月例経済報告(H27.10.14) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、このところ一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が 続いている。 ・消費者物価は、緩やかに上昇している。 〈先行き〉 先行きについては、雇用・所得環境の改善傾向が続くなかで、各種政策の 効果もあって、緩やかに回復していくことが期待される。ただし、アメリカの 金融政策が正常化に向かう中、中国経済をはじめとするアジア新興国等の 景気が下揺れし、わが国の景気が下押しされるリスクがある。こうした中で 金融資本市場の変動が長期化した場合の影響に留意する必要がある。
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個人消費の動向
○ 個人消費は総じて見れば底堅い動きである。
・ 消費総合指数は、前月比で、6月▲0.2、7月▲0.1%、8月+0.8%。
○ 自動車販売は、おおむね横ばいである。
・新車販売台数〈含軽〉は前月比で、7月▲4.3%、8月+5.8%、9月▲1.0%。
○ 家電はおおむね横ばいである。
○ 百貨店・スーパーの売上はおおむね横ばいである。
○ 外食は、持ち直しの動きがみられる。
・外食売り上げは、前月比で、6月▲1.8%、7月1.2%、8月+1.3%。
○ 旅行は、おおむね横ばいである。
・7月の旅行取扱金額は、前月比で、国内+2.7%、海外▲7.9%、合計▲0.8%。
○ 消費者マインドは、持ち直しに足踏みがみられる。
・消費者態度指数は、7月40.3(前月差▲1.4)、8月41.7(前月差+1.4)、9月40.6(前月差▲1.1)。
○ 先行き、中国経済、株、物価上昇等がマイナスに寄与した。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、持ち直しの動きである。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、6月+13.4%、7月▲11.5%、8月+1.8%。
・持家着工数は前月比で、6月+9.5%、7月▲6.0%、8月▲1.1%。
・貸家着工数は前月比で、6月+10.5%、7月▲2.0%、8月▲1.6%。
・分譲着工数は前月比で、6月+22.1%、▲31.7%、8月+11.5%。
○ 公共投資は、総じて弱い動きである。
・請負金額は前月比で、6月▲2.9%、(出来高+4.7%)、7月▲8.3%(出来高+4.6%)、8月▲4.8%、
9月▲8.0%。
雇用・賃金の動向
○ 総雇用者所得は持ち直してきている。
・8月の名目総雇用者所得は前年比で+1.2%、実質総雇用者所得は前年比で+1.5%。
○ 非正規雇用者比率はおおむね横ばいである。
○ 65歳以上の雇用者数は増加傾向にある。
○ 有効求人倍率は上昇した。
・有効求人倍率は、7月1.21、8月1.23。
・完全失業率は、7月3.3%、8月3.4%。
物価の動向
○ 消費者物価は、緩やかに上昇している。
・8月のコア(生鮮食品を除く総合;固定基準)は、前月比+0.0%。
・8月のコアコア(生鮮食品、石油製品その他特殊要因を除く総合;連鎖基準)は、前月比+0.1%。
○ 消費者物価(コア)は、前年とおおむね同水準である。
・8月のコア(固定基準)は、前年比▲0.1%。
・8月のコアコア(連鎖基準)は、前年比+1.1%。
○ 食料、外食、耐久消費財が上昇に寄与している。
○ 家庭向けの電気代及び都市ガス代には、下落の動きがみられる。
投資・収益・業況
○ 企業収益は改善、設備投資は総じて持ち直してきている。
○ 設備投資計画は、大企業・製造業を中心に積極的である。
○ 中小企業の仕入価格DI(前年比「上昇」-「下落」)は、低下傾向にある。
・中小企業の仕入・販売価格の動向について、中小企業月次景況観測(商工中金)の「販売価格
DI-仕入価格DI」は、6月▲13.1、7月▲10.6、8月▲9.4、9月▲8.2。
・中小企業景況調査(日本公庫)の「販売価格DI-仕入価格DI」は、6月▲18.8、7月▲11.6、8月
▲6.8、9月▲8.2。
○ 設備投資は、総じて持ち直しの動きである。
・機械受注は前月比で、7月▲3.6%、8月▲5.7%(7-9月期見通し+0.3%)。
・資本財出荷は前月比で、7月+2.2%、8月▲0.7%。
生産
○ 生産は、このところ弱含みである。
・鉱工業生産は、前月比で7月▲0.8%、8月▲0.5%、9月(予測)+0.1%、10月(予測)+4.4%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、7月▲1.2%、8月▲3.2%、9月(予測)▲4.9%、
10月(予測)+11.6%。
・電子部品・デバイスは前月比で、7月▲3.8%、8月▲1.0%、9月(予測)+3.4%、10月(予測)+4.8%。
・輸送機械は前月比で、7月▲1.4%、8月▲0.7%、9月(予測)▲1.6%、10月(予測)+9.0%。
○ 電子部品・デバイスは、スマートフォン関連財を中心にこのところ減少している。
○ 掘削機械は、在庫水準が高まる中、足下で生産が減少している。
○ 工作機械は、外需向けの受注がこのところ減少傾向にある。
外需
○ 輸出はこのところ弱含みである。
○ 経常収支の黒字幅は、おおむね横ばいである。
○ 輸入はこのところ弱含みである。
○ 旅行収支の黒字幅は、拡大している。
・旅行収支は前月比で、7月▲1.7%、8月+19.6%。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)は、2か月連続の低下となった。
・現状判断DIは、7月51.6(前月差+0.6)、8月49.3(前月差▲2.3)、9月47.5(前月差▲1.8)。
○ 現状判断は、多くの地域で低下した。
○ 先行き判断(DI)は、4か月ぶりに上昇した。
・先行き判断DIは、7月51.9(前月差▲1.6)、8月48.2(前月差▲3.7)、9月49.1(前月差+0.9)。
○ 先行き判断は、多くの地域で上昇した。
世界・アジア経済の動向
○ 世界の景気は、一部に弱さがみられるものの、緩やかに回復してきている。
○ 中国の景気は、緩やかに減速してきている。
・2015年4-6月期実質GDPは前年比+7.0%
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は回復が続いている。
・2015年4-6月期実質GDPは前期比年率+3.9%
○ 雇用者数は増加。賃金の伸びはおおむね横ばいである。
○ 消費は、増加している。
○ 製造業の景況指数は低下傾向である。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏では、景気は緩やかに回復している。
○ ユーロ圏の失業率は、高水準ながら低下した。
○ ユーロ圏の消費は増加した。
○ ユーロ圏の企業マインドは横ばいである。
○ ユーロ圏の物価は、エネルギー価格下落の影響により下落した。