月例経済報告(H26.10.21) 基調判断 〈現状〉 ・ 景気は、このところ弱さがみられるが、緩やかな回復基調が続いている。 ・ 消費者物価は、このところ上昇テンポが鈍化している。 〈先行き〉 先行きについては、当面、弱さが残るものの、雇用・所得環境の 改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待される。ただし、駆け込み需要の反動の長期化や海外 景気の下振れなど、我が国の景気を下押しするリスクに留意する 必要がある。 |
個人消費/住宅投資の動向
○ 個人消費は、持ち直しの動きが続くが、このところ足踏み。
・ 消費総合指数(実質)は前月比で、7月▲0.5%、8月+0.4%
前年比で、7月▲2.4%、8月▲1.9%。
○ 自動車販売は、底堅い動きである。
・ 新車販売台数〈含軽〉は前月比で、7月▲1.7 %、8月▲0.1%、9月+10.2%。
前年比で、7月▲2.6%、8月▲9.5%、9月▲3.2%。
○ 家電は、持ち直しの動きが緩やかになっている。
・ 家電17品目の売上推移は前月比で、7月▲10.9%、8月+2.3%、9月▲1.9%。
前年比で、7月▲9.8%、8月▲9.7%、9月▲10.9%。
○ 住宅建設は、緩やかに減少している。
・ 住宅着工戸数は前月比で、7月▲5.0%、8月+0.7%。
前年比で、7月▲14.1%、8月▲12.5%
○ 外食は、このところ弱い動きである。
・ 外食売上は前月比で、6月▲1.7%、7月▲3.3%、8月▲0.5%。
前年比で、6月▲1.8%、7月▲2.5%、8月▲2.1%。
○ 百貨店売上は、持ち直している。
・ 百貨店販売額は前月比で、7月▲3.1%、8月+4.5%、9月+1.3%。
前年比で、7月▲2.7%、8月▲0.4%、9月▲0.8%。
○ 9月は、昨年より低温・少雨であった。
・ 8月は平均気温前年差、▲1.5°C、降水量+60%。
・ 9月は平均気温前年差、▲1.2°C、降水量▲50%。
○ 消費者マインドは、改善に足踏み。
雇用・賃金・所得の動向
○ 雇用情勢は、着実に改善している。
・ 有効求人倍率は、7月1.10、8月1.10。
・ 完全失業率は、7月3.8 %、8月3.5%。
○ 一人当たり賃金は、緩やかに増加している。対前年比で、8月+0.9%。
○ 総雇用者所得は、名目、実質ともに底堅い動きである。
・ 前年比寄与度で、実質総雇用者所得+0.6%、名目総雇用者所得+1.6%。
○ 一般労働者は、足下で増加している。
○ 8月の正社員の有効求人倍率は、0.68で、2004年11月以来の高水準。リーマンショック前のピークだった2006年7月の0.64を上回った。
○ 若者世代(25-34歳)で、非正規から正規への動きがみられる。
物価の動向
○ 消費者物価(消費税抜き)は、このところ上昇テンポが鈍化している。
・ 8月のコア〈固定基準)は、前月比▲0.2%、前年比+1.1%。
・ 8月のコアコア(連鎖基準)は、前月比0.0%、前年比+0.8%。
○ ガソリン、電気代、生鮮食品は、高止まりである。
・8月は前月比で、ガソリン▲0.5%、電気代▲0.3%、生鮮食品+3.9%。
前年比で、ガソリン+5.7%、電気代+7.6%、生鮮食品+9.0%。
生産の動向
○ 生産は、このところ減少している。
・鉱工業生産は前月比で、7月+0.4%、8月▲1.9%。
(予備調査)9月+6.0%、10月▲0.2%。
○ 足元では、耐久消費財を中心に生産を下押ししている。
○ 自動車・家電等で、4月以降、在庫が急速に増加している。
○ 住宅関連でも、在庫が増加している。
設備投資╱公共投資の動向
○ 設備投資は、増加傾向にあるものの、このところ弱い動きとなっている。
○ 設備投資計画は、過去平均と比べて総じて高い伸びになっている。
○ 国内投資は、増加している。海外投資は、頭打ちである。
○ 公共投資は、総じて堅調に推移している。
・ 請負金額は前月比で、8月▲13.2%、9月▲8.2%。
・ 出来高は前月比で、8月+1.7%。
外需の動向
○ 輸出は、2013年以降、数量は横ばい、金額は増加。
○ 輸入は、2014年年初ごろ増加したが、このところ弱含みである。2013年以降、金額は増加。
○ 経常収支の黒字幅及び貿易収支の赤字幅は、このところ横ばいである。
○ 海外からの(純)所得受取は、増加傾向にある。旅行収支の受取は、改善している。
地域経済の動向
○ 消費の回復は、地域間にばらつきがある。
○ 先行き判断は、北海道が全国よりさらに低下している。
世界経済の動向
○ IMF見通しでは、世界計の実質GDP成長率は、7月時点3.4%より低下し10月時点で3.3%。
アメリカ経済の動向
○ 景気は、回復している。
・2014年4-6月期実質GDPは、前期比年率+4.6%。
・消費は、増加している。住宅着工は、持ち直しの動きがみられる。
・雇用者数は、増加している。失業率は、低下している。
中国経済の動向
○ 景気の拡大テンポが緩やかになっている。
・ 生産は、伸びがこのところ低下している。輸出は、持ち直している。
・ 消費は、伸びがやや低下している。固定資産投資は、伸びが鈍化している。
ヨーロッパ経済の動向
〇 景気は、全体として持ち直している。
・ ユーロ圏の4-6月期の実質GDPは、前期比年率+0.1%。
・ ユーロ圏の生産は、おおむね横ばいである。
〇 ユーロ圏の物価上昇率は、低下している。