設備投資を進め、本業の収益力を高める

 ための後押しが重要となってくる。

・インバウンドは2019年の9割弱まで回復した。インバウンド需要もあり、宿泊・飲食サービスではコロナ禍前と同水準まで

 人手不足感が拡大し、宿泊料や外食の価格は上昇した。

・宿泊・飲食業の設備投資計画は、全産業平均と比べて弱い。売上げ拡大のチャンスを取りこぼさないよう、省力化投資を

 通じた効率化や、高付加価値化・差別化を通じた価格設定力強化が課題となってくる。

○ 設備投資は、持ち直している。

○ 業況判断は、持ち直している。

・ 倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20229+812+720233+16+59+9

  「大企業・非製造業」は、20229+1412+1920233+206+239+20

  「中小企業・製造業」は、20229月▲412月▲220233月▲66月▲59月▲1

  「中小企業・非製造業」は、20229+212+620233+86+119+7

 

生産

 生産は、持ち直しの兆しがみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、5月▲2.2%6+2.4%7月▲1.88月(予測)+2.6%9月(予測)+2.4%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、4月▲6.3%5+3.6%6+3.0%7月▲4.8%

・電子部品・デバイスは前月比で、4+6.9%50.0%6+6.8%7月▲5.1%

   ・輸送機械は前月比で、4+3.5%5月▲4.0%6月▲2.8%7+0.4%

 

外需

○ 輸出はこのところ持ち直しの動きがみられる。輸入はおおむね横ばいとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、1か月ぶりに下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、5+0.46月▲1.47+0.88月▲0.8

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、1か月ぶりに下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、5月▲1.36月▲1.67+1.38月▲2.7

  

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。 先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが

   期待される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある

・実質GDP成長率は、234-6月期で前年比+6.3%(前期比+0.8%)。

・消費は持ち直しに足踏みがみられる。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・輸出はこのところ弱含みとなっている。

・固定資産投資は伸びが低下している。

・新築住宅販売価格はこのところ下落している。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。

○ 韓国では、持ち直しの兆しがみられる。

○ 台湾では、景気は下げ止まりの兆しがみられる。

○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ タイでは、景気は持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は回復している。 先行きについては、回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等に

  よる下振れリスクに留意する必要がある。

20234-6月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+2.1%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

8月の失業率は3.8%となった。

○ 設備投資は緩やかに増加している。

○ 消費は増加しており、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は上昇している。

○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・234-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.5% (イギリスは+0.8%、ドイツは+0.1%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっており、イギリスは弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスは上昇している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏はこのところ低下している。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.2%8月)、イギリス+7.1%8月)。

○ 輸出は、ユーロ圏・イギリスともにおおむね横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

2023年

8月

28日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.8.28)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに回復している。

 

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果

もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な

金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、

金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。

 

 

日本の実質GDP成長率

○  20234-6月期(1次速報)の実質GDP成長率は、前期比+1.5%(年率+6.0%)となった。

234-6月は、供給制約の緩和やインバウンド回復に伴う輸出増など外需に牽引され、3期連続のプラス成長となった。

 GDP水準は、名目に続き実質でも過去最高になった。

・実質個人消費は、2期連続増加の後、物価上昇の影響もあり減少した。一方、設備投資については、実質は、ソフトウェア

 投資の増加により、2期連続で増加し、名目は、過去最高を更新し100兆円に達した。

・雇用者報酬は、名目で増加が続く中、実質も7期ぶりにプラスに転換した。今後も、30年ぶりの高い賃上げとなった春闘結果

 の反映や今年10月の最低賃金引上げが、所得環境の改善につながる見込みとなっている。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

234-6月期の消費は、物価上昇の影響もあって、食料品等の非耐久財や家電等の耐久財が減少した一方、経済活動正常化

 によりサービスの回復は継続している。家電は、巣ごもり需要による増加の後、多くの世帯で買い替え時期を迎えておらず、

 エアコン、冷蔵庫、テレビ、パソコン等の販売は弱い状況が継続している。

・消費者マインドは、雇用環境の改善等を背景に持ち直しが継続している。一方、8月は台風の影響があり、お盆期間の国内

 交通利用は、前年よりは回復したもののGWよりは弱いうごきとなった。また、例年よりも猛暑日が多く、空調の効いた商業

 施設等ではプラスの影響がみられるが、屋外型レジャー施設にはマイナスに影響した。

実質総消費動向指数は、前期比で、4月▲0.1%5月▲0.1%60.0%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、3+2.6%4+1.5%5+0.6%6+0.2%70.9%。 

  ・6月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.1%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、緩やかに下落している。輸入物価は、このところ下落テンポが鈍化した。

消費者物価は、上昇している。

・消費者物価上昇の約7割は食料品である。電気・ガス代は、政策効果や既往の資源価格の低下により下落している。

 8月については、円安の進行等を背景に、ガソリン価格が上昇した。特にガソリン支出額の多い地方の消費者にとっては家計

 の負担が増加した。

・アメリカに比べ、我が国は、サービス部門の賃金と物価の伸びがともに緩慢となっている。ただし、足下では、サービスの

 正規価格で改定頻度が上昇しており、これまでの価格が動きにくい状況に構造的な変化の兆しがみられる。賃上げの継続と

 適切な価格転嫁を通じて、賃金と物価がともに持続的・安定的に上昇していくことが重要となる。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設はおおむね横ばいとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、3+2.0%4月▲12.1%5+11.8%6月▲5.9%

・持家着工数は前月比で、3月▲8.0%4月▲0.8%5+0.1%6月▲0.5%

・貸家着工数は前月比で、3+9.8%4月▲12.9%511.3%6月▲8.9%

・分譲着工数は前月比で、3+0.1%4月▲19.8%5+23.7%6月▲5.9%

   公共投資は、堅調に推移している。

・請負金額は前月比で、3月▲22.8%(出来高+2.9%)、4月▲4.1%(出来高+2.8%)、5+3.0%(出来高▲5.0%)、6+5.1%

 7月▲4.3%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。

・春闘の賃上げの反映やボーナスの増加によって賃金は改善した。6月のボーナスを含む特別給与は、コロナ禍前の水準を

 超えて増加している。中小企業を含め、今後も賃上げの流れが継続していくことが重要となる。

・民間職業紹介における求人(主に正社員)では、高収入の求人が大幅に増加した。

・パート労働者の時給は、今年10月に最低賃金が引き上げられることもあり、さらに上昇の見込みとなっている。

・一方、 既婚女性の非正規労働者では、就業調整を実施する割合が高まっており、「年収の壁」による労働供給の制約が

 強まっている

・有効求人倍率は、21.3431.3241.3251.3161.30(正社員は1.03)となった。

・完全失業率は、22.6%32.8%42.6%52.6%62.5%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば緩やかに改善している。

○ 設備投資は、持ち直している。

  23年度の大企業の設備投資計画では、能力増強や製品高度化等を目的とした前向きな動きがみられる。また、供給網強靱化の

   観点から、今後、国内生産拠点を強化する企業の割合が大きく増加の見込みとなっている。

  ・中小企業の設備投資計画も6月時点では7.2%増と堅調となっている。このうちソフトウェア投資をみると、製造業や卸売・

     小売では大幅な増加の計画になっており、DXの取組がみられる。一方、宿泊・飲食では遅れがでている。

   ・中小企業のうち価格転嫁実施企業では、設備投資に積極的な企業が多い。中小企業の設備投資促進のためには、引き続き

     適切な価格転嫁に向けた取り組みも重要となる。

○ 業況判断は、持ち直している。

・ 倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20229+812+720233+16+59+9

  「大企業・非製造業」は、20229+1412+1920233+206+239+20

  「中小企業・製造業」は、20229月▲412月▲220233月▲66月▲59月▲1

  「中小企業・非製造業」は、20229+212+620233+86+119+7

 

生産

 生産は、持ち直しの兆しがみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、4+0.7%5月▲2.2%6+2.4%7月(予測)▲0.2%8月(予測)▲1.1%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、3+5.8%4月▲6.3%5+3.6%6+3.0%

・電子部品・デバイスは前月比で、3月▲10.6%4+6.9%50.0%6+6.8%

   ・輸送機械は前月比で、3+4.9%4+3.5%5月▲4.0%6月▲2.8%

 

外需

○ 輸出はこのところ持ち直しの動きがみられる。輸入はおおむね横ばいとなっている。

   ・財の輸出は、供給制約の緩和に伴う自動車生産の回復や、PC出荷台数の下げ止まりにみられる半導体需要の底打ちも

     背景に、各地域向けに増加しており、持ち直しの動きとなっている。

     ただし、輸出先の経済動向には留意が必要である。

    ・サービスは、23年7月、中国以外からの訪日外客数はコロナ禍前の水準に回復した。一方、デジタル関連や保険等の

  サービス分野では、支払(輸入)が受取(輸出)を超過し、赤字幅が拡大する傾向にあり、 サービス分野の競争力強化

  も重要となっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、1か月ぶりに上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、3+1.34+1.35+0.46月▲1.47+0.8

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月ぶりに上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、3+3.34+1.65月▲1.36月▲1.67+1.3

  

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。

    先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意

     する必要がある。

 ・不動産市場の停滞が続き、住宅取引件数、不動産開発投資は減少となった。大手不動産企業は業績が悪化する中、債務再編交渉

    が難航している。住宅需要の喚起や地方銀行等の金融リスク等に対応するため、政府は各種の政策措置を発表した

    なお、IMFの推計では、地方融資平台(都市開発の資金調達のために地方政府が出資した特別目的会社)の債務残高は増加

    傾向となっている。

 ※政策対応 ① 政策金利の引下げ(8/1521

            ・中期貸出ファシリティ(MLF)1年物を0.15pt引下げ(2.50) ・最優遇貸出金利(LPR)1年物を0.10pt引下げ(3.45)

        ② 住宅ローン金利等優遇要件の緩和(7/27

             ・本人名義の保有住宅がなければ、1軒目購入時の住宅ローン金利・頭金比率等の優遇を2軒目以降にも適用。

        ③ 都市部の戸籍取得要件の緩和(8/3

            ・出稼ぎ農民工の家族呼び寄せによる住宅需要の喚起、公営住宅整備の推進等。 

        ④ 地方政府による地方銀行への資本注入(8/20) 

            ・資本注入のための地方特別債の発行額増加(1-7月は2022年通年の2.3倍)。

        ⑤ 地方政府が地方融資平台の支援について検討(8/11報道) 

・消費はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・輸出はこのところ弱含みとなっている。

・固定資産投資はこのところ伸びが低下している。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。なお、足下でマイナス転換。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。

○ 韓国では、持ち直しの兆しがみられる。

○ 台湾では、景気は下げ止まりの兆しがみられる。

○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ タイでは、景気は持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は回復している。 先行きについては、回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等に

     よる下振れリスクに留意する必要がある。

20234-6月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+2.4%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費を中心にアメリカの景気はが回復した背景には、雇用・所得環境の着実な改善がある。

  感染症拡大期後は、労働供給の回復を上回るペースで労働需要が急増し、労働市場は更にひっ迫した。

・レジャー・接客等の業種では、労働者不足が依然として高水準で継続している。このため、レジャー・接客の賃金上昇率

  は、全体を上回って推移している。

・全体の賃金上昇率が物価上昇率を上回っていることに加え、21年半ば以降に約1.1兆ドル(対名目GDP比約4%)の超過

  貯蓄が取り崩されていることも消費の増加に寄与している。

7月の失業率は3.5%となった。

○ 設備投資は緩やかに増加している。

○ 消費は増加しており、自動車販売台数は持ち直している。

○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は緩やかに上昇している。

○ コア物価上昇率はこのところやや低下している。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・234-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.0% (イギリスは+0.8%、ドイツは+0.1%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっており、イギリスは弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスは上昇している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともにはおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.6%7月)、イギリス+7.7%7月)。

○ 輸出は、ユーロ圏・イギリスともにおおむね横ばいとなっている。 

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

2023年

7月

26日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.7.26)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに回復している。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果

もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な

金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しする

リスクとなっている。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に

十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

・中国は、高齢化の進展・従属人口比率の上昇につれて成長が鈍化している。

インドでは、高齢化の進展は緩やかなものにとどまり、成長制約は相対的に小さい可能性がある。

・インドの市場規模・成長性への期待から、日系企業の関心も高まっている。

・中国は貿易収支が黒字となっている。一方インドはサービス収支が黒字であり、サービス輸出に強みがある。

 

日本の実質GDP成長率

○  20231-3月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比+0.7%(年率+2.7%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

・新車販売は、生産面の供給制約緩和に伴って増加している。外食消費は、コロナ禍以前のトレンドまでほぼ回復した。

・夏休みの国内旅行者数も、コロナ禍以前の水準を回復する見込みとなっている。4年ぶりに通常開催される夏祭りや

 イベントも多く、消費の後押しに期待がもてる。

・コロナ禍の活動制限下で積み上がった超過貯蓄は、米国では21年半ば以降に取崩しが進む一方、日本では依然取崩し

 には至らず高止まりとなっている。今後、経済活動の正常化が進む中、貯蓄から消費へも動き出すことが期待される。

実質総消費動向指数は、前期比で、3月▲0.1%4月▲0.1%5月▲0.1%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、2+0.0%3+2.6%4+1.5%5+0.6%6+0.2%。 

  ・5月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.2%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、このところ緩やかに下落している。

 消費者物価は、上昇している。

・今次の物価上昇局面では、リーマンショック直前の原油価格高騰時と比べ、企業の価格転嫁が進展した。

・財の消費者物価は、輸入物価から半年程度遅れて動く傾向があり、今後は上昇率が縮小する見込みとなっている。

 必需品の物価は、激変緩和措置の効果等も相まって上昇率が縮小した。一方、必需品以外は徐々に上昇率が拡大している。

・こうした中、物価上昇に直面する消費者は、食料品について、低価格商品にシフトしたり、購買品目を変えたりしている

 可能性がある。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、2月▲3.8%3+2.0%4月▲12.1%5+11.8%

・持家着工数は前月比で、2+3.6%3月▲8.0%4月▲0.8%5+0.1%

・貸家着工数は前月比で、2+1.0%3+9.8%4月▲12.9%511.3%

・分譲着工数は前月比で、2月▲15.1%3+0.1%4月▲19.8%5+23.7%

   公共投資は、堅調に推移している。

・請負金額は前月比で、2+51.7%(出来高+0.3%)、3月▲22.8%(出来高+2.9%)、4月▲4.1%(出来高+2.8%)、5+3.0%

 6+5.1%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、このところ改善の動きがみられる。

5月のフルタイム労働者の定期給与は、賃上げの反映が進んだことで一段と上昇した。

比較可能な1993年以降で過去最高水準の伸びとなっている。春闘の結果は、今後も賃金に反映される見込みである。                    ・今夏のボーナスは高水準であった昨年から更に上昇した。パート募集時の平均時給も1,000円超となるなど、増加傾向が

継続している。これらにより、雇用・所得環境の改善が続くことが期待される。                                                              ・価格転嫁ができている企業は、賃上げにもより積極的な傾向がある。賃上げの原資の確保という観点からも、適切な価格

転嫁に向けた取組が引き続き重要となる。                                                                                                ・有効求人倍率は、11.3521.3431.3241.3251.31(正社員は1.03)となった。

 ・完全失業率は、12.4%22.6%32.8%42.6%52.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

○ 設備投資は、持ち直している。

  23年度の設備投資は、高い伸びが実現した22年度から、さらに2桁増の計画となっている。大企業のみならず、中小企業でも

     投資マインドに力強さがある。DXやEV化などの前向きな動きもみられる。

   ・ソフトウェア投資は、引き続き高い伸びとなっている。非製造業では、22年度に大幅増となった宿泊・飲食を含め、23年度は

     全ての業種でプラスの計画となっている。一方、米国に比べると、我が国ではソフトウェアを含む知的財産投資のシェアが

     低く、更なる投資拡大が課題である。

○ 業況判断は、持ち直している。

・ 大企業の製造業の業況判断では7期ぶりに前期から上昇した。

・ 製造業では、供給制約が緩和した自動車産業のほか、飲食需要の増加や価格転嫁の進展も背景に食料品産業が上昇した。

    非製造業では、新型コロナの5類移行も背景に幅広い業種で前期から上昇した。

・ 街角景気の先行き判断をみると、インバウンドや旅行関係に言及した景気ウォッチャーの景況感は引き続き全体を押し上げ

    ている。値上げに関する言及は全体を押し下げているが、その程度は縮小した。

・ 倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20229+812+720233+16+59+9

  「大企業・非製造業」は、20229+1412+1920233+206+239+20

  「中小企業・製造業」は、20229月▲412月▲220233月▲66月▲59月▲1

  「中小企業・非製造業」は、20229+212+620233+86+119+7

 

生産

 生産は、持ち直しの兆しがみられる。

・製造業の生産は持ち直しの兆しがみられる。供給制約の緩和等を背景に、乗用車や建設機械等が増産基調となるほか、

  市況の悪化による弱さが続いてきた半導体関連業種も横ばいとなった。

・建設機械では遠隔操作システム搭載機の販売が予定され、半導体製造装置は今年度を底に来年度以降売上増が見込まれる

  など、生産用機械工業では先行きにも期待感がみられる。

・インバウンド消費は、コロナ禍前の水準までほぼ回復した。中国等の客数回復は道半ばだが、一人当たり消費額が大きく

  プラスに寄与した。

・鉱工業生産指数は前月比で、3+0.3%4+0.7%5月▲2.2%6月(予測)+5.6%7月(予測)▲0.6%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、2+8.9%3+5.8%4月▲6.3%5+3.6%

・電子部品・デバイスは前月比で、2+7.1%3月▲10.6%4+6.9%50.0%

   ・輸送機械は前月比で、2+13.9%3+4.9%4+3.5%5月▲4.0%

 

外需

○ 輸出は底堅い動きとなっている。輸入はおおむね横ばいとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、5か月ぶりに下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、2+3.53+1.34+1.35+0.46月▲1.4

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、2+1.53+3.34+1.65月▲1.36月▲1.6

  

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は持ち直しの動きがみられる。

   先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、不動産市場の動向等を注視する

    必要がある。

 ・234-6月期の実質GDP成長率は前期比で2.2%(前年比+6.3%)となった。、前年4-5月に上海ロックダウンの影響が

    あった点に留意しなければならない。

・不動産企業の債務問題が長期化する中、住宅市場は供給過剰と需要不足(投機の減少、買い控え、都市化の減速等)が

  顕在化した。販売面積は減少が続き、住宅価格は地方で下落。住宅関連財の小売も低調となっている。

・若年失業率は過去最高水準で推移している。これに加え、過去の一人っ子政策の影響もあり、若年層の男女比に偏りが

  みられる。婚姻率・出生率の低下を通じて今後の中国の人口構造にも影響があるとみられる。

・消費はこのところ持ち直している。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出はこのところ弱含みとなっている。

・固定資産投資はこのところ伸びが低下している。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。

○ 韓国では、持ち直しの兆しがみられる。

○ 台湾では、景気は下げ止まりの兆しがみられる。

○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ タイでは、景気はこのところ持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかに回復している。 先行きについては、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、金融

     引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。

20231-3月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+2.0%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

6月の失業率は3.6%となった。

○ 設備投資は緩やかに持ち直している。

○ 消費は緩やかに増加しており、自動車販売台数は持ち直している。

○ 住宅着工数はおおむね横ばい・住宅価格は緩やかに上昇している。

○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・231-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で0.0% (イギリスは+0.6%、ドイツは▲1.3%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっており、イギリスは弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともにはおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.8%6月)、イギリス+7.9%6月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

2023年

6月

22日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.6.22)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに回復している。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果

もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な

金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しする

リスクとなっている。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に

十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

・ユーロ圏では、これまでの物価高の影響もあり消費が弱含むなど、景気は足踏み状態が続いている。

・欧米の消費者物価は、エネルギー価格下落を受け上昇率に一服感がみられるが、国内の財・サービス価格への波及は、ユーロ圏を

 中心に引き続き進行している。

・中国では、世界的な物価上昇や貿易の鈍化等を受け輸出が伸び悩むなど、感染収束後の回復ペースは緩やかとなっている。

・こうした中、直近、アメリカでは政策金利を据え置き、ユーロ圏は利上げ、中国は利下げの動きとなっている。

 今後とも世界的な金融引締めに伴う影響、物価上昇等による下振れリスクに留意。また、金融資本市場の変動の影響を注視する

 必要がある。

 

 

日本の実質GDP成長率

○  20231-3月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比+0.7%(年率+2.7%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

・所得面では、雇用情勢の改善に伴い実質総雇用者所得が下げ止まりとなった。

・消費の内訳をみると、財では、生産の供給制約が緩和されたこともあり、付加価値の高い普通乗用車を中心に新車販売が増加

 傾向となっている。

・サービスでは、コロナ禍で外出を控えがちだった世帯(小規模自治体居住)でも外食消費が増加した。宿泊者数(延べ人数)

 は、政策効果もあり、日本人は高水準で推移した。外国人は堅調に増加しているが、更なる回復が期待される。

実質総消費動向指数は、前期比で、2+0.5%3月▲0.3%4+0.1%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、1+0.3%2+0.0%3+2.6%4+1.5%5+0.6%。 

  ・4月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.2%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、このところ緩やかに下落している。

消費者物価は、上昇している。

・国際商品市況では、原油・LNG・石炭の価格がロシア政府によるウクライナ侵略前の水準を下回って推移している。

・こうした中、我が国の交易条件は、輸入物価下落に伴って、約2年ぶりに前年比プラスに転換した。

・国内企業物価は、5月は再生可能エネルギー発電促進賦課金の引下げもあり、前年比が5か月連続で低下している。

・消費者物価の前年比を寄与分解すると、財に続いてサービスの寄与が徐々に拡大している。

一方、エネルギーは、過去の原油価格下落等の影響が徐々に反映される中、5月は再エネ賦課金の引下げが加わり、マイナス

寄与が拡大した。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、1+5.5%2月▲3.8%3+2.0%4月▲12.1%

・持家着工数は前月比で、1月▲0.8%2+3.6%3月▲8.0%4月▲0.8%

・貸家着工数は前月比で、1+0.1%2+1.0%3+9.8%4月▲12.9%

・分譲着工数は前月比で、1+20.0%2月▲15.1%3+0.1%4月▲19.8%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、1+0.9%(出来高+2.1%)、2+51.7%(出来高+0.3%)、3月▲22.8%(出来高+2.9%)、4月▲4.1%5+3.0%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、このところ改善の動きがみられる。

・就業率はコロナ禍以前を上回る水準で推移し、失業率も4月は低下。雇用者数は女性の正規雇用を中心に増加している。

・一人当たり賃金は緩やかに増加した。春闘の賃上げが一部反映され始め、4月のフルタイム労働者の定期給与は最近のトレンド

 を一段上回る伸びとなっている。今後、賃上げの反映が進むにつれて増加が続くことが期待される。

・中小企業でも、民間調査によれば、今年度に給与総額を3%以上引き上げる企業の割合が5割を上回るなど、賃上げが進展した。

 一方で、賃上げの理由として、物価上昇を挙げる企業は5割超となっているが、一定の価格転嫁の実現を挙げる企業は1割に

 とどまる。

 持続的な賃金上昇に向けては、コストの適切な転嫁を通じたマークアップの確保が重要である

  ・有効求人倍率は、121.35202311.3521.3431.3241.32(正社員は1.03)となった。

・完全失業率は、112.5%122.5%202312.4%22.6%32.8%42.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

  ・企業収益は、経常利益が231-3月期に前年比で増益、水準も1-3月期として過去最高となるなど、総じてみれば緩やかに

      改善している。

    ・業種別の動向をみると、製造業は素材関係等の市況悪化により前年比マイナスだが、非製造業は経済社会活動の正常化に伴い、

      陸運、宿泊・飲食、小売など幅広い業種でプラスとなり、全体の回復を牽引している。

○ 設備投資は、持ち直している。

  ・企業の設備投資は、製造業・非製造業ともに前期比で増加するなど、堅調に推移している。ソフトウェア投資もDXの進展等も

     背景に高い水準が継続している。

   ・2023年度の投資計画も前年度比で高い伸びが示されており、引き続き、企業の積極的な投資意欲がうかがえる。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

・ 倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20226+99+812+720233+16+3

  「大企業・非製造業」は、20226+139+1412+1920233+206+15

  「中小企業・製造業」は、20226月▲49月▲412月▲220233月▲66月▲4

  「中小企業・非製造業」は、20226月、▲19+212+620233+86+3

 

生産

 生産は、持ち直しの兆しがみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、2+3.7%3+0.3%4+0.7%5月(予測)+1.9%6月(予測)+1.2%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、1月▲15.3%2+8.9%3+5.8%4月▲6.3%

・電子部品・デバイスは前月比で、1月▲4.2%2+7.1%3月▲10.6%4+6.9%

   ・輸送機械は前月比で、1月▲9.9%2+13.9%3+4.9%4+3.5%

 

外需

○ 輸出は底堅い動きとなっている。輸入はおおむね横ばいとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

・貿易収支は、原油価格下落等に伴う鉱物性燃料の輸入減少と、供給制約緩和に伴う自動車の輸出増加を背景に、赤字幅が縮小

  傾向にある。

・こうした中、輸出数量は、ICや半導体製造装置では弱めの動きだが、自動車の輸出増加によって全体としては底堅い動き。

  同様に、製造業の生産も、輸送機械の回復によって全体として持ち直しの兆しがみられる。

・半導体部門は、足下では市況の悪化が続くものの、中長期的な需要拡大も見据え、先端分野の工場新設など各地で前向きな

  投資の動きがみられる。今後、これらの進捗に伴う関連資材・設備の生産増加にも期待がもてる。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、1月▲0.22+3.53+1.34+1.35+0.4

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、6か月ぶりに下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、1+2.52+1.53+3.34+1.65月▲1.3

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は持ち直しの動きがみられる。

    先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、不動産市場の動向等を注視する必要が

     ある。

 ・231-3月期の実質GDP成長率は前期比で2.2%(前年比+4.5%)となった。

・消費はこのところ持ち直している。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出は持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・固定資産投資はこのところ伸びが低下している。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。

○ 韓国では、景気は下げ止まりの兆しがみられる。

○ 台湾では、景気は減速している。

○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ タイでは、景気はこのところ持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかに回復している。 

     先行きについては、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要

     がある。

20231-3月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+1.3%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

5月の失業率は3.7%となった。

○ 設備投資は緩やかに持ち直している。

○ 消費は緩やかに増加しており、自動車販売台数は持ち直している。

○ 住宅着工・住宅価格ともにおおむね横ばいとなっている。

○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・231-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.4% (イギリスは+0.5%、ドイツは▲1.3%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっており、イギリスは弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏はおおむね横ばい、イギリスは上昇している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.8%5月)、イギリス+7.9%4月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

2023年

5月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.5.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに回復している。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果

もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な

金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しする

リスクとなっている。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に

十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

・アメリカでは、雇用・所得環境の着実な改善がみられる中で、20231-3月期は消費の増加等がけん引しプラス成長が続くなど、

 景気は緩やかに回復している。

・中国では、感染収束に伴う経済活動の回復の下で1-3月期はプラス成長となり、4月は一服感がみられるものの、消費を中心に

 景気は持ち直しの動きがみられる。

・欧米の失業率はおおむね横ばい。労働市場のひっ迫が続く中、金融引締めが継続している。世界的な金融引締めに伴う影響等に

 よる下振れリスクに引き続き留意が必要である。また、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。

 

 

日本の実質GDP成長率

○  20231-3月期の実質GDP成長率は、前期比+0.4%(年率+1.6%)となった。供給制約の緩和を通じた自動車販売の増加や

  ウィズコロナの下でのサービス消費の持ち直しなど、内需が牽引した。外需は、アジア向けの輸出減少等によりマイナスに寄与

  した。

○ 名目GDPは、輸入物価上昇の転嫁が進むことで、コロナ禍以前の過去最高水準(197-9月期)を3年半ぶりに更新するなど、

  堅調に増加した。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

・新車販売が増加するほか、持ち直しが遅れていた高齢者の外食消費も増加した。

・家計動向をみている景気ウォッチャーの評価は、現状・先行きともに4月にさらに上昇した。

5月も、新型コロナの感染症法上の位置づけ変更等も背景として、GWの交通機関の利用実績は新幹線や国内線航空でコロナ禍

前の水準まで回復し、4年ぶりに各地でイベントが通常開催されるなど、コロナ禍から平時への移行が進展した。

実質総消費動向指数は、前期比で、10.0%2+0.1%3+0.1

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、12+1.3%20231+0.3%2+0.0%3+2.6%4+1.5%。 

  ・3月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.5%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、このところ横ばいとなっている。

消費者物価は、上昇している。

・国内で生産された付加価値全体の物価動向を示すGDPデフレーターは、原油価格の下落等に伴い輸入デフレーターの押下げ

 寄与が縮小したことで、231-3月期は前期からプラス幅を拡大させている。

・輸入物価は、石油やLNG等の価格下落に伴い、4月の前年比はマイナスに転じた(22か月ぶり)。

・消費者物価は、4月の前年比は3.4%。食料品の値上げなど財を中心とした上昇が続く中、サービスもこれに遅れて徐々にプラス

 寄与を拡大している。一方、エネルギーは、昨年の原油価格下落等が時間差を伴って反映されるのに加え、電気・ガス価格激変

 緩和対策の効果もあり、マイナスに寄与した。

・消費者の物価予想は、電気・ガス代といった生活に身近な価格が抑えられたことも背景に、「5%以上」と大幅な上昇を予想する

 割合が足下では減少の動きとなっている。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、12+0.5%20231+5.5%2月▲3.8%3+2.0%

・持家着工数は前月比で、12+0.7%20231月▲0.8%2+3.6%3月▲8.0%

・貸家着工数は前月比で、12月▲1.0%20231+0.1%2+1.0%3+9.8%

・分譲着工数は前月比で、12+1.9%20231+20.0%2月▲15.1%3+0.1%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、12+0.9%(出来高+0.2%)、20231+0.9%(出来高+2.1%)、2+51.7%(出来高+0.5%)、3月▲22.8%

(出来高▲1.2%)、4月▲4.1%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

・就業率は全体としては横ばいである中、足下では女性で高まりがみられる。

失業率は足下で上昇したが、失業期間別にみると、231-3月期は長期的な失業が前年比で減少する一方、3か月未満の短期的

な失業が増加した。経済社会活動の正常化に伴い、新たに労働市場に参入する者が職探しを始める中で、一時的に失業が増加

している面もみられる。

・一人当たり賃金は、緩やかに増加した。こうした中、転職市場では処遇改善を目的とした転職者が増加しており、転職によって

 賃金が1割以上増加した者の割合は上昇傾向となっている(7四半期連続)。

・構造的な賃上げの実現に向けては、リスキリングの促進、失業者のマッチング強化や職業訓練等の支援充実など、処遇改善を

 伴う労働移動の円滑化の取り組みが重要である

・有効求人倍率は、111.35121.35202311.3521.341.32(正社員は1.02)となった。

・完全失業率は、102.6%112.5%122.5%202312.4%22.6%32.8%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善しているが、そのテンポは緩やかになっている。

  ・上場企業の決算をみると、231-3月期は、売上高が前年比で増加となる中、本業の動向を示す営業利益は増益が継続している。

   経常利益の前年比は減益したものの、2022年度計では過去最高となった。

・業種別の営業利益をみると、素材関係の製造業は市況の悪化を受け前年比マイナスとなる一方、ウィズコロナの下での人流回復

 や供給制約の緩和等を背景に、陸運・空運や輸送用機器で好調が続く。

・企業の景況感は、サービス業を中心に改善が継続。原材料コスト増等を受けて22年以降は低下が続いていた製造業も、輸入物価

   の下落や生産の増加等を背景に、このところ改善傾向にある。

○ 設備投資は、持ち直している。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

・ 倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20226+99+812+720233+16+3

  「大企業・非製造業」は、20226+139+1412+1920233+206+15

  「中小企業・製造業」は、20226月▲49月▲412月▲220233月▲66月▲4

  「中小企業・非製造業」は、20226月、▲19+212+620233+86+3

 

生産

 生産は、持ち直しの兆しがみられる。

・製造業の生産は、持ち直しの兆しがある。世界的な半導体需要の軟化の下、メモリ等の電子部品・デバイスは在庫調整により減少

 傾向となっている。一方、乗用車等の輸送機械は、供給制約が緩和する中で増加傾向が強まっている。

・鉱工業生産指数は前月比で、1月▲5.3%2+4.6%3+1.1%4月(予測)+4.1%5月(予測)▲2.0%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、12+0.8%20231月▲15.3%2+8.9%3+5.8%

・電子部品・デバイスは前月比で、12月▲0.7%20231月▲4.2%2+7.1%3月▲10.6%

   ・輸送機械は前月比で、12+0.9%20231月▲9.9%2+13.9%3+4.9%

 

外需

○ 輸出は底堅い動きとなっている。輸入はおおむね横ばいとなっている。

・財輸出は、昨年秋以降、半導体需要の軟化や中国の感染拡大等を背景に弱含みが続いてきたが、このところは生産の増加を受けた

 自動車輸出の増加等によって底堅い動きとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、12月▲0.71月▲0.22+3.53+1.34+1.3

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、5か月連続で上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、12+0.51+2.52+1.53+3.34+1.6

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は持ち直しの動きがみられる。

 先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、不動産市場の動向等を注視する必要がある。

 ・231-3月期の実質GDP成長率は前期比で2.2%(前年比+4.5%)となった。

・消費はこのところ持ち直している。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出は持ち直しの動きがみられる。

・固定資産投資はおおむね横ばいとなっている。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率は低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。

○ 韓国では、景気は下げ止まりの兆しがみられる。

○ 台湾では、景気は減速している。

○ インドでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気はこのところ持ち直している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかに回復している。 先行きについては、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに

  伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。

20231-3月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+1.1%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

4月の失業率は3.4%となった。

○ 設備投資は緩やかに持ち直している。

○ 消費は緩やかに増加しており、自動車販売台数は持ち直している。

○ 住宅着工はおおむね横ばいとなっており、住宅価格は下落している。

○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加している。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は持ち直しに足踏みがみられる。

   ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・231-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.3% (イギリスは+0.5%、ドイツは+0.2%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスは弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともにおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+7.3%4月)、イギリス+7.2%3月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

 

2023年

4月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.4.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、

景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め

等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクと

なっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動

等の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は一部の地域において弱さがみられるものの、緩やかな持ち直しが続いている。

2023年の成長見通しは、世界全体ではわずかに下方修正となったものの、欧米では上方修正された。

・中国では感染症の収束、政策効果の発現を受け、生産、消費、輸出共にプラスになるなど、景気は持ち直しの動きがみられる。

・消費者物価の上昇に一服感がみられるが、上昇率の水準は依然高く、物価安定に向けた金融引締めが継続される見込みとなっている。

・今後とも世界的な金融引締めに伴う影響、物価上昇等による下振れリスクに留意が必要。また、金融資本市場の変動の影響を引き続き

 注視する必要がある。

 

 

日本の実質GDP成長率

 202210-12月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比0.0%(年率+0.1%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・財が弱めの動きとなる中で、サービスの持ち直しが消費全体の回復を牽引した。足下では居酒屋での飲食や海外旅行などコロナ禍で

 遅れていた部門でも徐々に回復の動きがみられる。

・消費者マインドは、22年は物価上昇の下で低下傾向だったが、コロナ禍からの経済社会活動の正常化や賃上げの進展も背景に、

 このところ持ち直しの動きがみられる。

・こうした中、民間調査によると、GWの旅行者数はコロナ禍前を上回り過去最高となる見込み。引き続き消費の回復が経済を牽引する

 ことが期待される。

実質総消費動向指数は、前期比で、12月▲0.1%1+0.1%2+0.2%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、11月▲1.3%12+1.3%20231+0.3%2+0.0%3+2.6%。 

  ・2月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.3%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、このところ横ばいとなっている。

 消費者物価は、上昇している。

・国内企業物価は、資源価格の下落等を受けて電力・都市ガスや鉄鋼等の上昇率が縮小する中、3月は前年比上昇率が3か月連続で

 低下となった。

・消費者物価は、2月以降の電気・ガス価格激変緩和対策事業により押し下げられる中、3月の前年比上昇率はコアで3.1%

 物価上昇の大半は財によっている。サービスの上昇率は徐々に高まっている。

・企業の価格転嫁の進捗を疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)でみると、1年前と比べて幅広い業種で改善している

 が、製造業部門(財関連)と比べ、サービス関連では相対的に価格転嫁に遅れ。。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、11月▲2.9%12+0.5%20231+5.5%2月▲3.8%

・持家着工数は前月比で、11月▲1.5%12+0.7%20231月▲0.8%2月▲+3.6%

・貸家着工数は前月比で、11月▲2.5%12月▲1.0%20231+0.1%2+1.0%

・分譲着工数は前月比で、11月▲2.2%12+1.9%20231+20.0%2月▲15.1%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、11月▲6.9%(出来高▲0.5%)、12+0.9%(出来高+0.2%)、20231+0.9%(出来高+2.1%)、

 2+51.7%(出来高+0.5%)、3月▲22.8%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

・失業率は2月に2.6%と5か月ぶりに上昇したが、増加した失業を理由別にみると、より良い条件を求める等の自己都合離職や、

 新たに求職活動を開始する者が増加しており、労働移動の動きもみられる。

・企業の人手不足感は全産業で高まっており、中でも、経済社会活動の正常化に伴い業況の改善が進む宿泊・飲食サービス業で

 顕著となっている。こうした中、パートタイム労働者の賃金は一般労働者を上回るペースで上昇した。

・春闘の賃上げ率を企業規模別にみると、第4回集計時点において、中小企業を含めすべての規模で3%を上回る大幅な賃上げが

 見込まれている。

・有効求人倍率は、101.35111.35121.35202311.3521.34(正社員は1.02)となった。

・完全失業率は、92.6%102.6%112.5%122.5%202312.4%22.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善しているが、そのテンポは緩やかになっている。

  ・企業の業況判断は、引き続き「良い」が「悪い」を上回り、持ち直しの動きが継続している。ただし、前期からの変化で

   みると、製造業では海外需要の鈍化等を背景に電気機械や素材系業種で悪化する一方、非製造業ではコロナ禍からの経済

   社会活動の正常化に伴って幅広い業種で改善するなど、業種により状況は異なる。

○ 設備投資は、持ち直している。

・設備投資は、機械投資は足下で持ち直しの動きに足踏みがみられるものの高水準で推移しており、ソフトウェア投資は緩やか

 な増加が続くなど、全体として持ち直しの動きとなった。

・こうした中、日銀短観によると、22年度の設備投資は前年度比で二桁増と高い伸びとなる見込みとなっている。

 23年度も当初計画としては22年度を上回るなど、企業の投資マインドは引き続き力強さがみられる。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

・ 倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20226+99+812+720233+16+3

  「大企業・非製造業」は、20226+139+1412+1920233+206+15

  「中小企業・製造業」は、20226月▲49月▲412月▲220233月▲66月▲4

  「中小企業・非製造業」は、20226月、▲19+212+620233+86+3

 

生産

 生産は、このところ弱含んでいる。

・鉱工業生産指数は前月比で、12+0.3%1月▲5.3%2+4.6%3月(予測)+2.3%4月(予測)+4.4%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、11月▲6.0%12+0.8%20231月▲15.3%2+8.9%

・電子部品・デバイスは前月比で、11+0.5%12月▲0.7%20231月▲4.2%2+7.1%

   ・輸送機械は前月比で、11月▲0.5%12+0.9%20231月▲9.9%2+13.9%

 

外需

○ 輸出は弱含んでいる。輸入はおおむね横ばいとなっている。

・我が国の輸出は、中国の経済活動回復等を背景にアジア向けが減少傾向から横ばいに転じたものの、全体としては弱含み。

 こうした中、製造業の生産も弱含みとなっている。一方で、2月は自動車等の輸送機械を中心に増加しており、部材供給不足

 が緩和される中、今後の回復に期待感がもてる。

・サービス輸出であるインバウンドは堅調に増加。3月の訪日外客数は19年比で66%(中国を除くと84%)まで回復した。

 旅行消費額でみると1-3月期に1.0兆円と、19年比で88%の水準。1人当たり単価は円安もあって19年比で4割超上昇した。

 引き続き、インバウンド需要の拡大が期待される。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、11月▲1.812月▲0.71月▲0.22+3.53+1.3

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月連続で上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、11月▲1.312+0.51+2.521.533.3

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気はこのところ持ち直しの動きがみられる。

 先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、不動産市場の動向等を注視する必要がある。

 ・231-3月期の実質GDP成長率は前期比で2.2%(前年比+4.5%)となった。

・消費はこのところ持ち直している。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出は持ち直しの動きがみられる。

・固定資産投資はおおむね横ばいとなっている。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率はこのところ低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きがみられる。

  ※各種の政策措置

   自動車購入

・地方都市の購入補助金(23年1月)

・環境基準の厳格化(23年7月)

輸出促進策(23年4月)

ASEAN等の市場の開拓、 先進国向け輸出の安定化

金融政策

・預金準備率の引下げ(23年3月)

 ○ 不動産支援策(2211月~)

・ディベロッパー向け融資安定化、 住宅引き渡し支援、住宅ローン 支援等。

○ 韓国・台湾では、景気は弱い動きとなっている。

○ インドでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は持ち直しに足踏みがみられる。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。

   ただし、金融引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。

202210-12月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+2.6%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

3月の失業率は3.5%となった。

○ 設備投資は緩やかに持ち直している。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工は減少し、住宅価格は下落している。

○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は持ち直しに足踏みがみられる。

   ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・2210-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.2% (イギリスは+0.5%、ドイツは▲1.7%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスは弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は上昇、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+7.5%3月)、イギリス+7.2%3月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

 

2023年

3月

22日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.3.22)

基調判断

〈現状〉

・景気は、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、

景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め

等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクと

なっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動

等の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は一部の地域において弱さがみられるものの、緩やかな持ち直しがみられる。

・世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、緩やかな持ち直しが続いている。

・中国では輸出が減少する一方、感染が収束して生産・消費に持ち直しの動きがみられる。

・ユーロ圏では設備投資は持ち直してきたがこのところ一服感がみられ、消費は持ち直しに足踏みがみられる。

・財貿易量は低下傾向となっている。欧米の景況感は製造業で引き続き悪化となったものの、非製造業は改善がみられる。

・欧米の失業率はおおむね横ばい。消費者物価の上昇に一服感がみられるが、上昇率の水準は依然高く、物価安定に向けた

 金融引締めが継続している。世界的な金融引締めに伴う影響、物価上昇等による下振れリスクに引き続き留意が必要である。

 また、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。

 

日本の実質GDP成長率

 202210-12月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比0.0%(年率+0.1%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・個人消費は、雇用者所得が実質ではマイナスとなる中でも、緩やかに持ち直した。22年後半以降、財は弱めの動きとなる一方、

 サービスの持ち直しが回復を牽引した。

・景気ウォッチャー調査(街角景気)の先行き判断は2月も引き続き上昇となった。物価上昇への懸念は下押し要因となる一方、

 新型コロナの5類移行やマスク着用ルールの緩和が先行き期待の押上げに寄与した。

・訪日外客は堅調に増加し、2月は19年比で57%(中国を除くと77%)の水準まで回復した。引き続き、インバウンド需要の拡大

 に期待できる。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、9+0.5%10月▲0.1%11月▲0.4%12月▲0.9%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、10月▲0.9%11月▲1.3%12+1.7%20231+0.7%2+0.1%。 

  ・1月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.4%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、このところ上昇テンポが鈍化している。

 消費者物価は、上昇している。

・国際商品市況は、引き続き、原油・LNG・石炭の価格がロシアによるウクライナ侵略前の水準を下回って推移している。

・国内企業物価は、石油・石炭製品の価格下落に加え、電気・ガス価格激変緩和対策事業の効果により、前年比上昇率が2か月

 連続で低下するなど、上昇テンポが鈍化している。

・消費者物価は、食料等の身の回り品で今後も上昇が見込まれるが、2月の東京都区部速報値では、「電気・ガス価格激変緩和

 対策事業」の効果が前年比上昇率を1.0%pt引下げた。これと同様に、2月の全国でも前年比上昇率は低下する見込みとなっている。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、10+0.9%11月▲2.9%12+0.5%20231+5.5%

・持家着工数は前月比で、10月▲4.4%11月▲1.5%12+0.7%20231月▲0.8%

・貸家着工数は前月比で、10+1.7%11月▲2.5%12月▲1.0%20231+0.1%

・分譲着工数は前月比で、10+2.5%11月▲2.2%12+1.9%20231+20.0%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、10月▲3.5%(出来高▲1.0%)、11月▲6.9%(出来高▲0.5%)、12+0.9%(出来高+0.2%)、

 20231+0.9%(出来高+2.1%)、2+51.7%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

・名目賃金の上昇率は、1990年代末以降、物価上昇率と同程度又は下回る傾向となっている。

一方、2022年の名目賃金上昇率は、過去の春闘結果と名目賃金の関係を上回るなど、物価上昇の下で賃上げが進展している。

・こうした中、23年の春闘の賃上げ率は第一回集計で3.8%と、1993年以来30年ぶりの高い伸びとなった。デフレ脱却と民需

 主導の持続的な成長の実現に向け、物価上昇に負けない継続的な賃金上昇が重要となる。

・女性の年収は、正社員と非正社員とで大きな差がある。また、正社員の定期給与は、年齢が上がるほど男女間での差が拡大

 している。女性の正社員化や男女間格差の縮小を進めることは、平均的な賃金水準の押上げにつながる。

・有効求人倍率は、91.34101.35111.35121.35202311.35(正社員は1.03)となった。

・完全失業率は、82.5%92.6%102.6%112.5%122.5%202312.4%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善しているが、そのテンポは緩やかになっている。

  ・2022年の経常利益は、売上増加や円安による押上げ効果もあり過去最高水準。

   四半期ベースで業種別にみると、10-12月期は輸送機械や運輸等で好調が続く一方、食料品や素材関係の製造業では原材料コスト

   増の影響等により前年比で減益となった。

○ 設備投資は、持ち直している。

・企業の設備投資は、22年度の実績は当初計画を上回る見込みとなり、23年度の計画も22年度並みの伸びとなっている。

 好調な収益の下、企業の投資マインドには引き続き力強さがみられる。個社の投資計画では、デジタル化や脱炭素化投資のほか、

 市況悪化の一方で中長期的な需要を見据えた半導体関連の投資もみられる。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

・ 倒産件数は、低い水準ではあるものの、このところ増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20223+146+99+812+720233+6

  「大企業・非製造業」は、20223+96+139+1412+1920233+11

  「中小企業・製造業」は、20223月▲46月▲49月▲412月▲220233月▲5

  「中小企業・非製造業」は、20223月▲66月、▲19+212+620233月▲1

 

生産

 生産は、このところ弱含んでいる。

・製造業の生産は、市況悪化に伴う半導体の在庫調整と、それを受けた海外での半導体製造装置の投資先送り等により、電子部品・

 デバイスや生産用機械でマイナス傾向となるなど、このところ弱含みとなっている。

・コロナ禍で大きく成長した我が国の半導体製造装置の売上高は、中長期的には拡大が見込まれるも、当面は需給の調整局面となり、

 23年度は前年度比マイナスの見込みとなっている。

・こうした中、企業の景況感は製造業で低下傾向となっている一方、サービス業では上昇傾向が続いている。

・鉱工業生産指数は前月比で、110.2%12+0.3%1月▲5.3%2月(予測)+8.0%3月(予測)+0.7%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、10月▲5.4%11月▲6.0%12+0.8%20231月▲15.3%

・電子部品・デバイスは前月比で、10月▲4.1%11+0.5%12月▲0.7%20231月▲4.2%

   ・輸送機械は前月比で、10+4.5%11月▲0.5%12+0.9%20231月▲9.9%

 

外需

○ 輸出・輸入ともに、弱含んでいる。

・我が国の輸出は、半導体市況の軟化等を背景として、アジア向けを中心に全体として弱含みとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、10+1.511月▲1.812月▲0.71月▲0.22+3.5

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。

・物価上昇への懸念が引き続き下押し要因となる一方、インバウンド拡大に加え、新型コロナ5類移行が先行き期待の押上げに

 寄与した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、10月▲2.811月▲1.312+0.51+2.522.5

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は一部に弱さが残るものの、このところ持ち直しの動きがみられる。

   先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、、不動産市場の動向等を注視する必要

   がある。

 ・2210-12月期の実質GDP成長率は前期比で0.0%(前年比+2.9%)となった。

・消費は持ち直しの動きがみられる。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出は減少している。

・固定資産投資はおおむね横ばいとなっている。

・都市部調査失業率はこのところおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率はこのところ低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きがみられる。

○ 韓国・台湾では、景気はこのところ弱い動きとなっている。

○ インドでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は持ち直しに足踏みがみられる。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。 

   先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意

   する必要がある。

202210-12月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+2.7%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

2月の失業率は3.6%となった。

○ 設備投資は緩やかに持ち直している。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工は減少し、住宅価格は下落している。

○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は持ち直しに足踏みがみられる。

   ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・2210-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.1% (イギリスは+0.1%、ドイツは▲1.7%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は上昇、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+7.4%2月)、イギリス+6.7%1月)。

○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

2023年

2月

21日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.2.21)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、

景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め

等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクと

なっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動

等の影響や中国における感染拡大の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は一部の地域において弱さがみられるものの、緩やかな持ち直しがみられる。

202210-12月期の実質GDP成長率は、ドイツはマイナス、中国と英国は0%となった一方、アメリカはプラス成長

 が継続した。

2022年末にかけて、世界的な半導体需要の鈍化や中国の景気減速があり、韓国、台湾、タイでは生産・輸出が減少し、

 景気に弱さがみられる。

・欧州では暖冬やエネルギー消費抑制策もあり、天然ガスの在庫確保が進展した。こうした背景もあり、エネルギー価格

 は下落し、欧米の消費者物価の上昇に一服感がみられる。ただし、上昇率の水準は依然高く、物価安定に向けた金融

 引締めが継続している。今後も世界的な金融引締めに伴う影響、物価上昇等による下振れリスクに留意が必要である。

 

日本の実質GDP成長率

 202210-12月期の実質GDP成長率は、前期比+0.2%(年率+0.6%)となった。

・ウィズコロナの下で、旅行・外食等のサービス消費を中心に個人消費が増加するとともに、水際対策の緩和に伴う

 インバウンドの増加もあって外需がプラスに寄与した。

・コロナ禍前(1910-12月期)対比での先進各国の実質GDPの回復状況をみると、我が国は他の先進国と比べて遜色

 ない水準となっている。

・実質GNI(国民総所得)は、輸入物価下落による交易条件の改善や海外からの所得受取増により、実質GDP(国内

 総生産)の伸びを上回る水準となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・財消費が底堅く推移する中、外食・旅行等のサービス消費の回復が継続している。

・宿泊者数(延べ人数)は、全国旅行支援の効果やインバウンド再開により、12月にはコロナ禍前の水準をほぼ回復

 した。

 新車販売は、供給制約が徐々に緩和される中で、振れを伴いつつ、このところ持ち直してきている。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、80.0%9+0.5%10月▲0.1%11月▲0.8%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、9月▲1.7%10月▲0.9%11月▲1.3%12+1.7%20231+0.7%。 

12月の実質総雇用者所得は、前期比で0.0%となった。

 

物価

  ○ 国内企業物価は、このところ上昇テンポが鈍化している。

   消費者物価は、上昇している。 

 ・国内で生産された付加価値全体の物価動向を示すGDPデフレーター上昇率は、昨年末にかけての原油価格下落等に

  伴い輸入デフレーターの押下げ寄与が低下する一方、価格転嫁の進展により消費や投資等の内需デフレーターの

  押上げ寄与が拡大した結果、202210-12月期にプラス転換した。

・国際商品市況は、欧州の暖冬等を背景に、原油・LNG・石炭の価格がロシアによるウクライナ侵略前の水準まで

 低下している。

23年1月の国内企業物価は前月比で横ばいとなっている。電力・都市ガスのプラス寄与が縮小するとともに、石油・

 石炭製品の価格が低下してマイナスに寄与した。

・消費者物価は、財に加えて、一般サービスにおいても上昇するなど、物価上昇に広がりがみられる。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、9月▲5.0%10+0.9%11月▲2.9%12+0.5%

・持家着工数は前月比で、9+1.9%10月▲4.4%11月▲1.5%12+0.7%

・貸家着工数は前月比で、9月▲1.1%10+1.7%11月▲2.5%12月▲1.0%

・分譲着工数は前月比で、9月▲13.7%10+2.5%11月▲2.2%12+1.9%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、8+1.4%(出来高+1.1%)、9+3.2%(出来高▲0.7%)、10月▲3.5%(出来高▲1.0%)、

 11月▲6.9%(出来高▲0.5%)、12+0.9%(出来高+0.2%)、20231+0.9%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

・一人当たり賃金は、2022年は前年比で2.1%と31年ぶりの高い伸びとなった。月次でみると、12月はボーナスの増加を

 受けて大幅なプラスとなった。また、22年の冬のボーナスは31年ぶりの伸びとなり、事業所規模別にみても、中小企業

 を含めて全般的に高い伸びとなった。

・大企業の今春の賃上げについて、各社の個別動向をみると、物価上昇や人手不足の状況下で積極的な賃上げの動きが

 みられる。また、中小企業は過半が22年度に賃上げを実施したが、その理由をみると、物価上昇を理由にする企業割合

 が増加した。物価上昇を意識した賃上げの機運に高まりがみられる。

・物価上昇を超える賃上げの実現に向けては、原材料やエネルギーコストのみならず、賃上げ原資も含めた適切な価格転嫁

 が重要である。

・有効求人倍率は、81.3291.34101.35111.35121.35(正社員は1.03)となった。

・完全失業率は、72.6%82.5%92.6%102.6%112.5%122.5%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

202210-12月期の上場企業の決算をみると、経常利益は、為替変動による評価損で営業外収支が縮小して 前年比

 マイナスとなるも、引き続き高い水準で推移している。本業の動向を示す売上高と営業利益は、ウィズコロナの下での

 人流回復や供給制約の緩和などを背景に堅調に増加している。

○ 設備投資は、持ち直している。

・企業の設備投資は、名目ベースでは過去最高となるなど持ち直し基調が継続している。ただし、資材価格上昇の影響に

 より、実質ベースでは回復が緩やかとなっている。

 投資の内訳をみると、機械投資は足下で持ち直しの動きに足踏みがみられるが、ソフトウェア投資はデジタル化の進展等

 を背景に堅調に増加した。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

・ 倒産件数は、低い水準ではあるものの、このところ増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20223+146+99+812+720233+6

  「大企業・非製造業」は、20223+96+139+1412+1920233+11

  「中小企業・製造業」は、20223月▲46月▲49月▲412月▲220233月▲5

  「中小企業・非製造業」は、20223月▲66月、▲19+212+620233月▲1

 

生産

 生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、10月▲3.2%110.2%12+0.3%1月(予測)0.0%2月(予測)+4.1%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、9月▲1.8%10月▲5.4%11月▲6.0%12+0.8%

・電子部品・デバイスは前月比で、9+0.4%10月▲4.1%11+0.5%12月▲0.7%

   ・輸送機械は前月比で、9月▲10.3%10+4.5%11月▲0.5%12+0.9%

 

外需

○ 輸出は、このところ弱含んでいる。

・我が国の輸出は、半導体市況の軟化や中国の感染拡大を背景にアジア向けで減少し、全体として弱含みとなって

 いる。こうした中、製造業の生産も持ち直しの動きに足踏みがみられる。

2022年の経常収支は、秋ごろまでの資源価格上昇や円安などを受け、貿易収支は過去最大の赤字幅となっている。

 一方、所得収支は過去最大の黒字幅となった。貿易収支を月次の季節調整値でみると、昨年秋以降は原油価格の下落

 等を背景に鉱物性燃料の赤字幅が緩やかに縮小し、1月は前月比で横ばいとなっている。

・訪日外客数は堅調に増加した。国別に19年比での回復状況をみると、23年1月は多くの国で7割程度かそれ以上の

 水準まで回復している。

○ 輸入は、このところ弱含んでいる。

○  貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月連続で下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、9+2.910+1.511月▲1.812月▲0.71月▲0.2

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。

・物価上昇への懸念が引き続き下押し要因となる一方、インバウンド拡大に加え、新型コロナ5類移行が先行き期待の

  押上げに寄与した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、9月▲0.210月▲2.811月▲1.312+0.51+2.5

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、このところ弱さがみられる。

   先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、感染拡大の影響の長期化による下振れリスクに留意

    する必要がある。

 ・2210-12月期の実質GDP成長率は前期比で0.0%(前年比+2.9%)となった。

・消費はこのところ弱含みとなっている。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・輸出はこのところ減少している。

・固定資産投資はこのところ弱含みとなっている。

・都市部調査失業率はこのところおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率はこのところおおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きがみられる。

○ 韓国・台湾では、景気はこのところ弱い動きとなっている。

○ インドでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は持ち直しに足踏みがみられる。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融

    引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。

202210-12月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+2.9%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

1月の失業率は3.4%となった。

○ 生産はこのところ弱い動きとなっている。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工は減少し、住宅価格は下落している。

○ コア物価上昇率はこのところやや低下した。

○ 財輸出はこのところ弱い動きとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は緩やかに持ち直している。

   ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・2210-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.4% (イギリスは+0.1%、ドイツは▲1.0%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は上昇、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+7.0%1月)、イギリス+6.7%1月)。

○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ横ばいとなっている。 

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

2023年

1月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.1.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、

景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め

等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクと

なっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の

影響や中国における感染拡大の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○  2023年の世界経済は、1月公表の世界銀行の見通しでは先進国を中心に減速が見込まれている。今後も世界的な金融引締めに伴う

  影響、中国における感染拡大、物価上昇等による下振れリスクの高まりに留意する必要がある。

・中国では感染再拡大の影響により消費の弱さが続く中で輸出も減少し、景気はこのところ弱さがみられる。

 こうした影響を受けやすい韓国、台湾では、世界的な半導体需要の鈍化もあり、景気は弱い動きとなっている。

・欧米では、消費者物価上昇率は総じて高いものの、エネルギー価格等の下落を受け、アメリカに続きユーロ圏でも

 一服感がある。雇用面では、求人数はこのところ緩やかに低下した。

 

日本の実質GDP成長率

○  20227-9月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比▲0.2%(年率▲0.8%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・ウィズコロナの下、感染状況がサービス消費を下押しする傾向は弱まっており、22年秋以降は概ねコロナ禍前より

 高い水準で推移している。

・足下の動向について、カード支出を見ると12月後半にかけて財・サービスともに改善しており、年末年始の交通機関

 の利用実績を見ても航空(国内線)や新幹線はコロナ禍前水準に近づいている。

・外食についても、忘年会等の自粛が続くことで居酒屋等では回復に遅れが見られるが、総じてみれば概ねコロナ禍前の

 水準を回復した。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、7+0.2%80.0%9+0.5%100.0%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、8+2.3%9月▲1.7%10月▲0.9%11月▲1.3%12+1.7%

11月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.1%となった。

 

物価

○ 国内企業物価・消費者物価は、ともに上昇している。

・輸入物価は、昨秋以降、国際商品市況が不安定ながらも下落し、円高が加わり下落した。国内企業物価は、輸入物価

 から遅れて変動することから、足下では引き続き上昇している。

・消費者物価について、品目別の価格変化の分布を見ると、上昇率ゼロの品目の割合が減少し、プラス幅の大きい品目の

 割合が増加した。また、当面は、食料品等の値上げが見込まれる。一方、1月に電気・ガス価格激変緩和対策事業が

 開始、支払い月の2月から電気・ガス代の引下げ効果が発現する見込みとなっている。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅建築費が上昇する中で持家着工は弱含んでいるが、貸家着工は、床面積の大きな賃貸住宅を中心に持ち直しの動き

 がみられる。

・金融環境を見ると、固定型の住宅ローン金利は上昇傾向となっている。一方、金利タイプ別割合を見ると、相対的に

 低利の変動金利型が多く、住宅ローン返済額の可処分所得に対する割合も低下傾向となっている。ただし、住宅ローン

 残高は増加しており、金利変動の影響には留意が必要である。

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、8+9.4%9月▲5.0%10+1.5%11月▲3.7%

・持家着工数は前月比で、8+3.1%9+1.9%10月▲6.6%11月▲1.0%

・貸家着工数は前月比で、8+7.9%9月▲1.1%10+3.5%11月▲4.5%

・分譲着工数は前月比で、8+14.6%9月▲13.7%10+4.5%11月▲2.6%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、7月▲9.0%(出来高▲0.4%)、8+1.4%(出来高+1.1%)、9+3.2%(出来高▲0.7%)、

 10月▲3.2%(出来高▲1.0%)、11月▲12.7%(出来高▲0.5%)、12+0.9%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。完全失業率は低水準で推移し、有効求人倍率は持ち直している。

・労働需給がタイト化する中で、パート募集時の平均時給が改善しており、一般労働者の現金給与総額を見ても、

 21年半ば以降、時給の改善が現金給与総額の増加に寄与している。

・処遇改善や会社の将来性不安を理由とした自発的な転職では、転職を通じて賃金の伸びは高まり、仕事に対する

 意欲も改善傾向となっている

・有効求人倍率は、71.2981.3291.34101.35111.35(正社員は1.04)となった。

・完全失業率は、62.6%72.6%82.5%92.6%102.6%112.5%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

○ 設備投資は、持ち直している。

・投資は、足下で、資本財総供給の持ち直しの動きに足踏みがみられるが、ソフトウェア投資は引き続き緩やかに

 増加した。企業による設備投資計画によると、設備投資意欲は引き続き強い。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

・ 倒産件数は、低い水準ではあるものの、このところ増加がみられる。

・ 中小企業の資金繰り環境は緩和的となっている。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20223+146+99+812+720233+6

  「大企業・非製造業」は、20223+96+139+1412+1920233+11

  「中小企業・製造業」は、20223月▲46月▲49月▲412月▲220233月▲5

  「中小企業・非製造業」は、20223月▲66月、▲19+212+620233月▲1

 

生産

 生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・輸送機械に持ち直しの動きがみられる一方、生産用機械(半導体製造装置等)の増勢が鈍化するなど、総じてみると

 持ち直しの動きに足踏み。

需要先を鉱工業出荷でみると、輸送機械工業は供給制約の影響で回復が遅れており、その他業種の輸出向けの出荷が

生産の増加に寄与している。

・鉱工業生産指数は前月比で、9月▲1.7%10月▲3.2%110.2%12月(予測)+2.8%1月(予測)▲0.6%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、8+6.2%9月▲1.8%10月▲5.4%11月▲6.0%

・電子部品・デバイスは前月比で、8月▲6.4%9+0.4%10月▲4.1%11+0.5%

   ・輸送機械は前月比で、8月▲1.0%9月▲10.3%10+4.5%11月▲0.5%

 

外需

○ 輸出は、このところ弱含んでいる。

・我が国の輸出は、アジア向けがこのところ減少し、全体として弱含みとなっている。

 一方、貿易収支を見ると、鉱物性燃料の輸入価格が下落し、赤字幅は縮小した。

・水際対策の緩和を受けて、12月の訪日外客数は2019年平均の半分程度まで回復した。1012月の訪日外国人消費額は

 国別に見ると、一人当たり消費額の増加により、一部で2019年水準を概ね回復している。

2000年半ば以降のサービス輸出の動向を見ると、デジタル関連サービスの伸び悩みなどから、世界に比べ成長に遅れが

 みられる。デジタル人材育成やスタートアップの支援等を通じたデジタル関連産業の競争力強化が重要である

○ 輸入は、このところ弱含んでいる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、8+1.79+2.910+1.511月▲1.812月▲0.2

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、8+6.69月▲0.210月▲2.811月▲1.3121.9

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、このところ弱さがみられる。

  先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、感染拡大の影響の長期化による下振れリスクに留意する

  必要がある。

 ・2210-12月期の実質GDP成長率(前期比)は0.0%となった。

・消費はこのところ弱含みとなっている。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・輸出はこのところ減少している。

・固定資産投資はこのところ弱含みとなっている。

・都市部調査失業率はこのところおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率は低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ低下した。

   ★ 中国の貿易措置緩和(18日~)

    ・新型コロナの感染症分類を引き下げ、隔離措置・濃厚接触者の判定・高リスク地域の設定等を取りやめ。

     感染者数は月に一度の発表に変更。

    ・医療機関における新型コロナ関連死者数は、128日~112日は59938人、11319日は1万2,658人と発表。

    ・当局は、本年の春節前後(17日~215)の旅客数を延べ20.95億人(2019年比29.7%減)と予測。

 

○ 韓国・台湾では、景気はこのところ弱い動きとなっている。

○ インド・タイでは、景気は持ち直している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融引締め

  に伴う影響等による下振れリスクの高まりに留意する必要がある。

20227-9月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+3.2%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

12月の失業率は3.5%となった。

○ 生産はこのところ弱い動きとなっている。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 設備投資は緩やかに持ち直している。

○ コア物価上昇率は高水準でおおむね横ばいとなった。

○ 財輸出はこのところ弱い動きとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は緩やかに持ち直している。

   ドイツは、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・227-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.2% (イギリスは▲1.2%、ドイツは+1.6%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は上昇、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.9%12月)、イギリス+7.1%12月)。

○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

 

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスは弱含んでいる。

2022年

12月

21日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.12.21)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、

景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め

等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクと

なっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響や中国における感染動向に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は、中国、韓国等の一部の地域において足踏みがみられるものの、緩やかな持ち直しが続いている。

2023年の世界経済は欧米を中心に減速が見込まれている。

・感染再拡大の動きがみられる中国では消費や生産等の伸びが低下し、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。

 韓国では半導体需要の鈍化の影響等から輸出は弱い動きとなり、景気は弱い動きとなっている。

・欧米の失業率は引き続きおおむね横ばいとなっている。消費者物価の上昇テンポには各国差がみられだしたものの、

 総じて高く、物価安定に向けた金融引締めが継続している。

・今後とも金融資本市場の変動や物価上昇、供給制約等による下振れリスクの高まりに留意が必要である。

 

日本の実質GDP成長率

○  20227-9月期の実質GDP成長率は、前期比▲0.2%(年率▲0.8%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・カード支出の動向は、財が概ね横ばいである一方、サービス消費は、外食は持ち直しテンポが緩やかになっている

 ものの、旅行・宿泊は全国旅行支援等の政策効果もあり着実に持ち直しとなっている。

2022年は、ウィズコロナが進展したことで、感染拡大に伴う対面サービス消費の減少幅は、過去の感染拡大局面と

 比較して大幅に縮小した。

 こうした中、年末年始の旅行予約も昨年を上回る見通しとなっている。

・インバウンドも、水際対策の緩和によって観光目的の訪日外客が大幅に増加した。円安の環境もあり、旅行者一人

 当たりの消費額も、コロナ前の2019年に比べて大きく増加となっている。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、6+0.4%7+0.2%80.0%9+1.0%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、7月▲1.9%8+2.3%9月▲1.7%10月▲0.9%11月▲1.3%。 

10月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.0%となった。

 

物価

○ 国内企業物価・消費者物価ともに、上昇している。

輸入物価・輸出物価はともに下降した。

・国際商品市況は、引き続き不安定な動きが続いている中で、原油(円ベース)は足下ではロシアによるウクライナ

 侵攻前の水準まで低下している。

・国内企業物価は、足下では引き続き高い伸びとなっている。これまでの原油価格等の上昇が時間差を伴って価格に

 反映されること等から、電力・都市ガスのプラス寄与が高まっている。

・消費者物価も輸入物価に対して遅れて変動するため、足下では引き続き上昇している。

 こうした動向も背景に、消費者物価を品目別にみると、食料品を中心に約8割の品目で前年比上昇となるなど、

 物価上昇に広がりがみられる。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、7月▲2.4%8+9.4%9月▲5.0%10+1.5%

・持家着工数は前月比で、7月▲2.8%8+3.1%9+1.9%10月▲6.6%

・貸家着工数は前月比で、7月▲2.8%8+7.9%9月▲1.1%10+3.5%

・分譲着工数は前月比で、7月▲0.7%8+14.6%9月▲13.7%10+4.5%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、6+7.7%(出来高+2.6%)、7月▲9.0%(出来高▲0.4%)、8+1.4%(出来高+1.1%)、

 9+3.2%(出来高▲0.7%)、10月▲3.2%(出来高▲1.0%)、11月▲12.7%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

○ 一人当たり時給(所定内)は、賃上げの流れの定着・拡大、ウィズコロナの下での労働需要の高まりから、一般・

  パートともに緩やかに増加した。

○ 冬のボーナスは、連合の集計によれば、好調な企業収益を背景として前年比6.6%増と2年連続の高い伸びとなる

  見込みである。

○ 民間調査によると、全体の約25%の企業が月給への上乗せや一時金としての支給等を通じ、物価高に対応する手当

  を支給あるいは予定・検討している

   ・有効求人倍率は、61.2771.2981.3291.34101.35(正社員は1.03)となった。

   ・完全失業率は、52.6%62.6%72.6%82.5%92.6%102.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

   ・本年7-9月期の企業の経常利益は、前年同期比で7期連続の増益となっている。水準も7-9月期として過去最高となった。

    特に、円安による押上げ効果もあり製造業が伸びを牽引している。

○ 設備投資は、持ち直している。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

・ 特に、全国旅行支援やインバウンド再開を背景に非製造業で改善した。一方、原材料コストの上昇は企業の利益を

  圧迫しており、特に中小企業では影響が顕著となっている。

・ 製造業の疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)は、仕入価格の上昇が鈍化し、価格転嫁が徐々に進んで販売

  価格の上昇がみられる中、改善の動きがみられる。ただし、大企業に比べ中小企業が相対的に厳しい状況は継続して

  いる。

・ 倒産件数はおおむね横ばいとなっている。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20223+146+99+812+720233+6

  「大企業・非製造業」は、20223+96+139+1412+1920233+11

  「中小企業・製造業」は、20223月▲46月▲49月▲412月▲220233月▲5

  「中小企業・非製造業」は、20223月▲66月、▲19+212+620233月▲1

 

生産

 生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・製造業の生産は、輸出の動向と連動し、輸送機械は持ち直しの動きだが、電子部品・デバイスは世界的なPC・

 スマホ需要の一服等を背景にこのところ低下している。生産用機械では、受注が底堅い中で納期平準化の動きも

 あり、このところ増勢が鈍化している。

・世界の半導体市場予測は大幅に下方修正となった。長期的なニーズは底堅いものの、コロナ禍での拡大は一服した。

・鉱工業生産指数は前月比で、8+3.4%9月▲1.7%10月▲3.2%11月(予測)+3.3%12月(予測)+2.4%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、7+6.0%8+6.2%9月▲1.8%10月▲5.4%

・電子部品・デバイスは前月比で、7月▲9.2%8月▲6.4%9+0.4%10月▲4.1%

   ・輸送機械は前月比で、7+10.7%8月▲1.0%9月▲10.3%10+4.5%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・品目別にみると、自動車等の輸送機器は持ち直し傾向である一方、半導体等の電気機器及び化学製品は減少傾向と

 なっている。半導体製造装置等の一般機械はこのところ横ばいとなっている

○ 輸入は、おおむね横ばいとなっている。

○  貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、7月▲9.18+1.79+2.910+1.511月▲1.8

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月連続で下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、7月▲4.88+6.69月▲0.210月▲2.811月▲1.3

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

  先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、不動産市場の動向や経済活動の抑制の影響等を

  注視する必要がある。

 ・227-9月期の実質GDP成長率(前期比)は+3.9%となった。

・消費はこのところ弱含みとなっている。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・輸出はこのところ弱い動きとなっている。

・固定資産投資はこのところ弱含みとなっている。

・都市部調査失業率はこのところ上昇している。

・消費者物価上昇率は低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ低下した。

 

○ 韓国では、景気はこのところ弱い動きとなっている。

○ インド・タイでは、景気は持ち直している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾では、景気はこのところ回復が弱まっている。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。

  ただし、金融引締めに伴う影響等による下振れリスクの高まりに留意する必要がある。

20227-9月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+2.9%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

11月の失業率は3.7%となった。

○ 生産は底堅く推移している。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数も持ち直しの動きがみられる。

○ 設備投資は緩やかに持ち直している。

○ コア物価上昇率は高水準でおおむね横ばいとなった。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなった。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は緩やかに持ち直している。

   ドイツは、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・227-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.3% (イギリスは▲0.7%、ドイツは+1.6%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は上昇、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.6%11月)、イギリス+7.0%11月)。

○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスは弱含んでいる。

2022年

11月

24日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.11.24)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、

景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め

等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクと

なっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は、緩やかな持ち直しが続いている。

20227-9月期の実質成長率は、アメリカは+0.6%、ユーロ圏は+0.2%となった。

・欧米の失業率は総じておおむね横ばいとなっている。消費者物価の上昇が続く中、物価安定に向けて速いテンポで金融

 引締めを実施している。

・英国では消費が弱含み、設備投資がこのところ横ばいとなるなど、景気は足踏みとなっている。

・台湾では半導体の需要鈍化の影響等から生産がこのところ弱い動きとなり、景気回復に弱まりがみられる。

・今後とも金融資本市場の変動や物価上昇、供給制約等による下振れリスクの高まりに留意が必要となる。

 

日本の実質GDP成長率

○  20227-9月期の実質GDP成長率は、前期比▲0.3%(年率▲1.2%)となった。

・個人消費や設備投資など民需を中心とした回復が続く一方、輸入が供給制約緩和に伴う反動増や一時的な要因による対外

 サービス支払い等により前期比で大幅増となり、全体としてはマイナスとなった。

・また、輸入価格上昇(交易条件悪化)により、国内の生産活動の対価として得られる所得が海外に流出する形(交易利得

 の減少)となり、その結果、実質GNI(国民総所得)の伸びは前期比▲0.7%と実質GDPの伸びを下回る。

 交易条件改善に向けては、価格転嫁や高付加価値化、省エネの推進などの取組が重要となる。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・ここ1年間では、ウィズコロナへ移行する中でサービス消費(飲食・宿泊・娯楽等)と半耐久財(洋服等)の回復が牽引

 している。他方で、サービス消費は依然コロナ前の水準を下回る。

10月にかけての動向をカード支出でみると、財は概ね横ばいである一方、サービスが回復することで、消費全体は実質

 ベースで増加している。週次データで直近の状況をみても、外出機会の増加や全国旅行支援等の政策効果もあり、外食・

 宿泊など対面サービスの回復が続く。

・他方、物価上昇の下で実質所得が制約され、マインドも低下する中、家計では消費の抑制が続いており、コロナ禍で生じた

 超過貯蓄はさらに積み上がっている。持続的な消費拡大に向けては、物価上昇に負けない賃上げの実現が重要となる。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、5+0.8%6+0.4%7+0.2%8月▲0.2%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、6月▲2.0%7月▲1.9%8+2.3%9月▲1.7%10月▲0.9%。 

9月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.2%となった。

 

物価

○ 国内企業物価・消費者物価ともに、上昇している。

輸入物価・輸出物価ともに上昇している。

・国内で生産された付加価値全体の物価動向を示すGDPデフレーターは、輸入デフレーターの上昇率に対して、価格転嫁

 の遅れもあって、消費や投資などの国内需要及び輸出のデフレーターの上昇率が下回っていることから、前年比マイナス

 で推移した。

・国際商品市況をみると、不安定な動きが続いている中ではあるが、原油価格等の上昇に一服感もみられる。

・こうした中で、輸入物価は足下で上昇テンポが鈍化。一方、これまでの輸入物価の上昇を背景に、国内企業物価と消費者

 物価は上昇した。

 日次ベースの指標で直近の動向をみると、食料品等の物価は11月に入ってさらに上昇しており、消費者物価は11月も上昇

 が続く見込みである。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、6+2.1%7月▲2.4%8+9.4%9月▲5.1%

・持家着工数は前月比で、6月▲2.0%7月▲2.8%8+3.1%9+1.9%

・貸家着工数は前月比で、6+2.2%7月▲2.8%8+8.0%9月▲1.3%

・分譲着工数は前月比で、6+5.9%7月▲0.7%8+14.6%9月▲13.7%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、5月▲2.0%(出来高+2.3%)、6+7.7%(出来高+2.6%)、7月▲9.0%(出来高▲0.4%)、

 8+1.4%(出来高+1.1%)、9+3.2%(出来高▲0.7%)、10月▲3.2%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

○ ハローワークの新規求人数は横ばいだが、有効求人倍率は引き続き上昇し、民間転職市場における求人倍率も上昇が続く

  など、労働需給は引き締まりを見せている。

   一人当たり賃金は、賃上げによる所定内給与の増加などから、前年比でプラスが継続。パート賃金も、ウィズコロナが進展

  して労働需要が高まる中で、これまでの最低賃金引上げによる押上げもあり、堅調な伸びとなった。

   また、転職により賃金が1割以上増加した者の割合は5四半期連続で上昇した。

 こうした流れの下、人への投資強化、成長分野への円滑な労働移動の促進等により、構造的な賃上げを実現することが重要

 となる

 ・有効求人倍率は、51.2461.2771.2981.3291.34(正社員は1.03)となった。

 ・完全失業率は、42.5%52.6%62.6%72.6%82.5%92.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

  ・20227-9月期の上場企業の決算は、製造業・非製造業ともに増収増益となり、経常利益は7-9月期としては過去最高となった。

      製造業で、売上高に比して営業利益の伸びが低いなど原材料価格上昇の影響はみられる一方、円安によって海外での収益が円建てで増加

      したことがプラス要因となった。

○ 設備投資は、持ち直している。

  ・好調な収益も背景とした企業の高い投資意欲の下、コロナ禍で先送りされていた能力増強の機械投資などによって、設備

投資は持ち直している。7-9月期の投資水準は、名目では過去ピークと同程度まで回復したが、実質では未だ低い水準で

あり、新しい資本主義の実現・成長力強化に向けた投資喚起が重要となる。

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・倒産件数はおおむね横ばいとなっている。

・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、202112+1820223+146+99+812+9

  「大企業・非製造業」は、202112+920223+96+139+1412+11

  「中小企業・製造業」は、202112月▲120223月▲46月▲49月▲412月▲5

  「中小企業・非製造業」は、202112月▲420223月▲66月、▲19+212月▲3

 

生産

 生産は、持ち直しの動きがみられる。

・製造業の生産は、輸出の動きと連動し、IC等の電子部品・デバイスが弱含みで推移する一方、供給制約の緩和に伴い

  輸送機械が回復しており、また、世界的に需要が堅調である半導体製造装置や建設・鉱山機械などの生産用機械が増加

  した。

  財別にみると、積極的な設備投資等を背景に、機械や建設資材などの投資財が堅調な伸びとなった。

・鉱工業生産指数は前月比で、7+0.8%8+3.4%9月▲1.7%10月(予測)▲0.4%11月(予測)+0.8%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、6+9.0%7+6.0%8+6.2%9月▲1.8%

・電子部品・デバイスは前月比で、6+11.6%7月▲9.2%8月▲6.4%9+0.4%

   ・輸送機械は前月比で、6+11.8%7+10.7%8月▲1.0%9月▲10.3%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・品目別にみると、世界的なスマホ・PC需要の一服等に伴い電気機器及び化学製品は減少傾向であるが、自動車等の

  輸送機器や一般機械では増加が続く

○ 輸入は、おおむね横ばいとなっている。

○  貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、6月▲1.17月▲9.18+1.79+2.910+1.5

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、6月▲4.97月▲4.88+6.69月▲0.210月▲2.8

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は一部に弱さが残るものの、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが

     期待される。ただし、不動産市場の動向や経済活動の抑制の影響等を注視する必要がある。

 ・227-9月期の実質GDP成長率(前期比)は+3.9%となった。

・消費はこのところ持ち直しのテンポが鈍化している。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出はこのところ増加のテンポが鈍化している。

・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率は低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はおおむね横ばいとなっている。

  参考◎貿易措置の緩和(1111日発表)

   ★ 全国統一基準での防疫措置を徹底。

・基準を外れた恣意的な休校、生産停止、交通遮断、診察拒否等を厳禁。

・部品供給や生活保障に関わる重点企業には「ホワイトリスト」制度を実施。

・封鎖対象地域を「高リスク地域」に限定し、封鎖対象者数を最小化(※5日間感染者なしの場合、低リスク地域に移行し、

 速やかに封鎖を解除

・濃厚接触者の隔離期間を短縮(※「7日間の集中隔離+3日間の在宅健康観察」から「5日間の集中隔離+3日間の自宅隔離」

 に変更)、二次濃厚接触者は隔離措置の対象外。

 

○ 韓国では、景気は持ち直しに足踏みがみられる。

○ インド・タイでは、景気は持ち直している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾では、景気はこのところ回復が弱まっている。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な

  金融引締めが進む中での金融資本市場の変動や物価上昇、供給面での制約等による下振れリスクの高まりに留意する必要がある

20227-9月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+2.6%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

10月の失業率は3.7%となった。

○ 生産は底堅く推移している。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数も持ち直しの動きがみられる。

○ 設備投資は緩やかに持ち直している。

○ コア物価上昇率は高水準でおおむね横ばいとなった。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は総じてみれば緩やかに持ち直している。

   ドイツは、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

 イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態である。

 ・227-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.8%

 (イギリスは▲0.7%、ドイツは+1.1%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはこのところ低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.4%10月)、イギリス+7.2%10月)。

○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直しに足踏みがみられ、イギリスは横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ弱含んでいる。

2022年

10月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.10.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの新たな段階への移行が進められる中、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は、緩やかな持ち直しが続いている。2022年成長見通しは、アメリカで下方修正となったが、 世界全体では変わらずプラス成長の

  見込みとなっている。

・足下、ドイツをはじめユーロ圏では消費に足踏みがみられるものの、欧米諸国の失業率は総じて概ね横ばいとなっている。

 先進国・新興国ともに消費者物価の上昇が続き、金融引締めが進展する中、金融資本市場には不安定な動きがみられる。

 今後も金融資本市場の変動や物価上昇、供給制約等による下振れリスクの高まりに留意が必要である。

・中国では共産党大会において、技術革新や安全保障などの経済関連方針が発表された。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・9月以降、外食や旅行・宿泊などサービス消費の改善が継続している一方、消費を取り巻く環境をみると、雇用情勢が

 改善し、賃上げの流れが定着・拡大する中、総雇用者所得は名目ではプラスだが、物価上昇により実質ではマイナスが

 続く。

・消費者マインドも物価上昇を背景に弱含んでおり、低所得層ほどマインドが低い状況となっている。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、4+1.1%5+0.8%6+0.4%70.0%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、5+1.1%6月▲2.0%7月▲1.9%8+2.3%9月▲1.7%。 

8月の実質総雇用者所得は、前期比で0.0%となった。

 

物価

○ 国内企業物価・消費者物価ともに、上昇している。

輸入物価・輸出物価ともに上昇している。

・国際商品市況は、世界的な金融引締め等を背景に不安定な動きが続く中、足下では円安も進行している。こうした動き

 を受け、国内企業物価も引き続き上昇となった。

・消費者物価は、エネルギーや食料品を中心に9月は3.0%(総合)と引き続き高い伸びとなあっている。スーパー等の

 POSデータから、食料品について日次の物価動向をみると10月に入って更に上昇率が高まっていることなどから、

 消費者物価は10月も上昇が見込まれる。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、5月▲6.5%6+2.1%7月▲2.4%8+9.4%

・持家着工数は前月比で、5+1.4%6月▲2.0%7月▲2.8%8+3.1%

・貸家着工数は前月比で、5月▲4.6%6+2.2%7月▲2.8%8+8.0%

・分譲着工数は前月比で、5月▲15.4%6+5.9%7月▲0.7%8+14.6%

   公共投資は、底堅さが増している。

・請負金額は前月比で、4月▲3.4%(出来高+1.7%)、5月▲2.0%(出来高+2.3%)、6+7.7%(出来高+2.6%)、

 7月▲9.0%(出来高▲0.4%)、8+1.4%(出来高+1.1%)、9+3.2%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

○ 8月の失業率は低下し、就業者数は概ね横ばいの動きとなっている。

○ 有効求人倍率の上昇は継続している。日銀短観9月調査によると、企業の雇用人員判断は不足感が高まっており、特に、

  ウィズコロナの下で消費の改善が続く宿泊・飲食では、春以降の不足感の高まりが顕著となっている。

○ 一人当たり賃金は、前年比でプラスが継続している。堅調だった夏のボーナスと、賃上げによる所定内給与増の寄与が

  大きい。成長と分配の好循環の実現に向け、引き続き、賃上げの流れの継続・拡大が重要である。

  ・有効求人倍率は、41.2351.2461.2771.2981.32(正社員は1.02)となった。

  ・完全失業率は、32.6%42.5%52.6%62.6%72.6%82.5%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

○ 設備投資は、持ち直している。

・日銀短観9月調査によると、今年度の企業の設備投資計画は引き続き二桁の伸びと高い水準となった(前回6月調査から

 上方修正)。

・機械投資も、先行指標である機械受注とともに持ち直している。非居住用の建設投資も、運輸業の倉庫や製造業の工場

 の新設などにより増加傾向となっている。

・各社の個別案件をみても、コロナ禍で先送りされていた能力増強や国内生産の強化、デジタル化や脱炭素など、様々な

     前向きな取組が表れている。

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

  ・日銀短観9月調査によると、非製造業ではウィズコロナの進展 により前回6月調査から改善した一方、製造業では物価高

    の下で横ばいとなった。特に中小企業の製造業では、引き 続き「悪い」が「良い」を上回って推移している。

  ・ 製造業の疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)は、仕入価格の上昇ペースが鈍化し、価格転嫁が進展して販売

    価格が上昇したことで、わずかに改善した。ただし、大企業に比べ中小企業が相対的に厳しい状況は継続している。

  ・こうした中、今年度の経常利益計画は、中小企業において前年度比でマイナスとなった。引き続き、価格転嫁が課題となっ

    ている。

  ・倒産件数はおおむね横ばいとなっている。

  ・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、202112+1820223+146+99+812+9

    「大企業・非製造業」は、202112+920223+96+139+1412+11

    「中小企業・製造業」は、202112月▲120223月▲46月▲49月▲412月▲5

    「中小企業・非製造業」は、202112月▲420223月▲66月、▲19+212月▲3

 

生産

 生産は、持ち直しの動きがみられる。

・製造業の生産は、ICなどの電子部品・デバイスが弱含みに転ずる一方、生産用機械が増加しており、全体として持ち直し

  の動きがみられる。

  財別にみると、企業の前向きな投資行動等を背景に、機械や建設資材などの投資財が堅調な伸びがみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、6+9.2%7+0.8%8+3.4%9月(予測)+2.9%10月(予測)+3.2%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、5月▲5.0%6+9.0%7+6.0%8+6.2%

・電子部品・デバイスは前月比で、5月▲4.2%6+11.6%7月▲9.2%8月▲6.4%

・輸送機械は前月比で、5月▲7.4%6+11.8%7+10.7%8月▲1.0%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・品目別にみると、生産関連の機械や自動車で増加傾向がみられる一方、世界的なスマホ・PCの需要一服等を背景に

  半導体等電子部品やプラスチック等が減少傾向となった

○ 輸入は、おおむね横ばいとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

  参考 我が国の経常収支は、リーマンショック以降、所得収支に支えられ、貿易中心から投資中心に変化。貿易収支は概ね均衡する下、輸出の増加

         要因は数量から付加価値へと変化した。こうした中、2022年以降、エネルギー輸入は価格上昇を要因に輸入額が大幅に増加し、これに伴い、

         貿易収支も経常収支も赤字化となった。経常収支の改善には、エネルギー構造の改善、知財等を含むサービス輸出の強化、円安を活かした

         輸出拡大が重要となる。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、5+3.66月▲1.17月▲9.18+1.79+2.9

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月ぶりに下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、5+2.26月▲4.97月▲4.88+6.69月▲0.2

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は一部に弱さが残るものの、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが

      期待される。ただし、不動産市場の動向や金融資本市場の変動、経済活動の抑制の影響等を注視する必要がある。

 ・224-6月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+0.4%となった。

・消費は持ち直しの動きがみられる。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出は緩やかに増加している。

・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。

・都市部調査失業率は低下している。

・消費者物価上昇率はこのところ低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はおおむね横ばいとなっている。

○ 韓国では、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

○ インド・タイでは、景気は持ち直している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾では、景気はこのところ回復に足踏みがみられる。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融引締め

      に伴う影響等による下振れリスクの高まりに留意する必要がある

20224-6月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率▲0.6%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

9月の失業率は3.5%となった。

○ 生産は底堅く推移している。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数は弱い動きとなっている。

○ 設備投資はこのところ横ばいとなっている。

○ コア物価上昇率は高水準でおおむね横ばいとなった。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は総じてみれば緩やかに持ち直している。

   ドイツは、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

イギリスでは、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

 ・224-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+3.3%

 (イギリスは▲0.3%、ドイツは+0.6%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはこのところ低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.0%9月)、イギリス+7.1%9月)。

○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直しに足踏みがみられ、イギリスは横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ弱含んでいる。

2022年

9月

30日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.9.30)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの新たな段階への移行が進められる中、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

世界の景気は、緩やかな持ち直しが続いている。欧米主要国の2022年成長見通しは下方修正となったものの、総じてプラス成長となる見込みと

 なっている。

・失業率は総じておおむね横ばい。欧米の消費者物価は上昇が続いており、物価安定に向けて速いテンポで金融引締めを実施。

 ただし、金融資本市場の変動や物価上昇、供給制約等による下振れリスクの高まりに引き続き留意が必要である。

・英国では消費は弱含んでおり、景気は持ち直しに足踏み。世界的な物価上昇の下で半導体の需要鈍化の影響等から韓国や

 台湾では製造業の景況感が低下し、景気に足踏みが見られる。

 

日本の実質GDP成長率

20224-6月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比+0.9%(年率+3.5%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・足下では、夏場の感染拡大が落ち着きを見せる中で、外食売上や宿泊稼働率も改善の動きとなっている。

・雇用が改善し、賃上げの流れが定着・拡大する中、総雇用者所得は名目ではプラスだが、物価上昇により実質ではマイナス

 となり、消費者マインドも弱含みとなっている。

・家計の消費支出をみると、エネルギー・食料品関連の支出は物価上昇に伴い2019年比でプラスとなっている一方、その他の

 支出はマイナスであり、低所得者層を中心に節約傾向が継続している。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、3+0.2%4+1.1%5+0.8%6+0.4%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、4+0.2%5+1.1%6月▲2.0%7月▲1.9%8+2.3%。 

  ・7月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.8%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、上昇している。

・国際商品市況は、本年半ば以降、欧米の金融引締め等を背景に下落の動きもみられるなど不安定な動きが続く中、足下では

 円安も進行している。

○ 消費者物価は、8月は前年比+3.0%(総合)と引き続き高い伸びであり、サービス価格もプラスに転じた。物価上昇はエネルギーや食料品といった

   必需品に顕著に現れている。今後も食料品を中心に値上げが予定されており、また、電気代等は市況の動きを時差を伴って反映することから、消費者

   物価の上昇は続くと見込まれる。 

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・建設コストの上昇等を背景に持ち家の着工は弱い動きだが、貸家及び分譲の着工は底堅い動きとなっている。

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、4月▲4.6%5月▲6.5%6+2.1%7月▲2.4%

・持家着工数は前月比で、4月▲2.3%5+1.4%6月▲2.0%7月▲2.8%

・貸家着工数は前月比で、4月▲11.8%5月▲4.6%6+2.2%7月▲2.8%

・分譲着工数は前月比で、43.2%5月▲15.4%6+5.9%7月▲0.7%

   公共投資は、底堅さが増している。

・請負金額は前月比で、3+13.6%(出来高+0.8%)、4月▲3.4%(出来高+1.7%)、5月▲2.0%(出来高+2.3%)、6+7.7%

(出来高+2.6%)、7月▲9.0%(出来高▲0.4%)、8+1.4%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

○ 失業率は、7月はおおむね横ばいとなった。失業率・就業者数は足下で概ね横ばいだが、就業率は女性雇用者の増加等によって上昇傾向が継続

      した。

○ 一人当たり賃金は、前年比でプラスが継続。夏のボーナス(6-7月平均)は、2018年以来の前年比プラスとなった。好調な収益を背景に、規模が

     大きい企業ほどプラス幅が大きい。成長と分配の好循環の実現に向け、引き続き、賃上げの流れの継続・拡大が重要である。

   ・有効求人倍率は、31.2241.2351.2461.2771.29(正社員は1.01)となった。

   ・完全失業率は、22.7%,32.6%42.5%52.6%62.6%72.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

   20224-6月期の企業の経常利益は、大中堅企業を中心に増加し、全体としては過去最高水準となった。他方、中小企業では

      前年同期比・前期比ともにマイナスとなっている。

    ・特に、製造業をみると、大中堅企業では営業利益が微減となる中、円安に伴う為替差益等(営業外収支)が経常利益を押上げ

     ている。一方、中小企業では、原材料高を十分に価格転嫁できずに営業利益が大きく減少した。

  ・円安による営業外収支の押上げも少ない。中小企業の収益力強化に向けては、価格転嫁、輸出促進を含めた販路拡大等が課題

    である

○ 企業の設備投資は、デジタル化等の流れを受けたソフトウェア投資の増加が牽引する中、持ち直しの動きが見られる。

・機械投資も、特に先行指標である機械受注が持ち直した。企業規模別にみると、好調な収益を背景に大中堅企業の投資は

  20224-6月期に前期比で大きくプラスとなった一方、中小企業ではマイナス。収益改善と投資拡大に向けた取組、そのため

  にも価格転嫁が引き続き重要である。

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・ 倒産件数はおおむね横ばいとなっている。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20219+1812+1820223+146+99+10

  「大企業・非製造業」は、20219+212+920223+96+139+13

  「中小企業・製造業」は、20219月▲312月▲120223月▲46月▲49月▲5

  「中小企業・非製造業」は、20219月▲1012月▲420223月▲66月、▲19月▲5

 

生産

 生産は、持ち直しの動きがみられる。

・製造業の生産は、ICなどの電子部品・デバイスが横ばいに転じる一方、設備投資向けの資本財は緩やかに増加しており、

  全体として持ち直しの動きとなった。

・鉱工業生産指数は前月比で、5月▲7.5%6+9.2%7+0.8%8月(予測)+5.5%9月(予測)+0.8%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、4月▲2.7%5月▲5.0%6+9.0%7+6.0%

・電子部品・デバイスは前月比で、4月▲6.6%5月▲4.2%6+11.6%7月▲9.2%

   ・輸送機械は前月比で、4月▲0.1%5月▲7.4%6+11.8%7+10.7%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・自動車は供給制約の緩和から持ち直しているが、世界的なPC・スマホ需要の一服等を背景にICは弱含みとなっている。

我が国最大の輸出先の一つである米国向け輸出の動向をみると、日本は相対的に伸び悩みとなっている。EUは医療用品

  の化学工業製品の寄与が高い。日本は半導体製造装置、建設用・鉱山用機械等の機械機器に競争力を有するが、主力の自動車

  がマイナスに寄与した。

○ 輸入は、持ち直しの動きがみられる。

○  貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月ぶりに上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、4+2.65+3.66月▲1.17月▲9.18月+1.7

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月ぶりに上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、4+0.25+2.26月▲4.97月▲4.88+6.6

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は一部に弱さが残るものの、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待

      される。ただし、不動産市場の動向や金融資本市場の変動、経済活動の抑制の影響等を注視する必要がある。

 ・224-6月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+0.4%となった。

・消費は持ち直しの動きがみられる。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出は緩やかに増加している。

・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。

・都市部調査失業率は低下している。

・消費者物価上昇率はこのところ低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はおおむね横ばいとなっている。

○ 韓国では、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

○ インド・タイでは、景気は持ち直している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾では、景気はこのところ回復に足踏みがみられる。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う

      影響等による下振れリスクの高まりに留意する必要がある

20224-6月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率▲0.6%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

8月の失業率は3.7%となった。

○ 生産はおおむね横ばいとなっている。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数は弱い動きとなっている。

○ 設備投資はこのところ横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は一部でテンポの鈍化がみられるものの持ち直している。

イギリスでは、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

ドイツは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。

 ・224-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+3.1%

 (イギリスは▲0.3%、ドイツは+0.6%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともにこのところ横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+5.5%8月)、イギリス+6.7%8月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直し、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

 

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

 

2022年

8月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.8.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が

進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待

される。ただし、世界的に金融引き締め等を背景とした海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇による家計や企業への影響や供給面での制約に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

世界の景気は、持ち直しのテンポが鈍化している。

・失業率が低下傾向で推移する一方、世界的な物価上昇、金融引締めが進む中で、46月期GDPは、アメリカ、イギリス、ドイツ

 などでマイナスとなった。

・アメリカでは、個人消費はプラスが続く一方、金利上昇等を背景に、住宅投資、設備投資はマイナスとなった。

・ユーロ圏は、旅行や宿泊などのサービス消費は底堅い動きがうかがえる。

・足下にかけて、物価上昇への懸念等を背景に、欧米の消費者や製造業企業のマインドは低下傾向となっている。

 金融引締めの進展や一層の物価上昇、供給面での制約等による先行きの下振れリスクには留意が必要である。

 

日本の実質GDP成長率

20224-6月期(1次速報)の実質GDP成長率は、前期比+0.5%(年率+2.2%)となった。

・感染対策と経済社会活動の両立維持を背景に対人サービスなど個人消費が増加し、企業収益が改善する中で設備投資も増加する

 など、民需中心にプラス成長となった。

○ 実質GDPはコロナ前(1910-12月)の水準を回復した。

・需要項目別にみると、輸出や個人消費がコロナ前を上回る一方、設備投資は下回っている。

○ 実質GDP(国内総生産)が増加する一方、その対価として得られる所得は、輸入価格上昇(交易条件悪化)により海外に流出する形(交易損失)となり、

   実質GNI(国民総所得)は減少した。輸出競争力向上や省エネ進展などによる交易条件改善の観点からも、設備投資の回復が課題である。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・一部に感染拡大による影響はみられるものの、新車販売が2か月連続で増加するほか、お盆期間の交通機関の利用の高まり、

 3年ぶり開催の夏祭り等のイベントが全国各地で実施されるなど、ウィズコロナの下での活動が進展し、消費回復の動きに幅広

 さがみられる。

・雇用が改善し、賃上げの流れが継続・拡大する中、総雇用者所得は名目では増加している一方、物価上昇によって実質では前年比

 マイナスとなった。こうした中、感染拡大も相まって、消費者マインドは低下した。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、2月▲0.7%3+0.2%4+1.1%5+1.1%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、3月▲2.4%4+0.2%5+1.1%6月▲2.0%7月▲1.9%

6月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.1%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、上昇している。

・国際商品市況は、本年半ば以降、欧米の金融引締めや中国の防疫措置等を背景に下落がみられるなど不安定な動きとなって

 いる。

 国内企業物価は、石油製品や非鉄金属はこうした動きを受け、上昇が鈍化した。

・一方、電気代等は燃料費調整制度の下で市況の動きを時差を伴って反映するため、当面は上昇する見込みである。

○ 消費者物価は、エネルギーや食料品を中心に7月も前年比+2.6%(総合)と引き続き高い伸びとなった。今後も食料品を中心に値上げが予定されて

   おり、消費者物価の上昇は当面続くと見込まれる。 

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、3+6.3%4月▲4.6%5月▲6.5%6+2.1%

・持家着工数は前月比で、3月▲0.1%4月▲2.3%5+1.4%6月▲2.0%

・貸家着工数は前月比で、3+18.7%4月▲11.8%5月▲4.6%6+2.2%

・分譲着工数は前月比で、3月▲2.7%43.2%5月▲15.4%6+5.9%

   公共投資は、底堅さが増している。

    ・請負金額は前月比で、2+0.7%(出来高▲0.7%)、3+13.6%(出来高+0.8%)、4月▲3.4%(出来高+1.7%)、5月▲2.0%

(出来高+2.3%)、6+7.7%(出来高+2.6%)、7月▲9.9%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

○ 失業率は、6月は横ばいとなった。就業者数は増加傾向が継続している。

○ 一人当たり賃金は、6月は夏季賞与の大幅なプラスを受け前年比で大きくプラスとなった。過去20年間で2番目に高い賃上げとなった春季労使交渉、

  過去最大の最低賃金引上げなど、賃上げモメンタムが継続している。

○ 学び直しや労働移動も賃金・所得の上昇に貢献した。OFF-JTと自己啓発を両方実施する者は、片方のみの者に比べ、年収増加が明確となった。

  正社員(40代以下)は転職を通じて平均的に年収が増加、また、足下では転職により賃金が1割以上増加した者の割合は4四半期連続で上昇した。

   ・有効求人倍率は、21.2131.2241.2351.2461.27(正社員は0.99)となった。

   ・完全失業率は、22.7%,32.6%42.5%52.6%62.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

   20224-6月期の上場企業の経常利益(※注;非製造業について、特殊要因(金融関連)による振れを控除したベースは、製造業・非製造業とも

     に増益となり、水準も4-6月期として過去最高となった。本業の利益である営業利益には原材料価格上昇や供給制約による下押し

     の影響がある一方、為替差益等による営業外収益が押し上げの要因となった。

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

   ・企業の設備投資マインドは前向きとなっている。

     コロナ禍・供給制約下で先送りしていた能力増強投資のほか、脱炭素化・デジタルを活用した自動化など重点分野に向けた投資

     意欲も高い。

    他方、脱炭素化やイノベーションにおいては人材不足が課題であり、人的資本の蓄積に向けた取り組みも重要となっている

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

  ・倒産件数はおおむね横ばいとなっている。

  ・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20219+1812+1820223+146+99+10

  「大企業・非製造業」は、20219+212+920223+96+139+13

  「中小企業・製造業」は、20219月▲312月▲120223月▲46月▲49月▲5

  「中小企業・非製造業」は、20219月▲1012月▲420223月▲66月、▲19月▲5

 

生産

 生産は、持ち直しの動きがみられる。

・生産は、中国のロックダウンの影響によって生じていた減産が概ね解消されるなど、持ち直しの動きがみられる。

・世界的な半導体不足の状況は当面続くと考えられるものの、世界的な物価上昇の下でスマホ・PC需要に鈍化の動きもあり、足下

  では国内の在庫率も高まっている。こうした中、世界の半導体市場の成長見通しを下方改定する見方もある。

・鉱工業生産指数は前月比で、4月▲1.5%5月▲7.5%6+9.2%7月(予測)+3.8%8月(予測)+6.0%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、3+3.9%4月▲2.7%5月▲5.0%6+9.0%

・電子部品・デバイスは前月比で、3+2.0%4月▲6.6%5月▲4.2%6+11.6%

・輸送機械は前月比で、3月▲5.1%4月▲0.1%5月▲7.4%6+11.8%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・アジアや欧州向けは持ち直しの動きがみられる一方、アメリカ向けは概ね横ばい。引き続き、海外景気の動向に注意が必要で

  ある。

○ 輸入は、持ち直しの動きがみられる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、3+10.14+2.65+3.66月▲1.17月▲9.1

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、3+5.74+0.25+2.26月▲4.97月▲4.8

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は一部に弱さが残るものの、このところ持ち直しの動きがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが

  期待される。ただし、経済活動の抑制の影響や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

 ・224-6月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+0.4%となった。

・消費はこのところ持ち直しの動きがみられる。

・生産は、このところ持ち直しの動きがみられる。

・輸出は増加している。

・固定資産投資は伸びが低下している。

・消費者物価上昇率は上昇している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はおおむね横ばいとなっている。

○ 韓国では、景気は持ち直しのテンポが鈍化している。

○ インド・タイでは、景気は持ち直している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾では、景気は回復のテンポが鈍化している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直しのテンポが鈍化している。先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、

 金融引き締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。

20224-6月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率▲0.9%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

7月の失業率は3.5%となった。

○ 生産はおおむね横ばいとなっている。

○ 消費は持ち直しのテンポがこのところ鈍化、自動車販売台数はこのところ弱い動きとなっている。

○ 設備投資はこのところ横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は一部でテンポの鈍化がみられるものの持ち直している。

イギリス・ドイツは、持ち直しのテンポが鈍化している。

 ・224-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+2.5%

 (イギリスは▲0.3%、ドイツは▲0.1%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともにこのところ横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+5.1%7月)、イギリス+6.6%7月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直し、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

 

2022年

7月

26日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.7.26)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が

進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待

される。ただし、世界的に金融引き締めが進む中での金融資本市場の

変動や原材料価格の上昇、供給面での制約等による下振れリスクに十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

世界の景気は、中国において足踏みがみられるものの、持ち直している。

・欧米では失業率が引き続き低下傾向となっている。景気の持ち直しの進展に伴う世界的な需給引締まりに、ウクライナ情勢を

  受けた国際商品市況の高騰等が相まって、消費者物価が一段と上昇した。この下で、世界的に金融引締めが進展した。

・欧米では、サービス消費の持ち直し等を背景に非製造業の景況感は高めに推移する一方、コスト上昇や供給制約等から、製造業

  の景況感は低下した。株価が不安定に推移するなど、世界経済の不確実性に高まりがみられる。

・中国では厳しい防疫措置の影響により2246月期の実質GDP成長率が大きく低下した。企業の景況感、消費・生産は4月に

 大きく低下したが、56月にかけて改善した。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・外食や旅行等のサービス消費は持ち直しが続く。宿泊者数に加え、7月の交通機関の利用実績も、上昇傾向が続く。

・百貨店の販売額は、人出の増加に伴って改善。高額品や外出増加に伴う衣類等を中心に好調との声が聞かれる。

・物価上昇により、食料・光熱費等の生活必需品への支出がコロナ前を上回る一方、その他への支出はコロナ前を下回り、低所得世帯を中心に節約

 志向の動きがみられる。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、1月▲0.6%2月▲0.7%3+0.2%4+0.7%

       ・消費者態度指数(DI)は前月差で、2月▲1.3%3月▲2.4%4+0.2%5+1.1%6月▲2.0%。 

        ・5月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.1%となった。

 

物価

○ 原材料価格上昇等により、国内企業物価は、6月は前年比+9.2%と上昇が続く。

・我が国の生産者物価を需要段階別にみると、原材料等の上昇に対し、中間需要や最終需要では相対的に上昇幅が小さい。引き続き価格転嫁が

  課題となっている。

一方、アメリカでは、中間需要、最終需要ともに上昇した。

○ 消費者物価は、エネルギーや食料品の値上げを背景に上昇した。6月の前年比は+2.4%と引き続き高い伸び(総合)。民間調査によれば、今後も

     食料を中心に値上げが予定されており、8月以降も食品の多くの品目で値上げが続くと見込まれる。 

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、賃貸マンションや分譲マンションの需要増加を反映し、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、2+6.4%3+6.3%4月▲4.6%5月▲6.5%

・持家着工数は前月比で、2+2.6%3月▲0.1%4月▲2.3%5+1.4%

・貸家着工数は前月比で、2+1.3%3+18.7%4月▲11.8%5月▲4.6%

・分譲着工数は前月比で、2+17.7%3月▲2.7%43.2%5月▲15.4%

   公共投資は、このところ底堅い動きとなっている。

・請負金額は前月比で、221月▲2.4%(出来高▲2.0%)、2+0.7%(出来高▲0.7%)、3+13.6%(出来高+0.8%)、4月▲3.4%(出来高+3.2%)、

 5月▲2.0%(出来高+2.9%)、6+7.7%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

○ 就業者数は増加傾向にあり、失業率は低下傾向となっている。就業率(就業者数/15歳以上人口)も、主に女性の正規雇用の増加により、コロナ

     前を上回る水準まで上昇した。

○ 雇用の過不足感が、宿泊・飲食サービスを中心に幅広い業種で不足超となる中で、ハローワークによるネット経由の日次有効求人も、引き続き増加

     して いる。

○ 総雇用者所得は、雇用者数の増加や賃金の上昇により、名目では前年比プラスとなる一方で、物価上昇の影響で、実質では前年比マイナスと

     なった。2022年春季労使交渉について、賃上げ率は2.07%と昨年を上回った。

民間機関の調査によると、夏のボーナスも、前年比で大幅なプラスとなる見込みである。

       ・有効求人倍率は、10.2021.2131.2241.2351.24(正社員は0.98)となった。

・完全失業率は、122.7%12.8%22.7%,32.6%42.5%52.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

   ・企業の景況感は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。日銀短観6月調査によると、中国の活動制限に伴う供給制約や原材料高を背景に、製造業

        では幅広い業種で前回3月調査から小幅に悪化した。一方、非製造業では、経済活動の回復により、宿泊・飲食サービスなどを中心に小幅に改善

        した。

       ・2022年度の経常利益は、宿泊・飲食サービスの黒字転化が見込まれていることもあり、非製造業では2021年度と同程度の利益が見込まれている。

        一方、多くの製造業では、前年度比マイナスの見込みとなった。

       ・製造業を中心に、仕入価格DIが大幅に上昇しており、価格転嫁の程度を表す疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)は厳しい状況が続く。

         引き続き賃上げと価格転嫁が重要となる。

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

      ・設備の過不足感は、日銀短観6月調査によると、製造業・非製造業ともに概ね解消したものの、設備投資はコロナ前に比べて、依然として低い水準と

         なった。2022年度の設備投資計画は、引き続き前年より増加し、特にソフトウェア投資が大きく増加する見込みとなっている。

   ・業種別にみると、各種機械製造業やサービス業などで前年度比大幅プラスとなった。

   ・売上対比でみた設備投資計画は、過去に比べて積極的であり、今後の売上改善が積極的な設備投資につながることを期待したい

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・ 倒産件数はおおむね横ばいとなっている。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20219+1812+1820223+146+99+10

    「大企業・非製造業」は、20219+212+920223+96+139+13

    「中小企業・製造業」は、20219月▲312月▲120223月▲46月▲49月▲5

        「中小企業・非製造業」は、20219月▲1012月▲420223月▲66月▲19月▲5

 

生産

 生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・供給制約等により、輸送機械は持ち直しに足踏みがみられる。

  また、電子部品・デバイスや生産用機械も、中国の活動制限の影響が残り、増勢が鈍化した。

  工作機械受注は、内需が底堅い一方で、中国等のアジア向けの外需には足踏み感がみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、3+0.3%4月▲1.5%5月▲7.5%6月(予測)+12.0%7月(予測)+2.5%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、2月▲0.6%3+3.9%4月▲2.7%5月▲5.0%

・電子部品・デバイスは前月比で、2月▲0.7%3+2.0%4月▲6.6%5月▲4.2%

   ・輸送機械は前月比で、2+14.8%3月▲5.1%4月▲0.1%5月▲7.4%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・アメリカや欧州向けは、持ち直しの動きがみられる一方、アジア向けは横ばいとなっている。

○ 輸入は、持ち直しの動きがみられる。

・内需の底堅さやアジアからの輸入の堅調さを反映して、持ち直しの動きがみられる。中国の活動制限の影響の緩和などから下げ止まりとなった。

○  貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、2月▲0.23+10.14+2.65+3.66月▲1.1

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、5か月ぶりに下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、2+1.93+5.74+0.25+2.26月▲4.9

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は一部地方での経済活動の抑制の影響が残るものの、このところ持ち直しの動きがみられる。

   先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、当面は一部地方での経済活動の抑制の影響が続くと見込ま

   れる。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

   ・224-6月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+0.4%となった。

・消費はこのところ持ち直しの動きがみられる。

・生産は、このところ持ち直しの動きがみられる。

・輸出は増加している。

・固定資産投資はこのところ伸びやや低下している。

・消費者物価上昇率は上昇している。

・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きがみられる。

○ 韓国・インド・インドネシアでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復のテンポが鈍化している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。

   ただし、金融引き締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。

20221-3月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率▲1.6%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

 ・6月の失業率は3.6%となった。

○ 生産はおおむね横ばいとなっている。

○ 消費は緩やかに持ち直し、自動車販売台数はこのところ弱い動きとなっている。

○ 設備投資は緩やかに増加した。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は一部で厳しい状況が残る中で持ち直している。

 イギリスは、持ち直している。

   ・221-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+2.0%

   (イギリスは+3.1%、ドイツは+0.9%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+4.6%6月)、イギリス+6.1%6月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直し、イギリスはこのところ増加している。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

 

 

2022年

6月

20日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.6.20)

基調判断

〈現状〉

・景気は、持ち直しの動きがみられる。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が

進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待

される。ただし、ウクライナ情勢の長期化や中国における経済活動抑制の影響などが懸念される中での原材料価格の上昇や供給面での制約に

加え、金融資本市場の変動等による下振れリスクに十分注意する必要がある。

 

 

世界経済・ウクライナ情勢

世界の景気は、中国において足踏みがみられるものの、持ち直している。

・OECD見通しでは22年の世界成長率は3.0%と、コロナ禍前と同程度の見込みとなった。

ただし、ウクライナ情勢を背景に成長率は下方修正した。

  ・OECD諸国の22年のインフレ率は8.8%34年ぶりの高い伸びとなる見込みである。

・足下の消費者物価は、欧米では前年比89%と、一段と上昇した。

・失業率は引き続き低下傾向となった。この下で、世界的に金融政策の正常化が引き続き進展した。

・ウクライナ情勢の長期化が懸念される中で、エネルギー、食料価格は引き続き高水準で不安定な動きとなった。

・中国では、厳しい防疫措置が徐々に緩和される中で、生産、消費は引き続き伸びが足踏みとなった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、このところ持ち直しの動きがみられる。

・外食や旅行等のサービス消費は持ち直しが続く。ただし、旅行では居住地から近隣県への旅行の回復が中心となっている。

・街角の景況感は、物価上昇への懸念もある一方、人出の増加や夏季の行事・旅行への期待等から上昇した。

・直近まで個人消費を週次の消費金額でみると、6月にかけても概ね平年を上回る水準となった。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、12+0.1%1月▲0.6%2月▲0.7%3+0.2%

      ・消費者態度指数(DI)は前月差で、1月▲1.8%2月▲1.3%3月▲2.4%4+0.2%5+1.1%。 

     4月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.3%となった。

 

物価

○  ウクライナ情勢等を背景とする原材料価格上昇等により、国内企業物価は5月は前年比9.1%上昇が続いており、価格上昇品目にはさらなる広がりが

     みられる。

   消費者物価は、エネルギーや食料品の値上げを背景にこのところ上昇している。

・4月は、携帯通信料引下げ効果の剥落もあり、前年比2.5%と約30年ぶりの高い伸び(総合)となった。

・ただし、G20諸国の半数程度が7%以上となる一方、日本は下位3番目であるなど、諸外国に比べて低い伸びにとどまる。

   我が国のエネルギー・食料品の物価上昇率は、これまで実施してきたガソリン等の激変緩和事業や電気代の燃料費調整制度、小麦の国内価格上昇を抑制する政策等もあり、欧米に比べて低い伸びに留まっている。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、住宅建設は、賃貸マンションや分譲マンションの需要増加を反映し、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、1月▲2.1%2+6.4%3+6.3%4月▲4.6%

・持家着工数は前月比で、1月▲7.1%2+2.6%3月▲0.1%4月▲2.3%

・貸家着工数は前月比で、1+5.0%2+1.3%3+18.7%4月▲11.8%

・分譲着工数は前月比で、1月▲4.8%2+17.7%3月▲2.7%43.2%

   公共投資は、このところ底堅い動きとなっている。

・請負金額は前月比で、12+0.4%(出来高▲3.2%)、221月▲2.4%(出来高▲2.0%)、2+0.7%(出来高▲0.7%)、3+13.6%(出来高+1.1%)、

4月▲3.4%5月▲2.0%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直しの動きとなった。就業者数は緩やかに増加し、失業率は3か月連続で低下となった。就業率(就業者数/人口)も、特に2564

     の女性において、コロナ前を上回る水準まで上昇した。

○ 求人は持ち直した。求人広告掲載件数をみると、生産工程等やサービスなど、幅広い業種において増加した。ハローワークによるネット経由の日次有効

    求人も、引き続き増加した。

○ 一人当たり賃金は、所定内給与の増加が続いたことなどから、4月も前年比プラスとなった。2022年春季労使交渉について、賃上げ率は2.09%と昨年を

   上回る状況。民間機関の調査によると、夏のボーナスも、4年ぶりのプラスとなる見込みである。

       ・有効求人倍率は、10.2021.2131.2241.23(正社員は0.97)となった。

・完全失業率は、112.8%122.7%12.8%22.7%、32.6%42.5%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

    ・1-3月期の経常利益は、製造業・非製造業ともに前年比で増益となり、概ねコロナ前の2019年を上回る水準となった。非製造業では、飲食サービス業や宿泊業などで、本業の利益を表す営業利益は赤字となった。

      ・中小企業製造業では、経常利益は原材料価格の上昇等を背景に前年比で減益。経常利益(売上高対比)をみると、商品仕入原価などが計上される売上原価の増加が下押しに寄与した。

      ・価格転嫁の程度を表す疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)をみると、中小企業では、加工系製造業において特に悪化した。引き続き価格

       転嫁が重要となる。

 

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

 ・ 1-3月期の設備投資は、製造業では前期比プラスとなった。機械投資には持ち直しの動きがみられる。ソフトウェア投資は月々の

    振れを伴いながら、均してみると緩やかに増加した。

2022年度の設備投資の見通しは、前年度比16.0%増と高い伸びとなっており、脱炭素やエネルギー効率上昇に向けた投資の実現が

 重要となる。

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・ 倒産件数はおおむね横ばいとなっている。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20216+149+1812+1820223+146+9

    「大企業・非製造業」は、20216+19+212+920223+96+7

    「中小企業・製造業」は、20216月▲79月▲312月▲120223月▲46月▲5

    「中小企業・非製造業」は、20216月▲99月▲1012月▲420223月▲6、▲10

 

生産

 生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

  ・供給制約等により、輸送機械は持ち直しに足踏みがみられる。また、電子部品・デバイスも、中国の活動制限の影響などから増勢が鈍化しているものの、   

    世界の半導体の需要見通しは、2022年は上方修正され、2023年も一層の増加が見込まれるなど、半導体製品に対する強い需要は今後も続く見込みと

なっている。

・鉱工業生産指数は前月比で、2+2.0%3+0.3%4月▲1.5%5月(予測)+4.8%6月(予測)+8.9%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、1+4.8%2月▲0.6%3+3.9%4月▲2.7%

・電子部品・デバイスは前月比で、1+10.4%2月▲0.7%、3+2.0%4月▲6.6%

   ・輸送機械は前月比で、1月▲15.7%2+14.8%3月▲5.1%4月▲0.1%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・アメリカや欧州向けは、持ち直しの動きがみられる一方、中国は5月も減少した。

○ 輸入は、下げ止まっている。

・輸入は、中国の活動制限の影響の緩和などから下げ止まりとなった。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、1月▲19.62月▲0.23+10.14+2.65+3.6

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月連続で上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、1月▲7.82+1.93+5.74+0.25+2.2

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、一部地方で経済活動が抑制されており、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、当面は一部地方での経済活動の抑制の影響が続くと見込まれる。

また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

   ・221-3月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+4.8%となった。

・消費はこのところ弱い動きとなっている。

・生産は、このところ持ち直しの動きがみられる。

・輸出は増加している。

・固定資産投資はこのところ伸びやや低下している。

・消費者物価上昇率はこのところ上昇している。

・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きがみられる。

    中国の景気下支え策

                  1.企業支援

               ○本年の減税・税還付を2.8兆円追加(総額52.8兆円)

               ○中小零細企業向け貸付、感染症の影響を受けた人々の住宅ローン返済猶予。

               ○交通・物流向けの特別再貸出(2兆円)。

               ○サービス業の中小零細企業の家賃を3~6カ月減免。

                  2.投資促進

               ○地方専項債券を、原則6月末までに発行・8月末までに使用を完了。

               ○国家重大インフラ発展計画を編成、重大プロジェクトを推進。

                  3.消費促進・家計支援策

               ○乗用車の取得税を減免(減税規模1.2兆円)。

               ○生活保障(救済補助金3.1兆円)。

                  4.雇用対策

               ○新規大卒生を雇う企業に最大一人当たり3万円を補助。

                  5.食料安全保障

  ○コスト上昇を補うため農業補助金2,000億円を支給。 等

○ 韓国・インド・インドネシアでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融資本市場の変動の影響や金融政策正常化の影響等を注視する必要がある。

20221-3月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率▲1.5%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

 ・5月の失業率は3.6%となった。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は緩やかに持ち直し、自動車販売台数はこのところ弱い動きとなっている。

○ 設備投資は緩やかに増加した。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は一部で厳しい状況が残る中で持ち直している。

イギリスは、持ち直している。

   ・221-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+2.5%(イギリスは+3.0%、ドイツは+0.9%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+4.4%5月)、イギリス+6.1%4月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直し、イギリスはこのところ増加している。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

 

 

2022年

5月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.5.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、持ち直しの動きがみられる。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が

進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待

される。ただし、中国における感染再拡大の影響やウクライナ情勢の

長期化などが懸念される中で、供給面での制約や原材料価格の上昇、

金融資本市場の変動等による下振れリスクに十分注意する必要がある。

また、感染症による影響を注視する必要がある。

 

 

世界経済・ウクライナ情勢

世界の景気は、中国等で感染再拡大の影響がみられるものの、持ち直している。

・1-3月期のGDPは、ユーロ圏、英国では引き続きプラス成長となり、この結果、アメリカ、ユーロ圏に続き、英国もコロナ禍

 前の水準を回復した。アメリカでは生産は緩やかな増加が続き、失業率は欧米ともに引き続き低下した。

 ・国際商品市場におけるエネルギーや食料の価格は、ウクライナ情勢等を背景に高水準で推移。

 ・中国では一部都市での厳しい防疫措置を受け、国内の消費、生産などが足下で大きく減少。海運など物流停滞もみられ、供給制約

  を通じた世界経済への影響に注視が必要。

 

日本のGDP成長率

20221-3月期の実質GDP成長率は、前期比▲0.2%と2期ぶりのマイナスとなった。

個人消費は横ばい、設備投資はプラスに寄与した。

一方、供給制約の緩和やワクチン・治療薬の購入などに伴う輸入増加で外需はマイナスに寄与し、GDP全体としてはマイナスとなった。

感染拡大の中でも内需がプラスという姿は、「ウィズコロナ」の下で、メリハリのきいた対策を講じることができ、経済社会活動を極力継続できるような取り組み

の表れとみられる。

○ 輸入物価上昇が内需に徐々に波及し、GDPデフレーターはプラスとなっている。

○ 年度でみると、2021年度は前年度比2.1%と3年ぶりのプラス成長となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、このところ持ち直しの動きがみられる。

・まん延防止等重点措置の解除等を背景に、外食や旅行等のサービス消費は持ち直しとなっている。

特にGW期間は、3年ぶりに行動制限がない中で、こうした分野を中心に活発な動きがみられる。

・直近までの週次の消費金額でみると、5月にかけても平年を上回る水準となっている。

・一方、物価上昇の下、実質総雇用者所得の伸びは抑制されており、こうした動向が消費に与える影響には注意が必要である。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、11+2.2%12+0.1%1月▲0.6%2月▲1.2%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、120.0%221月▲1.8%2月▲1.3%3月▲2.4%4+0.2%。 

3月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.3%となった。

 

物価

○  ウクライナ情勢等を背景とする原材料価格上昇等により、輸入物価は、4月は1974年以来の伸び(前月比)となっている。

○ 国内企業物価は、需要段階別にみると、素原材料や中間財は大きく上昇した。

・一方、最終財も上昇し、価格転嫁がうかがえるが、上昇幅は相対的に小さい。継続的な賃上げと価格転嫁が重要となる。

○ 消費者物価は、エネルギーや食料品の値上げを背景に上昇している。

・4月は、携帯通信料引下げ効果の剥落もあり、前年比2.5%と約30年ぶりの高い伸びとなった(総合指数、消費税増税期間を

  除く)。変動の大きい生鮮食品及びエネルギーを除いた品目からなる「コアコア」でみても、年率換算で2%程度となった

(前月比0.2%、4か月連続)。

○ 民間調査によれば、今後も光熱費や食料品等の品目で値上げが行われる見込みである。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、12月▲1.5%1月▲2.1%2+6.4%3+6.3%

・持家着工数は前月比で、12月▲3.3%1月▲7.1%2+2.6%3月▲0.1%

・貸家着工数は前月比で、12月▲0.2%1+5.0%2+1.3%3+18.7%

・分譲着工数は前月比で、11+2.6%12月▲1.5%1月▲4.8%2+17.7%3月▲2.7%

   公共投資は、このところ底堅い動きとなっている。

・請負金額は前月比で、11月▲0.3%(出来高▲1.0%)、12+0.4%(出来高▲3.2%)、221月▲2.4%(出来高▲2.0%)、2+0.7%(出来高+1.1%)、

3+13.64月▲3.4%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直しの動き。就業者数は緩やかに増加し、失業率は2か月連続で低下となった。1年以上の長期失業者も前年に比べて減少した。

○ 求人は持ち直している。製造業や宿泊・飲食サービス業において求人は増加した。ハローワークによるネット経由の日次有効求人も、引き続き増加。

○ 一人当たり賃金は、所定内給与の増加が続いたことなどから、3月は前年比プラスとなった。また、パート・アルバイト募集時の時給についても、幅広い

  職種において増加傾向で推移している。

    ・有効求人倍率は、111.15121.1710.2021.2131.22(正社員は0.94)となった。

・完全失業率は、102.7%112.8%122.7%12.8%22.7%,32.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

   ・1-3月期の上場企業の経常利益は、製造業・非製造業ともに増益となり、コロナ前の2019年を大きく上回る水準。機械製品の好調さや物流の活発化、

        資材の取引価格上昇の影響などを受け、多くの業種で増益となった。

   ・ 企業の景況感は、原材料価格の高騰などを背景に、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

   ・ ただし、1-3月期のGDP統計によれば、資本財価格等の上昇の下、実質ベースの伸びは名目を下回る。

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

  ・ 倒産件数はおおむね横ばい、休廃業・解散は減少となった。

  ・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20216+149+1812+1820223+146+9

    「大企業・非製造業」は、20216+19+212+920223+96+7

    「中小企業・製造業」は、20216月▲79月▲312月▲120223月▲46月▲5

    「中小企業・非製造業」は、20216月▲99月▲1012月▲420223月▲6、▲10

 

生産

 生産は、持ち直しの動きがみられる。

・供給制約等により、輸送機械は持ち直しに足踏みがみられる一方、生産用機械や電子部品・デバイスなどが緩やかに増加した。足下では、中国での

 活動制限を受け、国内の様々な業種において、部品・製品調達の遅れや生産活動の停滞が生じており、今後の影響を注視する必要がある。

 ・鉱工業生産指数は前月比で、1月▲2.4%2+2.0%3+0.3%4月(予測)+5.8%5月(予測)▲0.8%

 ・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、12月▲3.4%1+4.8%2月▲0.6%3+3.9%

 ・電子部品・デバイスは前月比で、12月▲3.0%1+10.4%2月▲0.7%3+2.0%

    ・輸送機械は前月比で、12+0.9%1月▲15.7%2+14.8%3月▲5.1%

     中国での活動制限に伴う調達や精算等への影響

      自動車…………中国のロックダウンに伴う部品調達難により、国内複数工場 の稼働を一時停止。

      半導体メーカー、製紙業者……中国の港湾の閉鎖に伴い部品を迂回ルートで調達。

    ・電機メーカー…洗濯機、炊飯器、電子レンジ等一部電化製品の新規受注を 停止。

    ・家電量販店……調理家電やエアコン等が一部品薄。

    ・家具小売店……棚やテーブル、ソファ等約40品目が販売停止。

    ・衣料販売店……婦人・紳士衣料品の納品に遅れ。

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・我が国の輸出は概ね横ばい。アメリカや欧州向けは、持ち直しの動きがみられる一方、アジアは中国向けの落ち込みにより弱含み。

 輸入は、中国の活動制限の影響などから弱含みとなっている。

○ 輸入は、このところ弱含んでいる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、12+0.7221月▲19.62月▲0.23+10.14+2.6

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、12月▲2.9221月▲7.82+1.93+5.74+0.2

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、一部地方で経済活動が抑制されており、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

先行きについては、持ち直しの動きが続くことが期待される。ただし、当面は一部地方での経済活動の抑制の影響が続くと見込まれる。

また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

   ・221-3月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+4.8%となった。

     ・消費はこのところ弱い動きとなっている。

     ・生産は、このところ伸びがやや低下している。

     ・輸出は緩やかに増加している。

     ・固定資産投資はこのところ伸びやや低下している。

     ・消費者物価上昇率はこのところ上昇している。

     ・製造業購買担当者指数(PMI)は低下している。

○ 韓国・インド・インドネシアでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融資本市場の変動の影響

や感染症による内外経済への影響等を注視する必要がある。

20221-3月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率▲1.4%

○ 雇用者数は増加、失業率は低下した。

 ・4月の失業率は3.6%となった。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は緩やかに持ち直し、自動車販売台数は持ち直しの動きがみられる。

○ 設備投資は緩やかに増加した。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

   ※FOMC5月会合(5/34 決定事項

 ○ 政策金利の誘導目標 範囲を0.50%ポイント 引上げる。

 ○ 6/1から、以下を毎月の削減上限として、 保有資産の削減を開始。

・米国債:300億ドル/

MBS175億ドル/

  削減開始から3か月後、 削減上限を以下のとおり 引上げ予定。

・米国債:600億ドル/

MBS350億ドル/

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は一部で厳しい状況が残る中で持ち直している。

イギリスは、景気は厳しい状況が緩和される中で、持ち直している。

   ・221-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.1%

   (イギリスは+3.0%、ドイツは+0.8%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+3.9%4月)、イギリス+6.1%4月)。

○ 輸出は、ユーロ圏・イギリスともにこのところ持ち直している。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ持ち直しの動きがみられる。

 

 

2022年

4月

21日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.4.21)

基調判断

〈現状〉

・景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が緩和される中   

 で、持ち直しの動きがみられる。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動が正常に

 向かう中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち

 直していくことが期待される。ただし、ウクライナ情勢等による

 不透明感がみられる中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動、

 供給面での制約等による下振れリスクに十分注意する必要がある。

 また、感染症による影響を注視する必要がある。

 

 

世界経済・ウクライナ情勢

世界の景気は持ち直している。IMF見通しでは、22年の世界全体の成長率は+3.6%と引き続きプラス成長だが、ウクライナ情勢による不透明感を

  背景にこれまでの見通しを下方修正している。

○ 国際商品市場における価格上昇等を背景に、先進国、新興国ともにインフレ率は一層上昇。欧米の消費者マインドはこのところ低下している。

○ 中国は、感染の早期抑え込みと減少を目指す「ダイナミックゼロ」の方針の下、一部都市で厳しい防疫措置を実施している。企業マインドの低下、消費の

  下押し等がみられており、動向に注視が必要である。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、このところ持ち直しの動きがみられる。

・外食や旅行等のサービス消費は、まん延防止等重点措置解除もあり、持ち直しの動きがみられる。消費金額を週次でみると、4月にかけて徐々に改善

 している。

・交通機関の利用実績は、3月は上昇し、GW期間の鉄道の予約状況も前年を上回る。

・一方、消費者マインドは、生活関連品目の価格上昇等を背景に、弱含んでおり、今後の消費に与える影響には注意が必要である。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、10+1.8%11+2.2%12+0.1%1月▲0.3%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、110.0%120.0%221月▲1.8%2月▲1.3%3月▲2.4%。 

       2月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.1%となった。

 

物価

○ 原油や穀物などの国際商品価格はウクライナ情勢を背景に引き続き高い水準で不安定な動きとなっている。国内企業物価は上昇が

   続いており、価格上昇品目にも広がりがみられる。

○ こうした中、販売価格を引き上げる動きもみられており、販売価格DIは1980年以来の高水準。ただし、仕入価格DIも引き続き

   上昇、価格転嫁の程度を表す疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)は悪化しており、企業収益への影響に注意が必要。

○ 消費者物価は、エネルギーや食料品価格の上昇を主因に、上昇率が高まっている。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、このところ弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、11月▲3.0%12月▲1.5%1月▲2.1%2+6.4%

・持家着工数は前月比で、11月▲3.9%12月▲3.3%1月▲7.1%2+2.6%

・貸家着工数は前月比で、11月▲6.1%12月▲0.2%1+5.0%2+1.3%

・分譲着工数は前月比で、11+2.6%12月▲1.5%1月▲4.8%2+17.7%

   公共投資は、このところ底堅い動きとなっている。

・請負金額は前月比で、10月▲3.4%(出来高▲1.0%)、11月▲0.3%(出来高▲1.0%)、12+0.4%(出来高▲3.2%)、221月▲2.4%(出来高▲2.0%)、

2+0.7%3+13.6             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、弱い動きとなっているものの、就業者数及び失業率は概ね横ばいで推移している。就業率は全体として横ばいであるが、2564歳の女性は

      上昇傾向にある。

     雇用の過不足感が、幅広い業種で不足超となる中で、ハローワークによるネット経由の日次有効求人件数は、前年比で増加が続いており、求人は持ち直し 

      の動きがみられる。

      2月の一人当たり賃金は、人手不足などを背景としたパートタイム労働者の所定内給与の増加などから、前年比プラス。2022年春季労使交渉について、

        連合の第4回回答集計では、賃上げ率2.11%(うちベアは0.62%)と昨年を上回る状況である。

  ・有効求人倍率は、101.15111.15121.1710.2021.21(正社員は0.93)となった。

・完全失業率は、92.8%102.7%112.8%122.7%12.8%22.7%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

   ・企業の景況感は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。日銀短観3月調査によると、前回12月調査から低下した。感染症の影響や原材料高を背景に、

        宿泊・飲食サービスをはじめ、多くの業種で低下している。

・先行きについても、ウクライナ情勢を背景に低下している。

     ・民間機関の調査によると、ロシア・ウクライナ情勢に対して、既に燃料価格の高騰等の影響が出ており、今後も幅広い業種でマイナスの影響が予想され

        ている。

    ・2022年度の経常利益は、2021年度と同程度の利益が見込まれているものの、一部の製造業では、前年度比マイナスの見込みとなっている。

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

     ・ 設備の過剰感は、日銀短観3月調査によると、製造業・非製造業ともに概ね解消している。2022年度の設備投資計画は、引き

      続き前年より増加し、特にソフトウェア投資が大きく増加する見込みとなっている。

   ただし、業種別にみると、運輸・郵便や卸・小売など非製造業の一部で前年度比マイナスとなっている。

     ・利益水準に比べて設備投資の水準が低い傾向が続いていたが、今後の利益改善が積極的な設備投資につながることを期待したい。

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

   ・ 倒産件数は、おおむね横ばいとなった。

   ・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20216+149+1812+1820223+146+9

    「大企業・非製造業」は、20216+19+212+920223+96+7

    「中小企業・製造業」は、20216月▲79月▲312月▲120223月▲46月▲5

    「中小企業・非製造業」は、20216月▲99月▲1012月▲420223月▲6、▲10

 

生産

 生産は、持ち直しの動きがみられる。

・生産用機械や電子部品・デバイスなどが緩やかに増加した。工作機械受注は、内外需ともに底堅い動きとなっている。

・鉱工業生産指数は前月比で、12月▲1.0%1月▲0.8%2+2.0%3月(予想)+3.6%3月(予測)+9.6%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、11+0.1%12月▲3.4%1+4.8%2月▲0.6%

・電子部品・デバイスは前月比で、11+3.1%12月▲3.0%1+10.4%2月▲0.7%

・輸送機械は前月比で、11+28.5%12+0.9%1月▲15.7%2+14.8%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・弱含んでいたアジア向けが、中国の生産活動の持ち直し等を背景に横ばいとなり、アメリカや欧州向けも横ばいとなっている。

 2月の輸出では、半導体製造装置などの一般機械やプラスチックなどの化学製品がプラスに寄与した。

○ 輸入は、おおむね横ばいとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、一部地方で経済活動が抑制されているものの、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、持ち直しの

   動きが続くことが期待される。

 ただし、当面は一部地方での経済活動の抑制の影響が続くと見込まれる。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

   ・221-13月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+4.8%となった。

・消費はこのところ伸びが低下している。

・生産は、このところ伸びがやや低下している。

・輸出は増加している。

・固定資産投資はこのところ伸びが上昇している。

・消費者物価上昇率はこのところやや上昇している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ低下している。

    

○ 韓国・インド・インドネシアでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。

202110-12月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+6.9%

○ 雇用者数は緩やかに増加、失業率は低下した。

 ・3月の失業率は3.6%となった。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は緩やかに持ち直し、自動車販売台数はこのところ減少している。

○ 設備投資は増勢が鈍化した。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏は、景気は一部で厳しい状況が残る中で、持ち直している。

   イギリスは、厳しい状況が緩和される中で、持ち直している。

   ・2110-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.0%

   (イギリスは+5.2%、ドイツは▲1.4%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+3.2%3月)、イギリス+5.7%3月)。

○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直している。イギリスでは持ち直している。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ持ち直しの動きがみられる。

 

 

2022年

3月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.3.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナウイルス

 感染症による厳しい状況が残る中で、一部に弱さがみられる。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動が正常に

 向かう中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち

 直していくことが期待される。ただし、ウクライナ情勢等による

 不透明感がみられる中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動、 

 供給面での制約等による下振れリスクに十分注意する必要がある。

 また、感染症による影響を注視する必要がある。

 

 

世界経済・ウクライナ情勢

ウクライナ情勢を受け、世界的に不確実性が上昇している。我が国の景気の先行きについても、商品市場、金融資本市場、貿易、世界経済の変動等を

  通じた影響に注視が必要である。

○ エネルギー・食糧等を始め商品価格は一層上昇、金融資本市場は不安定な動き。ロシアに対するエネルギー依存度は、欧州諸国で相対的に高い。

○ 欧米の先行き見通しは、物価上昇率は上方修正、成長率は下方修正だが、持ち直しが続く見込みとなっている。この下で、欧米で金融政策の正常化に

  向けた動きが進展している。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直しに足踏みがみられる。

・財消費は引き続き底堅い一方、3月21日までのまん延防止等重点措置の影響もあり、旅行や外食等のサービス消費は、2月後半も総じて弱めの動きが

 続く。

・週次の個人消費は、振れを伴いつつも、概ね平年水準(2017-19年)の下限程度で推移。

・消費者マインドは、まん延防止等重点措置の延長や原材料価格の上昇の影響への懸念等を背景に、小幅低下した。

・物価上昇の下で、賃上げが実現され、所得が増加し、それが消費に結び付くことが重要である。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、9月▲0.1%10+1.8%11+2.2%12+0.4%

      ・消費者態度指数(DI)は前月差で、10+1.4%110.0%12月▲0.1%221月▲2.4%、2月▲1.4%。 

     1月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.9%となった。

 

物価

○  国内企業物価は、このところ上昇している。消費者物価は、このところ緩やかに上昇している。

  なお、前年比の表示では、4月には昨年の携帯電話通信料引下げの効果が剥落し、数値はその分、増加する。

○ 原油価格の上昇を受け、ガソリンなどのエネルギー価格は上昇している。また、国際商品市況の上昇も背景に、4月以降も様々

  な品目で値上げを予定している

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、このところ弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、10+3.711月▲3.0%12月▲1.5%1月▲2.1%

・持家着工数は前月比で、10月▲0.2%11月▲3.9%12月▲3.3%1月▲7.1%

・貸家着工数は前月比で、10+2.7%11月▲6.1%12月▲0.2%1+5.0%

・分譲着工数は前月比で、10+10.1%11+2.6%12月▲1.5%1月▲4.8%

   公共投資は、高水準にあるものの、このところ弱含んでいる。

・請負金額は前月比で、9月▲3.3%(出来高▲2.6%)、10月▲3.4%(出来高▲1.0%)、11月▲0.3%(出来高▲1.0%)、12+0.4%(出来高▲3.2%)、

221月▲2.4%(出来高▲2.0%)、2+0.7%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、感染症の影響が残る中で、引き続き弱い動きとなっているものの、求人等に持ち直しの動きがみられる。

・雇用者数及び失業率は概ね横ばいで推移している。雇用調整助成金の週間支給金額は減少しているものの、引き続き雇用維持に寄与している。

・1月の一人当たり賃金は、前年比プラスとなっている。2022年春季労使交渉について、連合の第1回回答集計では、賃上げ率は2.14%(うちベアは

 0.5%)と昨年(1.81%)を上回る状況である。

   ・有効求人倍率は、91.16101.15111.15121.1710.20(正社員は0.91)となった。 

   ・完全失業率は、92.8%102.7%112.8%122.7%12.8%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

  ・20211012月期の経常利益は、経済社会活動の水準が引き上げられる中で、製造業・非製造業ともに増加し、総じて改善した。

      大中堅企業、中小企業とも本業の利益を示す営業利益が増加している。ただし、宿泊業の営業利益は引き続き赤字となるなど、非製造業の一部に弱さ

      がみられる。

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

   202110-12月期の設備投資は、製造業・非製造業ともに前期比プラスとなった。

    機械投資には持ち直しの動 きがみられ、先行指標も持ち直している。

   ・2022年度の設備投資の見通しは、前年度比8.2%増と高い伸びを維持している。ただし、キャッシュフローの 増加に比べて設備

  投資の伸びは緩やかとなっている。今般のエネルギー価格上昇等を踏まえると、脱炭素やエネル ギー効率上昇に向けた投資が一層

  重要である。

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

 ・  先行きは、原材料価格上昇、ウクライナ情勢による不透明感を背景に低下した。

・ 倒産件数は、おおむね横ばいとなった。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20213+56+149+1812+1820223+13

    「大企業・非製造業」は、20213月▲16+19+212+920223+8

    「中小企業・製造業」は、20213月▲136月▲79月▲312月▲120223月▲1

    「中小企業・非製造業」は、20213月▲116月▲99月▲1012月▲420223月▲6

 

生産

 生産は、持ち直しの動きとなっている。

・アジア向け輸出動向等を背景に、生産用機械や電子部品・デバイスなどが緩やかに増加。

・ウクライナ情勢については、民間機関の調査では、約6割の企業がマイナスの影響を与えると回答しており、今後の影響に注視が必要である。

・鉱工業生産指数は前月比で、11+7.0%12月▲1.0%1月▲0.8%2月(予想)+5.7%3月(予測)+0.1%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、10+4.2%11+0.1%12月▲3.4%1+4.8%

・電子部品・デバイスは前月比で、10月▲1.1%11+3.1%12月▲3.0%1+10.4%

   ・輸送機械は前月比で、10+17.4%11+28.5%12+0.9%1月▲15.7%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・弱含んでいたアジア向けが、中国の生産活動の持ち直し等を背景に横ばいとなり、アメリカや欧州向けも横ばいとなった。

○ 輸入は、おおむね横ばいとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

 ・現状・季節調整値DIは前月差で、10+13.411+0.812+0.7221月▲19.62月▲0.2

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに上昇した。

 ・先行き・季節調整値DIは前月差で、10+0.911月▲4.112月▲2.9221月▲7.82+1.9

 

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、一部地方で経済活動が抑制されているものの、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、持ち直しの動きが続くことが期待される。ただ

し、当面は一部地方での経済活動の抑制の影響が続くと見込まれる。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

   ・2110-12月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+4.0%となった。

・消費はこのところ伸びが低下している。

・生産は、このところ伸びが上昇している。

・輸出は増加している。

・固定資産投資はこのところ伸びが上昇している。

・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところおおむね横ばいとなっている。

    ※ 3511日に開催された全国人民代表大会で、2022年の主要目標や政策運営方針が示された。

        経済政策に関する主な点は以下のとおり。

      ・22年の実質経済成長率目標は5.5%前後(21年目標6%以上、実績8.1%)。 

      ・今年中国が直面するリスクや課題は著しく増加している。  

      ・穏健な金融政策の実施を強化:柔軟かつ適度にし、流動性に合理的なゆとりをもたせる。

        債務総額の対GDP比の基本的な安定を維持。

      ・不動産市場は合理的な住宅需要を満たすようサポートし、地価・住宅価格・ 市場期待を安定させる。

      ・積極的な財政政策の効果の向上を図り、より一層持続可能性を重視。

財政赤字(中央+地方)は、対GDP比2.8%前後(21年目標3.2%前後)。

地方特別債の発行枠は3.65兆元(21年と同規模、1元=約19円)。

減税措置の延長・付加価値税の還付等で約2.5兆元の企業負担を軽減20 と同規模)。 

      ・穏健な金融政策の実施を強化:柔軟かつ適度にし、流動性に合理的なゆとりをもたせる。

        債務総額の対GDP比の基本的な安定を維持。

 

      ・不動産市場は合理的な住宅需要を満たすようサポートし、地価・住宅価格・ 市場期待を安定させる。

○ 韓国・インド・インドネシアでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。

202110-12月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+7.0%

○ 雇用者数は緩やかに増加、失業率は低下した。

 ・2月の失業率は3.8%となった。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は緩やかに持ち直し、自動車販売台数は持ち直しの動きがみられる。

○ 設備投資は増勢が鈍化した。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏は、景気は一部で厳しい状況が残る中で、持ち直している。先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、ウクライナ情勢が

     経済活動に与える影響によっては、景気が下振れするリスクがある。また、金融資本市場の変動の影響や感染症による内外経済への影響等を注視する

     必要がある。

      イギリスは、厳しい状況が緩和される中で、持ち直している。先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融資本市場の変動の影響や

     感染症による内外経済への影響等を注視する必要がある。

   ・2110-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.0%(イギリスは+3.9%、ドイツは▲1.4%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+2.9%2月)、イギリス+5.1%2月)。

○ 輸出は、ユーロ圏・イギリスともにこのところ持ち直している。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ持ち直しの動きがみられる。

 

 

2022年

2月

17日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.2.17)

基調判断

〈現状〉

・景気は、持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナウイルス

 感染症による厳しい状況が残る中で、一部に弱さがみられる。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動を継続して

 いく中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち

 直していくことが期待される。ただし、感染拡大による影響や供給

 面での制約、原材料価格の動向による下振れリスクに十分注意する

 必要がある。

 また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

 

 

我が国の実質GDP成長率

○ 20211012月期の実質GDP成長率は、前期比1.3%と2四半期ぶりのプラスとなり、概ねコロナ前の水準まで回復。緊急事態宣言等の解除を受けた

  経済社会活動の段階的な引上げ、東南アジアでの感染拡大に伴う部品供給不足の緩和もあり、個人消費、輸出、設備投資がいずれもプラスに寄与した。

・特に、個人消費については、自動車等の耐久財や旅行・外食等のサービスが増加した。

○ 暦年でみると、2021年は前年比1.7%と3年ぶりのプラス成長となった。

 

世界経済

欧米主要国の211012月期の実質GDP成長率は、供給制約や感染拡大の影響もある中で、総じてプラス成長が続く。IMF見通しでは世界全体の22

  の成長率は∔4.4%と、景気は持ち直しが続く見込みである。

○ 昨年末以降、感染の急速な拡大・縮小が、欧米各国で時間差を伴ってみられたが、感染者数に比べ重症者数は抑制的、消費への影響も昨年対比では

  限定的となっている。一方、ウクライナ情勢をめぐる緊張がみられる中、エネルギーを中心とした商品市場や金融資本市場等の変動には注視が必要である。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直しに足踏みがみられる。消費者マインドは、まん延防止等重点措置の実施等により、大幅に低下した。感染拡大を受け、小売・娯楽

  施設の人流は、1月以降減少傾向にある。

・週次の個人消費は、昨年12月後半以降、平年水準(2017-19年)と同程度の水準で推移している。

・年末年始の売上高は、昨年より好調との声がある。

・外食や旅行のサービス消費は、引き続き持ち直しの動きとなっている。年末年始の交通機関の利用実績をみると、コロナ前(2019年度)を下回るものの、

 昨年を大きく上回る水準に回復している。

・年末年始の小売・娯楽施設の人流は昨年より増加した。医療提供体制の強化やワクチン接種の促進、治療薬の確保に万全を期し、経済社会活動を

極力継続できる環境を作っていくことが重要である。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、8月▲1.8%9月▲0.1%10+1.8%11+2.1%。 

・消費者態度指数(DI)は前月差で、9+1.1%10+1.4%110.0%12月▲0.1%221月▲2.4%。 

12月の実質総雇用者所得は、前期比で▲1.0%となった。

 

物価

 国内企業物価は、このところ緩やかに上昇している。消費者物価は、底堅さがみられる。

・原油価格は年初以降、再び上昇、国内ガソリン価格も1月第4週に170円超となるなど上昇した。

・国内企業物価は、原油・エネルギー関係品目を中心に、全体として上昇した。

・消費者物価について、生鮮食品・エネルギーを除いた「コアコア」で物価の基調をみると、底堅さがみられるが、「総合」でみると、エネルギー・資源

価格の上昇等を受けて、緩やかに上昇した。この下で、家計の電気、ガソリンなどエネルギー関連の支出増は、収入対比でみると、低所得層ほど大きい。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、このところ弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、9月▲1.2%10+3.711月▲3.0%12月▲1.5%

・持家着工数は前月比で、9+2.0%10月▲0.2%11月▲3.9%12月▲3.3%

・貸家着工数は前月比で、9+0.7%10+2.7%11月▲6.1%12月▲0.2%

・分譲着工数は前月比で、9月▲7.2%10+10.1%11+2.6%12月▲1.5%

   公共投資は、高水準にあるものの、このところ弱含んでいる。

・請負金額は前月比で、8+0.6%(出来高▲3.2%)、9月▲3.3%(出来高▲2.6%)、10月▲3.4%(出来高▲1.0%)、11月▲0.3%(出来高▲1.0%)、12+0.4%221月▲2.4%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、感染症の影響が残る中で、引き続き弱い動きとなっているものの、求人等に持ち直しの動きがみられる。

・雇用者数及び失業率は概ね横ばいで推移している。日次有効求人件数は引き続き改善傾向にある。

・新規求人数は、水準は低いものの、持ち直しの動きがみられる。一方、高齢層を中心に、非労働力人口は増加した。

202112月の賃金は、ボーナス(特別給与)の減少により、前年比マイナスとなった。なお、このところ前職と比べて賃金が1割以上増加した転職決定者

の割合は2期連続で上昇し、3割を超える。

・有効求人倍率は、81.1491.16101.15111.15121.16(正社員は0.86)となった。

・完全失業率は、82.8%92.8%102.7%112.8%122.7%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、持ち直している。

   ・経済社会活動の水準を引き上げる中で、1012月期の上場企業の経常利益は、製造業・非製造業ともに増加し、コロナ前の20191012月期を大きく上回る水準まで回復した。DX需要の取り込みや物流の活発化した、資材の取引価格上昇の影響などを受け、多くの業種で増加した。

       ・GDPベースでみた1012月期の設備投資は、プラスの伸びとなった。機械投資や構築物投資の

先行指標は、持ち直しの動きがみられる。また、デジタル化の対応もあり、ソフトウェア投資は10月以降、緩やかに増加している。

○ 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

   ・倒産件数は、おおむね横ばいとなった。

   ・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20213+56+149+1812+1820223+13

    「大企業・非製造業」は、20213月▲16+19+212+920223+8

    「中小企業・製造業」は、20213月▲136月▲79月▲312月▲120223月▲1

    「中小企業・非製造業」は、20213月▲116月▲99月▲1012月▲420223月▲6

 

生産

 生産は、持ち直しの動きとなっている。

・部品供給不足の緩和により、自動車等の輸送機械が持ち直し。生産用機械や電子部品・デバイスなどを中心に、先行きは増加が続く見込みとなっている。

 また、世界的に製品納期が長期化する中、我が国は、相対的に影響は小さいものの、供給面の制約には引き続き注視が必要である。

・鉱工業生産指数は前月比で、10+1.8%11+7.0%12月▲1.0%1月(予想)+5.2%2月(予想)+2.2%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、9月▲3.3%、10+4.2%11+0.1%12月▲3.4%

・電子部品・デバイスは前月比で、9月▲4.1%、10月▲1.1%11+3.1%12月▲3.0%

   ・輸送機械は前月比で、9月▲24.6%、10+17.4%11+28.5%12+0.9%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・中国を中心とするアジア向けが弱含む一方、アメリカや欧州向けは概ね横ばいとなっている。

品目別では、自動車関連財が持ち直す一方、資本財や情報関連財が鈍化した。

○ 輸入は、このところ弱含んでいる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、5か月ぶりに大きく下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、10+13.411+0.812+0.7221月▲19.6

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月連続で下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、9+12.910+0.911月▲4.112月▲2.9221月▲7.8

 

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気の回復テンポは、このところ鈍化している。

   ・2110-12月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+4.0%となった。

・消費はこのところ伸びが低下している。

・生産は、このところ伸びがおおむね横ばいとなっている。

・輸出は増加している。

・固定資産投資は伸びが低下している。

・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところおおむね横ばいとなっている。

○ 韓国・インド・インドネシアでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。

202110-12月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+6.9%

○ 雇用者数は緩やかに増加、失業率は低下した。

 ・1月の失業率は4.0%となった。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は持ち直しのテンポが緩やかになり、自動車販売台数は持ち直しの動きがみられる。

○ 設備投資はこのところ増勢が鈍化した。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏は、景気は一部で厳しい状況が残る中で、持ち直している。

イギリスは、厳しい状況が緩和される中で、持ち直している。

   ・2110-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.2%

   (イギリスは+3.9%、ドイツは▲2.9%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+2.5%1月)、イギリス+4.1%12月)。

○ 輸出は、ユーロ圏・イギリスともにこのところ持ち直している。

○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに横ばいとなっている。

 

 

2022年

1月

18日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.1.18)

基調判断

〈現状〉

・景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和

  される中で、このところ持ち直しの動きに弱さがみられる。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動を継続して

 いく中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの

   動きが続くことが期待される。ただし、感染症による影響や供給面

   での制約、原材料価格の動向による下振れリスクの高まりに十分注意

   する必要がある。

また、変異株をはじめ感染症による内外経済への影響や金融資本市場

変動等の影響を注視する必要がある。

 

 

世界経済

○  昨年末以降、欧米各国で感染の拡大が見られているが、感染者数の増加に比べ重症者数の増加は抑えられている。ワクチン接種の進展前の2020

    や2021年初とは異なり、経済社会活動の抑制は限定的とみられる。ただし、消費への影響も含め、今後の動向を注視していく必要がある。

○ 欧米では、景気の持ち直しが続く中で、物価の上昇や雇用情勢の改善が継続している。

○ 中国では、211012月期の実質GDP成長率が前年比+4.0%となった。政府の環境規制や不動産開発規制に加え感染拡大に伴う制限措置も実施

     されており、当面は回復の鈍さが続くことが見込まれる。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

・週次の個人消費は、昨年12月後半以降、平年水準(2017-19年)と同程度の水準で推移している。年末年始の売上高は、昨年より好調との声がある。

・外食や旅行のサービス消費は、引き続き持ち直しの動きとなっている。年末年始の交通機関の利用実績をみると、コロナ前(2019年度)を下回るものの、

  昨年を大きく上回る水準に回復している。

・年末年始の小売・娯楽施設の人流は昨年より増加した。医療提供体制の強化やワクチン接種の促進、治療薬の確保に万全を期し、経済社会活動を

極力継続できる環境を作っていくことが重要である。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、7+0.2%8月▲1.8%9月▲0.1%10+1.4%

      ・消費者態度指数(DI)は前月差で、8月▲0.8%9+1.1%10+1.4%110.0%12月▲0.1%。 

     11月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.8%となった。

 

物価

 国内企業物価は、このところ上昇テンポが鈍化している。消費者物価は、底堅さがみられる。

企業物価は、資源価格等の価格上昇鈍化を受け、このところ上昇テンポが鈍化した。

   消費者物価について、生鮮食品・エネルギーを除いた「コアコア」で物価の基調をみると、底堅さがみられるが、「総合」でみると、エネルギー・資源

  価格の上昇等を受けて、緩やかに上昇した。

・対人サービスは、財に比べて価格上昇テンポが緩やかとなっている。価格転嫁の程度を表す疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)をみると、

宿泊・飲食、運輸・郵便などのサービス業において特に悪化しており、価格転嫁の進展が重要となる。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、8月▲7.7%9月▲1.2%10+5.611月▲4.9%

・持家着工数は前月比で、8月▲3.5%9+2.0%10+2.1%11月▲6.2%

・貸家着工数は前月比で、8月▲7.5%9+0.7%10+1.5%11月▲7.1%

・分譲着工数は前月比で、8月▲13.3%9月▲7.2%10+16.0%11月▲0.3%

   公共投資は、高水準にあるものの、このところ弱含んでいる。

・請負金額は前月比で、7月▲11.0%(出来高+0.0%)、8+0.6%(出来高▲3.2%)、

9月▲3.3%(出来高▲2.6%)、10月▲3.4%(出来高▲1.0%)、11月▲0.3%12+0.4%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、弱い動きとなっているものの、求人等に持ち直しの動きがみられる。

   ・雇用者数及び失業率は概ね横ばいで推移している一方、日次有効求人件数は引き続き改善傾向となっている。

       ・高齢者の雇用機会の確保が進む中で、高齢者(65歳以上)の就業率は改善傾向で推移してきたが、感染拡大後は上昇テンポが鈍化。産業別の高齢者 

         の雇用者数をみると、宿泊・飲食や建設で減少する一方、医療・福祉や卸売・小売等で増加している。

  ・11月の賃金は、前年比横ばいとなった。パート・アルバイトの時給は、緊急事態宣言等が解除された10月以降、需要の急速な回復による人手不足など

    を背景に、一部の職種で大きく改善した

  ・有効求人倍率は、71.1581.1491.16101.15111.15(正社員は0.87)となった。

・完全失業率は、72.8%82.8%92.8%102.7%112.8%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、持ち直している。

    ・景気ウォッチャー調査の企業動向関連DIをみると、現状判断は、引き続き基準となる50を上回る。

   一方で、先行き判断は50を下回り、オミクロン株の感染拡大の ほか、原材料価格の上昇や半導体を含む品不足の動きへの警戒感等が示されている。

・設備投資について、2021年度の設備投資計画は引き続き前年より増加する見込みであり、特にソフトウェア投資は大きく増加する見込みとなっている。

・ソフトウェア投資が生産性を改善させる効果は、教育訓練投資に積極的な企業ほど大きい。デジタル 化の効果を最大化する観点からも、「人への投資」

  に官民を挙げて注力していく必要がある。

○ 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

・ 倒産件数は、資金繰り支援等もあり、おおむね横ばいとなった。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20213+56+149+1812+1820223+13

    「大企業・非製造業」は、20213月▲16+19+212+920223+8

    「中小企業・製造業」は、20213月▲136月▲79月▲312月▲120223月▲1

    「中小企業・非製造業」は、20213月▲116月▲99月▲1012月▲420223月▲6

 

生産

 生産は、持ち直しの動きとなっている。

・部品供給不足の緩和もあり、輸送機械が持ち直すとともに、その回復がプラスチック製品や鉄鋼・非鉄金属といった他産業にも波及し始めている。

・鉱工業生産指数は前月比で、9月▲5.4%10+1.8%11+7.2%12月(予想)+1.6%1月(予想)+5.0%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、8月▲3.2%9月▲3.3%、10+4.2%11+0.1%

・電子部品・デバイスは前月比で、8月▲2.9%9月▲4.1%、10月▲1.1%11+3.1%

   ・輸送機械は前月比で、8月▲12.5%9月▲24.6%、10+17.4%11+28.5%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・ 自動車関連財は持ち直す一方、資本財は増勢が鈍化した。情報関連財は概ね横ばいとなっている。

ただし、足下の情報関連財の輸出では、デジタル関連需要の拡大を受け、5G関連の基地局や携帯電話向けの通信機の部分品等が増加した。5G関連の

投資は世界的に一層の増加が見込まれている。

○ 輸入は、このところ弱含んでいる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、9+7.410+13.411+0.812+0.1

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、8月▲4.79+12.910+0.911月▲4.112月▲4.0

 

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気の回復テンポは、このところ鈍化している。

   ・217-9月期の実質GDP成長率は+4.9%となった。

・消費はこのところ伸びが低下している。

・生産は、このところ伸びがおおむね横ばいとなっている。

・輸出は増加している。

・固定資産投資は伸びが低下している。

・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きとなっている。

○ 韓国では、景気は持ち直しの動きが緩やかになっている。

○ インドでは、景気は持ち直している。

○ インドネシア・タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。

20217-9月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+2.3%

○ 雇用者数は緩やかに増加、失業率は低下した。

 ・12月の失業率は3.9%となった。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は持ち直し、自動車販売台数は下げ止まりの兆しがみられる。

○ 設備投資はこのところ増勢が鈍化した。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・イギリスともに、景気は厳しい状況が緩和される中で、持ち直している。

   ・217-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+9.1%

   (イギリスは+4.3%、ドイツは+7.0%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しており、イギリスは持ち直しているが、このところ一服感がみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+2.7%12月)、イギリス+3.9%11月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直しの動きがみられ、イギリスはこのところ持ち直している。

○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに横ばいとなっている。

 

 

2021年

12月

21日

月例経済報告

 

月例経済報告(R3.12.21)

基調判断

〈現状〉

・景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和

 される中で、このところ持ち直しの動きに弱さがみられる。

〈先行き〉              

・先行きについては、経済社会活動が正常化に向かう中で、各種政策の

効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待

される。ただし、供給面での制約や原材料価格の動向による下振れ

リスクの高まりに十分注意する必要がある。

また、変異株をはじめ感染症による内外経済への影響や金融資本市場

変動等の影響を注視する必要がある。

 

 

日本のGDP成長率

本年7-9月期の実質GDP成長率(2次速報)は、日本は前期比▲0.9%となった。

 

世界経済

世界の景気は持ち直しが継続している。OECD見通しによれば、2021年の世界全体の実質GDP水準は、コロナ前の2019年を超える見込みとなった。

○ 景気の持ち直しを背景に、欧米各国で物価が高まっている。アメリカでは、消費者の物価上昇予想(イ ンフレ期待)が高まり

 つつあり、今後の物価動向を引き続き注視していく必要がある。

○ 中国では、環境規制や不動産開発規制等を背景に生産が低調、感染拡大に伴う断続的な制限措置実施等により消費の伸びが低下した。景気の回復

  テンポが鈍化している。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、一部に弱さが残るものの、持ち直しの動きがみられる。

○ 個人消費を週次データでみると、11月後半以降、平年水準(2017-19年)の幅を上回る水準で推移している。カード支出に基づく消費動向をみると、

持ち直しの動きが娯楽関連にも広がっている。

・供給面の影響がみられていた新車販売は、持ち直しの動きとなっている。

・外食や旅行のサービス消費も、緊急事態宣言解除等により持ち直しの動きとなった。ただし、宿泊動向をみると、居住地から近隣県への宿泊が中心と

 なる傾向にある。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、6+2.5%7+0.2%8月▲1.8%9月▲0.1%

       ・消費者態度指数(DI)は前月差で、7+0.1%8月▲0.8%9+1.1%10+1.4%110.0%。 

      10月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.3%となった。

 

物価

 国内企業物価は、上昇している。消費者物価は、底堅さがみられる。

企業物価を需要段階別にみると、「素原材料」や「中間財」は国際市況を受けて大きく上昇しているが、最終財への価格転嫁は限定的となっている。

こうした中、製造業において、仕入価格DIは足下で大きく上昇しているものの、販売価格DIの上昇は限定的となった。価格転嫁の程度を表す疑似交易

条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)は、中小企業において一層の悪化がみられており、中小企業収益にマイナスの影響も懸念される。

       ・ 消費者物価について、生鮮食品・エネルギーを除いた「コアコア」で物価の基調をみると、底堅さがみられる。一方、「総合」でみると、緩やかに上昇

        した。生活実感に近い、食料品などの購入頻度が高い品目の価格上昇が多くなっている。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。 

・持家は持ち直している。一方、分譲住宅については、販売価格が上昇する中で新規発売物件の成約率(契約率)は好調を維持するなど、マンションへ

  の需要は底堅いものの、足下の着工は用地不足の影響もあって、弱含みとなっている。

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、7+6.9%8月▲7.7%9月▲1.2%10+5.6

・持家着工数は前月比で、7+8.0%8月▲3.5%9+2.0%10+2.1%

・貸家着工数は前月比で、7+1.4%8月▲7.5%9+0.7%10+1.5%

・分譲着工数は前月比で、7+14.2%8月▲13.3%9月▲7.2%10+16.6%

   公共投資は、高水準にあるものの、このところ弱含んである。

・請負金額は前月比で、6月▲1.6%(出来高+1.2%)、7月▲11.0%(出来高+0.0%)、8+0.6%(出来高▲3.2%)、9月▲7.0%(出来高▲2.6%)、10月▲5.2%(出来高▲1.0%)。             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、感染症の影響が残る中で、弱い動きとなっているものの、求人等に持ち直しの動きがみられる。

  ・雇用の過不足感が、宿泊・飲食サービス業を含めて不足超となる中で、ハローワークによるネット経由の日次有効求人件数は、12月に入っても改善して

     いる。

10月の雇用者数は横ばいで推移している。失業率は2.7%と底堅い動きとなっているものの、コロナ前の2019年同期と比較して、

男性を中心に追加就労希望就業者数が増加している。

   10月の賃金は、引き続き前年比プラスで推移した。これまでの企業収益の改善もあり、冬のボーナスは増加に転じる動きがある。

  ・有効求人倍率は、61.1371.1581.1491.16101.15(正社員は0.89)となった。

・完全失業率は、62.9%72.8%82.8%92.8%102.7%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、持ち直している。

○ 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。 

  ・ 2021年度の設備投資計画は、引き続き前年より増加する見込みであるものの、7-9月期は、供給面での制約や緊急事態宣言等の影響もあり、前期比

    マイナスとなった。特にソフトウェア投資は、感染拡大による商談延期や長期化により大きく減少した。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

  ・ 経常利益の動向をみると、7-9月期については、半導体不足等の供給面での制約や緊急事態宣言等の影響もあって減少したものの、全体ではコロナ前

    の水準を上回っており、持ち直している。ただし、非製造業の中でも、飲食サービス業、生活関連サービス業、宿泊業の収益は依然として厳しい。  

  ・ 企業の景況感は、持ち直しの動きがみられる。日銀短観12月調査によると、非製造業を中心に前回9月調査から改善した。緊急事態宣言等の解除に

    伴う経済社会活動の段階的引上げ等の影響もあり、宿泊・飲食サービスや対個人サービス等が大きく改善した。

  ・ 倒産件数は、資金繰り支援等もあり、おおむね横ばいとなった。

  ・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20213+56+149+1812+1820223+13

    「大企業・非製造業」は、20213月▲16+19+212+920223+8

    「中小企業・製造業」は、20213月▲136月▲79月▲312月▲120223月▲1

    「中小企業・非製造業」は、20213月▲116月▲99月▲1012月▲420223月▲6

 

生産

 生産は、持ち直しに足踏みがみられる。

・自動車の供給制約の緩和もあり、輸送機械が持ち直す一方、中国をはじめとするスマホ等の生産減少の影響を受け、電子部品・デバイスは横ばいとなって

 いる。ただし、世界の半導体の需要見通しは、2021年・2022年ともに上方修正され、2022年は一層の増加が見込まれているなど、半導体製品に対する強い

 需要は今後も続く見込みである。

・鉱工業生産指数は前月比で、8月▲3.6%9月▲5.4%10+1.8%11月(予想)+9.0%12月(予想)+2.1%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、7+1.6%8月▲3.2%9月▲3.3%、10+4.2%

・電子部品・デバイスは前月比で、7+0.9%8月▲2.9%9月▲4.1%、10月▲1.1%

   ・輸送機械は前月比で、7月▲3.8%8月▲12.5%9月▲24.6%、10+17.4%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・ 中国経済の回復鈍化等によりアジア向けが弱含みとなる中、足下では、自動車関連財や資本財が増加に寄与した。

○ 輸入は、このところ弱含んでいる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、8月▲13.79+7.410+13.411+0.8

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月ぶりに下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、8月▲4.79+12.910+0.911月▲4.1

 

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気の回復テンポは、このところ鈍化している。

   ・217-9月期の実質GDP成長率は+4.9%となった。

・消費はこのところ伸びが低下している。

・生産は、このところ伸びがおおむね横ばいとなっている。

・輸出は増加している。

・固定資産投資は伸びが低下している。

・消費者物価上昇率はこのところ高まっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)は低下した。

○ 韓国では、景気は持ち直しの動きが緩やかになっている。

○ インドでは、景気は持ち直している。

○ インドネシア・タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。

20217-9月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+2.1%

○ 雇用者数は緩やかに増加、失業率は低下した。

 ・11月の失業率は4.2%となった。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は持ち直し、自動車販売台数は下げ止まりの兆しがみられる。

○ 設備投資はこのところ増勢が鈍化した。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・イギリスともに、厳しい状況が緩和される中で、持ち直している。

   ・217-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+9.1%

   (イギリスは+5.1%、ドイツは+7.0%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しており、イギリスは持ち直しているが、このところ一服感がみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+2.6%11月)、イギリス+3.9%11月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直しの動きがみられ、イギリスはこのところ弱い動きとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに横ばいとなっている。

 

 

2021年

11月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R3.11.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和

 されつつあるものの、引き続き持ち直しの動きに弱さがみられる。

〈先行き〉              

・先行きについては、経済社会活動が正常化に向かう中で、各種政策の

効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待

される。ただし、供給面での制約や原材料価格の動向による下振れ

リスクの高まりに十分注意する必要がある。

また、感染症による内外経済への影響や金融資本市場の変動等の影響

を注視する必要がある。

 

 

日本のGDP成長率

本年7-9月期の実質GDP成長率は、欧米が前期比プラスとなる中で、日本は前期比▲0.8%と2期ぶりのマイナスとなった。

・9月までの緊急事態宣言等に加え、半導体不足や東南アジアでの感染拡大に伴う部品供給不足が影響し、個人消費、設備投資、輸出はいずれも

 前期比マイナス。

○ 緊急事態宣言等の解除や経済対策の効果などを背景に、今後は我が国もプラス成長となることが期待される

 

世界経済

欧米の7-9月期の実質GDPは、プラス成長が継続している。欧州では、夏までに移動制限の緩和が行われたこともあり、旅行等のサービス消費が増加

  した。欧米ともに、雇用環境の改善、物価の上昇がみられる。

○ 欧米を中心に世界的に景気が持ち直し、世界貿易が高水準で推移する中で、物流面において、輸送期間の長期化や価格上昇がみられる。

  また、中国では、環境規制や不動産開発規制等を背景に、生産の伸びが低下している。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、一部に弱さが残るものの、持ち直しの動きがみられる。

○ 10月後半以降の消費を週次データでみると、平年水準(2017-19年)の幅と比較して、緩やかながら回復に向かう動きがみられる。

・新車販売は、供給面の影響により減少。一方、宿泊施設稼働率は10月以降、上昇が続く。外食や娯楽関連の支出に持ち直しの動きがみられる。

・個人消費については、自動車等の耐久財や衣服等の半耐久財がマイナスに寄与した。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、5月▲2.8%6+2.5%7+0.2%8月▲2.0%

      ・消費者態度指数(DI)は前月差で、6+3.3%7+0.1%8月▲0.8%9+1.1%10+1.4%。 

     9月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.3%となった。

 

物価

 国内企業物価は、上昇している。消費者物価は、底堅さがみられる。

 

ガソリンや鋼材等の国内の商品市況は、国際的な資源価格の高騰等を背景に上昇傾向。国内企業物価をみても、原油・エネルギー関係品目や鉄鋼・  

  非鉄金属価格の上昇により、全体として上昇。

   ・消費者物価について、生鮮食品・エネルギーを除いたコアコアで物価の基調をみると、底堅さがみられる。一方、生活実感を表す総合でみると、資源

    価格の上昇等を背景に緩やかに上昇しており、今後電気代も上昇する見込み。物価上昇による家計への影響には注意が必要である。

  

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、このところ持ち直しの動きとなっている 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、6月▲1.0%7+6.9%8月▲7.7%9月▲1.2%

・持家着工数は前月比で、6月▲0.2%7+8.0%8月▲3.5%9+2.0%

・貸家着工数は前月比で、6+4.8%7+1.4%8月▲7.5%9+0.7%

・分譲着工数は前月比で、6月▲7.9%7+14.2%8月▲13.3%9月▲7.2%

   公共投資は、高水準にあるものの、このところ弱含んである。

・請負金額は前月比で、5+15.0%(出来高▲1.4%)、6月▲1.6%(出来高+1.2%)、7月▲11.0%(出来高+0.0%)、8+0.6%(出来高▲3.2%)、9月▲7.0%(出来高▲6.9%)、10月▲5.2%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、感染症の影響が残る中で、弱い動きとなっているものの、求人等の動きに底堅さもみられる。

  ・雇用状況は、弱さが続く中、9月の雇用者数は横ばいで推移している。

 7-9月期の女性の非正規雇用者は、2019年同期比で70万人減少する一方で、正規雇用者は同66万人増加した。

 失業率は2.8%と底堅い動きとなっているものの、男性を中心に1年以上の長期失業者が増加した。

  ・ハローワークによるネット経由の日次有効求人件数は、2019年同月比で水準は低いものの、11月に入っても持ち直しの動きが

  続く。

 ・9月の賃金は、引き続き前年比プラスで推移。実質総雇用者所得は、概ねコロナ前の水準を回復した。

  ・有効求人倍率は、51.0961.1371.1581.1491.16(正社員は0.91)となった。

・完全失業率は、53.0%62.9%72.8%82.8%92.8%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、持ち直している。

○ 設備投資は、持ち直している。

○ 業況判断は、一部に厳しさは残るものの、持ち直しの動きがみられる。

・ 7-9月期の上場企業の経常利益は、製造業・非製造業ともに前年比で大幅増となった。

・ 中小企業の10月の利益動向をみると、利益額DIは悪化した。

資源価格の上昇に伴い、仕入価格DIが上昇しており、価格転嫁の程度を表す疑似交易条件は本年夏以降、悪化傾向にあること等が背景にある。

・ 倒産件数は、資金繰り支援等もあり、月500件程度の水準と概ね横ばいとなった一方、休廃業・解散件数は、1~9月の累計でみると、前年と概ね同水準

  となる中で、観光関連業等では、前年より増加した。

・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、202012月▲1020213+56+149+1812+14

    「大企業・非製造業」は202012月▲520213月▲16+19+2123

    「中小企業・製造業」は、202012月▲2720213月▲136月▲79月▲312月▲4

    「中小企業・非製造業」は、202012月▲1220213月▲116月▲99月▲1012月▲13

 

生産

 生産は、持ち直しに足踏みがみられる。

・9月までの製造業の生産をみると、自動車の減産に加え、中国経済の回復鈍化等から、生産用機械は

増勢鈍化となった。その背景の一つとして、マシニングセンタ等の工作機械受注は、内需が底堅い一方で、アジア向けの外需には足踏み感がみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、7月▲1.5%8月▲3.6%9月▲5.4%10月(予想)+6.4%11月(予想)+5.7%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、6+10.3%7+1.6%8月▲3.2%9月▲3.3%。

・電子部品・デバイスは前月比で、6+3.9%7+0.9%8月▲2.9%9月▲4.1%。

   ・輸送機械は前月比で、6+17.6%7月▲3.8%8月▲12.5%9月▲24.6%。

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・ 中国経済の回復鈍化等により、アジア向けが弱含みとなった。また、供給制約による減産を受け、自動車関連財が減少した。

○ 輸入は、このところ弱含んでいる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 消費者マインドを景気ウォッチャー調査の家計動向関連DIでみると、感染者数の減少や緊急事態宣言解除等により、大きく上昇し、消費者マインドは、

  持ち直しの動きがみられる。

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、7+0.88月▲13.79+7.410+13.4

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、7月▲4.08月▲4.79+12.910+0.9%

 

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気の回復テンポは、このところ鈍化している。

   ・217-9月期の実質GDP成長率は+4.9%となった。

・消費はこのところ伸びがおおむね横ばいとなっている。

・生産は、伸びがやや低下している。

・輸出は着実に増加している。

・固定資産投資は伸びがやや低下している。

・消費者物価上昇率はこのところやや高まっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)は低下した。

○ 韓国では、景気は持ち直しの動きが緩やかになっている。

○ インド・インドネシア・タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。

20217-9月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+2.0%

○ 雇用者数は緩やかに増加、失業率は低下した。

 ・10月の失業率は4.6%となった。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は持ち直し、自動車販売台数は下げ止まりの兆しがみられる。

○ 設備投資はこのところ増勢が鈍化した。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・イギリスともに、厳しい状況が緩和される中で、持ち直している。

   ・217-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+9.3%

   (イギリスは+5.1%、ドイツは+7.3%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しており、イギリスは持ち直しているが、このところ一服感がみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+2.1%10月)、イギリス+3.2%10月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱い動きとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに横ばいとなっている。

 

 

2024年

4月

23日

月例経済報告

 

月例経済報告(R6.4.23)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の

 効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、

 世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外

 景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。

 また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の

 影響に十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震

 経済に与える影響に十分留意する必要がある。

 

 

世界の経済情勢

○  世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

  先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めや中国における不動産市場の停滞に伴う 影響

  による下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域 をめぐる情勢、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。

 

GDP速報

   202310-12月期(2次速報)のGDP成長率は、実質では前期比+0.1%(年率+0.4%)となった。

 

令和6年能登半島地震の影響

○ 令和6年能登半島地震では、1.12.6兆円程度のストック毀損が生じたことに加え、石川県・富山県・新潟県の3県で1-3月期に

  1,000億円程度の直接的なGDPの損失があったと試算される。

○ 3月16日に延伸した北陸新幹線(金沢~敦賀間)は、開業1か月で72万人(1日平均2.3万人)が利用、北陸応援割をはじめと

  する政策効果も相まって、北陸経済の活性化に寄与した。

  「景気ウォッチャー調査」の北陸地域の現状・先行き判断DIは2月以降50を超える水準に回復した。

  引き続き、復旧・復興支援を切れ目なく進めていくことが必要である。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直しに足踏みがみられる。

個人消費は、名目では過去最高水準に拡大する一方、実質では力強さを欠く。

 実質の耐久財消費は相対的に堅調な一方、非耐久財消費は長期的に緩やかな減少傾向となっている。

 サービス消費も、実質ではコロナ禍前を下回る。

・足下の小売販売は、一部自動車メーカーの出荷停止の影響で自動車は減少する一方、百貨店等が増加した。

 かばん・アクセサリー等の高額品が増加しており、インバウンド増加の影響のほか、株価上昇の影響もあり日本人の消費も

 増加した。

外食売上高はコロナ禍前のトレンドを超えて増加している一方、客数の回復は途上にある。消費に占める60歳以上世帯のシェ

 は4割超まで拡大した。外食支出の小さい高齢世帯の増加、コロナ禍後の高齢者の外出回復の遅れも影響している可能性がある。

大型連休の旅行者数は、国内はほぼコロナ禍前水準に戻り、海外も持ち直す見込みとなっている。そのほか、ライブやテーマ

 パーク、 スポーツ観戦は、売上高・人数ともに挽回消費の動き。学習塾は、少子化の中でも受講生数、売上高ともに底堅い動き

 となっている。

実質総消費動向指数は、前期比で、11月▲0.2%、12月▲0.3%10.0%2+0.2%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、11+0.4%12+0.9%1+0.8%2+0.9%3+0.5%。 

  ・2月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.5%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、横ばいとなっている。輸入物価は、おおむね横ばいとなっている。

消費者物価は、このところ緩やかに上昇している。

消費者物価は、前年比2%台で、引き続き緩やかに上昇した。4月には、食料品や日用品等で値上げが実施されているが、POS

 データ(レジから収集される顧客の消費行動をデータ化したもの。販売実績のデータでみると、全体として食料品価格等の前年比は、現時点では、

 引き続き縮小傾向で推移している。

・中東情勢が不安定化する中、原油価格は再び上昇しており、輸入物価を通じた影響に留意が必要である。

・サービスの物価上昇率は、0%の割合が縮小、プラスの割合が増加し、1980年代の姿に近づいている。企業の中期的な予想

 物価上昇率は、ここ2年程度は2%程度の安定的な水準にレベルシフトした状態が継続している。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、11月▲2.0%12+3.1%1月▲1.5%2月▲0.9%

・持家着工数は前月比で、11+1.7%12+1.7%1+0.4%2+7.1%

・貸家着工数は前月比で、11月▲2.7%12+0.6%1+5.0%2月▲1.0

・分譲着工数は前月比で、11月▲4.8%12+9.1%1月▲11.0%2月▲9.3%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、10月▲3.3%(出来高▲0.3%)、11+4.3%(出来高▲0.6%)、12+5.7%(出来高+0.9%)、1月▲4.5%

 (出来高+2.6%)、2+21.7%3月▲10.1%             

 

雇用・賃金の動向

   2024年の春闘(第4回集計)の賃上げ率は、引き続き定昇込みで5%超、ベアで3%台半ばと、33年ぶりの高水準となった。

   定昇込みの賃上げ率の分布は、昨年は3%強に山があったのに対して、今年は5%強にシフト。ベアの分布は、昨年は2%弱に

  山があったのに対して、今年は3%台半ばにシフトしており、より多くの企業で高い賃上げ率が実現している。

   昨年2023年の賃上げ率は、若年層、特に高校卒で男女ともに高めだった一方、大学卒は男女ともに中年層で低い傾向と

  なった。 また女性の賃金は、男性に比べ、水準が低く、年齢を重ねても上昇幅が小さい。

    産業別にみると、昨年は、男女とも、人手不足感の高い建設業等で高い賃上げ率となった一方、医療、福祉など公定価格

   部門で は横ばいとなった。本年は、診療報酬改定等における加算措置等により、同分野の高い賃上げに期待される。

)診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬の同時改定において、賃上げに必要な改定率として、医療では+0.88%、介護では+1.59

(処遇改善加算の一本化による賃上げ効果等も含め ると、2.04%)、障害福祉では+1.12%(同1.5%を上回る水準)を確保。賃上げ促進税制の

 活用を組み合わせることにより、2024年度に+2.5%、25年度+2.0%のベアの実現が期待される。

○ 2024年の賃上げの流れを広げるため、適切な価格転嫁や省力化投資の継続、賃金の高い分野への労働移動の後押し、大卒中年

    層を含む全世代リ・スキリングが重要となる。

○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。

 ・就業者数は、最近、中高年を中心に増加傾向にある。長期的にみると、中高年の労働参加率は男女ともに上昇した。

 ・日本人の寿命の最頻値は、男性88歳、女性93歳と長く、男性の4分の1、女性の半分が90歳以上まで生きる状況であり、意欲ある

   高齢者が長く活躍できる環境をつくることが重要となる。

 ・主要先進国間で比較すると、日本の高齢者の労働参加率は高く、伸びも大きい。

 ・有効求人倍率は、111.28121.2711.271.26(正社員は1.01)となった。

 ・完全失業率は、102.5%112.5%122.5%12.422.6となった。

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

 ・設備投資のうち、商用車や船舶等の輸送用機械は約6%である。トラックやバンなど貨物車の新車登録台数は、一部自動車メーカー

  の生産・出荷停止の影響で、小型と軽を中心に大幅減となった。241-3月期の設備投資への一時的な影響に注意が必要である。

 ・企業の設備投資は、2023年度は実績見込みで前年度比プラス10.2%2024年度は3月時点の計画としては1990年度以来の伸びとなる

   など、企業の投資意欲には力強さがある。ただし、中小企業では、非製造業で2023年度の実績見込みが23%と高い伸びとなった

   一方、製造業では一部自動車メーカーの生産停止の影響もあって投資先送りの動きもあるなど、ばらつきもある。

○ 業況判断は、改善している。ただし、製造業の一部では、一部自動車メーカーの生産・出荷停止による影響がみられる。

 ・  企業の業況は、売上の約7割を占める非製造業で、バブル期以降の最高水準となった。建設業は過去10年程度、業況が「良い」と

   答える企業が、「悪い」と答える企業を上回る。運輸業では近年、「良い」が増加の一方、「悪い」が減少傾向となっている。

 ・  倒産件数は、増加がみられる。

 ・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20236+59+912+1220243+116+10

  「大企業・非製造業」は、20236+239+2712+3020243+346+27

  「中小企業・製造業」は、20236月▲59月▲512+120243月▲16+0

  「中小企業・非製造業」は、20236+119+1212+1420243+136+8

 

生産

 生産は、持ち直しに向かっていたものの、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響により、このところ生産活動が低下している。

  ・製造業では、一部の業種に、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響がみられる。ただし、3月以降、輸送機械の生産は、

    これらのメーカーの生産再開に伴い、徐々に持ち直す見込みとなっている。

  ・鉱工業生産指数は前月比で、12+1.2%1月▲6.7%2月▲0.6%3月(予測)+4.9%4月(予測)+3.3%

  ・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、11+1.6%12+4.4%1月▲6.1%2月▲3.2%

  ・電子部品・デバイスは前月比で、11月▲0.9%12+2.0%1月▲4.0%2+0.2%

  ・輸送機械は前月比で、11月▲1.6%12+2.0%1月▲9.9%2月▲11.5%

 

外需

○ 輸出はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。輸入はこのところ弱含んでいる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

   ○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2月ぶりに下降した

・現状・季節調整値DIは前月差で、12+1.01月▲1.62+1.13月▲1.5

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、5か月ぶりに月下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、12+0.11+2.12+0.53月▲1.8%

  

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は政策効果により持ち直しの兆しがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうこと

      が期待される。ただし、不動産市場の停滞や物価の下落が続くことによる影響等に留意する必要がある。

・中国の20241-3月期の実質GDP成長率は5.3%(前期比年率+6.6%)。政策効果により、自動車販売やインフラ投資が増加

  した。景況感にも改善がみられる。

・一方、不動産市場の停滞は、企業・家計の資金需要や銀行の融資姿勢に影響し、足下で新規貸出は低調となっている。また

  消費者物価は4四半期連続ゼロ近傍、GDPデフレーターはマイナスが継続している。物価の下落が続くことによる影響に

  留意が必要である。

・消費は持ち直しに足踏みがみられる。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・財輸出はおおむね横ばいとなっている。

・固定資産投資は伸びが上昇した。

・新築住宅販売価格は下落している。

・消費者物価は下落した。

・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きがみられる。

○ 韓国では、景気は持ち直しの動きがみられる。

○ インドでは、景気は回復している。

  ・乗用車販売台数が伸びるなど、内需にけん引されて8%台の成長が続いている。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾・タイでは、景気は持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は拡大している。 先行きについては、拡大が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による

    下振れリスクに留意する必要がある。

202310-12月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+3.4%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

3月の失業率は3.8%となった。

○ 設備投資は緩やかに増加している。

○ 消費は増加、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 生産はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工数はおおむね横ばい・住宅価格は上昇している。

○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気は弱含んでいる。

 ・2310-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.2% (イギリスは▲1.2%、ドイツは▲1.1%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスは弱い動きとなっている。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+3.1%3月)、イギリス+4.6%3月)。

○ 財輸出は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。イギリスのサービス輸出はおおむね横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。

2024年

3月

22日

月例経済報告

 

月例経済報告(R6.3.22)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の

 効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、

 世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外

 景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。

 また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等

 の影響に十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震

 の経済に与える影響に十分留意する必要がある。

 

 

世界の経済情勢

○  世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

  先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めや中国における不動産市場の停滞に伴う

  影響による下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域 をめぐる情勢、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。

 

GDP速報

   202310-12月期(2次速報)のGDP成長率は、実質では前期比+0.1%(年率+0.4%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直しに足踏みがみられる。

新車販売(消費に占める輸送機械の割合は2.6%)は、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響により、このところ弱い動きと

 なっている。

・国内旅行消費については、宿泊施設の稼働率は、コロナ禍の落ち込みから回復した。一方、宿泊業の就業者数はコロナ禍前に

 戻っておらず供給制約。こうした中で、客室単価は上昇する一方、日本人宿泊者数はこのところ横ばいとなっている。

 ・消費者のマインドや資産価値(株式等)に関する見方は改善が継続している。

 ・実質総消費動向指数は、前期比で、100.0%11月▲0.2%、12月▲0.3%1月▲0.2%

   ・消費者態度指数(DI)は前月差で、10+0.5%11+0.4%12+1.1%1+0.8%2+1.1%。 

   ・1月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.1%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、横ばいとなっている。輸入物価は、おおむね横ばいとなっている。

  消費者物価は、このところ緩やかに上昇している。

消費者物価の前年比は、昨年秋以降2%台で推移。なお、資源価格が落ち着く下で、電気・ガスの激変緩和事業の開始から1年

  が経過し、押下げ効果が薄まったことから、2月は上昇幅が拡大。一方、食料品は、値上げの一服から、引き続き上昇幅が緩やか

  になった。

・デフレに陥る前の1990年代前半以前は、サービスの物価上昇率は2%前後で推移している。足下では、財の物価上昇が落ち着く一方

  で、一般サービスの上昇率が徐々に高まり、財の上昇率と同水準となった。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は弱含んでいる。 

・住宅の新設着工戸数は、持家を中心に弱含みが続く。長期的にみると、1960年代後半に住宅戸数(ストック)が世帯数を上回り、

  持家など戸建の住宅を中心に、新規着工戸数は減少トレンドにある。

・世帯構造の変化をみると、単身世帯等の割合が増加する一方で、夫婦と子供のいる世帯や三世代同居世帯など戸建住宅の需要層と

  考えられる世帯の割合が減少した。

・建築費の高止まりの中で、戸建住宅の新設着工が減少する一方で、中古住宅の販売量は増加傾向にある。リフォーム促進等を

  通じた中古住宅流通市場の拡大も重要となっている。

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、10+0.1%11月▲2.0%12+3.1%1月▲1.5%

・持家着工数は前月比で、10月▲6.6%11+1.7%12+1.7%1+0.4%

・貸家着工数は前月比で、10+0.9%11月▲2.7%12+0.6%1+5.0%

・分譲着工数は前月比で、10+5.0%11月▲4.8%12+9.1%1月▲11.0%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、9+8.5%(出来高+0.7%)、10月▲3.3%(出来高▲0.3%)、11+4.3%(出来高▲0.6%)、12+5.7%

(出来高+0.9%)、1月▲4.5%(出来高+2.6%)、2+21.7%             

 

雇用・賃金の動向

    2024年春闘(第1回集計)の賃上げ率は、定昇込みで5.28%、ベアで3.7%と、30年ぶりとなった

昨年を大きく上回った。

   ベアは、中小企業でも3%近い伸びとなり、組合計のベースアップ額は、平均月1万円を超える水準となった。

   賃金の改定は、昨年のパターンでは、5月頃から夏場にかけて実際の賃金支払に徐々に反映されている。現在、一般労働者の

    所定内給与の伸びは前年比1%台半ばだが、今後高まっていくことが見込まれる。

   昨年、3%以上の賃上げを行った中小企業は6割弱、うち価格転嫁ができた企業では7割強となっている。すそ野の広い賃上げの

    実現のためには、重層的取引の先端に至るまでサプライチェーン全体での適切な労務費の価格転嫁と製品価格の設定が重要となる。

○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。

    ・有効求人倍率は、101.30111.28121.2711.27(正社員は1.00)となった。

   ・完全失業率は、92.6%102.5%112.5%122.5%12.4となった。

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

  ・昨年10-12月期の企業収益は、経常利益・営業利益ともに10-12月期として過去最高となるなど、総じて改善が継続している。

   他方、1月の生産活動は、一部自動車メーカーの生産停止により低下した。輸送機械では2月も減少が続く見込みとなっている。

・自動車産業は裾野が広く、関連品目の生産も低下した。また、半導体品目の一部では、令和6年能登半島地震の影響もみられる。

・こうした中、1-3月期の大企業の景況感は、製造業で大きくマイナスとなった。ただし、4-6月期以降の先行きは改善した。

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

 ・202310-12月期の設備投資は、実質前期比プラス2.0%と上方改定、名目金額(年率換算)は1991年以来初めて100兆円を超えた。

  半導体や自動車関連で生産能力強化のための工場新設等の投資が実行され始め、契約金等の支払が進んでいる結果とみられる。

 ・他方、企業の高い投資計画に比べ、実際の投資の伸びは依然、例年より弱く、引き続き供給制約等の影響に留意が必要となる。

2024年度の投資計画(215日時点調査)は、2023年度の高い実績見込み(9.3%)の後、前年度比7.5%の強い伸びとなっている。

○ 業況判断は、改善している。

  倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20233+16+59+912+1220243+8

  「大企業・非製造業」は、20233+206+239+2712+3020243+24

  「中小企業・製造業」は、20233月▲66月▲59月▲512+120243月▲1

  「中小企業・非製造業」は、20233+86+119+1212+1420243+7

 

生産

 生産は、持ち直しに向かっていたものの、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響により、このところ生産活動が低下している。

・鉱工業生産指数は前月比で、11月▲0.6%12+1.2%1月▲6.7%2月(予測)+4.8%3月(予測)+2.0%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、+10+0.3%11+1.6%12+4.4%1月▲6.1%

・電子部品・デバイスは前月比で、10+6.6%11月▲0.9%12+2.0%1月▲4.0%

   ・輸送機械は前月比で、10+2.2%11月▲1.6%12+2.0%1月▲9.9%

 

外需

○ 輸出はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。輸入はこのところ弱含んでいる。

財の輸出は、アメリカ向けは増加傾向が続く一方、欧州向けが弱く、アジア向けも持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・インバウンドについて、訪日外客数は2月として過去最高となった。一人当たり旅行消費額は欧州等からの旅行者が高い。

・財の輸入は、弱含みとなっている。紅海危機の影響により、1月は、欧州からの輸入について、海上輸送割合が高いワイン、

 化粧品、自動車部分品等の輸入が大幅に減少した。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2月ぶりに上昇した

・現状・季節調整値DIは前月差で、11月±0.012+1.01月▲1.62+1.1

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月連続で上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、11+1.012+0.11+2.12+0.5

  

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待

  される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある。

・実質GDP成長率は、2310-12月期で前年比+5.2%(前期比+4.1%)。

・消費は持ち直しに足踏みがみられる。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・財輸出はおおむね横ばいとなっている。

・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。

・新築住宅販売価格は下落している。

・消費者物価は下落した。

・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きに足踏みがみられる。

   【全国人民代表大会(3/5~11 主な目標・政策方針(決定)】

○ 24年の成長率目標は5%程度。(23年目標5%程度、実績5.2%)

○ 現状認識:有効需要が不足し、一部産業(鉄鋼、不動産等)の 生産能力が過剰。

雇用機会不足とミスマッチ失業が併存。

 一部地方の財政がひっ迫。

○ 財政拡大: 新たに超長期特別国債を発行、24年は1兆元(対GDP比0.8%)。

地方特別債の発行枠:3.9兆元(23年目標3.8兆元)

財政赤字目標は対GDP比3%で維持。

○ 耐久財消費の拡大:自動車の買替え促進(老朽車の強制廃棄を執行)、

自動車ローン頭金比率(現行20%以上)の引下げ等。

 ○ 重点分野のリスクの防止・解消: 不動産企業の資金需要を支援、ビジネスモデルを刷新。

 地方政府の債務リスク解消と行政の安定運営を一体的に推進。

 

○ 韓国では、景気は持ち直しの動きがみられる。

  韓国経済は、世界的な半導体需要の持ち直しにより、景気は持ち直しの動きがみられる。長期的にみると、1997年のアジア

  通貨危機後、 安定的なマクロ経済環境の維持に努めたこともあって着実に成長し、2023年の一人当たり名目GDPは3.3万ドル。  

・他方、合計特殊出生率は0.72と低く、人口は50年後(2072年)には約3,600万人に減少することが見込まれている。

○ インドでは、景気は回復している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾・タイでは、景気は持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は拡大している。 先行きについては、拡大が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による

  下振れリスクに留意する必要がある。

・アメリカの一人当たり名目GDPは約8.2万ドルで、日本の約2.4倍。長期的にみると実質GDPはおおむね2%以上の成長率

 で推移。

 足下では6四半期連続で2%以上のプラス成長が継続し、2023年は2.5%2024年も2%程度の見通し。

・安定的な物価上昇と、それを超える名目賃金の上昇に支えられた個人消費の増加が、内需主導の経済成長をけん引している。

2008年の世界金融危機のような大きな経済的ショックに見舞われても、デフレには陥っていない。

・アメリカは世界の名目GDPの約25%を占める最大のマーケットである。2023年の財輸入においては、カナダ・メキシコ・

 中国のシェアが全体の約4割となっている。中国のシェアは、2001年のWTO加盟後に急上昇した。2009年以降首位で

 あったが、米中貿易摩擦を契機に、2023年のシェアは2位に低下した。対内直接投資残高では日本は首位である。

 ・コロナ禍後の就業者数をみると、55歳以上は伸びが停滞しており、外国生まれ労働者の増加にもかかわらず、労働供給の不足

  が継続している。株価上昇を背景とした金融資産の増加がコロナ禍後の早期引退に繋がっている可能性。名目賃金上昇率は

  高水準で推移しており、物価上昇率は鈍化傾向にあるものの、金融政策に与える影響に留意が必要である。

 ・202310-12月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+3.2%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

 ・2月の失業率は3.9%となった。

○ 設備投資は緩やかに増加している。

○ 消費は増加、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 生産はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は上昇している。

○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気は弱含んでいる。

 ・2310-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.2% (イギリスは▲1.4%、ドイツは▲1.1%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスは弱い動きとなっている。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+3.3%2月)、イギリス+5.5%1月)。

○ 財輸出は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。イギリスのサービス輸出はおおむね横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。

2024年

2月

21日

月例経済報告

 

月例経済報告(R6.2.21)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の

 効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、

 世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外

 景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。

 また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢金融資本市場の変動等の

 影響に十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震の

 経済に与える影響に十分留意する必要がある。

 

 

令和6年能登半島地震の影響

○  北陸地域の景気ウォッチャーからは、令和6年能登半島地震の影響について、地域の景気への影響や自粛ムードが長引くこと

   などを懸念するコメントが多く寄せられている。先行きについては、北陸新幹線延伸や北陸応援割、復興需要に期待するコメント

   もみられる。

○ 地震で被災したサプライヤー企業からの部品調達が滞り、県外でも一部で生産活動に影響が生じている。

○ 北陸地域の人流に関するビックデータをみると、震災直後の落ち込みからもとに戻る動きもみられる。

 

世界の経済情勢

○  世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

 先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めや中国における不動産市場の停滞に伴う影響による

 下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域 をめぐる情勢、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。

・アメリカは、2023年の実質成長率葉2.5%と、個人消費主導で景気は拡大している。スマートフォンや音楽ライブなどが好調である。

  ・中東地域の緊迫が続く中で、昨年末から海上貿易はスエズ運河を回避しアフリカの喜望峰周りとなる動きが増加している。また、

   昨年末にみられた物流コストの急上昇には一服感がみられるものの、今後の動向には留意が必要である。

 

GDP速報

   2023暦年のGDP成長率は、実質で1.9%、名目で5.7%と高い伸びとなっている。

名目成長率は1991年(6.5%)以来の水準である。

   202310-12月期(1次速報)のGDP成長率は、実質では前期比▲0.1%と2四半期連続のマイナスの一方、名目では同+0.3%と2四半期

  ぶりのプラスとなった。名目GDPの実額は596兆円と過去最高を更新した。

   実質GDP成長率の内訳をみると、外需はプラスに寄与した一方、個人消費はマイナス0.2%、設備投資はマイナス0.1%3四半期連続

  マイナスとなった。また、内需は力強さに欠ける。

   日本とドイツの比較

2023年のドイツの名目GDPは、米ドル換算で日本を上回った。

米ドル換算のGDPは、為替レートの影響を受けること、また、日本に比べ、ドイツの物価上昇率が高いことに留意が必要で

ある。ただし、ドイツは、日本の3分の2の人口、約6割の就業者数、約8割の労働時間で日本と同程度の名目GDPを実現し、

生産性が高い。

・ドイツは、2000年以降、平均で実質1%、名目2%以上の成長を実現した。

日本では、バブル崩壊以降の約30年の間、デフレ心理と コストカットの縮み志向の中、名目・実質ともに低成長となって

いる。デフレから脱却し、経済を熱量溢れる新たなステージに移行 させる千載一遇のチャンスを逃さず、「物価上昇を上回る

賃上げ」の実現と潜在成長率の引上げに取り組むことが必須となる。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直しに足踏みがみられる。

個人消費は、サービス消費回復の一服に加え、物価上昇や暖冬の影響もあり、半耐久財や非耐久財が減少した。一方、雇用環境

 の改善に加え、物価上昇の落ち着きにより、消費者マインドは持ち直し、実質総雇用者所得も持ち直しの動きが見られる。

・コロナ禍で積み上がった超過貯蓄は、アメリカでは取り崩しが進む一方、日本では取り崩しは限定的となっている。賃金・所得の

 増加が継続していくという成長期待が重要となる。

・本年開始の新NISAに向け、口座開設数は、3040代を中心に増加。貯蓄から投資への流れも期待される。

実質総消費動向指数は、前期比で、90.1%100.0%11月▲0.1%、12月▲0.1%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、9月▲1.0%10+0.5%11+0.4%12+1.1%1+0.8%。 

12月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.5%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、横ばいとなっている。輸入物価は、おおむね横ばいとなっている。

消費者物価は、このところ緩やかに上昇している。

消費者物価の前年比は、昨年1月のピーク時は4.3%まで上昇したが、激変緩和措置もあり、足下は2%台で推移している。

・財のうち食料品については、昨年までの値上げラッシュが一服。2024年の年明け後の値上げについては、原材料高等を理由と

 する企業の割合が低下し、人件費の転嫁を理由とする割合が増加した。

・サービス物価の上昇も、当初は、原材料高を受けた外食や設備修繕等が中心であったが、昨年以降は、宿泊料に加え、塾や習い事、

 理美容など人件費割合が相対的に高い分野の寄与が徐々に高まってきている。人件費を含む適切な価格転嫁が着実に進展していく

 ことが、賃金と物価の好循環のために重要となる。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、9月▲1.5%10+0.1%11月▲2.0%12+3.1%

・持家着工数は前月比で、8+5.8%9月▲9.3%10月▲6.6%11+1.7%12+1.7%

・貸家着工数は前月比で、8月▲4.4%9+4.8%10+0.9%11月▲2.7%12+0.6%

・分譲着工数は前月比で、8+17.0%9月▲2.0%10+5.0%11月▲4.8%12+9.1%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、8月▲10.8%(出来高▲0.4%)、9+8.5%(出来高+0.7%)、10月▲3.3%(出来高▲0.3%)、11+4.3%

 (出来高▲0.6%)、12+5.7%(出来高+0.9%)、1月▲4.5%             

 

雇用・賃金の動向

   一般労働者の賃金は1%台の上昇の一方、パート労働者の時給は、需給のひっ迫や最低賃金引上げもあり足下で4%まで上昇した。

  2023年の一般労働者の賃金上昇率をみると、若年層で高めとなっている。

   主要国やデフレ前の日本では、物価上昇と労働生産性向上が名目賃金上昇をけん引している。物価上昇を賃金に反映させ、物価

  に負けない名目賃金上昇率を実現・継続し、賃金と物価の好循環を回すとともに、労働生産性を高めていくことが重要となる。

 ○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。

 ・有効求人倍率は、91.29101.30111.28121.27(正社員は1.00)となった。

  ・完全失業率は、82.7%92.6%102.5%112.5%122.4%となった。

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

○ 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。

 ・企業の設備投資意欲は高いが、実際の設備投資には必ずしも結び付いていない。建設投資(工事出来高)は、これまでの大型工事

  の一服で減少傾向にあったが、建築工事費予定額は持ち直しており、今後、建設投資につながることが期待される。

 ・建設技能者は不足しており、特にエレベーターの設置等に携わる電気工事士等では過去最高水準の不足超となった。こうした中、

  エレベーター等の建設関連設備は受注が伸び、需要は堅調である一方、受注残が積み上がっている。

 ・電工や配管工の就業者数は、長期的に減少傾向が続き、過去20年でそれぞれ10万人強ずつ減少している。

○ 業況判断は、改善している。

  倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20233+16+59+912+1220243+8

  「大企業・非製造業」は、20233+206+239+2712+3020243+24

  「中小企業・製造業」は、20233月▲66月▲59月▲512+120243月▲1

  「中小企業・非製造業」は、20233+86+119+1212+1420243+7

 

生産

 生産は、持ち直しに向かっていたものの、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響により、このところ生産活動が低下している。

・鉱工業生産指数は前月比で、10+1.3%11月▲0.9%12+1.4%1月(予測)▲6.2%2月(予測)+2.2%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、9月▲3.4%+10+0.3%11+1.6%12+4.4%

・電子部品・デバイスは前月比で、9月▲0.2%10+6.6%11月▲0.9%12+2.0%

   ・輸送機械は前月比で、9+4.2%10+2.2%11月▲1.6%12+2.0%

 

外需

○ 輸出はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。輸入はおおむね横ばいとなっている。

2023年の経常収支は、海外からの配当受取等の第一次所得収支が過去最高水準となる中で、コロナ禍前並みの黒字となった。

・財の貿易収支は、自動車等の輸出増加と、鉱物性燃料の価格下落を受けた輸入減少により、2022年に比べ赤字幅が縮小した。

・サービス収支は、輸出面では、インバウンドの回復等を受けて増加した。一方、輸入面では、デジタル関連や保険分野の輸入が

 増加し、収支は引き続き赤字である。デジタルや知財等のサービス分野の競争力強化も重要となる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月ぶりに下降した

・現状・季節調整値DIは前月差で、10月▲0.411月±0.012+1.01月▲1.6

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、10月▲1.111+1.012+0.11+2.1

  

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待

   される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある。

・実質GDP成長率は、2310-12月期で前年比+5.2%(前期比+4.1%)。

・消費は持ち直しに足踏みがみられる。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・財輸出はおおむね横ばいとなっている。

・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。

・新築住宅販売価格は下落している。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価は下落した。

・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きに足踏みがみられる。

○ 韓国では、景気は持ち直しの動きがみられる。

○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾・タイでは、景気は持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は拡大している。 先行きについては、拡大が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による

  下振れリスクに留意する必要がある。

202310-12月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+3.3%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

1月の失業率は3.7%となった。

○ 設備投資は緩やかに増加している。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は上昇している。

○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気は弱含んでいる。

 ・2310-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.2% (イギリスは▲1.4%、ドイツは▲0.3%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスは弱い動きとなっている。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+3.6%1月)、イギリス+5.5%1月)。

○ 財輸出は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。

○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。

 

2024年

1月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R6.1.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復して

 いる。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果

 もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な

 金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の

 下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、

 物価上昇、中東地域をめぐる情勢金融資本市場の変動等の影響に

 十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震の経済に

 与える影響に十分留意する必要がある。

 

 

令和6年能登半島地震のストック面での影響試算

○  令和6年能登半島地震では、住宅や道路・港湾施設等のストックの損壊に加え、停電や断水が広範に発生した。これらは、地域住民

  の生活のみならず、生産や物流、観光等を通じて幅広く経済に影響を及ぼしている。

○ 能登半島地震による経済への影響を分析する一環として、東日本大震災や熊本地震の際の試算方法を踏まえ、市町村ごとの震度や

  被害状況に応じて、過去の大地震における損壊率を参照しつつ、ストックの毀損状況を暫定的に試算した。

○ 今回の試算は被害額を積み上げたものではなく、市町村ごとの震度に基づいた機械的な試算であり、幅をもってみる必要がある。

 

世界の経済情勢

○  世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

 先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めや中国における不動産市場の停滞に伴う 影響に

 よる下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域 をめぐる情勢、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。

 

GDP速報

○  20237-9月期のGDP2次速報では、名目GDPは横ばいの一方、実質成長率は前期比▲0.7%(年率▲2.9%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

消費者マインドは、昨年秋以降、持ち直しに足踏みがみられていたが、雇用環境の改善や食料品等の物価上昇の落ち着きを反映

 して、再び持ち直している。世帯属性を問わず、持ち直している。

・コロナ禍を経て、オンライン消費は大きく増加した。特に、60代以上の高齢世帯の伸びが大きい。一方、他の主要国と比較すると、

 オンライン消費には更なる拡大の余地がある。

・個人消費に占める分野別支出の割合を他の主要国と比較すると、我が国は、飲食料品の割合が高い一方、娯楽やスポーツ・文化、

 外食・宿泊サービスが低い。これらのサービス消費は、一人当たり支出金額でも、他国より低い。

・この30年間の一人当たり支出額をみると、高齢化で医療関係、IT化で通信関係が伸びる一方、娯楽・スポーツ・文化は減少した。

 余暇時間を比較すると、我が国は、男性を中心に低い水準となっている。働き方改革による長時間労働の抑制、有給休暇取得の促進

 は、ウェルビーイング向上とともに、時間消費型のサービス消費の拡大に資することが期待される。

実質総消費動向指数は、前期比で、8月▲0.1%90.1%10+0.1%110.0%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、8月▲0.9%9月▲1.0%10+0.5%11+0.4%12+1.1%。 

  ・11月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.3%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、横ばいとなっている。輸入物価は、このところ上昇している。

 消費者物価は、このところ緩やかに上昇している。

消費者物価は、食料品値上げ一服により2%台で緩やかに上昇。電気・ガスの激変緩和措置等は、これまでの物価上昇を和らげる

 ことに寄与している。

・コロナ禍以前の米欧の物価上昇はサービスの寄与が大きく、日本でもコロナ禍前に比べてサービスの寄与は高まりつつある。

 人件費の割合が高いサービス分野で、賃金上昇が価格に転嫁され、賃金と物価がともに持続的に上昇していくことが重要となって

 くる。

・物価上昇の主因は、食料品など財からサービスへとシフトしつつある。アメリカでは、物価は、財を中心に落ち着きつつある一方

 で、堅調なサービス需要を背景に2%を上回る伸びとなっている。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、8+4.4%9月▲1.5%10+1.0%11月▲4.0%

・持家着工数は前月比で、7+1.0%8+5.8%9月▲9.3%10月▲8.4%11+0.9%

・貸家着工数は前月比で、7+1.5%8月▲4.4%9+4.8%10+1.8%11月▲5.6%

・分譲着工数は前月比で、7月▲16.0%8+17.0%9月▲2.0%10+8.5%11月▲6.6%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、7月▲4.3%(出来高+1.7%)、8月▲10.8%(出来高▲0.4%)、9+8.5%(出来高+0.7%)、10月▲7.9%

(出来高▲0.3%)、11+7.0%(出来高▲0.6%)、12+9.2%             

 

雇用・賃金の動向

○ 企業の人手不足感はバブル期以降最高水準に高まる一方で、ハローワーク(公共職業安定所)の有効求人倍率は横ばい傾向と、

  両者に乖離がみられる。デジタル化に伴う求職手段の多様化が進む中、ハローワークを経由した就職者の割合は15%程度まで低下し、

  民間職業紹介所等が増加した。

  ハローワーク利用者は若年層で減少し、高齢者の利用は増加した。

   民間職業紹介を通じた正社員の求人は着実に増加している。さらに、近年は、すき間時間を活用したスポットワークという形で、アプリ

  を通じた短時間の就業のマッチングも増加した。

   転職の希望者は、男女ともに正社員を中心に1,000万人超(就業者の15%)まで増加した。賃金の上昇圧力につながる可能性を含んで

  いる。転職希望者の割合は、男女とも2534歳で最も高く約25%となっている。

   今年の春闘に向け、経営側からは、2023年以上の意気込みと決意が示されており、特に物価動向を重視し、ベースアップを念頭に

  おいた賃金引上げを各企業に要請している。また、労働側からは昨年を大きく上回るベースアップの要求額が示されている

○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。

   ・有効求人倍率は、81.2991.29101.30111.28(正社員は1.01)となった。

・完全失業率は、72.7%82.7%92.6%102.5%112.5%となった。

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

○ 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 業況判断は、改善している。

  倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20233+16+59+912+1220243+8

  「大企業・非製造業」は、20233+206+239+2712+3020243+24

  「中小企業・製造業」は、20233月▲66月▲59月▲512+120243月▲1

  「中小企業・非製造業」は、20233+86+119+1212+1420243+7

 

生産

 生産は、持ち直しの兆しがみられる。

・生産は、世界的な半導体需要の底打ちから、電子部品・デバイスが持ち直すなど、持ち直しの兆しがみられる。一方、一部自動車

  メーカーにおける国の認証制度に係る不正問題により生産・出荷が停止されたことから、輸送用機械の生産への下押し、サプライ

  チェーン企業への影響に留意が必要である。

・鉱工業生産指数は前月比で、9+0.5%10+1.3%11月▲0.9%12+6.0%(予測)、1月▲7.2%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、8月▲0.5%9月▲3.4%+10+0.3%11+1.6%

・電子部品・デバイスは前月比で、8+0.5%9月▲0.2%10+6.6%11月▲0.9%

   ・輸送機械は前月比で、8月▲3.7%9+4.2%10+2.2%11月▲1.6%

 

外需

○ 輸出はこのところ持ち直しの動きがみられる。輸入はおおむね横ばいとなっている。

輸出は、欧州経済の弱さを受けてEU向け輸出が弱含んでおり、持ち直しの動きに足踏みがみられる。工作機械等の金属加工機械

 は中国からの受注が弱く軟調の一方、建設・鉱山用機械は米国向け等で堅調、半導体関連も今後の持ち直しが期待される。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに上昇した

・現状・季節調整値DIは前月差で、9月▲3.710月▲0.411月±0.012+1.2

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月ぶりに下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、9月▲1.910月▲1.111+1.012月▲0.3

  

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待

     される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある。

202310-12月期の成長率は、前期比年率4.1%に減速した。国内需要が伸び悩む中、一部品目は輸出に向かい、輸出価格は

  下落傾向にある。不動産市場の停滞が続き、住宅価格は下落傾向となっている。若年失業率は12月は14.9%と高水準となった。

・実質GDP成長率は、2310-12月期で前年比+5.2%(前期比+4.1%)。

・消費は持ち直しに足踏みがみられる。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・財輸出はおおむね横ばいとなっている。

・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。

・新築住宅販売価格は下落している。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価は下落した。

・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きがみられる。

○ 韓国では、景気は持ち直しの動きがみられる。

○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾・タイでは、景気は持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は回復している。 先行きについては、回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による

     下振れリスクに留意する必要がある。

20237-9月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+4.9%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

12月の失業率は3.7%となった。

○ 設備投資はこのところ増勢が鈍化している。

・設備投資は、インフレ抑制法や半導体法等を受けて、製造業による投資が大幅に増加したことにより、構築物投資(工場建設等)

  が増加傾向となっている。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は増加しており、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

背景には家計のバランスシートの改善があり、総資産に対する負債の比率は過去 20年間で最低水準となっている。ただし、

  低所得者層の預金水準はコロナ禍前を下回っている。クレジットカードローンの 新規延滞率は上昇傾向であるが、過去に比べ

  低水準となっている。

○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は上昇している。

○ コア物価上昇率はこのところおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気は弱含んでいる。

 ・237-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.5% (イギリスは▲0.5%、ドイツは▲0.5%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスは弱い動きとなっている。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスは上昇している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+3.9%12月)、イギリス+5.8%12月)。

○ 財輸出は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。

○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。

2023年

12月

19日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.12.19)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復して

 いる。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果

 もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な

 金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の

 下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、

 物価上昇、中東地域をめぐる情勢金融資本市場の変動等の影響に

 十分注意する必要がある。

 

 

世界の経済情勢

○  世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

・欧米の物価上昇率は低下傾向にある中で、政策金利は秋以降据置きとなった。今後も物価上昇率は低下する見通しとなって

 いる。

2024年の世界経済は、これまでの欧米の金融引締め等を受けて、やや減速する見通しとなっている。

 なお、アメリカの年末商戦は、ネット販売等が好調であり、足下の消費は増加基調となっている。

・中国では、不動産市場の停滞が継続している。不動産貸出残高の対GDP比は2020年にピークアウトしたが、日本のバブル期

 よりも規模が大きい。

消費者物価は、特殊要因もあり下落した。

・台湾の景気は、世界的に半導体需要が持ち直す中で持ち直しの動きとなっている。輸出は情報通信機器が急増した。

・今後、中国の成長率は徐々に低下する中で、インド、ASEANの成長率が上回っていく見通しとなっている。

 

GDP速報

○  20237-9月期のGDP2次速報では、名目GDPは横ばいの一方、実質成長率は前期比▲0.7%(年率▲2.9%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

家計可処分所得は、名目では雇用者報酬を中心に増加基調だが、物価上昇に追いついておらず、実質で減少した。総合経済対策

 の着実な実行により、名目可処分所得が物価上昇を上回る状況を確かなものとする必要がある

新型コロナの5類移行後初の年末年始となり、鉄道予約や国内旅行人数はほぼコロナ前に回復の見込みとなっており、忘年会・

 新年会開催も増加となった。

・POSデータ(どの商品が、いつ・どこで・いくらで・どのくらい販売されたか、という情報を含む販売実績のデータ)では、コンビニは価格

 転嫁で販売数量は減少しているが、商品入替もあって売上高は増加が継続している。

実質総消費動向指数は、前期比で、70.0%8月▲0.1%90.0%10+0.1%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、7+0.9%8月▲0.9%9月▲1.0%10+0.5%11+0.4%。 

  ・10月の実質総雇用者所得は、前期比で▲1.2%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、横ばいとなっている。輸入物価は、このところ上昇している。

 消費者物価は、このところ上昇テンポが緩やかになっている。

財の企業間取引価格を示す国内企業物価指数は、2021年以降、世界的な物価上昇を起点に上昇してきたが、 足下では、資源

 価格の下落の影響もあって横ばいで推移している。

サービスの企業間取引価格を示す企業向けサービス価格指数は、財に遅れて、価格転嫁が進み、2022年以降緩やかに上昇して

いる。

・この結果、財・サービスともに、コロナ前の物価が動かない状態から、幅広い品目にわたって物価が上昇する姿に変化しつつ

 ある。

・消費者物価は、前年同月比の上昇率が低下傾向にあるなど、上昇テンポが緩やかとなった。

背景には、食料品等で値上げが一服したことによる上昇幅の縮小がある。

・こうした中、5%以上の高い物価上昇を予測する家計の割合は縮小し、5%未満を予想する家計の割合が、2022年2月以来、初めて

 逆転した。

・物価上昇品目の割合は増加し、広がりが見られつつあり、デフレ前の1980年代の姿に近くなっている。

  企業の価格転嫁の動向

  素材型製造業では、 2008年のリーマンショック前に仕入価格が大きく上昇した時は販売価格の上昇は限定的 だったが、

  今回の物価上昇局面では、仕入価格が2008年並みに上昇する中、販売価格への転嫁が進んだ。

  加工型製造業や非製造業では、この30年間、販売価格引上げ企業の割合が十分高まらなかったが、今回は販売価格への

  転嫁が進展した。なお、非製造業は、1980年代~90年代初めは仕入と販売価格の動向が連動している。

  仕入価格の販売価格への転嫁は、デフレに陥る前の1990年代前半までの姿に近づいている可能性がある。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、7月▲4.1%8+4.4%9月▲1.5%10+1.0%

・持家着工数は前月比で、6+0.1%7+1.0%8+5.8%9月▲9.3%10月▲8.4%

・貸家着工数は前月比で、6月▲8.9%7+1.5%8月▲4.4%9+4.8%10+1.8%

・分譲着工数は前月比で、6月▲5.9%7月▲16.0%8+17.0%9月▲2.0%10+8.5%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、7月▲4.3%(出来高+1.7%)、8月▲10.8%(出来高▲0.4%)、9+8.5%(出来高+0.7%)、10月▲7.9%

  11+7.0%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。

   ・企業が賃上げで重視した要素は、「労働力確保」がバブル期以来、「物価動向」が40年ぶりの高さにとなった。

  ・中小企業では、原材料費に比べ、労務費の転嫁ができていない。持続的な賃上げの実現に向けて、労務費を転嫁できる取引

     環境の整備が重要である。

  ・本年10月の最低賃金引上げにより、コンビニやファストフードを中心に募集時賃金が上昇した。

 配偶者のいる非正規雇用の女性では、「年収の壁」を超える労働時間で働く人が増えている可能性がある。

・有効求人倍率は、71.2981.2991.29101.30(正社員は1.01)となった。

・完全失業率は、62.5%72.7%82.7%92.6%102.5%となった。

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

   ・20237-9月期は、企業の経常利益・営業利益ともに過去最高となった。売上高に対する利益の比率も過去最高水準となった。

  企業部門の好調さを設備投資や賃金に回していくことが重要。

・非製造業の業況判断DIは、引き続き、バブル期以降の最高水準となった。

製造業 では、大企業の業況判断DIが3期連続で改善し、中小企業も20193月以来初めてプラスに転じた。

○ 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。

2023年度の企業の設備投資計画は、12月時点で前年度比+12.6%と、引き続き投資マインドは堅調である。

・機械投資は、受注残高は高水準。実際に工場等に納入された時点で、投資として顕在化している。

・建設投資(出来高)は、2022年前半着工の大型案件の工事進捗の一服もあって減少しているが、2023年秋か ら着工は再び増加

  しており、今後の投資として計上される見込みとなっている。

・ソフトウェア投資は非製造業を中心に増加傾向が続き、研究開発投資も堅調に増加の見込みとなっている。

○ 業況判断は、改善している。

  倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20233+16+59+912+1220243+8

  「大企業・非製造業」は、20233+206+239+2712+3020243+24

  「中小企業・製造業」は、20233月▲66月▲59月▲512+120243月▲1

  「中小企業・非製造業」は、20233+86+119+1212+1420243+7

 

生産

 生産は、持ち直しの兆しがみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、8月▲0.7%9+0.5%10+1.3%11月(予測)▲0.3%12月(予測)+3.2%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、7月▲4.8%8月▲0.5%9月▲3.4%+10+0.3%

・電子部品・デバイスは前月比で、7月▲5.1%8+0.5%9月▲0.2%10+6.6%

   ・輸送機械は前月比で、7+0.4%8月▲3.7%9+4.2%10+2.2%

 

外需

○ 輸出はこのところ持ち直しの動きがみられる。輸入はおおむね横ばいとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 消費者マインドは、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、前月と同値となった。

・現状・季節調整値DIは前月差で、8月▲0.89月▲3.710月▲0.411月±0.0

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、8月▲2.79月▲1.910月▲1.111+1.0

  

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが

      期待される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある。

・実質GDP成長率は、237-9月期で前年比+4.9%(前期比+1.3%)。

・消費は持ち直しに足踏みがみられる。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・財輸出はおおむね横ばいとなっている。

・固定資産投資は伸びが低下している。

・新築住宅販売価格は下落している。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価は下落した。

・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きがみられる。

○ 韓国・台湾では、景気は持ち直しの動きがみられる。

○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ タイでは、景気は持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は回復している。 先行きについては、回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等

     による下振れリスクに留意する必要がある。

20237-9月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+5.2%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

11月の失業率は3.7%となった。

○ 設備投資はこのところ増勢が鈍化している。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は増加しており、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は上昇している。

○ コア物価上昇率はこのところおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気は弱含んでいる。

 ・237-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.5% (イギリスは▲0.1%、ドイツは▲0.5%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスは弱い動きとなっている。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスは上昇している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は低下している。イギリスはこのところ低下している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+4.2%11月)、イギリス+6.3%10月)。

○ 財輸出は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。

○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。

 

2023年

11月

22日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.11.22)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復して

 いる。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果 

 もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な

 金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の

 下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、

 物価上昇、中東地域をめぐる情勢金融資本市場の変動等の影響に

 十分注意する必要がある。

 

 

世界の経済情勢

○  世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

  先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めや中国における不動産市場の停滞に

  伴う影響、物価上昇等による下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動の

  影響を注視する必要がある。

○ アメリカは、雇用の増勢がコロナ禍前の景気拡大局面の平均水準まで落ち着きつつあり、物価上昇率が低下傾向にある

  中で、政策金利はこのところ据置きとなっている。

○ ユーロ圏経済、ドイツ経済及び英国経済は弱含みとなっている。 ドイツの個人消費は、2021年後半以降、横ばいで、背景

  には、名目賃金の伸びが物価上昇を超えない状況がある。一方、スペインは、名目賃金の伸びが物価上昇を上回り、個人

  消費は持ち直し基調、経済も堅調となっている。

 

GDPの動向と供給力強化に向けた課題

○  20237-9月期のGDP1次速報では、名目GDPは横ばいの一方、実質成長率は前期比▲0.5%(年率▲2.1%)と3期ぶりに

  マイナスとなった。

○ 上場企業の決算をみると、経常利益は、7-9月期としては過去最高を更新した一方、企業の設備投資は、名目では2期ぶり

  に増加したものの、実質では2期連続の減少となり、持ち直しに足踏みがみられた。

○ 198090年代の景気拡大局面では、労働投入の寄与がわずかなプラスないしマイナスの中、資本投入と生産性の伸びが、

  潜在成長率を引き上げていたが、近年はこれらの寄与が縮小している。供給力(潜在成長率)引上げのためには、国内の新規

  投資拡大、研究開発や人への投資を通じた生産性向上が喫緊の課題となってくる。

 

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

○ 名目では増加した一方、実質では物価上昇の影響もあり横ばいになった。雇用者報酬は、名目では増加基調にある一方、

  実質は、物価上昇の影響で二期ぶりに減少した。

7-9月の個人消費は、過半を占めるサービスの増加が継続した一方、耐久財を中心に財が減少した。財は、物価上昇の影響

 のほか、工場停止を受けた自動車の国内向け販売の減少という一時的要因も影響した。

・外食サービスは、名目・実質ともに緩やかな増加基調にあり、コロナ前水準を超える。コロナ禍で控えられていた年末の

 外食需要にも期待できる。

・小売販売を業態別にみると、低価格の食品への需要増加等もあり、ドラッグストアの売上が堅調である

実質総消費動向指数は、前期比で、70.0%8月▲0.1%90.0%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、6+0.2%7+0.9%8月▲0.9%9月▲1.0%10+0.5%。 

  ・9月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.4%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、横ばいとなっている。輸入物価は、このところ上昇している。

消費者物価は、上昇している。

・食料品は値上げの一服で上昇幅が縮小する一方、生鮮食品は上昇幅が拡大した。特に、猛暑による生育不良でトマトなどの

 野菜の価格が高騰している。

・コロナ前と比べると、財の物価上昇に広がりがみられる。サービス業では、労務費増加分の価格転嫁が相対的に限定的と

 なった。賃金と物価の好循環の実現に向け、適切な価格転嫁の促進が鍵となる。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、6月▲5.9%7月▲4.1%8+4.4%9月▲1.5%

・持家着工数は前月比で、5+0.1%6月▲0.5%7+1.0%8+5.8%9月▲9.3%

・貸家着工数は前月比で、511.3%6月▲8.9%7+1.5%8月▲4.4%9+4.8%

・分譲着工数は前月比で、5+23.7%6月▲5.9%7月▲16.0%8+17.0%9月▲2.0%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、6+5.1%(出来高▲5.0%)、7月▲4.3%(出来高+1.7%)、8月▲10.8%(出来高▲0.4%)、9+8.5%

(出来高+0.7%)、10月▲7.9%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。

  ・就業者数を産業別に見ると、過去5年間で、医療・福祉、情報通信等で大きく増加する一方、卸売・小売では減少、コロナ

  で大きく減少した宿泊・飲食等は、回復するも依然コロナ前を下回る。

・公定価格の医療・福祉等を除く産業計では、春闘賃上げを反映し、所定内給与で2%程度賃金上昇した。

・ 年末のボーナスは、好調な企業収益等も背景に、現時点では、夏以上の高い伸びが見込まれている。

・我が国の実質賃金上昇率は昨年からマイナスが継続している一方、欧米では足下で前年比プラスに転化した。

・長期的にみると、アメリカでは20年間で平均名目賃金が1.9倍に増加した一方、我が国では横ばいとなっている。職種別に

 比較すると、弁護士、ソフトウェア開発、大学教員、トラック運転手などでアメリカとの差が大きい。

・多くの主要国では、長期的に名目賃金上昇率が物価上昇率を上回って推移しているが、日本では、長期的には両者ともゼロ近傍

 となっている。

・有効求人倍率は、61.3071.2981.2991.29(正社員は1.02)となった。

・完全失業率は、52.6%62.5%72.7%82.7%9+2.6%となった。

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

○ 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 業況判断は、総じてみれば緩やかに改善している。

・ 倒産件数は、コロナ禍を経て経済社会活動が正常化する中、昨年秋以降は増加傾向で推移している。飲食等のサービス業を中心

  に、小規模な事業者の倒産が増加した。

  民間金融機関を通じた実質無利子無担保融資(ゼロゼロ融資)を受けた中小企業の状況をみると、本年8月末にかけて、据置期間

 中の割合が低下し、完済または借り換えの割合が増加した。条件変更や代位弁済の割合は微増となっている。

  長期的にみると、足下は、件数・負債金額別の構成比ともにコロナ前と同程度である。なお、バブル期前の1980年代半ばは1500

 前後で、負債金額の構成も異なっていた。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、202212+720233+16+59+912+10

  「大企業・非製造業」は、202212+1920233+206+239+2712+21

  「中小企業・製造業」は、202212月▲220233月▲66月▲59月▲512月▲2

  「中小企業・非製造業」は、202212+620233+86+119+1212+8

 

生産

 生産は、持ち直しの兆しがみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、7月▲1.8%8月▲0.7%9+0.5%10月(予測)+3.9%11月(予測)▲2.8%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、6+3.0%7月▲4.8%8月▲0.5%9月▲3.4%

・電子部品・デバイスは前月比で、6+6.8%7月▲5.1%8+0.5%9月▲0.2%

   ・輸送機械は前月比で、6月▲2.8%7+0.4%8月▲3.7%9+4.2%

 

外需

○ 輸出はこのところ持ち直しの動きがみられる。輸入はおおむね横ばいとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 消費者マインドは、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月連続で下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、7+0.88月▲0.89月▲3.710月▲0.4

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月連続で下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、7+1.38月▲2.79月▲1.910月▲1.1

  

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが

   期待される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある。

・実質GDP成長率は、237-9月期で前年比+4.9%(前期比+1.3%)。

・消費は持ち直しに足踏みがみられる。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・財輸出は弱含みとなっている。

・固定資産投資は伸びが低下している。

・新築住宅販売価格は下落している。

・都市部調査失業率はこのところ低下となっている。

・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きがみられる。

○ 韓国・台湾では、景気は持ち直しの動きがみられる。

○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ タイでは、景気は持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は回復している。 先行きについては、回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等に

   よる下振れリスクに留意する必要がある。

20237-9月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+4.9%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

10月の失業率は3.9%となった。

○ 設備投資はこのところ増勢が鈍化している。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は増加しており、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は上昇している。

○ コア物価上昇率はこのところおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気は弱含んでいる。

 ・237-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.2% (イギリスは▲0.1%、ドイツは▲0.1%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスは弱い動きとなっている。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスは上昇している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は低下している。イギリスはこのところ低下している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+5.0%10月)、イギリス+6.3%10月)。

○ 財輸出は、ユーロ圏・イギリスともにおおむね横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

 

2023年

10月

30日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.10.30)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに回復している。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果

もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な

金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、

中東地域をめぐる情勢金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界の経済情勢

○  世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

  先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めや中国における不動産市場の停滞に伴う

  影響、物価上昇等による下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動の影響を注視

  する必要がある。

○ アメリカは、個人消費主導で堅調な成長が続き、景気は回復している。

中国は、不動産市場の停滞や輸出の弱含みが続く中で、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。

欧米の物価上昇率は低下傾向にある。

   世界の半導体出荷高は足下では底打ちの動きとなっている。今後は各国の半導体生産や輸出が増加する可能性がある。

   中国の貿易構造をみると、2020年以降、EV等を中心に自動車輸出が大幅に増加している。特に、「一帯一路」沿線の中央

   アジア・西アジア・ロシア等への輸出が急増している。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

・飲食や宿泊などサービス消費は持ち直しが継続している。家電販売のうち、エアコンや洗濯機は猛暑の影響や共働き需要も

  あって増加し、携帯電話は新製品の発売もあり増加した。

・一方、消費者マインドは、食料など身近な品目の物価上昇率の高止まりもあり、持ち直しに足踏みがみられる。40年ぶりの

  物価上昇に直面する中、消費者心理は物価動向に、より影響を受けるようになっている。

30年ぶりとなる新たな経済ステージへの移行の好機を逃さず、賃金と物価の好循環に着実に結び付けていくためには、物価

  上昇を上回る継続的な賃上げを実現する中で消費が増加していくことが重要である

実質総消費動向指数は、前期比で、60.0%7+0.1%8月▲0.1%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、5+0.6%6+0.2%7+0.9%8月▲0.9%9月▲1.0%。 

  ・8月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.1%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、このところ横ばいとなっている。輸入物価は、おおむね横ばいとなっている。

  消費者物価は、上昇している。

・原油価格は産油国の減産などで本年7月頃から再び上昇し、足下では中東情勢の影響もみられる。それに伴いガソリン価格も

  上昇してきたが、9月からは激変緩和事業の新たな措置により、足下では175円程度に抑制されている。

・輸入物価は足下で上昇傾向に転じており、今後の川下の物価への波及にも注意が必要である。

・消費者物価は足下で前年比3%程度で推移。その中で、子育て関係の物価については、授業料や保育料は抑制されている一方、

  塾・習い事、紙おむつなどで上昇した。

・食料品価格の上昇が続く中、消費者は、保存性のある品目は低価格の商品にシフトしている可能性がある。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設はこのところ弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、5+11.8%6月▲5.9%7月▲4.1%8+4.5%

・持家着工数は前月比で、4月▲0.8%5+0.1%6月▲0.5%7+1.0%8+5.8%

・貸家着工数は前月比で、4月▲12.9%511.3%6月▲8.9%7+1.5%8月▲4.4%

・分譲着工数は前月比で、4月▲19.8%5+23.7%6月▲5.9%7月▲16.0%8+17.0%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、5+3.0%(出来高+2.8%)、6+5.1%(出来高▲5.0%)、7月▲4.3%(出来高+1.7%)、8月▲10.8%

 (出来高▲0.4%)、9+8.5%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。

   ・デフレに陥る前の1980年代や90年代前半までは、物価上昇を上回って名目賃金が伸びていたため、実質賃金の伸びがプラス

     で推移してきた一方、足下では、物価上昇が名目賃金の伸びを上回り、実質賃金の下落が継続した。デフレ脱却に向けて、

     物価上昇に負けない名目賃金の継続的な上昇が重要となってくる。

   ・宿泊・飲食サービス等の業種では、人手不足感が強まる中で、賃金上昇率に高まりがみられる。

  ・追加的に労働供給を望み、働くことができる人口は約530万人となった。人手不足の中、意欲のある就業者・就業希望者の

     持てる力を十分に発揮できる環境整備が喫緊の課題である。

   ・労働時間の追加希望がある就業者には、「年収の壁」対策に加え、副業・兼業や転職の後押しが重要となってくる。

   ・仕事内容や勤務条件等のミスマッチに対しては、効果的なマッチングやリ・スキリングの支援、多様で柔軟な働き方の促進が

     重要となってくる。

・有効求人倍率は、51.3161.3071.2981.29(正社員は1.02)となった。

・完全失業率は、42.6%52.6%62.5%72.7%82.7%となった。

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

   ・ 中小企業の製造業では厳しさが残るものの、コロナ禍から平時へと移行する中、非製造業の業況判断DIは、大企業・中小

      企業ともにバブル期以降の最高水準となった。

・業況が改善する中で、人手不足への対応が課題となっている。雇用人員判断は、業種・規模にかかわらず人手不足感が強まって

  いるが、とりわけ中小企業の非製造業では、人手不足感が過去最高水準となっている。

・非製造業の人手不足感は、コロナ禍後の経済正常化やインバウンド復活で需要が回復している宿泊・飲食、建設、運輸など

  幅広い業種で拡大した。これら分野の求人倍率は平均を大きく上回る。

・多くの企業は、採用増加等により人手不足に対応している一方、省力化投資を行っている企業は未だ限定的で、人手不足が

  厳しい業種では省力化・省人化投資への後押しが重要となってくる。

○ 設備投資は、持ち直している。

・今年度の企業の設備投資計画は前年度比13%増加と、投資マインドは引き続き堅調となっている。ただし、中小企業では、

  非製造業で投資意欲の高まりがみられる一方、製造業はやや弱めの伸びである点に留意しなければならない。

  ・非製造業では、業況が改善し人手不足感が高まる中で、設備にも不足感がある。省力化投資や高付加価値化に資する投資へ

    の後押しが重要となってくる。製造業の投資計画は、各地域で堅調である。半導体関連の集積が進む九州では、製造・非製造業

    ともに他地域に比べて伸びが顕著となっている。

○ 業況判断は、総じてみれば緩やかに改善している。

・ 倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、202212+720233+16+59+912+10

  「大企業・非製造業」は、202212+1920233+206+239+2712+21

  「中小企業・製造業」は、202212月▲220233月▲66月▲59月▲512月▲2

  「中小企業・非製造業」は、202212+620233+86+119+1212+8

 

生産

 生産は、持ち直しの兆しがみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、6+2.4%7月▲1.88月▲0.7%9月(予測)+5.8%10月(予測)+3.8%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、5+3.6%6+3.0%7月▲4.8%8月▲0.5%

・電子部品・デバイスは前月比で、50.0%6+6.8%7月▲5.1%8+0.5%

   ・輸送機械は前月比で、5月▲4.0%6月▲2.8%7+0.4%8月▲3.7%

 

外需

○ 輸出はこのところ持ち直しの動きがみられる。輸入はおおむね横ばいとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、6月▲1.47+0.88月▲0.89月▲3.7

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、6月▲1.67+1.38月▲2.79月▲1.9

  

アジア経済の動向  

 

○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。  先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが

     期待される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある。

・実質GDP成長率は、237-9月期で前年比+4.9%(前期比+1.3%)。

・消費は持ち直しに足踏みがみられる。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・輸出はこのところ弱含みとなっている。

・固定資産投資は伸びが低下している。

・新築住宅販売価格はこのところ下落している。

・都市部調査失業率はこのところ低下となっている。

・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きがみられる。

○ 韓国では、持ち直しの兆しがみられる。

○ 台湾では、景気は下げ止まりの兆しがみられる。

○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ タイでは、景気は持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は回復している。 先行きについては、回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等に

     よる下振れリスクに留意する必要がある。

20234-6月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+2.1%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

9月の失業率は3.8%となった。

○ 設備投資は緩やかに増加している。

○ 消費は増加しており、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は上昇している。

○ コア物価上昇率はこのところやや低下した。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態に、ドイツでは弱含んでいる。

 ・234-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.6% (イギリスは+0.8%、ドイツは+0.1%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっており、イギリスは弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスは上昇している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともにこのところ低下している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+5.5%9月)、イギリス+6.8%9月)。

○ 輸出は、ユーロ圏・イギリスともにおおむね横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

2023年

9月

26日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.9.26)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに回復している。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果

 もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な

 金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の

 下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価

 上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界の経済情勢

○  アメリカ経済は回復しているものの、中国は持ち直しの動きに足踏み、ドイツを始め欧州も足踏み状態となっている。

○  24年の世界経済は減速の見通しとなった。中国における不動産市場の停滞による下振れリスクに注意する必要がある。

 ・中国の輸出入は、18年以降、米中貿易摩擦を受け減速している。感染症収束後の現在も輸出入ともに弱含んでいる。

 ・ドイツは、中国向け輸出が20年以降停滞している。景況感は大幅に悪化した。ドイツ政府は、国内企業の競争力強化の

  ための経済対策を発表した。

  「経済拠点としてのドイツのための計画」 (8/29公表)ポイント

 〇「成長機会法」を決定

 2028年まで年間70億ユーロ(1.1兆円)規模

 ・研究開発費用の損金算入を現行の3倍へ引上げ。

 ・グリーン技術投資に対して15%を補助。

 ・中小企業への研究開発補助金の補助率 を引上げ(25%35%)。 等

 

日本の実質GDP成長率

○  20234-6月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比+1.2%(年率+4.8%)となり、実質GDPはコロナ前の水準を

  超え、過去最高になった。

 ・GDPギャップは解消に向かい、234-6月期には、33四半期ぶりにプラスに転換したものの小幅であり、また、外需

  高い伸びによるものである。今後、内需中心の成長により、プラス傾向が安定的に続いていくことが重要となる。

 ・一方、潜在成長率(潜在GDPの伸び率)は、G7諸国の中で最も低い。供給力の強化が課題である。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

・雇用・所得環境の改善が続く下、家計調査(2人以上世帯)は弱い一方で、供給側の動きを捉えた指標やカード支出データ等の

 様々な指標によると、個人消費は持ち直してきている。

・物価高が続く中で、相対的に低所得の世帯における消費動向には注意が必要である。消費支出に占める食料品やエネルギーの

 シェアは、収入が低い世帯ほど高い。また、消費者マインドを見ると、収入が低い世帯ほど「暮らし向き」の回復が弱いなど、

 所得階層間のバラツキが拡大した。

・個人金融資産残高はコロナ禍で積みあがった貯蓄(超過貯蓄)もあって2,115兆円まで増加したが、これが消費に向かうことが

 期待される。また、米欧と比べ現金・預金の比率が高く、物価が上昇する中、貯蓄から投資に回っていくことが重要である

実質総消費動向指数は、前期比で、5月▲0.2%60.0%7+0.2%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、4+1.5%5+0.6%6+0.2%7+0.9%8月▲0.9%。 

  ・7月の実質総雇用者所得は、前期比で▲1.2%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、このところ横ばいとなっている。輸入物価は、おおむね横ばいとなっている。

 消費者物価は、上昇している。

・消費者物価(生鮮食品を除く総合)は、激変緩和措置等によりエネルギー価格が抑制される中で、前年比3%程度で推移

 している。その構成は、財(食料やエネルギー等)、サービス(家賃や外食・宿泊等)が半々となっている。

・消費者物価上昇の主因である食料品価格は、ロシアによるウクライナ侵略等を受けた世界的な価格高騰等により、食パン

 をはじめ、幅広い品目で価格が上昇した。

・サービス物価は、宿泊料・外食等で大きく上昇している。その他サービスでも、家賃や公共サービスを除き、上昇率が

 高まっている。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設はこのところ弱含んでいる。 

・住宅着工は、持家や分譲住宅を中心に弱含んでいる。木材価格の上昇は一服したものの、コンクリート等の資材価格は上昇

 した。加えて、労務費上昇もあり、建築費が高止まりしていることが主な背景としてある。

・首都圏マンション新規販売平均価格は、都区部の高価格マンション供給の影響もあり上昇した。住宅リフォームは、補助事業

 の効果もあり、23年以降増加がしつつある。

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、4月▲12.1%5+11.8%6月▲5.9%7月▲4.1%

・持家着工数は前月比で、3月▲8.0%4月▲0.8%5+0.1%6月▲0.5%7+1.0%

・貸家着工数は前月比で、3+9.8%4月▲12.9%511.3%6月▲8.9%7+1.5%

・分譲着工数は前月比で、3+0.1%4月▲19.8%5+23.7%6月▲5.9%7月▲16.0%

   公共投資は、堅調に推移している。

・請負金額は前月比で、4月▲4.1%(出来高+2.9%)、5+3.0%(出来高+2.8%)、6+5.1%(出来高▲5.0%)、7月▲4.3%

(出来高+1.7%)、8月▲10.8%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。

  ・有効求人倍率は、41.3251.3161.3071.29(正社員は1.02)となった。

・完全失業率は、32.8%42.6%52.6%62.5%72.7%となった。

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

   ・ 234-6月期の経常利益は過去最高を更新した。今年度の設備投資計画に おいて、大企業・中小企業ともにデジタル化や

   省力化を背景にしたソフトウェア投資を最も重視する傾向にある。

・本業による収益である営業利益も総じてみれば増加した。ただし、中小企業では、製造業は2期連続の減益となり、設備

 投資も減少した。継続的な賃上げに向け、適切な価格転嫁とともに、中小企業が設備投資を進め、本業の収益力を高める

 ための後押しが重要となってくる。

・インバウンドは2019年の9割弱まで回復した。インバウンド需要もあり、宿泊・飲食サービスではコロナ禍前と同水準まで

 人手不足感が拡大し、宿泊料や外食の価格は上昇した。

・宿泊・飲食業の設備投資計画は、全産業平均と比べて弱い。売上げ拡大のチャンスを取りこぼさないよう、省力化投資を

 通じた効率化や、高付加価値化・差別化を通じた価格設定力強化が課題となってくる。

○ 設備投資は、持ち直している。

○ 業況判断は、持ち直している。

・ 倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20229+812+720233+16+59+9

  「大企業・非製造業」は、20229+1412+1920233+206+239+20

  「中小企業・製造業」は、20229月▲412月▲220233月▲66月▲59月▲1

  「中小企業・非製造業」は、20229+212+620233+86+119+7

 

生産

 生産は、持ち直しの兆しがみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、5月▲2.2%6+2.4%7月▲1.88月(予測)+2.6%9月(予測)+2.4%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、4月▲6.3%5+3.6%6+3.0%7月▲4.8%

・電子部品・デバイスは前月比で、4+6.9%50.0%6+6.8%7月▲5.1%

   ・輸送機械は前月比で、4+3.5%5月▲4.0%6月▲2.8%7+0.4%

 

外需

○ 輸出はこのところ持ち直しの動きがみられる。輸入はおおむね横ばいとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、1か月ぶりに下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、5+0.46月▲1.47+0.88月▲0.8

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、1か月ぶりに下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、5月▲1.36月▲1.67+1.38月▲2.7

  

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。 先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが

   期待される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある

・実質GDP成長率は、234-6月期で前年比+6.3%(前期比+0.8%)。

・消費は持ち直しに足踏みがみられる。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・輸出はこのところ弱含みとなっている。

・固定資産投資は伸びが低下している。

・新築住宅販売価格はこのところ下落している。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。

○ 韓国では、持ち直しの兆しがみられる。

○ 台湾では、景気は下げ止まりの兆しがみられる。

○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ タイでは、景気は持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は回復している。 先行きについては、回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等に

  よる下振れリスクに留意する必要がある。

20234-6月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+2.1%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

8月の失業率は3.8%となった。

○ 設備投資は緩やかに増加している。

○ 消費は増加しており、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は上昇している。

○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・234-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.5% (イギリスは+0.8%、ドイツは+0.1%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっており、イギリスは弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスは上昇している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏はこのところ低下している。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.2%8月)、イギリス+7.1%8月)。

○ 輸出は、ユーロ圏・イギリスともにおおむね横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

2023年

8月

28日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.8.28)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに回復している。

 

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果

もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な

金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、

金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。

 

 

日本の実質GDP成長率

○  20234-6月期(1次速報)の実質GDP成長率は、前期比+1.5%(年率+6.0%)となった。

234-6月は、供給制約の緩和やインバウンド回復に伴う輸出増など外需に牽引され、3期連続のプラス成長となった。

 GDP水準は、名目に続き実質でも過去最高になった。

・実質個人消費は、2期連続増加の後、物価上昇の影響もあり減少した。一方、設備投資については、実質は、ソフトウェア

 投資の増加により、2期連続で増加し、名目は、過去最高を更新し100兆円に達した。

・雇用者報酬は、名目で増加が続く中、実質も7期ぶりにプラスに転換した。今後も、30年ぶりの高い賃上げとなった春闘結果

 の反映や今年10月の最低賃金引上げが、所得環境の改善につながる見込みとなっている。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

234-6月期の消費は、物価上昇の影響もあって、食料品等の非耐久財や家電等の耐久財が減少した一方、経済活動正常化

 によりサービスの回復は継続している。家電は、巣ごもり需要による増加の後、多くの世帯で買い替え時期を迎えておらず、

 エアコン、冷蔵庫、テレビ、パソコン等の販売は弱い状況が継続している。

・消費者マインドは、雇用環境の改善等を背景に持ち直しが継続している。一方、8月は台風の影響があり、お盆期間の国内

 交通利用は、前年よりは回復したもののGWよりは弱いうごきとなった。また、例年よりも猛暑日が多く、空調の効いた商業

 施設等ではプラスの影響がみられるが、屋外型レジャー施設にはマイナスに影響した。

実質総消費動向指数は、前期比で、4月▲0.1%5月▲0.1%60.0%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、3+2.6%4+1.5%5+0.6%6+0.2%70.9%。 

  ・6月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.1%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、緩やかに下落している。輸入物価は、このところ下落テンポが鈍化した。

消費者物価は、上昇している。

・消費者物価上昇の約7割は食料品である。電気・ガス代は、政策効果や既往の資源価格の低下により下落している。

 8月については、円安の進行等を背景に、ガソリン価格が上昇した。特にガソリン支出額の多い地方の消費者にとっては家計

 の負担が増加した。

・アメリカに比べ、我が国は、サービス部門の賃金と物価の伸びがともに緩慢となっている。ただし、足下では、サービスの

 正規価格で改定頻度が上昇しており、これまでの価格が動きにくい状況に構造的な変化の兆しがみられる。賃上げの継続と

 適切な価格転嫁を通じて、賃金と物価がともに持続的・安定的に上昇していくことが重要となる。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設はおおむね横ばいとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、3+2.0%4月▲12.1%5+11.8%6月▲5.9%

・持家着工数は前月比で、3月▲8.0%4月▲0.8%5+0.1%6月▲0.5%

・貸家着工数は前月比で、3+9.8%4月▲12.9%511.3%6月▲8.9%

・分譲着工数は前月比で、3+0.1%4月▲19.8%5+23.7%6月▲5.9%

   公共投資は、堅調に推移している。

・請負金額は前月比で、3月▲22.8%(出来高+2.9%)、4月▲4.1%(出来高+2.8%)、5+3.0%(出来高▲5.0%)、6+5.1%

 7月▲4.3%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。

・春闘の賃上げの反映やボーナスの増加によって賃金は改善した。6月のボーナスを含む特別給与は、コロナ禍前の水準を

 超えて増加している。中小企業を含め、今後も賃上げの流れが継続していくことが重要となる。

・民間職業紹介における求人(主に正社員)では、高収入の求人が大幅に増加した。

・パート労働者の時給は、今年10月に最低賃金が引き上げられることもあり、さらに上昇の見込みとなっている。

・一方、 既婚女性の非正規労働者では、就業調整を実施する割合が高まっており、「年収の壁」による労働供給の制約が

 強まっている

・有効求人倍率は、21.3431.3241.3251.3161.30(正社員は1.03)となった。

・完全失業率は、22.6%32.8%42.6%52.6%62.5%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば緩やかに改善している。

○ 設備投資は、持ち直している。

  23年度の大企業の設備投資計画では、能力増強や製品高度化等を目的とした前向きな動きがみられる。また、供給網強靱化の

   観点から、今後、国内生産拠点を強化する企業の割合が大きく増加の見込みとなっている。

  ・中小企業の設備投資計画も6月時点では7.2%増と堅調となっている。このうちソフトウェア投資をみると、製造業や卸売・

     小売では大幅な増加の計画になっており、DXの取組がみられる。一方、宿泊・飲食では遅れがでている。

   ・中小企業のうち価格転嫁実施企業では、設備投資に積極的な企業が多い。中小企業の設備投資促進のためには、引き続き

     適切な価格転嫁に向けた取り組みも重要となる。

○ 業況判断は、持ち直している。

・ 倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20229+812+720233+16+59+9

  「大企業・非製造業」は、20229+1412+1920233+206+239+20

  「中小企業・製造業」は、20229月▲412月▲220233月▲66月▲59月▲1

  「中小企業・非製造業」は、20229+212+620233+86+119+7

 

生産

 生産は、持ち直しの兆しがみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、4+0.7%5月▲2.2%6+2.4%7月(予測)▲0.2%8月(予測)▲1.1%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、3+5.8%4月▲6.3%5+3.6%6+3.0%

・電子部品・デバイスは前月比で、3月▲10.6%4+6.9%50.0%6+6.8%

   ・輸送機械は前月比で、3+4.9%4+3.5%5月▲4.0%6月▲2.8%

 

外需

○ 輸出はこのところ持ち直しの動きがみられる。輸入はおおむね横ばいとなっている。

   ・財の輸出は、供給制約の緩和に伴う自動車生産の回復や、PC出荷台数の下げ止まりにみられる半導体需要の底打ちも

     背景に、各地域向けに増加しており、持ち直しの動きとなっている。

     ただし、輸出先の経済動向には留意が必要である。

    ・サービスは、23年7月、中国以外からの訪日外客数はコロナ禍前の水準に回復した。一方、デジタル関連や保険等の

  サービス分野では、支払(輸入)が受取(輸出)を超過し、赤字幅が拡大する傾向にあり、 サービス分野の競争力強化

  も重要となっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、1か月ぶりに上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、3+1.34+1.35+0.46月▲1.47+0.8

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月ぶりに上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、3+3.34+1.65月▲1.36月▲1.67+1.3

  

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。

    先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意

     する必要がある。

 ・不動産市場の停滞が続き、住宅取引件数、不動産開発投資は減少となった。大手不動産企業は業績が悪化する中、債務再編交渉

    が難航している。住宅需要の喚起や地方銀行等の金融リスク等に対応するため、政府は各種の政策措置を発表した

    なお、IMFの推計では、地方融資平台(都市開発の資金調達のために地方政府が出資した特別目的会社)の債務残高は増加

    傾向となっている。

 ※政策対応 ① 政策金利の引下げ(8/1521

            ・中期貸出ファシリティ(MLF)1年物を0.15pt引下げ(2.50) ・最優遇貸出金利(LPR)1年物を0.10pt引下げ(3.45)

        ② 住宅ローン金利等優遇要件の緩和(7/27

             ・本人名義の保有住宅がなければ、1軒目購入時の住宅ローン金利・頭金比率等の優遇を2軒目以降にも適用。

        ③ 都市部の戸籍取得要件の緩和(8/3

            ・出稼ぎ農民工の家族呼び寄せによる住宅需要の喚起、公営住宅整備の推進等。 

        ④ 地方政府による地方銀行への資本注入(8/20) 

            ・資本注入のための地方特別債の発行額増加(1-7月は2022年通年の2.3倍)。

        ⑤ 地方政府が地方融資平台の支援について検討(8/11報道) 

・消費はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・輸出はこのところ弱含みとなっている。

・固定資産投資はこのところ伸びが低下している。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。なお、足下でマイナス転換。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。

○ 韓国では、持ち直しの兆しがみられる。

○ 台湾では、景気は下げ止まりの兆しがみられる。

○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ タイでは、景気は持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は回復している。 先行きについては、回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等に

     よる下振れリスクに留意する必要がある。

20234-6月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+2.4%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費を中心にアメリカの景気はが回復した背景には、雇用・所得環境の着実な改善がある。

  感染症拡大期後は、労働供給の回復を上回るペースで労働需要が急増し、労働市場は更にひっ迫した。

・レジャー・接客等の業種では、労働者不足が依然として高水準で継続している。このため、レジャー・接客の賃金上昇率

  は、全体を上回って推移している。

・全体の賃金上昇率が物価上昇率を上回っていることに加え、21年半ば以降に約1.1兆ドル(対名目GDP比約4%)の超過

  貯蓄が取り崩されていることも消費の増加に寄与している。

7月の失業率は3.5%となった。

○ 設備投資は緩やかに増加している。

○ 消費は増加しており、自動車販売台数は持ち直している。

○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は緩やかに上昇している。

○ コア物価上昇率はこのところやや低下している。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・234-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.0% (イギリスは+0.8%、ドイツは+0.1%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっており、イギリスは弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスは上昇している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともにはおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.6%7月)、イギリス+7.7%7月)。

○ 輸出は、ユーロ圏・イギリスともにおおむね横ばいとなっている。 

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

2023年

7月

26日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.7.26)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに回復している。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果

もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な

金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しする

リスクとなっている。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に

十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

・中国は、高齢化の進展・従属人口比率の上昇につれて成長が鈍化している。

インドでは、高齢化の進展は緩やかなものにとどまり、成長制約は相対的に小さい可能性がある。

・インドの市場規模・成長性への期待から、日系企業の関心も高まっている。

・中国は貿易収支が黒字となっている。一方インドはサービス収支が黒字であり、サービス輸出に強みがある。

 

日本の実質GDP成長率

○  20231-3月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比+0.7%(年率+2.7%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

・新車販売は、生産面の供給制約緩和に伴って増加している。外食消費は、コロナ禍以前のトレンドまでほぼ回復した。

・夏休みの国内旅行者数も、コロナ禍以前の水準を回復する見込みとなっている。4年ぶりに通常開催される夏祭りや

 イベントも多く、消費の後押しに期待がもてる。

・コロナ禍の活動制限下で積み上がった超過貯蓄は、米国では21年半ば以降に取崩しが進む一方、日本では依然取崩し

 には至らず高止まりとなっている。今後、経済活動の正常化が進む中、貯蓄から消費へも動き出すことが期待される。

実質総消費動向指数は、前期比で、3月▲0.1%4月▲0.1%5月▲0.1%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、2+0.0%3+2.6%4+1.5%5+0.6%6+0.2%。 

  ・5月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.2%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、このところ緩やかに下落している。

 消費者物価は、上昇している。

・今次の物価上昇局面では、リーマンショック直前の原油価格高騰時と比べ、企業の価格転嫁が進展した。

・財の消費者物価は、輸入物価から半年程度遅れて動く傾向があり、今後は上昇率が縮小する見込みとなっている。

 必需品の物価は、激変緩和措置の効果等も相まって上昇率が縮小した。一方、必需品以外は徐々に上昇率が拡大している。

・こうした中、物価上昇に直面する消費者は、食料品について、低価格商品にシフトしたり、購買品目を変えたりしている

 可能性がある。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、2月▲3.8%3+2.0%4月▲12.1%5+11.8%

・持家着工数は前月比で、2+3.6%3月▲8.0%4月▲0.8%5+0.1%

・貸家着工数は前月比で、2+1.0%3+9.8%4月▲12.9%511.3%

・分譲着工数は前月比で、2月▲15.1%3+0.1%4月▲19.8%5+23.7%

   公共投資は、堅調に推移している。

・請負金額は前月比で、2+51.7%(出来高+0.3%)、3月▲22.8%(出来高+2.9%)、4月▲4.1%(出来高+2.8%)、5+3.0%

 6+5.1%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、このところ改善の動きがみられる。

5月のフルタイム労働者の定期給与は、賃上げの反映が進んだことで一段と上昇した。

比較可能な1993年以降で過去最高水準の伸びとなっている。春闘の結果は、今後も賃金に反映される見込みである。                    ・今夏のボーナスは高水準であった昨年から更に上昇した。パート募集時の平均時給も1,000円超となるなど、増加傾向が

継続している。これらにより、雇用・所得環境の改善が続くことが期待される。                                                              ・価格転嫁ができている企業は、賃上げにもより積極的な傾向がある。賃上げの原資の確保という観点からも、適切な価格

転嫁に向けた取組が引き続き重要となる。                                                                                                ・有効求人倍率は、11.3521.3431.3241.3251.31(正社員は1.03)となった。

 ・完全失業率は、12.4%22.6%32.8%42.6%52.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

○ 設備投資は、持ち直している。

  23年度の設備投資は、高い伸びが実現した22年度から、さらに2桁増の計画となっている。大企業のみならず、中小企業でも

     投資マインドに力強さがある。DXやEV化などの前向きな動きもみられる。

   ・ソフトウェア投資は、引き続き高い伸びとなっている。非製造業では、22年度に大幅増となった宿泊・飲食を含め、23年度は

     全ての業種でプラスの計画となっている。一方、米国に比べると、我が国ではソフトウェアを含む知的財産投資のシェアが

     低く、更なる投資拡大が課題である。

○ 業況判断は、持ち直している。

・ 大企業の製造業の業況判断では7期ぶりに前期から上昇した。

・ 製造業では、供給制約が緩和した自動車産業のほか、飲食需要の増加や価格転嫁の進展も背景に食料品産業が上昇した。

    非製造業では、新型コロナの5類移行も背景に幅広い業種で前期から上昇した。

・ 街角景気の先行き判断をみると、インバウンドや旅行関係に言及した景気ウォッチャーの景況感は引き続き全体を押し上げ

    ている。値上げに関する言及は全体を押し下げているが、その程度は縮小した。

・ 倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20229+812+720233+16+59+9

  「大企業・非製造業」は、20229+1412+1920233+206+239+20

  「中小企業・製造業」は、20229月▲412月▲220233月▲66月▲59月▲1

  「中小企業・非製造業」は、20229+212+620233+86+119+7

 

生産

 生産は、持ち直しの兆しがみられる。

・製造業の生産は持ち直しの兆しがみられる。供給制約の緩和等を背景に、乗用車や建設機械等が増産基調となるほか、

  市況の悪化による弱さが続いてきた半導体関連業種も横ばいとなった。

・建設機械では遠隔操作システム搭載機の販売が予定され、半導体製造装置は今年度を底に来年度以降売上増が見込まれる

  など、生産用機械工業では先行きにも期待感がみられる。

・インバウンド消費は、コロナ禍前の水準までほぼ回復した。中国等の客数回復は道半ばだが、一人当たり消費額が大きく

  プラスに寄与した。

・鉱工業生産指数は前月比で、3+0.3%4+0.7%5月▲2.2%6月(予測)+5.6%7月(予測)▲0.6%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、2+8.9%3+5.8%4月▲6.3%5+3.6%

・電子部品・デバイスは前月比で、2+7.1%3月▲10.6%4+6.9%50.0%

   ・輸送機械は前月比で、2+13.9%3+4.9%4+3.5%5月▲4.0%

 

外需

○ 輸出は底堅い動きとなっている。輸入はおおむね横ばいとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、5か月ぶりに下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、2+3.53+1.34+1.35+0.46月▲1.4

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、2+1.53+3.34+1.65月▲1.36月▲1.6

  

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は持ち直しの動きがみられる。

   先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、不動産市場の動向等を注視する

    必要がある。

 ・234-6月期の実質GDP成長率は前期比で2.2%(前年比+6.3%)となった。、前年4-5月に上海ロックダウンの影響が

    あった点に留意しなければならない。

・不動産企業の債務問題が長期化する中、住宅市場は供給過剰と需要不足(投機の減少、買い控え、都市化の減速等)が

  顕在化した。販売面積は減少が続き、住宅価格は地方で下落。住宅関連財の小売も低調となっている。

・若年失業率は過去最高水準で推移している。これに加え、過去の一人っ子政策の影響もあり、若年層の男女比に偏りが

  みられる。婚姻率・出生率の低下を通じて今後の中国の人口構造にも影響があるとみられる。

・消費はこのところ持ち直している。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出はこのところ弱含みとなっている。

・固定資産投資はこのところ伸びが低下している。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。

○ 韓国では、持ち直しの兆しがみられる。

○ 台湾では、景気は下げ止まりの兆しがみられる。

○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ タイでは、景気はこのところ持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかに回復している。 先行きについては、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、金融

     引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。

20231-3月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+2.0%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

6月の失業率は3.6%となった。

○ 設備投資は緩やかに持ち直している。

○ 消費は緩やかに増加しており、自動車販売台数は持ち直している。

○ 住宅着工数はおおむね横ばい・住宅価格は緩やかに上昇している。

○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・231-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で0.0% (イギリスは+0.6%、ドイツは▲1.3%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっており、イギリスは弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともにはおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.8%6月)、イギリス+7.9%6月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

2023年

6月

22日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.6.22)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに回復している。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果

もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な

金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しする

リスクとなっている。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に

十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

・ユーロ圏では、これまでの物価高の影響もあり消費が弱含むなど、景気は足踏み状態が続いている。

・欧米の消費者物価は、エネルギー価格下落を受け上昇率に一服感がみられるが、国内の財・サービス価格への波及は、ユーロ圏を

 中心に引き続き進行している。

・中国では、世界的な物価上昇や貿易の鈍化等を受け輸出が伸び悩むなど、感染収束後の回復ペースは緩やかとなっている。

・こうした中、直近、アメリカでは政策金利を据え置き、ユーロ圏は利上げ、中国は利下げの動きとなっている。

 今後とも世界的な金融引締めに伴う影響、物価上昇等による下振れリスクに留意。また、金融資本市場の変動の影響を注視する

 必要がある。

 

 

日本の実質GDP成長率

○  20231-3月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比+0.7%(年率+2.7%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

・所得面では、雇用情勢の改善に伴い実質総雇用者所得が下げ止まりとなった。

・消費の内訳をみると、財では、生産の供給制約が緩和されたこともあり、付加価値の高い普通乗用車を中心に新車販売が増加

 傾向となっている。

・サービスでは、コロナ禍で外出を控えがちだった世帯(小規模自治体居住)でも外食消費が増加した。宿泊者数(延べ人数)

 は、政策効果もあり、日本人は高水準で推移した。外国人は堅調に増加しているが、更なる回復が期待される。

実質総消費動向指数は、前期比で、2+0.5%3月▲0.3%4+0.1%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、1+0.3%2+0.0%3+2.6%4+1.5%5+0.6%。 

  ・4月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.2%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、このところ緩やかに下落している。

消費者物価は、上昇している。

・国際商品市況では、原油・LNG・石炭の価格がロシア政府によるウクライナ侵略前の水準を下回って推移している。

・こうした中、我が国の交易条件は、輸入物価下落に伴って、約2年ぶりに前年比プラスに転換した。

・国内企業物価は、5月は再生可能エネルギー発電促進賦課金の引下げもあり、前年比が5か月連続で低下している。

・消費者物価の前年比を寄与分解すると、財に続いてサービスの寄与が徐々に拡大している。

一方、エネルギーは、過去の原油価格下落等の影響が徐々に反映される中、5月は再エネ賦課金の引下げが加わり、マイナス

寄与が拡大した。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、1+5.5%2月▲3.8%3+2.0%4月▲12.1%

・持家着工数は前月比で、1月▲0.8%2+3.6%3月▲8.0%4月▲0.8%

・貸家着工数は前月比で、1+0.1%2+1.0%3+9.8%4月▲12.9%

・分譲着工数は前月比で、1+20.0%2月▲15.1%3+0.1%4月▲19.8%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、1+0.9%(出来高+2.1%)、2+51.7%(出来高+0.3%)、3月▲22.8%(出来高+2.9%)、4月▲4.1%5+3.0%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、このところ改善の動きがみられる。

・就業率はコロナ禍以前を上回る水準で推移し、失業率も4月は低下。雇用者数は女性の正規雇用を中心に増加している。

・一人当たり賃金は緩やかに増加した。春闘の賃上げが一部反映され始め、4月のフルタイム労働者の定期給与は最近のトレンド

 を一段上回る伸びとなっている。今後、賃上げの反映が進むにつれて増加が続くことが期待される。

・中小企業でも、民間調査によれば、今年度に給与総額を3%以上引き上げる企業の割合が5割を上回るなど、賃上げが進展した。

 一方で、賃上げの理由として、物価上昇を挙げる企業は5割超となっているが、一定の価格転嫁の実現を挙げる企業は1割に

 とどまる。

 持続的な賃金上昇に向けては、コストの適切な転嫁を通じたマークアップの確保が重要である

  ・有効求人倍率は、121.35202311.3521.3431.3241.32(正社員は1.03)となった。

・完全失業率は、112.5%122.5%202312.4%22.6%32.8%42.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

  ・企業収益は、経常利益が231-3月期に前年比で増益、水準も1-3月期として過去最高となるなど、総じてみれば緩やかに

      改善している。

    ・業種別の動向をみると、製造業は素材関係等の市況悪化により前年比マイナスだが、非製造業は経済社会活動の正常化に伴い、

      陸運、宿泊・飲食、小売など幅広い業種でプラスとなり、全体の回復を牽引している。

○ 設備投資は、持ち直している。

  ・企業の設備投資は、製造業・非製造業ともに前期比で増加するなど、堅調に推移している。ソフトウェア投資もDXの進展等も

     背景に高い水準が継続している。

   ・2023年度の投資計画も前年度比で高い伸びが示されており、引き続き、企業の積極的な投資意欲がうかがえる。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

・ 倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20226+99+812+720233+16+3

  「大企業・非製造業」は、20226+139+1412+1920233+206+15

  「中小企業・製造業」は、20226月▲49月▲412月▲220233月▲66月▲4

  「中小企業・非製造業」は、20226月、▲19+212+620233+86+3

 

生産

 生産は、持ち直しの兆しがみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、2+3.7%3+0.3%4+0.7%5月(予測)+1.9%6月(予測)+1.2%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、1月▲15.3%2+8.9%3+5.8%4月▲6.3%

・電子部品・デバイスは前月比で、1月▲4.2%2+7.1%3月▲10.6%4+6.9%

   ・輸送機械は前月比で、1月▲9.9%2+13.9%3+4.9%4+3.5%

 

外需

○ 輸出は底堅い動きとなっている。輸入はおおむね横ばいとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

・貿易収支は、原油価格下落等に伴う鉱物性燃料の輸入減少と、供給制約緩和に伴う自動車の輸出増加を背景に、赤字幅が縮小

  傾向にある。

・こうした中、輸出数量は、ICや半導体製造装置では弱めの動きだが、自動車の輸出増加によって全体としては底堅い動き。

  同様に、製造業の生産も、輸送機械の回復によって全体として持ち直しの兆しがみられる。

・半導体部門は、足下では市況の悪化が続くものの、中長期的な需要拡大も見据え、先端分野の工場新設など各地で前向きな

  投資の動きがみられる。今後、これらの進捗に伴う関連資材・設備の生産増加にも期待がもてる。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、1月▲0.22+3.53+1.34+1.35+0.4

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、6か月ぶりに下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、1+2.52+1.53+3.34+1.65月▲1.3

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は持ち直しの動きがみられる。

    先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、不動産市場の動向等を注視する必要が

     ある。

 ・231-3月期の実質GDP成長率は前期比で2.2%(前年比+4.5%)となった。

・消費はこのところ持ち直している。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出は持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・固定資産投資はこのところ伸びが低下している。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。

○ 韓国では、景気は下げ止まりの兆しがみられる。

○ 台湾では、景気は減速している。

○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ タイでは、景気はこのところ持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかに回復している。 

     先行きについては、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要

     がある。

20231-3月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+1.3%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

5月の失業率は3.7%となった。

○ 設備投資は緩やかに持ち直している。

○ 消費は緩やかに増加しており、自動車販売台数は持ち直している。

○ 住宅着工・住宅価格ともにおおむね横ばいとなっている。

○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・231-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.4% (イギリスは+0.5%、ドイツは▲1.3%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっており、イギリスは弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏はおおむね横ばい、イギリスは上昇している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.8%5月)、イギリス+7.9%4月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

2023年

5月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.5.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに回復している。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果

もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な

金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しする

リスクとなっている。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に

十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

・アメリカでは、雇用・所得環境の着実な改善がみられる中で、20231-3月期は消費の増加等がけん引しプラス成長が続くなど、

 景気は緩やかに回復している。

・中国では、感染収束に伴う経済活動の回復の下で1-3月期はプラス成長となり、4月は一服感がみられるものの、消費を中心に

 景気は持ち直しの動きがみられる。

・欧米の失業率はおおむね横ばい。労働市場のひっ迫が続く中、金融引締めが継続している。世界的な金融引締めに伴う影響等に

 よる下振れリスクに引き続き留意が必要である。また、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。

 

 

日本の実質GDP成長率

○  20231-3月期の実質GDP成長率は、前期比+0.4%(年率+1.6%)となった。供給制約の緩和を通じた自動車販売の増加や

  ウィズコロナの下でのサービス消費の持ち直しなど、内需が牽引した。外需は、アジア向けの輸出減少等によりマイナスに寄与

  した。

○ 名目GDPは、輸入物価上昇の転嫁が進むことで、コロナ禍以前の過去最高水準(197-9月期)を3年半ぶりに更新するなど、

  堅調に増加した。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

・新車販売が増加するほか、持ち直しが遅れていた高齢者の外食消費も増加した。

・家計動向をみている景気ウォッチャーの評価は、現状・先行きともに4月にさらに上昇した。

5月も、新型コロナの感染症法上の位置づけ変更等も背景として、GWの交通機関の利用実績は新幹線や国内線航空でコロナ禍

前の水準まで回復し、4年ぶりに各地でイベントが通常開催されるなど、コロナ禍から平時への移行が進展した。

実質総消費動向指数は、前期比で、10.0%2+0.1%3+0.1

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、12+1.3%20231+0.3%2+0.0%3+2.6%4+1.5%。 

  ・3月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.5%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、このところ横ばいとなっている。

消費者物価は、上昇している。

・国内で生産された付加価値全体の物価動向を示すGDPデフレーターは、原油価格の下落等に伴い輸入デフレーターの押下げ

 寄与が縮小したことで、231-3月期は前期からプラス幅を拡大させている。

・輸入物価は、石油やLNG等の価格下落に伴い、4月の前年比はマイナスに転じた(22か月ぶり)。

・消費者物価は、4月の前年比は3.4%。食料品の値上げなど財を中心とした上昇が続く中、サービスもこれに遅れて徐々にプラス

 寄与を拡大している。一方、エネルギーは、昨年の原油価格下落等が時間差を伴って反映されるのに加え、電気・ガス価格激変

 緩和対策の効果もあり、マイナスに寄与した。

・消費者の物価予想は、電気・ガス代といった生活に身近な価格が抑えられたことも背景に、「5%以上」と大幅な上昇を予想する

 割合が足下では減少の動きとなっている。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、12+0.5%20231+5.5%2月▲3.8%3+2.0%

・持家着工数は前月比で、12+0.7%20231月▲0.8%2+3.6%3月▲8.0%

・貸家着工数は前月比で、12月▲1.0%20231+0.1%2+1.0%3+9.8%

・分譲着工数は前月比で、12+1.9%20231+20.0%2月▲15.1%3+0.1%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、12+0.9%(出来高+0.2%)、20231+0.9%(出来高+2.1%)、2+51.7%(出来高+0.5%)、3月▲22.8%

(出来高▲1.2%)、4月▲4.1%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

・就業率は全体としては横ばいである中、足下では女性で高まりがみられる。

失業率は足下で上昇したが、失業期間別にみると、231-3月期は長期的な失業が前年比で減少する一方、3か月未満の短期的

な失業が増加した。経済社会活動の正常化に伴い、新たに労働市場に参入する者が職探しを始める中で、一時的に失業が増加

している面もみられる。

・一人当たり賃金は、緩やかに増加した。こうした中、転職市場では処遇改善を目的とした転職者が増加しており、転職によって

 賃金が1割以上増加した者の割合は上昇傾向となっている(7四半期連続)。

・構造的な賃上げの実現に向けては、リスキリングの促進、失業者のマッチング強化や職業訓練等の支援充実など、処遇改善を

 伴う労働移動の円滑化の取り組みが重要である

・有効求人倍率は、111.35121.35202311.3521.341.32(正社員は1.02)となった。

・完全失業率は、102.6%112.5%122.5%202312.4%22.6%32.8%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善しているが、そのテンポは緩やかになっている。

  ・上場企業の決算をみると、231-3月期は、売上高が前年比で増加となる中、本業の動向を示す営業利益は増益が継続している。

   経常利益の前年比は減益したものの、2022年度計では過去最高となった。

・業種別の営業利益をみると、素材関係の製造業は市況の悪化を受け前年比マイナスとなる一方、ウィズコロナの下での人流回復

 や供給制約の緩和等を背景に、陸運・空運や輸送用機器で好調が続く。

・企業の景況感は、サービス業を中心に改善が継続。原材料コスト増等を受けて22年以降は低下が続いていた製造業も、輸入物価

   の下落や生産の増加等を背景に、このところ改善傾向にある。

○ 設備投資は、持ち直している。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

・ 倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20226+99+812+720233+16+3

  「大企業・非製造業」は、20226+139+1412+1920233+206+15

  「中小企業・製造業」は、20226月▲49月▲412月▲220233月▲66月▲4

  「中小企業・非製造業」は、20226月、▲19+212+620233+86+3

 

生産

 生産は、持ち直しの兆しがみられる。

・製造業の生産は、持ち直しの兆しがある。世界的な半導体需要の軟化の下、メモリ等の電子部品・デバイスは在庫調整により減少

 傾向となっている。一方、乗用車等の輸送機械は、供給制約が緩和する中で増加傾向が強まっている。

・鉱工業生産指数は前月比で、1月▲5.3%2+4.6%3+1.1%4月(予測)+4.1%5月(予測)▲2.0%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、12+0.8%20231月▲15.3%2+8.9%3+5.8%

・電子部品・デバイスは前月比で、12月▲0.7%20231月▲4.2%2+7.1%3月▲10.6%

   ・輸送機械は前月比で、12+0.9%20231月▲9.9%2+13.9%3+4.9%

 

外需

○ 輸出は底堅い動きとなっている。輸入はおおむね横ばいとなっている。

・財輸出は、昨年秋以降、半導体需要の軟化や中国の感染拡大等を背景に弱含みが続いてきたが、このところは生産の増加を受けた

 自動車輸出の増加等によって底堅い動きとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、12月▲0.71月▲0.22+3.53+1.34+1.3

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、5か月連続で上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、12+0.51+2.52+1.53+3.34+1.6

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は持ち直しの動きがみられる。

 先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、不動産市場の動向等を注視する必要がある。

 ・231-3月期の実質GDP成長率は前期比で2.2%(前年比+4.5%)となった。

・消費はこのところ持ち直している。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出は持ち直しの動きがみられる。

・固定資産投資はおおむね横ばいとなっている。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率は低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。

○ 韓国では、景気は下げ止まりの兆しがみられる。

○ 台湾では、景気は減速している。

○ インドでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気はこのところ持ち直している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかに回復している。 先行きについては、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに

  伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。

20231-3月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+1.1%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

4月の失業率は3.4%となった。

○ 設備投資は緩やかに持ち直している。

○ 消費は緩やかに増加しており、自動車販売台数は持ち直している。

○ 住宅着工はおおむね横ばいとなっており、住宅価格は下落している。

○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加している。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は持ち直しに足踏みがみられる。

   ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・231-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.3% (イギリスは+0.5%、ドイツは+0.2%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスは弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともにおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+7.3%4月)、イギリス+7.2%3月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

 

2023年

4月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.4.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、

景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め

等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクと

なっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動

等の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は一部の地域において弱さがみられるものの、緩やかな持ち直しが続いている。

2023年の成長見通しは、世界全体ではわずかに下方修正となったものの、欧米では上方修正された。

・中国では感染症の収束、政策効果の発現を受け、生産、消費、輸出共にプラスになるなど、景気は持ち直しの動きがみられる。

・消費者物価の上昇に一服感がみられるが、上昇率の水準は依然高く、物価安定に向けた金融引締めが継続される見込みとなっている。

・今後とも世界的な金融引締めに伴う影響、物価上昇等による下振れリスクに留意が必要。また、金融資本市場の変動の影響を引き続き

 注視する必要がある。

 

 

日本の実質GDP成長率

 202210-12月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比0.0%(年率+0.1%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・財が弱めの動きとなる中で、サービスの持ち直しが消費全体の回復を牽引した。足下では居酒屋での飲食や海外旅行などコロナ禍で

 遅れていた部門でも徐々に回復の動きがみられる。

・消費者マインドは、22年は物価上昇の下で低下傾向だったが、コロナ禍からの経済社会活動の正常化や賃上げの進展も背景に、

 このところ持ち直しの動きがみられる。

・こうした中、民間調査によると、GWの旅行者数はコロナ禍前を上回り過去最高となる見込み。引き続き消費の回復が経済を牽引する

 ことが期待される。

実質総消費動向指数は、前期比で、12月▲0.1%1+0.1%2+0.2%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、11月▲1.3%12+1.3%20231+0.3%2+0.0%3+2.6%。 

  ・2月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.3%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、このところ横ばいとなっている。

 消費者物価は、上昇している。

・国内企業物価は、資源価格の下落等を受けて電力・都市ガスや鉄鋼等の上昇率が縮小する中、3月は前年比上昇率が3か月連続で

 低下となった。

・消費者物価は、2月以降の電気・ガス価格激変緩和対策事業により押し下げられる中、3月の前年比上昇率はコアで3.1%

 物価上昇の大半は財によっている。サービスの上昇率は徐々に高まっている。

・企業の価格転嫁の進捗を疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)でみると、1年前と比べて幅広い業種で改善している

 が、製造業部門(財関連)と比べ、サービス関連では相対的に価格転嫁に遅れ。。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、11月▲2.9%12+0.5%20231+5.5%2月▲3.8%

・持家着工数は前月比で、11月▲1.5%12+0.7%20231月▲0.8%2月▲+3.6%

・貸家着工数は前月比で、11月▲2.5%12月▲1.0%20231+0.1%2+1.0%

・分譲着工数は前月比で、11月▲2.2%12+1.9%20231+20.0%2月▲15.1%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、11月▲6.9%(出来高▲0.5%)、12+0.9%(出来高+0.2%)、20231+0.9%(出来高+2.1%)、

 2+51.7%(出来高+0.5%)、3月▲22.8%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

・失業率は2月に2.6%と5か月ぶりに上昇したが、増加した失業を理由別にみると、より良い条件を求める等の自己都合離職や、

 新たに求職活動を開始する者が増加しており、労働移動の動きもみられる。

・企業の人手不足感は全産業で高まっており、中でも、経済社会活動の正常化に伴い業況の改善が進む宿泊・飲食サービス業で

 顕著となっている。こうした中、パートタイム労働者の賃金は一般労働者を上回るペースで上昇した。

・春闘の賃上げ率を企業規模別にみると、第4回集計時点において、中小企業を含めすべての規模で3%を上回る大幅な賃上げが

 見込まれている。

・有効求人倍率は、101.35111.35121.35202311.3521.34(正社員は1.02)となった。

・完全失業率は、92.6%102.6%112.5%122.5%202312.4%22.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善しているが、そのテンポは緩やかになっている。

  ・企業の業況判断は、引き続き「良い」が「悪い」を上回り、持ち直しの動きが継続している。ただし、前期からの変化で

   みると、製造業では海外需要の鈍化等を背景に電気機械や素材系業種で悪化する一方、非製造業ではコロナ禍からの経済

   社会活動の正常化に伴って幅広い業種で改善するなど、業種により状況は異なる。

○ 設備投資は、持ち直している。

・設備投資は、機械投資は足下で持ち直しの動きに足踏みがみられるものの高水準で推移しており、ソフトウェア投資は緩やか

 な増加が続くなど、全体として持ち直しの動きとなった。

・こうした中、日銀短観によると、22年度の設備投資は前年度比で二桁増と高い伸びとなる見込みとなっている。

 23年度も当初計画としては22年度を上回るなど、企業の投資マインドは引き続き力強さがみられる。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

・ 倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20226+99+812+720233+16+3

  「大企業・非製造業」は、20226+139+1412+1920233+206+15

  「中小企業・製造業」は、20226月▲49月▲412月▲220233月▲66月▲4

  「中小企業・非製造業」は、20226月、▲19+212+620233+86+3

 

生産

 生産は、このところ弱含んでいる。

・鉱工業生産指数は前月比で、12+0.3%1月▲5.3%2+4.6%3月(予測)+2.3%4月(予測)+4.4%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、11月▲6.0%12+0.8%20231月▲15.3%2+8.9%

・電子部品・デバイスは前月比で、11+0.5%12月▲0.7%20231月▲4.2%2+7.1%

   ・輸送機械は前月比で、11月▲0.5%12+0.9%20231月▲9.9%2+13.9%

 

外需

○ 輸出は弱含んでいる。輸入はおおむね横ばいとなっている。

・我が国の輸出は、中国の経済活動回復等を背景にアジア向けが減少傾向から横ばいに転じたものの、全体としては弱含み。

 こうした中、製造業の生産も弱含みとなっている。一方で、2月は自動車等の輸送機械を中心に増加しており、部材供給不足

 が緩和される中、今後の回復に期待感がもてる。

・サービス輸出であるインバウンドは堅調に増加。3月の訪日外客数は19年比で66%(中国を除くと84%)まで回復した。

 旅行消費額でみると1-3月期に1.0兆円と、19年比で88%の水準。1人当たり単価は円安もあって19年比で4割超上昇した。

 引き続き、インバウンド需要の拡大が期待される。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、11月▲1.812月▲0.71月▲0.22+3.53+1.3

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月連続で上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、11月▲1.312+0.51+2.521.533.3

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気はこのところ持ち直しの動きがみられる。

 先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、不動産市場の動向等を注視する必要がある。

 ・231-3月期の実質GDP成長率は前期比で2.2%(前年比+4.5%)となった。

・消費はこのところ持ち直している。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出は持ち直しの動きがみられる。

・固定資産投資はおおむね横ばいとなっている。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率はこのところ低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きがみられる。

  ※各種の政策措置

   自動車購入

・地方都市の購入補助金(23年1月)

・環境基準の厳格化(23年7月)

輸出促進策(23年4月)

ASEAN等の市場の開拓、 先進国向け輸出の安定化

金融政策

・預金準備率の引下げ(23年3月)

 ○ 不動産支援策(2211月~)

・ディベロッパー向け融資安定化、 住宅引き渡し支援、住宅ローン 支援等。

○ 韓国・台湾では、景気は弱い動きとなっている。

○ インドでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は持ち直しに足踏みがみられる。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。

   ただし、金融引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。

202210-12月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+2.6%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

3月の失業率は3.5%となった。

○ 設備投資は緩やかに持ち直している。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工は減少し、住宅価格は下落している。

○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は持ち直しに足踏みがみられる。

   ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・2210-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.2% (イギリスは+0.5%、ドイツは▲1.7%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスは弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は上昇、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+7.5%3月)、イギリス+7.2%3月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

 

2023年

3月

22日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.3.22)

基調判断

〈現状〉

・景気は、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、

景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め

等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクと

なっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動

等の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は一部の地域において弱さがみられるものの、緩やかな持ち直しがみられる。

・世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、緩やかな持ち直しが続いている。

・中国では輸出が減少する一方、感染が収束して生産・消費に持ち直しの動きがみられる。

・ユーロ圏では設備投資は持ち直してきたがこのところ一服感がみられ、消費は持ち直しに足踏みがみられる。

・財貿易量は低下傾向となっている。欧米の景況感は製造業で引き続き悪化となったものの、非製造業は改善がみられる。

・欧米の失業率はおおむね横ばい。消費者物価の上昇に一服感がみられるが、上昇率の水準は依然高く、物価安定に向けた

 金融引締めが継続している。世界的な金融引締めに伴う影響、物価上昇等による下振れリスクに引き続き留意が必要である。

 また、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。

 

日本の実質GDP成長率

 202210-12月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比0.0%(年率+0.1%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・個人消費は、雇用者所得が実質ではマイナスとなる中でも、緩やかに持ち直した。22年後半以降、財は弱めの動きとなる一方、

 サービスの持ち直しが回復を牽引した。

・景気ウォッチャー調査(街角景気)の先行き判断は2月も引き続き上昇となった。物価上昇への懸念は下押し要因となる一方、

 新型コロナの5類移行やマスク着用ルールの緩和が先行き期待の押上げに寄与した。

・訪日外客は堅調に増加し、2月は19年比で57%(中国を除くと77%)の水準まで回復した。引き続き、インバウンド需要の拡大

 に期待できる。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、9+0.5%10月▲0.1%11月▲0.4%12月▲0.9%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、10月▲0.9%11月▲1.3%12+1.7%20231+0.7%2+0.1%。 

  ・1月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.4%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、このところ上昇テンポが鈍化している。

 消費者物価は、上昇している。

・国際商品市況は、引き続き、原油・LNG・石炭の価格がロシアによるウクライナ侵略前の水準を下回って推移している。

・国内企業物価は、石油・石炭製品の価格下落に加え、電気・ガス価格激変緩和対策事業の効果により、前年比上昇率が2か月

 連続で低下するなど、上昇テンポが鈍化している。

・消費者物価は、食料等の身の回り品で今後も上昇が見込まれるが、2月の東京都区部速報値では、「電気・ガス価格激変緩和

 対策事業」の効果が前年比上昇率を1.0%pt引下げた。これと同様に、2月の全国でも前年比上昇率は低下する見込みとなっている。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、10+0.9%11月▲2.9%12+0.5%20231+5.5%

・持家着工数は前月比で、10月▲4.4%11月▲1.5%12+0.7%20231月▲0.8%

・貸家着工数は前月比で、10+1.7%11月▲2.5%12月▲1.0%20231+0.1%

・分譲着工数は前月比で、10+2.5%11月▲2.2%12+1.9%20231+20.0%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、10月▲3.5%(出来高▲1.0%)、11月▲6.9%(出来高▲0.5%)、12+0.9%(出来高+0.2%)、

 20231+0.9%(出来高+2.1%)、2+51.7%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

・名目賃金の上昇率は、1990年代末以降、物価上昇率と同程度又は下回る傾向となっている。

一方、2022年の名目賃金上昇率は、過去の春闘結果と名目賃金の関係を上回るなど、物価上昇の下で賃上げが進展している。

・こうした中、23年の春闘の賃上げ率は第一回集計で3.8%と、1993年以来30年ぶりの高い伸びとなった。デフレ脱却と民需

 主導の持続的な成長の実現に向け、物価上昇に負けない継続的な賃金上昇が重要となる。

・女性の年収は、正社員と非正社員とで大きな差がある。また、正社員の定期給与は、年齢が上がるほど男女間での差が拡大

 している。女性の正社員化や男女間格差の縮小を進めることは、平均的な賃金水準の押上げにつながる。

・有効求人倍率は、91.34101.35111.35121.35202311.35(正社員は1.03)となった。

・完全失業率は、82.5%92.6%102.6%112.5%122.5%202312.4%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善しているが、そのテンポは緩やかになっている。

  ・2022年の経常利益は、売上増加や円安による押上げ効果もあり過去最高水準。

   四半期ベースで業種別にみると、10-12月期は輸送機械や運輸等で好調が続く一方、食料品や素材関係の製造業では原材料コスト

   増の影響等により前年比で減益となった。

○ 設備投資は、持ち直している。

・企業の設備投資は、22年度の実績は当初計画を上回る見込みとなり、23年度の計画も22年度並みの伸びとなっている。

 好調な収益の下、企業の投資マインドには引き続き力強さがみられる。個社の投資計画では、デジタル化や脱炭素化投資のほか、

 市況悪化の一方で中長期的な需要を見据えた半導体関連の投資もみられる。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

・ 倒産件数は、低い水準ではあるものの、このところ増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20223+146+99+812+720233+6

  「大企業・非製造業」は、20223+96+139+1412+1920233+11

  「中小企業・製造業」は、20223月▲46月▲49月▲412月▲220233月▲5

  「中小企業・非製造業」は、20223月▲66月、▲19+212+620233月▲1

 

生産

 生産は、このところ弱含んでいる。

・製造業の生産は、市況悪化に伴う半導体の在庫調整と、それを受けた海外での半導体製造装置の投資先送り等により、電子部品・

 デバイスや生産用機械でマイナス傾向となるなど、このところ弱含みとなっている。

・コロナ禍で大きく成長した我が国の半導体製造装置の売上高は、中長期的には拡大が見込まれるも、当面は需給の調整局面となり、

 23年度は前年度比マイナスの見込みとなっている。

・こうした中、企業の景況感は製造業で低下傾向となっている一方、サービス業では上昇傾向が続いている。

・鉱工業生産指数は前月比で、110.2%12+0.3%1月▲5.3%2月(予測)+8.0%3月(予測)+0.7%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、10月▲5.4%11月▲6.0%12+0.8%20231月▲15.3%

・電子部品・デバイスは前月比で、10月▲4.1%11+0.5%12月▲0.7%20231月▲4.2%

   ・輸送機械は前月比で、10+4.5%11月▲0.5%12+0.9%20231月▲9.9%

 

外需

○ 輸出・輸入ともに、弱含んでいる。

・我が国の輸出は、半導体市況の軟化等を背景として、アジア向けを中心に全体として弱含みとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、10+1.511月▲1.812月▲0.71月▲0.22+3.5

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。

・物価上昇への懸念が引き続き下押し要因となる一方、インバウンド拡大に加え、新型コロナ5類移行が先行き期待の押上げに

 寄与した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、10月▲2.811月▲1.312+0.51+2.522.5

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は一部に弱さが残るものの、このところ持ち直しの動きがみられる。

   先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、、不動産市場の動向等を注視する必要

   がある。

 ・2210-12月期の実質GDP成長率は前期比で0.0%(前年比+2.9%)となった。

・消費は持ち直しの動きがみられる。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出は減少している。

・固定資産投資はおおむね横ばいとなっている。

・都市部調査失業率はこのところおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率はこのところ低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きがみられる。

○ 韓国・台湾では、景気はこのところ弱い動きとなっている。

○ インドでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は持ち直しに足踏みがみられる。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。 

   先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意

   する必要がある。

202210-12月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+2.7%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

2月の失業率は3.6%となった。

○ 設備投資は緩やかに持ち直している。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工は減少し、住宅価格は下落している。

○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は持ち直しに足踏みがみられる。

   ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・2210-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.1% (イギリスは+0.1%、ドイツは▲1.7%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は上昇、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+7.4%2月)、イギリス+6.7%1月)。

○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

2023年

2月

21日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.2.21)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、

景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め

等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクと

なっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動

等の影響や中国における感染拡大の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は一部の地域において弱さがみられるものの、緩やかな持ち直しがみられる。

202210-12月期の実質GDP成長率は、ドイツはマイナス、中国と英国は0%となった一方、アメリカはプラス成長

 が継続した。

2022年末にかけて、世界的な半導体需要の鈍化や中国の景気減速があり、韓国、台湾、タイでは生産・輸出が減少し、

 景気に弱さがみられる。

・欧州では暖冬やエネルギー消費抑制策もあり、天然ガスの在庫確保が進展した。こうした背景もあり、エネルギー価格

 は下落し、欧米の消費者物価の上昇に一服感がみられる。ただし、上昇率の水準は依然高く、物価安定に向けた金融

 引締めが継続している。今後も世界的な金融引締めに伴う影響、物価上昇等による下振れリスクに留意が必要である。

 

日本の実質GDP成長率

 202210-12月期の実質GDP成長率は、前期比+0.2%(年率+0.6%)となった。

・ウィズコロナの下で、旅行・外食等のサービス消費を中心に個人消費が増加するとともに、水際対策の緩和に伴う

 インバウンドの増加もあって外需がプラスに寄与した。

・コロナ禍前(1910-12月期)対比での先進各国の実質GDPの回復状況をみると、我が国は他の先進国と比べて遜色

 ない水準となっている。

・実質GNI(国民総所得)は、輸入物価下落による交易条件の改善や海外からの所得受取増により、実質GDP(国内

 総生産)の伸びを上回る水準となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・財消費が底堅く推移する中、外食・旅行等のサービス消費の回復が継続している。

・宿泊者数(延べ人数)は、全国旅行支援の効果やインバウンド再開により、12月にはコロナ禍前の水準をほぼ回復

 した。

 新車販売は、供給制約が徐々に緩和される中で、振れを伴いつつ、このところ持ち直してきている。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、80.0%9+0.5%10月▲0.1%11月▲0.8%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、9月▲1.7%10月▲0.9%11月▲1.3%12+1.7%20231+0.7%。 

12月の実質総雇用者所得は、前期比で0.0%となった。

 

物価

  ○ 国内企業物価は、このところ上昇テンポが鈍化している。

   消費者物価は、上昇している。 

 ・国内で生産された付加価値全体の物価動向を示すGDPデフレーター上昇率は、昨年末にかけての原油価格下落等に

  伴い輸入デフレーターの押下げ寄与が低下する一方、価格転嫁の進展により消費や投資等の内需デフレーターの

  押上げ寄与が拡大した結果、202210-12月期にプラス転換した。

・国際商品市況は、欧州の暖冬等を背景に、原油・LNG・石炭の価格がロシアによるウクライナ侵略前の水準まで

 低下している。

23年1月の国内企業物価は前月比で横ばいとなっている。電力・都市ガスのプラス寄与が縮小するとともに、石油・

 石炭製品の価格が低下してマイナスに寄与した。

・消費者物価は、財に加えて、一般サービスにおいても上昇するなど、物価上昇に広がりがみられる。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、9月▲5.0%10+0.9%11月▲2.9%12+0.5%

・持家着工数は前月比で、9+1.9%10月▲4.4%11月▲1.5%12+0.7%

・貸家着工数は前月比で、9月▲1.1%10+1.7%11月▲2.5%12月▲1.0%

・分譲着工数は前月比で、9月▲13.7%10+2.5%11月▲2.2%12+1.9%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、8+1.4%(出来高+1.1%)、9+3.2%(出来高▲0.7%)、10月▲3.5%(出来高▲1.0%)、

 11月▲6.9%(出来高▲0.5%)、12+0.9%(出来高+0.2%)、20231+0.9%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

・一人当たり賃金は、2022年は前年比で2.1%と31年ぶりの高い伸びとなった。月次でみると、12月はボーナスの増加を

 受けて大幅なプラスとなった。また、22年の冬のボーナスは31年ぶりの伸びとなり、事業所規模別にみても、中小企業

 を含めて全般的に高い伸びとなった。

・大企業の今春の賃上げについて、各社の個別動向をみると、物価上昇や人手不足の状況下で積極的な賃上げの動きが

 みられる。また、中小企業は過半が22年度に賃上げを実施したが、その理由をみると、物価上昇を理由にする企業割合

 が増加した。物価上昇を意識した賃上げの機運に高まりがみられる。

・物価上昇を超える賃上げの実現に向けては、原材料やエネルギーコストのみならず、賃上げ原資も含めた適切な価格転嫁

 が重要である。

・有効求人倍率は、81.3291.34101.35111.35121.35(正社員は1.03)となった。

・完全失業率は、72.6%82.5%92.6%102.6%112.5%122.5%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

202210-12月期の上場企業の決算をみると、経常利益は、為替変動による評価損で営業外収支が縮小して 前年比

 マイナスとなるも、引き続き高い水準で推移している。本業の動向を示す売上高と営業利益は、ウィズコロナの下での

 人流回復や供給制約の緩和などを背景に堅調に増加している。

○ 設備投資は、持ち直している。

・企業の設備投資は、名目ベースでは過去最高となるなど持ち直し基調が継続している。ただし、資材価格上昇の影響に

 より、実質ベースでは回復が緩やかとなっている。

 投資の内訳をみると、機械投資は足下で持ち直しの動きに足踏みがみられるが、ソフトウェア投資はデジタル化の進展等

 を背景に堅調に増加した。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

・ 倒産件数は、低い水準ではあるものの、このところ増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20223+146+99+812+720233+6

  「大企業・非製造業」は、20223+96+139+1412+1920233+11

  「中小企業・製造業」は、20223月▲46月▲49月▲412月▲220233月▲5

  「中小企業・非製造業」は、20223月▲66月、▲19+212+620233月▲1

 

生産

 生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、10月▲3.2%110.2%12+0.3%1月(予測)0.0%2月(予測)+4.1%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、9月▲1.8%10月▲5.4%11月▲6.0%12+0.8%

・電子部品・デバイスは前月比で、9+0.4%10月▲4.1%11+0.5%12月▲0.7%

   ・輸送機械は前月比で、9月▲10.3%10+4.5%11月▲0.5%12+0.9%

 

外需

○ 輸出は、このところ弱含んでいる。

・我が国の輸出は、半導体市況の軟化や中国の感染拡大を背景にアジア向けで減少し、全体として弱含みとなって

 いる。こうした中、製造業の生産も持ち直しの動きに足踏みがみられる。

2022年の経常収支は、秋ごろまでの資源価格上昇や円安などを受け、貿易収支は過去最大の赤字幅となっている。

 一方、所得収支は過去最大の黒字幅となった。貿易収支を月次の季節調整値でみると、昨年秋以降は原油価格の下落

 等を背景に鉱物性燃料の赤字幅が緩やかに縮小し、1月は前月比で横ばいとなっている。

・訪日外客数は堅調に増加した。国別に19年比での回復状況をみると、23年1月は多くの国で7割程度かそれ以上の

 水準まで回復している。

○ 輸入は、このところ弱含んでいる。

○  貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月連続で下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、9+2.910+1.511月▲1.812月▲0.71月▲0.2

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。

・物価上昇への懸念が引き続き下押し要因となる一方、インバウンド拡大に加え、新型コロナ5類移行が先行き期待の

  押上げに寄与した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、9月▲0.210月▲2.811月▲1.312+0.51+2.5

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、このところ弱さがみられる。

   先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、感染拡大の影響の長期化による下振れリスクに留意

    する必要がある。

 ・2210-12月期の実質GDP成長率は前期比で0.0%(前年比+2.9%)となった。

・消費はこのところ弱含みとなっている。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・輸出はこのところ減少している。

・固定資産投資はこのところ弱含みとなっている。

・都市部調査失業率はこのところおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率はこのところおおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きがみられる。

○ 韓国・台湾では、景気はこのところ弱い動きとなっている。

○ インドでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は持ち直しに足踏みがみられる。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融

    引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。

202210-12月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+2.9%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

1月の失業率は3.4%となった。

○ 生産はこのところ弱い動きとなっている。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工は減少し、住宅価格は下落している。

○ コア物価上昇率はこのところやや低下した。

○ 財輸出はこのところ弱い動きとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は緩やかに持ち直している。

   ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・2210-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.4% (イギリスは+0.1%、ドイツは▲1.0%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は上昇、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+7.0%1月)、イギリス+6.7%1月)。

○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ横ばいとなっている。 

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

2023年

1月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.1.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、

景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め

等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクと

なっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の

影響や中国における感染拡大の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○  2023年の世界経済は、1月公表の世界銀行の見通しでは先進国を中心に減速が見込まれている。今後も世界的な金融引締めに伴う

  影響、中国における感染拡大、物価上昇等による下振れリスクの高まりに留意する必要がある。

・中国では感染再拡大の影響により消費の弱さが続く中で輸出も減少し、景気はこのところ弱さがみられる。

 こうした影響を受けやすい韓国、台湾では、世界的な半導体需要の鈍化もあり、景気は弱い動きとなっている。

・欧米では、消費者物価上昇率は総じて高いものの、エネルギー価格等の下落を受け、アメリカに続きユーロ圏でも

 一服感がある。雇用面では、求人数はこのところ緩やかに低下した。

 

日本の実質GDP成長率

○  20227-9月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比▲0.2%(年率▲0.8%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・ウィズコロナの下、感染状況がサービス消費を下押しする傾向は弱まっており、22年秋以降は概ねコロナ禍前より

 高い水準で推移している。

・足下の動向について、カード支出を見ると12月後半にかけて財・サービスともに改善しており、年末年始の交通機関

 の利用実績を見ても航空(国内線)や新幹線はコロナ禍前水準に近づいている。

・外食についても、忘年会等の自粛が続くことで居酒屋等では回復に遅れが見られるが、総じてみれば概ねコロナ禍前の

 水準を回復した。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、7+0.2%80.0%9+0.5%100.0%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、8+2.3%9月▲1.7%10月▲0.9%11月▲1.3%12+1.7%

11月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.1%となった。

 

物価

○ 国内企業物価・消費者物価は、ともに上昇している。

・輸入物価は、昨秋以降、国際商品市況が不安定ながらも下落し、円高が加わり下落した。国内企業物価は、輸入物価

 から遅れて変動することから、足下では引き続き上昇している。

・消費者物価について、品目別の価格変化の分布を見ると、上昇率ゼロの品目の割合が減少し、プラス幅の大きい品目の

 割合が増加した。また、当面は、食料品等の値上げが見込まれる。一方、1月に電気・ガス価格激変緩和対策事業が

 開始、支払い月の2月から電気・ガス代の引下げ効果が発現する見込みとなっている。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅建築費が上昇する中で持家着工は弱含んでいるが、貸家着工は、床面積の大きな賃貸住宅を中心に持ち直しの動き

 がみられる。

・金融環境を見ると、固定型の住宅ローン金利は上昇傾向となっている。一方、金利タイプ別割合を見ると、相対的に

 低利の変動金利型が多く、住宅ローン返済額の可処分所得に対する割合も低下傾向となっている。ただし、住宅ローン

 残高は増加しており、金利変動の影響には留意が必要である。

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、8+9.4%9月▲5.0%10+1.5%11月▲3.7%

・持家着工数は前月比で、8+3.1%9+1.9%10月▲6.6%11月▲1.0%

・貸家着工数は前月比で、8+7.9%9月▲1.1%10+3.5%11月▲4.5%

・分譲着工数は前月比で、8+14.6%9月▲13.7%10+4.5%11月▲2.6%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、7月▲9.0%(出来高▲0.4%)、8+1.4%(出来高+1.1%)、9+3.2%(出来高▲0.7%)、

 10月▲3.2%(出来高▲1.0%)、11月▲12.7%(出来高▲0.5%)、12+0.9%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。完全失業率は低水準で推移し、有効求人倍率は持ち直している。

・労働需給がタイト化する中で、パート募集時の平均時給が改善しており、一般労働者の現金給与総額を見ても、

 21年半ば以降、時給の改善が現金給与総額の増加に寄与している。

・処遇改善や会社の将来性不安を理由とした自発的な転職では、転職を通じて賃金の伸びは高まり、仕事に対する

 意欲も改善傾向となっている

・有効求人倍率は、71.2981.3291.34101.35111.35(正社員は1.04)となった。

・完全失業率は、62.6%72.6%82.5%92.6%102.6%112.5%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

○ 設備投資は、持ち直している。

・投資は、足下で、資本財総供給の持ち直しの動きに足踏みがみられるが、ソフトウェア投資は引き続き緩やかに

 増加した。企業による設備投資計画によると、設備投資意欲は引き続き強い。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

・ 倒産件数は、低い水準ではあるものの、このところ増加がみられる。

・ 中小企業の資金繰り環境は緩和的となっている。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20223+146+99+812+720233+6

  「大企業・非製造業」は、20223+96+139+1412+1920233+11

  「中小企業・製造業」は、20223月▲46月▲49月▲412月▲220233月▲5

  「中小企業・非製造業」は、20223月▲66月、▲19+212+620233月▲1

 

生産

 生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・輸送機械に持ち直しの動きがみられる一方、生産用機械(半導体製造装置等)の増勢が鈍化するなど、総じてみると

 持ち直しの動きに足踏み。

需要先を鉱工業出荷でみると、輸送機械工業は供給制約の影響で回復が遅れており、その他業種の輸出向けの出荷が

生産の増加に寄与している。

・鉱工業生産指数は前月比で、9月▲1.7%10月▲3.2%110.2%12月(予測)+2.8%1月(予測)▲0.6%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、8+6.2%9月▲1.8%10月▲5.4%11月▲6.0%

・電子部品・デバイスは前月比で、8月▲6.4%9+0.4%10月▲4.1%11+0.5%

   ・輸送機械は前月比で、8月▲1.0%9月▲10.3%10+4.5%11月▲0.5%

 

外需

○ 輸出は、このところ弱含んでいる。

・我が国の輸出は、アジア向けがこのところ減少し、全体として弱含みとなっている。

 一方、貿易収支を見ると、鉱物性燃料の輸入価格が下落し、赤字幅は縮小した。

・水際対策の緩和を受けて、12月の訪日外客数は2019年平均の半分程度まで回復した。1012月の訪日外国人消費額は

 国別に見ると、一人当たり消費額の増加により、一部で2019年水準を概ね回復している。

2000年半ば以降のサービス輸出の動向を見ると、デジタル関連サービスの伸び悩みなどから、世界に比べ成長に遅れが

 みられる。デジタル人材育成やスタートアップの支援等を通じたデジタル関連産業の競争力強化が重要である

○ 輸入は、このところ弱含んでいる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、8+1.79+2.910+1.511月▲1.812月▲0.2

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、8+6.69月▲0.210月▲2.811月▲1.3121.9

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、このところ弱さがみられる。

  先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、感染拡大の影響の長期化による下振れリスクに留意する

  必要がある。

 ・2210-12月期の実質GDP成長率(前期比)は0.0%となった。

・消費はこのところ弱含みとなっている。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・輸出はこのところ減少している。

・固定資産投資はこのところ弱含みとなっている。

・都市部調査失業率はこのところおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率は低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ低下した。

   ★ 中国の貿易措置緩和(18日~)

    ・新型コロナの感染症分類を引き下げ、隔離措置・濃厚接触者の判定・高リスク地域の設定等を取りやめ。

     感染者数は月に一度の発表に変更。

    ・医療機関における新型コロナ関連死者数は、128日~112日は59938人、11319日は1万2,658人と発表。

    ・当局は、本年の春節前後(17日~215)の旅客数を延べ20.95億人(2019年比29.7%減)と予測。

 

○ 韓国・台湾では、景気はこのところ弱い動きとなっている。

○ インド・タイでは、景気は持ち直している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融引締め

  に伴う影響等による下振れリスクの高まりに留意する必要がある。

20227-9月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+3.2%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

12月の失業率は3.5%となった。

○ 生産はこのところ弱い動きとなっている。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 設備投資は緩やかに持ち直している。

○ コア物価上昇率は高水準でおおむね横ばいとなった。

○ 財輸出はこのところ弱い動きとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は緩やかに持ち直している。

   ドイツは、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・227-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.2% (イギリスは▲1.2%、ドイツは+1.6%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は上昇、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.9%12月)、イギリス+7.1%12月)。

○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

 

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスは弱含んでいる。

2022年

12月

21日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.12.21)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、

景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め

等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクと

なっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響や中国における感染動向に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は、中国、韓国等の一部の地域において足踏みがみられるものの、緩やかな持ち直しが続いている。

2023年の世界経済は欧米を中心に減速が見込まれている。

・感染再拡大の動きがみられる中国では消費や生産等の伸びが低下し、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。

 韓国では半導体需要の鈍化の影響等から輸出は弱い動きとなり、景気は弱い動きとなっている。

・欧米の失業率は引き続きおおむね横ばいとなっている。消費者物価の上昇テンポには各国差がみられだしたものの、

 総じて高く、物価安定に向けた金融引締めが継続している。

・今後とも金融資本市場の変動や物価上昇、供給制約等による下振れリスクの高まりに留意が必要である。

 

日本の実質GDP成長率

○  20227-9月期の実質GDP成長率は、前期比▲0.2%(年率▲0.8%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・カード支出の動向は、財が概ね横ばいである一方、サービス消費は、外食は持ち直しテンポが緩やかになっている

 ものの、旅行・宿泊は全国旅行支援等の政策効果もあり着実に持ち直しとなっている。

2022年は、ウィズコロナが進展したことで、感染拡大に伴う対面サービス消費の減少幅は、過去の感染拡大局面と

 比較して大幅に縮小した。

 こうした中、年末年始の旅行予約も昨年を上回る見通しとなっている。

・インバウンドも、水際対策の緩和によって観光目的の訪日外客が大幅に増加した。円安の環境もあり、旅行者一人

 当たりの消費額も、コロナ前の2019年に比べて大きく増加となっている。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、6+0.4%7+0.2%80.0%9+1.0%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、7月▲1.9%8+2.3%9月▲1.7%10月▲0.9%11月▲1.3%。 

10月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.0%となった。

 

物価

○ 国内企業物価・消費者物価ともに、上昇している。

輸入物価・輸出物価はともに下降した。

・国際商品市況は、引き続き不安定な動きが続いている中で、原油(円ベース)は足下ではロシアによるウクライナ

 侵攻前の水準まで低下している。

・国内企業物価は、足下では引き続き高い伸びとなっている。これまでの原油価格等の上昇が時間差を伴って価格に

 反映されること等から、電力・都市ガスのプラス寄与が高まっている。

・消費者物価も輸入物価に対して遅れて変動するため、足下では引き続き上昇している。

 こうした動向も背景に、消費者物価を品目別にみると、食料品を中心に約8割の品目で前年比上昇となるなど、

 物価上昇に広がりがみられる。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、7月▲2.4%8+9.4%9月▲5.0%10+1.5%

・持家着工数は前月比で、7月▲2.8%8+3.1%9+1.9%10月▲6.6%

・貸家着工数は前月比で、7月▲2.8%8+7.9%9月▲1.1%10+3.5%

・分譲着工数は前月比で、7月▲0.7%8+14.6%9月▲13.7%10+4.5%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、6+7.7%(出来高+2.6%)、7月▲9.0%(出来高▲0.4%)、8+1.4%(出来高+1.1%)、

 9+3.2%(出来高▲0.7%)、10月▲3.2%(出来高▲1.0%)、11月▲12.7%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

○ 一人当たり時給(所定内)は、賃上げの流れの定着・拡大、ウィズコロナの下での労働需要の高まりから、一般・

  パートともに緩やかに増加した。

○ 冬のボーナスは、連合の集計によれば、好調な企業収益を背景として前年比6.6%増と2年連続の高い伸びとなる

  見込みである。

○ 民間調査によると、全体の約25%の企業が月給への上乗せや一時金としての支給等を通じ、物価高に対応する手当

  を支給あるいは予定・検討している

   ・有効求人倍率は、61.2771.2981.3291.34101.35(正社員は1.03)となった。

   ・完全失業率は、52.6%62.6%72.6%82.5%92.6%102.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

   ・本年7-9月期の企業の経常利益は、前年同期比で7期連続の増益となっている。水準も7-9月期として過去最高となった。

    特に、円安による押上げ効果もあり製造業が伸びを牽引している。

○ 設備投資は、持ち直している。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

・ 特に、全国旅行支援やインバウンド再開を背景に非製造業で改善した。一方、原材料コストの上昇は企業の利益を

  圧迫しており、特に中小企業では影響が顕著となっている。

・ 製造業の疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)は、仕入価格の上昇が鈍化し、価格転嫁が徐々に進んで販売

  価格の上昇がみられる中、改善の動きがみられる。ただし、大企業に比べ中小企業が相対的に厳しい状況は継続して

  いる。

・ 倒産件数はおおむね横ばいとなっている。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20223+146+99+812+720233+6

  「大企業・非製造業」は、20223+96+139+1412+1920233+11

  「中小企業・製造業」は、20223月▲46月▲49月▲412月▲220233月▲5

  「中小企業・非製造業」は、20223月▲66月、▲19+212+620233月▲1

 

生産

 生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・製造業の生産は、輸出の動向と連動し、輸送機械は持ち直しの動きだが、電子部品・デバイスは世界的なPC・

 スマホ需要の一服等を背景にこのところ低下している。生産用機械では、受注が底堅い中で納期平準化の動きも

 あり、このところ増勢が鈍化している。

・世界の半導体市場予測は大幅に下方修正となった。長期的なニーズは底堅いものの、コロナ禍での拡大は一服した。

・鉱工業生産指数は前月比で、8+3.4%9月▲1.7%10月▲3.2%11月(予測)+3.3%12月(予測)+2.4%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、7+6.0%8+6.2%9月▲1.8%10月▲5.4%

・電子部品・デバイスは前月比で、7月▲9.2%8月▲6.4%9+0.4%10月▲4.1%

   ・輸送機械は前月比で、7+10.7%8月▲1.0%9月▲10.3%10+4.5%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・品目別にみると、自動車等の輸送機器は持ち直し傾向である一方、半導体等の電気機器及び化学製品は減少傾向と

 なっている。半導体製造装置等の一般機械はこのところ横ばいとなっている

○ 輸入は、おおむね横ばいとなっている。

○  貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、7月▲9.18+1.79+2.910+1.511月▲1.8

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月連続で下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、7月▲4.88+6.69月▲0.210月▲2.811月▲1.3

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

  先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、不動産市場の動向や経済活動の抑制の影響等を

  注視する必要がある。

 ・227-9月期の実質GDP成長率(前期比)は+3.9%となった。

・消費はこのところ弱含みとなっている。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・輸出はこのところ弱い動きとなっている。

・固定資産投資はこのところ弱含みとなっている。

・都市部調査失業率はこのところ上昇している。

・消費者物価上昇率は低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ低下した。

 

○ 韓国では、景気はこのところ弱い動きとなっている。

○ インド・タイでは、景気は持ち直している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾では、景気はこのところ回復が弱まっている。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。

  ただし、金融引締めに伴う影響等による下振れリスクの高まりに留意する必要がある。

20227-9月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+2.9%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

11月の失業率は3.7%となった。

○ 生産は底堅く推移している。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数も持ち直しの動きがみられる。

○ 設備投資は緩やかに持ち直している。

○ コア物価上昇率は高水準でおおむね横ばいとなった。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなった。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は緩やかに持ち直している。

   ドイツは、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・227-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.3% (イギリスは▲0.7%、ドイツは+1.6%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は上昇、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.6%11月)、イギリス+7.0%11月)。

○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスは弱含んでいる。

2022年

11月

24日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.11.24)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、

景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め

等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクと

なっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は、緩やかな持ち直しが続いている。

20227-9月期の実質成長率は、アメリカは+0.6%、ユーロ圏は+0.2%となった。

・欧米の失業率は総じておおむね横ばいとなっている。消費者物価の上昇が続く中、物価安定に向けて速いテンポで金融

 引締めを実施している。

・英国では消費が弱含み、設備投資がこのところ横ばいとなるなど、景気は足踏みとなっている。

・台湾では半導体の需要鈍化の影響等から生産がこのところ弱い動きとなり、景気回復に弱まりがみられる。

・今後とも金融資本市場の変動や物価上昇、供給制約等による下振れリスクの高まりに留意が必要となる。

 

日本の実質GDP成長率

○  20227-9月期の実質GDP成長率は、前期比▲0.3%(年率▲1.2%)となった。

・個人消費や設備投資など民需を中心とした回復が続く一方、輸入が供給制約緩和に伴う反動増や一時的な要因による対外

 サービス支払い等により前期比で大幅増となり、全体としてはマイナスとなった。

・また、輸入価格上昇(交易条件悪化)により、国内の生産活動の対価として得られる所得が海外に流出する形(交易利得

 の減少)となり、その結果、実質GNI(国民総所得)の伸びは前期比▲0.7%と実質GDPの伸びを下回る。

 交易条件改善に向けては、価格転嫁や高付加価値化、省エネの推進などの取組が重要となる。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・ここ1年間では、ウィズコロナへ移行する中でサービス消費(飲食・宿泊・娯楽等)と半耐久財(洋服等)の回復が牽引

 している。他方で、サービス消費は依然コロナ前の水準を下回る。

10月にかけての動向をカード支出でみると、財は概ね横ばいである一方、サービスが回復することで、消費全体は実質

 ベースで増加している。週次データで直近の状況をみても、外出機会の増加や全国旅行支援等の政策効果もあり、外食・

 宿泊など対面サービスの回復が続く。

・他方、物価上昇の下で実質所得が制約され、マインドも低下する中、家計では消費の抑制が続いており、コロナ禍で生じた

 超過貯蓄はさらに積み上がっている。持続的な消費拡大に向けては、物価上昇に負けない賃上げの実現が重要となる。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、5+0.8%6+0.4%7+0.2%8月▲0.2%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、6月▲2.0%7月▲1.9%8+2.3%9月▲1.7%10月▲0.9%。 

9月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.2%となった。

 

物価

○ 国内企業物価・消費者物価ともに、上昇している。

輸入物価・輸出物価ともに上昇している。

・国内で生産された付加価値全体の物価動向を示すGDPデフレーターは、輸入デフレーターの上昇率に対して、価格転嫁

 の遅れもあって、消費や投資などの国内需要及び輸出のデフレーターの上昇率が下回っていることから、前年比マイナス

 で推移した。

・国際商品市況をみると、不安定な動きが続いている中ではあるが、原油価格等の上昇に一服感もみられる。

・こうした中で、輸入物価は足下で上昇テンポが鈍化。一方、これまでの輸入物価の上昇を背景に、国内企業物価と消費者

 物価は上昇した。

 日次ベースの指標で直近の動向をみると、食料品等の物価は11月に入ってさらに上昇しており、消費者物価は11月も上昇

 が続く見込みである。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、6+2.1%7月▲2.4%8+9.4%9月▲5.1%

・持家着工数は前月比で、6月▲2.0%7月▲2.8%8+3.1%9+1.9%

・貸家着工数は前月比で、6+2.2%7月▲2.8%8+8.0%9月▲1.3%

・分譲着工数は前月比で、6+5.9%7月▲0.7%8+14.6%9月▲13.7%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、5月▲2.0%(出来高+2.3%)、6+7.7%(出来高+2.6%)、7月▲9.0%(出来高▲0.4%)、

 8+1.4%(出来高+1.1%)、9+3.2%(出来高▲0.7%)、10月▲3.2%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

○ ハローワークの新規求人数は横ばいだが、有効求人倍率は引き続き上昇し、民間転職市場における求人倍率も上昇が続く

  など、労働需給は引き締まりを見せている。

   一人当たり賃金は、賃上げによる所定内給与の増加などから、前年比でプラスが継続。パート賃金も、ウィズコロナが進展

  して労働需要が高まる中で、これまでの最低賃金引上げによる押上げもあり、堅調な伸びとなった。

   また、転職により賃金が1割以上増加した者の割合は5四半期連続で上昇した。

 こうした流れの下、人への投資強化、成長分野への円滑な労働移動の促進等により、構造的な賃上げを実現することが重要

 となる

 ・有効求人倍率は、51.2461.2771.2981.3291.34(正社員は1.03)となった。

 ・完全失業率は、42.5%52.6%62.6%72.6%82.5%92.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

  ・20227-9月期の上場企業の決算は、製造業・非製造業ともに増収増益となり、経常利益は7-9月期としては過去最高となった。

      製造業で、売上高に比して営業利益の伸びが低いなど原材料価格上昇の影響はみられる一方、円安によって海外での収益が円建てで増加

      したことがプラス要因となった。

○ 設備投資は、持ち直している。

  ・好調な収益も背景とした企業の高い投資意欲の下、コロナ禍で先送りされていた能力増強の機械投資などによって、設備

投資は持ち直している。7-9月期の投資水準は、名目では過去ピークと同程度まで回復したが、実質では未だ低い水準で

あり、新しい資本主義の実現・成長力強化に向けた投資喚起が重要となる。

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・倒産件数はおおむね横ばいとなっている。

・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、202112+1820223+146+99+812+9

  「大企業・非製造業」は、202112+920223+96+139+1412+11

  「中小企業・製造業」は、202112月▲120223月▲46月▲49月▲412月▲5

  「中小企業・非製造業」は、202112月▲420223月▲66月、▲19+212月▲3

 

生産

 生産は、持ち直しの動きがみられる。

・製造業の生産は、輸出の動きと連動し、IC等の電子部品・デバイスが弱含みで推移する一方、供給制約の緩和に伴い

  輸送機械が回復しており、また、世界的に需要が堅調である半導体製造装置や建設・鉱山機械などの生産用機械が増加

  した。

  財別にみると、積極的な設備投資等を背景に、機械や建設資材などの投資財が堅調な伸びとなった。

・鉱工業生産指数は前月比で、7+0.8%8+3.4%9月▲1.7%10月(予測)▲0.4%11月(予測)+0.8%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、6+9.0%7+6.0%8+6.2%9月▲1.8%

・電子部品・デバイスは前月比で、6+11.6%7月▲9.2%8月▲6.4%9+0.4%

   ・輸送機械は前月比で、6+11.8%7+10.7%8月▲1.0%9月▲10.3%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・品目別にみると、世界的なスマホ・PC需要の一服等に伴い電気機器及び化学製品は減少傾向であるが、自動車等の

  輸送機器や一般機械では増加が続く

○ 輸入は、おおむね横ばいとなっている。

○  貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、6月▲1.17月▲9.18+1.79+2.910+1.5

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、6月▲4.97月▲4.88+6.69月▲0.210月▲2.8

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は一部に弱さが残るものの、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが

     期待される。ただし、不動産市場の動向や経済活動の抑制の影響等を注視する必要がある。

 ・227-9月期の実質GDP成長率(前期比)は+3.9%となった。

・消費はこのところ持ち直しのテンポが鈍化している。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出はこのところ増加のテンポが鈍化している。

・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率は低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はおおむね横ばいとなっている。

  参考◎貿易措置の緩和(1111日発表)

   ★ 全国統一基準での防疫措置を徹底。

・基準を外れた恣意的な休校、生産停止、交通遮断、診察拒否等を厳禁。

・部品供給や生活保障に関わる重点企業には「ホワイトリスト」制度を実施。

・封鎖対象地域を「高リスク地域」に限定し、封鎖対象者数を最小化(※5日間感染者なしの場合、低リスク地域に移行し、

 速やかに封鎖を解除

・濃厚接触者の隔離期間を短縮(※「7日間の集中隔離+3日間の在宅健康観察」から「5日間の集中隔離+3日間の自宅隔離」

 に変更)、二次濃厚接触者は隔離措置の対象外。

 

○ 韓国では、景気は持ち直しに足踏みがみられる。

○ インド・タイでは、景気は持ち直している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾では、景気はこのところ回復が弱まっている。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な

  金融引締めが進む中での金融資本市場の変動や物価上昇、供給面での制約等による下振れリスクの高まりに留意する必要がある

20227-9月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+2.6%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

10月の失業率は3.7%となった。

○ 生産は底堅く推移している。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数も持ち直しの動きがみられる。

○ 設備投資は緩やかに持ち直している。

○ コア物価上昇率は高水準でおおむね横ばいとなった。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は総じてみれば緩やかに持ち直している。

   ドイツは、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

 イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態である。

 ・227-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.8%

 (イギリスは▲0.7%、ドイツは+1.1%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはこのところ低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.4%10月)、イギリス+7.2%10月)。

○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直しに足踏みがみられ、イギリスは横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ弱含んでいる。

2022年

10月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.10.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの新たな段階への移行が進められる中、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は、緩やかな持ち直しが続いている。2022年成長見通しは、アメリカで下方修正となったが、 世界全体では変わらずプラス成長の

  見込みとなっている。

・足下、ドイツをはじめユーロ圏では消費に足踏みがみられるものの、欧米諸国の失業率は総じて概ね横ばいとなっている。

 先進国・新興国ともに消費者物価の上昇が続き、金融引締めが進展する中、金融資本市場には不安定な動きがみられる。

 今後も金融資本市場の変動や物価上昇、供給制約等による下振れリスクの高まりに留意が必要である。

・中国では共産党大会において、技術革新や安全保障などの経済関連方針が発表された。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・9月以降、外食や旅行・宿泊などサービス消費の改善が継続している一方、消費を取り巻く環境をみると、雇用情勢が

 改善し、賃上げの流れが定着・拡大する中、総雇用者所得は名目ではプラスだが、物価上昇により実質ではマイナスが

 続く。

・消費者マインドも物価上昇を背景に弱含んでおり、低所得層ほどマインドが低い状況となっている。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、4+1.1%5+0.8%6+0.4%70.0%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、5+1.1%6月▲2.0%7月▲1.9%8+2.3%9月▲1.7%。 

8月の実質総雇用者所得は、前期比で0.0%となった。

 

物価

○ 国内企業物価・消費者物価ともに、上昇している。

輸入物価・輸出物価ともに上昇している。

・国際商品市況は、世界的な金融引締め等を背景に不安定な動きが続く中、足下では円安も進行している。こうした動き

 を受け、国内企業物価も引き続き上昇となった。

・消費者物価は、エネルギーや食料品を中心に9月は3.0%(総合)と引き続き高い伸びとなあっている。スーパー等の

 POSデータから、食料品について日次の物価動向をみると10月に入って更に上昇率が高まっていることなどから、

 消費者物価は10月も上昇が見込まれる。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、5月▲6.5%6+2.1%7月▲2.4%8+9.4%

・持家着工数は前月比で、5+1.4%6月▲2.0%7月▲2.8%8+3.1%

・貸家着工数は前月比で、5月▲4.6%6+2.2%7月▲2.8%8+8.0%

・分譲着工数は前月比で、5月▲15.4%6+5.9%7月▲0.7%8+14.6%

   公共投資は、底堅さが増している。

・請負金額は前月比で、4月▲3.4%(出来高+1.7%)、5月▲2.0%(出来高+2.3%)、6+7.7%(出来高+2.6%)、

 7月▲9.0%(出来高▲0.4%)、8+1.4%(出来高+1.1%)、9+3.2%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

○ 8月の失業率は低下し、就業者数は概ね横ばいの動きとなっている。

○ 有効求人倍率の上昇は継続している。日銀短観9月調査によると、企業の雇用人員判断は不足感が高まっており、特に、

  ウィズコロナの下で消費の改善が続く宿泊・飲食では、春以降の不足感の高まりが顕著となっている。

○ 一人当たり賃金は、前年比でプラスが継続している。堅調だった夏のボーナスと、賃上げによる所定内給与増の寄与が

  大きい。成長と分配の好循環の実現に向け、引き続き、賃上げの流れの継続・拡大が重要である。

  ・有効求人倍率は、41.2351.2461.2771.2981.32(正社員は1.02)となった。

  ・完全失業率は、32.6%42.5%52.6%62.6%72.6%82.5%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

○ 設備投資は、持ち直している。

・日銀短観9月調査によると、今年度の企業の設備投資計画は引き続き二桁の伸びと高い水準となった(前回6月調査から

 上方修正)。

・機械投資も、先行指標である機械受注とともに持ち直している。非居住用の建設投資も、運輸業の倉庫や製造業の工場

 の新設などにより増加傾向となっている。

・各社の個別案件をみても、コロナ禍で先送りされていた能力増強や国内生産の強化、デジタル化や脱炭素など、様々な

     前向きな取組が表れている。

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

  ・日銀短観9月調査によると、非製造業ではウィズコロナの進展 により前回6月調査から改善した一方、製造業では物価高

    の下で横ばいとなった。特に中小企業の製造業では、引き 続き「悪い」が「良い」を上回って推移している。

  ・ 製造業の疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)は、仕入価格の上昇ペースが鈍化し、価格転嫁が進展して販売

    価格が上昇したことで、わずかに改善した。ただし、大企業に比べ中小企業が相対的に厳しい状況は継続している。

  ・こうした中、今年度の経常利益計画は、中小企業において前年度比でマイナスとなった。引き続き、価格転嫁が課題となっ

    ている。

  ・倒産件数はおおむね横ばいとなっている。

  ・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、202112+1820223+146+99+812+9

    「大企業・非製造業」は、202112+920223+96+139+1412+11

    「中小企業・製造業」は、202112月▲120223月▲46月▲49月▲412月▲5

    「中小企業・非製造業」は、202112月▲420223月▲66月、▲19+212月▲3

 

生産

 生産は、持ち直しの動きがみられる。

・製造業の生産は、ICなどの電子部品・デバイスが弱含みに転ずる一方、生産用機械が増加しており、全体として持ち直し

  の動きがみられる。

  財別にみると、企業の前向きな投資行動等を背景に、機械や建設資材などの投資財が堅調な伸びがみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、6+9.2%7+0.8%8+3.4%9月(予測)+2.9%10月(予測)+3.2%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、5月▲5.0%6+9.0%7+6.0%8+6.2%

・電子部品・デバイスは前月比で、5月▲4.2%6+11.6%7月▲9.2%8月▲6.4%

・輸送機械は前月比で、5月▲7.4%6+11.8%7+10.7%8月▲1.0%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・品目別にみると、生産関連の機械や自動車で増加傾向がみられる一方、世界的なスマホ・PCの需要一服等を背景に

  半導体等電子部品やプラスチック等が減少傾向となった

○ 輸入は、おおむね横ばいとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

  参考 我が国の経常収支は、リーマンショック以降、所得収支に支えられ、貿易中心から投資中心に変化。貿易収支は概ね均衡する下、輸出の増加

         要因は数量から付加価値へと変化した。こうした中、2022年以降、エネルギー輸入は価格上昇を要因に輸入額が大幅に増加し、これに伴い、

         貿易収支も経常収支も赤字化となった。経常収支の改善には、エネルギー構造の改善、知財等を含むサービス輸出の強化、円安を活かした

         輸出拡大が重要となる。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、5+3.66月▲1.17月▲9.18+1.79+2.9

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月ぶりに下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、5+2.26月▲4.97月▲4.88+6.69月▲0.2

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は一部に弱さが残るものの、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが

      期待される。ただし、不動産市場の動向や金融資本市場の変動、経済活動の抑制の影響等を注視する必要がある。

 ・224-6月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+0.4%となった。

・消費は持ち直しの動きがみられる。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出は緩やかに増加している。

・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。

・都市部調査失業率は低下している。

・消費者物価上昇率はこのところ低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はおおむね横ばいとなっている。

○ 韓国では、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

○ インド・タイでは、景気は持ち直している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾では、景気はこのところ回復に足踏みがみられる。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融引締め

      に伴う影響等による下振れリスクの高まりに留意する必要がある

20224-6月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率▲0.6%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

9月の失業率は3.5%となった。

○ 生産は底堅く推移している。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数は弱い動きとなっている。

○ 設備投資はこのところ横ばいとなっている。

○ コア物価上昇率は高水準でおおむね横ばいとなった。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は総じてみれば緩やかに持ち直している。

   ドイツは、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

イギリスでは、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

 ・224-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+3.3%

 (イギリスは▲0.3%、ドイツは+0.6%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはこのところ低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.0%9月)、イギリス+7.1%9月)。

○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直しに足踏みがみられ、イギリスは横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ弱含んでいる。

2022年

9月

30日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.9.30)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの新たな段階への移行が進められる中、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

世界の景気は、緩やかな持ち直しが続いている。欧米主要国の2022年成長見通しは下方修正となったものの、総じてプラス成長となる見込みと

 なっている。

・失業率は総じておおむね横ばい。欧米の消費者物価は上昇が続いており、物価安定に向けて速いテンポで金融引締めを実施。

 ただし、金融資本市場の変動や物価上昇、供給制約等による下振れリスクの高まりに引き続き留意が必要である。

・英国では消費は弱含んでおり、景気は持ち直しに足踏み。世界的な物価上昇の下で半導体の需要鈍化の影響等から韓国や

 台湾では製造業の景況感が低下し、景気に足踏みが見られる。

 

日本の実質GDP成長率

20224-6月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比+0.9%(年率+3.5%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・足下では、夏場の感染拡大が落ち着きを見せる中で、外食売上や宿泊稼働率も改善の動きとなっている。

・雇用が改善し、賃上げの流れが定着・拡大する中、総雇用者所得は名目ではプラスだが、物価上昇により実質ではマイナス

 となり、消費者マインドも弱含みとなっている。

・家計の消費支出をみると、エネルギー・食料品関連の支出は物価上昇に伴い2019年比でプラスとなっている一方、その他の

 支出はマイナスであり、低所得者層を中心に節約傾向が継続している。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、3+0.2%4+1.1%5+0.8%6+0.4%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、4+0.2%5+1.1%6月▲2.0%7月▲1.9%8+2.3%。 

  ・7月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.8%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、上昇している。

・国際商品市況は、本年半ば以降、欧米の金融引締め等を背景に下落の動きもみられるなど不安定な動きが続く中、足下では

 円安も進行している。

○ 消費者物価は、8月は前年比+3.0%(総合)と引き続き高い伸びであり、サービス価格もプラスに転じた。物価上昇はエネルギーや食料品といった

   必需品に顕著に現れている。今後も食料品を中心に値上げが予定されており、また、電気代等は市況の動きを時差を伴って反映することから、消費者

   物価の上昇は続くと見込まれる。 

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・建設コストの上昇等を背景に持ち家の着工は弱い動きだが、貸家及び分譲の着工は底堅い動きとなっている。

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、4月▲4.6%5月▲6.5%6+2.1%7月▲2.4%

・持家着工数は前月比で、4月▲2.3%5+1.4%6月▲2.0%7月▲2.8%

・貸家着工数は前月比で、4月▲11.8%5月▲4.6%6+2.2%7月▲2.8%

・分譲着工数は前月比で、43.2%5月▲15.4%6+5.9%7月▲0.7%

   公共投資は、底堅さが増している。

・請負金額は前月比で、3+13.6%(出来高+0.8%)、4月▲3.4%(出来高+1.7%)、5月▲2.0%(出来高+2.3%)、6+7.7%

(出来高+2.6%)、7月▲9.0%(出来高▲0.4%)、8+1.4%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

○ 失業率は、7月はおおむね横ばいとなった。失業率・就業者数は足下で概ね横ばいだが、就業率は女性雇用者の増加等によって上昇傾向が継続

      した。

○ 一人当たり賃金は、前年比でプラスが継続。夏のボーナス(6-7月平均)は、2018年以来の前年比プラスとなった。好調な収益を背景に、規模が

     大きい企業ほどプラス幅が大きい。成長と分配の好循環の実現に向け、引き続き、賃上げの流れの継続・拡大が重要である。

   ・有効求人倍率は、31.2241.2351.2461.2771.29(正社員は1.01)となった。

   ・完全失業率は、22.7%,32.6%42.5%52.6%62.6%72.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

   20224-6月期の企業の経常利益は、大中堅企業を中心に増加し、全体としては過去最高水準となった。他方、中小企業では

      前年同期比・前期比ともにマイナスとなっている。

    ・特に、製造業をみると、大中堅企業では営業利益が微減となる中、円安に伴う為替差益等(営業外収支)が経常利益を押上げ

     ている。一方、中小企業では、原材料高を十分に価格転嫁できずに営業利益が大きく減少した。

  ・円安による営業外収支の押上げも少ない。中小企業の収益力強化に向けては、価格転嫁、輸出促進を含めた販路拡大等が課題

    である

○ 企業の設備投資は、デジタル化等の流れを受けたソフトウェア投資の増加が牽引する中、持ち直しの動きが見られる。

・機械投資も、特に先行指標である機械受注が持ち直した。企業規模別にみると、好調な収益を背景に大中堅企業の投資は

  20224-6月期に前期比で大きくプラスとなった一方、中小企業ではマイナス。収益改善と投資拡大に向けた取組、そのため

  にも価格転嫁が引き続き重要である。

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・ 倒産件数はおおむね横ばいとなっている。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20219+1812+1820223+146+99+10

  「大企業・非製造業」は、20219+212+920223+96+139+13

  「中小企業・製造業」は、20219月▲312月▲120223月▲46月▲49月▲5

  「中小企業・非製造業」は、20219月▲1012月▲420223月▲66月、▲19月▲5

 

生産

 生産は、持ち直しの動きがみられる。

・製造業の生産は、ICなどの電子部品・デバイスが横ばいに転じる一方、設備投資向けの資本財は緩やかに増加しており、

  全体として持ち直しの動きとなった。

・鉱工業生産指数は前月比で、5月▲7.5%6+9.2%7+0.8%8月(予測)+5.5%9月(予測)+0.8%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、4月▲2.7%5月▲5.0%6+9.0%7+6.0%

・電子部品・デバイスは前月比で、4月▲6.6%5月▲4.2%6+11.6%7月▲9.2%

   ・輸送機械は前月比で、4月▲0.1%5月▲7.4%6+11.8%7+10.7%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・自動車は供給制約の緩和から持ち直しているが、世界的なPC・スマホ需要の一服等を背景にICは弱含みとなっている。

我が国最大の輸出先の一つである米国向け輸出の動向をみると、日本は相対的に伸び悩みとなっている。EUは医療用品

  の化学工業製品の寄与が高い。日本は半導体製造装置、建設用・鉱山用機械等の機械機器に競争力を有するが、主力の自動車

  がマイナスに寄与した。

○ 輸入は、持ち直しの動きがみられる。

○  貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月ぶりに上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、4+2.65+3.66月▲1.17月▲9.18月+1.7

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月ぶりに上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、4+0.25+2.26月▲4.97月▲4.88+6.6

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は一部に弱さが残るものの、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待

      される。ただし、不動産市場の動向や金融資本市場の変動、経済活動の抑制の影響等を注視する必要がある。

 ・224-6月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+0.4%となった。

・消費は持ち直しの動きがみられる。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出は緩やかに増加している。

・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。

・都市部調査失業率は低下している。

・消費者物価上昇率はこのところ低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はおおむね横ばいとなっている。

○ 韓国では、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

○ インド・タイでは、景気は持ち直している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾では、景気はこのところ回復に足踏みがみられる。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う

      影響等による下振れリスクの高まりに留意する必要がある

20224-6月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率▲0.6%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

8月の失業率は3.7%となった。

○ 生産はおおむね横ばいとなっている。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数は弱い動きとなっている。

○ 設備投資はこのところ横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は一部でテンポの鈍化がみられるものの持ち直している。

イギリスでは、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

ドイツは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。

 ・224-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+3.1%

 (イギリスは▲0.3%、ドイツは+0.6%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともにこのところ横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+5.5%8月)、イギリス+6.7%8月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直し、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

 

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

 

2022年

8月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.8.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が

進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待

される。ただし、世界的に金融引き締め等を背景とした海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇による家計や企業への影響や供給面での制約に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

世界の景気は、持ち直しのテンポが鈍化している。

・失業率が低下傾向で推移する一方、世界的な物価上昇、金融引締めが進む中で、46月期GDPは、アメリカ、イギリス、ドイツ

 などでマイナスとなった。

・アメリカでは、個人消費はプラスが続く一方、金利上昇等を背景に、住宅投資、設備投資はマイナスとなった。

・ユーロ圏は、旅行や宿泊などのサービス消費は底堅い動きがうかがえる。

・足下にかけて、物価上昇への懸念等を背景に、欧米の消費者や製造業企業のマインドは低下傾向となっている。

 金融引締めの進展や一層の物価上昇、供給面での制約等による先行きの下振れリスクには留意が必要である。

 

日本の実質GDP成長率

20224-6月期(1次速報)の実質GDP成長率は、前期比+0.5%(年率+2.2%)となった。

・感染対策と経済社会活動の両立維持を背景に対人サービスなど個人消費が増加し、企業収益が改善する中で設備投資も増加する

 など、民需中心にプラス成長となった。

○ 実質GDPはコロナ前(1910-12月)の水準を回復した。

・需要項目別にみると、輸出や個人消費がコロナ前を上回る一方、設備投資は下回っている。

○ 実質GDP(国内総生産)が増加する一方、その対価として得られる所得は、輸入価格上昇(交易条件悪化)により海外に流出する形(交易損失)となり、

   実質GNI(国民総所得)は減少した。輸出競争力向上や省エネ進展などによる交易条件改善の観点からも、設備投資の回復が課題である。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・一部に感染拡大による影響はみられるものの、新車販売が2か月連続で増加するほか、お盆期間の交通機関の利用の高まり、

 3年ぶり開催の夏祭り等のイベントが全国各地で実施されるなど、ウィズコロナの下での活動が進展し、消費回復の動きに幅広

 さがみられる。

・雇用が改善し、賃上げの流れが継続・拡大する中、総雇用者所得は名目では増加している一方、物価上昇によって実質では前年比

 マイナスとなった。こうした中、感染拡大も相まって、消費者マインドは低下した。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、2月▲0.7%3+0.2%4+1.1%5+1.1%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、3月▲2.4%4+0.2%5+1.1%6月▲2.0%7月▲1.9%

6月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.1%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、上昇している。

・国際商品市況は、本年半ば以降、欧米の金融引締めや中国の防疫措置等を背景に下落がみられるなど不安定な動きとなって

 いる。

 国内企業物価は、石油製品や非鉄金属はこうした動きを受け、上昇が鈍化した。

・一方、電気代等は燃料費調整制度の下で市況の動きを時差を伴って反映するため、当面は上昇する見込みである。

○ 消費者物価は、エネルギーや食料品を中心に7月も前年比+2.6%(総合)と引き続き高い伸びとなった。今後も食料品を中心に値上げが予定されて

   おり、消費者物価の上昇は当面続くと見込まれる。 

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、3+6.3%4月▲4.6%5月▲6.5%6+2.1%

・持家着工数は前月比で、3月▲0.1%4月▲2.3%5+1.4%6月▲2.0%

・貸家着工数は前月比で、3+18.7%4月▲11.8%5月▲4.6%6+2.2%

・分譲着工数は前月比で、3月▲2.7%43.2%5月▲15.4%6+5.9%

   公共投資は、底堅さが増している。

    ・請負金額は前月比で、2+0.7%(出来高▲0.7%)、3+13.6%(出来高+0.8%)、4月▲3.4%(出来高+1.7%)、5月▲2.0%

(出来高+2.3%)、6+7.7%(出来高+2.6%)、7月▲9.9%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

○ 失業率は、6月は横ばいとなった。就業者数は増加傾向が継続している。

○ 一人当たり賃金は、6月は夏季賞与の大幅なプラスを受け前年比で大きくプラスとなった。過去20年間で2番目に高い賃上げとなった春季労使交渉、

  過去最大の最低賃金引上げなど、賃上げモメンタムが継続している。

○ 学び直しや労働移動も賃金・所得の上昇に貢献した。OFF-JTと自己啓発を両方実施する者は、片方のみの者に比べ、年収増加が明確となった。

  正社員(40代以下)は転職を通じて平均的に年収が増加、また、足下では転職により賃金が1割以上増加した者の割合は4四半期連続で上昇した。

   ・有効求人倍率は、21.2131.2241.2351.2461.27(正社員は0.99)となった。

   ・完全失業率は、22.7%,32.6%42.5%52.6%62.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

   20224-6月期の上場企業の経常利益(※注;非製造業について、特殊要因(金融関連)による振れを控除したベースは、製造業・非製造業とも

     に増益となり、水準も4-6月期として過去最高となった。本業の利益である営業利益には原材料価格上昇や供給制約による下押し

     の影響がある一方、為替差益等による営業外収益が押し上げの要因となった。

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

   ・企業の設備投資マインドは前向きとなっている。

     コロナ禍・供給制約下で先送りしていた能力増強投資のほか、脱炭素化・デジタルを活用した自動化など重点分野に向けた投資

     意欲も高い。

    他方、脱炭素化やイノベーションにおいては人材不足が課題であり、人的資本の蓄積に向けた取り組みも重要となっている

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

  ・倒産件数はおおむね横ばいとなっている。

  ・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20219+1812+1820223+146+99+10

  「大企業・非製造業」は、20219+212+920223+96+139+13

  「中小企業・製造業」は、20219月▲312月▲120223月▲46月▲49月▲5

  「中小企業・非製造業」は、20219月▲1012月▲420223月▲66月、▲19月▲5

 

生産

 生産は、持ち直しの動きがみられる。

・生産は、中国のロックダウンの影響によって生じていた減産が概ね解消されるなど、持ち直しの動きがみられる。

・世界的な半導体不足の状況は当面続くと考えられるものの、世界的な物価上昇の下でスマホ・PC需要に鈍化の動きもあり、足下

  では国内の在庫率も高まっている。こうした中、世界の半導体市場の成長見通しを下方改定する見方もある。

・鉱工業生産指数は前月比で、4月▲1.5%5月▲7.5%6+9.2%7月(予測)+3.8%8月(予測)+6.0%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、3+3.9%4月▲2.7%5月▲5.0%6+9.0%

・電子部品・デバイスは前月比で、3+2.0%4月▲6.6%5月▲4.2%6+11.6%

・輸送機械は前月比で、3月▲5.1%4月▲0.1%5月▲7.4%6+11.8%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・アジアや欧州向けは持ち直しの動きがみられる一方、アメリカ向けは概ね横ばい。引き続き、海外景気の動向に注意が必要で

  ある。

○ 輸入は、持ち直しの動きがみられる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、3+10.14+2.65+3.66月▲1.17月▲9.1

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、3+5.74+0.25+2.26月▲4.97月▲4.8

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は一部に弱さが残るものの、このところ持ち直しの動きがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが

  期待される。ただし、経済活動の抑制の影響や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

 ・224-6月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+0.4%となった。

・消費はこのところ持ち直しの動きがみられる。

・生産は、このところ持ち直しの動きがみられる。

・輸出は増加している。

・固定資産投資は伸びが低下している。

・消費者物価上昇率は上昇している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はおおむね横ばいとなっている。

○ 韓国では、景気は持ち直しのテンポが鈍化している。

○ インド・タイでは、景気は持ち直している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾では、景気は回復のテンポが鈍化している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直しのテンポが鈍化している。先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、

 金融引き締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。

20224-6月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率▲0.9%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

7月の失業率は3.5%となった。

○ 生産はおおむね横ばいとなっている。

○ 消費は持ち直しのテンポがこのところ鈍化、自動車販売台数はこのところ弱い動きとなっている。

○ 設備投資はこのところ横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は一部でテンポの鈍化がみられるものの持ち直している。

イギリス・ドイツは、持ち直しのテンポが鈍化している。

 ・224-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+2.5%

 (イギリスは▲0.3%、ドイツは▲0.1%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともにこのところ横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+5.1%7月)、イギリス+6.6%7月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直し、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

 

2022年

7月

26日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.7.26)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が

進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待

される。ただし、世界的に金融引き締めが進む中での金融資本市場の

変動や原材料価格の上昇、供給面での制約等による下振れリスクに十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

世界の景気は、中国において足踏みがみられるものの、持ち直している。

・欧米では失業率が引き続き低下傾向となっている。景気の持ち直しの進展に伴う世界的な需給引締まりに、ウクライナ情勢を

  受けた国際商品市況の高騰等が相まって、消費者物価が一段と上昇した。この下で、世界的に金融引締めが進展した。

・欧米では、サービス消費の持ち直し等を背景に非製造業の景況感は高めに推移する一方、コスト上昇や供給制約等から、製造業

  の景況感は低下した。株価が不安定に推移するなど、世界経済の不確実性に高まりがみられる。

・中国では厳しい防疫措置の影響により2246月期の実質GDP成長率が大きく低下した。企業の景況感、消費・生産は4月に

 大きく低下したが、56月にかけて改善した。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・外食や旅行等のサービス消費は持ち直しが続く。宿泊者数に加え、7月の交通機関の利用実績も、上昇傾向が続く。

・百貨店の販売額は、人出の増加に伴って改善。高額品や外出増加に伴う衣類等を中心に好調との声が聞かれる。

・物価上昇により、食料・光熱費等の生活必需品への支出がコロナ前を上回る一方、その他への支出はコロナ前を下回り、低所得世帯を中心に節約

 志向の動きがみられる。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、1月▲0.6%2月▲0.7%3+0.2%4+0.7%

       ・消費者態度指数(DI)は前月差で、2月▲1.3%3月▲2.4%4+0.2%5+1.1%6月▲2.0%。 

        ・5月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.1%となった。

 

物価

○ 原材料価格上昇等により、国内企業物価は、6月は前年比+9.2%と上昇が続く。

・我が国の生産者物価を需要段階別にみると、原材料等の上昇に対し、中間需要や最終需要では相対的に上昇幅が小さい。引き続き価格転嫁が

  課題となっている。

一方、アメリカでは、中間需要、最終需要ともに上昇した。

○ 消費者物価は、エネルギーや食料品の値上げを背景に上昇した。6月の前年比は+2.4%と引き続き高い伸び(総合)。民間調査によれば、今後も

     食料を中心に値上げが予定されており、8月以降も食品の多くの品目で値上げが続くと見込まれる。 

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、賃貸マンションや分譲マンションの需要増加を反映し、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、2+6.4%3+6.3%4月▲4.6%5月▲6.5%

・持家着工数は前月比で、2+2.6%3月▲0.1%4月▲2.3%5+1.4%

・貸家着工数は前月比で、2+1.3%3+18.7%4月▲11.8%5月▲4.6%

・分譲着工数は前月比で、2+17.7%3月▲2.7%43.2%5月▲15.4%

   公共投資は、このところ底堅い動きとなっている。

・請負金額は前月比で、221月▲2.4%(出来高▲2.0%)、2+0.7%(出来高▲0.7%)、3+13.6%(出来高+0.8%)、4月▲3.4%(出来高+3.2%)、

 5月▲2.0%(出来高+2.9%)、6+7.7%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

○ 就業者数は増加傾向にあり、失業率は低下傾向となっている。就業率(就業者数/15歳以上人口)も、主に女性の正規雇用の増加により、コロナ

     前を上回る水準まで上昇した。

○ 雇用の過不足感が、宿泊・飲食サービスを中心に幅広い業種で不足超となる中で、ハローワークによるネット経由の日次有効求人も、引き続き増加

     して いる。

○ 総雇用者所得は、雇用者数の増加や賃金の上昇により、名目では前年比プラスとなる一方で、物価上昇の影響で、実質では前年比マイナスと

     なった。2022年春季労使交渉について、賃上げ率は2.07%と昨年を上回った。

民間機関の調査によると、夏のボーナスも、前年比で大幅なプラスとなる見込みである。

       ・有効求人倍率は、10.2021.2131.2241.2351.24(正社員は0.98)となった。

・完全失業率は、122.7%12.8%22.7%,32.6%42.5%52.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

   ・企業の景況感は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。日銀短観6月調査によると、中国の活動制限に伴う供給制約や原材料高を背景に、製造業

        では幅広い業種で前回3月調査から小幅に悪化した。一方、非製造業では、経済活動の回復により、宿泊・飲食サービスなどを中心に小幅に改善

        した。

       ・2022年度の経常利益は、宿泊・飲食サービスの黒字転化が見込まれていることもあり、非製造業では2021年度と同程度の利益が見込まれている。

        一方、多くの製造業では、前年度比マイナスの見込みとなった。

       ・製造業を中心に、仕入価格DIが大幅に上昇しており、価格転嫁の程度を表す疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)は厳しい状況が続く。

         引き続き賃上げと価格転嫁が重要となる。

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

      ・設備の過不足感は、日銀短観6月調査によると、製造業・非製造業ともに概ね解消したものの、設備投資はコロナ前に比べて、依然として低い水準と

         なった。2022年度の設備投資計画は、引き続き前年より増加し、特にソフトウェア投資が大きく増加する見込みとなっている。

   ・業種別にみると、各種機械製造業やサービス業などで前年度比大幅プラスとなった。

   ・売上対比でみた設備投資計画は、過去に比べて積極的であり、今後の売上改善が積極的な設備投資につながることを期待したい

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・ 倒産件数はおおむね横ばいとなっている。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20219+1812+1820223+146+99+10

    「大企業・非製造業」は、20219+212+920223+96+139+13

    「中小企業・製造業」は、20219月▲312月▲120223月▲46月▲49月▲5

        「中小企業・非製造業」は、20219月▲1012月▲420223月▲66月▲19月▲5

 

生産

 生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・供給制約等により、輸送機械は持ち直しに足踏みがみられる。

  また、電子部品・デバイスや生産用機械も、中国の活動制限の影響が残り、増勢が鈍化した。

  工作機械受注は、内需が底堅い一方で、中国等のアジア向けの外需には足踏み感がみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、3+0.3%4月▲1.5%5月▲7.5%6月(予測)+12.0%7月(予測)+2.5%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、2月▲0.6%3+3.9%4月▲2.7%5月▲5.0%

・電子部品・デバイスは前月比で、2月▲0.7%3+2.0%4月▲6.6%5月▲4.2%

   ・輸送機械は前月比で、2+14.8%3月▲5.1%4月▲0.1%5月▲7.4%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・アメリカや欧州向けは、持ち直しの動きがみられる一方、アジア向けは横ばいとなっている。

○ 輸入は、持ち直しの動きがみられる。

・内需の底堅さやアジアからの輸入の堅調さを反映して、持ち直しの動きがみられる。中国の活動制限の影響の緩和などから下げ止まりとなった。

○  貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、2月▲0.23+10.14+2.65+3.66月▲1.1

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、5か月ぶりに下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、2+1.93+5.74+0.25+2.26月▲4.9

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は一部地方での経済活動の抑制の影響が残るものの、このところ持ち直しの動きがみられる。

   先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、当面は一部地方での経済活動の抑制の影響が続くと見込ま

   れる。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

   ・224-6月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+0.4%となった。

・消費はこのところ持ち直しの動きがみられる。

・生産は、このところ持ち直しの動きがみられる。

・輸出は増加している。

・固定資産投資はこのところ伸びやや低下している。

・消費者物価上昇率は上昇している。

・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きがみられる。

○ 韓国・インド・インドネシアでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復のテンポが鈍化している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。

   ただし、金融引き締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。

20221-3月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率▲1.6%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

 ・6月の失業率は3.6%となった。

○ 生産はおおむね横ばいとなっている。

○ 消費は緩やかに持ち直し、自動車販売台数はこのところ弱い動きとなっている。

○ 設備投資は緩やかに増加した。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は一部で厳しい状況が残る中で持ち直している。

 イギリスは、持ち直している。

   ・221-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+2.0%

   (イギリスは+3.1%、ドイツは+0.9%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+4.6%6月)、イギリス+6.1%6月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直し、イギリスはこのところ増加している。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

 

 

2022年

6月

20日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.6.20)

基調判断

〈現状〉

・景気は、持ち直しの動きがみられる。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が

進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待

される。ただし、ウクライナ情勢の長期化や中国における経済活動抑制の影響などが懸念される中での原材料価格の上昇や供給面での制約に

加え、金融資本市場の変動等による下振れリスクに十分注意する必要がある。

 

 

世界経済・ウクライナ情勢

世界の景気は、中国において足踏みがみられるものの、持ち直している。

・OECD見通しでは22年の世界成長率は3.0%と、コロナ禍前と同程度の見込みとなった。

ただし、ウクライナ情勢を背景に成長率は下方修正した。

  ・OECD諸国の22年のインフレ率は8.8%34年ぶりの高い伸びとなる見込みである。

・足下の消費者物価は、欧米では前年比89%と、一段と上昇した。

・失業率は引き続き低下傾向となった。この下で、世界的に金融政策の正常化が引き続き進展した。

・ウクライナ情勢の長期化が懸念される中で、エネルギー、食料価格は引き続き高水準で不安定な動きとなった。

・中国では、厳しい防疫措置が徐々に緩和される中で、生産、消費は引き続き伸びが足踏みとなった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、このところ持ち直しの動きがみられる。

・外食や旅行等のサービス消費は持ち直しが続く。ただし、旅行では居住地から近隣県への旅行の回復が中心となっている。

・街角の景況感は、物価上昇への懸念もある一方、人出の増加や夏季の行事・旅行への期待等から上昇した。

・直近まで個人消費を週次の消費金額でみると、6月にかけても概ね平年を上回る水準となった。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、12+0.1%1月▲0.6%2月▲0.7%3+0.2%

      ・消費者態度指数(DI)は前月差で、1月▲1.8%2月▲1.3%3月▲2.4%4+0.2%5+1.1%。 

     4月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.3%となった。

 

物価

○  ウクライナ情勢等を背景とする原材料価格上昇等により、国内企業物価は5月は前年比9.1%上昇が続いており、価格上昇品目にはさらなる広がりが

     みられる。

   消費者物価は、エネルギーや食料品の値上げを背景にこのところ上昇している。

・4月は、携帯通信料引下げ効果の剥落もあり、前年比2.5%と約30年ぶりの高い伸び(総合)となった。

・ただし、G20諸国の半数程度が7%以上となる一方、日本は下位3番目であるなど、諸外国に比べて低い伸びにとどまる。

   我が国のエネルギー・食料品の物価上昇率は、これまで実施してきたガソリン等の激変緩和事業や電気代の燃料費調整制度、小麦の国内価格上昇を抑制する政策等もあり、欧米に比べて低い伸びに留まっている。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、住宅建設は、賃貸マンションや分譲マンションの需要増加を反映し、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、1月▲2.1%2+6.4%3+6.3%4月▲4.6%

・持家着工数は前月比で、1月▲7.1%2+2.6%3月▲0.1%4月▲2.3%

・貸家着工数は前月比で、1+5.0%2+1.3%3+18.7%4月▲11.8%

・分譲着工数は前月比で、1月▲4.8%2+17.7%3月▲2.7%43.2%

   公共投資は、このところ底堅い動きとなっている。

・請負金額は前月比で、12+0.4%(出来高▲3.2%)、221月▲2.4%(出来高▲2.0%)、2+0.7%(出来高▲0.7%)、3+13.6%(出来高+1.1%)、

4月▲3.4%5月▲2.0%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直しの動きとなった。就業者数は緩やかに増加し、失業率は3か月連続で低下となった。就業率(就業者数/人口)も、特に2564

     の女性において、コロナ前を上回る水準まで上昇した。

○ 求人は持ち直した。求人広告掲載件数をみると、生産工程等やサービスなど、幅広い業種において増加した。ハローワークによるネット経由の日次有効

    求人も、引き続き増加した。

○ 一人当たり賃金は、所定内給与の増加が続いたことなどから、4月も前年比プラスとなった。2022年春季労使交渉について、賃上げ率は2.09%と昨年を

   上回る状況。民間機関の調査によると、夏のボーナスも、4年ぶりのプラスとなる見込みである。

       ・有効求人倍率は、10.2021.2131.2241.23(正社員は0.97)となった。

・完全失業率は、112.8%122.7%12.8%22.7%、32.6%42.5%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

    ・1-3月期の経常利益は、製造業・非製造業ともに前年比で増益となり、概ねコロナ前の2019年を上回る水準となった。非製造業では、飲食サービス業や宿泊業などで、本業の利益を表す営業利益は赤字となった。

      ・中小企業製造業では、経常利益は原材料価格の上昇等を背景に前年比で減益。経常利益(売上高対比)をみると、商品仕入原価などが計上される売上原価の増加が下押しに寄与した。

      ・価格転嫁の程度を表す疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)をみると、中小企業では、加工系製造業において特に悪化した。引き続き価格

       転嫁が重要となる。

 

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

 ・ 1-3月期の設備投資は、製造業では前期比プラスとなった。機械投資には持ち直しの動きがみられる。ソフトウェア投資は月々の

    振れを伴いながら、均してみると緩やかに増加した。

2022年度の設備投資の見通しは、前年度比16.0%増と高い伸びとなっており、脱炭素やエネルギー効率上昇に向けた投資の実現が

 重要となる。

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・ 倒産件数はおおむね横ばいとなっている。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20216+149+1812+1820223+146+9

    「大企業・非製造業」は、20216+19+212+920223+96+7

    「中小企業・製造業」は、20216月▲79月▲312月▲120223月▲46月▲5

    「中小企業・非製造業」は、20216月▲99月▲1012月▲420223月▲6、▲10

 

生産

 生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

  ・供給制約等により、輸送機械は持ち直しに足踏みがみられる。また、電子部品・デバイスも、中国の活動制限の影響などから増勢が鈍化しているものの、   

    世界の半導体の需要見通しは、2022年は上方修正され、2023年も一層の増加が見込まれるなど、半導体製品に対する強い需要は今後も続く見込みと

なっている。

・鉱工業生産指数は前月比で、2+2.0%3+0.3%4月▲1.5%5月(予測)+4.8%6月(予測)+8.9%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、1+4.8%2月▲0.6%3+3.9%4月▲2.7%

・電子部品・デバイスは前月比で、1+10.4%2月▲0.7%、3+2.0%4月▲6.6%

   ・輸送機械は前月比で、1月▲15.7%2+14.8%3月▲5.1%4月▲0.1%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・アメリカや欧州向けは、持ち直しの動きがみられる一方、中国は5月も減少した。

○ 輸入は、下げ止まっている。

・輸入は、中国の活動制限の影響の緩和などから下げ止まりとなった。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、1月▲19.62月▲0.23+10.14+2.65+3.6

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月連続で上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、1月▲7.82+1.93+5.74+0.25+2.2

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、一部地方で経済活動が抑制されており、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、当面は一部地方での経済活動の抑制の影響が続くと見込まれる。

また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

   ・221-3月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+4.8%となった。

・消費はこのところ弱い動きとなっている。

・生産は、このところ持ち直しの動きがみられる。

・輸出は増加している。

・固定資産投資はこのところ伸びやや低下している。

・消費者物価上昇率はこのところ上昇している。

・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きがみられる。

    中国の景気下支え策

                  1.企業支援

               ○本年の減税・税還付を2.8兆円追加(総額52.8兆円)

               ○中小零細企業向け貸付、感染症の影響を受けた人々の住宅ローン返済猶予。

               ○交通・物流向けの特別再貸出(2兆円)。

               ○サービス業の中小零細企業の家賃を3~6カ月減免。

                  2.投資促進

               ○地方専項債券を、原則6月末までに発行・8月末までに使用を完了。

               ○国家重大インフラ発展計画を編成、重大プロジェクトを推進。

                  3.消費促進・家計支援策

               ○乗用車の取得税を減免(減税規模1.2兆円)。

               ○生活保障(救済補助金3.1兆円)。

                  4.雇用対策

               ○新規大卒生を雇う企業に最大一人当たり3万円を補助。

                  5.食料安全保障

  ○コスト上昇を補うため農業補助金2,000億円を支給。 等

○ 韓国・インド・インドネシアでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融資本市場の変動の影響や金融政策正常化の影響等を注視する必要がある。

20221-3月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率▲1.5%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

 ・5月の失業率は3.6%となった。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は緩やかに持ち直し、自動車販売台数はこのところ弱い動きとなっている。

○ 設備投資は緩やかに増加した。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は一部で厳しい状況が残る中で持ち直している。

イギリスは、持ち直している。

   ・221-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+2.5%(イギリスは+3.0%、ドイツは+0.9%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+4.4%5月)、イギリス+6.1%4月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直し、イギリスはこのところ増加している。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

 

 

2022年

5月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.5.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、持ち直しの動きがみられる。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が

進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待

される。ただし、中国における感染再拡大の影響やウクライナ情勢の

長期化などが懸念される中で、供給面での制約や原材料価格の上昇、

金融資本市場の変動等による下振れリスクに十分注意する必要がある。

また、感染症による影響を注視する必要がある。

 

 

世界経済・ウクライナ情勢

世界の景気は、中国等で感染再拡大の影響がみられるものの、持ち直している。

・1-3月期のGDPは、ユーロ圏、英国では引き続きプラス成長となり、この結果、アメリカ、ユーロ圏に続き、英国もコロナ禍

 前の水準を回復した。アメリカでは生産は緩やかな増加が続き、失業率は欧米ともに引き続き低下した。

 ・国際商品市場におけるエネルギーや食料の価格は、ウクライナ情勢等を背景に高水準で推移。

 ・中国では一部都市での厳しい防疫措置を受け、国内の消費、生産などが足下で大きく減少。海運など物流停滞もみられ、供給制約

  を通じた世界経済への影響に注視が必要。

 

日本のGDP成長率

20221-3月期の実質GDP成長率は、前期比▲0.2%と2期ぶりのマイナスとなった。

個人消費は横ばい、設備投資はプラスに寄与した。

一方、供給制約の緩和やワクチン・治療薬の購入などに伴う輸入増加で外需はマイナスに寄与し、GDP全体としてはマイナスとなった。

感染拡大の中でも内需がプラスという姿は、「ウィズコロナ」の下で、メリハリのきいた対策を講じることができ、経済社会活動を極力継続できるような取り組み

の表れとみられる。

○ 輸入物価上昇が内需に徐々に波及し、GDPデフレーターはプラスとなっている。

○ 年度でみると、2021年度は前年度比2.1%と3年ぶりのプラス成長となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、このところ持ち直しの動きがみられる。

・まん延防止等重点措置の解除等を背景に、外食や旅行等のサービス消費は持ち直しとなっている。

特にGW期間は、3年ぶりに行動制限がない中で、こうした分野を中心に活発な動きがみられる。

・直近までの週次の消費金額でみると、5月にかけても平年を上回る水準となっている。

・一方、物価上昇の下、実質総雇用者所得の伸びは抑制されており、こうした動向が消費に与える影響には注意が必要である。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、11+2.2%12+0.1%1月▲0.6%2月▲1.2%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、120.0%221月▲1.8%2月▲1.3%3月▲2.4%4+0.2%。 

3月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.3%となった。

 

物価

○  ウクライナ情勢等を背景とする原材料価格上昇等により、輸入物価は、4月は1974年以来の伸び(前月比)となっている。

○ 国内企業物価は、需要段階別にみると、素原材料や中間財は大きく上昇した。

・一方、最終財も上昇し、価格転嫁がうかがえるが、上昇幅は相対的に小さい。継続的な賃上げと価格転嫁が重要となる。

○ 消費者物価は、エネルギーや食料品の値上げを背景に上昇している。

・4月は、携帯通信料引下げ効果の剥落もあり、前年比2.5%と約30年ぶりの高い伸びとなった(総合指数、消費税増税期間を

  除く)。変動の大きい生鮮食品及びエネルギーを除いた品目からなる「コアコア」でみても、年率換算で2%程度となった

(前月比0.2%、4か月連続)。

○ 民間調査によれば、今後も光熱費や食料品等の品目で値上げが行われる見込みである。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、12月▲1.5%1月▲2.1%2+6.4%3+6.3%

・持家着工数は前月比で、12月▲3.3%1月▲7.1%2+2.6%3月▲0.1%

・貸家着工数は前月比で、12月▲0.2%1+5.0%2+1.3%3+18.7%

・分譲着工数は前月比で、11+2.6%12月▲1.5%1月▲4.8%2+17.7%3月▲2.7%

   公共投資は、このところ底堅い動きとなっている。

・請負金額は前月比で、11月▲0.3%(出来高▲1.0%)、12+0.4%(出来高▲3.2%)、221月▲2.4%(出来高▲2.0%)、2+0.7%(出来高+1.1%)、

3+13.64月▲3.4%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直しの動き。就業者数は緩やかに増加し、失業率は2か月連続で低下となった。1年以上の長期失業者も前年に比べて減少した。

○ 求人は持ち直している。製造業や宿泊・飲食サービス業において求人は増加した。ハローワークによるネット経由の日次有効求人も、引き続き増加。

○ 一人当たり賃金は、所定内給与の増加が続いたことなどから、3月は前年比プラスとなった。また、パート・アルバイト募集時の時給についても、幅広い

  職種において増加傾向で推移している。

    ・有効求人倍率は、111.15121.1710.2021.2131.22(正社員は0.94)となった。

・完全失業率は、102.7%112.8%122.7%12.8%22.7%,32.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

   ・1-3月期の上場企業の経常利益は、製造業・非製造業ともに増益となり、コロナ前の2019年を大きく上回る水準。機械製品の好調さや物流の活発化、

        資材の取引価格上昇の影響などを受け、多くの業種で増益となった。

   ・ 企業の景況感は、原材料価格の高騰などを背景に、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

   ・ ただし、1-3月期のGDP統計によれば、資本財価格等の上昇の下、実質ベースの伸びは名目を下回る。

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

  ・ 倒産件数はおおむね横ばい、休廃業・解散は減少となった。

  ・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20216+149+1812+1820223+146+9

    「大企業・非製造業」は、20216+19+212+920223+96+7

    「中小企業・製造業」は、20216月▲79月▲312月▲120223月▲46月▲5

    「中小企業・非製造業」は、20216月▲99月▲1012月▲420223月▲6、▲10

 

生産

 生産は、持ち直しの動きがみられる。

・供給制約等により、輸送機械は持ち直しに足踏みがみられる一方、生産用機械や電子部品・デバイスなどが緩やかに増加した。足下では、中国での

 活動制限を受け、国内の様々な業種において、部品・製品調達の遅れや生産活動の停滞が生じており、今後の影響を注視する必要がある。

 ・鉱工業生産指数は前月比で、1月▲2.4%2+2.0%3+0.3%4月(予測)+5.8%5月(予測)▲0.8%

 ・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、12月▲3.4%1+4.8%2月▲0.6%3+3.9%

 ・電子部品・デバイスは前月比で、12月▲3.0%1+10.4%2月▲0.7%3+2.0%

    ・輸送機械は前月比で、12+0.9%1月▲15.7%2+14.8%3月▲5.1%

     中国での活動制限に伴う調達や精算等への影響

      自動車…………中国のロックダウンに伴う部品調達難により、国内複数工場 の稼働を一時停止。

      半導体メーカー、製紙業者……中国の港湾の閉鎖に伴い部品を迂回ルートで調達。

    ・電機メーカー…洗濯機、炊飯器、電子レンジ等一部電化製品の新規受注を 停止。

    ・家電量販店……調理家電やエアコン等が一部品薄。

    ・家具小売店……棚やテーブル、ソファ等約40品目が販売停止。

    ・衣料販売店……婦人・紳士衣料品の納品に遅れ。

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・我が国の輸出は概ね横ばい。アメリカや欧州向けは、持ち直しの動きがみられる一方、アジアは中国向けの落ち込みにより弱含み。

 輸入は、中国の活動制限の影響などから弱含みとなっている。

○ 輸入は、このところ弱含んでいる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、12+0.7221月▲19.62月▲0.23+10.14+2.6

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、12月▲2.9221月▲7.82+1.93+5.74+0.2

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、一部地方で経済活動が抑制されており、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

先行きについては、持ち直しの動きが続くことが期待される。ただし、当面は一部地方での経済活動の抑制の影響が続くと見込まれる。

また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

   ・221-3月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+4.8%となった。

     ・消費はこのところ弱い動きとなっている。

     ・生産は、このところ伸びがやや低下している。

     ・輸出は緩やかに増加している。

     ・固定資産投資はこのところ伸びやや低下している。

     ・消費者物価上昇率はこのところ上昇している。

     ・製造業購買担当者指数(PMI)は低下している。

○ 韓国・インド・インドネシアでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融資本市場の変動の影響

や感染症による内外経済への影響等を注視する必要がある。

20221-3月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率▲1.4%

○ 雇用者数は増加、失業率は低下した。

 ・4月の失業率は3.6%となった。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は緩やかに持ち直し、自動車販売台数は持ち直しの動きがみられる。

○ 設備投資は緩やかに増加した。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

   ※FOMC5月会合(5/34 決定事項

 ○ 政策金利の誘導目標 範囲を0.50%ポイント 引上げる。

 ○ 6/1から、以下を毎月の削減上限として、 保有資産の削減を開始。

・米国債:300億ドル/

MBS175億ドル/

  削減開始から3か月後、 削減上限を以下のとおり 引上げ予定。

・米国債:600億ドル/

MBS350億ドル/

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は一部で厳しい状況が残る中で持ち直している。

イギリスは、景気は厳しい状況が緩和される中で、持ち直している。

   ・221-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.1%

   (イギリスは+3.0%、ドイツは+0.8%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+3.9%4月)、イギリス+6.1%4月)。

○ 輸出は、ユーロ圏・イギリスともにこのところ持ち直している。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ持ち直しの動きがみられる。

 

 

2022年

4月

21日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.4.21)

基調判断

〈現状〉

・景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が緩和される中   

 で、持ち直しの動きがみられる。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動が正常に

 向かう中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち

 直していくことが期待される。ただし、ウクライナ情勢等による

 不透明感がみられる中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動、

 供給面での制約等による下振れリスクに十分注意する必要がある。

 また、感染症による影響を注視する必要がある。

 

 

世界経済・ウクライナ情勢

世界の景気は持ち直している。IMF見通しでは、22年の世界全体の成長率は+3.6%と引き続きプラス成長だが、ウクライナ情勢による不透明感を

  背景にこれまでの見通しを下方修正している。

○ 国際商品市場における価格上昇等を背景に、先進国、新興国ともにインフレ率は一層上昇。欧米の消費者マインドはこのところ低下している。

○ 中国は、感染の早期抑え込みと減少を目指す「ダイナミックゼロ」の方針の下、一部都市で厳しい防疫措置を実施している。企業マインドの低下、消費の

  下押し等がみられており、動向に注視が必要である。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、このところ持ち直しの動きがみられる。

・外食や旅行等のサービス消費は、まん延防止等重点措置解除もあり、持ち直しの動きがみられる。消費金額を週次でみると、4月にかけて徐々に改善

 している。

・交通機関の利用実績は、3月は上昇し、GW期間の鉄道の予約状況も前年を上回る。

・一方、消費者マインドは、生活関連品目の価格上昇等を背景に、弱含んでおり、今後の消費に与える影響には注意が必要である。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、10+1.8%11+2.2%12+0.1%1月▲0.3%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、110.0%120.0%221月▲1.8%2月▲1.3%3月▲2.4%。 

       2月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.1%となった。

 

物価

○ 原油や穀物などの国際商品価格はウクライナ情勢を背景に引き続き高い水準で不安定な動きとなっている。国内企業物価は上昇が

   続いており、価格上昇品目にも広がりがみられる。

○ こうした中、販売価格を引き上げる動きもみられており、販売価格DIは1980年以来の高水準。ただし、仕入価格DIも引き続き

   上昇、価格転嫁の程度を表す疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)は悪化しており、企業収益への影響に注意が必要。

○ 消費者物価は、エネルギーや食料品価格の上昇を主因に、上昇率が高まっている。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、このところ弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、11月▲3.0%12月▲1.5%1月▲2.1%2+6.4%

・持家着工数は前月比で、11月▲3.9%12月▲3.3%1月▲7.1%2+2.6%

・貸家着工数は前月比で、11月▲6.1%12月▲0.2%1+5.0%2+1.3%

・分譲着工数は前月比で、11+2.6%12月▲1.5%1月▲4.8%2+17.7%

   公共投資は、このところ底堅い動きとなっている。

・請負金額は前月比で、10月▲3.4%(出来高▲1.0%)、11月▲0.3%(出来高▲1.0%)、12+0.4%(出来高▲3.2%)、221月▲2.4%(出来高▲2.0%)、

2+0.7%3+13.6             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、弱い動きとなっているものの、就業者数及び失業率は概ね横ばいで推移している。就業率は全体として横ばいであるが、2564歳の女性は

      上昇傾向にある。

     雇用の過不足感が、幅広い業種で不足超となる中で、ハローワークによるネット経由の日次有効求人件数は、前年比で増加が続いており、求人は持ち直し 

      の動きがみられる。

      2月の一人当たり賃金は、人手不足などを背景としたパートタイム労働者の所定内給与の増加などから、前年比プラス。2022年春季労使交渉について、

        連合の第4回回答集計では、賃上げ率2.11%(うちベアは0.62%)と昨年を上回る状況である。

  ・有効求人倍率は、101.15111.15121.1710.2021.21(正社員は0.93)となった。

・完全失業率は、92.8%102.7%112.8%122.7%12.8%22.7%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

   ・企業の景況感は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。日銀短観3月調査によると、前回12月調査から低下した。感染症の影響や原材料高を背景に、

        宿泊・飲食サービスをはじめ、多くの業種で低下している。

・先行きについても、ウクライナ情勢を背景に低下している。

     ・民間機関の調査によると、ロシア・ウクライナ情勢に対して、既に燃料価格の高騰等の影響が出ており、今後も幅広い業種でマイナスの影響が予想され

        ている。

    ・2022年度の経常利益は、2021年度と同程度の利益が見込まれているものの、一部の製造業では、前年度比マイナスの見込みとなっている。

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

     ・ 設備の過剰感は、日銀短観3月調査によると、製造業・非製造業ともに概ね解消している。2022年度の設備投資計画は、引き

      続き前年より増加し、特にソフトウェア投資が大きく増加する見込みとなっている。

   ただし、業種別にみると、運輸・郵便や卸・小売など非製造業の一部で前年度比マイナスとなっている。

     ・利益水準に比べて設備投資の水準が低い傾向が続いていたが、今後の利益改善が積極的な設備投資につながることを期待したい。

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

   ・ 倒産件数は、おおむね横ばいとなった。

   ・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20216+149+1812+1820223+146+9

    「大企業・非製造業」は、20216+19+212+920223+96+7

    「中小企業・製造業」は、20216月▲79月▲312月▲120223月▲46月▲5

    「中小企業・非製造業」は、20216月▲99月▲1012月▲420223月▲6、▲10

 

生産

 生産は、持ち直しの動きがみられる。

・生産用機械や電子部品・デバイスなどが緩やかに増加した。工作機械受注は、内外需ともに底堅い動きとなっている。

・鉱工業生産指数は前月比で、12月▲1.0%1月▲0.8%2+2.0%3月(予想)+3.6%3月(予測)+9.6%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、11+0.1%12月▲3.4%1+4.8%2月▲0.6%

・電子部品・デバイスは前月比で、11+3.1%12月▲3.0%1+10.4%2月▲0.7%

・輸送機械は前月比で、11+28.5%12+0.9%1月▲15.7%2+14.8%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・弱含んでいたアジア向けが、中国の生産活動の持ち直し等を背景に横ばいとなり、アメリカや欧州向けも横ばいとなっている。

 2月の輸出では、半導体製造装置などの一般機械やプラスチックなどの化学製品がプラスに寄与した。

○ 輸入は、おおむね横ばいとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、一部地方で経済活動が抑制されているものの、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、持ち直しの

   動きが続くことが期待される。

 ただし、当面は一部地方での経済活動の抑制の影響が続くと見込まれる。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

   ・221-13月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+4.8%となった。

・消費はこのところ伸びが低下している。

・生産は、このところ伸びがやや低下している。

・輸出は増加している。

・固定資産投資はこのところ伸びが上昇している。

・消費者物価上昇率はこのところやや上昇している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ低下している。

    

○ 韓国・インド・インドネシアでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。

202110-12月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+6.9%

○ 雇用者数は緩やかに増加、失業率は低下した。

 ・3月の失業率は3.6%となった。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は緩やかに持ち直し、自動車販売台数はこのところ減少している。

○ 設備投資は増勢が鈍化した。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏は、景気は一部で厳しい状況が残る中で、持ち直している。

   イギリスは、厳しい状況が緩和される中で、持ち直している。

   ・2110-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.0%

   (イギリスは+5.2%、ドイツは▲1.4%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+3.2%3月)、イギリス+5.7%3月)。

○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直している。イギリスでは持ち直している。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ持ち直しの動きがみられる。

 

 

2022年

3月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.3.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナウイルス

 感染症による厳しい状況が残る中で、一部に弱さがみられる。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動が正常に

 向かう中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち

 直していくことが期待される。ただし、ウクライナ情勢等による

 不透明感がみられる中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動、 

 供給面での制約等による下振れリスクに十分注意する必要がある。

 また、感染症による影響を注視する必要がある。

 

 

世界経済・ウクライナ情勢

ウクライナ情勢を受け、世界的に不確実性が上昇している。我が国の景気の先行きについても、商品市場、金融資本市場、貿易、世界経済の変動等を

  通じた影響に注視が必要である。

○ エネルギー・食糧等を始め商品価格は一層上昇、金融資本市場は不安定な動き。ロシアに対するエネルギー依存度は、欧州諸国で相対的に高い。

○ 欧米の先行き見通しは、物価上昇率は上方修正、成長率は下方修正だが、持ち直しが続く見込みとなっている。この下で、欧米で金融政策の正常化に

  向けた動きが進展している。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直しに足踏みがみられる。

・財消費は引き続き底堅い一方、3月21日までのまん延防止等重点措置の影響もあり、旅行や外食等のサービス消費は、2月後半も総じて弱めの動きが

 続く。

・週次の個人消費は、振れを伴いつつも、概ね平年水準(2017-19年)の下限程度で推移。

・消費者マインドは、まん延防止等重点措置の延長や原材料価格の上昇の影響への懸念等を背景に、小幅低下した。

・物価上昇の下で、賃上げが実現され、所得が増加し、それが消費に結び付くことが重要である。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、9月▲0.1%10+1.8%11+2.2%12+0.4%

      ・消費者態度指数(DI)は前月差で、10+1.4%110.0%12月▲0.1%221月▲2.4%、2月▲1.4%。 

     1月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.9%となった。

 

物価

○  国内企業物価は、このところ上昇している。消費者物価は、このところ緩やかに上昇している。

  なお、前年比の表示では、4月には昨年の携帯電話通信料引下げの効果が剥落し、数値はその分、増加する。

○ 原油価格の上昇を受け、ガソリンなどのエネルギー価格は上昇している。また、国際商品市況の上昇も背景に、4月以降も様々

  な品目で値上げを予定している

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、このところ弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、10+3.711月▲3.0%12月▲1.5%1月▲2.1%

・持家着工数は前月比で、10月▲0.2%11月▲3.9%12月▲3.3%1月▲7.1%

・貸家着工数は前月比で、10+2.7%11月▲6.1%12月▲0.2%1+5.0%

・分譲着工数は前月比で、10+10.1%11+2.6%12月▲1.5%1月▲4.8%

   公共投資は、高水準にあるものの、このところ弱含んでいる。

・請負金額は前月比で、9月▲3.3%(出来高▲2.6%)、10月▲3.4%(出来高▲1.0%)、11月▲0.3%(出来高▲1.0%)、12+0.4%(出来高▲3.2%)、

221月▲2.4%(出来高▲2.0%)、2+0.7%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、感染症の影響が残る中で、引き続き弱い動きとなっているものの、求人等に持ち直しの動きがみられる。

・雇用者数及び失業率は概ね横ばいで推移している。雇用調整助成金の週間支給金額は減少しているものの、引き続き雇用維持に寄与している。

・1月の一人当たり賃金は、前年比プラスとなっている。2022年春季労使交渉について、連合の第1回回答集計では、賃上げ率は2.14%(うちベアは

 0.5%)と昨年(1.81%)を上回る状況である。

   ・有効求人倍率は、91.16101.15111.15121.1710.20(正社員は0.91)となった。 

   ・完全失業率は、92.8%102.7%112.8%122.7%12.8%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

  ・20211012月期の経常利益は、経済社会活動の水準が引き上げられる中で、製造業・非製造業ともに増加し、総じて改善した。

      大中堅企業、中小企業とも本業の利益を示す営業利益が増加している。ただし、宿泊業の営業利益は引き続き赤字となるなど、非製造業の一部に弱さ

      がみられる。

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

   202110-12月期の設備投資は、製造業・非製造業ともに前期比プラスとなった。

    機械投資には持ち直しの動 きがみられ、先行指標も持ち直している。

   ・2022年度の設備投資の見通しは、前年度比8.2%増と高い伸びを維持している。ただし、キャッシュフローの 増加に比べて設備

  投資の伸びは緩やかとなっている。今般のエネルギー価格上昇等を踏まえると、脱炭素やエネル ギー効率上昇に向けた投資が一層

  重要である。

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

 ・  先行きは、原材料価格上昇、ウクライナ情勢による不透明感を背景に低下した。

・ 倒産件数は、おおむね横ばいとなった。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20213+56+149+1812+1820223+13

    「大企業・非製造業」は、20213月▲16+19+212+920223+8

    「中小企業・製造業」は、20213月▲136月▲79月▲312月▲120223月▲1

    「中小企業・非製造業」は、20213月▲116月▲99月▲1012月▲420223月▲6

 

生産

 生産は、持ち直しの動きとなっている。

・アジア向け輸出動向等を背景に、生産用機械や電子部品・デバイスなどが緩やかに増加。

・ウクライナ情勢については、民間機関の調査では、約6割の企業がマイナスの影響を与えると回答しており、今後の影響に注視が必要である。

・鉱工業生産指数は前月比で、11+7.0%12月▲1.0%1月▲0.8%2月(予想)+5.7%3月(予測)+0.1%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、10+4.2%11+0.1%12月▲3.4%1+4.8%

・電子部品・デバイスは前月比で、10月▲1.1%11+3.1%12月▲3.0%1+10.4%

   ・輸送機械は前月比で、10+17.4%11+28.5%12+0.9%1月▲15.7%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・弱含んでいたアジア向けが、中国の生産活動の持ち直し等を背景に横ばいとなり、アメリカや欧州向けも横ばいとなった。

○ 輸入は、おおむね横ばいとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

 ・現状・季節調整値DIは前月差で、10+13.411+0.812+0.7221月▲19.62月▲0.2

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに上昇した。

 ・先行き・季節調整値DIは前月差で、10+0.911月▲4.112月▲2.9221月▲7.82+1.9

 

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、一部地方で経済活動が抑制されているものの、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、持ち直しの動きが続くことが期待される。ただ

し、当面は一部地方での経済活動の抑制の影響が続くと見込まれる。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

   ・2110-12月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+4.0%となった。

・消費はこのところ伸びが低下している。

・生産は、このところ伸びが上昇している。

・輸出は増加している。

・固定資産投資はこのところ伸びが上昇している。

・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところおおむね横ばいとなっている。

    ※ 3511日に開催された全国人民代表大会で、2022年の主要目標や政策運営方針が示された。

        経済政策に関する主な点は以下のとおり。

      ・22年の実質経済成長率目標は5.5%前後(21年目標6%以上、実績8.1%)。 

      ・今年中国が直面するリスクや課題は著しく増加している。  

      ・穏健な金融政策の実施を強化:柔軟かつ適度にし、流動性に合理的なゆとりをもたせる。

        債務総額の対GDP比の基本的な安定を維持。

      ・不動産市場は合理的な住宅需要を満たすようサポートし、地価・住宅価格・ 市場期待を安定させる。

      ・積極的な財政政策の効果の向上を図り、より一層持続可能性を重視。

財政赤字(中央+地方)は、対GDP比2.8%前後(21年目標3.2%前後)。

地方特別債の発行枠は3.65兆元(21年と同規模、1元=約19円)。

減税措置の延長・付加価値税の還付等で約2.5兆元の企業負担を軽減20 と同規模)。 

      ・穏健な金融政策の実施を強化:柔軟かつ適度にし、流動性に合理的なゆとりをもたせる。

        債務総額の対GDP比の基本的な安定を維持。

 

      ・不動産市場は合理的な住宅需要を満たすようサポートし、地価・住宅価格・ 市場期待を安定させる。

○ 韓国・インド・インドネシアでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。

202110-12月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+7.0%

○ 雇用者数は緩やかに増加、失業率は低下した。

 ・2月の失業率は3.8%となった。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は緩やかに持ち直し、自動車販売台数は持ち直しの動きがみられる。

○ 設備投資は増勢が鈍化した。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏は、景気は一部で厳しい状況が残る中で、持ち直している。先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、ウクライナ情勢が

     経済活動に与える影響によっては、景気が下振れするリスクがある。また、金融資本市場の変動の影響や感染症による内外経済への影響等を注視する

     必要がある。

      イギリスは、厳しい状況が緩和される中で、持ち直している。先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融資本市場の変動の影響や

     感染症による内外経済への影響等を注視する必要がある。

   ・2110-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.0%(イギリスは+3.9%、ドイツは▲1.4%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+2.9%2月)、イギリス+5.1%2月)。

○ 輸出は、ユーロ圏・イギリスともにこのところ持ち直している。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ持ち直しの動きがみられる。

 

 

2022年

2月

17日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.2.17)

基調判断

〈現状〉

・景気は、持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナウイルス

 感染症による厳しい状況が残る中で、一部に弱さがみられる。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動を継続して

 いく中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち

 直していくことが期待される。ただし、感染拡大による影響や供給

 面での制約、原材料価格の動向による下振れリスクに十分注意する

 必要がある。

 また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

 

 

我が国の実質GDP成長率

○ 20211012月期の実質GDP成長率は、前期比1.3%と2四半期ぶりのプラスとなり、概ねコロナ前の水準まで回復。緊急事態宣言等の解除を受けた

  経済社会活動の段階的な引上げ、東南アジアでの感染拡大に伴う部品供給不足の緩和もあり、個人消費、輸出、設備投資がいずれもプラスに寄与した。

・特に、個人消費については、自動車等の耐久財や旅行・外食等のサービスが増加した。

○ 暦年でみると、2021年は前年比1.7%と3年ぶりのプラス成長となった。

 

世界経済

欧米主要国の211012月期の実質GDP成長率は、供給制約や感染拡大の影響もある中で、総じてプラス成長が続く。IMF見通しでは世界全体の22

  の成長率は∔4.4%と、景気は持ち直しが続く見込みである。

○ 昨年末以降、感染の急速な拡大・縮小が、欧米各国で時間差を伴ってみられたが、感染者数に比べ重症者数は抑制的、消費への影響も昨年対比では

  限定的となっている。一方、ウクライナ情勢をめぐる緊張がみられる中、エネルギーを中心とした商品市場や金融資本市場等の変動には注視が必要である。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直しに足踏みがみられる。消費者マインドは、まん延防止等重点措置の実施等により、大幅に低下した。感染拡大を受け、小売・娯楽

  施設の人流は、1月以降減少傾向にある。

・週次の個人消費は、昨年12月後半以降、平年水準(2017-19年)と同程度の水準で推移している。

・年末年始の売上高は、昨年より好調との声がある。

・外食や旅行のサービス消費は、引き続き持ち直しの動きとなっている。年末年始の交通機関の利用実績をみると、コロナ前(2019年度)を下回るものの、

 昨年を大きく上回る水準に回復している。

・年末年始の小売・娯楽施設の人流は昨年より増加した。医療提供体制の強化やワクチン接種の促進、治療薬の確保に万全を期し、経済社会活動を

極力継続できる環境を作っていくことが重要である。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、8月▲1.8%9月▲0.1%10+1.8%11+2.1%。 

・消費者態度指数(DI)は前月差で、9+1.1%10+1.4%110.0%12月▲0.1%221月▲2.4%。 

12月の実質総雇用者所得は、前期比で▲1.0%となった。

 

物価

 国内企業物価は、このところ緩やかに上昇している。消費者物価は、底堅さがみられる。

・原油価格は年初以降、再び上昇、国内ガソリン価格も1月第4週に170円超となるなど上昇した。

・国内企業物価は、原油・エネルギー関係品目を中心に、全体として上昇した。

・消費者物価について、生鮮食品・エネルギーを除いた「コアコア」で物価の基調をみると、底堅さがみられるが、「総合」でみると、エネルギー・資源

価格の上昇等を受けて、緩やかに上昇した。この下で、家計の電気、ガソリンなどエネルギー関連の支出増は、収入対比でみると、低所得層ほど大きい。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、このところ弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、9月▲1.2%10+3.711月▲3.0%12月▲1.5%

・持家着工数は前月比で、9+2.0%10月▲0.2%11月▲3.9%12月▲3.3%

・貸家着工数は前月比で、9+0.7%10+2.7%11月▲6.1%12月▲0.2%

・分譲着工数は前月比で、9月▲7.2%10+10.1%11+2.6%12月▲1.5%

   公共投資は、高水準にあるものの、このところ弱含んでいる。

・請負金額は前月比で、8+0.6%(出来高▲3.2%)、9月▲3.3%(出来高▲2.6%)、10月▲3.4%(出来高▲1.0%)、11月▲0.3%(出来高▲1.0%)、12+0.4%221月▲2.4%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、感染症の影響が残る中で、引き続き弱い動きとなっているものの、求人等に持ち直しの動きがみられる。

・雇用者数及び失業率は概ね横ばいで推移している。日次有効求人件数は引き続き改善傾向にある。

・新規求人数は、水準は低いものの、持ち直しの動きがみられる。一方、高齢層を中心に、非労働力人口は増加した。

202112月の賃金は、ボーナス(特別給与)の減少により、前年比マイナスとなった。なお、このところ前職と比べて賃金が1割以上増加した転職決定者

の割合は2期連続で上昇し、3割を超える。

・有効求人倍率は、81.1491.16101.15111.15121.16(正社員は0.86)となった。

・完全失業率は、82.8%92.8%102.7%112.8%122.7%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、持ち直している。

   ・経済社会活動の水準を引き上げる中で、1012月期の上場企業の経常利益は、製造業・非製造業ともに増加し、コロナ前の20191012月期を大きく上回る水準まで回復した。DX需要の取り込みや物流の活発化した、資材の取引価格上昇の影響などを受け、多くの業種で増加した。

       ・GDPベースでみた1012月期の設備投資は、プラスの伸びとなった。機械投資や構築物投資の

先行指標は、持ち直しの動きがみられる。また、デジタル化の対応もあり、ソフトウェア投資は10月以降、緩やかに増加している。

○ 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

   ・倒産件数は、おおむね横ばいとなった。

   ・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20213+56+149+1812+1820223+13

    「大企業・非製造業」は、20213月▲16+19+212+920223+8

    「中小企業・製造業」は、20213月▲136月▲79月▲312月▲120223月▲1

    「中小企業・非製造業」は、20213月▲116月▲99月▲1012月▲420223月▲6

 

生産

 生産は、持ち直しの動きとなっている。

・部品供給不足の緩和により、自動車等の輸送機械が持ち直し。生産用機械や電子部品・デバイスなどを中心に、先行きは増加が続く見込みとなっている。

 また、世界的に製品納期が長期化する中、我が国は、相対的に影響は小さいものの、供給面の制約には引き続き注視が必要である。

・鉱工業生産指数は前月比で、10+1.8%11+7.0%12月▲1.0%1月(予想)+5.2%2月(予想)+2.2%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、9月▲3.3%、10+4.2%11+0.1%12月▲3.4%

・電子部品・デバイスは前月比で、9月▲4.1%、10月▲1.1%11+3.1%12月▲3.0%

   ・輸送機械は前月比で、9月▲24.6%、10+17.4%11+28.5%12+0.9%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・中国を中心とするアジア向けが弱含む一方、アメリカや欧州向けは概ね横ばいとなっている。

品目別では、自動車関連財が持ち直す一方、資本財や情報関連財が鈍化した。

○ 輸入は、このところ弱含んでいる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、5か月ぶりに大きく下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、10+13.411+0.812+0.7221月▲19.6

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月連続で下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、9+12.910+0.911月▲4.112月▲2.9221月▲7.8

 

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気の回復テンポは、このところ鈍化している。

   ・2110-12月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+4.0%となった。

・消費はこのところ伸びが低下している。

・生産は、このところ伸びがおおむね横ばいとなっている。

・輸出は増加している。

・固定資産投資は伸びが低下している。

・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところおおむね横ばいとなっている。

○ 韓国・インド・インドネシアでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。

202110-12月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+6.9%

○ 雇用者数は緩やかに増加、失業率は低下した。

 ・1月の失業率は4.0%となった。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は持ち直しのテンポが緩やかになり、自動車販売台数は持ち直しの動きがみられる。

○ 設備投資はこのところ増勢が鈍化した。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏は、景気は一部で厳しい状況が残る中で、持ち直している。

イギリスは、厳しい状況が緩和される中で、持ち直している。

   ・2110-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.2%

   (イギリスは+3.9%、ドイツは▲2.9%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+2.5%1月)、イギリス+4.1%12月)。

○ 輸出は、ユーロ圏・イギリスともにこのところ持ち直している。

○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに横ばいとなっている。

 

 

2022年

1月

18日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.1.18)

基調判断

〈現状〉

・景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和

  される中で、このところ持ち直しの動きに弱さがみられる。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動を継続して

 いく中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの

   動きが続くことが期待される。ただし、感染症による影響や供給面

   での制約、原材料価格の動向による下振れリスクの高まりに十分注意

   する必要がある。

また、変異株をはじめ感染症による内外経済への影響や金融資本市場

変動等の影響を注視する必要がある。

 

 

世界経済

○  昨年末以降、欧米各国で感染の拡大が見られているが、感染者数の増加に比べ重症者数の増加は抑えられている。ワクチン接種の進展前の2020

    や2021年初とは異なり、経済社会活動の抑制は限定的とみられる。ただし、消費への影響も含め、今後の動向を注視していく必要がある。

○ 欧米では、景気の持ち直しが続く中で、物価の上昇や雇用情勢の改善が継続している。

○ 中国では、211012月期の実質GDP成長率が前年比+4.0%となった。政府の環境規制や不動産開発規制に加え感染拡大に伴う制限措置も実施

     されており、当面は回復の鈍さが続くことが見込まれる。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

・週次の個人消費は、昨年12月後半以降、平年水準(2017-19年)と同程度の水準で推移している。年末年始の売上高は、昨年より好調との声がある。

・外食や旅行のサービス消費は、引き続き持ち直しの動きとなっている。年末年始の交通機関の利用実績をみると、コロナ前(2019年度)を下回るものの、

  昨年を大きく上回る水準に回復している。

・年末年始の小売・娯楽施設の人流は昨年より増加した。医療提供体制の強化やワクチン接種の促進、治療薬の確保に万全を期し、経済社会活動を

極力継続できる環境を作っていくことが重要である。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、7+0.2%8月▲1.8%9月▲0.1%10+1.4%

      ・消費者態度指数(DI)は前月差で、8月▲0.8%9+1.1%10+1.4%110.0%12月▲0.1%。 

     11月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.8%となった。

 

物価

 国内企業物価は、このところ上昇テンポが鈍化している。消費者物価は、底堅さがみられる。

企業物価は、資源価格等の価格上昇鈍化を受け、このところ上昇テンポが鈍化した。

   消費者物価について、生鮮食品・エネルギーを除いた「コアコア」で物価の基調をみると、底堅さがみられるが、「総合」でみると、エネルギー・資源

  価格の上昇等を受けて、緩やかに上昇した。

・対人サービスは、財に比べて価格上昇テンポが緩やかとなっている。価格転嫁の程度を表す疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)をみると、

宿泊・飲食、運輸・郵便などのサービス業において特に悪化しており、価格転嫁の進展が重要となる。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、8月▲7.7%9月▲1.2%10+5.611月▲4.9%

・持家着工数は前月比で、8月▲3.5%9+2.0%10+2.1%11月▲6.2%

・貸家着工数は前月比で、8月▲7.5%9+0.7%10+1.5%11月▲7.1%

・分譲着工数は前月比で、8月▲13.3%9月▲7.2%10+16.0%11月▲0.3%

   公共投資は、高水準にあるものの、このところ弱含んでいる。

・請負金額は前月比で、7月▲11.0%(出来高+0.0%)、8+0.6%(出来高▲3.2%)、

9月▲3.3%(出来高▲2.6%)、10月▲3.4%(出来高▲1.0%)、11月▲0.3%12+0.4%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、弱い動きとなっているものの、求人等に持ち直しの動きがみられる。

   ・雇用者数及び失業率は概ね横ばいで推移している一方、日次有効求人件数は引き続き改善傾向となっている。

       ・高齢者の雇用機会の確保が進む中で、高齢者(65歳以上)の就業率は改善傾向で推移してきたが、感染拡大後は上昇テンポが鈍化。産業別の高齢者 

         の雇用者数をみると、宿泊・飲食や建設で減少する一方、医療・福祉や卸売・小売等で増加している。

  ・11月の賃金は、前年比横ばいとなった。パート・アルバイトの時給は、緊急事態宣言等が解除された10月以降、需要の急速な回復による人手不足など

    を背景に、一部の職種で大きく改善した

  ・有効求人倍率は、71.1581.1491.16101.15111.15(正社員は0.87)となった。

・完全失業率は、72.8%82.8%92.8%102.7%112.8%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、持ち直している。

    ・景気ウォッチャー調査の企業動向関連DIをみると、現状判断は、引き続き基準となる50を上回る。

   一方で、先行き判断は50を下回り、オミクロン株の感染拡大の ほか、原材料価格の上昇や半導体を含む品不足の動きへの警戒感等が示されている。

・設備投資について、2021年度の設備投資計画は引き続き前年より増加する見込みであり、特にソフトウェア投資は大きく増加する見込みとなっている。

・ソフトウェア投資が生産性を改善させる効果は、教育訓練投資に積極的な企業ほど大きい。デジタル 化の効果を最大化する観点からも、「人への投資」

  に官民を挙げて注力していく必要がある。

○ 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

・ 倒産件数は、資金繰り支援等もあり、おおむね横ばいとなった。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20213+56+149+1812+1820223+13

    「大企業・非製造業」は、20213月▲16+19+212+920223+8

    「中小企業・製造業」は、20213月▲136月▲79月▲312月▲120223月▲1

    「中小企業・非製造業」は、20213月▲116月▲99月▲1012月▲420223月▲6

 

生産

 生産は、持ち直しの動きとなっている。

・部品供給不足の緩和もあり、輸送機械が持ち直すとともに、その回復がプラスチック製品や鉄鋼・非鉄金属といった他産業にも波及し始めている。

・鉱工業生産指数は前月比で、9月▲5.4%10+1.8%11+7.2%12月(予想)+1.6%1月(予想)+5.0%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、8月▲3.2%9月▲3.3%、10+4.2%11+0.1%

・電子部品・デバイスは前月比で、8月▲2.9%9月▲4.1%、10月▲1.1%11+3.1%

   ・輸送機械は前月比で、8月▲12.5%9月▲24.6%、10+17.4%11+28.5%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・ 自動車関連財は持ち直す一方、資本財は増勢が鈍化した。情報関連財は概ね横ばいとなっている。

ただし、足下の情報関連財の輸出では、デジタル関連需要の拡大を受け、5G関連の基地局や携帯電話向けの通信機の部分品等が増加した。5G関連の

投資は世界的に一層の増加が見込まれている。

○ 輸入は、このところ弱含んでいる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、9+7.410+13.411+0.812+0.1

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、8月▲4.79+12.910+0.911月▲4.112月▲4.0

 

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気の回復テンポは、このところ鈍化している。

   ・217-9月期の実質GDP成長率は+4.9%となった。

・消費はこのところ伸びが低下している。

・生産は、このところ伸びがおおむね横ばいとなっている。

・輸出は増加している。

・固定資産投資は伸びが低下している。

・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きとなっている。

○ 韓国では、景気は持ち直しの動きが緩やかになっている。

○ インドでは、景気は持ち直している。

○ インドネシア・タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。

20217-9月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+2.3%

○ 雇用者数は緩やかに増加、失業率は低下した。

 ・12月の失業率は3.9%となった。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は持ち直し、自動車販売台数は下げ止まりの兆しがみられる。

○ 設備投資はこのところ増勢が鈍化した。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・イギリスともに、景気は厳しい状況が緩和される中で、持ち直している。

   ・217-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+9.1%

   (イギリスは+4.3%、ドイツは+7.0%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しており、イギリスは持ち直しているが、このところ一服感がみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+2.7%12月)、イギリス+3.9%11月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直しの動きがみられ、イギリスはこのところ持ち直している。

○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに横ばいとなっている。

 

 

2021年

12月

21日

月例経済報告

 

月例経済報告(R3.12.21)

基調判断

〈現状〉

・景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和

 される中で、このところ持ち直しの動きに弱さがみられる。

〈先行き〉              

・先行きについては、経済社会活動が正常化に向かう中で、各種政策の

効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待

される。ただし、供給面での制約や原材料価格の動向による下振れ

リスクの高まりに十分注意する必要がある。

また、変異株をはじめ感染症による内外経済への影響や金融資本市場

変動等の影響を注視する必要がある。

 

 

日本のGDP成長率

本年7-9月期の実質GDP成長率(2次速報)は、日本は前期比▲0.9%となった。

 

世界経済

世界の景気は持ち直しが継続している。OECD見通しによれば、2021年の世界全体の実質GDP水準は、コロナ前の2019年を超える見込みとなった。

○ 景気の持ち直しを背景に、欧米各国で物価が高まっている。アメリカでは、消費者の物価上昇予想(イ ンフレ期待)が高まり

 つつあり、今後の物価動向を引き続き注視していく必要がある。

○ 中国では、環境規制や不動産開発規制等を背景に生産が低調、感染拡大に伴う断続的な制限措置実施等により消費の伸びが低下した。景気の回復

  テンポが鈍化している。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、一部に弱さが残るものの、持ち直しの動きがみられる。

○ 個人消費を週次データでみると、11月後半以降、平年水準(2017-19年)の幅を上回る水準で推移している。カード支出に基づく消費動向をみると、

持ち直しの動きが娯楽関連にも広がっている。

・供給面の影響がみられていた新車販売は、持ち直しの動きとなっている。

・外食や旅行のサービス消費も、緊急事態宣言解除等により持ち直しの動きとなった。ただし、宿泊動向をみると、居住地から近隣県への宿泊が中心と

 なる傾向にある。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、6+2.5%7+0.2%8月▲1.8%9月▲0.1%

       ・消費者態度指数(DI)は前月差で、7+0.1%8月▲0.8%9+1.1%10+1.4%110.0%。 

      10月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.3%となった。

 

物価

 国内企業物価は、上昇している。消費者物価は、底堅さがみられる。

企業物価を需要段階別にみると、「素原材料」や「中間財」は国際市況を受けて大きく上昇しているが、最終財への価格転嫁は限定的となっている。

こうした中、製造業において、仕入価格DIは足下で大きく上昇しているものの、販売価格DIの上昇は限定的となった。価格転嫁の程度を表す疑似交易

条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)は、中小企業において一層の悪化がみられており、中小企業収益にマイナスの影響も懸念される。

       ・ 消費者物価について、生鮮食品・エネルギーを除いた「コアコア」で物価の基調をみると、底堅さがみられる。一方、「総合」でみると、緩やかに上昇

        した。生活実感に近い、食料品などの購入頻度が高い品目の価格上昇が多くなっている。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。 

・持家は持ち直している。一方、分譲住宅については、販売価格が上昇する中で新規発売物件の成約率(契約率)は好調を維持するなど、マンションへ

  の需要は底堅いものの、足下の着工は用地不足の影響もあって、弱含みとなっている。

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、7+6.9%8月▲7.7%9月▲1.2%10+5.6

・持家着工数は前月比で、7+8.0%8月▲3.5%9+2.0%10+2.1%

・貸家着工数は前月比で、7+1.4%8月▲7.5%9+0.7%10+1.5%

・分譲着工数は前月比で、7+14.2%8月▲13.3%9月▲7.2%10+16.6%

   公共投資は、高水準にあるものの、このところ弱含んである。

・請負金額は前月比で、6月▲1.6%(出来高+1.2%)、7月▲11.0%(出来高+0.0%)、8+0.6%(出来高▲3.2%)、9月▲7.0%(出来高▲2.6%)、10月▲5.2%(出来高▲1.0%)。             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、感染症の影響が残る中で、弱い動きとなっているものの、求人等に持ち直しの動きがみられる。

  ・雇用の過不足感が、宿泊・飲食サービス業を含めて不足超となる中で、ハローワークによるネット経由の日次有効求人件数は、12月に入っても改善して

     いる。

10月の雇用者数は横ばいで推移している。失業率は2.7%と底堅い動きとなっているものの、コロナ前の2019年同期と比較して、

男性を中心に追加就労希望就業者数が増加している。

   10月の賃金は、引き続き前年比プラスで推移した。これまでの企業収益の改善もあり、冬のボーナスは増加に転じる動きがある。

  ・有効求人倍率は、61.1371.1581.1491.16101.15(正社員は0.89)となった。

・完全失業率は、62.9%72.8%82.8%92.8%102.7%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、持ち直している。

○ 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。 

  ・ 2021年度の設備投資計画は、引き続き前年より増加する見込みであるものの、7-9月期は、供給面での制約や緊急事態宣言等の影響もあり、前期比

    マイナスとなった。特にソフトウェア投資は、感染拡大による商談延期や長期化により大きく減少した。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

  ・ 経常利益の動向をみると、7-9月期については、半導体不足等の供給面での制約や緊急事態宣言等の影響もあって減少したものの、全体ではコロナ前

    の水準を上回っており、持ち直している。ただし、非製造業の中でも、飲食サービス業、生活関連サービス業、宿泊業の収益は依然として厳しい。  

  ・ 企業の景況感は、持ち直しの動きがみられる。日銀短観12月調査によると、非製造業を中心に前回9月調査から改善した。緊急事態宣言等の解除に

    伴う経済社会活動の段階的引上げ等の影響もあり、宿泊・飲食サービスや対個人サービス等が大きく改善した。

  ・ 倒産件数は、資金繰り支援等もあり、おおむね横ばいとなった。

  ・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20213+56+149+1812+1820223+13

    「大企業・非製造業」は、20213月▲16+19+212+920223+8

    「中小企業・製造業」は、20213月▲136月▲79月▲312月▲120223月▲1

    「中小企業・非製造業」は、20213月▲116月▲99月▲1012月▲420223月▲6

 

生産

 生産は、持ち直しに足踏みがみられる。

・自動車の供給制約の緩和もあり、輸送機械が持ち直す一方、中国をはじめとするスマホ等の生産減少の影響を受け、電子部品・デバイスは横ばいとなって

 いる。ただし、世界の半導体の需要見通しは、2021年・2022年ともに上方修正され、2022年は一層の増加が見込まれているなど、半導体製品に対する強い

 需要は今後も続く見込みである。

・鉱工業生産指数は前月比で、8月▲3.6%9月▲5.4%10+1.8%11月(予想)+9.0%12月(予想)+2.1%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、7+1.6%8月▲3.2%9月▲3.3%、10+4.2%

・電子部品・デバイスは前月比で、7+0.9%8月▲2.9%9月▲4.1%、10月▲1.1%

   ・輸送機械は前月比で、7月▲3.8%8月▲12.5%9月▲24.6%、10+17.4%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・ 中国経済の回復鈍化等によりアジア向けが弱含みとなる中、足下では、自動車関連財や資本財が増加に寄与した。

○ 輸入は、このところ弱含んでいる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、8月▲13.79+7.410+13.411+0.8

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月ぶりに下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、8月▲4.79+12.910+0.911月▲4.1

 

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気の回復テンポは、このところ鈍化している。

   ・217-9月期の実質GDP成長率は+4.9%となった。

・消費はこのところ伸びが低下している。

・生産は、このところ伸びがおおむね横ばいとなっている。

・輸出は増加している。

・固定資産投資は伸びが低下している。

・消費者物価上昇率はこのところ高まっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)は低下した。

○ 韓国では、景気は持ち直しの動きが緩やかになっている。

○ インドでは、景気は持ち直している。

○ インドネシア・タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。

20217-9月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+2.1%

○ 雇用者数は緩やかに増加、失業率は低下した。

 ・11月の失業率は4.2%となった。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は持ち直し、自動車販売台数は下げ止まりの兆しがみられる。

○ 設備投資はこのところ増勢が鈍化した。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・イギリスともに、厳しい状況が緩和される中で、持ち直している。

   ・217-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+9.1%

   (イギリスは+5.1%、ドイツは+7.0%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しており、イギリスは持ち直しているが、このところ一服感がみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+2.6%11月)、イギリス+3.9%11月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直しの動きがみられ、イギリスはこのところ弱い動きとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに横ばいとなっている。

 

 

2021年

11月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R3.11.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和

 されつつあるものの、引き続き持ち直しの動きに弱さがみられる。

〈先行き〉              

・先行きについては、経済社会活動が正常化に向かう中で、各種政策の

効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待

される。ただし、供給面での制約や原材料価格の動向による下振れ

リスクの高まりに十分注意する必要がある。

また、感染症による内外経済への影響や金融資本市場の変動等の影響

を注視する必要がある。

 

 

日本のGDP成長率

本年7-9月期の実質GDP成長率は、欧米が前期比プラスとなる中で、日本は前期比▲0.8%と2期ぶりのマイナスとなった。

・9月までの緊急事態宣言等に加え、半導体不足や東南アジアでの感染拡大に伴う部品供給不足が影響し、個人消費、設備投資、輸出はいずれも

 前期比マイナス。

○ 緊急事態宣言等の解除や経済対策の効果などを背景に、今後は我が国もプラス成長となることが期待される

 

世界経済

欧米の7-9月期の実質GDPは、プラス成長が継続している。欧州では、夏までに移動制限の緩和が行われたこともあり、旅行等のサービス消費が増加

  した。欧米ともに、雇用環境の改善、物価の上昇がみられる。

○ 欧米を中心に世界的に景気が持ち直し、世界貿易が高水準で推移する中で、物流面において、輸送期間の長期化や価格上昇がみられる。

  また、中国では、環境規制や不動産開発規制等を背景に、生産の伸びが低下している。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、一部に弱さが残るものの、持ち直しの動きがみられる。

○ 10月後半以降の消費を週次データでみると、平年水準(2017-19年)の幅と比較して、緩やかながら回復に向かう動きがみられる。

・新車販売は、供給面の影響により減少。一方、宿泊施設稼働率は10月以降、上昇が続く。外食や娯楽関連の支出に持ち直しの動きがみられる。

・個人消費については、自動車等の耐久財や衣服等の半耐久財がマイナスに寄与した。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、5月▲2.8%6+2.5%7+0.2%8月▲2.0%

      ・消費者態度指数(DI)は前月差で、6+3.3%7+0.1%8月▲0.8%9+1.1%10+1.4%。 

     9月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.3%となった。

 

物価

 国内企業物価は、上昇している。消費者物価は、底堅さがみられる。

 

ガソリンや鋼材等の国内の商品市況は、国際的な資源価格の高騰等を背景に上昇傾向。国内企業物価をみても、原油・エネルギー関係品目や鉄鋼・  

  非鉄金属価格の上昇により、全体として上昇。

   ・消費者物価について、生鮮食品・エネルギーを除いたコアコアで物価の基調をみると、底堅さがみられる。一方、生活実感を表す総合でみると、資源

    価格の上昇等を背景に緩やかに上昇しており、今後電気代も上昇する見込み。物価上昇による家計への影響には注意が必要である。

  

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、このところ持ち直しの動きとなっている 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、6月▲1.0%7+6.9%8月▲7.7%9月▲1.2%

・持家着工数は前月比で、6月▲0.2%7+8.0%8月▲3.5%9+2.0%

・貸家着工数は前月比で、6+4.8%7+1.4%8月▲7.5%9+0.7%

・分譲着工数は前月比で、6月▲7.9%7+14.2%8月▲13.3%9月▲7.2%

   公共投資は、高水準にあるものの、このところ弱含んである。

・請負金額は前月比で、5+15.0%(出来高▲1.4%)、6月▲1.6%(出来高+1.2%)、7月▲11.0%(出来高+0.0%)、8+0.6%(出来高▲3.2%)、9月▲7.0%(出来高▲6.9%)、10月▲5.2%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、感染症の影響が残る中で、弱い動きとなっているものの、求人等の動きに底堅さもみられる。

  ・雇用状況は、弱さが続く中、9月の雇用者数は横ばいで推移している。

 7-9月期の女性の非正規雇用者は、2019年同期比で70万人減少する一方で、正規雇用者は同66万人増加した。

 失業率は2.8%と底堅い動きとなっているものの、男性を中心に1年以上の長期失業者が増加した。

  ・ハローワークによるネット経由の日次有効求人件数は、2019年同月比で水準は低いものの、11月に入っても持ち直しの動きが

  続く。

 ・9月の賃金は、引き続き前年比プラスで推移。実質総雇用者所得は、概ねコロナ前の水準を回復した。

  ・有効求人倍率は、51.0961.1371.1581.1491.16(正社員は0.91)となった。

・完全失業率は、53.0%62.9%72.8%82.8%92.8%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、持ち直している。

○ 設備投資は、持ち直している。

○ 業況判断は、一部に厳しさは残るものの、持ち直しの動きがみられる。

・ 7-9月期の上場企業の経常利益は、製造業・非製造業ともに前年比で大幅増となった。

・ 中小企業の10月の利益動向をみると、利益額DIは悪化した。

資源価格の上昇に伴い、仕入価格DIが上昇しており、価格転嫁の程度を表す疑似交易条件は本年夏以降、悪化傾向にあること等が背景にある。

・ 倒産件数は、資金繰り支援等もあり、月500件程度の水準と概ね横ばいとなった一方、休廃業・解散件数は、1~9月の累計でみると、前年と概ね同水準

  となる中で、観光関連業等では、前年より増加した。

・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、202012月▲1020213+56+149+1812+14

    「大企業・非製造業」は202012月▲520213月▲16+19+2123

    「中小企業・製造業」は、202012月▲2720213月▲136月▲79月▲312月▲4

    「中小企業・非製造業」は、202012月▲1220213月▲116月▲99月▲1012月▲13

 

生産

 生産は、持ち直しに足踏みがみられる。

・9月までの製造業の生産をみると、自動車の減産に加え、中国経済の回復鈍化等から、生産用機械は

増勢鈍化となった。その背景の一つとして、マシニングセンタ等の工作機械受注は、内需が底堅い一方で、アジア向けの外需には足踏み感がみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、7月▲1.5%8月▲3.6%9月▲5.4%10月(予想)+6.4%11月(予想)+5.7%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、6+10.3%7+1.6%8月▲3.2%9月▲3.3%。

・電子部品・デバイスは前月比で、6+3.9%7+0.9%8月▲2.9%9月▲4.1%。

   ・輸送機械は前月比で、6+17.6%7月▲3.8%8月▲12.5%9月▲24.6%。

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・ 中国経済の回復鈍化等により、アジア向けが弱含みとなった。また、供給制約による減産を受け、自動車関連財が減少した。

○ 輸入は、このところ弱含んでいる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 消費者マインドを景気ウォッチャー調査の家計動向関連DIでみると、感染者数の減少や緊急事態宣言解除等により、大きく上昇し、消費者マインドは、

  持ち直しの動きがみられる。

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、7+0.88月▲13.79+7.410+13.4

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、7月▲4.08月▲4.79+12.910+0.9%

 

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気の回復テンポは、このところ鈍化している。

   ・217-9月期の実質GDP成長率は+4.9%となった。

・消費はこのところ伸びがおおむね横ばいとなっている。

・生産は、伸びがやや低下している。

・輸出は着実に増加している。

・固定資産投資は伸びがやや低下している。

・消費者物価上昇率はこのところやや高まっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)は低下した。

○ 韓国では、景気は持ち直しの動きが緩やかになっている。

○ インド・インドネシア・タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。

20217-9月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+2.0%

○ 雇用者数は緩やかに増加、失業率は低下した。

 ・10月の失業率は4.6%となった。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は持ち直し、自動車販売台数は下げ止まりの兆しがみられる。

○ 設備投資はこのところ増勢が鈍化した。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・イギリスともに、厳しい状況が緩和される中で、持ち直している。

   ・217-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+9.3%

   (イギリスは+5.1%、ドイツは+7.3%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しており、イギリスは持ち直しているが、このところ一服感がみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+2.1%10月)、イギリス+3.2%10月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱い動きとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに横ばいとなっている。

 

 

2024年

4月

23日

月例経済報告

 

月例経済報告(R6.4.23)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の

 効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、

 世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外

 景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。

 また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の

 影響に十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震

 経済に与える影響に十分留意する必要がある。

 

 

世界の経済情勢

○  世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

  先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めや中国における不動産市場の停滞に伴う 影響

  による下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域 をめぐる情勢、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。

 

GDP速報

   202310-12月期(2次速報)のGDP成長率は、実質では前期比+0.1%(年率+0.4%)となった。

 

令和6年能登半島地震の影響

○ 令和6年能登半島地震では、1.12.6兆円程度のストック毀損が生じたことに加え、石川県・富山県・新潟県の3県で1-3月期に

  1,000億円程度の直接的なGDPの損失があったと試算される。

○ 3月16日に延伸した北陸新幹線(金沢~敦賀間)は、開業1か月で72万人(1日平均2.3万人)が利用、北陸応援割をはじめと

  する政策効果も相まって、北陸経済の活性化に寄与した。

  「景気ウォッチャー調査」の北陸地域の現状・先行き判断DIは2月以降50を超える水準に回復した。

  引き続き、復旧・復興支援を切れ目なく進めていくことが必要である。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直しに足踏みがみられる。

個人消費は、名目では過去最高水準に拡大する一方、実質では力強さを欠く。

 実質の耐久財消費は相対的に堅調な一方、非耐久財消費は長期的に緩やかな減少傾向となっている。

 サービス消費も、実質ではコロナ禍前を下回る。

・足下の小売販売は、一部自動車メーカーの出荷停止の影響で自動車は減少する一方、百貨店等が増加した。

 かばん・アクセサリー等の高額品が増加しており、インバウンド増加の影響のほか、株価上昇の影響もあり日本人の消費も

 増加した。

外食売上高はコロナ禍前のトレンドを超えて増加している一方、客数の回復は途上にある。消費に占める60歳以上世帯のシェ

 は4割超まで拡大した。外食支出の小さい高齢世帯の増加、コロナ禍後の高齢者の外出回復の遅れも影響している可能性がある。

大型連休の旅行者数は、国内はほぼコロナ禍前水準に戻り、海外も持ち直す見込みとなっている。そのほか、ライブやテーマ

 パーク、 スポーツ観戦は、売上高・人数ともに挽回消費の動き。学習塾は、少子化の中でも受講生数、売上高ともに底堅い動き

 となっている。

実質総消費動向指数は、前期比で、11月▲0.2%、12月▲0.3%10.0%2+0.2%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、11+0.4%12+0.9%1+0.8%2+0.9%3+0.5%。 

  ・2月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.5%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、横ばいとなっている。輸入物価は、おおむね横ばいとなっている。

消費者物価は、このところ緩やかに上昇している。

消費者物価は、前年比2%台で、引き続き緩やかに上昇した。4月には、食料品や日用品等で値上げが実施されているが、POS

 データ(レジから収集される顧客の消費行動をデータ化したもの。販売実績のデータでみると、全体として食料品価格等の前年比は、現時点では、

 引き続き縮小傾向で推移している。

・中東情勢が不安定化する中、原油価格は再び上昇しており、輸入物価を通じた影響に留意が必要である。

・サービスの物価上昇率は、0%の割合が縮小、プラスの割合が増加し、1980年代の姿に近づいている。企業の中期的な予想

 物価上昇率は、ここ2年程度は2%程度の安定的な水準にレベルシフトした状態が継続している。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、11月▲2.0%12+3.1%1月▲1.5%2月▲0.9%

・持家着工数は前月比で、11+1.7%12+1.7%1+0.4%2+7.1%

・貸家着工数は前月比で、11月▲2.7%12+0.6%1+5.0%2月▲1.0

・分譲着工数は前月比で、11月▲4.8%12+9.1%1月▲11.0%2月▲9.3%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、10月▲3.3%(出来高▲0.3%)、11+4.3%(出来高▲0.6%)、12+5.7%(出来高+0.9%)、1月▲4.5%

 (出来高+2.6%)、2+21.7%3月▲10.1%             

 

雇用・賃金の動向

   2024年の春闘(第4回集計)の賃上げ率は、引き続き定昇込みで5%超、ベアで3%台半ばと、33年ぶりの高水準となった。

   定昇込みの賃上げ率の分布は、昨年は3%強に山があったのに対して、今年は5%強にシフト。ベアの分布は、昨年は2%弱に

  山があったのに対して、今年は3%台半ばにシフトしており、より多くの企業で高い賃上げ率が実現している。

   昨年2023年の賃上げ率は、若年層、特に高校卒で男女ともに高めだった一方、大学卒は男女ともに中年層で低い傾向と

  なった。 また女性の賃金は、男性に比べ、水準が低く、年齢を重ねても上昇幅が小さい。

    産業別にみると、昨年は、男女とも、人手不足感の高い建設業等で高い賃上げ率となった一方、医療、福祉など公定価格

   部門で は横ばいとなった。本年は、診療報酬改定等における加算措置等により、同分野の高い賃上げに期待される。

)診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬の同時改定において、賃上げに必要な改定率として、医療では+0.88%、介護では+1.59

(処遇改善加算の一本化による賃上げ効果等も含め ると、2.04%)、障害福祉では+1.12%(同1.5%を上回る水準)を確保。賃上げ促進税制の

 活用を組み合わせることにより、2024年度に+2.5%、25年度+2.0%のベアの実現が期待される。

○ 2024年の賃上げの流れを広げるため、適切な価格転嫁や省力化投資の継続、賃金の高い分野への労働移動の後押し、大卒中年

    層を含む全世代リ・スキリングが重要となる。

○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。

 ・就業者数は、最近、中高年を中心に増加傾向にある。長期的にみると、中高年の労働参加率は男女ともに上昇した。

 ・日本人の寿命の最頻値は、男性88歳、女性93歳と長く、男性の4分の1、女性の半分が90歳以上まで生きる状況であり、意欲ある

   高齢者が長く活躍できる環境をつくることが重要となる。

 ・主要先進国間で比較すると、日本の高齢者の労働参加率は高く、伸びも大きい。

 ・有効求人倍率は、111.28121.2711.271.26(正社員は1.01)となった。

 ・完全失業率は、102.5%112.5%122.5%12.422.6となった。

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

 ・設備投資のうち、商用車や船舶等の輸送用機械は約6%である。トラックやバンなど貨物車の新車登録台数は、一部自動車メーカー

  の生産・出荷停止の影響で、小型と軽を中心に大幅減となった。241-3月期の設備投資への一時的な影響に注意が必要である。

 ・企業の設備投資は、2023年度は実績見込みで前年度比プラス10.2%2024年度は3月時点の計画としては1990年度以来の伸びとなる

   など、企業の投資意欲には力強さがある。ただし、中小企業では、非製造業で2023年度の実績見込みが23%と高い伸びとなった

   一方、製造業では一部自動車メーカーの生産停止の影響もあって投資先送りの動きもあるなど、ばらつきもある。

○ 業況判断は、改善している。ただし、製造業の一部では、一部自動車メーカーの生産・出荷停止による影響がみられる。

 ・  企業の業況は、売上の約7割を占める非製造業で、バブル期以降の最高水準となった。建設業は過去10年程度、業況が「良い」と

   答える企業が、「悪い」と答える企業を上回る。運輸業では近年、「良い」が増加の一方、「悪い」が減少傾向となっている。

 ・  倒産件数は、増加がみられる。

 ・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20236+59+912+1220243+116+10

  「大企業・非製造業」は、20236+239+2712+3020243+346+27

  「中小企業・製造業」は、20236月▲59月▲512+120243月▲16+0

  「中小企業・非製造業」は、20236+119+1212+1420243+136+8

 

生産

 生産は、持ち直しに向かっていたものの、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響により、このところ生産活動が低下している。

  ・製造業では、一部の業種に、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響がみられる。ただし、3月以降、輸送機械の生産は、

    これらのメーカーの生産再開に伴い、徐々に持ち直す見込みとなっている。

  ・鉱工業生産指数は前月比で、12+1.2%1月▲6.7%2月▲0.6%3月(予測)+4.9%4月(予測)+3.3%

  ・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、11+1.6%12+4.4%1月▲6.1%2月▲3.2%

  ・電子部品・デバイスは前月比で、11月▲0.9%12+2.0%1月▲4.0%2+0.2%

  ・輸送機械は前月比で、11月▲1.6%12+2.0%1月▲9.9%2月▲11.5%

 

外需

○ 輸出はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。輸入はこのところ弱含んでいる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

   ○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2月ぶりに下降した

・現状・季節調整値DIは前月差で、12+1.01月▲1.62+1.13月▲1.5

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、5か月ぶりに月下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、12+0.11+2.12+0.53月▲1.8%

  

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は政策効果により持ち直しの兆しがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうこと

      が期待される。ただし、不動産市場の停滞や物価の下落が続くことによる影響等に留意する必要がある。

・中国の20241-3月期の実質GDP成長率は5.3%(前期比年率+6.6%)。政策効果により、自動車販売やインフラ投資が増加

  した。景況感にも改善がみられる。

・一方、不動産市場の停滞は、企業・家計の資金需要や銀行の融資姿勢に影響し、足下で新規貸出は低調となっている。また

  消費者物価は4四半期連続ゼロ近傍、GDPデフレーターはマイナスが継続している。物価の下落が続くことによる影響に

  留意が必要である。

・消費は持ち直しに足踏みがみられる。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・財輸出はおおむね横ばいとなっている。

・固定資産投資は伸びが上昇した。

・新築住宅販売価格は下落している。

・消費者物価は下落した。

・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きがみられる。

○ 韓国では、景気は持ち直しの動きがみられる。

○ インドでは、景気は回復している。

  ・乗用車販売台数が伸びるなど、内需にけん引されて8%台の成長が続いている。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾・タイでは、景気は持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は拡大している。 先行きについては、拡大が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による

    下振れリスクに留意する必要がある。

202310-12月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+3.4%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

3月の失業率は3.8%となった。

○ 設備投資は緩やかに増加している。

○ 消費は増加、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 生産はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工数はおおむね横ばい・住宅価格は上昇している。

○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気は弱含んでいる。

 ・2310-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.2% (イギリスは▲1.2%、ドイツは▲1.1%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスは弱い動きとなっている。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+3.1%3月)、イギリス+4.6%3月)。

○ 財輸出は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。イギリスのサービス輸出はおおむね横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。

2024年

3月

22日

月例経済報告

 

月例経済報告(R6.3.22)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の

 効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、

 世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外

 景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。

 また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等

 の影響に十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震

 の経済に与える影響に十分留意する必要がある。

 

 

世界の経済情勢

○  世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

  先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めや中国における不動産市場の停滞に伴う

  影響による下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域 をめぐる情勢、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。

 

GDP速報

   202310-12月期(2次速報)のGDP成長率は、実質では前期比+0.1%(年率+0.4%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直しに足踏みがみられる。

新車販売(消費に占める輸送機械の割合は2.6%)は、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響により、このところ弱い動きと

 なっている。

・国内旅行消費については、宿泊施設の稼働率は、コロナ禍の落ち込みから回復した。一方、宿泊業の就業者数はコロナ禍前に

 戻っておらず供給制約。こうした中で、客室単価は上昇する一方、日本人宿泊者数はこのところ横ばいとなっている。

 ・消費者のマインドや資産価値(株式等)に関する見方は改善が継続している。

 ・実質総消費動向指数は、前期比で、100.0%11月▲0.2%、12月▲0.3%1月▲0.2%

   ・消費者態度指数(DI)は前月差で、10+0.5%11+0.4%12+1.1%1+0.8%2+1.1%。 

   ・1月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.1%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、横ばいとなっている。輸入物価は、おおむね横ばいとなっている。

  消費者物価は、このところ緩やかに上昇している。

消費者物価の前年比は、昨年秋以降2%台で推移。なお、資源価格が落ち着く下で、電気・ガスの激変緩和事業の開始から1年

  が経過し、押下げ効果が薄まったことから、2月は上昇幅が拡大。一方、食料品は、値上げの一服から、引き続き上昇幅が緩やか

  になった。

・デフレに陥る前の1990年代前半以前は、サービスの物価上昇率は2%前後で推移している。足下では、財の物価上昇が落ち着く一方

  で、一般サービスの上昇率が徐々に高まり、財の上昇率と同水準となった。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は弱含んでいる。 

・住宅の新設着工戸数は、持家を中心に弱含みが続く。長期的にみると、1960年代後半に住宅戸数(ストック)が世帯数を上回り、

  持家など戸建の住宅を中心に、新規着工戸数は減少トレンドにある。

・世帯構造の変化をみると、単身世帯等の割合が増加する一方で、夫婦と子供のいる世帯や三世代同居世帯など戸建住宅の需要層と

  考えられる世帯の割合が減少した。

・建築費の高止まりの中で、戸建住宅の新設着工が減少する一方で、中古住宅の販売量は増加傾向にある。リフォーム促進等を

  通じた中古住宅流通市場の拡大も重要となっている。

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、10+0.1%11月▲2.0%12+3.1%1月▲1.5%

・持家着工数は前月比で、10月▲6.6%11+1.7%12+1.7%1+0.4%

・貸家着工数は前月比で、10+0.9%11月▲2.7%12+0.6%1+5.0%

・分譲着工数は前月比で、10+5.0%11月▲4.8%12+9.1%1月▲11.0%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、9+8.5%(出来高+0.7%)、10月▲3.3%(出来高▲0.3%)、11+4.3%(出来高▲0.6%)、12+5.7%

(出来高+0.9%)、1月▲4.5%(出来高+2.6%)、2+21.7%             

 

雇用・賃金の動向

    2024年春闘(第1回集計)の賃上げ率は、定昇込みで5.28%、ベアで3.7%と、30年ぶりとなった

昨年を大きく上回った。

   ベアは、中小企業でも3%近い伸びとなり、組合計のベースアップ額は、平均月1万円を超える水準となった。

   賃金の改定は、昨年のパターンでは、5月頃から夏場にかけて実際の賃金支払に徐々に反映されている。現在、一般労働者の

    所定内給与の伸びは前年比1%台半ばだが、今後高まっていくことが見込まれる。

   昨年、3%以上の賃上げを行った中小企業は6割弱、うち価格転嫁ができた企業では7割強となっている。すそ野の広い賃上げの

    実現のためには、重層的取引の先端に至るまでサプライチェーン全体での適切な労務費の価格転嫁と製品価格の設定が重要となる。

○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。

    ・有効求人倍率は、101.30111.28121.2711.27(正社員は1.00)となった。

   ・完全失業率は、92.6%102.5%112.5%122.5%12.4となった。

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

  ・昨年10-12月期の企業収益は、経常利益・営業利益ともに10-12月期として過去最高となるなど、総じて改善が継続している。

   他方、1月の生産活動は、一部自動車メーカーの生産停止により低下した。輸送機械では2月も減少が続く見込みとなっている。

・自動車産業は裾野が広く、関連品目の生産も低下した。また、半導体品目の一部では、令和6年能登半島地震の影響もみられる。

・こうした中、1-3月期の大企業の景況感は、製造業で大きくマイナスとなった。ただし、4-6月期以降の先行きは改善した。

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

 ・202310-12月期の設備投資は、実質前期比プラス2.0%と上方改定、名目金額(年率換算)は1991年以来初めて100兆円を超えた。

  半導体や自動車関連で生産能力強化のための工場新設等の投資が実行され始め、契約金等の支払が進んでいる結果とみられる。

 ・他方、企業の高い投資計画に比べ、実際の投資の伸びは依然、例年より弱く、引き続き供給制約等の影響に留意が必要となる。

2024年度の投資計画(215日時点調査)は、2023年度の高い実績見込み(9.3%)の後、前年度比7.5%の強い伸びとなっている。

○ 業況判断は、改善している。

  倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20233+16+59+912+1220243+8

  「大企業・非製造業」は、20233+206+239+2712+3020243+24

  「中小企業・製造業」は、20233月▲66月▲59月▲512+120243月▲1

  「中小企業・非製造業」は、20233+86+119+1212+1420243+7

 

生産

 生産は、持ち直しに向かっていたものの、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響により、このところ生産活動が低下している。

・鉱工業生産指数は前月比で、11月▲0.6%12+1.2%1月▲6.7%2月(予測)+4.8%3月(予測)+2.0%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、+10+0.3%11+1.6%12+4.4%1月▲6.1%

・電子部品・デバイスは前月比で、10+6.6%11月▲0.9%12+2.0%1月▲4.0%

   ・輸送機械は前月比で、10+2.2%11月▲1.6%12+2.0%1月▲9.9%

 

外需

○ 輸出はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。輸入はこのところ弱含んでいる。

財の輸出は、アメリカ向けは増加傾向が続く一方、欧州向けが弱く、アジア向けも持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・インバウンドについて、訪日外客数は2月として過去最高となった。一人当たり旅行消費額は欧州等からの旅行者が高い。

・財の輸入は、弱含みとなっている。紅海危機の影響により、1月は、欧州からの輸入について、海上輸送割合が高いワイン、

 化粧品、自動車部分品等の輸入が大幅に減少した。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2月ぶりに上昇した

・現状・季節調整値DIは前月差で、11月±0.012+1.01月▲1.62+1.1

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月連続で上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、11+1.012+0.11+2.12+0.5

  

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待

  される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある。

・実質GDP成長率は、2310-12月期で前年比+5.2%(前期比+4.1%)。

・消費は持ち直しに足踏みがみられる。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・財輸出はおおむね横ばいとなっている。

・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。

・新築住宅販売価格は下落している。

・消費者物価は下落した。

・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きに足踏みがみられる。

   【全国人民代表大会(3/5~11 主な目標・政策方針(決定)】

○ 24年の成長率目標は5%程度。(23年目標5%程度、実績5.2%)

○ 現状認識:有効需要が不足し、一部産業(鉄鋼、不動産等)の 生産能力が過剰。

雇用機会不足とミスマッチ失業が併存。

 一部地方の財政がひっ迫。

○ 財政拡大: 新たに超長期特別国債を発行、24年は1兆元(対GDP比0.8%)。

地方特別債の発行枠:3.9兆元(23年目標3.8兆元)

財政赤字目標は対GDP比3%で維持。

○ 耐久財消費の拡大:自動車の買替え促進(老朽車の強制廃棄を執行)、

自動車ローン頭金比率(現行20%以上)の引下げ等。

 ○ 重点分野のリスクの防止・解消: 不動産企業の資金需要を支援、ビジネスモデルを刷新。

 地方政府の債務リスク解消と行政の安定運営を一体的に推進。

 

○ 韓国では、景気は持ち直しの動きがみられる。

  韓国経済は、世界的な半導体需要の持ち直しにより、景気は持ち直しの動きがみられる。長期的にみると、1997年のアジア

  通貨危機後、 安定的なマクロ経済環境の維持に努めたこともあって着実に成長し、2023年の一人当たり名目GDPは3.3万ドル。  

・他方、合計特殊出生率は0.72と低く、人口は50年後(2072年)には約3,600万人に減少することが見込まれている。

○ インドでは、景気は回復している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾・タイでは、景気は持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は拡大している。 先行きについては、拡大が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による

  下振れリスクに留意する必要がある。

・アメリカの一人当たり名目GDPは約8.2万ドルで、日本の約2.4倍。長期的にみると実質GDPはおおむね2%以上の成長率

 で推移。

 足下では6四半期連続で2%以上のプラス成長が継続し、2023年は2.5%2024年も2%程度の見通し。

・安定的な物価上昇と、それを超える名目賃金の上昇に支えられた個人消費の増加が、内需主導の経済成長をけん引している。

2008年の世界金融危機のような大きな経済的ショックに見舞われても、デフレには陥っていない。

・アメリカは世界の名目GDPの約25%を占める最大のマーケットである。2023年の財輸入においては、カナダ・メキシコ・

 中国のシェアが全体の約4割となっている。中国のシェアは、2001年のWTO加盟後に急上昇した。2009年以降首位で

 あったが、米中貿易摩擦を契機に、2023年のシェアは2位に低下した。対内直接投資残高では日本は首位である。

 ・コロナ禍後の就業者数をみると、55歳以上は伸びが停滞しており、外国生まれ労働者の増加にもかかわらず、労働供給の不足

  が継続している。株価上昇を背景とした金融資産の増加がコロナ禍後の早期引退に繋がっている可能性。名目賃金上昇率は

  高水準で推移しており、物価上昇率は鈍化傾向にあるものの、金融政策に与える影響に留意が必要である。

 ・202310-12月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+3.2%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

 ・2月の失業率は3.9%となった。

○ 設備投資は緩やかに増加している。

○ 消費は増加、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 生産はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は上昇している。

○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気は弱含んでいる。

 ・2310-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.2% (イギリスは▲1.4%、ドイツは▲1.1%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスは弱い動きとなっている。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+3.3%2月)、イギリス+5.5%1月)。

○ 財輸出は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。イギリスのサービス輸出はおおむね横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。

2024年

2月

21日

月例経済報告

 

月例経済報告(R6.2.21)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の

 効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、

 世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外

 景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。

 また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢金融資本市場の変動等の

 影響に十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震の

 経済に与える影響に十分留意する必要がある。

 

 

令和6年能登半島地震の影響

○  北陸地域の景気ウォッチャーからは、令和6年能登半島地震の影響について、地域の景気への影響や自粛ムードが長引くこと

   などを懸念するコメントが多く寄せられている。先行きについては、北陸新幹線延伸や北陸応援割、復興需要に期待するコメント

   もみられる。

○ 地震で被災したサプライヤー企業からの部品調達が滞り、県外でも一部で生産活動に影響が生じている。

○ 北陸地域の人流に関するビックデータをみると、震災直後の落ち込みからもとに戻る動きもみられる。

 

世界の経済情勢

○  世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

 先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めや中国における不動産市場の停滞に伴う影響による

 下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域 をめぐる情勢、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。

・アメリカは、2023年の実質成長率葉2.5%と、個人消費主導で景気は拡大している。スマートフォンや音楽ライブなどが好調である。

  ・中東地域の緊迫が続く中で、昨年末から海上貿易はスエズ運河を回避しアフリカの喜望峰周りとなる動きが増加している。また、

   昨年末にみられた物流コストの急上昇には一服感がみられるものの、今後の動向には留意が必要である。

 

GDP速報

   2023暦年のGDP成長率は、実質で1.9%、名目で5.7%と高い伸びとなっている。

名目成長率は1991年(6.5%)以来の水準である。

   202310-12月期(1次速報)のGDP成長率は、実質では前期比▲0.1%と2四半期連続のマイナスの一方、名目では同+0.3%と2四半期

  ぶりのプラスとなった。名目GDPの実額は596兆円と過去最高を更新した。

   実質GDP成長率の内訳をみると、外需はプラスに寄与した一方、個人消費はマイナス0.2%、設備投資はマイナス0.1%3四半期連続

  マイナスとなった。また、内需は力強さに欠ける。

   日本とドイツの比較

2023年のドイツの名目GDPは、米ドル換算で日本を上回った。

米ドル換算のGDPは、為替レートの影響を受けること、また、日本に比べ、ドイツの物価上昇率が高いことに留意が必要で

ある。ただし、ドイツは、日本の3分の2の人口、約6割の就業者数、約8割の労働時間で日本と同程度の名目GDPを実現し、

生産性が高い。

・ドイツは、2000年以降、平均で実質1%、名目2%以上の成長を実現した。

日本では、バブル崩壊以降の約30年の間、デフレ心理と コストカットの縮み志向の中、名目・実質ともに低成長となって

いる。デフレから脱却し、経済を熱量溢れる新たなステージに移行 させる千載一遇のチャンスを逃さず、「物価上昇を上回る

賃上げ」の実現と潜在成長率の引上げに取り組むことが必須となる。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直しに足踏みがみられる。

個人消費は、サービス消費回復の一服に加え、物価上昇や暖冬の影響もあり、半耐久財や非耐久財が減少した。一方、雇用環境

 の改善に加え、物価上昇の落ち着きにより、消費者マインドは持ち直し、実質総雇用者所得も持ち直しの動きが見られる。

・コロナ禍で積み上がった超過貯蓄は、アメリカでは取り崩しが進む一方、日本では取り崩しは限定的となっている。賃金・所得の

 増加が継続していくという成長期待が重要となる。

・本年開始の新NISAに向け、口座開設数は、3040代を中心に増加。貯蓄から投資への流れも期待される。

実質総消費動向指数は、前期比で、90.1%100.0%11月▲0.1%、12月▲0.1%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、9月▲1.0%10+0.5%11+0.4%12+1.1%1+0.8%。 

12月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.5%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、横ばいとなっている。輸入物価は、おおむね横ばいとなっている。

消費者物価は、このところ緩やかに上昇している。

消費者物価の前年比は、昨年1月のピーク時は4.3%まで上昇したが、激変緩和措置もあり、足下は2%台で推移している。

・財のうち食料品については、昨年までの値上げラッシュが一服。2024年の年明け後の値上げについては、原材料高等を理由と

 する企業の割合が低下し、人件費の転嫁を理由とする割合が増加した。

・サービス物価の上昇も、当初は、原材料高を受けた外食や設備修繕等が中心であったが、昨年以降は、宿泊料に加え、塾や習い事、

 理美容など人件費割合が相対的に高い分野の寄与が徐々に高まってきている。人件費を含む適切な価格転嫁が着実に進展していく

 ことが、賃金と物価の好循環のために重要となる。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、9月▲1.5%10+0.1%11月▲2.0%12+3.1%

・持家着工数は前月比で、8+5.8%9月▲9.3%10月▲6.6%11+1.7%12+1.7%

・貸家着工数は前月比で、8月▲4.4%9+4.8%10+0.9%11月▲2.7%12+0.6%

・分譲着工数は前月比で、8+17.0%9月▲2.0%10+5.0%11月▲4.8%12+9.1%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、8月▲10.8%(出来高▲0.4%)、9+8.5%(出来高+0.7%)、10月▲3.3%(出来高▲0.3%)、11+4.3%

 (出来高▲0.6%)、12+5.7%(出来高+0.9%)、1月▲4.5%             

 

雇用・賃金の動向

   一般労働者の賃金は1%台の上昇の一方、パート労働者の時給は、需給のひっ迫や最低賃金引上げもあり足下で4%まで上昇した。

  2023年の一般労働者の賃金上昇率をみると、若年層で高めとなっている。

   主要国やデフレ前の日本では、物価上昇と労働生産性向上が名目賃金上昇をけん引している。物価上昇を賃金に反映させ、物価

  に負けない名目賃金上昇率を実現・継続し、賃金と物価の好循環を回すとともに、労働生産性を高めていくことが重要となる。

 ○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。

 ・有効求人倍率は、91.29101.30111.28121.27(正社員は1.00)となった。

  ・完全失業率は、82.7%92.6%102.5%112.5%122.4%となった。

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

○ 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。

 ・企業の設備投資意欲は高いが、実際の設備投資には必ずしも結び付いていない。建設投資(工事出来高)は、これまでの大型工事

  の一服で減少傾向にあったが、建築工事費予定額は持ち直しており、今後、建設投資につながることが期待される。

 ・建設技能者は不足しており、特にエレベーターの設置等に携わる電気工事士等では過去最高水準の不足超となった。こうした中、

  エレベーター等の建設関連設備は受注が伸び、需要は堅調である一方、受注残が積み上がっている。

 ・電工や配管工の就業者数は、長期的に減少傾向が続き、過去20年でそれぞれ10万人強ずつ減少している。

○ 業況判断は、改善している。

  倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20233+16+59+912+1220243+8

  「大企業・非製造業」は、20233+206+239+2712+3020243+24

  「中小企業・製造業」は、20233月▲66月▲59月▲512+120243月▲1

  「中小企業・非製造業」は、20233+86+119+1212+1420243+7

 

生産

 生産は、持ち直しに向かっていたものの、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響により、このところ生産活動が低下している。

・鉱工業生産指数は前月比で、10+1.3%11月▲0.9%12+1.4%1月(予測)▲6.2%2月(予測)+2.2%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、9月▲3.4%+10+0.3%11+1.6%12+4.4%

・電子部品・デバイスは前月比で、9月▲0.2%10+6.6%11月▲0.9%12+2.0%

   ・輸送機械は前月比で、9+4.2%10+2.2%11月▲1.6%12+2.0%

 

外需

○ 輸出はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。輸入はおおむね横ばいとなっている。

2023年の経常収支は、海外からの配当受取等の第一次所得収支が過去最高水準となる中で、コロナ禍前並みの黒字となった。

・財の貿易収支は、自動車等の輸出増加と、鉱物性燃料の価格下落を受けた輸入減少により、2022年に比べ赤字幅が縮小した。

・サービス収支は、輸出面では、インバウンドの回復等を受けて増加した。一方、輸入面では、デジタル関連や保険分野の輸入が

 増加し、収支は引き続き赤字である。デジタルや知財等のサービス分野の競争力強化も重要となる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月ぶりに下降した

・現状・季節調整値DIは前月差で、10月▲0.411月±0.012+1.01月▲1.6

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、10月▲1.111+1.012+0.11+2.1

  

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待

   される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある。

・実質GDP成長率は、2310-12月期で前年比+5.2%(前期比+4.1%)。

・消費は持ち直しに足踏みがみられる。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・財輸出はおおむね横ばいとなっている。

・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。

・新築住宅販売価格は下落している。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価は下落した。

・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きに足踏みがみられる。

○ 韓国では、景気は持ち直しの動きがみられる。

○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾・タイでは、景気は持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は拡大している。 先行きについては、拡大が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による

  下振れリスクに留意する必要がある。

202310-12月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+3.3%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

1月の失業率は3.7%となった。

○ 設備投資は緩やかに増加している。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は上昇している。

○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気は弱含んでいる。

 ・2310-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.2% (イギリスは▲1.4%、ドイツは▲0.3%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスは弱い動きとなっている。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+3.6%1月)、イギリス+5.5%1月)。

○ 財輸出は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。

○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。

 

2024年

1月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R6.1.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復して

 いる。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果

 もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な

 金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の

 下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、

 物価上昇、中東地域をめぐる情勢金融資本市場の変動等の影響に

 十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震の経済に

 与える影響に十分留意する必要がある。

 

 

令和6年能登半島地震のストック面での影響試算

○  令和6年能登半島地震では、住宅や道路・港湾施設等のストックの損壊に加え、停電や断水が広範に発生した。これらは、地域住民

  の生活のみならず、生産や物流、観光等を通じて幅広く経済に影響を及ぼしている。

○ 能登半島地震による経済への影響を分析する一環として、東日本大震災や熊本地震の際の試算方法を踏まえ、市町村ごとの震度や

  被害状況に応じて、過去の大地震における損壊率を参照しつつ、ストックの毀損状況を暫定的に試算した。

○ 今回の試算は被害額を積み上げたものではなく、市町村ごとの震度に基づいた機械的な試算であり、幅をもってみる必要がある。

 

世界の経済情勢

○  世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

 先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めや中国における不動産市場の停滞に伴う 影響に

 よる下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域 をめぐる情勢、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。

 

GDP速報

○  20237-9月期のGDP2次速報では、名目GDPは横ばいの一方、実質成長率は前期比▲0.7%(年率▲2.9%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

消費者マインドは、昨年秋以降、持ち直しに足踏みがみられていたが、雇用環境の改善や食料品等の物価上昇の落ち着きを反映

 して、再び持ち直している。世帯属性を問わず、持ち直している。

・コロナ禍を経て、オンライン消費は大きく増加した。特に、60代以上の高齢世帯の伸びが大きい。一方、他の主要国と比較すると、

 オンライン消費には更なる拡大の余地がある。

・個人消費に占める分野別支出の割合を他の主要国と比較すると、我が国は、飲食料品の割合が高い一方、娯楽やスポーツ・文化、

 外食・宿泊サービスが低い。これらのサービス消費は、一人当たり支出金額でも、他国より低い。

・この30年間の一人当たり支出額をみると、高齢化で医療関係、IT化で通信関係が伸びる一方、娯楽・スポーツ・文化は減少した。

 余暇時間を比較すると、我が国は、男性を中心に低い水準となっている。働き方改革による長時間労働の抑制、有給休暇取得の促進

 は、ウェルビーイング向上とともに、時間消費型のサービス消費の拡大に資することが期待される。

実質総消費動向指数は、前期比で、8月▲0.1%90.1%10+0.1%110.0%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、8月▲0.9%9月▲1.0%10+0.5%11+0.4%12+1.1%。 

  ・11月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.3%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、横ばいとなっている。輸入物価は、このところ上昇している。

 消費者物価は、このところ緩やかに上昇している。

消費者物価は、食料品値上げ一服により2%台で緩やかに上昇。電気・ガスの激変緩和措置等は、これまでの物価上昇を和らげる

 ことに寄与している。

・コロナ禍以前の米欧の物価上昇はサービスの寄与が大きく、日本でもコロナ禍前に比べてサービスの寄与は高まりつつある。

 人件費の割合が高いサービス分野で、賃金上昇が価格に転嫁され、賃金と物価がともに持続的に上昇していくことが重要となって

 くる。

・物価上昇の主因は、食料品など財からサービスへとシフトしつつある。アメリカでは、物価は、財を中心に落ち着きつつある一方

 で、堅調なサービス需要を背景に2%を上回る伸びとなっている。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、8+4.4%9月▲1.5%10+1.0%11月▲4.0%

・持家着工数は前月比で、7+1.0%8+5.8%9月▲9.3%10月▲8.4%11+0.9%

・貸家着工数は前月比で、7+1.5%8月▲4.4%9+4.8%10+1.8%11月▲5.6%

・分譲着工数は前月比で、7月▲16.0%8+17.0%9月▲2.0%10+8.5%11月▲6.6%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、7月▲4.3%(出来高+1.7%)、8月▲10.8%(出来高▲0.4%)、9+8.5%(出来高+0.7%)、10月▲7.9%

(出来高▲0.3%)、11+7.0%(出来高▲0.6%)、12+9.2%             

 

雇用・賃金の動向

○ 企業の人手不足感はバブル期以降最高水準に高まる一方で、ハローワーク(公共職業安定所)の有効求人倍率は横ばい傾向と、

  両者に乖離がみられる。デジタル化に伴う求職手段の多様化が進む中、ハローワークを経由した就職者の割合は15%程度まで低下し、

  民間職業紹介所等が増加した。

  ハローワーク利用者は若年層で減少し、高齢者の利用は増加した。

   民間職業紹介を通じた正社員の求人は着実に増加している。さらに、近年は、すき間時間を活用したスポットワークという形で、アプリ

  を通じた短時間の就業のマッチングも増加した。

   転職の希望者は、男女ともに正社員を中心に1,000万人超(就業者の15%)まで増加した。賃金の上昇圧力につながる可能性を含んで

  いる。転職希望者の割合は、男女とも2534歳で最も高く約25%となっている。

   今年の春闘に向け、経営側からは、2023年以上の意気込みと決意が示されており、特に物価動向を重視し、ベースアップを念頭に

  おいた賃金引上げを各企業に要請している。また、労働側からは昨年を大きく上回るベースアップの要求額が示されている

○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。

   ・有効求人倍率は、81.2991.29101.30111.28(正社員は1.01)となった。

・完全失業率は、72.7%82.7%92.6%102.5%112.5%となった。

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

○ 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 業況判断は、改善している。

  倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20233+16+59+912+1220243+8

  「大企業・非製造業」は、20233+206+239+2712+3020243+24

  「中小企業・製造業」は、20233月▲66月▲59月▲512+120243月▲1

  「中小企業・非製造業」は、20233+86+119+1212+1420243+7

 

生産

 生産は、持ち直しの兆しがみられる。

・生産は、世界的な半導体需要の底打ちから、電子部品・デバイスが持ち直すなど、持ち直しの兆しがみられる。一方、一部自動車

  メーカーにおける国の認証制度に係る不正問題により生産・出荷が停止されたことから、輸送用機械の生産への下押し、サプライ

  チェーン企業への影響に留意が必要である。

・鉱工業生産指数は前月比で、9+0.5%10+1.3%11月▲0.9%12+6.0%(予測)、1月▲7.2%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、8月▲0.5%9月▲3.4%+10+0.3%11+1.6%

・電子部品・デバイスは前月比で、8+0.5%9月▲0.2%10+6.6%11月▲0.9%

   ・輸送機械は前月比で、8月▲3.7%9+4.2%10+2.2%11月▲1.6%

 

外需

○ 輸出はこのところ持ち直しの動きがみられる。輸入はおおむね横ばいとなっている。

輸出は、欧州経済の弱さを受けてEU向け輸出が弱含んでおり、持ち直しの動きに足踏みがみられる。工作機械等の金属加工機械

 は中国からの受注が弱く軟調の一方、建設・鉱山用機械は米国向け等で堅調、半導体関連も今後の持ち直しが期待される。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに上昇した

・現状・季節調整値DIは前月差で、9月▲3.710月▲0.411月±0.012+1.2

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月ぶりに下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、9月▲1.910月▲1.111+1.012月▲0.3

  

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待

     される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある。

202310-12月期の成長率は、前期比年率4.1%に減速した。国内需要が伸び悩む中、一部品目は輸出に向かい、輸出価格は

  下落傾向にある。不動産市場の停滞が続き、住宅価格は下落傾向となっている。若年失業率は12月は14.9%と高水準となった。

・実質GDP成長率は、2310-12月期で前年比+5.2%(前期比+4.1%)。

・消費は持ち直しに足踏みがみられる。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・財輸出はおおむね横ばいとなっている。

・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。

・新築住宅販売価格は下落している。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価は下落した。

・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きがみられる。

○ 韓国では、景気は持ち直しの動きがみられる。

○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾・タイでは、景気は持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は回復している。 先行きについては、回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による

     下振れリスクに留意する必要がある。

20237-9月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+4.9%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

12月の失業率は3.7%となった。

○ 設備投資はこのところ増勢が鈍化している。

・設備投資は、インフレ抑制法や半導体法等を受けて、製造業による投資が大幅に増加したことにより、構築物投資(工場建設等)

  が増加傾向となっている。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は増加しており、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

背景には家計のバランスシートの改善があり、総資産に対する負債の比率は過去 20年間で最低水準となっている。ただし、

  低所得者層の預金水準はコロナ禍前を下回っている。クレジットカードローンの 新規延滞率は上昇傾向であるが、過去に比べ

  低水準となっている。

○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は上昇している。

○ コア物価上昇率はこのところおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気は弱含んでいる。

 ・237-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.5% (イギリスは▲0.5%、ドイツは▲0.5%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスは弱い動きとなっている。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスは上昇している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+3.9%12月)、イギリス+5.8%12月)。

○ 財輸出は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。

○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。

2023年

12月

19日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.12.19)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復して

 いる。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果

 もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な

 金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の

 下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、

 物価上昇、中東地域をめぐる情勢金融資本市場の変動等の影響に

 十分注意する必要がある。

 

 

世界の経済情勢

○  世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

・欧米の物価上昇率は低下傾向にある中で、政策金利は秋以降据置きとなった。今後も物価上昇率は低下する見通しとなって

 いる。

2024年の世界経済は、これまでの欧米の金融引締め等を受けて、やや減速する見通しとなっている。

 なお、アメリカの年末商戦は、ネット販売等が好調であり、足下の消費は増加基調となっている。

・中国では、不動産市場の停滞が継続している。不動産貸出残高の対GDP比は2020年にピークアウトしたが、日本のバブル期

 よりも規模が大きい。

消費者物価は、特殊要因もあり下落した。

・台湾の景気は、世界的に半導体需要が持ち直す中で持ち直しの動きとなっている。輸出は情報通信機器が急増した。

・今後、中国の成長率は徐々に低下する中で、インド、ASEANの成長率が上回っていく見通しとなっている。

 

GDP速報

○  20237-9月期のGDP2次速報では、名目GDPは横ばいの一方、実質成長率は前期比▲0.7%(年率▲2.9%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

家計可処分所得は、名目では雇用者報酬を中心に増加基調だが、物価上昇に追いついておらず、実質で減少した。総合経済対策

 の着実な実行により、名目可処分所得が物価上昇を上回る状況を確かなものとする必要がある

新型コロナの5類移行後初の年末年始となり、鉄道予約や国内旅行人数はほぼコロナ前に回復の見込みとなっており、忘年会・

 新年会開催も増加となった。

・POSデータ(どの商品が、いつ・どこで・いくらで・どのくらい販売されたか、という情報を含む販売実績のデータ)では、コンビニは価格

 転嫁で販売数量は減少しているが、商品入替もあって売上高は増加が継続している。

実質総消費動向指数は、前期比で、70.0%8月▲0.1%90.0%10+0.1%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、7+0.9%8月▲0.9%9月▲1.0%10+0.5%11+0.4%。 

  ・10月の実質総雇用者所得は、前期比で▲1.2%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、横ばいとなっている。輸入物価は、このところ上昇している。

 消費者物価は、このところ上昇テンポが緩やかになっている。

財の企業間取引価格を示す国内企業物価指数は、2021年以降、世界的な物価上昇を起点に上昇してきたが、 足下では、資源

 価格の下落の影響もあって横ばいで推移している。

サービスの企業間取引価格を示す企業向けサービス価格指数は、財に遅れて、価格転嫁が進み、2022年以降緩やかに上昇して

いる。

・この結果、財・サービスともに、コロナ前の物価が動かない状態から、幅広い品目にわたって物価が上昇する姿に変化しつつ

 ある。

・消費者物価は、前年同月比の上昇率が低下傾向にあるなど、上昇テンポが緩やかとなった。

背景には、食料品等で値上げが一服したことによる上昇幅の縮小がある。

・こうした中、5%以上の高い物価上昇を予測する家計の割合は縮小し、5%未満を予想する家計の割合が、2022年2月以来、初めて

 逆転した。

・物価上昇品目の割合は増加し、広がりが見られつつあり、デフレ前の1980年代の姿に近くなっている。

  企業の価格転嫁の動向

  素材型製造業では、 2008年のリーマンショック前に仕入価格が大きく上昇した時は販売価格の上昇は限定的 だったが、

  今回の物価上昇局面では、仕入価格が2008年並みに上昇する中、販売価格への転嫁が進んだ。

  加工型製造業や非製造業では、この30年間、販売価格引上げ企業の割合が十分高まらなかったが、今回は販売価格への

  転嫁が進展した。なお、非製造業は、1980年代~90年代初めは仕入と販売価格の動向が連動している。

  仕入価格の販売価格への転嫁は、デフレに陥る前の1990年代前半までの姿に近づいている可能性がある。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、7月▲4.1%8+4.4%9月▲1.5%10+1.0%

・持家着工数は前月比で、6+0.1%7+1.0%8+5.8%9月▲9.3%10月▲8.4%

・貸家着工数は前月比で、6月▲8.9%7+1.5%8月▲4.4%9+4.8%10+1.8%

・分譲着工数は前月比で、6月▲5.9%7月▲16.0%8+17.0%9月▲2.0%10+8.5%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、7月▲4.3%(出来高+1.7%)、8月▲10.8%(出来高▲0.4%)、9+8.5%(出来高+0.7%)、10月▲7.9%

  11+7.0%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。

   ・企業が賃上げで重視した要素は、「労働力確保」がバブル期以来、「物価動向」が40年ぶりの高さにとなった。

  ・中小企業では、原材料費に比べ、労務費の転嫁ができていない。持続的な賃上げの実現に向けて、労務費を転嫁できる取引

     環境の整備が重要である。

  ・本年10月の最低賃金引上げにより、コンビニやファストフードを中心に募集時賃金が上昇した。

 配偶者のいる非正規雇用の女性では、「年収の壁」を超える労働時間で働く人が増えている可能性がある。

・有効求人倍率は、71.2981.2991.29101.30(正社員は1.01)となった。

・完全失業率は、62.5%72.7%82.7%92.6%102.5%となった。

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

   ・20237-9月期は、企業の経常利益・営業利益ともに過去最高となった。売上高に対する利益の比率も過去最高水準となった。

  企業部門の好調さを設備投資や賃金に回していくことが重要。

・非製造業の業況判断DIは、引き続き、バブル期以降の最高水準となった。

製造業 では、大企業の業況判断DIが3期連続で改善し、中小企業も20193月以来初めてプラスに転じた。

○ 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。

2023年度の企業の設備投資計画は、12月時点で前年度比+12.6%と、引き続き投資マインドは堅調である。

・機械投資は、受注残高は高水準。実際に工場等に納入された時点で、投資として顕在化している。

・建設投資(出来高)は、2022年前半着工の大型案件の工事進捗の一服もあって減少しているが、2023年秋か ら着工は再び増加

  しており、今後の投資として計上される見込みとなっている。

・ソフトウェア投資は非製造業を中心に増加傾向が続き、研究開発投資も堅調に増加の見込みとなっている。

○ 業況判断は、改善している。

  倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20233+16+59+912+1220243+8

  「大企業・非製造業」は、20233+206+239+2712+3020243+24

  「中小企業・製造業」は、20233月▲66月▲59月▲512+120243月▲1

  「中小企業・非製造業」は、20233+86+119+1212+1420243+7

 

生産

 生産は、持ち直しの兆しがみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、8月▲0.7%9+0.5%10+1.3%11月(予測)▲0.3%12月(予測)+3.2%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、7月▲4.8%8月▲0.5%9月▲3.4%+10+0.3%

・電子部品・デバイスは前月比で、7月▲5.1%8+0.5%9月▲0.2%10+6.6%

   ・輸送機械は前月比で、7+0.4%8月▲3.7%9+4.2%10+2.2%

 

外需

○ 輸出はこのところ持ち直しの動きがみられる。輸入はおおむね横ばいとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 消費者マインドは、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、前月と同値となった。

・現状・季節調整値DIは前月差で、8月▲0.89月▲3.710月▲0.411月±0.0

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、8月▲2.79月▲1.910月▲1.111+1.0

  

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが

      期待される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある。

・実質GDP成長率は、237-9月期で前年比+4.9%(前期比+1.3%)。

・消費は持ち直しに足踏みがみられる。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・財輸出はおおむね横ばいとなっている。

・固定資産投資は伸びが低下している。

・新築住宅販売価格は下落している。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価は下落した。

・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きがみられる。

○ 韓国・台湾では、景気は持ち直しの動きがみられる。

○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ タイでは、景気は持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は回復している。 先行きについては、回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等

     による下振れリスクに留意する必要がある。

20237-9月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+5.2%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

11月の失業率は3.7%となった。

○ 設備投資はこのところ増勢が鈍化している。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は増加しており、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は上昇している。

○ コア物価上昇率はこのところおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気は弱含んでいる。

 ・237-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.5% (イギリスは▲0.1%、ドイツは▲0.5%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスは弱い動きとなっている。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスは上昇している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は低下している。イギリスはこのところ低下している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+4.2%11月)、イギリス+6.3%10月)。

○ 財輸出は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。

○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに弱含んでいる。

 

2023年

11月

22日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.11.22)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復して

 いる。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果 

 もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な

 金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の

 下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、

 物価上昇、中東地域をめぐる情勢金融資本市場の変動等の影響に

 十分注意する必要がある。

 

 

世界の経済情勢

○  世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

  先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めや中国における不動産市場の停滞に

  伴う影響、物価上昇等による下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動の

  影響を注視する必要がある。

○ アメリカは、雇用の増勢がコロナ禍前の景気拡大局面の平均水準まで落ち着きつつあり、物価上昇率が低下傾向にある

  中で、政策金利はこのところ据置きとなっている。

○ ユーロ圏経済、ドイツ経済及び英国経済は弱含みとなっている。 ドイツの個人消費は、2021年後半以降、横ばいで、背景

  には、名目賃金の伸びが物価上昇を超えない状況がある。一方、スペインは、名目賃金の伸びが物価上昇を上回り、個人

  消費は持ち直し基調、経済も堅調となっている。

 

GDPの動向と供給力強化に向けた課題

○  20237-9月期のGDP1次速報では、名目GDPは横ばいの一方、実質成長率は前期比▲0.5%(年率▲2.1%)と3期ぶりに

  マイナスとなった。

○ 上場企業の決算をみると、経常利益は、7-9月期としては過去最高を更新した一方、企業の設備投資は、名目では2期ぶり

  に増加したものの、実質では2期連続の減少となり、持ち直しに足踏みがみられた。

○ 198090年代の景気拡大局面では、労働投入の寄与がわずかなプラスないしマイナスの中、資本投入と生産性の伸びが、

  潜在成長率を引き上げていたが、近年はこれらの寄与が縮小している。供給力(潜在成長率)引上げのためには、国内の新規

  投資拡大、研究開発や人への投資を通じた生産性向上が喫緊の課題となってくる。

 

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

○ 名目では増加した一方、実質では物価上昇の影響もあり横ばいになった。雇用者報酬は、名目では増加基調にある一方、

  実質は、物価上昇の影響で二期ぶりに減少した。

7-9月の個人消費は、過半を占めるサービスの増加が継続した一方、耐久財を中心に財が減少した。財は、物価上昇の影響

 のほか、工場停止を受けた自動車の国内向け販売の減少という一時的要因も影響した。

・外食サービスは、名目・実質ともに緩やかな増加基調にあり、コロナ前水準を超える。コロナ禍で控えられていた年末の

 外食需要にも期待できる。

・小売販売を業態別にみると、低価格の食品への需要増加等もあり、ドラッグストアの売上が堅調である

実質総消費動向指数は、前期比で、70.0%8月▲0.1%90.0%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、6+0.2%7+0.9%8月▲0.9%9月▲1.0%10+0.5%。 

  ・9月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.4%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、横ばいとなっている。輸入物価は、このところ上昇している。

消費者物価は、上昇している。

・食料品は値上げの一服で上昇幅が縮小する一方、生鮮食品は上昇幅が拡大した。特に、猛暑による生育不良でトマトなどの

 野菜の価格が高騰している。

・コロナ前と比べると、財の物価上昇に広がりがみられる。サービス業では、労務費増加分の価格転嫁が相対的に限定的と

 なった。賃金と物価の好循環の実現に向け、適切な価格転嫁の促進が鍵となる。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、6月▲5.9%7月▲4.1%8+4.4%9月▲1.5%

・持家着工数は前月比で、5+0.1%6月▲0.5%7+1.0%8+5.8%9月▲9.3%

・貸家着工数は前月比で、511.3%6月▲8.9%7+1.5%8月▲4.4%9+4.8%

・分譲着工数は前月比で、5+23.7%6月▲5.9%7月▲16.0%8+17.0%9月▲2.0%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、6+5.1%(出来高▲5.0%)、7月▲4.3%(出来高+1.7%)、8月▲10.8%(出来高▲0.4%)、9+8.5%

(出来高+0.7%)、10月▲7.9%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。

  ・就業者数を産業別に見ると、過去5年間で、医療・福祉、情報通信等で大きく増加する一方、卸売・小売では減少、コロナ

  で大きく減少した宿泊・飲食等は、回復するも依然コロナ前を下回る。

・公定価格の医療・福祉等を除く産業計では、春闘賃上げを反映し、所定内給与で2%程度賃金上昇した。

・ 年末のボーナスは、好調な企業収益等も背景に、現時点では、夏以上の高い伸びが見込まれている。

・我が国の実質賃金上昇率は昨年からマイナスが継続している一方、欧米では足下で前年比プラスに転化した。

・長期的にみると、アメリカでは20年間で平均名目賃金が1.9倍に増加した一方、我が国では横ばいとなっている。職種別に

 比較すると、弁護士、ソフトウェア開発、大学教員、トラック運転手などでアメリカとの差が大きい。

・多くの主要国では、長期的に名目賃金上昇率が物価上昇率を上回って推移しているが、日本では、長期的には両者ともゼロ近傍

 となっている。

・有効求人倍率は、61.3071.2981.2991.29(正社員は1.02)となった。

・完全失業率は、52.6%62.5%72.7%82.7%9+2.6%となった。

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

○ 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 業況判断は、総じてみれば緩やかに改善している。

・ 倒産件数は、コロナ禍を経て経済社会活動が正常化する中、昨年秋以降は増加傾向で推移している。飲食等のサービス業を中心

  に、小規模な事業者の倒産が増加した。

  民間金融機関を通じた実質無利子無担保融資(ゼロゼロ融資)を受けた中小企業の状況をみると、本年8月末にかけて、据置期間

 中の割合が低下し、完済または借り換えの割合が増加した。条件変更や代位弁済の割合は微増となっている。

  長期的にみると、足下は、件数・負債金額別の構成比ともにコロナ前と同程度である。なお、バブル期前の1980年代半ばは1500

 前後で、負債金額の構成も異なっていた。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、202212+720233+16+59+912+10

  「大企業・非製造業」は、202212+1920233+206+239+2712+21

  「中小企業・製造業」は、202212月▲220233月▲66月▲59月▲512月▲2

  「中小企業・非製造業」は、202212+620233+86+119+1212+8

 

生産

 生産は、持ち直しの兆しがみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、7月▲1.8%8月▲0.7%9+0.5%10月(予測)+3.9%11月(予測)▲2.8%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、6+3.0%7月▲4.8%8月▲0.5%9月▲3.4%

・電子部品・デバイスは前月比で、6+6.8%7月▲5.1%8+0.5%9月▲0.2%

   ・輸送機械は前月比で、6月▲2.8%7+0.4%8月▲3.7%9+4.2%

 

外需

○ 輸出はこのところ持ち直しの動きがみられる。輸入はおおむね横ばいとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 消費者マインドは、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月連続で下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、7+0.88月▲0.89月▲3.710月▲0.4

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月連続で下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、7+1.38月▲2.79月▲1.910月▲1.1

  

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが

   期待される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある。

・実質GDP成長率は、237-9月期で前年比+4.9%(前期比+1.3%)。

・消費は持ち直しに足踏みがみられる。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・財輸出は弱含みとなっている。

・固定資産投資は伸びが低下している。

・新築住宅販売価格は下落している。

・都市部調査失業率はこのところ低下となっている。

・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きがみられる。

○ 韓国・台湾では、景気は持ち直しの動きがみられる。

○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ タイでは、景気は持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は回復している。 先行きについては、回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等に

   よる下振れリスクに留意する必要がある。

20237-9月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+4.9%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

10月の失業率は3.9%となった。

○ 設備投資はこのところ増勢が鈍化している。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は増加しており、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は上昇している。

○ コア物価上昇率はこのところおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気は弱含んでいる。

 ・237-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.2% (イギリスは▲0.1%、ドイツは▲0.1%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスは弱い動きとなっている。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスは上昇している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は低下している。イギリスはこのところ低下している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+5.0%10月)、イギリス+6.3%10月)。

○ 財輸出は、ユーロ圏・イギリスともにおおむね横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は弱含んでいる。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

 

2023年

10月

30日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.10.30)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに回復している。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果

もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な

金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、

中東地域をめぐる情勢金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界の経済情勢

○  世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

  先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めや中国における不動産市場の停滞に伴う

  影響、物価上昇等による下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動の影響を注視

  する必要がある。

○ アメリカは、個人消費主導で堅調な成長が続き、景気は回復している。

中国は、不動産市場の停滞や輸出の弱含みが続く中で、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。

欧米の物価上昇率は低下傾向にある。

   世界の半導体出荷高は足下では底打ちの動きとなっている。今後は各国の半導体生産や輸出が増加する可能性がある。

   中国の貿易構造をみると、2020年以降、EV等を中心に自動車輸出が大幅に増加している。特に、「一帯一路」沿線の中央

   アジア・西アジア・ロシア等への輸出が急増している。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

・飲食や宿泊などサービス消費は持ち直しが継続している。家電販売のうち、エアコンや洗濯機は猛暑の影響や共働き需要も

  あって増加し、携帯電話は新製品の発売もあり増加した。

・一方、消費者マインドは、食料など身近な品目の物価上昇率の高止まりもあり、持ち直しに足踏みがみられる。40年ぶりの

  物価上昇に直面する中、消費者心理は物価動向に、より影響を受けるようになっている。

30年ぶりとなる新たな経済ステージへの移行の好機を逃さず、賃金と物価の好循環に着実に結び付けていくためには、物価

  上昇を上回る継続的な賃上げを実現する中で消費が増加していくことが重要である

実質総消費動向指数は、前期比で、60.0%7+0.1%8月▲0.1%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、5+0.6%6+0.2%7+0.9%8月▲0.9%9月▲1.0%。 

  ・8月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.1%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、このところ横ばいとなっている。輸入物価は、おおむね横ばいとなっている。

  消費者物価は、上昇している。

・原油価格は産油国の減産などで本年7月頃から再び上昇し、足下では中東情勢の影響もみられる。それに伴いガソリン価格も

  上昇してきたが、9月からは激変緩和事業の新たな措置により、足下では175円程度に抑制されている。

・輸入物価は足下で上昇傾向に転じており、今後の川下の物価への波及にも注意が必要である。

・消費者物価は足下で前年比3%程度で推移。その中で、子育て関係の物価については、授業料や保育料は抑制されている一方、

  塾・習い事、紙おむつなどで上昇した。

・食料品価格の上昇が続く中、消費者は、保存性のある品目は低価格の商品にシフトしている可能性がある。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設はこのところ弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、5+11.8%6月▲5.9%7月▲4.1%8+4.5%

・持家着工数は前月比で、4月▲0.8%5+0.1%6月▲0.5%7+1.0%8+5.8%

・貸家着工数は前月比で、4月▲12.9%511.3%6月▲8.9%7+1.5%8月▲4.4%

・分譲着工数は前月比で、4月▲19.8%5+23.7%6月▲5.9%7月▲16.0%8+17.0%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、5+3.0%(出来高+2.8%)、6+5.1%(出来高▲5.0%)、7月▲4.3%(出来高+1.7%)、8月▲10.8%

 (出来高▲0.4%)、9+8.5%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。

   ・デフレに陥る前の1980年代や90年代前半までは、物価上昇を上回って名目賃金が伸びていたため、実質賃金の伸びがプラス

     で推移してきた一方、足下では、物価上昇が名目賃金の伸びを上回り、実質賃金の下落が継続した。デフレ脱却に向けて、

     物価上昇に負けない名目賃金の継続的な上昇が重要となってくる。

   ・宿泊・飲食サービス等の業種では、人手不足感が強まる中で、賃金上昇率に高まりがみられる。

  ・追加的に労働供給を望み、働くことができる人口は約530万人となった。人手不足の中、意欲のある就業者・就業希望者の

     持てる力を十分に発揮できる環境整備が喫緊の課題である。

   ・労働時間の追加希望がある就業者には、「年収の壁」対策に加え、副業・兼業や転職の後押しが重要となってくる。

   ・仕事内容や勤務条件等のミスマッチに対しては、効果的なマッチングやリ・スキリングの支援、多様で柔軟な働き方の促進が

     重要となってくる。

・有効求人倍率は、51.3161.3071.2981.29(正社員は1.02)となった。

・完全失業率は、42.6%52.6%62.5%72.7%82.7%となった。

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

   ・ 中小企業の製造業では厳しさが残るものの、コロナ禍から平時へと移行する中、非製造業の業況判断DIは、大企業・中小

      企業ともにバブル期以降の最高水準となった。

・業況が改善する中で、人手不足への対応が課題となっている。雇用人員判断は、業種・規模にかかわらず人手不足感が強まって

  いるが、とりわけ中小企業の非製造業では、人手不足感が過去最高水準となっている。

・非製造業の人手不足感は、コロナ禍後の経済正常化やインバウンド復活で需要が回復している宿泊・飲食、建設、運輸など

  幅広い業種で拡大した。これら分野の求人倍率は平均を大きく上回る。

・多くの企業は、採用増加等により人手不足に対応している一方、省力化投資を行っている企業は未だ限定的で、人手不足が

  厳しい業種では省力化・省人化投資への後押しが重要となってくる。

○ 設備投資は、持ち直している。

・今年度の企業の設備投資計画は前年度比13%増加と、投資マインドは引き続き堅調となっている。ただし、中小企業では、

  非製造業で投資意欲の高まりがみられる一方、製造業はやや弱めの伸びである点に留意しなければならない。

  ・非製造業では、業況が改善し人手不足感が高まる中で、設備にも不足感がある。省力化投資や高付加価値化に資する投資へ

    の後押しが重要となってくる。製造業の投資計画は、各地域で堅調である。半導体関連の集積が進む九州では、製造・非製造業

    ともに他地域に比べて伸びが顕著となっている。

○ 業況判断は、総じてみれば緩やかに改善している。

・ 倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、202212+720233+16+59+912+10

  「大企業・非製造業」は、202212+1920233+206+239+2712+21

  「中小企業・製造業」は、202212月▲220233月▲66月▲59月▲512月▲2

  「中小企業・非製造業」は、202212+620233+86+119+1212+8

 

生産

 生産は、持ち直しの兆しがみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、6+2.4%7月▲1.88月▲0.7%9月(予測)+5.8%10月(予測)+3.8%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、5+3.6%6+3.0%7月▲4.8%8月▲0.5%

・電子部品・デバイスは前月比で、50.0%6+6.8%7月▲5.1%8+0.5%

   ・輸送機械は前月比で、5月▲4.0%6月▲2.8%7+0.4%8月▲3.7%

 

外需

○ 輸出はこのところ持ち直しの動きがみられる。輸入はおおむね横ばいとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、6月▲1.47+0.88月▲0.89月▲3.7

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、6月▲1.67+1.38月▲2.79月▲1.9

  

アジア経済の動向  

 

○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。  先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが

     期待される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある。

・実質GDP成長率は、237-9月期で前年比+4.9%(前期比+1.3%)。

・消費は持ち直しに足踏みがみられる。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・輸出はこのところ弱含みとなっている。

・固定資産投資は伸びが低下している。

・新築住宅販売価格はこのところ下落している。

・都市部調査失業率はこのところ低下となっている。

・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きがみられる。

○ 韓国では、持ち直しの兆しがみられる。

○ 台湾では、景気は下げ止まりの兆しがみられる。

○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ タイでは、景気は持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は回復している。 先行きについては、回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等に

     よる下振れリスクに留意する必要がある。

20234-6月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+2.1%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

9月の失業率は3.8%となった。

○ 設備投資は緩やかに増加している。

○ 消費は増加しており、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は上昇している。

○ コア物価上昇率はこのところやや低下した。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態に、ドイツでは弱含んでいる。

 ・234-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.6% (イギリスは+0.8%、ドイツは+0.1%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっており、イギリスは弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスは上昇している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともにこのところ低下している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+5.5%9月)、イギリス+6.8%9月)。

○ 輸出は、ユーロ圏・イギリスともにおおむね横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

2023年

9月

26日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.9.26)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに回復している。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果

 もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な

 金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の

 下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価

 上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界の経済情勢

○  アメリカ経済は回復しているものの、中国は持ち直しの動きに足踏み、ドイツを始め欧州も足踏み状態となっている。

○  24年の世界経済は減速の見通しとなった。中国における不動産市場の停滞による下振れリスクに注意する必要がある。

 ・中国の輸出入は、18年以降、米中貿易摩擦を受け減速している。感染症収束後の現在も輸出入ともに弱含んでいる。

 ・ドイツは、中国向け輸出が20年以降停滞している。景況感は大幅に悪化した。ドイツ政府は、国内企業の競争力強化の

  ための経済対策を発表した。

  「経済拠点としてのドイツのための計画」 (8/29公表)ポイント

 〇「成長機会法」を決定

 2028年まで年間70億ユーロ(1.1兆円)規模

 ・研究開発費用の損金算入を現行の3倍へ引上げ。

 ・グリーン技術投資に対して15%を補助。

 ・中小企業への研究開発補助金の補助率 を引上げ(25%35%)。 等

 

日本の実質GDP成長率

○  20234-6月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比+1.2%(年率+4.8%)となり、実質GDPはコロナ前の水準を

  超え、過去最高になった。

 ・GDPギャップは解消に向かい、234-6月期には、33四半期ぶりにプラスに転換したものの小幅であり、また、外需

  高い伸びによるものである。今後、内需中心の成長により、プラス傾向が安定的に続いていくことが重要となる。

 ・一方、潜在成長率(潜在GDPの伸び率)は、G7諸国の中で最も低い。供給力の強化が課題である。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

・雇用・所得環境の改善が続く下、家計調査(2人以上世帯)は弱い一方で、供給側の動きを捉えた指標やカード支出データ等の

 様々な指標によると、個人消費は持ち直してきている。

・物価高が続く中で、相対的に低所得の世帯における消費動向には注意が必要である。消費支出に占める食料品やエネルギーの

 シェアは、収入が低い世帯ほど高い。また、消費者マインドを見ると、収入が低い世帯ほど「暮らし向き」の回復が弱いなど、

 所得階層間のバラツキが拡大した。

・個人金融資産残高はコロナ禍で積みあがった貯蓄(超過貯蓄)もあって2,115兆円まで増加したが、これが消費に向かうことが

 期待される。また、米欧と比べ現金・預金の比率が高く、物価が上昇する中、貯蓄から投資に回っていくことが重要である

実質総消費動向指数は、前期比で、5月▲0.2%60.0%7+0.2%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、4+1.5%5+0.6%6+0.2%7+0.9%8月▲0.9%。 

  ・7月の実質総雇用者所得は、前期比で▲1.2%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、このところ横ばいとなっている。輸入物価は、おおむね横ばいとなっている。

 消費者物価は、上昇している。

・消費者物価(生鮮食品を除く総合)は、激変緩和措置等によりエネルギー価格が抑制される中で、前年比3%程度で推移

 している。その構成は、財(食料やエネルギー等)、サービス(家賃や外食・宿泊等)が半々となっている。

・消費者物価上昇の主因である食料品価格は、ロシアによるウクライナ侵略等を受けた世界的な価格高騰等により、食パン

 をはじめ、幅広い品目で価格が上昇した。

・サービス物価は、宿泊料・外食等で大きく上昇している。その他サービスでも、家賃や公共サービスを除き、上昇率が

 高まっている。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設はこのところ弱含んでいる。 

・住宅着工は、持家や分譲住宅を中心に弱含んでいる。木材価格の上昇は一服したものの、コンクリート等の資材価格は上昇

 した。加えて、労務費上昇もあり、建築費が高止まりしていることが主な背景としてある。

・首都圏マンション新規販売平均価格は、都区部の高価格マンション供給の影響もあり上昇した。住宅リフォームは、補助事業

 の効果もあり、23年以降増加がしつつある。

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、4月▲12.1%5+11.8%6月▲5.9%7月▲4.1%

・持家着工数は前月比で、3月▲8.0%4月▲0.8%5+0.1%6月▲0.5%7+1.0%

・貸家着工数は前月比で、3+9.8%4月▲12.9%511.3%6月▲8.9%7+1.5%

・分譲着工数は前月比で、3+0.1%4月▲19.8%5+23.7%6月▲5.9%7月▲16.0%

   公共投資は、堅調に推移している。

・請負金額は前月比で、4月▲4.1%(出来高+2.9%)、5+3.0%(出来高+2.8%)、6+5.1%(出来高▲5.0%)、7月▲4.3%

(出来高+1.7%)、8月▲10.8%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。

  ・有効求人倍率は、41.3251.3161.3071.29(正社員は1.02)となった。

・完全失業率は、32.8%42.6%52.6%62.5%72.7%となった。

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

   ・ 234-6月期の経常利益は過去最高を更新した。今年度の設備投資計画に おいて、大企業・中小企業ともにデジタル化や

   省力化を背景にしたソフトウェア投資を最も重視する傾向にある。

・本業による収益である営業利益も総じてみれば増加した。ただし、中小企業では、製造業は2期連続の減益となり、設備

 投資も減少した。継続的な賃上げに向け、適切な価格転嫁とともに、中小企業が設備投資を進め、本業の収益力を高める

 ための後押しが重要となってくる。

・インバウンドは2019年の9割弱まで回復した。インバウンド需要もあり、宿泊・飲食サービスではコロナ禍前と同水準まで

 人手不足感が拡大し、宿泊料や外食の価格は上昇した。

・宿泊・飲食業の設備投資計画は、全産業平均と比べて弱い。売上げ拡大のチャンスを取りこぼさないよう、省力化投資を

 通じた効率化や、高付加価値化・差別化を通じた価格設定力強化が課題となってくる。

○ 設備投資は、持ち直している。

○ 業況判断は、持ち直している。

・ 倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20229+812+720233+16+59+9

  「大企業・非製造業」は、20229+1412+1920233+206+239+20

  「中小企業・製造業」は、20229月▲412月▲220233月▲66月▲59月▲1

  「中小企業・非製造業」は、20229+212+620233+86+119+7

 

生産

 生産は、持ち直しの兆しがみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、5月▲2.2%6+2.4%7月▲1.88月(予測)+2.6%9月(予測)+2.4%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、4月▲6.3%5+3.6%6+3.0%7月▲4.8%

・電子部品・デバイスは前月比で、4+6.9%50.0%6+6.8%7月▲5.1%

   ・輸送機械は前月比で、4+3.5%5月▲4.0%6月▲2.8%7+0.4%

 

外需

○ 輸出はこのところ持ち直しの動きがみられる。輸入はおおむね横ばいとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、1か月ぶりに下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、5+0.46月▲1.47+0.88月▲0.8

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、1か月ぶりに下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、5月▲1.36月▲1.67+1.38月▲2.7

  

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。 先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが

   期待される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある

・実質GDP成長率は、234-6月期で前年比+6.3%(前期比+0.8%)。

・消費は持ち直しに足踏みがみられる。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・輸出はこのところ弱含みとなっている。

・固定資産投資は伸びが低下している。

・新築住宅販売価格はこのところ下落している。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。

○ 韓国では、持ち直しの兆しがみられる。

○ 台湾では、景気は下げ止まりの兆しがみられる。

○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ タイでは、景気は持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は回復している。 先行きについては、回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等に

  よる下振れリスクに留意する必要がある。

20234-6月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+2.1%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

8月の失業率は3.8%となった。

○ 設備投資は緩やかに増加している。

○ 消費は増加しており、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は上昇している。

○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・234-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.5% (イギリスは+0.8%、ドイツは+0.1%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっており、イギリスは弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスは上昇している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏はこのところ低下している。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.2%8月)、イギリス+7.1%8月)。

○ 輸出は、ユーロ圏・イギリスともにおおむね横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

2023年

8月

28日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.8.28)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに回復している。

 

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果

もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な

金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、

金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。

 

 

日本の実質GDP成長率

○  20234-6月期(1次速報)の実質GDP成長率は、前期比+1.5%(年率+6.0%)となった。

234-6月は、供給制約の緩和やインバウンド回復に伴う輸出増など外需に牽引され、3期連続のプラス成長となった。

 GDP水準は、名目に続き実質でも過去最高になった。

・実質個人消費は、2期連続増加の後、物価上昇の影響もあり減少した。一方、設備投資については、実質は、ソフトウェア

 投資の増加により、2期連続で増加し、名目は、過去最高を更新し100兆円に達した。

・雇用者報酬は、名目で増加が続く中、実質も7期ぶりにプラスに転換した。今後も、30年ぶりの高い賃上げとなった春闘結果

 の反映や今年10月の最低賃金引上げが、所得環境の改善につながる見込みとなっている。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

234-6月期の消費は、物価上昇の影響もあって、食料品等の非耐久財や家電等の耐久財が減少した一方、経済活動正常化

 によりサービスの回復は継続している。家電は、巣ごもり需要による増加の後、多くの世帯で買い替え時期を迎えておらず、

 エアコン、冷蔵庫、テレビ、パソコン等の販売は弱い状況が継続している。

・消費者マインドは、雇用環境の改善等を背景に持ち直しが継続している。一方、8月は台風の影響があり、お盆期間の国内

 交通利用は、前年よりは回復したもののGWよりは弱いうごきとなった。また、例年よりも猛暑日が多く、空調の効いた商業

 施設等ではプラスの影響がみられるが、屋外型レジャー施設にはマイナスに影響した。

実質総消費動向指数は、前期比で、4月▲0.1%5月▲0.1%60.0%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、3+2.6%4+1.5%5+0.6%6+0.2%70.9%。 

  ・6月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.1%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、緩やかに下落している。輸入物価は、このところ下落テンポが鈍化した。

消費者物価は、上昇している。

・消費者物価上昇の約7割は食料品である。電気・ガス代は、政策効果や既往の資源価格の低下により下落している。

 8月については、円安の進行等を背景に、ガソリン価格が上昇した。特にガソリン支出額の多い地方の消費者にとっては家計

 の負担が増加した。

・アメリカに比べ、我が国は、サービス部門の賃金と物価の伸びがともに緩慢となっている。ただし、足下では、サービスの

 正規価格で改定頻度が上昇しており、これまでの価格が動きにくい状況に構造的な変化の兆しがみられる。賃上げの継続と

 適切な価格転嫁を通じて、賃金と物価がともに持続的・安定的に上昇していくことが重要となる。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設はおおむね横ばいとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、3+2.0%4月▲12.1%5+11.8%6月▲5.9%

・持家着工数は前月比で、3月▲8.0%4月▲0.8%5+0.1%6月▲0.5%

・貸家着工数は前月比で、3+9.8%4月▲12.9%511.3%6月▲8.9%

・分譲着工数は前月比で、3+0.1%4月▲19.8%5+23.7%6月▲5.9%

   公共投資は、堅調に推移している。

・請負金額は前月比で、3月▲22.8%(出来高+2.9%)、4月▲4.1%(出来高+2.8%)、5+3.0%(出来高▲5.0%)、6+5.1%

 7月▲4.3%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、改善の動きがみられる。

・春闘の賃上げの反映やボーナスの増加によって賃金は改善した。6月のボーナスを含む特別給与は、コロナ禍前の水準を

 超えて増加している。中小企業を含め、今後も賃上げの流れが継続していくことが重要となる。

・民間職業紹介における求人(主に正社員)では、高収入の求人が大幅に増加した。

・パート労働者の時給は、今年10月に最低賃金が引き上げられることもあり、さらに上昇の見込みとなっている。

・一方、 既婚女性の非正規労働者では、就業調整を実施する割合が高まっており、「年収の壁」による労働供給の制約が

 強まっている

・有効求人倍率は、21.3431.3241.3251.3161.30(正社員は1.03)となった。

・完全失業率は、22.6%32.8%42.6%52.6%62.5%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば緩やかに改善している。

○ 設備投資は、持ち直している。

  23年度の大企業の設備投資計画では、能力増強や製品高度化等を目的とした前向きな動きがみられる。また、供給網強靱化の

   観点から、今後、国内生産拠点を強化する企業の割合が大きく増加の見込みとなっている。

  ・中小企業の設備投資計画も6月時点では7.2%増と堅調となっている。このうちソフトウェア投資をみると、製造業や卸売・

     小売では大幅な増加の計画になっており、DXの取組がみられる。一方、宿泊・飲食では遅れがでている。

   ・中小企業のうち価格転嫁実施企業では、設備投資に積極的な企業が多い。中小企業の設備投資促進のためには、引き続き

     適切な価格転嫁に向けた取り組みも重要となる。

○ 業況判断は、持ち直している。

・ 倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20229+812+720233+16+59+9

  「大企業・非製造業」は、20229+1412+1920233+206+239+20

  「中小企業・製造業」は、20229月▲412月▲220233月▲66月▲59月▲1

  「中小企業・非製造業」は、20229+212+620233+86+119+7

 

生産

 生産は、持ち直しの兆しがみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、4+0.7%5月▲2.2%6+2.4%7月(予測)▲0.2%8月(予測)▲1.1%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、3+5.8%4月▲6.3%5+3.6%6+3.0%

・電子部品・デバイスは前月比で、3月▲10.6%4+6.9%50.0%6+6.8%

   ・輸送機械は前月比で、3+4.9%4+3.5%5月▲4.0%6月▲2.8%

 

外需

○ 輸出はこのところ持ち直しの動きがみられる。輸入はおおむね横ばいとなっている。

   ・財の輸出は、供給制約の緩和に伴う自動車生産の回復や、PC出荷台数の下げ止まりにみられる半導体需要の底打ちも

     背景に、各地域向けに増加しており、持ち直しの動きとなっている。

     ただし、輸出先の経済動向には留意が必要である。

    ・サービスは、23年7月、中国以外からの訪日外客数はコロナ禍前の水準に回復した。一方、デジタル関連や保険等の

  サービス分野では、支払(輸入)が受取(輸出)を超過し、赤字幅が拡大する傾向にあり、 サービス分野の競争力強化

  も重要となっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、1か月ぶりに上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、3+1.34+1.35+0.46月▲1.47+0.8

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月ぶりに上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、3+3.34+1.65月▲1.36月▲1.67+1.3

  

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。

    先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意

     する必要がある。

 ・不動産市場の停滞が続き、住宅取引件数、不動産開発投資は減少となった。大手不動産企業は業績が悪化する中、債務再編交渉

    が難航している。住宅需要の喚起や地方銀行等の金融リスク等に対応するため、政府は各種の政策措置を発表した

    なお、IMFの推計では、地方融資平台(都市開発の資金調達のために地方政府が出資した特別目的会社)の債務残高は増加

    傾向となっている。

 ※政策対応 ① 政策金利の引下げ(8/1521

            ・中期貸出ファシリティ(MLF)1年物を0.15pt引下げ(2.50) ・最優遇貸出金利(LPR)1年物を0.10pt引下げ(3.45)

        ② 住宅ローン金利等優遇要件の緩和(7/27

             ・本人名義の保有住宅がなければ、1軒目購入時の住宅ローン金利・頭金比率等の優遇を2軒目以降にも適用。

        ③ 都市部の戸籍取得要件の緩和(8/3

            ・出稼ぎ農民工の家族呼び寄せによる住宅需要の喚起、公営住宅整備の推進等。 

        ④ 地方政府による地方銀行への資本注入(8/20) 

            ・資本注入のための地方特別債の発行額増加(1-7月は2022年通年の2.3倍)。

        ⑤ 地方政府が地方融資平台の支援について検討(8/11報道) 

・消費はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・輸出はこのところ弱含みとなっている。

・固定資産投資はこのところ伸びが低下している。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。なお、足下でマイナス転換。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。

○ 韓国では、持ち直しの兆しがみられる。

○ 台湾では、景気は下げ止まりの兆しがみられる。

○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ タイでは、景気は持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は回復している。 先行きについては、回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等に

     よる下振れリスクに留意する必要がある。

20234-6月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+2.4%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費を中心にアメリカの景気はが回復した背景には、雇用・所得環境の着実な改善がある。

  感染症拡大期後は、労働供給の回復を上回るペースで労働需要が急増し、労働市場は更にひっ迫した。

・レジャー・接客等の業種では、労働者不足が依然として高水準で継続している。このため、レジャー・接客の賃金上昇率

  は、全体を上回って推移している。

・全体の賃金上昇率が物価上昇率を上回っていることに加え、21年半ば以降に約1.1兆ドル(対名目GDP比約4%)の超過

  貯蓄が取り崩されていることも消費の増加に寄与している。

7月の失業率は3.5%となった。

○ 設備投資は緩やかに増加している。

○ 消費は増加しており、自動車販売台数は持ち直している。

○ 住宅着工数はこのところ緩やかに増加・住宅価格は緩やかに上昇している。

○ コア物価上昇率はこのところやや低下している。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・234-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.0% (イギリスは+0.8%、ドイツは+0.1%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっており、イギリスは弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスは上昇している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともにはおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.6%7月)、イギリス+7.7%7月)。

○ 輸出は、ユーロ圏・イギリスともにおおむね横ばいとなっている。 

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

2023年

7月

26日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.7.26)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに回復している。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果

もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な

金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しする

リスクとなっている。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に

十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

・中国は、高齢化の進展・従属人口比率の上昇につれて成長が鈍化している。

インドでは、高齢化の進展は緩やかなものにとどまり、成長制約は相対的に小さい可能性がある。

・インドの市場規模・成長性への期待から、日系企業の関心も高まっている。

・中国は貿易収支が黒字となっている。一方インドはサービス収支が黒字であり、サービス輸出に強みがある。

 

日本の実質GDP成長率

○  20231-3月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比+0.7%(年率+2.7%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

・新車販売は、生産面の供給制約緩和に伴って増加している。外食消費は、コロナ禍以前のトレンドまでほぼ回復した。

・夏休みの国内旅行者数も、コロナ禍以前の水準を回復する見込みとなっている。4年ぶりに通常開催される夏祭りや

 イベントも多く、消費の後押しに期待がもてる。

・コロナ禍の活動制限下で積み上がった超過貯蓄は、米国では21年半ば以降に取崩しが進む一方、日本では依然取崩し

 には至らず高止まりとなっている。今後、経済活動の正常化が進む中、貯蓄から消費へも動き出すことが期待される。

実質総消費動向指数は、前期比で、3月▲0.1%4月▲0.1%5月▲0.1%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、2+0.0%3+2.6%4+1.5%5+0.6%6+0.2%。 

  ・5月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.2%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、このところ緩やかに下落している。

 消費者物価は、上昇している。

・今次の物価上昇局面では、リーマンショック直前の原油価格高騰時と比べ、企業の価格転嫁が進展した。

・財の消費者物価は、輸入物価から半年程度遅れて動く傾向があり、今後は上昇率が縮小する見込みとなっている。

 必需品の物価は、激変緩和措置の効果等も相まって上昇率が縮小した。一方、必需品以外は徐々に上昇率が拡大している。

・こうした中、物価上昇に直面する消費者は、食料品について、低価格商品にシフトしたり、購買品目を変えたりしている

 可能性がある。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、2月▲3.8%3+2.0%4月▲12.1%5+11.8%

・持家着工数は前月比で、2+3.6%3月▲8.0%4月▲0.8%5+0.1%

・貸家着工数は前月比で、2+1.0%3+9.8%4月▲12.9%511.3%

・分譲着工数は前月比で、2月▲15.1%3+0.1%4月▲19.8%5+23.7%

   公共投資は、堅調に推移している。

・請負金額は前月比で、2+51.7%(出来高+0.3%)、3月▲22.8%(出来高+2.9%)、4月▲4.1%(出来高+2.8%)、5+3.0%

 6+5.1%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、このところ改善の動きがみられる。

5月のフルタイム労働者の定期給与は、賃上げの反映が進んだことで一段と上昇した。

比較可能な1993年以降で過去最高水準の伸びとなっている。春闘の結果は、今後も賃金に反映される見込みである。                    ・今夏のボーナスは高水準であった昨年から更に上昇した。パート募集時の平均時給も1,000円超となるなど、増加傾向が

継続している。これらにより、雇用・所得環境の改善が続くことが期待される。                                                              ・価格転嫁ができている企業は、賃上げにもより積極的な傾向がある。賃上げの原資の確保という観点からも、適切な価格

転嫁に向けた取組が引き続き重要となる。                                                                                                ・有効求人倍率は、11.3521.3431.3241.3251.31(正社員は1.03)となった。

 ・完全失業率は、12.4%22.6%32.8%42.6%52.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

○ 設備投資は、持ち直している。

  23年度の設備投資は、高い伸びが実現した22年度から、さらに2桁増の計画となっている。大企業のみならず、中小企業でも

     投資マインドに力強さがある。DXやEV化などの前向きな動きもみられる。

   ・ソフトウェア投資は、引き続き高い伸びとなっている。非製造業では、22年度に大幅増となった宿泊・飲食を含め、23年度は

     全ての業種でプラスの計画となっている。一方、米国に比べると、我が国ではソフトウェアを含む知的財産投資のシェアが

     低く、更なる投資拡大が課題である。

○ 業況判断は、持ち直している。

・ 大企業の製造業の業況判断では7期ぶりに前期から上昇した。

・ 製造業では、供給制約が緩和した自動車産業のほか、飲食需要の増加や価格転嫁の進展も背景に食料品産業が上昇した。

    非製造業では、新型コロナの5類移行も背景に幅広い業種で前期から上昇した。

・ 街角景気の先行き判断をみると、インバウンドや旅行関係に言及した景気ウォッチャーの景況感は引き続き全体を押し上げ

    ている。値上げに関する言及は全体を押し下げているが、その程度は縮小した。

・ 倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20229+812+720233+16+59+9

  「大企業・非製造業」は、20229+1412+1920233+206+239+20

  「中小企業・製造業」は、20229月▲412月▲220233月▲66月▲59月▲1

  「中小企業・非製造業」は、20229+212+620233+86+119+7

 

生産

 生産は、持ち直しの兆しがみられる。

・製造業の生産は持ち直しの兆しがみられる。供給制約の緩和等を背景に、乗用車や建設機械等が増産基調となるほか、

  市況の悪化による弱さが続いてきた半導体関連業種も横ばいとなった。

・建設機械では遠隔操作システム搭載機の販売が予定され、半導体製造装置は今年度を底に来年度以降売上増が見込まれる

  など、生産用機械工業では先行きにも期待感がみられる。

・インバウンド消費は、コロナ禍前の水準までほぼ回復した。中国等の客数回復は道半ばだが、一人当たり消費額が大きく

  プラスに寄与した。

・鉱工業生産指数は前月比で、3+0.3%4+0.7%5月▲2.2%6月(予測)+5.6%7月(予測)▲0.6%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、2+8.9%3+5.8%4月▲6.3%5+3.6%

・電子部品・デバイスは前月比で、2+7.1%3月▲10.6%4+6.9%50.0%

   ・輸送機械は前月比で、2+13.9%3+4.9%4+3.5%5月▲4.0%

 

外需

○ 輸出は底堅い動きとなっている。輸入はおおむね横ばいとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、5か月ぶりに下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、2+3.53+1.34+1.35+0.46月▲1.4

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、2+1.53+3.34+1.65月▲1.36月▲1.6

  

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は持ち直しの動きがみられる。

   先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、不動産市場の動向等を注視する

    必要がある。

 ・234-6月期の実質GDP成長率は前期比で2.2%(前年比+6.3%)となった。、前年4-5月に上海ロックダウンの影響が

    あった点に留意しなければならない。

・不動産企業の債務問題が長期化する中、住宅市場は供給過剰と需要不足(投機の減少、買い控え、都市化の減速等)が

  顕在化した。販売面積は減少が続き、住宅価格は地方で下落。住宅関連財の小売も低調となっている。

・若年失業率は過去最高水準で推移している。これに加え、過去の一人っ子政策の影響もあり、若年層の男女比に偏りが

  みられる。婚姻率・出生率の低下を通じて今後の中国の人口構造にも影響があるとみられる。

・消費はこのところ持ち直している。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出はこのところ弱含みとなっている。

・固定資産投資はこのところ伸びが低下している。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。

○ 韓国では、持ち直しの兆しがみられる。

○ 台湾では、景気は下げ止まりの兆しがみられる。

○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ タイでは、景気はこのところ持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかに回復している。 先行きについては、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、金融

     引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。

20231-3月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+2.0%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

6月の失業率は3.6%となった。

○ 設備投資は緩やかに持ち直している。

○ 消費は緩やかに増加しており、自動車販売台数は持ち直している。

○ 住宅着工数はおおむね横ばい・住宅価格は緩やかに上昇している。

○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・231-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で0.0% (イギリスは+0.6%、ドイツは▲1.3%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっており、イギリスは弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともにはおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.8%6月)、イギリス+7.9%6月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

2023年

6月

22日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.6.22)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに回復している。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果

もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な

金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しする

リスクとなっている。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に

十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

・ユーロ圏では、これまでの物価高の影響もあり消費が弱含むなど、景気は足踏み状態が続いている。

・欧米の消費者物価は、エネルギー価格下落を受け上昇率に一服感がみられるが、国内の財・サービス価格への波及は、ユーロ圏を

 中心に引き続き進行している。

・中国では、世界的な物価上昇や貿易の鈍化等を受け輸出が伸び悩むなど、感染収束後の回復ペースは緩やかとなっている。

・こうした中、直近、アメリカでは政策金利を据え置き、ユーロ圏は利上げ、中国は利下げの動きとなっている。

 今後とも世界的な金融引締めに伴う影響、物価上昇等による下振れリスクに留意。また、金融資本市場の変動の影響を注視する

 必要がある。

 

 

日本の実質GDP成長率

○  20231-3月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比+0.7%(年率+2.7%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

・所得面では、雇用情勢の改善に伴い実質総雇用者所得が下げ止まりとなった。

・消費の内訳をみると、財では、生産の供給制約が緩和されたこともあり、付加価値の高い普通乗用車を中心に新車販売が増加

 傾向となっている。

・サービスでは、コロナ禍で外出を控えがちだった世帯(小規模自治体居住)でも外食消費が増加した。宿泊者数(延べ人数)

 は、政策効果もあり、日本人は高水準で推移した。外国人は堅調に増加しているが、更なる回復が期待される。

実質総消費動向指数は、前期比で、2+0.5%3月▲0.3%4+0.1%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、1+0.3%2+0.0%3+2.6%4+1.5%5+0.6%。 

  ・4月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.2%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、このところ緩やかに下落している。

消費者物価は、上昇している。

・国際商品市況では、原油・LNG・石炭の価格がロシア政府によるウクライナ侵略前の水準を下回って推移している。

・こうした中、我が国の交易条件は、輸入物価下落に伴って、約2年ぶりに前年比プラスに転換した。

・国内企業物価は、5月は再生可能エネルギー発電促進賦課金の引下げもあり、前年比が5か月連続で低下している。

・消費者物価の前年比を寄与分解すると、財に続いてサービスの寄与が徐々に拡大している。

一方、エネルギーは、過去の原油価格下落等の影響が徐々に反映される中、5月は再エネ賦課金の引下げが加わり、マイナス

寄与が拡大した。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、1+5.5%2月▲3.8%3+2.0%4月▲12.1%

・持家着工数は前月比で、1月▲0.8%2+3.6%3月▲8.0%4月▲0.8%

・貸家着工数は前月比で、1+0.1%2+1.0%3+9.8%4月▲12.9%

・分譲着工数は前月比で、1+20.0%2月▲15.1%3+0.1%4月▲19.8%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、1+0.9%(出来高+2.1%)、2+51.7%(出来高+0.3%)、3月▲22.8%(出来高+2.9%)、4月▲4.1%5+3.0%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、このところ改善の動きがみられる。

・就業率はコロナ禍以前を上回る水準で推移し、失業率も4月は低下。雇用者数は女性の正規雇用を中心に増加している。

・一人当たり賃金は緩やかに増加した。春闘の賃上げが一部反映され始め、4月のフルタイム労働者の定期給与は最近のトレンド

 を一段上回る伸びとなっている。今後、賃上げの反映が進むにつれて増加が続くことが期待される。

・中小企業でも、民間調査によれば、今年度に給与総額を3%以上引き上げる企業の割合が5割を上回るなど、賃上げが進展した。

 一方で、賃上げの理由として、物価上昇を挙げる企業は5割超となっているが、一定の価格転嫁の実現を挙げる企業は1割に

 とどまる。

 持続的な賃金上昇に向けては、コストの適切な転嫁を通じたマークアップの確保が重要である

  ・有効求人倍率は、121.35202311.3521.3431.3241.32(正社員は1.03)となった。

・完全失業率は、112.5%122.5%202312.4%22.6%32.8%42.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善している。

  ・企業収益は、経常利益が231-3月期に前年比で増益、水準も1-3月期として過去最高となるなど、総じてみれば緩やかに

      改善している。

    ・業種別の動向をみると、製造業は素材関係等の市況悪化により前年比マイナスだが、非製造業は経済社会活動の正常化に伴い、

      陸運、宿泊・飲食、小売など幅広い業種でプラスとなり、全体の回復を牽引している。

○ 設備投資は、持ち直している。

  ・企業の設備投資は、製造業・非製造業ともに前期比で増加するなど、堅調に推移している。ソフトウェア投資もDXの進展等も

     背景に高い水準が継続している。

   ・2023年度の投資計画も前年度比で高い伸びが示されており、引き続き、企業の積極的な投資意欲がうかがえる。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

・ 倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20226+99+812+720233+16+3

  「大企業・非製造業」は、20226+139+1412+1920233+206+15

  「中小企業・製造業」は、20226月▲49月▲412月▲220233月▲66月▲4

  「中小企業・非製造業」は、20226月、▲19+212+620233+86+3

 

生産

 生産は、持ち直しの兆しがみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、2+3.7%3+0.3%4+0.7%5月(予測)+1.9%6月(予測)+1.2%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、1月▲15.3%2+8.9%3+5.8%4月▲6.3%

・電子部品・デバイスは前月比で、1月▲4.2%2+7.1%3月▲10.6%4+6.9%

   ・輸送機械は前月比で、1月▲9.9%2+13.9%3+4.9%4+3.5%

 

外需

○ 輸出は底堅い動きとなっている。輸入はおおむね横ばいとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

・貿易収支は、原油価格下落等に伴う鉱物性燃料の輸入減少と、供給制約緩和に伴う自動車の輸出増加を背景に、赤字幅が縮小

  傾向にある。

・こうした中、輸出数量は、ICや半導体製造装置では弱めの動きだが、自動車の輸出増加によって全体としては底堅い動き。

  同様に、製造業の生産も、輸送機械の回復によって全体として持ち直しの兆しがみられる。

・半導体部門は、足下では市況の悪化が続くものの、中長期的な需要拡大も見据え、先端分野の工場新設など各地で前向きな

  投資の動きがみられる。今後、これらの進捗に伴う関連資材・設備の生産増加にも期待がもてる。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、1月▲0.22+3.53+1.34+1.35+0.4

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、6か月ぶりに下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、1+2.52+1.53+3.34+1.65月▲1.3

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は持ち直しの動きがみられる。

    先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、不動産市場の動向等を注視する必要が

     ある。

 ・231-3月期の実質GDP成長率は前期比で2.2%(前年比+4.5%)となった。

・消費はこのところ持ち直している。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出は持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・固定資産投資はこのところ伸びが低下している。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。

○ 韓国では、景気は下げ止まりの兆しがみられる。

○ 台湾では、景気は減速している。

○ インド・インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ タイでは、景気はこのところ持ち直している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかに回復している。 

     先行きについては、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要

     がある。

20231-3月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+1.3%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

5月の失業率は3.7%となった。

○ 設備投資は緩やかに持ち直している。

○ 消費は緩やかに増加しており、自動車販売台数は持ち直している。

○ 住宅着工・住宅価格ともにおおむね横ばいとなっている。

○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・231-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.4% (イギリスは+0.5%、ドイツは▲1.3%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなっており、イギリスは弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏はおおむね横ばい、イギリスは上昇している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.8%5月)、イギリス+7.9%4月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

2023年

5月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.5.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに回復している。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果

もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な

金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しする

リスクとなっている。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に

十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。

・アメリカでは、雇用・所得環境の着実な改善がみられる中で、20231-3月期は消費の増加等がけん引しプラス成長が続くなど、

 景気は緩やかに回復している。

・中国では、感染収束に伴う経済活動の回復の下で1-3月期はプラス成長となり、4月は一服感がみられるものの、消費を中心に

 景気は持ち直しの動きがみられる。

・欧米の失業率はおおむね横ばい。労働市場のひっ迫が続く中、金融引締めが継続している。世界的な金融引締めに伴う影響等に

 よる下振れリスクに引き続き留意が必要である。また、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。

 

 

日本の実質GDP成長率

○  20231-3月期の実質GDP成長率は、前期比+0.4%(年率+1.6%)となった。供給制約の緩和を通じた自動車販売の増加や

  ウィズコロナの下でのサービス消費の持ち直しなど、内需が牽引した。外需は、アジア向けの輸出減少等によりマイナスに寄与

  した。

○ 名目GDPは、輸入物価上昇の転嫁が進むことで、コロナ禍以前の過去最高水準(197-9月期)を3年半ぶりに更新するなど、

  堅調に増加した。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

・新車販売が増加するほか、持ち直しが遅れていた高齢者の外食消費も増加した。

・家計動向をみている景気ウォッチャーの評価は、現状・先行きともに4月にさらに上昇した。

5月も、新型コロナの感染症法上の位置づけ変更等も背景として、GWの交通機関の利用実績は新幹線や国内線航空でコロナ禍

前の水準まで回復し、4年ぶりに各地でイベントが通常開催されるなど、コロナ禍から平時への移行が進展した。

実質総消費動向指数は、前期比で、10.0%2+0.1%3+0.1

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、12+1.3%20231+0.3%2+0.0%3+2.6%4+1.5%。 

  ・3月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.5%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、このところ横ばいとなっている。

消費者物価は、上昇している。

・国内で生産された付加価値全体の物価動向を示すGDPデフレーターは、原油価格の下落等に伴い輸入デフレーターの押下げ

 寄与が縮小したことで、231-3月期は前期からプラス幅を拡大させている。

・輸入物価は、石油やLNG等の価格下落に伴い、4月の前年比はマイナスに転じた(22か月ぶり)。

・消費者物価は、4月の前年比は3.4%。食料品の値上げなど財を中心とした上昇が続く中、サービスもこれに遅れて徐々にプラス

 寄与を拡大している。一方、エネルギーは、昨年の原油価格下落等が時間差を伴って反映されるのに加え、電気・ガス価格激変

 緩和対策の効果もあり、マイナスに寄与した。

・消費者の物価予想は、電気・ガス代といった生活に身近な価格が抑えられたことも背景に、「5%以上」と大幅な上昇を予想する

 割合が足下では減少の動きとなっている。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、12+0.5%20231+5.5%2月▲3.8%3+2.0%

・持家着工数は前月比で、12+0.7%20231月▲0.8%2+3.6%3月▲8.0%

・貸家着工数は前月比で、12月▲1.0%20231+0.1%2+1.0%3+9.8%

・分譲着工数は前月比で、12+1.9%20231+20.0%2月▲15.1%3+0.1%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、12+0.9%(出来高+0.2%)、20231+0.9%(出来高+2.1%)、2+51.7%(出来高+0.5%)、3月▲22.8%

(出来高▲1.2%)、4月▲4.1%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

・就業率は全体としては横ばいである中、足下では女性で高まりがみられる。

失業率は足下で上昇したが、失業期間別にみると、231-3月期は長期的な失業が前年比で減少する一方、3か月未満の短期的

な失業が増加した。経済社会活動の正常化に伴い、新たに労働市場に参入する者が職探しを始める中で、一時的に失業が増加

している面もみられる。

・一人当たり賃金は、緩やかに増加した。こうした中、転職市場では処遇改善を目的とした転職者が増加しており、転職によって

 賃金が1割以上増加した者の割合は上昇傾向となっている(7四半期連続)。

・構造的な賃上げの実現に向けては、リスキリングの促進、失業者のマッチング強化や職業訓練等の支援充実など、処遇改善を

 伴う労働移動の円滑化の取り組みが重要である

・有効求人倍率は、111.35121.35202311.3521.341.32(正社員は1.02)となった。

・完全失業率は、102.6%112.5%122.5%202312.4%22.6%32.8%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善しているが、そのテンポは緩やかになっている。

  ・上場企業の決算をみると、231-3月期は、売上高が前年比で増加となる中、本業の動向を示す営業利益は増益が継続している。

   経常利益の前年比は減益したものの、2022年度計では過去最高となった。

・業種別の営業利益をみると、素材関係の製造業は市況の悪化を受け前年比マイナスとなる一方、ウィズコロナの下での人流回復

 や供給制約の緩和等を背景に、陸運・空運や輸送用機器で好調が続く。

・企業の景況感は、サービス業を中心に改善が継続。原材料コスト増等を受けて22年以降は低下が続いていた製造業も、輸入物価

   の下落や生産の増加等を背景に、このところ改善傾向にある。

○ 設備投資は、持ち直している。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

・ 倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20226+99+812+720233+16+3

  「大企業・非製造業」は、20226+139+1412+1920233+206+15

  「中小企業・製造業」は、20226月▲49月▲412月▲220233月▲66月▲4

  「中小企業・非製造業」は、20226月、▲19+212+620233+86+3

 

生産

 生産は、持ち直しの兆しがみられる。

・製造業の生産は、持ち直しの兆しがある。世界的な半導体需要の軟化の下、メモリ等の電子部品・デバイスは在庫調整により減少

 傾向となっている。一方、乗用車等の輸送機械は、供給制約が緩和する中で増加傾向が強まっている。

・鉱工業生産指数は前月比で、1月▲5.3%2+4.6%3+1.1%4月(予測)+4.1%5月(予測)▲2.0%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、12+0.8%20231月▲15.3%2+8.9%3+5.8%

・電子部品・デバイスは前月比で、12月▲0.7%20231月▲4.2%2+7.1%3月▲10.6%

   ・輸送機械は前月比で、12+0.9%20231月▲9.9%2+13.9%3+4.9%

 

外需

○ 輸出は底堅い動きとなっている。輸入はおおむね横ばいとなっている。

・財輸出は、昨年秋以降、半導体需要の軟化や中国の感染拡大等を背景に弱含みが続いてきたが、このところは生産の増加を受けた

 自動車輸出の増加等によって底堅い動きとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、12月▲0.71月▲0.22+3.53+1.34+1.3

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、5か月連続で上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、12+0.51+2.52+1.53+3.34+1.6

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は持ち直しの動きがみられる。

 先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、不動産市場の動向等を注視する必要がある。

 ・231-3月期の実質GDP成長率は前期比で2.2%(前年比+4.5%)となった。

・消費はこのところ持ち直している。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出は持ち直しの動きがみられる。

・固定資産投資はおおむね横ばいとなっている。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率は低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。

○ 韓国では、景気は下げ止まりの兆しがみられる。

○ 台湾では、景気は減速している。

○ インドでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気はこのところ持ち直している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかに回復している。 先行きについては、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに

  伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。

20231-3月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+1.1%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

4月の失業率は3.4%となった。

○ 設備投資は緩やかに持ち直している。

○ 消費は緩やかに増加しており、自動車販売台数は持ち直している。

○ 住宅着工はおおむね横ばいとなっており、住宅価格は下落している。

○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加している。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は持ち直しに足踏みがみられる。

   ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・231-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.3% (イギリスは+0.5%、ドイツは+0.2%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスは弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともにおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+7.3%4月)、イギリス+7.2%3月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

 

2023年

4月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.4.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、

景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め

等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクと

なっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動

等の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は一部の地域において弱さがみられるものの、緩やかな持ち直しが続いている。

2023年の成長見通しは、世界全体ではわずかに下方修正となったものの、欧米では上方修正された。

・中国では感染症の収束、政策効果の発現を受け、生産、消費、輸出共にプラスになるなど、景気は持ち直しの動きがみられる。

・消費者物価の上昇に一服感がみられるが、上昇率の水準は依然高く、物価安定に向けた金融引締めが継続される見込みとなっている。

・今後とも世界的な金融引締めに伴う影響、物価上昇等による下振れリスクに留意が必要。また、金融資本市場の変動の影響を引き続き

 注視する必要がある。

 

 

日本の実質GDP成長率

 202210-12月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比0.0%(年率+0.1%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・財が弱めの動きとなる中で、サービスの持ち直しが消費全体の回復を牽引した。足下では居酒屋での飲食や海外旅行などコロナ禍で

 遅れていた部門でも徐々に回復の動きがみられる。

・消費者マインドは、22年は物価上昇の下で低下傾向だったが、コロナ禍からの経済社会活動の正常化や賃上げの進展も背景に、

 このところ持ち直しの動きがみられる。

・こうした中、民間調査によると、GWの旅行者数はコロナ禍前を上回り過去最高となる見込み。引き続き消費の回復が経済を牽引する

 ことが期待される。

実質総消費動向指数は、前期比で、12月▲0.1%1+0.1%2+0.2%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、11月▲1.3%12+1.3%20231+0.3%2+0.0%3+2.6%。 

  ・2月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.3%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、このところ横ばいとなっている。

 消費者物価は、上昇している。

・国内企業物価は、資源価格の下落等を受けて電力・都市ガスや鉄鋼等の上昇率が縮小する中、3月は前年比上昇率が3か月連続で

 低下となった。

・消費者物価は、2月以降の電気・ガス価格激変緩和対策事業により押し下げられる中、3月の前年比上昇率はコアで3.1%

 物価上昇の大半は財によっている。サービスの上昇率は徐々に高まっている。

・企業の価格転嫁の進捗を疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)でみると、1年前と比べて幅広い業種で改善している

 が、製造業部門(財関連)と比べ、サービス関連では相対的に価格転嫁に遅れ。。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、11月▲2.9%12+0.5%20231+5.5%2月▲3.8%

・持家着工数は前月比で、11月▲1.5%12+0.7%20231月▲0.8%2月▲+3.6%

・貸家着工数は前月比で、11月▲2.5%12月▲1.0%20231+0.1%2+1.0%

・分譲着工数は前月比で、11月▲2.2%12+1.9%20231+20.0%2月▲15.1%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、11月▲6.9%(出来高▲0.5%)、12+0.9%(出来高+0.2%)、20231+0.9%(出来高+2.1%)、

 2+51.7%(出来高+0.5%)、3月▲22.8%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

・失業率は2月に2.6%と5か月ぶりに上昇したが、増加した失業を理由別にみると、より良い条件を求める等の自己都合離職や、

 新たに求職活動を開始する者が増加しており、労働移動の動きもみられる。

・企業の人手不足感は全産業で高まっており、中でも、経済社会活動の正常化に伴い業況の改善が進む宿泊・飲食サービス業で

 顕著となっている。こうした中、パートタイム労働者の賃金は一般労働者を上回るペースで上昇した。

・春闘の賃上げ率を企業規模別にみると、第4回集計時点において、中小企業を含めすべての規模で3%を上回る大幅な賃上げが

 見込まれている。

・有効求人倍率は、101.35111.35121.35202311.3521.34(正社員は1.02)となった。

・完全失業率は、92.6%102.6%112.5%122.5%202312.4%22.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善しているが、そのテンポは緩やかになっている。

  ・企業の業況判断は、引き続き「良い」が「悪い」を上回り、持ち直しの動きが継続している。ただし、前期からの変化で

   みると、製造業では海外需要の鈍化等を背景に電気機械や素材系業種で悪化する一方、非製造業ではコロナ禍からの経済

   社会活動の正常化に伴って幅広い業種で改善するなど、業種により状況は異なる。

○ 設備投資は、持ち直している。

・設備投資は、機械投資は足下で持ち直しの動きに足踏みがみられるものの高水準で推移しており、ソフトウェア投資は緩やか

 な増加が続くなど、全体として持ち直しの動きとなった。

・こうした中、日銀短観によると、22年度の設備投資は前年度比で二桁増と高い伸びとなる見込みとなっている。

 23年度も当初計画としては22年度を上回るなど、企業の投資マインドは引き続き力強さがみられる。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

・ 倒産件数は、増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20226+99+812+720233+16+3

  「大企業・非製造業」は、20226+139+1412+1920233+206+15

  「中小企業・製造業」は、20226月▲49月▲412月▲220233月▲66月▲4

  「中小企業・非製造業」は、20226月、▲19+212+620233+86+3

 

生産

 生産は、このところ弱含んでいる。

・鉱工業生産指数は前月比で、12+0.3%1月▲5.3%2+4.6%3月(予測)+2.3%4月(予測)+4.4%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、11月▲6.0%12+0.8%20231月▲15.3%2+8.9%

・電子部品・デバイスは前月比で、11+0.5%12月▲0.7%20231月▲4.2%2+7.1%

   ・輸送機械は前月比で、11月▲0.5%12+0.9%20231月▲9.9%2+13.9%

 

外需

○ 輸出は弱含んでいる。輸入はおおむね横ばいとなっている。

・我が国の輸出は、中国の経済活動回復等を背景にアジア向けが減少傾向から横ばいに転じたものの、全体としては弱含み。

 こうした中、製造業の生産も弱含みとなっている。一方で、2月は自動車等の輸送機械を中心に増加しており、部材供給不足

 が緩和される中、今後の回復に期待感がもてる。

・サービス輸出であるインバウンドは堅調に増加。3月の訪日外客数は19年比で66%(中国を除くと84%)まで回復した。

 旅行消費額でみると1-3月期に1.0兆円と、19年比で88%の水準。1人当たり単価は円安もあって19年比で4割超上昇した。

 引き続き、インバウンド需要の拡大が期待される。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、11月▲1.812月▲0.71月▲0.22+3.53+1.3

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月連続で上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、11月▲1.312+0.51+2.521.533.3

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気はこのところ持ち直しの動きがみられる。

 先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、不動産市場の動向等を注視する必要がある。

 ・231-3月期の実質GDP成長率は前期比で2.2%(前年比+4.5%)となった。

・消費はこのところ持ち直している。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出は持ち直しの動きがみられる。

・固定資産投資はおおむね横ばいとなっている。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率はこのところ低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きがみられる。

  ※各種の政策措置

   自動車購入

・地方都市の購入補助金(23年1月)

・環境基準の厳格化(23年7月)

輸出促進策(23年4月)

ASEAN等の市場の開拓、 先進国向け輸出の安定化

金融政策

・預金準備率の引下げ(23年3月)

 ○ 不動産支援策(2211月~)

・ディベロッパー向け融資安定化、 住宅引き渡し支援、住宅ローン 支援等。

○ 韓国・台湾では、景気は弱い動きとなっている。

○ インドでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は持ち直しに足踏みがみられる。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。

   ただし、金融引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。

202210-12月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+2.6%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

3月の失業率は3.5%となった。

○ 設備投資は緩やかに持ち直している。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工は減少し、住宅価格は下落している。

○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は持ち直しに足踏みがみられる。

   ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・2210-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.2% (イギリスは+0.5%、ドイツは▲1.7%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスは弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は上昇、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+7.5%3月)、イギリス+7.2%3月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

 

2023年

3月

22日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.3.22)

基調判断

〈現状〉

・景気は、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、

景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め

等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクと

なっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動

等の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は一部の地域において弱さがみられるものの、緩やかな持ち直しがみられる。

・世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、緩やかな持ち直しが続いている。

・中国では輸出が減少する一方、感染が収束して生産・消費に持ち直しの動きがみられる。

・ユーロ圏では設備投資は持ち直してきたがこのところ一服感がみられ、消費は持ち直しに足踏みがみられる。

・財貿易量は低下傾向となっている。欧米の景況感は製造業で引き続き悪化となったものの、非製造業は改善がみられる。

・欧米の失業率はおおむね横ばい。消費者物価の上昇に一服感がみられるが、上昇率の水準は依然高く、物価安定に向けた

 金融引締めが継続している。世界的な金融引締めに伴う影響、物価上昇等による下振れリスクに引き続き留意が必要である。

 また、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。

 

日本の実質GDP成長率

 202210-12月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比0.0%(年率+0.1%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・個人消費は、雇用者所得が実質ではマイナスとなる中でも、緩やかに持ち直した。22年後半以降、財は弱めの動きとなる一方、

 サービスの持ち直しが回復を牽引した。

・景気ウォッチャー調査(街角景気)の先行き判断は2月も引き続き上昇となった。物価上昇への懸念は下押し要因となる一方、

 新型コロナの5類移行やマスク着用ルールの緩和が先行き期待の押上げに寄与した。

・訪日外客は堅調に増加し、2月は19年比で57%(中国を除くと77%)の水準まで回復した。引き続き、インバウンド需要の拡大

 に期待できる。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、9+0.5%10月▲0.1%11月▲0.4%12月▲0.9%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、10月▲0.9%11月▲1.3%12+1.7%20231+0.7%2+0.1%。 

  ・1月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.4%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、このところ上昇テンポが鈍化している。

 消費者物価は、上昇している。

・国際商品市況は、引き続き、原油・LNG・石炭の価格がロシアによるウクライナ侵略前の水準を下回って推移している。

・国内企業物価は、石油・石炭製品の価格下落に加え、電気・ガス価格激変緩和対策事業の効果により、前年比上昇率が2か月

 連続で低下するなど、上昇テンポが鈍化している。

・消費者物価は、食料等の身の回り品で今後も上昇が見込まれるが、2月の東京都区部速報値では、「電気・ガス価格激変緩和

 対策事業」の効果が前年比上昇率を1.0%pt引下げた。これと同様に、2月の全国でも前年比上昇率は低下する見込みとなっている。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、10+0.9%11月▲2.9%12+0.5%20231+5.5%

・持家着工数は前月比で、10月▲4.4%11月▲1.5%12+0.7%20231月▲0.8%

・貸家着工数は前月比で、10+1.7%11月▲2.5%12月▲1.0%20231+0.1%

・分譲着工数は前月比で、10+2.5%11月▲2.2%12+1.9%20231+20.0%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、10月▲3.5%(出来高▲1.0%)、11月▲6.9%(出来高▲0.5%)、12+0.9%(出来高+0.2%)、

 20231+0.9%(出来高+2.1%)、2+51.7%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

・名目賃金の上昇率は、1990年代末以降、物価上昇率と同程度又は下回る傾向となっている。

一方、2022年の名目賃金上昇率は、過去の春闘結果と名目賃金の関係を上回るなど、物価上昇の下で賃上げが進展している。

・こうした中、23年の春闘の賃上げ率は第一回集計で3.8%と、1993年以来30年ぶりの高い伸びとなった。デフレ脱却と民需

 主導の持続的な成長の実現に向け、物価上昇に負けない継続的な賃金上昇が重要となる。

・女性の年収は、正社員と非正社員とで大きな差がある。また、正社員の定期給与は、年齢が上がるほど男女間での差が拡大

 している。女性の正社員化や男女間格差の縮小を進めることは、平均的な賃金水準の押上げにつながる。

・有効求人倍率は、91.34101.35111.35121.35202311.35(正社員は1.03)となった。

・完全失業率は、82.5%92.6%102.6%112.5%122.5%202312.4%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善しているが、そのテンポは緩やかになっている。

  ・2022年の経常利益は、売上増加や円安による押上げ効果もあり過去最高水準。

   四半期ベースで業種別にみると、10-12月期は輸送機械や運輸等で好調が続く一方、食料品や素材関係の製造業では原材料コスト

   増の影響等により前年比で減益となった。

○ 設備投資は、持ち直している。

・企業の設備投資は、22年度の実績は当初計画を上回る見込みとなり、23年度の計画も22年度並みの伸びとなっている。

 好調な収益の下、企業の投資マインドには引き続き力強さがみられる。個社の投資計画では、デジタル化や脱炭素化投資のほか、

 市況悪化の一方で中長期的な需要を見据えた半導体関連の投資もみられる。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

・ 倒産件数は、低い水準ではあるものの、このところ増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20223+146+99+812+720233+6

  「大企業・非製造業」は、20223+96+139+1412+1920233+11

  「中小企業・製造業」は、20223月▲46月▲49月▲412月▲220233月▲5

  「中小企業・非製造業」は、20223月▲66月、▲19+212+620233月▲1

 

生産

 生産は、このところ弱含んでいる。

・製造業の生産は、市況悪化に伴う半導体の在庫調整と、それを受けた海外での半導体製造装置の投資先送り等により、電子部品・

 デバイスや生産用機械でマイナス傾向となるなど、このところ弱含みとなっている。

・コロナ禍で大きく成長した我が国の半導体製造装置の売上高は、中長期的には拡大が見込まれるも、当面は需給の調整局面となり、

 23年度は前年度比マイナスの見込みとなっている。

・こうした中、企業の景況感は製造業で低下傾向となっている一方、サービス業では上昇傾向が続いている。

・鉱工業生産指数は前月比で、110.2%12+0.3%1月▲5.3%2月(予測)+8.0%3月(予測)+0.7%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、10月▲5.4%11月▲6.0%12+0.8%20231月▲15.3%

・電子部品・デバイスは前月比で、10月▲4.1%11+0.5%12月▲0.7%20231月▲4.2%

   ・輸送機械は前月比で、10+4.5%11月▲0.5%12+0.9%20231月▲9.9%

 

外需

○ 輸出・輸入ともに、弱含んでいる。

・我が国の輸出は、半導体市況の軟化等を背景として、アジア向けを中心に全体として弱含みとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、10+1.511月▲1.812月▲0.71月▲0.22+3.5

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。

・物価上昇への懸念が引き続き下押し要因となる一方、インバウンド拡大に加え、新型コロナ5類移行が先行き期待の押上げに

 寄与した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、10月▲2.811月▲1.312+0.51+2.522.5

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は一部に弱さが残るものの、このところ持ち直しの動きがみられる。

   先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、、不動産市場の動向等を注視する必要

   がある。

 ・2210-12月期の実質GDP成長率は前期比で0.0%(前年比+2.9%)となった。

・消費は持ち直しの動きがみられる。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出は減少している。

・固定資産投資はおおむね横ばいとなっている。

・都市部調査失業率はこのところおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率はこのところ低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きがみられる。

○ 韓国・台湾では、景気はこのところ弱い動きとなっている。

○ インドでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は持ち直しに足踏みがみられる。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。 

   先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意

   する必要がある。

202210-12月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+2.7%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

2月の失業率は3.6%となった。

○ 設備投資は緩やかに持ち直している。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工は減少し、住宅価格は下落している。

○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は持ち直しに足踏みがみられる。

   ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・2210-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.1% (イギリスは+0.1%、ドイツは▲1.7%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は上昇、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+7.4%2月)、イギリス+6.7%1月)。

○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

2023年

2月

21日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.2.21)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、

景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め

等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクと

なっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動

等の影響や中国における感染拡大の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は一部の地域において弱さがみられるものの、緩やかな持ち直しがみられる。

202210-12月期の実質GDP成長率は、ドイツはマイナス、中国と英国は0%となった一方、アメリカはプラス成長

 が継続した。

2022年末にかけて、世界的な半導体需要の鈍化や中国の景気減速があり、韓国、台湾、タイでは生産・輸出が減少し、

 景気に弱さがみられる。

・欧州では暖冬やエネルギー消費抑制策もあり、天然ガスの在庫確保が進展した。こうした背景もあり、エネルギー価格

 は下落し、欧米の消費者物価の上昇に一服感がみられる。ただし、上昇率の水準は依然高く、物価安定に向けた金融

 引締めが継続している。今後も世界的な金融引締めに伴う影響、物価上昇等による下振れリスクに留意が必要である。

 

日本の実質GDP成長率

 202210-12月期の実質GDP成長率は、前期比+0.2%(年率+0.6%)となった。

・ウィズコロナの下で、旅行・外食等のサービス消費を中心に個人消費が増加するとともに、水際対策の緩和に伴う

 インバウンドの増加もあって外需がプラスに寄与した。

・コロナ禍前(1910-12月期)対比での先進各国の実質GDPの回復状況をみると、我が国は他の先進国と比べて遜色

 ない水準となっている。

・実質GNI(国民総所得)は、輸入物価下落による交易条件の改善や海外からの所得受取増により、実質GDP(国内

 総生産)の伸びを上回る水準となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・財消費が底堅く推移する中、外食・旅行等のサービス消費の回復が継続している。

・宿泊者数(延べ人数)は、全国旅行支援の効果やインバウンド再開により、12月にはコロナ禍前の水準をほぼ回復

 した。

 新車販売は、供給制約が徐々に緩和される中で、振れを伴いつつ、このところ持ち直してきている。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、80.0%9+0.5%10月▲0.1%11月▲0.8%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、9月▲1.7%10月▲0.9%11月▲1.3%12+1.7%20231+0.7%。 

12月の実質総雇用者所得は、前期比で0.0%となった。

 

物価

  ○ 国内企業物価は、このところ上昇テンポが鈍化している。

   消費者物価は、上昇している。 

 ・国内で生産された付加価値全体の物価動向を示すGDPデフレーター上昇率は、昨年末にかけての原油価格下落等に

  伴い輸入デフレーターの押下げ寄与が低下する一方、価格転嫁の進展により消費や投資等の内需デフレーターの

  押上げ寄与が拡大した結果、202210-12月期にプラス転換した。

・国際商品市況は、欧州の暖冬等を背景に、原油・LNG・石炭の価格がロシアによるウクライナ侵略前の水準まで

 低下している。

23年1月の国内企業物価は前月比で横ばいとなっている。電力・都市ガスのプラス寄与が縮小するとともに、石油・

 石炭製品の価格が低下してマイナスに寄与した。

・消費者物価は、財に加えて、一般サービスにおいても上昇するなど、物価上昇に広がりがみられる。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、9月▲5.0%10+0.9%11月▲2.9%12+0.5%

・持家着工数は前月比で、9+1.9%10月▲4.4%11月▲1.5%12+0.7%

・貸家着工数は前月比で、9月▲1.1%10+1.7%11月▲2.5%12月▲1.0%

・分譲着工数は前月比で、9月▲13.7%10+2.5%11月▲2.2%12+1.9%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、8+1.4%(出来高+1.1%)、9+3.2%(出来高▲0.7%)、10月▲3.5%(出来高▲1.0%)、

 11月▲6.9%(出来高▲0.5%)、12+0.9%(出来高+0.2%)、20231+0.9%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

・一人当たり賃金は、2022年は前年比で2.1%と31年ぶりの高い伸びとなった。月次でみると、12月はボーナスの増加を

 受けて大幅なプラスとなった。また、22年の冬のボーナスは31年ぶりの伸びとなり、事業所規模別にみても、中小企業

 を含めて全般的に高い伸びとなった。

・大企業の今春の賃上げについて、各社の個別動向をみると、物価上昇や人手不足の状況下で積極的な賃上げの動きが

 みられる。また、中小企業は過半が22年度に賃上げを実施したが、その理由をみると、物価上昇を理由にする企業割合

 が増加した。物価上昇を意識した賃上げの機運に高まりがみられる。

・物価上昇を超える賃上げの実現に向けては、原材料やエネルギーコストのみならず、賃上げ原資も含めた適切な価格転嫁

 が重要である。

・有効求人倍率は、81.3291.34101.35111.35121.35(正社員は1.03)となった。

・完全失業率は、72.6%82.5%92.6%102.6%112.5%122.5%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

202210-12月期の上場企業の決算をみると、経常利益は、為替変動による評価損で営業外収支が縮小して 前年比

 マイナスとなるも、引き続き高い水準で推移している。本業の動向を示す売上高と営業利益は、ウィズコロナの下での

 人流回復や供給制約の緩和などを背景に堅調に増加している。

○ 設備投資は、持ち直している。

・企業の設備投資は、名目ベースでは過去最高となるなど持ち直し基調が継続している。ただし、資材価格上昇の影響に

 より、実質ベースでは回復が緩やかとなっている。

 投資の内訳をみると、機械投資は足下で持ち直しの動きに足踏みがみられるが、ソフトウェア投資はデジタル化の進展等

 を背景に堅調に増加した。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

・ 倒産件数は、低い水準ではあるものの、このところ増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20223+146+99+812+720233+6

  「大企業・非製造業」は、20223+96+139+1412+1920233+11

  「中小企業・製造業」は、20223月▲46月▲49月▲412月▲220233月▲5

  「中小企業・非製造業」は、20223月▲66月、▲19+212+620233月▲1

 

生産

 生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、10月▲3.2%110.2%12+0.3%1月(予測)0.0%2月(予測)+4.1%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、9月▲1.8%10月▲5.4%11月▲6.0%12+0.8%

・電子部品・デバイスは前月比で、9+0.4%10月▲4.1%11+0.5%12月▲0.7%

   ・輸送機械は前月比で、9月▲10.3%10+4.5%11月▲0.5%12+0.9%

 

外需

○ 輸出は、このところ弱含んでいる。

・我が国の輸出は、半導体市況の軟化や中国の感染拡大を背景にアジア向けで減少し、全体として弱含みとなって

 いる。こうした中、製造業の生産も持ち直しの動きに足踏みがみられる。

2022年の経常収支は、秋ごろまでの資源価格上昇や円安などを受け、貿易収支は過去最大の赤字幅となっている。

 一方、所得収支は過去最大の黒字幅となった。貿易収支を月次の季節調整値でみると、昨年秋以降は原油価格の下落

 等を背景に鉱物性燃料の赤字幅が緩やかに縮小し、1月は前月比で横ばいとなっている。

・訪日外客数は堅調に増加した。国別に19年比での回復状況をみると、23年1月は多くの国で7割程度かそれ以上の

 水準まで回復している。

○ 輸入は、このところ弱含んでいる。

○  貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月連続で下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、9+2.910+1.511月▲1.812月▲0.71月▲0.2

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。

・物価上昇への懸念が引き続き下押し要因となる一方、インバウンド拡大に加え、新型コロナ5類移行が先行き期待の

  押上げに寄与した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、9月▲0.210月▲2.811月▲1.312+0.51+2.5

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、このところ弱さがみられる。

   先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、感染拡大の影響の長期化による下振れリスクに留意

    する必要がある。

 ・2210-12月期の実質GDP成長率は前期比で0.0%(前年比+2.9%)となった。

・消費はこのところ弱含みとなっている。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・輸出はこのところ減少している。

・固定資産投資はこのところ弱含みとなっている。

・都市部調査失業率はこのところおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率はこのところおおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きがみられる。

○ 韓国・台湾では、景気はこのところ弱い動きとなっている。

○ インドでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は持ち直しに足踏みがみられる。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融

    引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。

202210-12月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+2.9%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

1月の失業率は3.4%となった。

○ 生産はこのところ弱い動きとなっている。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工は減少し、住宅価格は下落している。

○ コア物価上昇率はこのところやや低下した。

○ 財輸出はこのところ弱い動きとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は緩やかに持ち直している。

   ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・2210-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.4% (イギリスは+0.1%、ドイツは▲1.0%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は上昇、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+7.0%1月)、イギリス+6.7%1月)。

○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ横ばいとなっている。 

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

2023年

1月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.1.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、

景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め

等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクと

なっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の

影響や中国における感染拡大の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○  2023年の世界経済は、1月公表の世界銀行の見通しでは先進国を中心に減速が見込まれている。今後も世界的な金融引締めに伴う

  影響、中国における感染拡大、物価上昇等による下振れリスクの高まりに留意する必要がある。

・中国では感染再拡大の影響により消費の弱さが続く中で輸出も減少し、景気はこのところ弱さがみられる。

 こうした影響を受けやすい韓国、台湾では、世界的な半導体需要の鈍化もあり、景気は弱い動きとなっている。

・欧米では、消費者物価上昇率は総じて高いものの、エネルギー価格等の下落を受け、アメリカに続きユーロ圏でも

 一服感がある。雇用面では、求人数はこのところ緩やかに低下した。

 

日本の実質GDP成長率

○  20227-9月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比▲0.2%(年率▲0.8%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・ウィズコロナの下、感染状況がサービス消費を下押しする傾向は弱まっており、22年秋以降は概ねコロナ禍前より

 高い水準で推移している。

・足下の動向について、カード支出を見ると12月後半にかけて財・サービスともに改善しており、年末年始の交通機関

 の利用実績を見ても航空(国内線)や新幹線はコロナ禍前水準に近づいている。

・外食についても、忘年会等の自粛が続くことで居酒屋等では回復に遅れが見られるが、総じてみれば概ねコロナ禍前の

 水準を回復した。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、7+0.2%80.0%9+0.5%100.0%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、8+2.3%9月▲1.7%10月▲0.9%11月▲1.3%12+1.7%

11月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.1%となった。

 

物価

○ 国内企業物価・消費者物価は、ともに上昇している。

・輸入物価は、昨秋以降、国際商品市況が不安定ながらも下落し、円高が加わり下落した。国内企業物価は、輸入物価

 から遅れて変動することから、足下では引き続き上昇している。

・消費者物価について、品目別の価格変化の分布を見ると、上昇率ゼロの品目の割合が減少し、プラス幅の大きい品目の

 割合が増加した。また、当面は、食料品等の値上げが見込まれる。一方、1月に電気・ガス価格激変緩和対策事業が

 開始、支払い月の2月から電気・ガス代の引下げ効果が発現する見込みとなっている。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅建築費が上昇する中で持家着工は弱含んでいるが、貸家着工は、床面積の大きな賃貸住宅を中心に持ち直しの動き

 がみられる。

・金融環境を見ると、固定型の住宅ローン金利は上昇傾向となっている。一方、金利タイプ別割合を見ると、相対的に

 低利の変動金利型が多く、住宅ローン返済額の可処分所得に対する割合も低下傾向となっている。ただし、住宅ローン

 残高は増加しており、金利変動の影響には留意が必要である。

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、8+9.4%9月▲5.0%10+1.5%11月▲3.7%

・持家着工数は前月比で、8+3.1%9+1.9%10月▲6.6%11月▲1.0%

・貸家着工数は前月比で、8+7.9%9月▲1.1%10+3.5%11月▲4.5%

・分譲着工数は前月比で、8+14.6%9月▲13.7%10+4.5%11月▲2.6%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、7月▲9.0%(出来高▲0.4%)、8+1.4%(出来高+1.1%)、9+3.2%(出来高▲0.7%)、

 10月▲3.2%(出来高▲1.0%)、11月▲12.7%(出来高▲0.5%)、12+0.9%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。完全失業率は低水準で推移し、有効求人倍率は持ち直している。

・労働需給がタイト化する中で、パート募集時の平均時給が改善しており、一般労働者の現金給与総額を見ても、

 21年半ば以降、時給の改善が現金給与総額の増加に寄与している。

・処遇改善や会社の将来性不安を理由とした自発的な転職では、転職を通じて賃金の伸びは高まり、仕事に対する

 意欲も改善傾向となっている

・有効求人倍率は、71.2981.3291.34101.35111.35(正社員は1.04)となった。

・完全失業率は、62.6%72.6%82.5%92.6%102.6%112.5%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

○ 設備投資は、持ち直している。

・投資は、足下で、資本財総供給の持ち直しの動きに足踏みがみられるが、ソフトウェア投資は引き続き緩やかに

 増加した。企業による設備投資計画によると、設備投資意欲は引き続き強い。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

・ 倒産件数は、低い水準ではあるものの、このところ増加がみられる。

・ 中小企業の資金繰り環境は緩和的となっている。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20223+146+99+812+720233+6

  「大企業・非製造業」は、20223+96+139+1412+1920233+11

  「中小企業・製造業」は、20223月▲46月▲49月▲412月▲220233月▲5

  「中小企業・非製造業」は、20223月▲66月、▲19+212+620233月▲1

 

生産

 生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・輸送機械に持ち直しの動きがみられる一方、生産用機械(半導体製造装置等)の増勢が鈍化するなど、総じてみると

 持ち直しの動きに足踏み。

需要先を鉱工業出荷でみると、輸送機械工業は供給制約の影響で回復が遅れており、その他業種の輸出向けの出荷が

生産の増加に寄与している。

・鉱工業生産指数は前月比で、9月▲1.7%10月▲3.2%110.2%12月(予測)+2.8%1月(予測)▲0.6%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、8+6.2%9月▲1.8%10月▲5.4%11月▲6.0%

・電子部品・デバイスは前月比で、8月▲6.4%9+0.4%10月▲4.1%11+0.5%

   ・輸送機械は前月比で、8月▲1.0%9月▲10.3%10+4.5%11月▲0.5%

 

外需

○ 輸出は、このところ弱含んでいる。

・我が国の輸出は、アジア向けがこのところ減少し、全体として弱含みとなっている。

 一方、貿易収支を見ると、鉱物性燃料の輸入価格が下落し、赤字幅は縮小した。

・水際対策の緩和を受けて、12月の訪日外客数は2019年平均の半分程度まで回復した。1012月の訪日外国人消費額は

 国別に見ると、一人当たり消費額の増加により、一部で2019年水準を概ね回復している。

2000年半ば以降のサービス輸出の動向を見ると、デジタル関連サービスの伸び悩みなどから、世界に比べ成長に遅れが

 みられる。デジタル人材育成やスタートアップの支援等を通じたデジタル関連産業の競争力強化が重要である

○ 輸入は、このところ弱含んでいる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、8+1.79+2.910+1.511月▲1.812月▲0.2

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、8+6.69月▲0.210月▲2.811月▲1.3121.9

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、このところ弱さがみられる。

  先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、感染拡大の影響の長期化による下振れリスクに留意する

  必要がある。

 ・2210-12月期の実質GDP成長率(前期比)は0.0%となった。

・消費はこのところ弱含みとなっている。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・輸出はこのところ減少している。

・固定資産投資はこのところ弱含みとなっている。

・都市部調査失業率はこのところおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率は低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ低下した。

   ★ 中国の貿易措置緩和(18日~)

    ・新型コロナの感染症分類を引き下げ、隔離措置・濃厚接触者の判定・高リスク地域の設定等を取りやめ。

     感染者数は月に一度の発表に変更。

    ・医療機関における新型コロナ関連死者数は、128日~112日は59938人、11319日は1万2,658人と発表。

    ・当局は、本年の春節前後(17日~215)の旅客数を延べ20.95億人(2019年比29.7%減)と予測。

 

○ 韓国・台湾では、景気はこのところ弱い動きとなっている。

○ インド・タイでは、景気は持ち直している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融引締め

  に伴う影響等による下振れリスクの高まりに留意する必要がある。

20227-9月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+3.2%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

12月の失業率は3.5%となった。

○ 生産はこのところ弱い動きとなっている。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 設備投資は緩やかに持ち直している。

○ コア物価上昇率は高水準でおおむね横ばいとなった。

○ 財輸出はこのところ弱い動きとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は緩やかに持ち直している。

   ドイツは、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・227-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.2% (イギリスは▲1.2%、ドイツは+1.6%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は上昇、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.9%12月)、イギリス+7.1%12月)。

○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

 

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスは弱含んでいる。

2022年

12月

21日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.12.21)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、

景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め

等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクと

なっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響や中国における感染動向に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は、中国、韓国等の一部の地域において足踏みがみられるものの、緩やかな持ち直しが続いている。

2023年の世界経済は欧米を中心に減速が見込まれている。

・感染再拡大の動きがみられる中国では消費や生産等の伸びが低下し、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。

 韓国では半導体需要の鈍化の影響等から輸出は弱い動きとなり、景気は弱い動きとなっている。

・欧米の失業率は引き続きおおむね横ばいとなっている。消費者物価の上昇テンポには各国差がみられだしたものの、

 総じて高く、物価安定に向けた金融引締めが継続している。

・今後とも金融資本市場の変動や物価上昇、供給制約等による下振れリスクの高まりに留意が必要である。

 

日本の実質GDP成長率

○  20227-9月期の実質GDP成長率は、前期比▲0.2%(年率▲0.8%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・カード支出の動向は、財が概ね横ばいである一方、サービス消費は、外食は持ち直しテンポが緩やかになっている

 ものの、旅行・宿泊は全国旅行支援等の政策効果もあり着実に持ち直しとなっている。

2022年は、ウィズコロナが進展したことで、感染拡大に伴う対面サービス消費の減少幅は、過去の感染拡大局面と

 比較して大幅に縮小した。

 こうした中、年末年始の旅行予約も昨年を上回る見通しとなっている。

・インバウンドも、水際対策の緩和によって観光目的の訪日外客が大幅に増加した。円安の環境もあり、旅行者一人

 当たりの消費額も、コロナ前の2019年に比べて大きく増加となっている。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、6+0.4%7+0.2%80.0%9+1.0%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、7月▲1.9%8+2.3%9月▲1.7%10月▲0.9%11月▲1.3%。 

10月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.0%となった。

 

物価

○ 国内企業物価・消費者物価ともに、上昇している。

輸入物価・輸出物価はともに下降した。

・国際商品市況は、引き続き不安定な動きが続いている中で、原油(円ベース)は足下ではロシアによるウクライナ

 侵攻前の水準まで低下している。

・国内企業物価は、足下では引き続き高い伸びとなっている。これまでの原油価格等の上昇が時間差を伴って価格に

 反映されること等から、電力・都市ガスのプラス寄与が高まっている。

・消費者物価も輸入物価に対して遅れて変動するため、足下では引き続き上昇している。

 こうした動向も背景に、消費者物価を品目別にみると、食料品を中心に約8割の品目で前年比上昇となるなど、

 物価上昇に広がりがみられる。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、7月▲2.4%8+9.4%9月▲5.0%10+1.5%

・持家着工数は前月比で、7月▲2.8%8+3.1%9+1.9%10月▲6.6%

・貸家着工数は前月比で、7月▲2.8%8+7.9%9月▲1.1%10+3.5%

・分譲着工数は前月比で、7月▲0.7%8+14.6%9月▲13.7%10+4.5%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、6+7.7%(出来高+2.6%)、7月▲9.0%(出来高▲0.4%)、8+1.4%(出来高+1.1%)、

 9+3.2%(出来高▲0.7%)、10月▲3.2%(出来高▲1.0%)、11月▲12.7%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

○ 一人当たり時給(所定内)は、賃上げの流れの定着・拡大、ウィズコロナの下での労働需要の高まりから、一般・

  パートともに緩やかに増加した。

○ 冬のボーナスは、連合の集計によれば、好調な企業収益を背景として前年比6.6%増と2年連続の高い伸びとなる

  見込みである。

○ 民間調査によると、全体の約25%の企業が月給への上乗せや一時金としての支給等を通じ、物価高に対応する手当

  を支給あるいは予定・検討している

   ・有効求人倍率は、61.2771.2981.3291.34101.35(正社員は1.03)となった。

   ・完全失業率は、52.6%62.6%72.6%82.5%92.6%102.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

   ・本年7-9月期の企業の経常利益は、前年同期比で7期連続の増益となっている。水準も7-9月期として過去最高となった。

    特に、円安による押上げ効果もあり製造業が伸びを牽引している。

○ 設備投資は、持ち直している。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

・ 特に、全国旅行支援やインバウンド再開を背景に非製造業で改善した。一方、原材料コストの上昇は企業の利益を

  圧迫しており、特に中小企業では影響が顕著となっている。

・ 製造業の疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)は、仕入価格の上昇が鈍化し、価格転嫁が徐々に進んで販売

  価格の上昇がみられる中、改善の動きがみられる。ただし、大企業に比べ中小企業が相対的に厳しい状況は継続して

  いる。

・ 倒産件数はおおむね横ばいとなっている。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20223+146+99+812+720233+6

  「大企業・非製造業」は、20223+96+139+1412+1920233+11

  「中小企業・製造業」は、20223月▲46月▲49月▲412月▲220233月▲5

  「中小企業・非製造業」は、20223月▲66月、▲19+212+620233月▲1

 

生産

 生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・製造業の生産は、輸出の動向と連動し、輸送機械は持ち直しの動きだが、電子部品・デバイスは世界的なPC・

 スマホ需要の一服等を背景にこのところ低下している。生産用機械では、受注が底堅い中で納期平準化の動きも

 あり、このところ増勢が鈍化している。

・世界の半導体市場予測は大幅に下方修正となった。長期的なニーズは底堅いものの、コロナ禍での拡大は一服した。

・鉱工業生産指数は前月比で、8+3.4%9月▲1.7%10月▲3.2%11月(予測)+3.3%12月(予測)+2.4%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、7+6.0%8+6.2%9月▲1.8%10月▲5.4%

・電子部品・デバイスは前月比で、7月▲9.2%8月▲6.4%9+0.4%10月▲4.1%

   ・輸送機械は前月比で、7+10.7%8月▲1.0%9月▲10.3%10+4.5%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・品目別にみると、自動車等の輸送機器は持ち直し傾向である一方、半導体等の電気機器及び化学製品は減少傾向と

 なっている。半導体製造装置等の一般機械はこのところ横ばいとなっている

○ 輸入は、おおむね横ばいとなっている。

○  貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、7月▲9.18+1.79+2.910+1.511月▲1.8

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月連続で下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、7月▲4.88+6.69月▲0.210月▲2.811月▲1.3

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

  先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、不動産市場の動向や経済活動の抑制の影響等を

  注視する必要がある。

 ・227-9月期の実質GDP成長率(前期比)は+3.9%となった。

・消費はこのところ弱含みとなっている。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・輸出はこのところ弱い動きとなっている。

・固定資産投資はこのところ弱含みとなっている。

・都市部調査失業率はこのところ上昇している。

・消費者物価上昇率は低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ低下した。

 

○ 韓国では、景気はこのところ弱い動きとなっている。

○ インド・タイでは、景気は持ち直している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾では、景気はこのところ回復が弱まっている。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。

  ただし、金融引締めに伴う影響等による下振れリスクの高まりに留意する必要がある。

20227-9月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+2.9%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

11月の失業率は3.7%となった。

○ 生産は底堅く推移している。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数も持ち直しの動きがみられる。

○ 設備投資は緩やかに持ち直している。

○ コア物価上昇率は高水準でおおむね横ばいとなった。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなった。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は緩やかに持ち直している。

   ドイツは、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・227-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.3% (イギリスは▲0.7%、ドイツは+1.6%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は上昇、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.6%11月)、イギリス+7.0%11月)。

○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスは弱含んでいる。

2022年

11月

24日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.11.24)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、

景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め

等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクと

なっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は、緩やかな持ち直しが続いている。

20227-9月期の実質成長率は、アメリカは+0.6%、ユーロ圏は+0.2%となった。

・欧米の失業率は総じておおむね横ばいとなっている。消費者物価の上昇が続く中、物価安定に向けて速いテンポで金融

 引締めを実施している。

・英国では消費が弱含み、設備投資がこのところ横ばいとなるなど、景気は足踏みとなっている。

・台湾では半導体の需要鈍化の影響等から生産がこのところ弱い動きとなり、景気回復に弱まりがみられる。

・今後とも金融資本市場の変動や物価上昇、供給制約等による下振れリスクの高まりに留意が必要となる。

 

日本の実質GDP成長率

○  20227-9月期の実質GDP成長率は、前期比▲0.3%(年率▲1.2%)となった。

・個人消費や設備投資など民需を中心とした回復が続く一方、輸入が供給制約緩和に伴う反動増や一時的な要因による対外

 サービス支払い等により前期比で大幅増となり、全体としてはマイナスとなった。

・また、輸入価格上昇(交易条件悪化)により、国内の生産活動の対価として得られる所得が海外に流出する形(交易利得

 の減少)となり、その結果、実質GNI(国民総所得)の伸びは前期比▲0.7%と実質GDPの伸びを下回る。

 交易条件改善に向けては、価格転嫁や高付加価値化、省エネの推進などの取組が重要となる。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・ここ1年間では、ウィズコロナへ移行する中でサービス消費(飲食・宿泊・娯楽等)と半耐久財(洋服等)の回復が牽引

 している。他方で、サービス消費は依然コロナ前の水準を下回る。

10月にかけての動向をカード支出でみると、財は概ね横ばいである一方、サービスが回復することで、消費全体は実質

 ベースで増加している。週次データで直近の状況をみても、外出機会の増加や全国旅行支援等の政策効果もあり、外食・

 宿泊など対面サービスの回復が続く。

・他方、物価上昇の下で実質所得が制約され、マインドも低下する中、家計では消費の抑制が続いており、コロナ禍で生じた

 超過貯蓄はさらに積み上がっている。持続的な消費拡大に向けては、物価上昇に負けない賃上げの実現が重要となる。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、5+0.8%6+0.4%7+0.2%8月▲0.2%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、6月▲2.0%7月▲1.9%8+2.3%9月▲1.7%10月▲0.9%。 

9月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.2%となった。

 

物価

○ 国内企業物価・消費者物価ともに、上昇している。

輸入物価・輸出物価ともに上昇している。

・国内で生産された付加価値全体の物価動向を示すGDPデフレーターは、輸入デフレーターの上昇率に対して、価格転嫁

 の遅れもあって、消費や投資などの国内需要及び輸出のデフレーターの上昇率が下回っていることから、前年比マイナス

 で推移した。

・国際商品市況をみると、不安定な動きが続いている中ではあるが、原油価格等の上昇に一服感もみられる。

・こうした中で、輸入物価は足下で上昇テンポが鈍化。一方、これまでの輸入物価の上昇を背景に、国内企業物価と消費者

 物価は上昇した。

 日次ベースの指標で直近の動向をみると、食料品等の物価は11月に入ってさらに上昇しており、消費者物価は11月も上昇

 が続く見込みである。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、6+2.1%7月▲2.4%8+9.4%9月▲5.1%

・持家着工数は前月比で、6月▲2.0%7月▲2.8%8+3.1%9+1.9%

・貸家着工数は前月比で、6+2.2%7月▲2.8%8+8.0%9月▲1.3%

・分譲着工数は前月比で、6+5.9%7月▲0.7%8+14.6%9月▲13.7%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、5月▲2.0%(出来高+2.3%)、6+7.7%(出来高+2.6%)、7月▲9.0%(出来高▲0.4%)、

 8+1.4%(出来高+1.1%)、9+3.2%(出来高▲0.7%)、10月▲3.2%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

○ ハローワークの新規求人数は横ばいだが、有効求人倍率は引き続き上昇し、民間転職市場における求人倍率も上昇が続く

  など、労働需給は引き締まりを見せている。

   一人当たり賃金は、賃上げによる所定内給与の増加などから、前年比でプラスが継続。パート賃金も、ウィズコロナが進展

  して労働需要が高まる中で、これまでの最低賃金引上げによる押上げもあり、堅調な伸びとなった。

   また、転職により賃金が1割以上増加した者の割合は5四半期連続で上昇した。

 こうした流れの下、人への投資強化、成長分野への円滑な労働移動の促進等により、構造的な賃上げを実現することが重要

 となる

 ・有効求人倍率は、51.2461.2771.2981.3291.34(正社員は1.03)となった。

 ・完全失業率は、42.5%52.6%62.6%72.6%82.5%92.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

  ・20227-9月期の上場企業の決算は、製造業・非製造業ともに増収増益となり、経常利益は7-9月期としては過去最高となった。

      製造業で、売上高に比して営業利益の伸びが低いなど原材料価格上昇の影響はみられる一方、円安によって海外での収益が円建てで増加

      したことがプラス要因となった。

○ 設備投資は、持ち直している。

  ・好調な収益も背景とした企業の高い投資意欲の下、コロナ禍で先送りされていた能力増強の機械投資などによって、設備

投資は持ち直している。7-9月期の投資水準は、名目では過去ピークと同程度まで回復したが、実質では未だ低い水準で

あり、新しい資本主義の実現・成長力強化に向けた投資喚起が重要となる。

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・倒産件数はおおむね横ばいとなっている。

・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、202112+1820223+146+99+812+9

  「大企業・非製造業」は、202112+920223+96+139+1412+11

  「中小企業・製造業」は、202112月▲120223月▲46月▲49月▲412月▲5

  「中小企業・非製造業」は、202112月▲420223月▲66月、▲19+212月▲3

 

生産

 生産は、持ち直しの動きがみられる。

・製造業の生産は、輸出の動きと連動し、IC等の電子部品・デバイスが弱含みで推移する一方、供給制約の緩和に伴い

  輸送機械が回復しており、また、世界的に需要が堅調である半導体製造装置や建設・鉱山機械などの生産用機械が増加

  した。

  財別にみると、積極的な設備投資等を背景に、機械や建設資材などの投資財が堅調な伸びとなった。

・鉱工業生産指数は前月比で、7+0.8%8+3.4%9月▲1.7%10月(予測)▲0.4%11月(予測)+0.8%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、6+9.0%7+6.0%8+6.2%9月▲1.8%

・電子部品・デバイスは前月比で、6+11.6%7月▲9.2%8月▲6.4%9+0.4%

   ・輸送機械は前月比で、6+11.8%7+10.7%8月▲1.0%9月▲10.3%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・品目別にみると、世界的なスマホ・PC需要の一服等に伴い電気機器及び化学製品は減少傾向であるが、自動車等の

  輸送機器や一般機械では増加が続く

○ 輸入は、おおむね横ばいとなっている。

○  貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、6月▲1.17月▲9.18+1.79+2.910+1.5

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、6月▲4.97月▲4.88+6.69月▲0.210月▲2.8

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は一部に弱さが残るものの、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが

     期待される。ただし、不動産市場の動向や経済活動の抑制の影響等を注視する必要がある。

 ・227-9月期の実質GDP成長率(前期比)は+3.9%となった。

・消費はこのところ持ち直しのテンポが鈍化している。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出はこのところ増加のテンポが鈍化している。

・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率は低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はおおむね横ばいとなっている。

  参考◎貿易措置の緩和(1111日発表)

   ★ 全国統一基準での防疫措置を徹底。

・基準を外れた恣意的な休校、生産停止、交通遮断、診察拒否等を厳禁。

・部品供給や生活保障に関わる重点企業には「ホワイトリスト」制度を実施。

・封鎖対象地域を「高リスク地域」に限定し、封鎖対象者数を最小化(※5日間感染者なしの場合、低リスク地域に移行し、

 速やかに封鎖を解除

・濃厚接触者の隔離期間を短縮(※「7日間の集中隔離+3日間の在宅健康観察」から「5日間の集中隔離+3日間の自宅隔離」

 に変更)、二次濃厚接触者は隔離措置の対象外。

 

○ 韓国では、景気は持ち直しに足踏みがみられる。

○ インド・タイでは、景気は持ち直している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾では、景気はこのところ回復が弱まっている。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な

  金融引締めが進む中での金融資本市場の変動や物価上昇、供給面での制約等による下振れリスクの高まりに留意する必要がある

20227-9月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+2.6%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

10月の失業率は3.7%となった。

○ 生産は底堅く推移している。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数も持ち直しの動きがみられる。

○ 設備投資は緩やかに持ち直している。

○ コア物価上昇率は高水準でおおむね横ばいとなった。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は総じてみれば緩やかに持ち直している。

   ドイツは、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

 イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態である。

 ・227-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.8%

 (イギリスは▲0.7%、ドイツは+1.1%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはこのところ低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.4%10月)、イギリス+7.2%10月)。

○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直しに足踏みがみられ、イギリスは横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ弱含んでいる。

2022年

10月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.10.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの新たな段階への移行が進められる中、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は、緩やかな持ち直しが続いている。2022年成長見通しは、アメリカで下方修正となったが、 世界全体では変わらずプラス成長の

  見込みとなっている。

・足下、ドイツをはじめユーロ圏では消費に足踏みがみられるものの、欧米諸国の失業率は総じて概ね横ばいとなっている。

 先進国・新興国ともに消費者物価の上昇が続き、金融引締めが進展する中、金融資本市場には不安定な動きがみられる。

 今後も金融資本市場の変動や物価上昇、供給制約等による下振れリスクの高まりに留意が必要である。

・中国では共産党大会において、技術革新や安全保障などの経済関連方針が発表された。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・9月以降、外食や旅行・宿泊などサービス消費の改善が継続している一方、消費を取り巻く環境をみると、雇用情勢が

 改善し、賃上げの流れが定着・拡大する中、総雇用者所得は名目ではプラスだが、物価上昇により実質ではマイナスが

 続く。

・消費者マインドも物価上昇を背景に弱含んでおり、低所得層ほどマインドが低い状況となっている。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、4+1.1%5+0.8%6+0.4%70.0%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、5+1.1%6月▲2.0%7月▲1.9%8+2.3%9月▲1.7%。 

8月の実質総雇用者所得は、前期比で0.0%となった。

 

物価

○ 国内企業物価・消費者物価ともに、上昇している。

輸入物価・輸出物価ともに上昇している。

・国際商品市況は、世界的な金融引締め等を背景に不安定な動きが続く中、足下では円安も進行している。こうした動き

 を受け、国内企業物価も引き続き上昇となった。

・消費者物価は、エネルギーや食料品を中心に9月は3.0%(総合)と引き続き高い伸びとなあっている。スーパー等の

 POSデータから、食料品について日次の物価動向をみると10月に入って更に上昇率が高まっていることなどから、

 消費者物価は10月も上昇が見込まれる。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、5月▲6.5%6+2.1%7月▲2.4%8+9.4%

・持家着工数は前月比で、5+1.4%6月▲2.0%7月▲2.8%8+3.1%

・貸家着工数は前月比で、5月▲4.6%6+2.2%7月▲2.8%8+8.0%

・分譲着工数は前月比で、5月▲15.4%6+5.9%7月▲0.7%8+14.6%

   公共投資は、底堅さが増している。

・請負金額は前月比で、4月▲3.4%(出来高+1.7%)、5月▲2.0%(出来高+2.3%)、6+7.7%(出来高+2.6%)、

 7月▲9.0%(出来高▲0.4%)、8+1.4%(出来高+1.1%)、9+3.2%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

○ 8月の失業率は低下し、就業者数は概ね横ばいの動きとなっている。

○ 有効求人倍率の上昇は継続している。日銀短観9月調査によると、企業の雇用人員判断は不足感が高まっており、特に、

  ウィズコロナの下で消費の改善が続く宿泊・飲食では、春以降の不足感の高まりが顕著となっている。

○ 一人当たり賃金は、前年比でプラスが継続している。堅調だった夏のボーナスと、賃上げによる所定内給与増の寄与が

  大きい。成長と分配の好循環の実現に向け、引き続き、賃上げの流れの継続・拡大が重要である。

  ・有効求人倍率は、41.2351.2461.2771.2981.32(正社員は1.02)となった。

  ・完全失業率は、32.6%42.5%52.6%62.6%72.6%82.5%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

○ 設備投資は、持ち直している。

・日銀短観9月調査によると、今年度の企業の設備投資計画は引き続き二桁の伸びと高い水準となった(前回6月調査から

 上方修正)。

・機械投資も、先行指標である機械受注とともに持ち直している。非居住用の建設投資も、運輸業の倉庫や製造業の工場

 の新設などにより増加傾向となっている。

・各社の個別案件をみても、コロナ禍で先送りされていた能力増強や国内生産の強化、デジタル化や脱炭素など、様々な

     前向きな取組が表れている。

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

  ・日銀短観9月調査によると、非製造業ではウィズコロナの進展 により前回6月調査から改善した一方、製造業では物価高

    の下で横ばいとなった。特に中小企業の製造業では、引き 続き「悪い」が「良い」を上回って推移している。

  ・ 製造業の疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)は、仕入価格の上昇ペースが鈍化し、価格転嫁が進展して販売

    価格が上昇したことで、わずかに改善した。ただし、大企業に比べ中小企業が相対的に厳しい状況は継続している。

  ・こうした中、今年度の経常利益計画は、中小企業において前年度比でマイナスとなった。引き続き、価格転嫁が課題となっ

    ている。

  ・倒産件数はおおむね横ばいとなっている。

  ・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、202112+1820223+146+99+812+9

    「大企業・非製造業」は、202112+920223+96+139+1412+11

    「中小企業・製造業」は、202112月▲120223月▲46月▲49月▲412月▲5

    「中小企業・非製造業」は、202112月▲420223月▲66月、▲19+212月▲3

 

生産

 生産は、持ち直しの動きがみられる。

・製造業の生産は、ICなどの電子部品・デバイスが弱含みに転ずる一方、生産用機械が増加しており、全体として持ち直し

  の動きがみられる。

  財別にみると、企業の前向きな投資行動等を背景に、機械や建設資材などの投資財が堅調な伸びがみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、6+9.2%7+0.8%8+3.4%9月(予測)+2.9%10月(予測)+3.2%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、5月▲5.0%6+9.0%7+6.0%8+6.2%

・電子部品・デバイスは前月比で、5月▲4.2%6+11.6%7月▲9.2%8月▲6.4%

・輸送機械は前月比で、5月▲7.4%6+11.8%7+10.7%8月▲1.0%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・品目別にみると、生産関連の機械や自動車で増加傾向がみられる一方、世界的なスマホ・PCの需要一服等を背景に

  半導体等電子部品やプラスチック等が減少傾向となった

○ 輸入は、おおむね横ばいとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

  参考 我が国の経常収支は、リーマンショック以降、所得収支に支えられ、貿易中心から投資中心に変化。貿易収支は概ね均衡する下、輸出の増加

         要因は数量から付加価値へと変化した。こうした中、2022年以降、エネルギー輸入は価格上昇を要因に輸入額が大幅に増加し、これに伴い、

         貿易収支も経常収支も赤字化となった。経常収支の改善には、エネルギー構造の改善、知財等を含むサービス輸出の強化、円安を活かした

         輸出拡大が重要となる。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、5+3.66月▲1.17月▲9.18+1.79+2.9

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月ぶりに下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、5+2.26月▲4.97月▲4.88+6.69月▲0.2

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は一部に弱さが残るものの、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが

      期待される。ただし、不動産市場の動向や金融資本市場の変動、経済活動の抑制の影響等を注視する必要がある。

 ・224-6月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+0.4%となった。

・消費は持ち直しの動きがみられる。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出は緩やかに増加している。

・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。

・都市部調査失業率は低下している。

・消費者物価上昇率はこのところ低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はおおむね横ばいとなっている。

○ 韓国では、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

○ インド・タイでは、景気は持ち直している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾では、景気はこのところ回復に足踏みがみられる。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融引締め

      に伴う影響等による下振れリスクの高まりに留意する必要がある

20224-6月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率▲0.6%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

9月の失業率は3.5%となった。

○ 生産は底堅く推移している。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数は弱い動きとなっている。

○ 設備投資はこのところ横ばいとなっている。

○ コア物価上昇率は高水準でおおむね横ばいとなった。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は総じてみれば緩やかに持ち直している。

   ドイツは、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

イギリスでは、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

 ・224-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+3.3%

 (イギリスは▲0.3%、ドイツは+0.6%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはこのところ低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.0%9月)、イギリス+7.1%9月)。

○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直しに足踏みがみられ、イギリスは横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ弱含んでいる。

2022年

9月

30日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.9.30)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの新たな段階への移行が進められる中、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

世界の景気は、緩やかな持ち直しが続いている。欧米主要国の2022年成長見通しは下方修正となったものの、総じてプラス成長となる見込みと

 なっている。

・失業率は総じておおむね横ばい。欧米の消費者物価は上昇が続いており、物価安定に向けて速いテンポで金融引締めを実施。

 ただし、金融資本市場の変動や物価上昇、供給制約等による下振れリスクの高まりに引き続き留意が必要である。

・英国では消費は弱含んでおり、景気は持ち直しに足踏み。世界的な物価上昇の下で半導体の需要鈍化の影響等から韓国や

 台湾では製造業の景況感が低下し、景気に足踏みが見られる。

 

日本の実質GDP成長率

20224-6月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比+0.9%(年率+3.5%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・足下では、夏場の感染拡大が落ち着きを見せる中で、外食売上や宿泊稼働率も改善の動きとなっている。

・雇用が改善し、賃上げの流れが定着・拡大する中、総雇用者所得は名目ではプラスだが、物価上昇により実質ではマイナス

 となり、消費者マインドも弱含みとなっている。

・家計の消費支出をみると、エネルギー・食料品関連の支出は物価上昇に伴い2019年比でプラスとなっている一方、その他の

 支出はマイナスであり、低所得者層を中心に節約傾向が継続している。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、3+0.2%4+1.1%5+0.8%6+0.4%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、4+0.2%5+1.1%6月▲2.0%7月▲1.9%8+2.3%。 

  ・7月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.8%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、上昇している。

・国際商品市況は、本年半ば以降、欧米の金融引締め等を背景に下落の動きもみられるなど不安定な動きが続く中、足下では

 円安も進行している。

○ 消費者物価は、8月は前年比+3.0%(総合)と引き続き高い伸びであり、サービス価格もプラスに転じた。物価上昇はエネルギーや食料品といった

   必需品に顕著に現れている。今後も食料品を中心に値上げが予定されており、また、電気代等は市況の動きを時差を伴って反映することから、消費者

   物価の上昇は続くと見込まれる。 

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・建設コストの上昇等を背景に持ち家の着工は弱い動きだが、貸家及び分譲の着工は底堅い動きとなっている。

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、4月▲4.6%5月▲6.5%6+2.1%7月▲2.4%

・持家着工数は前月比で、4月▲2.3%5+1.4%6月▲2.0%7月▲2.8%

・貸家着工数は前月比で、4月▲11.8%5月▲4.6%6+2.2%7月▲2.8%

・分譲着工数は前月比で、43.2%5月▲15.4%6+5.9%7月▲0.7%

   公共投資は、底堅さが増している。

・請負金額は前月比で、3+13.6%(出来高+0.8%)、4月▲3.4%(出来高+1.7%)、5月▲2.0%(出来高+2.3%)、6+7.7%

(出来高+2.6%)、7月▲9.0%(出来高▲0.4%)、8+1.4%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

○ 失業率は、7月はおおむね横ばいとなった。失業率・就業者数は足下で概ね横ばいだが、就業率は女性雇用者の増加等によって上昇傾向が継続

      した。

○ 一人当たり賃金は、前年比でプラスが継続。夏のボーナス(6-7月平均)は、2018年以来の前年比プラスとなった。好調な収益を背景に、規模が

     大きい企業ほどプラス幅が大きい。成長と分配の好循環の実現に向け、引き続き、賃上げの流れの継続・拡大が重要である。

   ・有効求人倍率は、31.2241.2351.2461.2771.29(正社員は1.01)となった。

   ・完全失業率は、22.7%,32.6%42.5%52.6%62.6%72.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

   20224-6月期の企業の経常利益は、大中堅企業を中心に増加し、全体としては過去最高水準となった。他方、中小企業では

      前年同期比・前期比ともにマイナスとなっている。

    ・特に、製造業をみると、大中堅企業では営業利益が微減となる中、円安に伴う為替差益等(営業外収支)が経常利益を押上げ

     ている。一方、中小企業では、原材料高を十分に価格転嫁できずに営業利益が大きく減少した。

  ・円安による営業外収支の押上げも少ない。中小企業の収益力強化に向けては、価格転嫁、輸出促進を含めた販路拡大等が課題

    である

○ 企業の設備投資は、デジタル化等の流れを受けたソフトウェア投資の増加が牽引する中、持ち直しの動きが見られる。

・機械投資も、特に先行指標である機械受注が持ち直した。企業規模別にみると、好調な収益を背景に大中堅企業の投資は

  20224-6月期に前期比で大きくプラスとなった一方、中小企業ではマイナス。収益改善と投資拡大に向けた取組、そのため

  にも価格転嫁が引き続き重要である。

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・ 倒産件数はおおむね横ばいとなっている。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20219+1812+1820223+146+99+10

  「大企業・非製造業」は、20219+212+920223+96+139+13

  「中小企業・製造業」は、20219月▲312月▲120223月▲46月▲49月▲5

  「中小企業・非製造業」は、20219月▲1012月▲420223月▲66月、▲19月▲5

 

生産

 生産は、持ち直しの動きがみられる。

・製造業の生産は、ICなどの電子部品・デバイスが横ばいに転じる一方、設備投資向けの資本財は緩やかに増加しており、

  全体として持ち直しの動きとなった。

・鉱工業生産指数は前月比で、5月▲7.5%6+9.2%7+0.8%8月(予測)+5.5%9月(予測)+0.8%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、4月▲2.7%5月▲5.0%6+9.0%7+6.0%

・電子部品・デバイスは前月比で、4月▲6.6%5月▲4.2%6+11.6%7月▲9.2%

   ・輸送機械は前月比で、4月▲0.1%5月▲7.4%6+11.8%7+10.7%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・自動車は供給制約の緩和から持ち直しているが、世界的なPC・スマホ需要の一服等を背景にICは弱含みとなっている。

我が国最大の輸出先の一つである米国向け輸出の動向をみると、日本は相対的に伸び悩みとなっている。EUは医療用品

  の化学工業製品の寄与が高い。日本は半導体製造装置、建設用・鉱山用機械等の機械機器に競争力を有するが、主力の自動車

  がマイナスに寄与した。

○ 輸入は、持ち直しの動きがみられる。

○  貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月ぶりに上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、4+2.65+3.66月▲1.17月▲9.18月+1.7

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月ぶりに上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、4+0.25+2.26月▲4.97月▲4.88+6.6

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は一部に弱さが残るものの、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待

      される。ただし、不動産市場の動向や金融資本市場の変動、経済活動の抑制の影響等を注視する必要がある。

 ・224-6月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+0.4%となった。

・消費は持ち直しの動きがみられる。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出は緩やかに増加している。

・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。

・都市部調査失業率は低下している。

・消費者物価上昇率はこのところ低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はおおむね横ばいとなっている。

○ 韓国では、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

○ インド・タイでは、景気は持ち直している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾では、景気はこのところ回復に足踏みがみられる。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う

      影響等による下振れリスクの高まりに留意する必要がある

20224-6月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率▲0.6%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

8月の失業率は3.7%となった。

○ 生産はおおむね横ばいとなっている。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数は弱い動きとなっている。

○ 設備投資はこのところ横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は一部でテンポの鈍化がみられるものの持ち直している。

イギリスでは、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

ドイツは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。

 ・224-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+3.1%

 (イギリスは▲0.3%、ドイツは+0.6%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともにこのところ横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+5.5%8月)、イギリス+6.7%8月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直し、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

 

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

 

2022年

8月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.8.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が

進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待

される。ただし、世界的に金融引き締め等を背景とした海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇による家計や企業への影響や供給面での制約に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

世界の景気は、持ち直しのテンポが鈍化している。

・失業率が低下傾向で推移する一方、世界的な物価上昇、金融引締めが進む中で、46月期GDPは、アメリカ、イギリス、ドイツ

 などでマイナスとなった。

・アメリカでは、個人消費はプラスが続く一方、金利上昇等を背景に、住宅投資、設備投資はマイナスとなった。

・ユーロ圏は、旅行や宿泊などのサービス消費は底堅い動きがうかがえる。

・足下にかけて、物価上昇への懸念等を背景に、欧米の消費者や製造業企業のマインドは低下傾向となっている。

 金融引締めの進展や一層の物価上昇、供給面での制約等による先行きの下振れリスクには留意が必要である。

 

日本の実質GDP成長率

20224-6月期(1次速報)の実質GDP成長率は、前期比+0.5%(年率+2.2%)となった。

・感染対策と経済社会活動の両立維持を背景に対人サービスなど個人消費が増加し、企業収益が改善する中で設備投資も増加する

 など、民需中心にプラス成長となった。

○ 実質GDPはコロナ前(1910-12月)の水準を回復した。

・需要項目別にみると、輸出や個人消費がコロナ前を上回る一方、設備投資は下回っている。

○ 実質GDP(国内総生産)が増加する一方、その対価として得られる所得は、輸入価格上昇(交易条件悪化)により海外に流出する形(交易損失)となり、

   実質GNI(国民総所得)は減少した。輸出競争力向上や省エネ進展などによる交易条件改善の観点からも、設備投資の回復が課題である。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・一部に感染拡大による影響はみられるものの、新車販売が2か月連続で増加するほか、お盆期間の交通機関の利用の高まり、

 3年ぶり開催の夏祭り等のイベントが全国各地で実施されるなど、ウィズコロナの下での活動が進展し、消費回復の動きに幅広

 さがみられる。

・雇用が改善し、賃上げの流れが継続・拡大する中、総雇用者所得は名目では増加している一方、物価上昇によって実質では前年比

 マイナスとなった。こうした中、感染拡大も相まって、消費者マインドは低下した。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、2月▲0.7%3+0.2%4+1.1%5+1.1%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、3月▲2.4%4+0.2%5+1.1%6月▲2.0%7月▲1.9%

6月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.1%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、上昇している。

・国際商品市況は、本年半ば以降、欧米の金融引締めや中国の防疫措置等を背景に下落がみられるなど不安定な動きとなって

 いる。

 国内企業物価は、石油製品や非鉄金属はこうした動きを受け、上昇が鈍化した。

・一方、電気代等は燃料費調整制度の下で市況の動きを時差を伴って反映するため、当面は上昇する見込みである。

○ 消費者物価は、エネルギーや食料品を中心に7月も前年比+2.6%(総合)と引き続き高い伸びとなった。今後も食料品を中心に値上げが予定されて

   おり、消費者物価の上昇は当面続くと見込まれる。 

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、3+6.3%4月▲4.6%5月▲6.5%6+2.1%

・持家着工数は前月比で、3月▲0.1%4月▲2.3%5+1.4%6月▲2.0%

・貸家着工数は前月比で、3+18.7%4月▲11.8%5月▲4.6%6+2.2%

・分譲着工数は前月比で、3月▲2.7%43.2%5月▲15.4%6+5.9%

   公共投資は、底堅さが増している。

    ・請負金額は前月比で、2+0.7%(出来高▲0.7%)、3+13.6%(出来高+0.8%)、4月▲3.4%(出来高+1.7%)、5月▲2.0%

(出来高+2.3%)、6+7.7%(出来高+2.6%)、7月▲9.9%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

○ 失業率は、6月は横ばいとなった。就業者数は増加傾向が継続している。

○ 一人当たり賃金は、6月は夏季賞与の大幅なプラスを受け前年比で大きくプラスとなった。過去20年間で2番目に高い賃上げとなった春季労使交渉、

  過去最大の最低賃金引上げなど、賃上げモメンタムが継続している。

○ 学び直しや労働移動も賃金・所得の上昇に貢献した。OFF-JTと自己啓発を両方実施する者は、片方のみの者に比べ、年収増加が明確となった。

  正社員(40代以下)は転職を通じて平均的に年収が増加、また、足下では転職により賃金が1割以上増加した者の割合は4四半期連続で上昇した。

   ・有効求人倍率は、21.2131.2241.2351.2461.27(正社員は0.99)となった。

   ・完全失業率は、22.7%,32.6%42.5%52.6%62.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

   20224-6月期の上場企業の経常利益(※注;非製造業について、特殊要因(金融関連)による振れを控除したベースは、製造業・非製造業とも

     に増益となり、水準も4-6月期として過去最高となった。本業の利益である営業利益には原材料価格上昇や供給制約による下押し

     の影響がある一方、為替差益等による営業外収益が押し上げの要因となった。

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

   ・企業の設備投資マインドは前向きとなっている。

     コロナ禍・供給制約下で先送りしていた能力増強投資のほか、脱炭素化・デジタルを活用した自動化など重点分野に向けた投資

     意欲も高い。

    他方、脱炭素化やイノベーションにおいては人材不足が課題であり、人的資本の蓄積に向けた取り組みも重要となっている

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

  ・倒産件数はおおむね横ばいとなっている。

  ・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20219+1812+1820223+146+99+10

  「大企業・非製造業」は、20219+212+920223+96+139+13

  「中小企業・製造業」は、20219月▲312月▲120223月▲46月▲49月▲5

  「中小企業・非製造業」は、20219月▲1012月▲420223月▲66月、▲19月▲5

 

生産

 生産は、持ち直しの動きがみられる。

・生産は、中国のロックダウンの影響によって生じていた減産が概ね解消されるなど、持ち直しの動きがみられる。

・世界的な半導体不足の状況は当面続くと考えられるものの、世界的な物価上昇の下でスマホ・PC需要に鈍化の動きもあり、足下

  では国内の在庫率も高まっている。こうした中、世界の半導体市場の成長見通しを下方改定する見方もある。

・鉱工業生産指数は前月比で、4月▲1.5%5月▲7.5%6+9.2%7月(予測)+3.8%8月(予測)+6.0%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、3+3.9%4月▲2.7%5月▲5.0%6+9.0%

・電子部品・デバイスは前月比で、3+2.0%4月▲6.6%5月▲4.2%6+11.6%

・輸送機械は前月比で、3月▲5.1%4月▲0.1%5月▲7.4%6+11.8%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・アジアや欧州向けは持ち直しの動きがみられる一方、アメリカ向けは概ね横ばい。引き続き、海外景気の動向に注意が必要で

  ある。

○ 輸入は、持ち直しの動きがみられる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、3+10.14+2.65+3.66月▲1.17月▲9.1

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、3+5.74+0.25+2.26月▲4.97月▲4.8

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は一部に弱さが残るものの、このところ持ち直しの動きがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが

  期待される。ただし、経済活動の抑制の影響や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

 ・224-6月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+0.4%となった。

・消費はこのところ持ち直しの動きがみられる。

・生産は、このところ持ち直しの動きがみられる。

・輸出は増加している。

・固定資産投資は伸びが低下している。

・消費者物価上昇率は上昇している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はおおむね横ばいとなっている。

○ 韓国では、景気は持ち直しのテンポが鈍化している。

○ インド・タイでは、景気は持ち直している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾では、景気は回復のテンポが鈍化している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直しのテンポが鈍化している。先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、

 金融引き締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。

20224-6月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率▲0.9%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

7月の失業率は3.5%となった。

○ 生産はおおむね横ばいとなっている。

○ 消費は持ち直しのテンポがこのところ鈍化、自動車販売台数はこのところ弱い動きとなっている。

○ 設備投資はこのところ横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は一部でテンポの鈍化がみられるものの持ち直している。

イギリス・ドイツは、持ち直しのテンポが鈍化している。

 ・224-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+2.5%

 (イギリスは▲0.3%、ドイツは▲0.1%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともにこのところ横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+5.1%7月)、イギリス+6.6%7月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直し、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

 

2022年

7月

26日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.7.26)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が

進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待

される。ただし、世界的に金融引き締めが進む中での金融資本市場の

変動や原材料価格の上昇、供給面での制約等による下振れリスクに十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

世界の景気は、中国において足踏みがみられるものの、持ち直している。

・欧米では失業率が引き続き低下傾向となっている。景気の持ち直しの進展に伴う世界的な需給引締まりに、ウクライナ情勢を

  受けた国際商品市況の高騰等が相まって、消費者物価が一段と上昇した。この下で、世界的に金融引締めが進展した。

・欧米では、サービス消費の持ち直し等を背景に非製造業の景況感は高めに推移する一方、コスト上昇や供給制約等から、製造業

  の景況感は低下した。株価が不安定に推移するなど、世界経済の不確実性に高まりがみられる。

・中国では厳しい防疫措置の影響により2246月期の実質GDP成長率が大きく低下した。企業の景況感、消費・生産は4月に

 大きく低下したが、56月にかけて改善した。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・外食や旅行等のサービス消費は持ち直しが続く。宿泊者数に加え、7月の交通機関の利用実績も、上昇傾向が続く。

・百貨店の販売額は、人出の増加に伴って改善。高額品や外出増加に伴う衣類等を中心に好調との声が聞かれる。

・物価上昇により、食料・光熱費等の生活必需品への支出がコロナ前を上回る一方、その他への支出はコロナ前を下回り、低所得世帯を中心に節約

 志向の動きがみられる。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、1月▲0.6%2月▲0.7%3+0.2%4+0.7%

       ・消費者態度指数(DI)は前月差で、2月▲1.3%3月▲2.4%4+0.2%5+1.1%6月▲2.0%。 

        ・5月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.1%となった。

 

物価

○ 原材料価格上昇等により、国内企業物価は、6月は前年比+9.2%と上昇が続く。

・我が国の生産者物価を需要段階別にみると、原材料等の上昇に対し、中間需要や最終需要では相対的に上昇幅が小さい。引き続き価格転嫁が

  課題となっている。

一方、アメリカでは、中間需要、最終需要ともに上昇した。

○ 消費者物価は、エネルギーや食料品の値上げを背景に上昇した。6月の前年比は+2.4%と引き続き高い伸び(総合)。民間調査によれば、今後も

     食料を中心に値上げが予定されており、8月以降も食品の多くの品目で値上げが続くと見込まれる。 

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、賃貸マンションや分譲マンションの需要増加を反映し、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、2+6.4%3+6.3%4月▲4.6%5月▲6.5%

・持家着工数は前月比で、2+2.6%3月▲0.1%4月▲2.3%5+1.4%

・貸家着工数は前月比で、2+1.3%3+18.7%4月▲11.8%5月▲4.6%

・分譲着工数は前月比で、2+17.7%3月▲2.7%43.2%5月▲15.4%

   公共投資は、このところ底堅い動きとなっている。

・請負金額は前月比で、221月▲2.4%(出来高▲2.0%)、2+0.7%(出来高▲0.7%)、3+13.6%(出来高+0.8%)、4月▲3.4%(出来高+3.2%)、

 5月▲2.0%(出来高+2.9%)、6+7.7%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

○ 就業者数は増加傾向にあり、失業率は低下傾向となっている。就業率(就業者数/15歳以上人口)も、主に女性の正規雇用の増加により、コロナ

     前を上回る水準まで上昇した。

○ 雇用の過不足感が、宿泊・飲食サービスを中心に幅広い業種で不足超となる中で、ハローワークによるネット経由の日次有効求人も、引き続き増加

     して いる。

○ 総雇用者所得は、雇用者数の増加や賃金の上昇により、名目では前年比プラスとなる一方で、物価上昇の影響で、実質では前年比マイナスと

     なった。2022年春季労使交渉について、賃上げ率は2.07%と昨年を上回った。

民間機関の調査によると、夏のボーナスも、前年比で大幅なプラスとなる見込みである。

       ・有効求人倍率は、10.2021.2131.2241.2351.24(正社員は0.98)となった。

・完全失業率は、122.7%12.8%22.7%,32.6%42.5%52.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

   ・企業の景況感は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。日銀短観6月調査によると、中国の活動制限に伴う供給制約や原材料高を背景に、製造業

        では幅広い業種で前回3月調査から小幅に悪化した。一方、非製造業では、経済活動の回復により、宿泊・飲食サービスなどを中心に小幅に改善

        した。

       ・2022年度の経常利益は、宿泊・飲食サービスの黒字転化が見込まれていることもあり、非製造業では2021年度と同程度の利益が見込まれている。

        一方、多くの製造業では、前年度比マイナスの見込みとなった。

       ・製造業を中心に、仕入価格DIが大幅に上昇しており、価格転嫁の程度を表す疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)は厳しい状況が続く。

         引き続き賃上げと価格転嫁が重要となる。

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

      ・設備の過不足感は、日銀短観6月調査によると、製造業・非製造業ともに概ね解消したものの、設備投資はコロナ前に比べて、依然として低い水準と

         なった。2022年度の設備投資計画は、引き続き前年より増加し、特にソフトウェア投資が大きく増加する見込みとなっている。

   ・業種別にみると、各種機械製造業やサービス業などで前年度比大幅プラスとなった。

   ・売上対比でみた設備投資計画は、過去に比べて積極的であり、今後の売上改善が積極的な設備投資につながることを期待したい

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・ 倒産件数はおおむね横ばいとなっている。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20219+1812+1820223+146+99+10

    「大企業・非製造業」は、20219+212+920223+96+139+13

    「中小企業・製造業」は、20219月▲312月▲120223月▲46月▲49月▲5

        「中小企業・非製造業」は、20219月▲1012月▲420223月▲66月▲19月▲5

 

生産

 生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・供給制約等により、輸送機械は持ち直しに足踏みがみられる。

  また、電子部品・デバイスや生産用機械も、中国の活動制限の影響が残り、増勢が鈍化した。

  工作機械受注は、内需が底堅い一方で、中国等のアジア向けの外需には足踏み感がみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、3+0.3%4月▲1.5%5月▲7.5%6月(予測)+12.0%7月(予測)+2.5%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、2月▲0.6%3+3.9%4月▲2.7%5月▲5.0%

・電子部品・デバイスは前月比で、2月▲0.7%3+2.0%4月▲6.6%5月▲4.2%

   ・輸送機械は前月比で、2+14.8%3月▲5.1%4月▲0.1%5月▲7.4%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・アメリカや欧州向けは、持ち直しの動きがみられる一方、アジア向けは横ばいとなっている。

○ 輸入は、持ち直しの動きがみられる。

・内需の底堅さやアジアからの輸入の堅調さを反映して、持ち直しの動きがみられる。中国の活動制限の影響の緩和などから下げ止まりとなった。

○  貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、2月▲0.23+10.14+2.65+3.66月▲1.1

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、5か月ぶりに下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、2+1.93+5.74+0.25+2.26月▲4.9

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は一部地方での経済活動の抑制の影響が残るものの、このところ持ち直しの動きがみられる。

   先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、当面は一部地方での経済活動の抑制の影響が続くと見込ま

   れる。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

   ・224-6月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+0.4%となった。

・消費はこのところ持ち直しの動きがみられる。

・生産は、このところ持ち直しの動きがみられる。

・輸出は増加している。

・固定資産投資はこのところ伸びやや低下している。

・消費者物価上昇率は上昇している。

・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きがみられる。

○ 韓国・インド・インドネシアでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復のテンポが鈍化している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。

   ただし、金融引き締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。

20221-3月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率▲1.6%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

 ・6月の失業率は3.6%となった。

○ 生産はおおむね横ばいとなっている。

○ 消費は緩やかに持ち直し、自動車販売台数はこのところ弱い動きとなっている。

○ 設備投資は緩やかに増加した。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は一部で厳しい状況が残る中で持ち直している。

 イギリスは、持ち直している。

   ・221-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+2.0%

   (イギリスは+3.1%、ドイツは+0.9%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+4.6%6月)、イギリス+6.1%6月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直し、イギリスはこのところ増加している。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

 

 

2022年

6月

20日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.6.20)

基調判断

〈現状〉

・景気は、持ち直しの動きがみられる。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が

進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待

される。ただし、ウクライナ情勢の長期化や中国における経済活動抑制の影響などが懸念される中での原材料価格の上昇や供給面での制約に

加え、金融資本市場の変動等による下振れリスクに十分注意する必要がある。

 

 

世界経済・ウクライナ情勢

世界の景気は、中国において足踏みがみられるものの、持ち直している。

・OECD見通しでは22年の世界成長率は3.0%と、コロナ禍前と同程度の見込みとなった。

ただし、ウクライナ情勢を背景に成長率は下方修正した。

  ・OECD諸国の22年のインフレ率は8.8%34年ぶりの高い伸びとなる見込みである。

・足下の消費者物価は、欧米では前年比89%と、一段と上昇した。

・失業率は引き続き低下傾向となった。この下で、世界的に金融政策の正常化が引き続き進展した。

・ウクライナ情勢の長期化が懸念される中で、エネルギー、食料価格は引き続き高水準で不安定な動きとなった。

・中国では、厳しい防疫措置が徐々に緩和される中で、生産、消費は引き続き伸びが足踏みとなった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、このところ持ち直しの動きがみられる。

・外食や旅行等のサービス消費は持ち直しが続く。ただし、旅行では居住地から近隣県への旅行の回復が中心となっている。

・街角の景況感は、物価上昇への懸念もある一方、人出の増加や夏季の行事・旅行への期待等から上昇した。

・直近まで個人消費を週次の消費金額でみると、6月にかけても概ね平年を上回る水準となった。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、12+0.1%1月▲0.6%2月▲0.7%3+0.2%

      ・消費者態度指数(DI)は前月差で、1月▲1.8%2月▲1.3%3月▲2.4%4+0.2%5+1.1%。 

     4月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.3%となった。

 

物価

○  ウクライナ情勢等を背景とする原材料価格上昇等により、国内企業物価は5月は前年比9.1%上昇が続いており、価格上昇品目にはさらなる広がりが

     みられる。

   消費者物価は、エネルギーや食料品の値上げを背景にこのところ上昇している。

・4月は、携帯通信料引下げ効果の剥落もあり、前年比2.5%と約30年ぶりの高い伸び(総合)となった。

・ただし、G20諸国の半数程度が7%以上となる一方、日本は下位3番目であるなど、諸外国に比べて低い伸びにとどまる。

   我が国のエネルギー・食料品の物価上昇率は、これまで実施してきたガソリン等の激変緩和事業や電気代の燃料費調整制度、小麦の国内価格上昇を抑制する政策等もあり、欧米に比べて低い伸びに留まっている。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、住宅建設は、賃貸マンションや分譲マンションの需要増加を反映し、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、1月▲2.1%2+6.4%3+6.3%4月▲4.6%

・持家着工数は前月比で、1月▲7.1%2+2.6%3月▲0.1%4月▲2.3%

・貸家着工数は前月比で、1+5.0%2+1.3%3+18.7%4月▲11.8%

・分譲着工数は前月比で、1月▲4.8%2+17.7%3月▲2.7%43.2%

   公共投資は、このところ底堅い動きとなっている。

・請負金額は前月比で、12+0.4%(出来高▲3.2%)、221月▲2.4%(出来高▲2.0%)、2+0.7%(出来高▲0.7%)、3+13.6%(出来高+1.1%)、

4月▲3.4%5月▲2.0%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直しの動きとなった。就業者数は緩やかに増加し、失業率は3か月連続で低下となった。就業率(就業者数/人口)も、特に2564

     の女性において、コロナ前を上回る水準まで上昇した。

○ 求人は持ち直した。求人広告掲載件数をみると、生産工程等やサービスなど、幅広い業種において増加した。ハローワークによるネット経由の日次有効

    求人も、引き続き増加した。

○ 一人当たり賃金は、所定内給与の増加が続いたことなどから、4月も前年比プラスとなった。2022年春季労使交渉について、賃上げ率は2.09%と昨年を

   上回る状況。民間機関の調査によると、夏のボーナスも、4年ぶりのプラスとなる見込みである。

       ・有効求人倍率は、10.2021.2131.2241.23(正社員は0.97)となった。

・完全失業率は、112.8%122.7%12.8%22.7%、32.6%42.5%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

    ・1-3月期の経常利益は、製造業・非製造業ともに前年比で増益となり、概ねコロナ前の2019年を上回る水準となった。非製造業では、飲食サービス業や宿泊業などで、本業の利益を表す営業利益は赤字となった。

      ・中小企業製造業では、経常利益は原材料価格の上昇等を背景に前年比で減益。経常利益(売上高対比)をみると、商品仕入原価などが計上される売上原価の増加が下押しに寄与した。

      ・価格転嫁の程度を表す疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)をみると、中小企業では、加工系製造業において特に悪化した。引き続き価格

       転嫁が重要となる。

 

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

 ・ 1-3月期の設備投資は、製造業では前期比プラスとなった。機械投資には持ち直しの動きがみられる。ソフトウェア投資は月々の

    振れを伴いながら、均してみると緩やかに増加した。

2022年度の設備投資の見通しは、前年度比16.0%増と高い伸びとなっており、脱炭素やエネルギー効率上昇に向けた投資の実現が

 重要となる。

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・ 倒産件数はおおむね横ばいとなっている。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20216+149+1812+1820223+146+9

    「大企業・非製造業」は、20216+19+212+920223+96+7

    「中小企業・製造業」は、20216月▲79月▲312月▲120223月▲46月▲5

    「中小企業・非製造業」は、20216月▲99月▲1012月▲420223月▲6、▲10

 

生産

 生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

  ・供給制約等により、輸送機械は持ち直しに足踏みがみられる。また、電子部品・デバイスも、中国の活動制限の影響などから増勢が鈍化しているものの、   

    世界の半導体の需要見通しは、2022年は上方修正され、2023年も一層の増加が見込まれるなど、半導体製品に対する強い需要は今後も続く見込みと

なっている。

・鉱工業生産指数は前月比で、2+2.0%3+0.3%4月▲1.5%5月(予測)+4.8%6月(予測)+8.9%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、1+4.8%2月▲0.6%3+3.9%4月▲2.7%

・電子部品・デバイスは前月比で、1+10.4%2月▲0.7%、3+2.0%4月▲6.6%

   ・輸送機械は前月比で、1月▲15.7%2+14.8%3月▲5.1%4月▲0.1%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・アメリカや欧州向けは、持ち直しの動きがみられる一方、中国は5月も減少した。

○ 輸入は、下げ止まっている。

・輸入は、中国の活動制限の影響の緩和などから下げ止まりとなった。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、1月▲19.62月▲0.23+10.14+2.65+3.6

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月連続で上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、1月▲7.82+1.93+5.74+0.25+2.2

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、一部地方で経済活動が抑制されており、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、当面は一部地方での経済活動の抑制の影響が続くと見込まれる。

また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

   ・221-3月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+4.8%となった。

・消費はこのところ弱い動きとなっている。

・生産は、このところ持ち直しの動きがみられる。

・輸出は増加している。

・固定資産投資はこのところ伸びやや低下している。

・消費者物価上昇率はこのところ上昇している。

・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きがみられる。

    中国の景気下支え策

                  1.企業支援

               ○本年の減税・税還付を2.8兆円追加(総額52.8兆円)

               ○中小零細企業向け貸付、感染症の影響を受けた人々の住宅ローン返済猶予。

               ○交通・物流向けの特別再貸出(2兆円)。

               ○サービス業の中小零細企業の家賃を3~6カ月減免。

                  2.投資促進

               ○地方専項債券を、原則6月末までに発行・8月末までに使用を完了。

               ○国家重大インフラ発展計画を編成、重大プロジェクトを推進。

                  3.消費促進・家計支援策

               ○乗用車の取得税を減免(減税規模1.2兆円)。

               ○生活保障(救済補助金3.1兆円)。

                  4.雇用対策

               ○新規大卒生を雇う企業に最大一人当たり3万円を補助。

                  5.食料安全保障

  ○コスト上昇を補うため農業補助金2,000億円を支給。 等

○ 韓国・インド・インドネシアでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融資本市場の変動の影響や金融政策正常化の影響等を注視する必要がある。

20221-3月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率▲1.5%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

 ・5月の失業率は3.6%となった。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は緩やかに持ち直し、自動車販売台数はこのところ弱い動きとなっている。

○ 設備投資は緩やかに増加した。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は一部で厳しい状況が残る中で持ち直している。

イギリスは、持ち直している。

   ・221-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+2.5%(イギリスは+3.0%、ドイツは+0.9%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+4.4%5月)、イギリス+6.1%4月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直し、イギリスはこのところ増加している。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

 

 

2022年

5月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.5.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、持ち直しの動きがみられる。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が

進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待

される。ただし、中国における感染再拡大の影響やウクライナ情勢の

長期化などが懸念される中で、供給面での制約や原材料価格の上昇、

金融資本市場の変動等による下振れリスクに十分注意する必要がある。

また、感染症による影響を注視する必要がある。

 

 

世界経済・ウクライナ情勢

世界の景気は、中国等で感染再拡大の影響がみられるものの、持ち直している。

・1-3月期のGDPは、ユーロ圏、英国では引き続きプラス成長となり、この結果、アメリカ、ユーロ圏に続き、英国もコロナ禍

 前の水準を回復した。アメリカでは生産は緩やかな増加が続き、失業率は欧米ともに引き続き低下した。

 ・国際商品市場におけるエネルギーや食料の価格は、ウクライナ情勢等を背景に高水準で推移。

 ・中国では一部都市での厳しい防疫措置を受け、国内の消費、生産などが足下で大きく減少。海運など物流停滞もみられ、供給制約

  を通じた世界経済への影響に注視が必要。

 

日本のGDP成長率

20221-3月期の実質GDP成長率は、前期比▲0.2%と2期ぶりのマイナスとなった。

個人消費は横ばい、設備投資はプラスに寄与した。

一方、供給制約の緩和やワクチン・治療薬の購入などに伴う輸入増加で外需はマイナスに寄与し、GDP全体としてはマイナスとなった。

感染拡大の中でも内需がプラスという姿は、「ウィズコロナ」の下で、メリハリのきいた対策を講じることができ、経済社会活動を極力継続できるような取り組み

の表れとみられる。

○ 輸入物価上昇が内需に徐々に波及し、GDPデフレーターはプラスとなっている。

○ 年度でみると、2021年度は前年度比2.1%と3年ぶりのプラス成長となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、このところ持ち直しの動きがみられる。

・まん延防止等重点措置の解除等を背景に、外食や旅行等のサービス消費は持ち直しとなっている。

特にGW期間は、3年ぶりに行動制限がない中で、こうした分野を中心に活発な動きがみられる。

・直近までの週次の消費金額でみると、5月にかけても平年を上回る水準となっている。

・一方、物価上昇の下、実質総雇用者所得の伸びは抑制されており、こうした動向が消費に与える影響には注意が必要である。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、11+2.2%12+0.1%1月▲0.6%2月▲1.2%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、120.0%221月▲1.8%2月▲1.3%3月▲2.4%4+0.2%。 

3月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.3%となった。

 

物価

○  ウクライナ情勢等を背景とする原材料価格上昇等により、輸入物価は、4月は1974年以来の伸び(前月比)となっている。

○ 国内企業物価は、需要段階別にみると、素原材料や中間財は大きく上昇した。

・一方、最終財も上昇し、価格転嫁がうかがえるが、上昇幅は相対的に小さい。継続的な賃上げと価格転嫁が重要となる。

○ 消費者物価は、エネルギーや食料品の値上げを背景に上昇している。

・4月は、携帯通信料引下げ効果の剥落もあり、前年比2.5%と約30年ぶりの高い伸びとなった(総合指数、消費税増税期間を

  除く)。変動の大きい生鮮食品及びエネルギーを除いた品目からなる「コアコア」でみても、年率換算で2%程度となった

(前月比0.2%、4か月連続)。

○ 民間調査によれば、今後も光熱費や食料品等の品目で値上げが行われる見込みである。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、12月▲1.5%1月▲2.1%2+6.4%3+6.3%

・持家着工数は前月比で、12月▲3.3%1月▲7.1%2+2.6%3月▲0.1%

・貸家着工数は前月比で、12月▲0.2%1+5.0%2+1.3%3+18.7%

・分譲着工数は前月比で、11+2.6%12月▲1.5%1月▲4.8%2+17.7%3月▲2.7%

   公共投資は、このところ底堅い動きとなっている。

・請負金額は前月比で、11月▲0.3%(出来高▲1.0%)、12+0.4%(出来高▲3.2%)、221月▲2.4%(出来高▲2.0%)、2+0.7%(出来高+1.1%)、

3+13.64月▲3.4%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直しの動き。就業者数は緩やかに増加し、失業率は2か月連続で低下となった。1年以上の長期失業者も前年に比べて減少した。

○ 求人は持ち直している。製造業や宿泊・飲食サービス業において求人は増加した。ハローワークによるネット経由の日次有効求人も、引き続き増加。

○ 一人当たり賃金は、所定内給与の増加が続いたことなどから、3月は前年比プラスとなった。また、パート・アルバイト募集時の時給についても、幅広い

  職種において増加傾向で推移している。

    ・有効求人倍率は、111.15121.1710.2021.2131.22(正社員は0.94)となった。

・完全失業率は、102.7%112.8%122.7%12.8%22.7%,32.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

   ・1-3月期の上場企業の経常利益は、製造業・非製造業ともに増益となり、コロナ前の2019年を大きく上回る水準。機械製品の好調さや物流の活発化、

        資材の取引価格上昇の影響などを受け、多くの業種で増益となった。

   ・ 企業の景況感は、原材料価格の高騰などを背景に、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

   ・ ただし、1-3月期のGDP統計によれば、資本財価格等の上昇の下、実質ベースの伸びは名目を下回る。

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

  ・ 倒産件数はおおむね横ばい、休廃業・解散は減少となった。

  ・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20216+149+1812+1820223+146+9

    「大企業・非製造業」は、20216+19+212+920223+96+7

    「中小企業・製造業」は、20216月▲79月▲312月▲120223月▲46月▲5

    「中小企業・非製造業」は、20216月▲99月▲1012月▲420223月▲6、▲10

 

生産

 生産は、持ち直しの動きがみられる。

・供給制約等により、輸送機械は持ち直しに足踏みがみられる一方、生産用機械や電子部品・デバイスなどが緩やかに増加した。足下では、中国での

 活動制限を受け、国内の様々な業種において、部品・製品調達の遅れや生産活動の停滞が生じており、今後の影響を注視する必要がある。

 ・鉱工業生産指数は前月比で、1月▲2.4%2+2.0%3+0.3%4月(予測)+5.8%5月(予測)▲0.8%

 ・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、12月▲3.4%1+4.8%2月▲0.6%3+3.9%

 ・電子部品・デバイスは前月比で、12月▲3.0%1+10.4%2月▲0.7%3+2.0%

    ・輸送機械は前月比で、12+0.9%1月▲15.7%2+14.8%3月▲5.1%

     中国での活動制限に伴う調達や精算等への影響

      自動車…………中国のロックダウンに伴う部品調達難により、国内複数工場 の稼働を一時停止。

      半導体メーカー、製紙業者……中国の港湾の閉鎖に伴い部品を迂回ルートで調達。

    ・電機メーカー…洗濯機、炊飯器、電子レンジ等一部電化製品の新規受注を 停止。

    ・家電量販店……調理家電やエアコン等が一部品薄。

    ・家具小売店……棚やテーブル、ソファ等約40品目が販売停止。

    ・衣料販売店……婦人・紳士衣料品の納品に遅れ。

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・我が国の輸出は概ね横ばい。アメリカや欧州向けは、持ち直しの動きがみられる一方、アジアは中国向けの落ち込みにより弱含み。

 輸入は、中国の活動制限の影響などから弱含みとなっている。

○ 輸入は、このところ弱含んでいる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、12+0.7221月▲19.62月▲0.23+10.14+2.6

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、12月▲2.9221月▲7.82+1.93+5.74+0.2

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、一部地方で経済活動が抑制されており、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

先行きについては、持ち直しの動きが続くことが期待される。ただし、当面は一部地方での経済活動の抑制の影響が続くと見込まれる。

また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

   ・221-3月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+4.8%となった。

     ・消費はこのところ弱い動きとなっている。

     ・生産は、このところ伸びがやや低下している。

     ・輸出は緩やかに増加している。

     ・固定資産投資はこのところ伸びやや低下している。

     ・消費者物価上昇率はこのところ上昇している。

     ・製造業購買担当者指数(PMI)は低下している。

○ 韓国・インド・インドネシアでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融資本市場の変動の影響

や感染症による内外経済への影響等を注視する必要がある。

20221-3月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率▲1.4%

○ 雇用者数は増加、失業率は低下した。

 ・4月の失業率は3.6%となった。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は緩やかに持ち直し、自動車販売台数は持ち直しの動きがみられる。

○ 設備投資は緩やかに増加した。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

   ※FOMC5月会合(5/34 決定事項

 ○ 政策金利の誘導目標 範囲を0.50%ポイント 引上げる。

 ○ 6/1から、以下を毎月の削減上限として、 保有資産の削減を開始。

・米国債:300億ドル/

MBS175億ドル/

  削減開始から3か月後、 削減上限を以下のとおり 引上げ予定。

・米国債:600億ドル/

MBS350億ドル/

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は一部で厳しい状況が残る中で持ち直している。

イギリスは、景気は厳しい状況が緩和される中で、持ち直している。

   ・221-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.1%

   (イギリスは+3.0%、ドイツは+0.8%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+3.9%4月)、イギリス+6.1%4月)。

○ 輸出は、ユーロ圏・イギリスともにこのところ持ち直している。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ持ち直しの動きがみられる。

 

 

2022年

4月

21日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.4.21)

基調判断

〈現状〉

・景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が緩和される中   

 で、持ち直しの動きがみられる。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動が正常に

 向かう中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち

 直していくことが期待される。ただし、ウクライナ情勢等による

 不透明感がみられる中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動、

 供給面での制約等による下振れリスクに十分注意する必要がある。

 また、感染症による影響を注視する必要がある。

 

 

世界経済・ウクライナ情勢

世界の景気は持ち直している。IMF見通しでは、22年の世界全体の成長率は+3.6%と引き続きプラス成長だが、ウクライナ情勢による不透明感を

  背景にこれまでの見通しを下方修正している。

○ 国際商品市場における価格上昇等を背景に、先進国、新興国ともにインフレ率は一層上昇。欧米の消費者マインドはこのところ低下している。

○ 中国は、感染の早期抑え込みと減少を目指す「ダイナミックゼロ」の方針の下、一部都市で厳しい防疫措置を実施している。企業マインドの低下、消費の

  下押し等がみられており、動向に注視が必要である。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、このところ持ち直しの動きがみられる。

・外食や旅行等のサービス消費は、まん延防止等重点措置解除もあり、持ち直しの動きがみられる。消費金額を週次でみると、4月にかけて徐々に改善

 している。

・交通機関の利用実績は、3月は上昇し、GW期間の鉄道の予約状況も前年を上回る。

・一方、消費者マインドは、生活関連品目の価格上昇等を背景に、弱含んでおり、今後の消費に与える影響には注意が必要である。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、10+1.8%11+2.2%12+0.1%1月▲0.3%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、110.0%120.0%221月▲1.8%2月▲1.3%3月▲2.4%。 

       2月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.1%となった。

 

物価

○ 原油や穀物などの国際商品価格はウクライナ情勢を背景に引き続き高い水準で不安定な動きとなっている。国内企業物価は上昇が

   続いており、価格上昇品目にも広がりがみられる。

○ こうした中、販売価格を引き上げる動きもみられており、販売価格DIは1980年以来の高水準。ただし、仕入価格DIも引き続き

   上昇、価格転嫁の程度を表す疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)は悪化しており、企業収益への影響に注意が必要。

○ 消費者物価は、エネルギーや食料品価格の上昇を主因に、上昇率が高まっている。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、このところ弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、11月▲3.0%12月▲1.5%1月▲2.1%2+6.4%

・持家着工数は前月比で、11月▲3.9%12月▲3.3%1月▲7.1%2+2.6%

・貸家着工数は前月比で、11月▲6.1%12月▲0.2%1+5.0%2+1.3%

・分譲着工数は前月比で、11+2.6%12月▲1.5%1月▲4.8%2+17.7%

   公共投資は、このところ底堅い動きとなっている。

・請負金額は前月比で、10月▲3.4%(出来高▲1.0%)、11月▲0.3%(出来高▲1.0%)、12+0.4%(出来高▲3.2%)、221月▲2.4%(出来高▲2.0%)、

2+0.7%3+13.6             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、弱い動きとなっているものの、就業者数及び失業率は概ね横ばいで推移している。就業率は全体として横ばいであるが、2564歳の女性は

      上昇傾向にある。

     雇用の過不足感が、幅広い業種で不足超となる中で、ハローワークによるネット経由の日次有効求人件数は、前年比で増加が続いており、求人は持ち直し 

      の動きがみられる。

      2月の一人当たり賃金は、人手不足などを背景としたパートタイム労働者の所定内給与の増加などから、前年比プラス。2022年春季労使交渉について、

        連合の第4回回答集計では、賃上げ率2.11%(うちベアは0.62%)と昨年を上回る状況である。

  ・有効求人倍率は、101.15111.15121.1710.2021.21(正社員は0.93)となった。

・完全失業率は、92.8%102.7%112.8%122.7%12.8%22.7%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

   ・企業の景況感は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。日銀短観3月調査によると、前回12月調査から低下した。感染症の影響や原材料高を背景に、

        宿泊・飲食サービスをはじめ、多くの業種で低下している。

・先行きについても、ウクライナ情勢を背景に低下している。

     ・民間機関の調査によると、ロシア・ウクライナ情勢に対して、既に燃料価格の高騰等の影響が出ており、今後も幅広い業種でマイナスの影響が予想され

        ている。

    ・2022年度の経常利益は、2021年度と同程度の利益が見込まれているものの、一部の製造業では、前年度比マイナスの見込みとなっている。

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

     ・ 設備の過剰感は、日銀短観3月調査によると、製造業・非製造業ともに概ね解消している。2022年度の設備投資計画は、引き

      続き前年より増加し、特にソフトウェア投資が大きく増加する見込みとなっている。

   ただし、業種別にみると、運輸・郵便や卸・小売など非製造業の一部で前年度比マイナスとなっている。

     ・利益水準に比べて設備投資の水準が低い傾向が続いていたが、今後の利益改善が積極的な設備投資につながることを期待したい。

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

   ・ 倒産件数は、おおむね横ばいとなった。

   ・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20216+149+1812+1820223+146+9

    「大企業・非製造業」は、20216+19+212+920223+96+7

    「中小企業・製造業」は、20216月▲79月▲312月▲120223月▲46月▲5

    「中小企業・非製造業」は、20216月▲99月▲1012月▲420223月▲6、▲10

 

生産

 生産は、持ち直しの動きがみられる。

・生産用機械や電子部品・デバイスなどが緩やかに増加した。工作機械受注は、内外需ともに底堅い動きとなっている。

・鉱工業生産指数は前月比で、12月▲1.0%1月▲0.8%2+2.0%3月(予想)+3.6%3月(予測)+9.6%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、11+0.1%12月▲3.4%1+4.8%2月▲0.6%

・電子部品・デバイスは前月比で、11+3.1%12月▲3.0%1+10.4%2月▲0.7%

・輸送機械は前月比で、11+28.5%12+0.9%1月▲15.7%2+14.8%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・弱含んでいたアジア向けが、中国の生産活動の持ち直し等を背景に横ばいとなり、アメリカや欧州向けも横ばいとなっている。

 2月の輸出では、半導体製造装置などの一般機械やプラスチックなどの化学製品がプラスに寄与した。

○ 輸入は、おおむね横ばいとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、一部地方で経済活動が抑制されているものの、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、持ち直しの

   動きが続くことが期待される。

 ただし、当面は一部地方での経済活動の抑制の影響が続くと見込まれる。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

   ・221-13月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+4.8%となった。

・消費はこのところ伸びが低下している。

・生産は、このところ伸びがやや低下している。

・輸出は増加している。

・固定資産投資はこのところ伸びが上昇している。

・消費者物価上昇率はこのところやや上昇している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ低下している。

    

○ 韓国・インド・インドネシアでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。

202110-12月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+6.9%

○ 雇用者数は緩やかに増加、失業率は低下した。

 ・3月の失業率は3.6%となった。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は緩やかに持ち直し、自動車販売台数はこのところ減少している。

○ 設備投資は増勢が鈍化した。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏は、景気は一部で厳しい状況が残る中で、持ち直している。

   イギリスは、厳しい状況が緩和される中で、持ち直している。

   ・2110-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.0%

   (イギリスは+5.2%、ドイツは▲1.4%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+3.2%3月)、イギリス+5.7%3月)。

○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直している。イギリスでは持ち直している。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ持ち直しの動きがみられる。

 

 

2022年

3月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.3.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナウイルス

 感染症による厳しい状況が残る中で、一部に弱さがみられる。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動が正常に

 向かう中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち

 直していくことが期待される。ただし、ウクライナ情勢等による

 不透明感がみられる中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動、 

 供給面での制約等による下振れリスクに十分注意する必要がある。

 また、感染症による影響を注視する必要がある。

 

 

世界経済・ウクライナ情勢

ウクライナ情勢を受け、世界的に不確実性が上昇している。我が国の景気の先行きについても、商品市場、金融資本市場、貿易、世界経済の変動等を

  通じた影響に注視が必要である。

○ エネルギー・食糧等を始め商品価格は一層上昇、金融資本市場は不安定な動き。ロシアに対するエネルギー依存度は、欧州諸国で相対的に高い。

○ 欧米の先行き見通しは、物価上昇率は上方修正、成長率は下方修正だが、持ち直しが続く見込みとなっている。この下で、欧米で金融政策の正常化に

  向けた動きが進展している。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直しに足踏みがみられる。

・財消費は引き続き底堅い一方、3月21日までのまん延防止等重点措置の影響もあり、旅行や外食等のサービス消費は、2月後半も総じて弱めの動きが

 続く。

・週次の個人消費は、振れを伴いつつも、概ね平年水準(2017-19年)の下限程度で推移。

・消費者マインドは、まん延防止等重点措置の延長や原材料価格の上昇の影響への懸念等を背景に、小幅低下した。

・物価上昇の下で、賃上げが実現され、所得が増加し、それが消費に結び付くことが重要である。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、9月▲0.1%10+1.8%11+2.2%12+0.4%

      ・消費者態度指数(DI)は前月差で、10+1.4%110.0%12月▲0.1%221月▲2.4%、2月▲1.4%。 

     1月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.9%となった。

 

物価

○  国内企業物価は、このところ上昇している。消費者物価は、このところ緩やかに上昇している。

  なお、前年比の表示では、4月には昨年の携帯電話通信料引下げの効果が剥落し、数値はその分、増加する。

○ 原油価格の上昇を受け、ガソリンなどのエネルギー価格は上昇している。また、国際商品市況の上昇も背景に、4月以降も様々

  な品目で値上げを予定している

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、このところ弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、10+3.711月▲3.0%12月▲1.5%1月▲2.1%

・持家着工数は前月比で、10月▲0.2%11月▲3.9%12月▲3.3%1月▲7.1%

・貸家着工数は前月比で、10+2.7%11月▲6.1%12月▲0.2%1+5.0%

・分譲着工数は前月比で、10+10.1%11+2.6%12月▲1.5%1月▲4.8%

   公共投資は、高水準にあるものの、このところ弱含んでいる。

・請負金額は前月比で、9月▲3.3%(出来高▲2.6%)、10月▲3.4%(出来高▲1.0%)、11月▲0.3%(出来高▲1.0%)、12+0.4%(出来高▲3.2%)、

221月▲2.4%(出来高▲2.0%)、2+0.7%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、感染症の影響が残る中で、引き続き弱い動きとなっているものの、求人等に持ち直しの動きがみられる。

・雇用者数及び失業率は概ね横ばいで推移している。雇用調整助成金の週間支給金額は減少しているものの、引き続き雇用維持に寄与している。

・1月の一人当たり賃金は、前年比プラスとなっている。2022年春季労使交渉について、連合の第1回回答集計では、賃上げ率は2.14%(うちベアは

 0.5%)と昨年(1.81%)を上回る状況である。

   ・有効求人倍率は、91.16101.15111.15121.1710.20(正社員は0.91)となった。 

   ・完全失業率は、92.8%102.7%112.8%122.7%12.8%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

  ・20211012月期の経常利益は、経済社会活動の水準が引き上げられる中で、製造業・非製造業ともに増加し、総じて改善した。

      大中堅企業、中小企業とも本業の利益を示す営業利益が増加している。ただし、宿泊業の営業利益は引き続き赤字となるなど、非製造業の一部に弱さ

      がみられる。

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

   202110-12月期の設備投資は、製造業・非製造業ともに前期比プラスとなった。

    機械投資には持ち直しの動 きがみられ、先行指標も持ち直している。

   ・2022年度の設備投資の見通しは、前年度比8.2%増と高い伸びを維持している。ただし、キャッシュフローの 増加に比べて設備

  投資の伸びは緩やかとなっている。今般のエネルギー価格上昇等を踏まえると、脱炭素やエネル ギー効率上昇に向けた投資が一層

  重要である。

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

 ・  先行きは、原材料価格上昇、ウクライナ情勢による不透明感を背景に低下した。

・ 倒産件数は、おおむね横ばいとなった。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20213+56+149+1812+1820223+13

    「大企業・非製造業」は、20213月▲16+19+212+920223+8

    「中小企業・製造業」は、20213月▲136月▲79月▲312月▲120223月▲1

    「中小企業・非製造業」は、20213月▲116月▲99月▲1012月▲420223月▲6

 

生産

 生産は、持ち直しの動きとなっている。

・アジア向け輸出動向等を背景に、生産用機械や電子部品・デバイスなどが緩やかに増加。

・ウクライナ情勢については、民間機関の調査では、約6割の企業がマイナスの影響を与えると回答しており、今後の影響に注視が必要である。

・鉱工業生産指数は前月比で、11+7.0%12月▲1.0%1月▲0.8%2月(予想)+5.7%3月(予測)+0.1%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、10+4.2%11+0.1%12月▲3.4%1+4.8%

・電子部品・デバイスは前月比で、10月▲1.1%11+3.1%12月▲3.0%1+10.4%

   ・輸送機械は前月比で、10+17.4%11+28.5%12+0.9%1月▲15.7%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・弱含んでいたアジア向けが、中国の生産活動の持ち直し等を背景に横ばいとなり、アメリカや欧州向けも横ばいとなった。

○ 輸入は、おおむね横ばいとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

 ・現状・季節調整値DIは前月差で、10+13.411+0.812+0.7221月▲19.62月▲0.2

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに上昇した。

 ・先行き・季節調整値DIは前月差で、10+0.911月▲4.112月▲2.9221月▲7.82+1.9

 

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、一部地方で経済活動が抑制されているものの、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、持ち直しの動きが続くことが期待される。ただ

し、当面は一部地方での経済活動の抑制の影響が続くと見込まれる。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

   ・2110-12月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+4.0%となった。

・消費はこのところ伸びが低下している。

・生産は、このところ伸びが上昇している。

・輸出は増加している。

・固定資産投資はこのところ伸びが上昇している。

・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところおおむね横ばいとなっている。

    ※ 3511日に開催された全国人民代表大会で、2022年の主要目標や政策運営方針が示された。

        経済政策に関する主な点は以下のとおり。

      ・22年の実質経済成長率目標は5.5%前後(21年目標6%以上、実績8.1%)。 

      ・今年中国が直面するリスクや課題は著しく増加している。  

      ・穏健な金融政策の実施を強化:柔軟かつ適度にし、流動性に合理的なゆとりをもたせる。

        債務総額の対GDP比の基本的な安定を維持。

      ・不動産市場は合理的な住宅需要を満たすようサポートし、地価・住宅価格・ 市場期待を安定させる。

      ・積極的な財政政策の効果の向上を図り、より一層持続可能性を重視。

財政赤字(中央+地方)は、対GDP比2.8%前後(21年目標3.2%前後)。

地方特別債の発行枠は3.65兆元(21年と同規模、1元=約19円)。

減税措置の延長・付加価値税の還付等で約2.5兆元の企業負担を軽減20 と同規模)。 

      ・穏健な金融政策の実施を強化:柔軟かつ適度にし、流動性に合理的なゆとりをもたせる。

        債務総額の対GDP比の基本的な安定を維持。

 

      ・不動産市場は合理的な住宅需要を満たすようサポートし、地価・住宅価格・ 市場期待を安定させる。

○ 韓国・インド・インドネシアでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。

202110-12月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+7.0%

○ 雇用者数は緩やかに増加、失業率は低下した。

 ・2月の失業率は3.8%となった。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は緩やかに持ち直し、自動車販売台数は持ち直しの動きがみられる。

○ 設備投資は増勢が鈍化した。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏は、景気は一部で厳しい状況が残る中で、持ち直している。先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、ウクライナ情勢が

     経済活動に与える影響によっては、景気が下振れするリスクがある。また、金融資本市場の変動の影響や感染症による内外経済への影響等を注視する

     必要がある。

      イギリスは、厳しい状況が緩和される中で、持ち直している。先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融資本市場の変動の影響や

     感染症による内外経済への影響等を注視する必要がある。

   ・2110-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.0%(イギリスは+3.9%、ドイツは▲1.4%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+2.9%2月)、イギリス+5.1%2月)。

○ 輸出は、ユーロ圏・イギリスともにこのところ持ち直している。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ持ち直しの動きがみられる。

 

 

2022年

2月

17日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.2.17)

基調判断

〈現状〉

・景気は、持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナウイルス

 感染症による厳しい状況が残る中で、一部に弱さがみられる。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動を継続して

 いく中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち

 直していくことが期待される。ただし、感染拡大による影響や供給

 面での制約、原材料価格の動向による下振れリスクに十分注意する

 必要がある。

 また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

 

 

我が国の実質GDP成長率

○ 20211012月期の実質GDP成長率は、前期比1.3%と2四半期ぶりのプラスとなり、概ねコロナ前の水準まで回復。緊急事態宣言等の解除を受けた

  経済社会活動の段階的な引上げ、東南アジアでの感染拡大に伴う部品供給不足の緩和もあり、個人消費、輸出、設備投資がいずれもプラスに寄与した。

・特に、個人消費については、自動車等の耐久財や旅行・外食等のサービスが増加した。

○ 暦年でみると、2021年は前年比1.7%と3年ぶりのプラス成長となった。

 

世界経済

欧米主要国の211012月期の実質GDP成長率は、供給制約や感染拡大の影響もある中で、総じてプラス成長が続く。IMF見通しでは世界全体の22

  の成長率は∔4.4%と、景気は持ち直しが続く見込みである。

○ 昨年末以降、感染の急速な拡大・縮小が、欧米各国で時間差を伴ってみられたが、感染者数に比べ重症者数は抑制的、消費への影響も昨年対比では

  限定的となっている。一方、ウクライナ情勢をめぐる緊張がみられる中、エネルギーを中心とした商品市場や金融資本市場等の変動には注視が必要である。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直しに足踏みがみられる。消費者マインドは、まん延防止等重点措置の実施等により、大幅に低下した。感染拡大を受け、小売・娯楽

  施設の人流は、1月以降減少傾向にある。

・週次の個人消費は、昨年12月後半以降、平年水準(2017-19年)と同程度の水準で推移している。

・年末年始の売上高は、昨年より好調との声がある。

・外食や旅行のサービス消費は、引き続き持ち直しの動きとなっている。年末年始の交通機関の利用実績をみると、コロナ前(2019年度)を下回るものの、

 昨年を大きく上回る水準に回復している。

・年末年始の小売・娯楽施設の人流は昨年より増加した。医療提供体制の強化やワクチン接種の促進、治療薬の確保に万全を期し、経済社会活動を

極力継続できる環境を作っていくことが重要である。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、8月▲1.8%9月▲0.1%10+1.8%11+2.1%。 

・消費者態度指数(DI)は前月差で、9+1.1%10+1.4%110.0%12月▲0.1%221月▲2.4%。 

12月の実質総雇用者所得は、前期比で▲1.0%となった。

 

物価

 国内企業物価は、このところ緩やかに上昇している。消費者物価は、底堅さがみられる。

・原油価格は年初以降、再び上昇、国内ガソリン価格も1月第4週に170円超となるなど上昇した。

・国内企業物価は、原油・エネルギー関係品目を中心に、全体として上昇した。

・消費者物価について、生鮮食品・エネルギーを除いた「コアコア」で物価の基調をみると、底堅さがみられるが、「総合」でみると、エネルギー・資源

価格の上昇等を受けて、緩やかに上昇した。この下で、家計の電気、ガソリンなどエネルギー関連の支出増は、収入対比でみると、低所得層ほど大きい。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、このところ弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、9月▲1.2%10+3.711月▲3.0%12月▲1.5%

・持家着工数は前月比で、9+2.0%10月▲0.2%11月▲3.9%12月▲3.3%

・貸家着工数は前月比で、9+0.7%10+2.7%11月▲6.1%12月▲0.2%

・分譲着工数は前月比で、9月▲7.2%10+10.1%11+2.6%12月▲1.5%

   公共投資は、高水準にあるものの、このところ弱含んでいる。

・請負金額は前月比で、8+0.6%(出来高▲3.2%)、9月▲3.3%(出来高▲2.6%)、10月▲3.4%(出来高▲1.0%)、11月▲0.3%(出来高▲1.0%)、12+0.4%221月▲2.4%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、感染症の影響が残る中で、引き続き弱い動きとなっているものの、求人等に持ち直しの動きがみられる。

・雇用者数及び失業率は概ね横ばいで推移している。日次有効求人件数は引き続き改善傾向にある。

・新規求人数は、水準は低いものの、持ち直しの動きがみられる。一方、高齢層を中心に、非労働力人口は増加した。

202112月の賃金は、ボーナス(特別給与)の減少により、前年比マイナスとなった。なお、このところ前職と比べて賃金が1割以上増加した転職決定者

の割合は2期連続で上昇し、3割を超える。

・有効求人倍率は、81.1491.16101.15111.15121.16(正社員は0.86)となった。

・完全失業率は、82.8%92.8%102.7%112.8%122.7%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、持ち直している。

   ・経済社会活動の水準を引き上げる中で、1012月期の上場企業の経常利益は、製造業・非製造業ともに増加し、コロナ前の20191012月期を大きく上回る水準まで回復した。DX需要の取り込みや物流の活発化した、資材の取引価格上昇の影響などを受け、多くの業種で増加した。

       ・GDPベースでみた1012月期の設備投資は、プラスの伸びとなった。機械投資や構築物投資の

先行指標は、持ち直しの動きがみられる。また、デジタル化の対応もあり、ソフトウェア投資は10月以降、緩やかに増加している。

○ 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

   ・倒産件数は、おおむね横ばいとなった。

   ・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20213+56+149+1812+1820223+13

    「大企業・非製造業」は、20213月▲16+19+212+920223+8

    「中小企業・製造業」は、20213月▲136月▲79月▲312月▲120223月▲1

    「中小企業・非製造業」は、20213月▲116月▲99月▲1012月▲420223月▲6

 

生産

 生産は、持ち直しの動きとなっている。

・部品供給不足の緩和により、自動車等の輸送機械が持ち直し。生産用機械や電子部品・デバイスなどを中心に、先行きは増加が続く見込みとなっている。

 また、世界的に製品納期が長期化する中、我が国は、相対的に影響は小さいものの、供給面の制約には引き続き注視が必要である。

・鉱工業生産指数は前月比で、10+1.8%11+7.0%12月▲1.0%1月(予想)+5.2%2月(予想)+2.2%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、9月▲3.3%、10+4.2%11+0.1%12月▲3.4%

・電子部品・デバイスは前月比で、9月▲4.1%、10月▲1.1%11+3.1%12月▲3.0%

   ・輸送機械は前月比で、9月▲24.6%、10+17.4%11+28.5%12+0.9%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・中国を中心とするアジア向けが弱含む一方、アメリカや欧州向けは概ね横ばいとなっている。

品目別では、自動車関連財が持ち直す一方、資本財や情報関連財が鈍化した。

○ 輸入は、このところ弱含んでいる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、5か月ぶりに大きく下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、10+13.411+0.812+0.7221月▲19.6

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月連続で下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、9+12.910+0.911月▲4.112月▲2.9221月▲7.8

 

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気の回復テンポは、このところ鈍化している。

   ・2110-12月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+4.0%となった。

・消費はこのところ伸びが低下している。

・生産は、このところ伸びがおおむね横ばいとなっている。

・輸出は増加している。

・固定資産投資は伸びが低下している。

・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところおおむね横ばいとなっている。

○ 韓国・インド・インドネシアでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。

202110-12月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+6.9%

○ 雇用者数は緩やかに増加、失業率は低下した。

 ・1月の失業率は4.0%となった。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は持ち直しのテンポが緩やかになり、自動車販売台数は持ち直しの動きがみられる。

○ 設備投資はこのところ増勢が鈍化した。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏は、景気は一部で厳しい状況が残る中で、持ち直している。

イギリスは、厳しい状況が緩和される中で、持ち直している。

   ・2110-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.2%

   (イギリスは+3.9%、ドイツは▲2.9%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+2.5%1月)、イギリス+4.1%12月)。

○ 輸出は、ユーロ圏・イギリスともにこのところ持ち直している。

○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに横ばいとなっている。

 

 

2022年

1月

18日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.1.18)

基調判断

〈現状〉

・景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和

  される中で、このところ持ち直しの動きに弱さがみられる。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動を継続して

 いく中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの

   動きが続くことが期待される。ただし、感染症による影響や供給面

   での制約、原材料価格の動向による下振れリスクの高まりに十分注意

   する必要がある。

また、変異株をはじめ感染症による内外経済への影響や金融資本市場

変動等の影響を注視する必要がある。

 

 

世界経済

○  昨年末以降、欧米各国で感染の拡大が見られているが、感染者数の増加に比べ重症者数の増加は抑えられている。ワクチン接種の進展前の2020

    や2021年初とは異なり、経済社会活動の抑制は限定的とみられる。ただし、消費への影響も含め、今後の動向を注視していく必要がある。

○ 欧米では、景気の持ち直しが続く中で、物価の上昇や雇用情勢の改善が継続している。

○ 中国では、211012月期の実質GDP成長率が前年比+4.0%となった。政府の環境規制や不動産開発規制に加え感染拡大に伴う制限措置も実施

     されており、当面は回復の鈍さが続くことが見込まれる。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

・週次の個人消費は、昨年12月後半以降、平年水準(2017-19年)と同程度の水準で推移している。年末年始の売上高は、昨年より好調との声がある。

・外食や旅行のサービス消費は、引き続き持ち直しの動きとなっている。年末年始の交通機関の利用実績をみると、コロナ前(2019年度)を下回るものの、

  昨年を大きく上回る水準に回復している。

・年末年始の小売・娯楽施設の人流は昨年より増加した。医療提供体制の強化やワクチン接種の促進、治療薬の確保に万全を期し、経済社会活動を

極力継続できる環境を作っていくことが重要である。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、7+0.2%8月▲1.8%9月▲0.1%10+1.4%

      ・消費者態度指数(DI)は前月差で、8月▲0.8%9+1.1%10+1.4%110.0%12月▲0.1%。 

     11月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.8%となった。

 

物価

 国内企業物価は、このところ上昇テンポが鈍化している。消費者物価は、底堅さがみられる。

企業物価は、資源価格等の価格上昇鈍化を受け、このところ上昇テンポが鈍化した。

   消費者物価について、生鮮食品・エネルギーを除いた「コアコア」で物価の基調をみると、底堅さがみられるが、「総合」でみると、エネルギー・資源

  価格の上昇等を受けて、緩やかに上昇した。

・対人サービスは、財に比べて価格上昇テンポが緩やかとなっている。価格転嫁の程度を表す疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)をみると、

宿泊・飲食、運輸・郵便などのサービス業において特に悪化しており、価格転嫁の進展が重要となる。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、8月▲7.7%9月▲1.2%10+5.611月▲4.9%

・持家着工数は前月比で、8月▲3.5%9+2.0%10+2.1%11月▲6.2%

・貸家着工数は前月比で、8月▲7.5%9+0.7%10+1.5%11月▲7.1%

・分譲着工数は前月比で、8月▲13.3%9月▲7.2%10+16.0%11月▲0.3%

   公共投資は、高水準にあるものの、このところ弱含んでいる。

・請負金額は前月比で、7月▲11.0%(出来高+0.0%)、8+0.6%(出来高▲3.2%)、

9月▲3.3%(出来高▲2.6%)、10月▲3.4%(出来高▲1.0%)、11月▲0.3%12+0.4%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、弱い動きとなっているものの、求人等に持ち直しの動きがみられる。

   ・雇用者数及び失業率は概ね横ばいで推移している一方、日次有効求人件数は引き続き改善傾向となっている。

       ・高齢者の雇用機会の確保が進む中で、高齢者(65歳以上)の就業率は改善傾向で推移してきたが、感染拡大後は上昇テンポが鈍化。産業別の高齢者 

         の雇用者数をみると、宿泊・飲食や建設で減少する一方、医療・福祉や卸売・小売等で増加している。

  ・11月の賃金は、前年比横ばいとなった。パート・アルバイトの時給は、緊急事態宣言等が解除された10月以降、需要の急速な回復による人手不足など

    を背景に、一部の職種で大きく改善した

  ・有効求人倍率は、71.1581.1491.16101.15111.15(正社員は0.87)となった。

・完全失業率は、72.8%82.8%92.8%102.7%112.8%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、持ち直している。

    ・景気ウォッチャー調査の企業動向関連DIをみると、現状判断は、引き続き基準となる50を上回る。

   一方で、先行き判断は50を下回り、オミクロン株の感染拡大の ほか、原材料価格の上昇や半導体を含む品不足の動きへの警戒感等が示されている。

・設備投資について、2021年度の設備投資計画は引き続き前年より増加する見込みであり、特にソフトウェア投資は大きく増加する見込みとなっている。

・ソフトウェア投資が生産性を改善させる効果は、教育訓練投資に積極的な企業ほど大きい。デジタル 化の効果を最大化する観点からも、「人への投資」

  に官民を挙げて注力していく必要がある。

○ 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

・ 倒産件数は、資金繰り支援等もあり、おおむね横ばいとなった。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20213+56+149+1812+1820223+13

    「大企業・非製造業」は、20213月▲16+19+212+920223+8

    「中小企業・製造業」は、20213月▲136月▲79月▲312月▲120223月▲1

    「中小企業・非製造業」は、20213月▲116月▲99月▲1012月▲420223月▲6

 

生産

 生産は、持ち直しの動きとなっている。

・部品供給不足の緩和もあり、輸送機械が持ち直すとともに、その回復がプラスチック製品や鉄鋼・非鉄金属といった他産業にも波及し始めている。

・鉱工業生産指数は前月比で、9月▲5.4%10+1.8%11+7.2%12月(予想)+1.6%1月(予想)+5.0%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、8月▲3.2%9月▲3.3%、10+4.2%11+0.1%

・電子部品・デバイスは前月比で、8月▲2.9%9月▲4.1%、10月▲1.1%11+3.1%

   ・輸送機械は前月比で、8月▲12.5%9月▲24.6%、10+17.4%11+28.5%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・ 自動車関連財は持ち直す一方、資本財は増勢が鈍化した。情報関連財は概ね横ばいとなっている。

ただし、足下の情報関連財の輸出では、デジタル関連需要の拡大を受け、5G関連の基地局や携帯電話向けの通信機の部分品等が増加した。5G関連の

投資は世界的に一層の増加が見込まれている。

○ 輸入は、このところ弱含んでいる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、9+7.410+13.411+0.812+0.1

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、8月▲4.79+12.910+0.911月▲4.112月▲4.0

 

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気の回復テンポは、このところ鈍化している。

   ・217-9月期の実質GDP成長率は+4.9%となった。

・消費はこのところ伸びが低下している。

・生産は、このところ伸びがおおむね横ばいとなっている。

・輸出は増加している。

・固定資産投資は伸びが低下している。

・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きとなっている。

○ 韓国では、景気は持ち直しの動きが緩やかになっている。

○ インドでは、景気は持ち直している。

○ インドネシア・タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。

20217-9月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+2.3%

○ 雇用者数は緩やかに増加、失業率は低下した。

 ・12月の失業率は3.9%となった。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は持ち直し、自動車販売台数は下げ止まりの兆しがみられる。

○ 設備投資はこのところ増勢が鈍化した。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・イギリスともに、景気は厳しい状況が緩和される中で、持ち直している。

   ・217-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+9.1%

   (イギリスは+4.3%、ドイツは+7.0%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しており、イギリスは持ち直しているが、このところ一服感がみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+2.7%12月)、イギリス+3.9%11月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直しの動きがみられ、イギリスはこのところ持ち直している。

○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに横ばいとなっている。

 

 

2021年

12月

21日

月例経済報告

 

月例経済報告(R3.12.21)

基調判断

〈現状〉

・景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和

 される中で、このところ持ち直しの動きに弱さがみられる。

〈先行き〉              

・先行きについては、経済社会活動が正常化に向かう中で、各種政策の

効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待

される。ただし、供給面での制約や原材料価格の動向による下振れ

リスクの高まりに十分注意する必要がある。

また、変異株をはじめ感染症による内外経済への影響や金融資本市場

変動等の影響を注視する必要がある。

 

 

日本のGDP成長率

本年7-9月期の実質GDP成長率(2次速報)は、日本は前期比▲0.9%となった。

 

世界経済

世界の景気は持ち直しが継続している。OECD見通しによれば、2021年の世界全体の実質GDP水準は、コロナ前の2019年を超える見込みとなった。

○ 景気の持ち直しを背景に、欧米各国で物価が高まっている。アメリカでは、消費者の物価上昇予想(イ ンフレ期待)が高まり

 つつあり、今後の物価動向を引き続き注視していく必要がある。

○ 中国では、環境規制や不動産開発規制等を背景に生産が低調、感染拡大に伴う断続的な制限措置実施等により消費の伸びが低下した。景気の回復

  テンポが鈍化している。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、一部に弱さが残るものの、持ち直しの動きがみられる。

○ 個人消費を週次データでみると、11月後半以降、平年水準(2017-19年)の幅を上回る水準で推移している。カード支出に基づく消費動向をみると、

持ち直しの動きが娯楽関連にも広がっている。

・供給面の影響がみられていた新車販売は、持ち直しの動きとなっている。

・外食や旅行のサービス消費も、緊急事態宣言解除等により持ち直しの動きとなった。ただし、宿泊動向をみると、居住地から近隣県への宿泊が中心と

 なる傾向にある。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、6+2.5%7+0.2%8月▲1.8%9月▲0.1%

       ・消費者態度指数(DI)は前月差で、7+0.1%8月▲0.8%9+1.1%10+1.4%110.0%。 

      10月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.3%となった。

 

物価

 国内企業物価は、上昇している。消費者物価は、底堅さがみられる。

企業物価を需要段階別にみると、「素原材料」や「中間財」は国際市況を受けて大きく上昇しているが、最終財への価格転嫁は限定的となっている。

こうした中、製造業において、仕入価格DIは足下で大きく上昇しているものの、販売価格DIの上昇は限定的となった。価格転嫁の程度を表す疑似交易

条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)は、中小企業において一層の悪化がみられており、中小企業収益にマイナスの影響も懸念される。

       ・ 消費者物価について、生鮮食品・エネルギーを除いた「コアコア」で物価の基調をみると、底堅さがみられる。一方、「総合」でみると、緩やかに上昇

        した。生活実感に近い、食料品などの購入頻度が高い品目の価格上昇が多くなっている。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。 

・持家は持ち直している。一方、分譲住宅については、販売価格が上昇する中で新規発売物件の成約率(契約率)は好調を維持するなど、マンションへ

  の需要は底堅いものの、足下の着工は用地不足の影響もあって、弱含みとなっている。

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、7+6.9%8月▲7.7%9月▲1.2%10+5.6

・持家着工数は前月比で、7+8.0%8月▲3.5%9+2.0%10+2.1%

・貸家着工数は前月比で、7+1.4%8月▲7.5%9+0.7%10+1.5%

・分譲着工数は前月比で、7+14.2%8月▲13.3%9月▲7.2%10+16.6%

   公共投資は、高水準にあるものの、このところ弱含んである。

・請負金額は前月比で、6月▲1.6%(出来高+1.2%)、7月▲11.0%(出来高+0.0%)、8+0.6%(出来高▲3.2%)、9月▲7.0%(出来高▲2.6%)、10月▲5.2%(出来高▲1.0%)。             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、感染症の影響が残る中で、弱い動きとなっているものの、求人等に持ち直しの動きがみられる。

  ・雇用の過不足感が、宿泊・飲食サービス業を含めて不足超となる中で、ハローワークによるネット経由の日次有効求人件数は、12月に入っても改善して

     いる。

10月の雇用者数は横ばいで推移している。失業率は2.7%と底堅い動きとなっているものの、コロナ前の2019年同期と比較して、

男性を中心に追加就労希望就業者数が増加している。

   10月の賃金は、引き続き前年比プラスで推移した。これまでの企業収益の改善もあり、冬のボーナスは増加に転じる動きがある。

  ・有効求人倍率は、61.1371.1581.1491.16101.15(正社員は0.89)となった。

・完全失業率は、62.9%72.8%82.8%92.8%102.7%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、持ち直している。

○ 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。 

  ・ 2021年度の設備投資計画は、引き続き前年より増加する見込みであるものの、7-9月期は、供給面での制約や緊急事態宣言等の影響もあり、前期比

    マイナスとなった。特にソフトウェア投資は、感染拡大による商談延期や長期化により大きく減少した。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

  ・ 経常利益の動向をみると、7-9月期については、半導体不足等の供給面での制約や緊急事態宣言等の影響もあって減少したものの、全体ではコロナ前

    の水準を上回っており、持ち直している。ただし、非製造業の中でも、飲食サービス業、生活関連サービス業、宿泊業の収益は依然として厳しい。  

  ・ 企業の景況感は、持ち直しの動きがみられる。日銀短観12月調査によると、非製造業を中心に前回9月調査から改善した。緊急事態宣言等の解除に

    伴う経済社会活動の段階的引上げ等の影響もあり、宿泊・飲食サービスや対個人サービス等が大きく改善した。

  ・ 倒産件数は、資金繰り支援等もあり、おおむね横ばいとなった。

  ・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20213+56+149+1812+1820223+13

    「大企業・非製造業」は、20213月▲16+19+212+920223+8

    「中小企業・製造業」は、20213月▲136月▲79月▲312月▲120223月▲1

    「中小企業・非製造業」は、20213月▲116月▲99月▲1012月▲420223月▲6

 

生産

 生産は、持ち直しに足踏みがみられる。

・自動車の供給制約の緩和もあり、輸送機械が持ち直す一方、中国をはじめとするスマホ等の生産減少の影響を受け、電子部品・デバイスは横ばいとなって

 いる。ただし、世界の半導体の需要見通しは、2021年・2022年ともに上方修正され、2022年は一層の増加が見込まれているなど、半導体製品に対する強い

 需要は今後も続く見込みである。

・鉱工業生産指数は前月比で、8月▲3.6%9月▲5.4%10+1.8%11月(予想)+9.0%12月(予想)+2.1%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、7+1.6%8月▲3.2%9月▲3.3%、10+4.2%

・電子部品・デバイスは前月比で、7+0.9%8月▲2.9%9月▲4.1%、10月▲1.1%

   ・輸送機械は前月比で、7月▲3.8%8月▲12.5%9月▲24.6%、10+17.4%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・ 中国経済の回復鈍化等によりアジア向けが弱含みとなる中、足下では、自動車関連財や資本財が増加に寄与した。

○ 輸入は、このところ弱含んでいる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、8月▲13.79+7.410+13.411+0.8

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月ぶりに下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、8月▲4.79+12.910+0.911月▲4.1

 

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気の回復テンポは、このところ鈍化している。

   ・217-9月期の実質GDP成長率は+4.9%となった。

・消費はこのところ伸びが低下している。

・生産は、このところ伸びがおおむね横ばいとなっている。

・輸出は増加している。

・固定資産投資は伸びが低下している。

・消費者物価上昇率はこのところ高まっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)は低下した。

○ 韓国では、景気は持ち直しの動きが緩やかになっている。

○ インドでは、景気は持ち直している。

○ インドネシア・タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。

20217-9月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+2.1%

○ 雇用者数は緩やかに増加、失業率は低下した。

 ・11月の失業率は4.2%となった。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は持ち直し、自動車販売台数は下げ止まりの兆しがみられる。

○ 設備投資はこのところ増勢が鈍化した。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・イギリスともに、厳しい状況が緩和される中で、持ち直している。

   ・217-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+9.1%

   (イギリスは+5.1%、ドイツは+7.0%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しており、イギリスは持ち直しているが、このところ一服感がみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+2.6%11月)、イギリス+3.9%11月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直しの動きがみられ、イギリスはこのところ弱い動きとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに横ばいとなっている。

 

 

2021年

11月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R3.11.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和

 されつつあるものの、引き続き持ち直しの動きに弱さがみられる。

〈先行き〉              

・先行きについては、経済社会活動が正常化に向かう中で、各種政策の

効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待

される。ただし、供給面での制約や原材料価格の動向による下振れ

リスクの高まりに十分注意する必要がある。

また、感染症による内外経済への影響や金融資本市場の変動等の影響

を注視する必要がある。

 

 

日本のGDP成長率

本年7-9月期の実質GDP成長率は、欧米が前期比プラスとなる中で、日本は前期比▲0.8%と2期ぶりのマイナスとなった。

・9月までの緊急事態宣言等に加え、半導体不足や東南アジアでの感染拡大に伴う部品供給不足が影響し、個人消費、設備投資、輸出はいずれも

 前期比マイナス。

○ 緊急事態宣言等の解除や経済対策の効果などを背景に、今後は我が国もプラス成長となることが期待される

 

世界経済

欧米の7-9月期の実質GDPは、プラス成長が継続している。欧州では、夏までに移動制限の緩和が行われたこともあり、旅行等のサービス消費が増加

  した。欧米ともに、雇用環境の改善、物価の上昇がみられる。

○ 欧米を中心に世界的に景気が持ち直し、世界貿易が高水準で推移する中で、物流面において、輸送期間の長期化や価格上昇がみられる。

  また、中国では、環境規制や不動産開発規制等を背景に、生産の伸びが低下している。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、一部に弱さが残るものの、持ち直しの動きがみられる。

○ 10月後半以降の消費を週次データでみると、平年水準(2017-19年)の幅と比較して、緩やかながら回復に向かう動きがみられる。

・新車販売は、供給面の影響により減少。一方、宿泊施設稼働率は10月以降、上昇が続く。外食や娯楽関連の支出に持ち直しの動きがみられる。

・個人消費については、自動車等の耐久財や衣服等の半耐久財がマイナスに寄与した。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、5月▲2.8%6+2.5%7+0.2%8月▲2.0%

      ・消費者態度指数(DI)は前月差で、6+3.3%7+0.1%8月▲0.8%9+1.1%10+1.4%。 

     9月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.3%となった。

 

物価

 国内企業物価は、上昇している。消費者物価は、底堅さがみられる。

 

ガソリンや鋼材等の国内の商品市況は、国際的な資源価格の高騰等を背景に上昇傾向。国内企業物価をみても、原油・エネルギー関係品目や鉄鋼・  

  非鉄金属価格の上昇により、全体として上昇。

   ・消費者物価について、生鮮食品・エネルギーを除いたコアコアで物価の基調をみると、底堅さがみられる。一方、生活実感を表す総合でみると、資源

    価格の上昇等を背景に緩やかに上昇しており、今後電気代も上昇する見込み。物価上昇による家計への影響には注意が必要である。

  

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、このところ持ち直しの動きとなっている 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、6月▲1.0%7+6.9%8月▲7.7%9月▲1.2%

・持家着工数は前月比で、6月▲0.2%7+8.0%8月▲3.5%9+2.0%

・貸家着工数は前月比で、6+4.8%7+1.4%8月▲7.5%9+0.7%

・分譲着工数は前月比で、6月▲7.9%7+14.2%8月▲13.3%9月▲7.2%

   公共投資は、高水準にあるものの、このところ弱含んである。

・請負金額は前月比で、5+15.0%(出来高▲1.4%)、6月▲1.6%(出来高+1.2%)、7月▲11.0%(出来高+0.0%)、8+0.6%(出来高▲3.2%)、9月▲7.0%(出来高▲6.9%)、10月▲5.2%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、感染症の影響が残る中で、弱い動きとなっているものの、求人等の動きに底堅さもみられる。

  ・雇用状況は、弱さが続く中、9月の雇用者数は横ばいで推移している。

 7-9月期の女性の非正規雇用者は、2019年同期比で70万人減少する一方で、正規雇用者は同66万人増加した。

 失業率は2.8%と底堅い動きとなっているものの、男性を中心に1年以上の長期失業者が増加した。

  ・ハローワークによるネット経由の日次有効求人件数は、2019年同月比で水準は低いものの、11月に入っても持ち直しの動きが

  続く。

 ・9月の賃金は、引き続き前年比プラスで推移。実質総雇用者所得は、概ねコロナ前の水準を回復した。

  ・有効求人倍率は、51.0961.1371.1581.1491.16(正社員は0.91)となった。

・完全失業率は、53.0%62.9%72.8%82.8%92.8%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、持ち直している。

○ 設備投資は、持ち直している。

○ 業況判断は、一部に厳しさは残るものの、持ち直しの動きがみられる。

・ 7-9月期の上場企業の経常利益は、製造業・非製造業ともに前年比で大幅増となった。

・ 中小企業の10月の利益動向をみると、利益額DIは悪化した。

資源価格の上昇に伴い、仕入価格DIが上昇しており、価格転嫁の程度を表す疑似交易条件は本年夏以降、悪化傾向にあること等が背景にある。

・ 倒産件数は、資金繰り支援等もあり、月500件程度の水準と概ね横ばいとなった一方、休廃業・解散件数は、1~9月の累計でみると、前年と概ね同水準

  となる中で、観光関連業等では、前年より増加した。

・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、202012月▲1020213+56+149+1812+14

    「大企業・非製造業」は202012月▲520213月▲16+19+2123

    「中小企業・製造業」は、202012月▲2720213月▲136月▲79月▲312月▲4

    「中小企業・非製造業」は、202012月▲1220213月▲116月▲99月▲1012月▲13

 

生産

 生産は、持ち直しに足踏みがみられる。

・9月までの製造業の生産をみると、自動車の減産に加え、中国経済の回復鈍化等から、生産用機械は

増勢鈍化となった。その背景の一つとして、マシニングセンタ等の工作機械受注は、内需が底堅い一方で、アジア向けの外需には足踏み感がみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、7月▲1.5%8月▲3.6%9月▲5.4%10月(予想)+6.4%11月(予想)+5.7%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、6+10.3%7+1.6%8月▲3.2%9月▲3.3%。

・電子部品・デバイスは前月比で、6+3.9%7+0.9%8月▲2.9%9月▲4.1%。

   ・輸送機械は前月比で、6+17.6%7月▲3.8%8月▲12.5%9月▲24.6%。

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・ 中国経済の回復鈍化等により、アジア向けが弱含みとなった。また、供給制約による減産を受け、自動車関連財が減少した。

○ 輸入は、このところ弱含んでいる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 消費者マインドを景気ウォッチャー調査の家計動向関連DIでみると、感染者数の減少や緊急事態宣言解除等により、大きく上昇し、消費者マインドは、

  持ち直しの動きがみられる。

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、7+0.88月▲13.79+7.410+13.4

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、7月▲4.08月▲4.79+12.910+0.9%

 

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気の回復テンポは、このところ鈍化している。

   ・217-9月期の実質GDP成長率は+4.9%となった。

・消費はこのところ伸びがおおむね横ばいとなっている。

・生産は、伸びがやや低下している。

・輸出は着実に増加している。

・固定資産投資は伸びがやや低下している。

・消費者物価上昇率はこのところやや高まっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)は低下した。

○ 韓国では、景気は持ち直しの動きが緩やかになっている。

○ インド・インドネシア・タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。

20217-9月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+2.0%

○ 雇用者数は緩やかに増加、失業率は低下した。

 ・10月の失業率は4.6%となった。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は持ち直し、自動車販売台数は下げ止まりの兆しがみられる。

○ 設備投資はこのところ増勢が鈍化した。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・イギリスともに、厳しい状況が緩和される中で、持ち直している。

   ・217-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+9.3%

   (イギリスは+5.1%、ドイツは+7.3%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しており、イギリスは持ち直しているが、このところ一服感がみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+2.1%10月)、イギリス+3.2%10月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱い動きとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに横ばいとなっている。