2022年
6月
20日
月
月例経済報告(R4.6.20) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、持ち直しの動きがみられる。 〈先行き〉 ・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が 進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待 される。ただし、ウクライナ情勢の長期化や中国における経済活動抑制の影響などが懸念される中での原材料価格の上昇や供給面での制約に 加え、金融資本市場の変動等による下振れリスクに十分注意する必要がある。
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世界経済・ウクライナ情勢
○ 世界の景気は、中国において足踏みがみられるものの、持ち直している。
・OECD見通しでは22年の世界成長率は3.0%と、コロナ禍前と同程度の見込みとなった。
ただし、ウクライナ情勢を背景に成長率は下方修正した。
・OECD諸国の22年のインフレ率は8.8%と34年ぶりの高い伸びとなる見込みである。
・足下の消費者物価は、欧米では前年比8~9%と、一段と上昇した。
・失業率は引き続き低下傾向となった。この下で、世界的に金融政策の正常化が引き続き進展した。
・ウクライナ情勢の長期化が懸念される中で、エネルギー、食料価格は引き続き高水準で不安定な動きとなった。
・中国では、厳しい防疫措置が徐々に緩和される中で、生産、消費は引き続き伸びが足踏みとなった。
個人消費の動向
○ 個人消費は、このところ持ち直しの動きがみられる。
・外食や旅行等のサービス消費は持ち直しが続く。ただし、旅行では居住地から近隣県への旅行の回復が中心となっている。
・街角の景況感は、物価上昇への懸念もある一方、人出の増加や夏季の行事・旅行への期待等から上昇した。
・直近まで個人消費を週次の消費金額でみると、6月にかけても概ね平年を上回る水準となった。
・消費総合指数(実質)は、前期比で、12月+0.1%、1月▲0.6%、2月▲0.7%、3月+0.2%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、1月▲1.8%、2月▲1.3%、3月▲2.4%、4月+0.2%、5月+1.1%。
・4月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.3%となった。
物価
○ ウクライナ情勢等を背景とする原材料価格上昇等により、国内企業物価は5月は前年比9.1%と上昇が続いており、価格上昇品目にはさらなる広がりが
みられる。
○ 消費者物価は、エネルギーや食料品の値上げを背景にこのところ上昇している。
・4月は、携帯通信料引下げ効果の剥落もあり、前年比2.5%と約30年ぶりの高い伸び(総合)となった。
・ただし、G20諸国の半数程度が7%以上となる一方、日本は下位3番目であるなど、諸外国に比べて低い伸びにとどまる。
○ 我が国のエネルギー・食料品の物価上昇率は、これまで実施してきたガソリン等の激変緩和事業や電気代の燃料費調整制度、小麦の国内価格上昇を抑制する政策等もあり、欧米に比べて低い伸びに留まっている。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、住宅建設は、賃貸マンションや分譲マンションの需要増加を反映し、底堅い動きとなっている。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、1月▲2.1%、2月+6.4%、3月+6.3%、4月▲4.6%。
・持家着工数は前月比で、1月▲7.1%、2月+2.6%、3月▲0.1%、4月▲2.3%。
・貸家着工数は前月比で、1月+5.0%、2月+1.3%、3月+18.7%、4月▲11.8%。
・分譲着工数は前月比で、1月▲4.8%、2月+17.7%、3月▲2.7%、4月3.2%。
○ 公共投資は、このところ底堅い動きとなっている。
・請負金額は前月比で、12月+0.4%(出来高▲3.2%)、22年1月▲2.4%(出来高▲2.0%)、2月+0.7%(出来高▲0.7%)、3月+13.6%(出来高+1.1%)、
4月▲3.4%、5月▲2.0%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は、持ち直しの動きとなった。就業者数は緩やかに増加し、失業率は3か月連続で低下となった。就業率(就業者数/人口)も、特に25~64歳
の女性において、コロナ前を上回る水準まで上昇した。
○ 求人は持ち直した。求人広告掲載件数をみると、生産工程等やサービスなど、幅広い業種において増加した。ハローワークによるネット経由の日次有効
求人も、引き続き増加した。
○ 一人当たり賃金は、所定内給与の増加が続いたことなどから、4月も前年比プラスとなった。2022年春季労使交渉について、賃上げ率は2.09%と昨年を
上回る状況。民間機関の調査によると、夏のボーナスも、4年ぶりのプラスとなる見込みである。
・有効求人倍率は、1月0.20、2月1.21、3月1.22、4月1.23(正社員は0.97)となった。
・完全失業率は、11月2.8%、12月2.7%、1月2.8%、2月2.7%,3月2.6%、4月2.5%。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。
・1-3月期の経常利益は、製造業・非製造業ともに前年比で増益となり、概ねコロナ前の2019年を上回る水準となった。非製造業では、飲食サービス業や宿泊業などで、本業の利益を表す営業利益は赤字となった。
・中小企業製造業では、経常利益は原材料価格の上昇等を背景に前年比で減益。経常利益(売上高対比)をみると、商品仕入原価などが計上される売上原価の増加が下押しに寄与した。
・価格転嫁の程度を表す疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)をみると、中小企業では、加工系製造業において特に悪化した。引き続き価格
転嫁が重要となる。
○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。
・ 1-3月期の設備投資は、製造業では前期比プラスとなった。機械投資には持ち直しの動きがみられる。ソフトウェア投資は月々の
振れを伴いながら、均してみると緩やかに増加した。
・2022年度の設備投資の見通しは、前年度比16.0%増と高い伸びとなっており、脱炭素やエネルギー効率上昇に向けた投資の実現が
重要となる。
○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。
・ 倒産件数はおおむね横ばいとなっている。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2021年6月+14、9月+18、12月+18、2022年3月+14、6月+9。
「大企業・非製造業」は、2021年6月+1、9月+2、12月+9、2022年3月+9、6月+7。
「中小企業・製造業」は、2021年6月▲7、9月▲3、12月▲1、2022年3月▲4、6月▲5。
「中小企業・非製造業」は、2021年6月▲9、9月▲10、12月▲4、2022年3月▲6、▲10。
○ 生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。
・供給制約等により、輸送機械は持ち直しに足踏みがみられる。また、電子部品・デバイスも、中国の活動制限の影響などから増勢が鈍化しているものの、
世界の半導体の需要見通しは、2022年は上方修正され、2023年も一層の増加が見込まれるなど、半導体製品に対する強い需要は今後も続く見込みと
なっている。
・鉱工業生産指数は前月比で、2月+2.0%、3月+0.3%、4月▲1.5%、5月(予測)+4.8%、6月(予測)+8.9%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、1月+4.8%、2月▲0.6%、3月+3.9%、4月▲2.7%。
・電子部品・デバイスは前月比で、1月+10.4%、2月▲0.7%3月+2.0%、4月▲6.6%。
・輸送機械は前月比で、1月▲15.7%、2月+14.8%、3月▲5.1%、4月▲0.1%。
外需
○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。
・アメリカや欧州向けは、持ち直しの動きがみられる一方、中国は5月も減少した。
○ 輸入は、下げ止まっている。
・輸入は、中国の活動制限の影響の緩和などから下げ止まりとなあった。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、1月▲19.6、2月▲0.2、3月+10.1、4月+2.6、5月+3.6。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月連続で上昇した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、1月▲7.8、2月+1.9、3月+5.7、4月+0.2、5月+2.2。
アジア経済の動向
〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、一部地方で経済活動が抑制されており、持ち直しの動きに足踏みがみられる。
先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、当面は一部地方での経済活動の抑制の影響が続くと見込まれる。
また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
・22年1-3月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+4.8%となった。
・消費はこのところ弱い動きとなっている。
・生産は、このところ持ち直しの動きがみられる。
・輸出は増加している。
・固定資産投資はこのところ伸びやや低下している。
・消費者物価上昇率はこのところ上昇している。
・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きがみられる。
◎ 中国の景気下支え策
1.企業支援
○本年の減税・税還付を2.8兆円追加(総額52.8兆円)。
○中小零細企業向け貸付、感染症の影響を受けた人々の住宅ローン返済猶予。
○交通・物流向けの特別再貸出(2兆円)。
○サービス業の中小零細企業の家賃を3~6カ月減免。
2.投資促進
○地方専項債券を、原則6月末までに発行・8月末までに使用を完了。
○国家重大インフラ発展計画を編成、重大プロジェクトを推進。
3.消費促進・家計支援策
○乗用車の取得税を減免(減税規模1.2兆円)。
○生活保障(救済補助金3.1兆円)。
4.雇用対策
○新規大卒生を雇う企業に最大一人当たり3万円を補助。
5.食料安全保障
○コスト上昇を補うため農業補助金2,000億円を支給。 等
○ 韓国・インド・インドネシアでは、景気は持ち直している。
○ タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。
○ 台湾では、景気は回復している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は持ち直している。先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融資本市場の変動の影響や金融政策正常化の影響等を注視する必要がある。
・2022年1-3月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率▲1.5%。
○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。
・5月の失業率は3.6%となった。
○ 生産は緩やかに増加した。
○ 消費は緩やかに持ち直し、自動車販売台数はこのところ弱い動きとなっている。
○ 設備投資は緩やかに増加した。
○ 財輸出は緩やかに増加した。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏では、景気は一部で厳しい状況が残る中で持ち直している。
イギリスは、持ち直している。
・22年1-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+2.5%(イギリスは+3.0%、ドイツは+0.9%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに、持ち直しに足踏みがみられる。
○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+4.4%(5月)、イギリス+6.1%(4月)。
○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直し、イギリスはこのところ増加している。
○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。
2022年
5月
25日
水
月例経済報告(R4.5.25) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、持ち直しの動きがみられる。 〈先行き〉 ・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が 進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待 される。ただし、中国における感染再拡大の影響やウクライナ情勢の 長期化などが懸念される中で、供給面での制約や原材料価格の上昇、 金融資本市場の変動等による下振れリスクに十分注意する必要がある。 また、感染症による影響を注視する必要がある。
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世界経済・ウクライナ情勢
○ 世界の景気は、中国等で感染再拡大の影響がみられるものの、持ち直している。
・1-3月期のGDPは、ユーロ圏、英国では引き続きプラス成長となり、この結果、アメリカ、ユーロ圏に続き、英国もコロナ禍
前の水準を回復した。アメリカでは生産は緩やかな増加が続き、失業率は欧米ともに引き続き低下した。
・国際商品市場におけるエネルギーや食料の価格は、ウクライナ情勢等を背景に高水準で推移。
・中国では一部都市での厳しい防疫措置を受け、国内の消費、生産などが足下で大きく減少。海運など物流停滞もみられ、供給制約
を通じた世界経済への影響に注視が必要。
日本のGDP成長率
○ 2022年1-3月期の実質GDP成長率は、前期比▲0.2%と2期ぶりのマイナスとなった。
個人消費は横ばい、設備投資はプラスに寄与した。
一方、供給制約の緩和やワクチン・治療薬の購入などに伴う輸入増加で外需はマイナスに寄与し、GDP全体としてはマイナスとなった。
感染拡大の中でも内需がプラスという姿は、「ウィズコロナ」の下で、メリハリのきいた対策を講じることができ、経済社会活動を極力継続できるような取り組み
の表れとみられる。
○ 輸入物価上昇が内需に徐々に波及し、GDPデフレーターはプラスとなっている。
○ 年度でみると、2021年度は前年度比2.1%と3年ぶりのプラス成長となった。
個人消費の動向
○ 個人消費は、このところ持ち直しの動きがみられる。
・まん延防止等重点措置の解除等を背景に、外食や旅行等のサービス消費は持ち直しとなっている。
特にGW期間は、3年ぶりに行動制限がない中で、こうした分野を中心に活発な動きがみられる。
・直近までの週次の消費金額でみると、5月にかけても平年を上回る水準となっている。
・一方、物価上昇の下、実質総雇用者所得の伸びは抑制されており、こうした動向が消費に与える影響には注意が必要である。
・消費総合指数(実質)は、前期比で、11月+2.2%、12月+0.1%、1月▲0.6%、2月▲1.2%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、12月0.0%、22年1月▲1.8%、2月▲1.3%、3月▲2.4%、4月+0.2%。
・3月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.3%となった。
物価
○ ウクライナ情勢等を背景とする原材料価格上昇等により、輸入物価は、4月は1974年以来の伸び(前月比)となっている。
○ 国内企業物価は、需要段階別にみると、素原材料や中間財は大きく上昇した。
・一方、最終財も上昇し、価格転嫁がうかがえるが、上昇幅は相対的に小さい。継続的な賃上げと価格転嫁が重要となる。
○ 消費者物価は、エネルギーや食料品の値上げを背景に上昇している。
・4月は、携帯通信料引下げ効果の剥落もあり、前年比2.5%と約30年ぶりの高い伸びとなった(総合指数、消費税増税期間を
除く)。変動の大きい生鮮食品及びエネルギーを除いた品目からなる「コアコア」でみても、年率換算で2%程度となった
(前月比0.2%、4か月連続)。
○ 民間調査によれば、今後も光熱費や食料品等の品目で値上げが行われる見込みである。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、12月▲1.5%、1月▲2.1%、2月+6.4%、3月+6.3%。
・持家着工数は前月比で、12月▲3.3%、1月▲7.1%、2月+2.6%、3月▲0.1%。
・貸家着工数は前月比で、12月▲0.2%、1月+5.0%、2月+1.3%、3月+18.7%。
・分譲着工数は前月比で、11月+2.6%、12月▲1.5%、1月▲4.8%、2月+17.7%、3月▲2.7%。
○ 公共投資は、このところ底堅い動きとなっている。
・請負金額は前月比で、11月▲0.3%(出来高▲1.0%)、12月+0.4%(出来高▲3.2%)、22年1月▲2.4%(出来高▲2.0%)、2月+0.7%(出来高+1.1%)、
3月+13.6、4月▲3.4%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は、持ち直しの動き。就業者数は緩やかに増加し、失業率は2か月連続で低下となった。1年以上の長期失業者も前年に比べて減少した。
○ 求人は持ち直している。製造業や宿泊・飲食サービス業において求人は増加した。ハローワークによるネット経由の日次有効求人も、引き続き増加。
○ 一人当たり賃金は、所定内給与の増加が続いたことなどから、3月は前年比プラスとなった。また、パート・アルバイト募集時の時給についても、幅広い
職種において増加傾向で推移している。
・有効求人倍率は、11月1.15、12月1.17、1月0.20、2月1.21、3月1.22(正社員は0.94)となった。
・完全失業率は、10月2.7%、11月2.8%、12月2.7%、1月2.8%、2月2.7%,3月2.6%。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。
・1-3月期の上場企業の経常利益は、製造業・非製造業ともに増益となり、コロナ前の2019年を大きく上回る水準。機械製品の好調さや物流の活発化、
資材の取引価格上昇の影響などを受け、多くの業種で増益となった。
・ 企業の景況感は、原材料価格の高騰などを背景に、持ち直しの動きに足踏みがみられる。
○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。
・ ただし、1-3月期のGDP統計によれば、資本財価格等の上昇の下、実質ベースの伸びは名目を下回る。
○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。
・ 倒産件数はおおむね横ばい、休廃業・解散は減少となった。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2021年6月+14、9月+18、12月+18、2022年3月+14、6月+9。
「大企業・非製造業」は、2021年6月+1、9月+2、12月+9、2022年3月+9、6月+7。
「中小企業・製造業」は、2021年6月▲7、9月▲3、12月▲1、2022年3月▲4、6月▲5。
「中小企業・非製造業」は、2021年6月▲9、9月▲10、12月▲4、2022年3月▲6、▲10。
○ 生産は、持ち直しの動きがみられる。
・供給制約等により、輸送機械は持ち直しに足踏みがみられる一方、生産用機械や電子部品・デバイスなどが緩やかに増加した。足下では、中国での
活動制限を受け、国内の様々な業種において、部品・製品調達の遅れや生産活動の停滞が生じており、今後の影響を注視する必要がある。
・鉱工業生産指数は前月比で、1月▲2.4%、2月+2.0%、3月+0.3%、4月(予測)+5.8%、5月(予測)▲0.8%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、12月▲3.4%、1月+4.8%、2月▲0.6%、3月+3.9%。
・電子部品・デバイスは前月比で、12月▲3.0%、1月+10.4%、2月▲0.7%3月+2.0%。
・輸送機械は前月比で、12月+0.9%、1月▲15.7%、2月+14.8%、3月▲5.1%。
◎中国での活動制限に伴う調達や精算等への影響
・自動車…………中国のロックダウンに伴う部品調達難により、国内複数工場 の稼働を一時停止。
・半導体メーカー、製紙業者……中国の港湾の閉鎖に伴い部品を迂回ルートで調達。
・電機メーカー…洗濯機、炊飯器、電子レンジ等一部電化製品の新規受注を 停止。
・家電量販店……調理家電やエアコン等が一部品薄。
・家具小売店……棚やテーブル、ソファ等約40品目が販売停止。
・衣料販売店……婦人・紳士衣料品の納品に遅れ。
外需
○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。
・我が国の輸出は概ね横ばい。アメリカや欧州向けは、持ち直しの動きがみられる一方、アジアは中国向けの落ち込みにより弱含み。
輸入は、中国の活動制限の影響などから弱含みとなっている。
○ 輸入は、このところ弱含んでいる。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、12月+0.7、22年1月▲19.6、2月▲0.2、3月+10.1、4月+2.6。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、12月▲2.9、22年1月▲7.8、2月+1.9、3月+5.7、4月+0.2。
アジア経済の動向
〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、一部地方で経済活動が抑制されており、持ち直しの動きに足踏みがみられる。
先行きについては、持ち直しの動きが続くことが期待される。ただし、当面は一部地方での経済活動の抑制の影響が続くと見込まれる。
また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
・22年1-3月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+4.8%となった。
・消費はこのところ弱い動きとなっている。
・生産は、このところ伸びがやや低下している。
・輸出は緩やかに増加している。
・固定資産投資はこのところ伸びやや低下している。
・消費者物価上昇率はこのところ上昇している。
・製造業購買担当者指数(PMI)は低下している。
○ 韓国・インド・インドネシアでは、景気は持ち直している。
○ タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。
○ 台湾では、景気は回復している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は持ち直している。先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融資本市場の変動の影響
や感染症による内外経済への影響等を注視する必要がある。
・2022年1-3月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率▲1.4%。
○ 雇用者数は増加、失業率は低下した。
・4月の失業率は3.6%となった。
○ 生産は緩やかに増加した。
○ 消費は緩やかに持ち直し、自動車販売台数は持ち直しの動きがみられる。
○ 設備投資は緩やかに増加した。
○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。
※FOMC5月会合(5/3~4) 決定事項
○ 政策金利の誘導目標 範囲を0.50%ポイント 引上げる。
○ 6/1から、以下を毎月の削減上限として、 保有資産の削減を開始。
・米国債:300億ドル/月
・MBS:175億ドル/月
※ 削減開始から3か月後、 削減上限を以下のとおり 引上げ予定。
・米国債:600億ドル/月
・MBS:350億ドル/月
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏では、景気は一部で厳しい状況が残る中で持ち直している。
イギリスは、景気は厳しい状況が緩和される中で、持ち直している。
・22年1-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.1%
(イギリスは+3.0%、ドイツは+0.8%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに、持ち直しに足踏みがみられる。
○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+3.9%(4月)、イギリス+6.1%(4月)。
○ 輸出は、ユーロ圏・イギリスともにこのところ持ち直している。
○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ持ち直しの動きがみられる。
2022年
4月
21日
木
月例経済報告(R4.4.21) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が緩和される中 で、持ち直しの動きがみられる。 〈先行き〉 ・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動が正常に 向かう中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち 直していくことが期待される。ただし、ウクライナ情勢等による 不透明感がみられる中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動、 供給面での制約等による下振れリスクに十分注意する必要がある。 また、感染症による影響を注視する必要がある。
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世界経済・ウクライナ情勢
○ 世界の景気は持ち直している。IMF見通しでは、22年の世界全体の成長率は+3.6%と引き続きプラス成長だが、ウクライナ情勢による不透明感を
背景にこれまでの見通しを下方修正している。
○ 国際商品市場における価格上昇等を背景に、先進国、新興国ともにインフレ率は一層上昇。欧米の消費者マインドはこのところ低下している。
○ 中国は、感染の早期抑え込みと減少を目指す「ダイナミックゼロ」の方針の下、一部都市で厳しい防疫措置を実施している。企業マインドの低下、消費の
下押し等がみられており、動向に注視が必要である。
個人消費の動向
○ 個人消費は、このところ持ち直しの動きがみられる。
・外食や旅行等のサービス消費は、まん延防止等重点措置解除もあり、持ち直しの動きがみられる。消費金額を週次でみると、4月にかけて徐々に改善
している。
・交通機関の利用実績は、3月は上昇し、GW期間の鉄道の予約状況も前年を上回る。
・一方、消費者マインドは、生活関連品目の価格上昇等を背景に、弱含んでおり、今後の消費に与える影響には注意が必要である。
・消費総合指数(実質)は、前期比で、10月+1.8%、11月+2.2%、12月+0.1%、1月▲0.3%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、11月0.0%、12月0.0%、22年1月▲1.8%、2月▲1.3%、3月▲2.4%。
・2月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.1%となった。
物価
○ 原油や穀物などの国際商品価格はウクライナ情勢を背景に引き続き高い水準で不安定な動きとなっている。国内企業物価は上昇が
続いており、価格上昇品目にも広がりがみられる。
○ こうした中、販売価格を引き上げる動きもみられており、販売価格DIは1980年以来の高水準。ただし、仕入価格DIも引き続き
上昇、価格転嫁の程度を表す疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)は悪化しており、企業収益への影響に注意が必要。
○ 消費者物価は、エネルギーや食料品価格の上昇を主因に、上昇率が高まっている。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、このところ弱含んでいる。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、11月▲3.0%、12月▲1.5%、1月▲2.1%、2月+6.4%。
・持家着工数は前月比で、11月▲3.9%、12月▲3.3%、1月▲7.1%、2月+2.6%。
・貸家着工数は前月比で、11月▲6.1%、12月▲0.2%、1月+5.0%、2月+1.3%。
・分譲着工数は前月比で、11月+2.6%、12月▲1.5%、1月▲4.8%、2月+17.7%。
○ 公共投資は、このところ底堅い動きとなっている。
・請負金額は前月比で、10月▲3.4%(出来高▲1.0%)、11月▲0.3%(出来高▲1.0%)、12月+0.4%(出来高▲3.2%)、22年1月▲2.4%(出来高▲2.0%)、
2月+0.7%、3月+13.6。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は、弱い動きとなっているものの、就業者数及び失業率は概ね横ばいで推移している。就業率は全体として横ばいであるが、25~64歳の女性は
上昇傾向にある。
雇用の過不足感が、幅広い業種で不足超となる中で、ハローワークによるネット経由の日次有効求人件数は、前年比で増加が続いており、求人は持ち直し
の動きがみられる。
・2月の一人当たり賃金は、人手不足などを背景としたパートタイム労働者の所定内給与の増加などから、前年比プラス。2022年春季労使交渉について、
連合の第4回回答集計では、賃上げ率は2.11%(うちベアは0.62%)と昨年を上回る状況である。
・有効求人倍率は、10月1.15、11月1.15、12月1.17、1月0.20、2月1.21(正社員は0.93)となった。
・完全失業率は、9月2.8%、10月2.7%、11月2.8%、12月2.7%、1月2.8%、2月2.7%。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。
・企業の景況感は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。日銀短観3月調査によると、前回12月調査から低下した。感染症の影響や原材料高を背景に、
宿泊・飲食サービスをはじめ、多くの業種で低下している。
・先行きについても、ウクライナ情勢を背景に低下している。
・民間機関の調査によると、ロシア・ウクライナ情勢に対して、既に燃料価格の高騰等の影響が出ており、今後も幅広い業種でマイナスの影響が予想され
ている。
・2022年度の経常利益は、2021年度と同程度の利益が見込まれているものの、一部の製造業では、前年度比マイナスの見込みとなっている。
○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。
・ 設備の過剰感は、日銀短観3月調査によると、製造業・非製造業ともに概ね解消している。2022年度の設備投資計画は、引き
続き前年より増加し、特にソフトウェア投資が大きく増加する見込みとなっている。
ただし、業種別にみると、運輸・郵便や卸・小売など非製造業の一部で前年度比マイナスとなっている。
・利益水準に比べて設備投資の水準が低い傾向が続いていたが、今後の利益改善が積極的な設備投資につながることを期待したい。
○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。
・ 倒産件数は、おおむね横ばいとなった。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2021年6月+14、9月+18、12月+18、2022年3月+14、6月+9。
「大企業・非製造業」は、2021年6月+1、9月+2、12月+9、2022年3月+9、6月+7。
「中小企業・製造業」は、2021年6月▲7、9月▲3、12月▲1、2022年3月▲4、6月▲5。
「中小企業・非製造業」は、2021年6月▲9、9月▲10、12月▲4、2022年3月▲6、▲10。
○ 生産は、持ち直しの動きがみられる。
・生産用機械や電子部品・デバイスなどが緩やかに増加した。工作機械受注は、内外需ともに底堅い動きとなっている。
・鉱工業生産指数は前月比で、12月▲1.0%、1月▲0.8%、2月+2.0%、3月(予想)+3.6%、3月(予測)+9.6%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、11月+0.1%、12月▲3.4%、1月+4.8%、2月▲0.6%。
・電子部品・デバイスは前月比で、11月+3.1%、12月▲3.0%、1月+10.4%、2月▲0.7%。
・輸送機械は前月比で、11月+28.5%、12月+0.9%、1月▲15.7%、2月+14.8%。
外需
○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。
・弱含んでいたアジア向けが、中国の生産活動の持ち直し等を背景に横ばいとなり、アメリカや欧州向けも横ばいとなっている。
2月の輸出では、半導体製造装置などの一般機械やプラスチックなどの化学製品がプラスに寄与した。
○ 輸入は、おおむね横ばいとなっている。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
アジア経済の動向
〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、一部地方で経済活動が抑制されているものの、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、持ち直しの
動きが続くことが期待される。
ただし、当面は一部地方での経済活動の抑制の影響が続くと見込まれる。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
・22年1-13月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+4.8%となった。
・消費はこのところ伸びが低下している。
・生産は、このところ伸びがやや低下している。
・輸出は増加している。
・固定資産投資はこのところ伸びが上昇している。
・消費者物価上昇率はこのところやや上昇している。
・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ低下している。
○ 韓国・インド・インドネシアでは、景気は持ち直している。
○ タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。
○ 台湾では、景気は回復している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は持ち直している。
・2021年10-12月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+6.9%。
○ 雇用者数は緩やかに増加、失業率は低下した。
・3月の失業率は3.6%となった。
○ 生産は緩やかに増加した。
○ 消費は緩やかに持ち直し、自動車販売台数はこのところ減少している。
○ 設備投資は増勢が鈍化した。
○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏は、景気は一部で厳しい状況が残る中で、持ち直している。
イギリスは、厳しい状況が緩和される中で、持ち直している。
・21年10-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.0%
(イギリスは+5.2%、ドイツは▲1.4%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに、持ち直しに足踏みがみられる。
○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+3.2%(3月)、イギリス+5.7%(3月)。
○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直している。イギリスでは持ち直している。
○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ持ち直しの動きがみられる。
2022年
3月
25日
金
月例経済報告(R4.3.25) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナウイルス 感染症による厳しい状況が残る中で、一部に弱さがみられる。 〈先行き〉 ・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動が正常に 向かう中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち 直していくことが期待される。ただし、ウクライナ情勢等による 不透明感がみられる中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動、 供給面での制約等による下振れリスクに十分注意する必要がある。 また、感染症による影響を注視する必要がある。
|
世界経済・ウクライナ情勢
○ ウクライナ情勢を受け、世界的に不確実性が上昇している。我が国の景気の先行きについても、商品市場、金融資本市場、貿易、世界経済の変動等を
通じた影響に注視が必要である。
○ エネルギー・食糧等を始め商品価格は一層上昇、金融資本市場は不安定な動き。ロシアに対するエネルギー依存度は、欧州諸国で相対的に高い。
○ 欧米の先行き見通しは、物価上昇率は上方修正、成長率は下方修正だが、持ち直しが続く見込みとなっている。この下で、欧米で金融政策の正常化に
向けた動きが進展している。
個人消費の動向
○ 個人消費は、持ち直しに足踏みがみられる。
・財消費は引き続き底堅い一方、3月21日までのまん延防止等重点措置の影響もあり、旅行や外食等のサービス消費は、2月後半も総じて弱めの動きが
続く。
・週次の個人消費は、振れを伴いつつも、概ね平年水準(2017-19年)の下限程度で推移。
・消費者マインドは、まん延防止等重点措置の延長や原材料価格の上昇の影響への懸念等を背景に、小幅低下した。
・物価上昇の下で、賃上げが実現され、所得が増加し、それが消費に結び付くことが重要である。
・消費総合指数(実質)は、前期比で、9月▲0.1%、10月+1.8%、11月+2.2%、12月+0.4%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、10月+1.4%、11月0.0%、12月▲0.1%、22年1月▲2.4%、2月▲1.4%。
・1月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.9%となった。
物価
○ 国内企業物価は、このところ上昇している。消費者物価は、このところ緩やかに上昇している。
なお、前年比の表示では、4月には昨年の携帯電話通信料引下げの効果が剥落し、数値はその分、増加する。
○ 原油価格の上昇を受け、ガソリンなどのエネルギー価格は上昇している。また、国際商品市況の上昇も背景に、4月以降も様々
な品目で値上げを予定している。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、このところ弱含んでいる。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、10月+3.7、11月▲3.0%、12月▲1.5%、1月▲2.1%。
・持家着工数は前月比で、10月▲0.2%、11月▲3.9%、12月▲3.3%、1月▲7.1%。
・貸家着工数は前月比で、10月+2.7%、11月▲6.1%、12月▲0.2%、1月+5.0%。
・分譲着工数は前月比で、10月+10.1%、11月+2.6%、12月▲1.5%、1月▲4.8%。
○ 公共投資は、高水準にあるものの、このところ弱含んでいる。
・請負金額は前月比で、9月▲3.3%(出来高▲2.6%)、10月▲3.4%(出来高▲1.0%)、11月▲0.3%(出来高▲1.0%)、12月+0.4%(出来高▲3.2%)、
22年1月▲2.4%(出来高▲2.0%)、2月+0.7%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は、感染症の影響が残る中で、引き続き弱い動きとなっているものの、求人等に持ち直しの動きがみられる。
・雇用者数及び失業率は概ね横ばいで推移している。雇用調整助成金の週間支給金額は減少しているものの、引き続き雇用維持に寄与している。
・1月の一人当たり賃金は、前年比プラスとなっている。2022年春季労使交渉について、連合の第1回回答集計では、賃上げ率は2.14%(うちベアは
0.5%)と昨年(1.81%)を上回る状況である。
・有効求人倍率は、9月1.16、10月1.15、11月1.15、12月1.17、1月0.20(正社員は0.91)となった。
・完全失業率は、9月2.8%、10月2.7%、11月2.8%、12月2.7%、1月2.8%。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。
・2021年10-12月期の経常利益は、経済社会活動の水準が引き上げられる中で、製造業・非製造業ともに増加し、総じて改善した。
大中堅企業、中小企業とも本業の利益を示す営業利益が増加している。ただし、宿泊業の営業利益は引き続き赤字となるなど、非製造業の一部に弱さ
がみられる。
○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。
・2021年10-12月期の設備投資は、製造業・非製造業ともに前期比プラスとなった。
機械投資には持ち直しの動 きがみられ、先行指標も持ち直している。
・2022年度の設備投資の見通しは、前年度比8.2%増と高い伸びを維持している。ただし、キャッシュフローの 増加に比べて設備
投資の伸びは緩やかとなっている。今般のエネルギー価格上昇等を踏まえると、脱炭素やエネル ギー効率上昇に向けた投資が一層
重要である。
○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。
・ 先行きは、原材料価格上昇、ウクライナ情勢による不透明感を背景に低下した。
・ 倒産件数は、おおむね横ばいとなった。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2021年3月+5、6月+14、9月+18、12月+18、2022年3月+13。
「大企業・非製造業」は、2021年3月▲1、6月+1、9月+2、12月+9、2022年3月+8。
「中小企業・製造業」は、2021年3月▲13、6月▲7、9月▲3、12月▲1、2022年3月▲1。
「中小企業・非製造業」は、2021年3月▲11、6月▲9、9月▲10、12月▲4、2022年3月▲6。
○ 生産は、持ち直しの動きとなっている。
・アジア向け輸出動向等を背景に、生産用機械や電子部品・デバイスなどが緩やかに増加。
・ウクライナ情勢については、民間機関の調査では、約6割の企業がマイナスの影響を与えると回答しており、今後の影響に注視が必要である。
・鉱工業生産指数は前月比で、11月+7.0%、12月▲1.0%、1月▲0.8%、2月(予想)+5.7%、3月(予測)+0.1%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、10月+4.2%、11月+0.1%、12月▲3.4%、1月+4.8%。
・電子部品・デバイスは前月比で、10月▲1.1%、11月+3.1%、12月▲3.0%、1月+10.4%。
・輸送機械は前月比で、10月+17.4%、11月+28.5%、12月+0.9%、1月▲15.7%。
外需
○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。
・弱含んでいたアジア向けが、中国の生産活動の持ち直し等を背景に横ばいとなり、アメリカや欧州向けも横ばいとなった。
○ 輸入は、おおむね横ばいとなっている。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、10月+13.4、11月+0.8、12月+0.7、22年1月▲19.6、2月▲0.2。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに上昇した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、10月+0.9、11月▲4.1、12月▲2.9、22年1月▲7.8、2月+1.9。
アジア経済の動向
〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、一部地方で経済活動が抑制されているものの、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、持ち直しの動きが続くことが期待される。ただ
し、当面は一部地方での経済活動の抑制の影響が続くと見込まれる。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
・21年10-12月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+4.0%となった。
・消費はこのところ伸びが低下している。
・生産は、このところ伸びが上昇している。
・輸出は増加している。
・固定資産投資はこのところ伸びが上昇している。
・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。
・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところおおむね横ばいとなっている。
※ 3月5~11日に開催された全国人民代表大会で、2022年の主要目標や政策運営方針が示された。
経済政策に関する主な点は以下のとおり。
・22年の実質経済成長率目標は5.5%前後(21年目標6%以上、実績8.1%)。
・今年中国が直面するリスクや課題は著しく増加している。
・穏健な金融政策の実施を強化:柔軟かつ適度にし、流動性に合理的なゆとりをもたせる。
債務総額の対GDP比の基本的な安定を維持。
・不動産市場は合理的な住宅需要を満たすようサポートし、地価・住宅価格・ 市場期待を安定させる。
・積極的な財政政策の効果の向上を図り、より一層持続可能性を重視。
財政赤字(中央+地方)は、対GDP比2.8%前後(21年目標3.2%前後)。
地方特別債の発行枠は3.65兆元(21年と同規模、1元=約19円)。
減税措置の延長・付加価値税の還付等で約2.5兆元の企業負担を軽減(20年 と同規模)。
・穏健な金融政策の実施を強化:柔軟かつ適度にし、流動性に合理的なゆとりをもたせる。
債務総額の対GDP比の基本的な安定を維持。
・不動産市場は合理的な住宅需要を満たすようサポートし、地価・住宅価格・ 市場期待を安定させる。
○ 韓国・インド・インドネシアでは、景気は持ち直している。
○ タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。
○ 台湾では、景気は回復している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は持ち直している。
・2021年10-12月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+7.0%。
○ 雇用者数は緩やかに増加、失業率は低下した。
・2月の失業率は3.8%となった。
○ 生産は緩やかに増加した。
○ 消費は緩やかに持ち直し、自動車販売台数は持ち直しの動きがみられる。
○ 設備投資は増勢が鈍化した。
○ 財輸出は緩やかに増加した。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏は、景気は一部で厳しい状況が残る中で、持ち直している。先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、ウクライナ情勢が
経済活動に与える影響によっては、景気が下振れするリスクがある。また、金融資本市場の変動の影響や感染症による内外経済への影響等を注視する
必要がある。
イギリスは、厳しい状況が緩和される中で、持ち直している。先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融資本市場の変動の影響や
感染症による内外経済への影響等を注視する必要がある。
・21年10-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.0%(イギリスは+3.9%、ドイツは▲1.4%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに、持ち直しに足踏みがみられる。
○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+2.9%(2月)、イギリス+5.1%(2月)。
○ 輸出は、ユーロ圏・イギリスともにこのところ持ち直している。
○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ持ち直しの動きがみられる。
2022年
2月
17日
木
月例経済報告(R4.2.17) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナウイルス 感染症による厳しい状況が残る中で、一部に弱さがみられる。 〈先行き〉 ・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動を継続して いく中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち 直していくことが期待される。ただし、感染拡大による影響や供給 面での制約、原材料価格の動向による下振れリスクに十分注意する 必要がある。 また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
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我が国の実質GDP成長率
○ 2021年10-12月期の実質GDP成長率は、前期比1.3%と2四半期ぶりのプラスとなり、概ねコロナ前の水準まで回復。緊急事態宣言等の解除を受けた
経済社会活動の段階的な引上げ、東南アジアでの感染拡大に伴う部品供給不足の緩和もあり、個人消費、輸出、設備投資がいずれもプラスに寄与した。
・特に、個人消費については、自動車等の耐久財や旅行・外食等のサービスが増加した。
○ 暦年でみると、2021年は前年比1.7%と3年ぶりのプラス成長となった。
世界経済
○ 欧米主要国の21年10~12月期の実質GDP成長率は、供給制約や感染拡大の影響もある中で、総じてプラス成長が続く。IMF見通しでは世界全体の22年
の成長率は∔4.4%と、景気は持ち直しが続く見込みである。
○ 昨年末以降、感染の急速な拡大・縮小が、欧米各国で時間差を伴ってみられたが、感染者数に比べ重症者数は抑制的、消費への影響も昨年対比では
限定的となっている。一方、ウクライナ情勢をめぐる緊張がみられる中、エネルギーを中心とした商品市場や金融資本市場等の変動には注視が必要である。
個人消費の動向
○ 個人消費は、持ち直しに足踏みがみられる。消費者マインドは、まん延防止等重点措置の実施等により、大幅に低下した。感染拡大を受け、小売・娯楽
施設の人流は、1月以降減少傾向にある。
・週次の個人消費は、昨年12月後半以降、平年水準(2017-19年)と同程度の水準で推移している。
・年末年始の売上高は、昨年より好調との声がある。
・外食や旅行のサービス消費は、引き続き持ち直しの動きとなっている。年末年始の交通機関の利用実績をみると、コロナ前(2019年度)を下回るものの、
昨年を大きく上回る水準に回復している。
・年末年始の小売・娯楽施設の人流は昨年より増加した。医療提供体制の強化やワクチン接種の促進、治療薬の確保に万全を期し、経済社会活動を
極力継続できる環境を作っていくことが重要である。
・消費総合指数(実質)は、前期比で、8月▲1.8%、9月▲0.1%、10月+1.8%、11月+2.1%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、9月+1.1%、10月+1.4%、11月0.0%、12月▲0.1%、22年1月▲2.4%。
・12月の実質総雇用者所得は、前期比で▲1.0%となった。
物価
○ 国内企業物価は、このところ緩やかに上昇している。消費者物価は、底堅さがみられる。
・原油価格は年初以降、再び上昇、国内ガソリン価格も1月第4週に170円超となるなど上昇した。
・国内企業物価は、原油・エネルギー関係品目を中心に、全体として上昇した。
・消費者物価について、生鮮食品・エネルギーを除いた「コアコア」で物価の基調をみると、底堅さがみられるが、「総合」でみると、エネルギー・資源
価格の上昇等を受けて、緩やかに上昇した。この下で、家計の電気、ガソリンなどエネルギー関連の支出増は、収入対比でみると、低所得層ほど大きい。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、このところ弱含んでいる。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、9月▲1.2%、10月+3.7、11月▲3.0%、12月▲1.5%。
・持家着工数は前月比で、9月+2.0%、10月▲0.2%、11月▲3.9%、12月▲3.3%。
・貸家着工数は前月比で、9月+0.7%、10月+2.7%、11月▲6.1%、12月▲0.2%。
・分譲着工数は前月比で、9月▲7.2%、10月+10.1%、11月+2.6%、12月▲1.5%。
○ 公共投資は、高水準にあるものの、このところ弱含んでいる。
・請負金額は前月比で、8月+0.6%(出来高▲3.2%)、9月▲3.3%(出来高▲2.6%)、10月▲3.4%(出来高▲1.0%)、11月▲0.3%(出来高▲1.0%)、12月+0.4%、22年1月▲2.4%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は、感染症の影響が残る中で、引き続き弱い動きとなっているものの、求人等に持ち直しの動きがみられる。
・雇用者数及び失業率は概ね横ばいで推移している。日次有効求人件数は引き続き改善傾向にある。
・新規求人数は、水準は低いものの、持ち直しの動きがみられる。一方、高齢層を中心に、非労働力人口は増加した。
・2021年12月の賃金は、ボーナス(特別給与)の減少により、前年比マイナスとなった。なお、このところ前職と比べて賃金が1割以上増加した転職決定者
の割合は2期連続で上昇し、3割を超える。
・有効求人倍率は、8月1.14、9月1.16、10月1.15、11月1.15、12月1.16(正社員は0.86)となった。
・完全失業率は、8月2.8%、9月2.8%、10月2.7%、11月2.8%、12月2.7%。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、持ち直している。
・経済社会活動の水準を引き上げる中で、10-12月期の上場企業の経常利益は、製造業・非製造業ともに増加し、コロナ前の2019年10-12月期を大きく上回る水準まで回復した。DX需要の取り込みや物流の活発化した、資材の取引価格上昇の影響などを受け、多くの業種で増加した。
・GDPベースでみた10-12月期の設備投資は、プラスの伸びとなった。機械投資や構築物投資の
先行指標は、持ち直しの動きがみられる。また、デジタル化の対応もあり、ソフトウェア投資は10月以降、緩やかに増加している。
○ 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。
○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。
・倒産件数は、おおむね横ばいとなった。
・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2021年3月+5、6月+14、9月+18、12月+18、2022年3月+13。
「大企業・非製造業」は、2021年3月▲1、6月+1、9月+2、12月+9、2022年3月+8。
「中小企業・製造業」は、2021年3月▲13、6月▲7、9月▲3、12月▲1、2022年3月▲1。
「中小企業・非製造業」は、2021年3月▲11、6月▲9、9月▲10、12月▲4、2022年3月▲6。
○ 生産は、持ち直しの動きとなっている。
・部品供給不足の緩和により、自動車等の輸送機械が持ち直し。生産用機械や電子部品・デバイスなどを中心に、先行きは増加が続く見込みとなっている。
また、世界的に製品納期が長期化する中、我が国は、相対的に影響は小さいものの、供給面の制約には引き続き注視が必要である。
・鉱工業生産指数は前月比で、10月+1.8%、11月+7.0%、12月▲1.0%、1月(予想)+5.2%、2月(予想)+2.2%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、9月▲3.3%、10月+4.2%、11月+0.1%、12月▲3.4%。
・電子部品・デバイスは前月比で、9月▲4.1%、10月▲1.1%、11月+3.1%、12月▲3.0%。
・輸送機械は前月比で、9月▲24.6%、10月+17.4%、11月+28.5%、12月+0.9%。
外需
○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。
・中国を中心とするアジア向けが弱含む一方、アメリカや欧州向けは概ね横ばいとなっている。
品目別では、自動車関連財が持ち直す一方、資本財や情報関連財が鈍化した。
○ 輸入は、このところ弱含んでいる。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、5か月ぶりに大きく下降した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、10月+13.4、11月+0.8、12月+0.7、22年1月▲19.6。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月連続で下降した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、9月+12.9、10月+0.9、11月▲4.1、12月▲2.9、22年1月▲7.8。
アジア経済の動向
〇 中国では、景気の回復テンポは、このところ鈍化している。
・21年10-12月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+4.0%となった。
・消費はこのところ伸びが低下している。
・生産は、このところ伸びがおおむね横ばいとなっている。
・輸出は増加している。
・固定資産投資は伸びが低下している。
・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。
・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところおおむね横ばいとなっている。
○ 韓国・インド・インドネシアでは、景気は持ち直している。
○ タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。
○ 台湾では、景気は回復している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は持ち直している。
・2021年10-12月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+6.9%。
○ 雇用者数は緩やかに増加、失業率は低下した。
・1月の失業率は4.0%となった。
○ 生産は緩やかに増加した。
○ 消費は持ち直しのテンポが緩やかになり、自動車販売台数は持ち直しの動きがみられる。
○ 設備投資はこのところ増勢が鈍化した。
○ 財輸出は緩やかに増加した。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏は、景気は一部で厳しい状況が残る中で、持ち直している。
イギリスは、厳しい状況が緩和される中で、持ち直している。
・21年10-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.2%
(イギリスは+3.9%、ドイツは▲2.9%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに、持ち直しに足踏みがみられる。
○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+2.5%(1月)、イギリス+4.1%(12月)。
○ 輸出は、ユーロ圏・イギリスともにこのところ持ち直している。
○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに横ばいとなっている。
2022年
1月
18日
火
月例経済報告(R4.1.18) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和 される中で、このところ持ち直しの動きに弱さがみられる。 〈先行き〉 ・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動を継続して いく中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの 動きが続くことが期待される。ただし、感染症による影響や供給面 での制約、原材料価格の動向による下振れリスクの高まりに十分注意 する必要がある。 また、変異株をはじめ感染症による内外経済への影響や金融資本市場 の変動等の影響を注視する必要がある。
|
世界経済
○ 昨年末以降、欧米各国で感染の拡大が見られているが、感染者数の増加に比べ重症者数の増加は抑えられている。ワクチン接種の進展前の2020年
や2021年初とは異なり、経済社会活動の抑制は限定的とみられる。ただし、消費への影響も含め、今後の動向を注視していく必要がある。
○ 欧米では、景気の持ち直しが続く中で、物価の上昇や雇用情勢の改善が継続している。
○ 中国では、21年10~12月期の実質GDP成長率が前年比+4.0%となった。政府の環境規制や不動産開発規制に加え感染拡大に伴う制限措置も実施
されており、当面は回復の鈍さが続くことが見込まれる。
個人消費の動向
○ 個人消費は、持ち直している。
・週次の個人消費は、昨年12月後半以降、平年水準(2017-19年)と同程度の水準で推移している。年末年始の売上高は、昨年より好調との声がある。
・外食や旅行のサービス消費は、引き続き持ち直しの動きとなっている。年末年始の交通機関の利用実績をみると、コロナ前(2019年度)を下回るものの、
昨年を大きく上回る水準に回復している。
・年末年始の小売・娯楽施設の人流は昨年より増加した。医療提供体制の強化やワクチン接種の促進、治療薬の確保に万全を期し、経済社会活動を
極力継続できる環境を作っていくことが重要である。
・消費総合指数(実質)は、前期比で、7月+0.2%、8月▲1.8%、9月▲0.1%、10月+1.4%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、8月▲0.8%、9月+1.1%、10月+1.4%、11月0.0%、12月▲0.1%。
・11月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.8%となった。
物価
○ 国内企業物価は、このところ上昇テンポが鈍化している。消費者物価は、底堅さがみられる。
・企業物価は、資源価格等の価格上昇鈍化を受け、このところ上昇テンポが鈍化した。
消費者物価について、生鮮食品・エネルギーを除いた「コアコア」で物価の基調をみると、底堅さがみられるが、「総合」でみると、エネルギー・資源
価格の上昇等を受けて、緩やかに上昇した。
・対人サービスは、財に比べて価格上昇テンポが緩やかとなっている。価格転嫁の程度を表す疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)をみると、
宿泊・飲食、運輸・郵便などのサービス業において特に悪化しており、価格転嫁の進展が重要となる。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、8月▲7.7%、9月▲1.2%、10月+5.6、11月▲4.9%。
・持家着工数は前月比で、8月▲3.5%、9月+2.0%、10月+2.1%、11月▲6.2%。
・貸家着工数は前月比で、8月▲7.5%、9月+0.7%、10月+1.5%、11月▲7.1%。
・分譲着工数は前月比で、8月▲13.3%、9月▲7.2%、10月+16.0%、11月▲0.3%。
○ 公共投資は、高水準にあるものの、このところ弱含んでいる。
・請負金額は前月比で、7月▲11.0%(出来高+0.0%)、8月+0.6%(出来高▲3.2%)、
9月▲3.3%(出来高▲2.6%)、10月▲3.4%(出来高▲1.0%)、11月▲0.3%、12月+0.4%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は、弱い動きとなっているものの、求人等に持ち直しの動きがみられる。
・雇用者数及び失業率は概ね横ばいで推移している一方、日次有効求人件数は引き続き改善傾向となっている。
・高齢者の雇用機会の確保が進む中で、高齢者(65歳以上)の就業率は改善傾向で推移してきたが、感染拡大後は上昇テンポが鈍化。産業別の高齢者
の雇用者数をみると、宿泊・飲食や建設で減少する一方、医療・福祉や卸売・小売等で増加している。
・11月の賃金は、前年比横ばいとなった。パート・アルバイトの時給は、緊急事態宣言等が解除された10月以降、需要の急速な回復による人手不足など
を背景に、一部の職種で大きく改善した。
・有効求人倍率は、7月1.15、8月1.14、9月1.16、10月1.15、11月1.15(正社員は0.87)となった。
・完全失業率は、7月2.8%、8月2.8%、9月2.8%、10月2.7%、11月2.8%。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、持ち直している。
・景気ウォッチャー調査の企業動向関連DIをみると、現状判断は、引き続き基準となる50を上回る。
一方で、先行き判断は50を下回り、オミクロン株の感染拡大の ほか、原材料価格の上昇や半導体を含む品不足の動きへの警戒感等が示されている。
・設備投資について、2021年度の設備投資計画は引き続き前年より増加する見込みであり、特にソフトウェア投資は大きく増加する見込みとなっている。
・ソフトウェア投資が生産性を改善させる効果は、教育訓練投資に積極的な企業ほど大きい。デジタル 化の効果を最大化する観点からも、「人への投資」
に官民を挙げて注力していく必要がある。
○ 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。
○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。
・ 倒産件数は、資金繰り支援等もあり、おおむね横ばいとなった。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2021年3月+5、6月+14、9月+18、12月+18、2022年3月+13。
「大企業・非製造業」は、2021年3月▲1、6月+1、9月+2、12月+9、2022年3月+8。
「中小企業・製造業」は、2021年3月▲13、6月▲7、9月▲3、12月▲1、2022年3月▲1。
「中小企業・非製造業」は、2021年3月▲11、6月▲9、9月▲10、12月▲4、2022年3月▲6。
○ 生産は、持ち直しの動きとなっている。
・部品供給不足の緩和もあり、輸送機械が持ち直すとともに、その回復がプラスチック製品や鉄鋼・非鉄金属といった他産業にも波及し始めている。
・鉱工業生産指数は前月比で、9月▲5.4%、10月+1.8%、11月+7.2%、12月(予想)+1.6%、1月(予想)+5.0%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、8月▲3.2%、9月▲3.3%、10月+4.2%、11月+0.1%。
・電子部品・デバイスは前月比で、8月▲2.9%、9月▲4.1%、10月▲1.1%、11月+3.1%。
・輸送機械は前月比で、8月▲12.5%、9月▲24.6%、10月+17.4%、11月+28.5%。
外需
○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。
・ 自動車関連財は持ち直す一方、資本財は増勢が鈍化した。情報関連財は概ね横ばいとなっている。
ただし、足下の情報関連財の輸出では、デジタル関連需要の拡大を受け、5G関連の基地局や携帯電話向けの通信機の部分品等が増加した。5G関連の
投資は世界的に一層の増加が見込まれている。
○ 輸入は、このところ弱含んでいる。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月連続で上昇した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、9月+7.4、10月+13.4、11月+0.8、12月+0.1。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、8月▲4.7、9月+12.9、10月+0.9、11月▲4.1、12月▲4.0。
アジア経済の動向
〇 中国では、景気の回復テンポは、このところ鈍化している。
・21年7-9月期の実質GDP成長率は+4.9%となった。
・消費はこのところ伸びが低下している。
・生産は、このところ伸びがおおむね横ばいとなっている。
・輸出は増加している。
・固定資産投資は伸びが低下している。
・消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。
・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きとなっている。
○ 韓国では、景気は持ち直しの動きが緩やかになっている。
○ インドでは、景気は持ち直している。
○ インドネシア・タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。
○ 台湾では、景気は回復している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は持ち直している。
・2021年7-9月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+2.3%。
○ 雇用者数は緩やかに増加、失業率は低下した。
・12月の失業率は3.9%となった。
○ 生産は緩やかに増加した。
○ 消費は持ち直し、自動車販売台数は下げ止まりの兆しがみられる。
○ 設備投資はこのところ増勢が鈍化した。
○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏・イギリスともに、景気は厳しい状況が緩和される中で、持ち直している。
・21年7-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+9.1%
(イギリスは+4.3%、ドイツは+7.0%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しており、イギリスは持ち直しているが、このところ一服感がみられる。
○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+2.7%(12月)、イギリス+3.9%(11月)。
○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直しの動きがみられ、イギリスはこのところ持ち直している。
○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに横ばいとなっている。
2022年
1月
01日
土
あけましておめでとうございます。
皆様には、輝かしい新年をお健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。
一昨年からの新型コロナウイルス感染症は、国民の安心・安全な生活に未曽有の影響を与えました。
新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた皆様に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、罹患
された皆様や今なお生活に影響を受けておられる方々に、心よりお見舞いを申し上げます。
今般の新型コロナウイルス感染症に対する国民の皆様の日々のご労苦は、計り知れず、感染拡大防止に努め
ながら、コロナ禍の私たちの生命と暮らしを守るために、ご尽力くださった医療関係をはじめ皆様へ、あらため
まして最高の敬意と感謝を申し上げます。
変異株の感染拡大もあった中で、昨年4月から感染収束の切り札として本格的にワクチン接種を開始し、希望
する国民の皆様に届けてまいりました。昨年12月から3回目接種も始まりました。一日も早く接種を終え、安心を
取り戻さなければなりません。
さらに、これからの課題として、新型コロナ対策と経済再生を進めながら、コロナ終息後の新しい時代を作り上げていかなくてはなりません。
引き続き、手洗い・うがいの励行や「三密回避」等の対策を取り、身体と心をいたわりつつ、コロナ禍克服のため
ともに頑張ってまいりましょう。
令和4(2022)年の干支は、壬寅(みずのえ・とら)です。
「壬(みずのえ)」は、陽気を下にはらむことを表し「寅(とら)」には、「春の草木が生ずる状態」を意味していると
いわれております。
政府与党では今、コロナ対策を更に加速させつつ、「成長」と「分配」を柱とした政策に積極的に取り組んでおり
ます。冬の時代を克服すべく、これまで撒いてきた種子が芽吹く「壬寅(みずのえ・とら)」の今年は、まさに「新しい
成長の礎を築く年」になるといえるのではないでしょうか。
昨年は大変お世話になりました。
昨年10月14日、自由民主党の国会対策委員長を退任致しました。
国の内外ともに大きな課題を抱えて、さらには新型コロナウイルス感染症という未曽有の国難の中で、言論の府
ともいわれる立法府の役割を踏まえ、譲れない一線は守りつつ、合意形成に向けた努力することは怠らず、 健全な議会運営を心がけることで 一定の成果を上げることができたのではないかと存じます。
平成29日8月3日に自由民主党の国対委員長を拝命し、昨年7月3日に通算在職日数が1431日となり歴代最長
記録を更新し、10月14日まで1534日、12の国会にわたって重責を務められてこられましたのも、ひとえに、皆様方
のご理解と温かいご支援・ご協力の賜物と心から感謝申し上げます。
昨年11月16日に、岸田総裁からご指名をいただき、総務会長代行に就任いたしました。
自民党の最高決定機関である総務会で、福田総務会長とともに最善を尽くしてまいります。
また、第49回衆議院総選挙では、お陰様で、皆様からの温かいご支援で7期目の当選を果たすことができました。解散から公示まで5日間しかないという厳しい選挙戦となりましたが、時間の許す限り選挙区を廻りました。
沿道や田畑から大きく手を振ってくださった方。
事務所の回りの清掃をしてくださった方。
各地の街頭集会に集まりご声援をくださった方。
駐車場の交通整理を買って出てくださった方。
お一人おひとりの皆様の、熱いお気持ちに身が引き締まる思いで一杯でした。
まもなく、第208回通常国会が召集されます。ウィズコロナの新しい時代に向けて、国民の暮らしを守り、少子 高齢化や国土強靭化等国政の諸課題に立ち向うための施策に積極的に取り組んでまいります。引き続き、ご指導 くださいますようお願い申し上げます。
選挙区の大隅・霧島・熊毛は、農業、観光、産業分野でも素晴らしい可能性を秘めた地域です。
昨年11月に国宝に指定された霧島神宮、重要文化財に指定された鹿児島神宮をはじめ、世界自然遺産に登録
されている屋久島も擁しております。
令和元年農業産出額において鹿児島県は北海道に次ぐ第二位となりましたが、大隅半島は畜産やお茶等、農林水産物の産地として、鹿児島県農業発展の原動力として寄与しており、一方、志布志港をアジアへの農林水産物
輸出拠点にする取組みも進んでおります。
また、種子島宇宙センターと内之浦宇宙空間観測所の2か所のロケット基地があり、科学技術分野も牽引しております。
今後とも、「大隅・霧島・熊毛の元気が日本の未来をひらく!」をモットーに、ふるさと・鹿児島と国家の進展のために、今年も精魂込めて努力して参ります。
引き続き、皆様のご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。
令和4年元旦
2021年
12月
21日
火
月例経済報告(R3.12.21) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和 される中で、このところ持ち直しの動きに弱さがみられる。 〈先行き〉 ・先行きについては、経済社会活動が正常化に向かう中で、各種政策の 効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待 される。ただし、供給面での制約や原材料価格の動向による下振れ リスクの高まりに十分注意する必要がある。 また、変異株をはじめ感染症による内外経済への影響や金融資本市場 の変動等の影響を注視する必要がある。
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日本のGDP成長率
○ 本年7-9月期の実質GDP成長率(2次速報)は、日本は前期比▲0.9%となった。
世界経済
○ 世界の景気は持ち直しが継続している。OECD見通しによれば、2021年の世界全体の実質GDP水準は、コロナ前の2019年を超える見込みとなった。
○ 景気の持ち直しを背景に、欧米各国で物価が高まっている。アメリカでは、消費者の物価上昇予想(イ ンフレ期待)が高まり
つつあり、今後の物価動向を引き続き注視していく必要がある。
○ 中国では、環境規制や不動産開発規制等を背景に生産が低調、感染拡大に伴う断続的な制限措置実施等により消費の伸びが低下した。景気の回復
テンポが鈍化している。
個人消費の動向
○ 個人消費は、一部に弱さが残るものの、持ち直しの動きがみられる。
○ 個人消費を週次データでみると、11月後半以降、平年水準(2017-19年)の幅を上回る水準で推移している。カード支出に基づく消費動向をみると、
持ち直しの動きが娯楽関連にも広がっている。
・供給面の影響がみられていた新車販売は、持ち直しの動きとなっている。
・外食や旅行のサービス消費も、緊急事態宣言解除等により持ち直しの動きとなった。ただし、宿泊動向をみると、居住地から近隣県への宿泊が中心と
なる傾向にある。
・消費総合指数(実質)は、前期比で、6月+2.5%、7月+0.2%、8月▲1.8%、9月▲0.1%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、7月+0.1%、8月▲0.8%、9月+1.1%、10月+1.4%、11月0.0%。
・10月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.3%となった。
物価
○ 国内企業物価は、上昇している。消費者物価は、底堅さがみられる。
・企業物価を需要段階別にみると、「素原材料」や「中間財」は国際市況を受けて大きく上昇しているが、最終財への価格転嫁は限定的となっている。
こうした中、製造業において、仕入価格DIは足下で大きく上昇しているものの、販売価格DIの上昇は限定的となった。価格転嫁の程度を表す疑似交易
条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)は、中小企業において一層の悪化がみられており、中小企業収益にマイナスの影響も懸念される。
・ 消費者物価について、生鮮食品・エネルギーを除いた「コアコア」で物価の基調をみると、底堅さがみられる。一方、「総合」でみると、緩やかに上昇
した。生活実感に近い、食料品などの購入頻度が高い品目の価格上昇が多くなっている。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。
・持家は持ち直している。一方、分譲住宅については、販売価格が上昇する中で新規発売物件の成約率(契約率)は好調を維持するなど、マンションへ
の需要は底堅いものの、足下の着工は用地不足の影響もあって、弱含みとなっている。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、7月+6.9%、8月▲7.7%、9月▲1.2%、10月+5.6。
・持家着工数は前月比で、7月+8.0%、8月▲3.5%、9月+2.0%、10月+2.1%。
・貸家着工数は前月比で、7月+1.4%、8月▲7.5%、9月+0.7%、10月+1.5%。
・分譲着工数は前月比で、7月+14.2%、8月▲13.3%、9月▲7.2%、10月+16.6%。
○ 公共投資は、高水準にあるものの、このところ弱含んである。
・請負金額は前月比で、6月▲1.6%(出来高+1.2%)、7月▲11.0%(出来高+0.0%)、8月+0.6%(出来高▲3.2%)、9月▲7.0%(出来高▲2.6%)、10月▲5.2%(出来高▲1.0%)。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は、感染症の影響が残る中で、弱い動きとなっているものの、求人等に持ち直しの動きがみられる。
・雇用の過不足感が、宿泊・飲食サービス業を含めて不足超となる中で、ハローワークによるネット経由の日次有効求人件数は、12月に入っても改善して
いる。
・10月の雇用者数は横ばいで推移している。失業率は2.7%と底堅い動きとなっているものの、コロナ前の2019年同期と比較して、
男性を中心に追加就労希望就業者数が増加している。
・10月の賃金は、引き続き前年比プラスで推移した。これまでの企業収益の改善もあり、冬のボーナスは増加に転じる動きがある。
・有効求人倍率は、6月1.13、7月1.15、8月1.14、9月1.16、10月1.15(正社員は0.89)となった。
・完全失業率は、6月2.9%、7月2.8%、8月2.8%、9月2.8%、10月2.7%。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、持ち直している。
○ 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。
・ 2021年度の設備投資計画は、引き続き前年より増加する見込みであるものの、7-9月期は、供給面での制約や緊急事態宣言等の影響もあり、前期比
マイナスとなった。特にソフトウェア投資は、感染拡大による商談延期や長期化により大きく減少した。
○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。
・ 経常利益の動向をみると、7-9月期については、半導体不足等の供給面での制約や緊急事態宣言等の影響もあって減少したものの、全体ではコロナ前
の水準を上回っており、持ち直している。ただし、非製造業の中でも、飲食サービス業、生活関連サービス業、宿泊業の収益は依然として厳しい。
・ 企業の景況感は、持ち直しの動きがみられる。日銀短観12月調査によると、非製造業を中心に前回9月調査から改善した。緊急事態宣言等の解除に
伴う経済社会活動の段階的引上げ等の影響もあり、宿泊・飲食サービスや対個人サービス等が大きく改善した。
・ 倒産件数は、資金繰り支援等もあり、おおむね横ばいとなった。
・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2021年3月+5、6月+14、9月+18、12月+18、2022年3月+13。
「大企業・非製造業」は、2021年3月▲1、6月+1、9月+2、12月+9、2022年3月+8。
「中小企業・製造業」は、2021年3月▲13、6月▲7、9月▲3、12月▲1、2022年3月▲1。
「中小企業・非製造業」は、2021年3月▲11、6月▲9、9月▲10、12月▲4、2022年3月▲6。
○ 生産は、持ち直しに足踏みがみられる。
・自動車の供給制約の緩和もあり、輸送機械が持ち直す一方、中国をはじめとするスマホ等の生産減少の影響を受け、電子部品・デバイスは横ばいとなって
いる。ただし、世界の半導体の需要見通しは、2021年・2022年ともに上方修正され、2022年は一層の増加が見込まれているなど、半導体製品に対する強い
需要は今後も続く見込みである。
・鉱工業生産指数は前月比で、8月▲3.6%、9月▲5.4%、10月+1.8%、11月(予想)+9.0%、12月(予想)+2.1%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、7月+1.6%、8月▲3.2%、9月▲3.3%、10月+4.2%。
・電子部品・デバイスは前月比で、7月+0.9%、8月▲2.9%、9月▲4.1%、10月▲1.1%。
・輸送機械は前月比で、7月▲3.8%、8月▲12.5%、9月▲24.6%、10月+17.4%。
外需
○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。
・ 中国経済の回復鈍化等によりアジア向けが弱含みとなる中、足下では、自動車関連財や資本財が増加に寄与した。
○ 輸入は、このところ弱含んでいる。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、8月▲13.7、9月+7.4、10月+13.4、11月+0.8。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月ぶりに下降した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、8月▲4.7、9月+12.9、10月+0.9、11月▲4.1。
アジア経済の動向
〇 中国では、景気の回復テンポは、このところ鈍化している。
・21年7-9月期の実質GDP成長率は+4.9%となった。
・消費はこのところ伸びが低下している。
・生産は、このところ伸びがおおむね横ばいとなっている。
・輸出は増加している。
・固定資産投資は伸びが低下している。
・消費者物価上昇率はこのところ高まっている。
・製造業購買担当者指数(PMI)は低下した。
○ 韓国では、景気は持ち直しの動きが緩やかになっている。
○ インドでは、景気は持ち直している。
○ インドネシア・タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。
○ 台湾では、景気は回復している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は持ち直している。
・2021年7-9月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+2.1%。
○ 雇用者数は緩やかに増加、失業率は低下した。
・11月の失業率は4.2%となった。
○ 生産は緩やかに増加した。
○ 消費は持ち直し、自動車販売台数は下げ止まりの兆しがみられる。
○ 設備投資はこのところ増勢が鈍化した。
○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏・イギリスともに、厳しい状況が緩和される中で、持ち直している。
・21年7-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+9.1%
(イギリスは+5.1%、ドイツは+7.0%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しており、イギリスは持ち直しているが、このところ一服感がみられる。
○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+2.6%(11月)、イギリス+3.9%(11月)。
○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直しの動きがみられ、イギリスはこのところ弱い動きとなっている。
○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに横ばいとなっている。
2021年
11月
25日
木
月例経済報告(R3.11.25) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和 されつつあるものの、引き続き持ち直しの動きに弱さがみられる。 〈先行き〉 ・先行きについては、経済社会活動が正常化に向かう中で、各種政策の 効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待 される。ただし、供給面での制約や原材料価格の動向による下振れ リスクの高まりに十分注意する必要がある。 また、感染症による内外経済への影響や金融資本市場の変動等の影響 を注視する必要がある。
|
日本のGDP成長率
○ 本年7-9月期の実質GDP成長率は、欧米が前期比プラスとなる中で、日本は前期比▲0.8%と2期ぶりのマイナスとなった。
・9月までの緊急事態宣言等に加え、半導体不足や東南アジアでの感染拡大に伴う部品供給不足が影響し、個人消費、設備投資、輸出はいずれも
前期比マイナス。
○ 緊急事態宣言等の解除や経済対策の効果などを背景に、今後は我が国もプラス成長となることが期待される。
世界経済
○ 欧米の7-9月期の実質GDPは、プラス成長が継続している。欧州では、夏までに移動制限の緩和が行われたこともあり、旅行等のサービス消費が増加
した。欧米ともに、雇用環境の改善、物価の上昇がみられる。
○ 欧米を中心に世界的に景気が持ち直し、世界貿易が高水準で推移する中で、物流面において、輸送期間の長期化や価格上昇がみられる。
また、中国では、環境規制や不動産開発規制等を背景に、生産の伸びが低下している。
個人消費の動向
○ 個人消費は、一部に弱さが残るものの、持ち直しの動きがみられる。
○ 10月後半以降の消費を週次データでみると、平年水準(2017-19年)の幅と比較して、緩やかながら回復に向かう動きがみられる。
・新車販売は、供給面の影響により減少。一方、宿泊施設稼働率は10月以降、上昇が続く。外食や娯楽関連の支出に持ち直しの動きがみられる。
・個人消費については、自動車等の耐久財や衣服等の半耐久財がマイナスに寄与した。
・消費総合指数(実質)は、前期比で、5月▲2.8%、6月+2.5%、7月+0.2%、8月▲2.0%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、6月+3.3%、7月+0.1%、8月▲0.8%、9月+1.1%、10月+1.4%。
・9月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.3%となった。
物価
○ 国内企業物価は、上昇している。消費者物価は、底堅さがみられる。
・ガソリンや鋼材等の国内の商品市況は、国際的な資源価格の高騰等を背景に上昇傾向。国内企業物価をみても、原油・エネルギー関係品目や鉄鋼・
非鉄金属価格の上昇により、全体として上昇。
・消費者物価について、生鮮食品・エネルギーを除いたコアコアで物価の基調をみると、底堅さがみられる。一方、生活実感を表す総合でみると、資源
価格の上昇等を背景に緩やかに上昇しており、今後電気代も上昇する見込み。物価上昇による家計への影響には注意が必要である。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、このところ持ち直しの動きとなっている
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、6月▲1.0%、7月+6.9%、8月▲7.7%、9月▲1.2%。
・持家着工数は前月比で、6月▲0.2%、7月+8.0%、8月▲3.5%、9月+2.0%。
・貸家着工数は前月比で、6月+4.8%、7月+1.4%、8月▲7.5%、9月+0.7%。
・分譲着工数は前月比で、6月▲7.9%、7月+14.2%、8月▲13.3%、9月▲7.2%。
○ 公共投資は、高水準にあるものの、このところ弱含んである。
・請負金額は前月比で、5月+15.0%(出来高▲1.4%)、6月▲1.6%(出来高+1.2%)、7月▲11.0%(出来高+0.0%)、8月+0.6%(出来高▲3.2%)、9月▲7.0%(出来高▲6.9%)、10月▲5.2%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は、感染症の影響が残る中で、弱い動きとなっているものの、求人等の動きに底堅さもみられる。
・雇用状況は、弱さが続く中、9月の雇用者数は横ばいで推移している。
7-9月期の女性の非正規雇用者は、2019年同期比で70万人減少する一方で、正規雇用者は同66万人増加した。
失業率は2.8%と底堅い動きとなっているものの、男性を中心に1年以上の長期失業者が増加した。
・ハローワークによるネット経由の日次有効求人件数は、2019年同月比で水準は低いものの、11月に入っても持ち直しの動きが
続く。
・9月の賃金は、引き続き前年比プラスで推移。実質総雇用者所得は、概ねコロナ前の水準を回復した。
・有効求人倍率は、5月1.09、6月1.13、7月1.15、8月1.14、9月1.16(正社員は0.91)となった。
・完全失業率は、5月3.0%、6月2.9%、7月2.8%、8月2.8%、9月2.8%。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、持ち直している。
○ 設備投資は、持ち直している。
○ 業況判断は、一部に厳しさは残るものの、持ち直しの動きがみられる。
・ 7-9月期の上場企業の経常利益は、製造業・非製造業ともに前年比で大幅増となった。
・ 中小企業の10月の利益動向をみると、利益額DIは悪化した。
資源価格の上昇に伴い、仕入価格DIが上昇しており、価格転嫁の程度を表す疑似交易条件は本年夏以降、悪化傾向にあること等が背景にある。
・ 倒産件数は、資金繰り支援等もあり、月500件程度の水準と概ね横ばいとなった一方、休廃業・解散件数は、1~9月の累計でみると、前年と概ね同水準
となる中で、観光関連業等では、前年より増加した。
・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2020年12月▲10、2021年3月+5、6月+14、9月+18、12月+14。
「大企業・非製造業」は2020年12月▲5、2021年3月▲1、6月+1、9月+2、12月3。
「中小企業・製造業」は、2020年12月▲27、2021年3月▲13、6月▲7、9月▲3、12月▲4。
「中小企業・非製造業」は、2020年12月▲12、2021年3月▲11、6月▲9、9月▲10、12月▲13。
○ 生産は、持ち直しに足踏みがみられる。
・9月までの製造業の生産をみると、自動車の減産に加え、中国経済の回復鈍化等から、生産用機械は
増勢鈍化となった。その背景の一つとして、マシニングセンタ等の工作機械受注は、内需が底堅い一方で、アジア向けの外需には足踏み感がみられる。
・鉱工業生産指数は前月比で、7月▲1.5%、8月▲3.6%、9月▲5.4%、10月(予想)+6.4%、11月(予想)+5.7%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、6月+10.3%、7月+1.6%、8月▲3.2%、9月▲3.3%。
・電子部品・デバイスは前月比で、6月+3.9%、7月+0.9%、8月▲2.9%、9月▲4.1%。
・輸送機械は前月比で、6月+17.6%、7月▲3.8%、8月▲12.5%、9月▲24.6%。
外需
○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。
・ 中国経済の回復鈍化等により、アジア向けが弱含みとなった。また、供給制約による減産を受け、自動車関連財が減少した。
○ 輸入は、このところ弱含んでいる。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
景気ウォッチャー調査
○ 消費者マインドを景気ウォッチャー調査の家計動向関連DIでみると、感染者数の減少や緊急事態宣言解除等により、大きく上昇し、消費者マインドは、
持ち直しの動きがみられる。
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、7月+0.8、8月▲13.7、9月+7.4、10月+13.4。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、7月▲4.0、8月▲4.7、9月+12.9、10月+0.9%。
アジア経済の動向
〇 中国では、景気の回復テンポは、このところ鈍化している。
・21年7-9月期の実質GDP成長率は+4.9%となった。
・消費はこのところ伸びがおおむね横ばいとなっている。
・生産は、伸びがやや低下している。
・輸出は着実に増加している。
・固定資産投資は伸びがやや低下している。
・消費者物価上昇率はこのところやや高まっている。
・製造業購買担当者指数(PMI)は低下した。
○ 韓国では、景気は持ち直しの動きが緩やかになっている。
○ インド・インドネシア・タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。
○ 台湾では、景気は回復している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は持ち直している。
・2021年7-9月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+2.0%。
○ 雇用者数は緩やかに増加、失業率は低下した。
・10月の失業率は4.6%となった。
○ 生産は緩やかに増加した。
○ 消費は持ち直し、自動車販売台数は下げ止まりの兆しがみられる。
○ 設備投資はこのところ増勢が鈍化した。
○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏・イギリスともに、厳しい状況が緩和される中で、持ち直している。
・21年7-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+9.3%
(イギリスは+5.1%、ドイツは+7.3%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しており、イギリスは持ち直しているが、このところ一服感がみられる。
○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+2.1%(10月)、イギリス+3.2%(10月)。
○ 輸出は、ユーロ圏は足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱い動きとなっている。
○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに横ばいとなっている。
2021年
10月
15日
金
月例経済報告(R3.10.15) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい 状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、そのテンポが 弱まっている。 〈先行き〉 ・先行きについては、感染対策を徹底し、ワクチン接種を促進するなか で、各種政策の効果や 海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが 続くことが期待される。ただし、内外の感染症の動向、サプライチェ ーンを通じた影響による下振れリスクの高まりに十分注意する必要が ある。 また、国内外の感染症の動向や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
|
世界経済
○ IMF見通しによれば、世界経済は持ち直しが続くことが見込まれる。
前回の見通しと比較すると、21 年の成長率見通しはアメリカやドイツ等で下方修正がされ、物価見通しは欧米で上方修正された。
○ 足下の動きをみると、供給面での制約や原材料価格の上昇がみられる。中国では、生産コストの上昇等 により、製造業景況感が
低下。また、世界的に、半導体不足等により乗用車生産が下押しされており、 エネルギー価格の上昇もみられる。こうした供給面
の動向について、注視が必要である。
個人消費の動向
○ 個人消費は、緊急事態宣言中は、弱い動きとなっている。
・外食などサービス消費の弱さに加え、新車販売は、9月にかけて、供給面の影響により減少した。
・一方、9月末実施の景気ウォッチャー調査の先行き判断DIは、緊急事態宣言の解除やワクチン接種の進展への期待などから大きく上昇。消費者
マインドは、持ち直しの動きとなっている。
・足下までの消費を週次データでみると、9月後半以降も全体としては弱さがみられるが、10月の宣言解除後には、外食の支出に上向きの動きとなって
いる。
・消費総合指数(実質)は、前期比で、5月▲2.8%、6月+2.5%、7月+0.2%、8月▲2.0%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、5月▲0.6%、6月+3.3%、7月+0.1%、8月▲0.8%、9月+1.1%。
・8月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.5%となった。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、このところ持ち直しの動きとなっている
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、5月▲0.9%、6月▲1.0%、7月+6.9%、8月▲7.7%。
・持家着工数は前月比で、5月+1.4%、6月▲0.2%、7月+8.0%、8月▲3.5%。
・貸家着工数は前月比で、5月▲5.2%、6月+4.8%、7月+1.4%、8月▲7.5%。
・分譲着工数は前月比で、5月+0.3%、6月▲7.9%、7月+14.2%、8月▲13.3%。
○ 公共投資は、受注の減少を受け、高水準にあるものの、このところ弱含んである。
・請負金額は前月比で、5月+15.0%(出来高▲1.4%)、6月▲1.6%(出来高+1.2%)、7月▲11.0%(出来高+1.1%)、8月+0.6%、9月▲6.9%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は、感染症の影響により、弱い動きとなっているなかで、求人等の動きに底堅さもみられる。
・雇用状況は、弱さが続く中、8月の雇用者数は横ばいで推移している。日銀短観9月調査で雇用の過不足感をみると、先行きで
も、全体としては不足超が続いており、宿泊・飲食サービス業においても過剰感が縮小。ハローワークによるネット経由の日次
有効求人件数は、2019年同月比で水準は低いものの、10月に入っても持ち直しの動きが続く。
・8月の賃金は、所定内・所定外給与が下支えし、前年比プラスで推移。実質総雇用者所得は、持ち直しの基調が続く。
・有効求人倍率は、4月1.09、5月1.09、6月1.13、7月1.15、8月1.14(正社員は0.92)となった。
・完全失業率は、4月2.8%、5月3.0%、6月2.9%、7月2.8%、8月2.8%。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、感染症の影響により、非製造業の一部に弱さがみられるものの、持ち直している。
○ 設備投資は、持ち直している。
・日銀短観9月調査によると、設備の過不足感は、製造業・非製造業ともに前回6月調査から改善し、過剰感はおおむね解消した。今後、企業の前向きな
投資を期待。2021年度の設備投資は、6月調査と同水準の前年度比9.3%増と大幅な増加見込み。
業種別にみると、製造業を中心に高い伸びの見通しとなっている。宿泊・飲食や個人サービスなど、サービス業の中には、伸びが限定的な業種もみられる。
○ 業況判断は、一部に厳しさは残るものの、持ち直しの動きがみられる。
・日銀短観9月調査によると、企業の景況感は、非製造業では依然としてマイナス、製造業は前回6月調査から改善した。2021年度の経常利益計画は、
製造業・非製造業ともに増加した。業種別にみると、宿泊・飲食サービス業は、前年度に続き経常赤字の見込みである。
・製造業において、仕入価格DIは足下で大きく上昇しているものの、販売価格DIの上昇は限定的となっている。価格転嫁の程度を表す疑似交易条件
(販売価格DIと仕入価格DIの差)は、特に中小企業において悪化傾向。企業収益にマイナスの影響もある。
・倒産件数は、資金繰り支援等もあり、過去50年間で最も低い水準が続いているが、企業債務の水準は高く、緊急事態宣言の解除もあり、経済の活動
レベルを高めていくことが必要。
・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2020年12月▲10、2021年3月+5、6月+14、9月+18、12月+14。
「大企業・非製造業」は2020年12月▲5、2021年3月▲1、6月+1、9月+2、12月3。
「中小企業・製造業」は、2020年12月▲27、2021年3月▲13、6月▲7、9月▲3、12月▲4。
「中小企業・非製造業」は、2020年12月▲12、2021年3月▲11、6月▲9、9月▲10、12月▲13。
生産
○ 生産は、このところ一部に弱さがみられるものの、持ち直している。
・製造業の生産は、電子部品・デバイスや生産用機械により、持ち直しているものの、半導体不足及び東南アジアでの感染拡大に伴う部品供給不足により、
自動車等の輸送機械に弱さがみられる。
・自動車部品や電気回路等の機器などは、東南アジアからの輸入が減少しており、供給不足の長期化・拡大を指摘する見方もある。海外経済の動向や国際的なサプライチェーンを通じた影響に、引き続き注意が必要である。
★【自動車減産の長期化や関連業種への拡大】
・金属製品:半導体不足等により自動車向けを中心に減産。
・一般機械:自動車関係は、感染症による影響に加え、半導体不足の影響が予想以上に根深く、来年まで影響が続くとみている。
【自動車以外の分野における影響】
・工作機械:モーター・コネクタ・継電器などの電気・電子部品の調達が困難。10月以降生産に遅れが生じる可能性。
・建設機械:7~8月にエンジン部品供給に影響があった。
・家電:主にベトナムからの部品供給停滞により冷蔵庫や洗濯機に、マレーシアからの供給停滞により掃除機にそれぞれ供給不足が発生。
・鉱工業生産指数は前月比で、6月+6.5%、7月▲1.5%、8月+3.2%、9月(予想)+0.2%、10月(予想)+6.8%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、5月▲6.0%、6月+10.3%、7月+1.6%、8月▲3.2%。
・電子部品・デバイスは前月比で、5月▲0.2%、6月+3.9%、7月+0.9%、8月▲2.9%。
・輸送機械は前月比で、5月▲16.6%、6月+17.6%、7月▲3.8%、8月▲12.5%。
外需
○ 輸出は、増勢が鈍化している。
○ 輸入は、このところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。
○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
・我が国の輸出は、コロナ前の水準を回復したものの、自動車の弱さなどもあり、足下では増勢が鈍化している。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月ぶりに上昇した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、6月+9.5、7月+0.8、8月▲13.7、9月+7.4。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月ぶりに上昇した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、6月+4.8、7月▲4.0、8月▲4.7、9月+12.9。
アジア経済の動向
〇 中国では、景気の回復テンポは、このところ鈍化している。
・21年4-6月期の実質GDP成長率は7.9%増(前々年比では5.5%増)となった。
・消費はこのところ伸びが低下している。
・生産は、伸びがやや低下している。
・輸出は着実に増加している。
・固定資産投資は伸びがやや低下している。
・消費者物価上昇率はこのところおおむね横ばいとなっている。
・製造業購買担当者指数(PMI)は低下した。
○ 韓国では、景気は持ち直している。
○ インド・インドネシアでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。
○ タイでは、景気は厳しい状況にあるなかで感染の再拡大により、景気は弱い動きとなっている。
○ 台湾では、景気は回復している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は着実に持ち直している。
・2021年4-6月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+6.7%。
○ 雇用者数はこのところ増勢が鈍化、失業率は低下した。
・9月の失業率は4.8%となった。
○ 生産は緩やかに増加した。
○ 消費は着実に持ち直し、自動車販売台数は減少した。
○ 設備投資は緩やかに増加した。
○ 財輸出は持ち直している。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏・イギリスともに、景気は依然として厳しい状況にあるが、持ち直している。
・21年4-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+9.2%
(イギリスは+23.9%、ドイツは+6.7%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しており、イギリスは持ち直しているが、このところ一服感がみられる。
○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+1.9%(9月)、イギリス+3.0%(8月)。
○ 輸出は、ユーロ圏は足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱い動きとなっている。
○ 生産は、ユーロ圏・イギリスともに横ばいとなっている。
2021年
9月
16日
木
月例経済報告(R3.9.16) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい 状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、このところ そのテンポが弱まっている。 〈先行き〉 ・先行きについては、感染拡大の防止策を講じ、ワクチン接種を促進 するなかで、各種政策の効果や 海外経済の改善もあって、持ち直し の動きが続くことが期待される。ただし、内外の感染症の動向、サプ ライチェーンを通じた影響による下振れリスクの高まりに十分注意 する必要がある。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要 がある。
|
四半期別GDP速報
○ 本年4-6月期の実質GDP成長率(2次速報)は、実質国内総生産は、前期比0.5%増(年率1.9%増)となった。
世界経済
○ 欧米では、ワクチン接種証明の活用など、感染拡大防止と経済活動の両立に向けた動きがみられており、今夏は、飲食・宿泊等の消費や人流の
持ち直しが継続している。
○ アジアでは、感染再拡大及びそれに伴う経済活動の抑制措置等により、製造業景況感が低下している。
○ 物価の動向をみると、経済活動の再開に加え、原材料価格の上昇や供給制約等を背景に、消費者物価の前年比は、アメリカで高止まりしている
のに加え、ユーロ圏でも上昇。引き続き注視が必要である。
個人消費の動向
○ 個人消費は、このところ弱い動きとなっている。
・感染再拡大を背景に、外食、旅行などのサービス消費は弱い動きとなった一方、これまで底堅く推移してきた新車・家電販売などでこのところ弱い
動きと なった。
・直近までの週次消費額は、8月以降、例年の夏季の盛り上がりはみられていない。
・景気ウォッチャー調査の家計動向関連の現状判断DIは、感染拡大等の影響により大幅に低下した。
消費者マインドは、持ち直しの動きに足踏みがみられる。
・消費総合指数(実質)は、前期比で、4月+0.8%、5月▲2.8%、6月+2.5%、7月+0.2%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、4月▲1.4%、5月▲0.6%、6月+3.3%、7月+0.1%、8月▲0.8%。
・6月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.1%となった。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、このところ持ち直しの動きとなっている
・堅調な住宅需要に加えて、グリーン住宅ポイント制度や住宅ローン減税制度等の住宅取得支援策の下支えもあり、着工は増加した。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、4月+0.3%、5月▲0.9%、6月▲1.0%、7月+6.9%。
・持家着工数は前月比で、4月▲1.1%、5月+1.4%、6月▲0.2%、7月+8.0%。
・貸家着工数は前月比で、4月+3.3%、5月▲5.2%、6月+4.8%、7月+1.4%。
・分譲着工数は前月比で、4月▲1.7%、5月+0.3%、6月▲7.9%、7月+14.2%。
○ 公共投資は、高水準で底堅く推移している。
・請負金額は前月比で、4月▲8.4%(出来高▲2.1%)、5月+15.0%(出来高▲1.4%)、6月▲1.6%(出来高+1.2%)、7月▲11.0%、8月+0.7%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は、感染症の影響により、弱い動きとなっているなかで、求人等の動きに底堅さもみられる。
・7月の雇用状況は、弱さが続く中でも、雇用者数は前月から9万人増加、失業率は2.8%と前月差で0.1ポイント低下するなど、
底堅い動きとなった。足下の感染拡大の影響には注意が必要だが、ハローワークによるネット経由の日次求人件数は、2019年
同月比で水準は低いものの、持ち直しの動きが続く。
・産業別に雇用者数の推移をみると、宿泊・飲食業、生活関連・娯楽業等において減少が続く。
・7月の賃金は、所定内・所定外給与が下支えし、前年比プラスで推移した。
・有効求人倍率は、3月1.10、4月1.09、5月1.09、6月1.13、7月1.15(正社員は0.94)となった。
・完全失業率は、3月2.6%、4月2.8%、5月3.0%、6月2.9%、7月2.8%となった。
物価の動向
○ 国内企業物価は、上昇している。
消費者物価は、このところ底堅さがみられる。(7月総合前月比+0.1%)。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、感染症の影響により、非製造業の一部に弱さがみられるものの、持ち直している。
・4-6月期の企業の経常利益は、製造業では引き続き増加し、コロナ前の水準を上回る一方、非製造業では前期に比べて小幅減少となった。業種別に
みると飲食サービス業や宿泊業は依然として経常赤字が残る。
・宿泊・飲食サービス業の中小企業の経常利益の動向をみると、2020年後半以降、政府による各種補助金の受取等が計上される「その他営業外収益」が
経常利益の増加に寄与した。ただし、本業の収益を表す「営業利益」は2019年差で依然マイナスが続いており、売上回復が重要である。
・倒産件数は、資金繰り支援等もあり、過去50年間で最も低い水準が続いているが、企業債務の水準は高く、経済の活動レベルを高めていくことが必要で
ある。
○ 設備投資は、持ち直している。
・4-6月期の設備投資は、製造業・非製造業ともに前年を上回る水準となった。特にソフトウェア投資は、4四半期連続プラスとなり、コロナ前を大幅に上回る
水準 となった。
・2021年度の設備投資の見通しは、「前年度比6.6%増」の見通しと高い伸びを維持している。特に、ソフトウェア投資や研究開発投資が大きく増加する見込み。
このような企業の前向きな投資が、今後も経済をけん引することが期待される。
○ 業況判断は、一部に厳しさは残るものの、持ち直しの動きがみられる。
・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2020年9月▲27、12月▲10、2021年3月+5、6月+14、9月+13。
「大企業・非製造業」は2020年9月▲12、12月▲5、2021年3月▲1、6月+1、9月+3。
「中小企業・製造業」は、2020年9月▲44、12月▲27、2021年3月▲13、6月▲7、9月▲6。
「中小企業・非製造業」は、2020年9月▲22、12月▲12、2021年3月▲11、6月▲9、9月▲12。
生産
○ 生産は、このところ一部に弱さがみられるものの、持ち直している。
・製造業の生産は、5G関連需要向けの電子部品・デバイスや設備投資向けの生産用機械を中心に持ち直し。しかしながら、半導体不足及び東南アジア
での感染拡大に伴う部品供給不足により、自動車等の輸送機械にはこのところ弱さがみられている。
・主要国・地域の景況感をみると、改善テンポは鈍化。生産調整は、今後自動車産業以外にも広がる可能性があるなど、海外経済の動向や国際的なサプライ
チェーンを通じた影響に注意が必要である。
・鉱工業生産指数は前月比で、5月▲6.5%、6月+6.5%、7月▲1.5%、8月(予想)+3.4%、9月(予想)+1.0%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、4月+7.7%、5月▲6.0%、6月+10.3%、7月+1.6%。
・電子部品・デバイスは前月比で、4月+5.5%、5月▲0.2%、6月+3.9%、7月+0.9%。
・輸送機械は前月比で、4月+0.2%、5月▲16.6%、6月+17.6%、7月▲3.8%。
外需
○ 輸出は、緩やかな増加が続いている。
○ 輸入は、このところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。
○ 貿易・サービス収支は、おおむね均衡している。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月ぶりに大きく下降した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、5月▲1.0、6月+9.5、7月+0.8、8月▲13.7。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、4月▲8.1、5月+5.9、6月+4.8、7月▲4.0、8月▲4.7。
アジア経済の動向
〇 中国では、景気は緩やかに回復している。
・21年4-6月期の実質GDP成長率は7.9%増(前々年比では5.5%増)となった。
・消費は持ち直しに足踏みがみられる。
・生産は、伸びがやや低下している。
・輸出は着実に増加している。
・固定資産投資は持ち直している。
・消費者物価上昇率はこのところおおむね横ばいとなっている。
・製造業購買担当者指数(PMI)は低下した。
○ 韓国では、景気は持ち直している。
○ インドでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。
○ タイでは、景気は厳しい状況にあるなかで感染の再拡大により、足下で景気は弱い動きとなっている。
○ インドネシアでは、景気は厳しい状況にあるなかで感染の再拡大により、足下で景気は下押しされている。
○ 台湾では、景気は回復している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は着実に持ち直している。
・2021年4-6月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+6.6%。
○ 雇用者数は増加し、失業率は低下した。
・8月の失業率は5.2%となった。
○ 生産は持ち直した。
○ 消費は着実に持ち直し、自動車販売台数は減少した。
○ 設備投資は緩やかに増加した。
○ 財輸出は持ち直している。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏・イギリスともに、景気は依然として厳しい状況にあるが、持ち直している。
・21年4-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+9.2% (イギリスは+20.7%、ドイツは+6.7%)。
○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに持ち直している。
○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏はこのところ上昇しており、イギリスは上昇している。
・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+1.6%(8月)、イギリス+1.7%(7月)。
○ 輸出は、ユーロ圏は足踏みがみられ、イギリスはこのところ横ばいとなっている。
○ 生産は、ユーロ圏は横ばいとなっており、イギリスはこのところ横ばいとなっている。
2021年
8月
26日
木
月例経済報告(R3.8.26) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい 状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部で弱さが 増している。 〈先行き〉 ・先行きについては、感染拡大の防止策を講じ、ワクチン接種を促進 するなかで、各種政策の効果や 海外経済の改善もあって、持ち直し の動きが続くことが期待されるが、感染拡大による下振れリスクの 高まりに十分注意する必要がある。また、金融資本市場の変動等の 影響を注視する必要がある。
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GDP・設備投資計画
○ 本年4-6月期の実質GDP成長率は、前期比+0.3%と2期ぶりのプラス。海外経済の改善の下、輸出は4期連続の増加となった。
また、個人消費も、緊急事態宣言等を発出し、人為的に活動を抑制した中で、長引く自粛の下で旺盛な消費意欲もみられ、2期ぶりの増加となった。
○ 4-6月期は設備投資も増加した。先行きについても、2021年度計画は、設備投資全体、特にソフトウェア投資について大幅増が見込まれており、
グリーンやデジタルに関する前向きな投資が計画されている。こうした動きが今後も経済のけん引役となることが期待される。
世界経済
○ 欧米の実質GDPは、ワクチン接種の進展などを背景に、21年4-6月期にプラス成長となり、アメリカではコロナ前の水準まで回復した。
世界経済は持ち直している。ただし、世界的な半導体不足に加え、感染再拡大、アメリカの物価動向、金融資本市場の変動等を注視する必要が
ある。
○ 先進国と比べてワクチン接種が遅れているアジア諸国においても、感染が再拡大した。経済活動の制限措置が実施され、製造業景況感が急低下
する国もみられる。
個人消費の動向
○ 個人消費は、サービス支出を中心に弱い動きとなっている。
・4-6月期の個人消費は、財が底堅い動きを続ける中、サービスが低水準ながらも前期から増加した。
世帯主年齢別に4-6月期の世帯支出をみると、コロナ前(2019年)に比べ、30代以下が世帯主の家計ほど相対的に消費を行っており、60代以上が世帯主の
家計ほど相対的に消費を抑制している。
・7月以降の週次消費額をみると、7月下旬の4連休を含む週では過去3年並みとなったが、8月は、通常であればお盆時期で消費が盛り上がるところ、今年は
例年に比べ低い水準で推移している。
・消費総合指数(実質)は、前期比で、3月+1.9%、4月+0.8%、5月▲2.8%、6月+2.5%。
・消費者態度指数(DI)は前月差で、3月+2.2%、4月▲1.4%、5月▲0.6%、6月+3.3%、7月+0.1%。
・6月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.1%となった。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、底堅い動きとなっている
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、3月+9.0%、4月+0.3%、5月▲0.9%、6月▲1.0%。
・持家着工数は前月比で、3月▲0.4%、4月▲1.1%、5月+1.4%、6月▲0.2%。
・貸家着工数は前月比で、3月+8.3%、4月+3.3%、5月▲5.2%、6月+4.8%。
・分譲着工数は前月比で、3月+22.9%、4月▲1.7%、5月+0.3%、6月▲7.9%。
○ 公共投資は、高水準で底堅く推移している。
・請負金額は前月比で、3月+10.0%(出来高+1.4%)、4月▲8.4%(出来高▲2.1%)、5月+15.0%(出来高▲1.4%)、6月▲1.6%(出来高+1.2%)、7月▲11.0%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は、感染症の影響により、弱い動きとなっているなかで、求人等の動きに底堅さもみられる。
・6月の雇用状況は、弱さが続く中でも、雇用者数は前月から20万人増加、失業率は前月差0.1ポイント低下するなど、生産増と連動した動きと
なった。7月以降の感染拡大の影響には注意が必要だが、ハローワークによるネット経由の日次求人件数は、2019年同月比で水準は低い
ものの、持ち直しの動きがみられる。
・6月の賃金は、ボーナスが減少したものの、所定内・所定外給与が下支えし、前年比プラスを維持した。
なお、パートタイム労働者の特別給与(ボーナス)は同一労働同一賃金の適用で厳しい中でも前年比増となった。
・携帯電話通信料下落等の特殊要因を除いた消費者物価の基調をみると、このところ底堅さがみられる。
・有効求人倍率は、2月1.09、3月1.10、4月1.09、5月1.09、6月1.13(正社員は0.94)となった。
・完全失業率は、2月2.9%、3月2.6%、4月2.8%、5月3.0%、6月2.9%となった。
物価の動向
○ 国内企業物価は、上昇している。
消費者物価は、このところ底堅さがみられる。(7月総合前月比+0.1%)。
投資・収益・業況
○ 企業収益は、感染症の影響により、非製造業の一部に弱さがみられるものの、持ち直している。
・4-6月期の上場企業の経常利益は、前年の反動もあり、製造業・非製造業ともに前年比大幅増となった。非製造業では、運輸業の利益がコロナ前よりも引き続き抑制されているなど回復にばらつきがみられる。
・今年に入り企業物価は上昇した。川上の「素原材料」は国際市況を受けて大きく上昇しているが、川下の「最終財」への価格転嫁は限定的である。価格転嫁の動向によっては、企業収益にマイナスの影響が生じ得る。
・倒産件数は、資金繰り支援等もあり低水準が続く。ただし、企業債務の水準は高く、経済の活動レベルを高めていくことが必要である。
○ 設備投資は、持ち直している。
○ 業況判断は、一部に厳しさは残るものの、持ち直しの動きがみられる。
・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2020年9月▲27、12月▲10、2021年3月+5、6月+14、9月+13。
「大企業・非製造業」は2020年9月▲12、12月▲5、2021年3月▲1、6月+1、9月+3。
「中小企業・製造業」は、2020年9月▲44、12月▲27、2021年3月▲13、6月▲7、9月▲6。
「中小企業・非製造業」は、2020年9月▲22、12月▲12、2021年3月▲11、6月▲9、9月▲12。
生産
○ 生産は、持ち直している。
・海外経済の回復を背景に、輸出は緩やかな増加が続く。その下で、製造業の生産も、5G関連等で需要が旺盛な電子部品・デバイスや設備投資向けの生産用
機械を中心に持ち直している。
・ただし、東南アジアにおける感染拡大に伴う部品供給不足が生じており、一部自動車メーカーは8月下旬~9月に国内での減産を発表。国際的なサプライ
チェーンを通じた感染症の影響には注意が必要である。
★ 東南アジアにおける感染拡大に伴う部品供給不足
感染が拡大している東南アジアにおいて、ロックダウン等の制 限により、現地の生産活動が停滞している。
これによる同地域からの部品供給不足のため、一部国内自動車メーカーは8月下旬~9月に国内での減産を実施。
・鉱工業生産指数は前月比で、4月+2.9%、5月▲6.5%、6月+6.5%、7月(予想)▲1.1%、8月(予想)+1.7%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、3月▲2.8%、4月+7.7%、5月▲6.0%、6月+10.3%。
・電子部品・デバイスは前月比で、3月▲1.1%、4月+5.5%、5月▲0.2%、6月+3.9%。
・輸送機械は前月比で、3月+8.1%、4月+0.2%、5月▲16.6%、6月+17.6%。
外需
○ 輸出は、緩やかな増加が続いている。
○ 輸入は、このところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。
○ 貿易・サービス収支は、おおむね均衡している。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、4月▲9.9、5月▲1.0、6月+9.5、7月+0.8。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月ぶりに下降した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、3月▲1.5、4月▲8.1、5月+5.9、6月+4.8、7月▲4.0。