月例経済報告(H27.12.21) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、このところ一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が 続いている。 ・消費者物価は、緩やかに上昇している。 〈先行き〉 先行きについては、雇用・所得環境の改善傾向が続くなかで、各種政策の 効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待される。ただし、アメリカの 金融政策の正常化が進む中、中国をはじめとするアジア新興国等の景気 が下揺れし、わが国の景気が下押しされるリスクがある。 |
個人消費の動向
○ 個人消費は総じて見れば底堅い動きである。
・ 消費総合指数は、前月比で、8月+0.6%、9月▲0.2%、10月▲0.2%。
○ 自動車販売は、おおむね横ばいである。
・新車販売台数〈含軽〉は前月比で、8月+5.8%、9月▲1.0%、10月+4.9%、11月▲6.4%。
○ 外食は、持ち直しの動きがみられる。
・外食売り上げは、前月比で、8月+1.3%、9月▲0.8%、10月+1.5%。
○ 旅行は、おおむね横ばいである。
・10月の旅行取扱金額は、前月比で、国内▲4.4%、海外▲5.4%、合計▲4.7%。
○ 消費者マインドは、持ち直しに足踏みがみられる。
・消費者態度指数は、9月40.6(前月差▲1.1)、10月41.5(前月差+0.9)、11月42.6(前月差+1.1)。
○ 百貨店売り上げは、おおむね横ばいである。
・百貨店売り上げは前月比で、9月+0.2%、10月0.0%、11月▲4.3%。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、7月▲11.5%、8月+1.8%、9月▲3.3%、10月▲4.3%。
・持家着工数は前月比で、8月▲1.1%、9月▲0.7%。10月▲2.9%。
・貸家着工数は前月比で、8月▲1.6%、9月▲0.2%、10月▲12.4%。
・分譲着工数は前月比で、8月+11.5%、9月▲9.7%、10月+3.9%。
・首都圏のマンション総販売戸数は、おおむね横ばいである。
○ 公共投資は、緩やかに減少している。
・請負金額は前月比で、8月▲4.8%(出来高+2.7%)、9月▲8.0%(出来高+0.2%)、
10月▲6.0%(出来高▲1.5)%、11月▲5.3%。
雇用・賃金の動向
○ 有効求人倍率は上昇傾向にある。
・有効求人倍率は、8月1.23、9月1.24。10月1.24.
・完全失業率は、8月3.4%、9月3.4%、10月3.1%。
○ 総雇用者所得は持ち直してきている。
・9月の名目総雇用者所得は前年比で+2.0%、実質総雇用者所得は前年比で+2.0%。
○ 冬季賞与は、経団連・日経新聞社調査では前年比プラス。
○ 大卒・高卒内定率は、高水準で推移している。
物価の動向
○ 消費者物価は、緩やかに上昇している。
・10月のコア(生鮮食品を除く総合;固定基準)は、前月比0.0%。
・10月のコアコア(生鮮食品、石油製品その他特殊要因を除く総合;連鎖基準)は、前月比▲0.1%。
○ 消費者物価(コア)は、前年とおおむね同水準である。
・10月のコア(固定基準)は、前年比▲0.1%。
・10月のコアコア(連鎖基準)は、前年比+1.0%。
○ 食料、外食、耐久消費財が上昇に寄与している。
○ 家庭向けの電気代及び都市ガス代には、下落の動きがみられる。
投資・収益・業況
○ 企業収益は改善している。
・経常利益は、2015年9-12月期の前年比で、全産業+9.0%、製造業▲0.7%、非製造業+15.2%。
○ 中小企業の仕入価格DI(前年比「上昇」-「下落」)は、低下傾向にある。
・中小企業の仕入・販売価格の動向について、中小企業月次景況観測(商工中金)の「販売価格
DI-仕入価格DI」は、7月▲10.6、8月▲9.4、9月▲8.2、10月▲6.3。
・中小企業景況調査(日本公庫)の「販売価格DI-仕入価格DI」は、7月▲11.6、8月▲6.8、
9月▲8.2、10月▲6.8。
○ 業況判断は、一部に慎重さがみられるものの、おおむね横ばいである。
○ 受注残高は、過去最高水準である。
○ 設備投資は、おおむね横ばいである。
・機械受注は前月比で、8月▲5.7%、9月+7.5%、10月+10.7%(10-12月期見通し+2.9%)。
・資本財総供給は前月比で、9月▲0.7%、10月+1.4%。
生産
○ 生産は、このところ弱含んでいる。
・鉱工業生産は、前月比で、9月+1.1%、10月+1.4%、11月(予測)+0.2%、12月(予測)▲0.9%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、9月▲4.7%、10月+5.5%、11月(予測)▲1.8%、
12月(予測)▲3.2%。
・電子部品・デバイスは前月比で、9月+4.6%、10月+2.4%、11月(予測)+1.1%、
12月(予測)▲1.8%。
・輸送機械は前月比で、9月+0.8%、10月3.8%、11月(予測)▲2.6%、12月(予測)▲1.2%。
○ 電子部品・デバイスは、スマートフォン関連財が増産も、力強さに欠ける。
○ 乗用車は在庫調整が進む中、国内販売は横ばい。
○ 工作機械の受注は、内外需ともに減少傾向にある。
外需
○ 輸出は弱含んでいる。
○ 経常収支の黒字幅は、おおむね横ばいである。
○ 輸入はおおむね横ばいとなっている。
○ 旅行収支の黒字幅は拡大傾向にある。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)は、2か月ぶりの低下、先行き判断は3か月ぶりの低下である。
・現状判断DIは、9月47.5(前月差▲1.8)、10月48.2(前月差+0.7)、11月46.1(前月差▲2.1)。
・先行き判断DIは、9月49.1(前月差+0.9)、10月49.1(前月差0.0)、11月48.2(前月差▲0.9)。
○ 足下、物価上昇等がマイナスに寄与している。
アジア等経済の動向
○ 中国の景気は、緩やかに減速してきている。
・輸出は弱い動きとなっている。
・生産は伸びが鈍化してきている。
・固定資産投資は弱い伸びとなっている。
・消費は伸びがおおむね横ばいとなった。
○ 資源価格低下の資源国への影響
(資源の受給をめぐる動き)
・原油;12月4日のOPEC総会では、過剰生産の解消に向けた協調に至らず、高水準の生産を維持。
・鉄鉱石;16年の中国の鉄鉱石需要は、前年比▲4.2%の見込みである。
・銅;16年の世界の銅需要は、前年比+3.4%の見込み。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は回復が続いている。
・2015年7-9月期実質GDPは前期比年率+2.1%
○ 雇用者数は増加。賃金の伸びはやや高まっている。
○ 消費は増加している。
○ 製造業の景況指数は低下している。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏では、景気は緩やかに回復している。
・ユーロ圏の7-9月期実質GDPは、前年比年率+1.2%である。
○ ユーロ圏の失業率は、高水準ながら低下している。
○ ユーロ圏の消費は増加した。
○ ドイツでは、投資、輸出、生産部門にこのところ弱い動きがみられる。
○ パリ同時多発テロ事件のフランス経済への影響
・仏・中銀は、15年10-12月期の経済成長見通しを、前期比0.4%から0.3%に下方修正した。
・11月小売指数は、前月比▲1.1%。店舗別では、デパートが前月比▲4.3%、オンラインを含む遠隔地
販売は前月比+3.2%。
・11月後半のパリ空港旅客数は、前年同期比▲6%(月全体では前期比▲1.8%)。