月例経済報告(H27.7.21) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、緩やかな回復基調が続いている。 ・消費者物価は、緩やかに上昇している。 〈先行き〉 先行きについては、雇用・所得環境の改善傾向が続くなかで、各種政策の 効果もあって、緩やかに回復していくことが期待される。ただし、中国経済 をはじめとした海外景気の下振れなど、我が国の景気を下押しするリスク に留意する必要がある。
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個人消費の動向
○ 個人消費は持ち直しの兆しがある。
・ 消費総合指数は、前月比で、3月+0.8%、4月▲1.4%、5月+0.6%。
○ 自動車販売は、弱い動きである。
・新車販売台数〈含軽〉は前月比で、4月▲9.4%、5月+9.4%、6月+0.7%。
○ 家電はおおむね横ばいである。
○ 百貨店・スーパーの売上は改善傾向である。
・百貨店売上高は前月比で、4月▲2.3%、5月+2.2%、6月▲1.0%。
・スーパー売上高は、前月比で、3月+4.2%、4月▲1.3%、5月+0.3%。
○ 外食及び旅行は、おおむね横ばいである。
・外食売り上げは、前月比で、3月▲0.2%、4月+0.1%、5月+2.3%。
・5月の旅行取扱金額は、前月比で、国内+8.9%、海外▲2.1%、合計+5.3%。
○ 消費者マインドは、持ち直しているものの、そのテンポは緩やかになっている。
・消費者態度指数は、4月41.5(前月差▲0.2)、5月41.4(前月差▲0.1)、6月41.7(前月差+0.3)。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、持ち直しの動きである。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、3月+1.4%、4月+1.8%、5月+0.2%。
・持家着工数は前月比で、3月+2.5%、4月+1.4%、5月▲1.7%。
・貸家着工数は前月比で、3月+3.2%、4月+3.3%、5月+1.3%。
・分譲着工数は前月比で、3月▲1.6%、4月+1.3%、5月+3.8%。
○ 公共投資は、総じて弱い動きである。
・請負金額は前月比で、3月▲7.7%(出来高▲0.3%)、4月+6.3%(出来高+0.6%)、5月+3.6%
(出来高+1.8%)、6月+11.3%。
雇用・賃金の動向
○ 総雇用者所得は持ち直してきている。
・5月の名目総雇用者所得は前年比で+1.2%、実質総雇用者所得は前年比で+1.2%。
○ 非正規雇用者比率はおおむね横ばいである。
○ 有効求人倍率は上昇した。
・有効求人倍率は、4月1.17、5月1.19。
・完全失業率は、4月3.3%、5月3.3%。
物価の動向
○ 消費者物価は、緩やかに上昇している。
・5月のコア(生鮮食品を除く総合;固定基準)は、前月比+0.0%。
・5月のコアコア(生鮮食品、石油製品その他特殊要因を除く総合;連鎖基準)は、前月比+0.1%。
○ 消費者物価(コア)は、前年とおおむね同水準である。
・5月のコア(固定基準)は、前年比+0.1%。
・5月のコアコア(連鎖基準)は、前年比+0.8%。
○ 食料、外食が上昇に寄与している。
○ 家庭向けの電気代及び都市ガス代には、下落の動きがみられる。
投資・収益・業況
○ 設備投資は、このところ持ち直しの動きがみられる。
・機械受注(船舶・電力除く民需)は前月比で、4月+3.8%、5月+0.6%。
・輸送機械を除く資本財総供給は前月比で、4月+1.8%、5月+1.2%。
○ 2015年度の設備投資計画では、大企業・製造業を中心に積極的な姿勢がみられる。
○ 倒産件数は、おおむね横ばいである。
○ 企業収益は、総じて改善傾向である。
○ 業況判断は、おおむね横ばいも、一部に改善の兆しがみられる。
○ 中小企業の仕入価格DI(前年比「上昇」-「下落」)は、低下が一服した。
・中小企業の仕入・販売価格の動向について、中小企業月次景況観測(商工中金)の「販売価格
DI-仕入価格DI」は、3月▲11.0、4月▲10.6、5月▲11.5、6月▲13.1。
・中小企業景況調査(日本公庫)の「販売価格DI-仕入価格DI」は、3月▲10.8、4月▲14.8、
5月▲10.4、6月▲18.8。
生産
○ 生産は、このところ横ばいである。
・鉱工業生産は、前月比で4月+1.2%、5月▲2.1%(予備調査で、6月は前月比+1.5%、7月は
前月比+0.5%)。
○ 輸送機械及び電子部品・デバイスは、このところ弱含みである。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、5月▲1.4%、6月(予測)+1.5%、7月(予測)+1.0%。
・電子部品・デバイスは前月比で、5月▲4.8%、6月(予測)▲1.3%、7月(予測)▲2.8%。
・輸送機械は前月比で、5月▲5.1%、6月(予測)+2.1%、7月(予測)+2.6%。
○ 輸送機械の在庫は調整の動きがみられる。
○ 電子部品・デバイスは、内外需ともに弱含みである。
・5月の電子部品・デバイス工業の出荷内訳は、出荷全体で前月比+1.0%、国内向けで前月比
+0.6%、輸出向けで前月比+0.2%。
外需
○ 輸出・輸入は、おおむね横ばいである。
・輸出は前月比で、3月+2.4%、4月▲1.1%、5月▲3.7%。
・輸入は前月比で、3月▲8.5%、4月+5.6%、5月▲2.6%。
○ 輸出は、アジア向けがおおむね横ばいである。
○ 輸入は、EUがこのところ弱含みである。
○ 経常収支(月次)の黒字幅は、5月は拡大した。
・経常収支は前月比で、4月▲38.3%、5月+28.4%。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)は、5カ月連続で50を上回った。
・現状判断DIは、4月53.6(前月差1.4)、5月53.3(前月差▲0.3)、6月51.0(前月差▲2.3)。
○ 現状判断は、多くの地域で低下した。
○ 先行き判断(DI)は、5か月連続で50を上回った。
・先行き判断DIは、4月54.2(前月差0.8)、5月54.5(前月差0.3)、6月53.5(前月差▲1.0)。
○ 先行き判断は、多くの地域で低下した。
世界経済の動向
○ IMF見通しでは、世界計の実質GDP成長率は、4月時点3.5%より低下し7月時点で3.3%。
アメリカ経済の動向
○ アメリカの景気は、このところ弱めの動きも見られるが、回復が続いている。
○ 製造業の景況指数は持ち直してきている。
○ 雇用者数は増加し、賃金の伸びはおおむね横ばいである。
○ 消費は、増加している。
中国経済の動向
○ 景気は緩やかに減速している。
・ 1-3月期実質GDPは、前年比年率+5.3%、4-6月期実質GDPは、前年比年率+7.0%。
○ 生産は伸びが鈍化、輸出はこのところ弱い動きである。
○ 固定資産投資は、弱い伸びとなっている。
○ 都市部新規雇用者数は伸びがおおむね横ばい、乗用車販売台数はこのところ減少している。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏では、景気は持ち直している。
○ ユーロ圏の消費は緩やかに増加している。
・5月の実質小売売上は前月比で、0.2%(なお、ドイツ+0.5%、英国+0.2%)。
○ ユーロ圏の生産はおおむね横ばいである。
・5月の鉱工業生産は前月比で、▲0.4%(なお、ドイツ+0.0%、英国+0.4%)
・ユーロ圏の2015年1‐3月期実質GDPは、前期比年率+1.5%。
○ ユーロ圏の失業率は、高水準ながら低下している。
○ ユーロ圏の物価上昇率はゆるやかに上昇している。
ギリシャ経済の動向
○ 7月13日のユーロ圏首脳会合で、ギリシャ支援プログラム協議の開始について合意。
ただし、同協議開始の条件として、首脳会合で定められた期間内に、必要な措置をとることが求められ
ている。
○ これまでのところ周辺国への影響は限定的。
○ ギリシャの課題の一つは、経済成長と財政再建の両立。そのための構造改革、産業育成が必要。
○ ギリシャ支援をめぐる経済改革の概要と予定
・7月13日:ユーロ圏首脳会合で、条件付きで支援協議開始の合意
・7月16日:ギリシャ国会で協議開始の条件である関連法案が可決
ユーログループ(ユーロ圏財務相会合)において、加盟国の議会が承認すれば三次
支援を行うことを決定
・7月20日:ECBへの償還(34.9億ユーロ)
・8月1日:IMFへの返済(1.8億ユーロ)
・8月20日:ECBへの償還(33.8億ユーロ)