国会報告⑤-第180回国会(通常国会)を終えて 【内閣提出法律案-その3】

○ 第180回国会は、150日間の会期で平成23年1月24日に召集されました。その後、79日間の会期が延長され、9月8日までとなりました。


○ 今国会では、衆議院提出法律案24件、参議院提出法律案7件及び内閣提出法律案61件が成立いたしました。


○ 成立した法律案は、「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案」、「郵政民営化法等の一部を改正する等の法律案」、「離島振興法の一部を改正する法律案」、「地方自治法の一部を改正する法律案」及び「特殊土壌地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案」等、次の通りです。

 

【内閣提出法律案】

〈使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律案〉

・  使用済小型電子機器等の再資源化の促進による生活環境の保全及び国民経済の健全な発展を図るため

 

・  主務大臣による基本方針の策定及び再資源化事業計画の認定、当該認定を受けた再資源化事業計画に従って行う事業についての廃棄物処理業の許可等に関する特例等について定める必要があるためである。

〈金融商品取引法等の一部を改正する法律案〉

・  資本市場を取り巻く環境の変化を踏まえ、我が国市場の国際競争力の強化並びに金融商品の取引の公正性及び透明性の確保を図るため、

 

・  一定の商品を金融商品として他の多様な金融商品とともに取り扱うことのできる総合的な取引所の実現に向けた制度の整備を行うとともに、一定の店頭デリバティブ取引についての電子情報処理組織の利用の義務付け、企業の組織再編に係るインサイダー取引規制の見直し、課徴金制度の見直し等の措置を講ずる必要があるためである。

〈地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律案〉

・地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるため

 

・全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するための支援に係る基本理念を定めるほか

 

・障害者及び障害児の定義の見直し、地域生活支援事業の拡充、障害福祉計画の記載事項として関係機関との連携に関する事項の追加等の措置を講ずる必要があるためである。

〈労働契約法の一部を改正する法律案〉

・期間の定めのある労働契約について、その締結及び更新が適正に行われるようにするため

・期間の定めのある労働契約が一定の要件を満たす場合に、労働者の申込みにより期間の定めのない労働契約に転換させる仕組みを設ける等の必要があるためである。

〈社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案〉

・世代間及び世代内の公平性が確保された社会保障制度を構築することにより支え合う社会を回復することが我が国にとって直面する重要な課題であることに鑑み

 

・社会保障制度の改革とともに不断に行政改革を推進することに一段と注力しつつ経済状況を好転させることを条件として行う税制の抜本的な改革の一環として

 

・社会保障の安定財源の確保及び財政の健全化を同時に達成することを目指す観点から消費税の使途の明確化及び税率の引上げを行うとともに、所得

 

・  消費及び資産にわたる税体系全体の再分配機能を回復しつつ、世代間の早期の資産移転を促進する観点から所得税の最高税率の引上げ及び相続税の基礎控除の引下げ並びに相続時精算課税制度の拡充を行うための措置を講ずるほか、その他の税制の抜本的な改革及び関連する諸施策に関する措置について定める必要があるためである。

〈社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案〉

・世代間及び世代内の公平性が確保された社会保障制度を構築することにより支え合う社会を回復することが我が国にとって直面する重要な課題であることに鑑み、

 

・社会保障制度の改革とともに不断に行政改革を推進することに一段と注力しつつ経済状況を好転させることを条件として行う税制の抜本的な改革の一環として、

 

・地方における社会保障の安定財源の確保及び地方財政の健全化を同時に達成することを目指す観点から、地方消費税の使途の明確化及び税率の引上げを行うとともに、消費税に係る地方交付税の率を変更する等の必要があるためである。

〈公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案〉

・公的年金制度の最低保障機能の強化のため、

 

・低所得者等の老齢基礎年金等の額の加算、高所得者の老齢基礎年金の支給停止及び受給資格期間の短縮を行うとともに、産前産後休業期間中の厚生年金保険の保険料免除、短時間労働者への厚生年金保険の適用拡大等の措置を講ずるほか、基礎年金の国庫負担割合を二分の一とするための安定した財源の確保が図られる年度を定める等の必要があるためである。

〈子ども・子育て支援法案〉

・我が国における急速な少子化の進行並びに家庭及び地域を取り巻く環境の変化に鑑み、一人一人の子どもが健やかに成長することができる社会の実現に寄与するため、

 

・子ども及び子どもを養育している者に必要な子ども・子育て支援に係る給付その他の支援が総合的に提供されるよう、子ども・子育て支援給付を創設する等の措置を講ずる必要があるためである。

〈子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案〉

・  子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴い、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の廃止及び児童福祉法その他の関係法律の規定の整備等を行う必要があるためである。

〈被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案〉

・  今後の被用者年金制度の成熟化、少子高齢化の一層の進展等に備え、当該制度について、公的年金制度の一元化を展望しつつ、制度の安定性を高めるとともに、民間被用者及び公務員を通じ、将来に向けて、保険料負担及び保険給付の公平性を確保することにより、公的年金制度全体に対する国民の信頼を高めるため、

 

・  公務員及び私立学校教職員についても厚生年金保険制度を適用する措置を講ずる等の必要があるためである。

〈災害対策基本法の一部を改正する法律案〉

・  東日本大震災から得られた教訓を今後に生かし、災害対策の強化を図るため、

 

・  防災に関する組織を充実し、地方公共団体間の応援に関する措置を拡充するとともに、広域にわたる被災住民の受入れ並びに災害対策に必要な物資等の供給及び運送に関する措置を定める等の必要があるためである。

〈特定タンカーに係る特定賠償義務履行担保契約等に関する特別措置法案〉

・  欧州連合により講じられるイラン産原油を輸送するタンカーに係る保険契約についての再保険の引受けを禁止する措置により、特定タンカーについて船舶油濁損害賠償保障法第十三条第一項に規定する保障契約の締結等が困難となることに対応して、

 

・  特定タンカー所有者との間で特定賠償義務履行担保契約を締結する者に対し、当該特定賠償義務履行担保契約の義務の履行として支払われる金銭の額に相当する金額の交付金を政府が交付する制度を設ける等の特別の措置について定める必要があるためである。