月例経済報告(H28.1.20) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、このところ一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が 続いている。 ・消費者物価は、緩やかに上昇している。 〈先行き〉 先行きについては、雇用・所得環境の改善傾向が続くなかで、各種政策の 効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待される。ただし、アメリカの 金融政策の正常化が進む中、中国をはじめとするアジア新興国等の景気 が下振れし、わが国の景気が下押しされるリスクがある。こうした中で、金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。 |
個人消費の動向
○ 個人消費は総じて見れば底堅い動きである。
・ 消費総合指数は、前月比で、9月▲0.4%、10月+0.1%、11月▲1.2%。
○ 自動車販売は、おおむね横ばいである。
・新車販売台数〈含軽〉は前月比で、9月▲1.0%、10月+4.9%、11月▲6.4%、12月▲0.0%。
○ 外食は、持ち直しの動きがみられる。
・外食売り上げは、前月比で、9月▲0.8%、10月+1.5%、11月▲0.9%。
○ 家電は、おおむね横ばいである。
○ 消費者マインドは、持ち直している。
・消費者態度指数は前月差で、10月+0.9、11月+1.1、12月+0.1。
○ 百貨店売り上げは、おおむね横ばいである。
・百貨店売り上げは前月比で、10月0.0%、11月▲4.3%、12月+2.9%。
○ 小売業は、11月は衣類等が不振であった。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、8月+1.8%、9月▲3.3%、10月▲4.3%、11月+2.8%。
・持家着工数は前月比で、9月▲0.7%。10月▲2.9%、11月+2.1%。
・貸家着工数は前月比で、9月▲0.2%、10月▲12.4%、11月+3.5%。
・分譲着工数は前月比で、9月▲9.7%、10月+3.9%、11月+6.1%。
○ 公共投資は、緩やかに減少している。
・請負金額は前月比で、9月▲8.0%(出来高+0.2%)、 10月▲6.0%(出来高▲1.5)%、
11月▲5.3%(出来高▲3.4%)、12月▲4.0%。
雇用・賃金の動向
○ 有効求人倍率は上昇傾向にある。
・有効求人倍率は、9月1.24。10月1.24、11月1.25.
・完全失業率は、9月3.4%、10月3.1%、11月3.3%。
○ 総雇用者所得は持ち直してきている。
・11月の名目総雇用者所得は前年比で+0.6%、実質総雇用者所得は前年比で+0.6%。
○ 現役世代の非正規雇用者比率は、2015年は低下している。
○ 女性を中心に正規雇用者数は足下で増加した。
物価の動向
○ 消費者物価は、緩やかに上昇している。
・11月のコア(生鮮食品を除く総合;固定基準)は、前月比+0.1%。
・11月のコアコア(生鮮食品、石油製品その他特殊要因を除く総合;連鎖基準)は、前月比+0.2%。
○ 消費者物価(コア)は、前年とおおむね同水準である。
・11月のコア(固定基準)は、前年比+0.1%。
・11月のコアコア(連鎖基準)は、前年比+1.1%。
○ 食料、外食、耐久消費財が上昇に寄与しており、このところ、生鮮食品の価格は低下している。
○ ガソリンには、下落の動きがみられる。
投資・収益・業況
○ 企業では、M&Aが増加した。
○ 倒産件数は、おおむね横ばいである。
○ 中小企業の仕入価格DI(前年比「上昇」-「下落」)は、低下傾向にある。
・中小企業の仕入・販売価格の動向について、中小企業月次景況観測(商工中金)の「販売価格
DI-仕入価格DI」は、8月▲9.4、9月▲8.2、10月▲6.3、11月▲5.3、12月▲7.5。
・中小企業景況調査(日本公庫)の「販売価格DI-仕入価格DI」は、8月▲6.8、9月▲8.2、
10月▲6.8、11月▲2.0、12月▲4.5。
○ 設備投資は、おおむね横ばいである。
・機械受注は前月比で、9月+7.5%、10月+10.7%、11月▲14.4%(10-12月期見通し+2.9%)。
・資本財総供給は前月比で、9月▲0.7%、10月+1.4%、11月+1.9%。
生産
○ 生産は、このところ横ばいである。
・鉱工業生産は、前月比で、10月+1.4%、11月▲0.9%、12月(予測)+0.9%、1月(予測)+6.0%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、10月+5.5%、11月▲2.4%、12月(予測)+1.9%、
1月(予測)+13.4%
・電子部品・デバイスは前月比で、10月+2.4%、11月▲1.4%、12月(予測)▲3.3%、
1月(予測)+9.2%。
・輸送機械は前月比で、10月3.8%、11月▲0.1%、12月(予測)▲0.8%、1月(予測)+6.6%。
○ 電子部品・デバイスは、スマートフォン関連財が増産も、力強さに欠ける。
○ 乗用車は在庫調整の進展を受け、持ち直しの動きがある。
○ 掘削機械は、在庫調整が続いている。
外需
○ 輸出は弱含んでいる。
○ 貿易・サービス収支の赤字は、減少傾向にある。
○ 輸入はおおむね横ばいとなっている。
○ 旅行収支の黒字幅は拡大傾向にある。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)は、2か月ぶりに上昇し、先行き判断は前月比横ばいとなった。
・現状判断DIは、10月48.2(前月差+0.7)、11月46.1(前月差▲2.1)、12月48.7(前月差+2.6)。
・先行き判断DIは、10月49.1(前月差0.0)、11月48.2(前月差▲0.9)、12月48.2(前月差0.0)。
・先行き・季節調整値DIは、4か月連続で50以上となった。
アジア経済の動向
○ 中国では、景気は緩やかに減速している。
・輸出は、弱い動きとなっている。
・製造業購買担当者指数(PMI)は、おおむね横ばいである。
・消費、は伸びがおおむね横ばいとなっている。
・生産は、伸びが鈍化した。
・固定資産投資は、弱い伸びとなった。
・消費者物価上昇率は、おおむね横ばいとなった。
○ 中国 中央経済工作会議の概要
◎積極的な財政政策、柔軟かつ適切な金融政策
減税の実施、財政赤字の対GDP比の状況に応じた拡大と政府投資の適切な拡大等
◎サプライサイドの構造改革の強化
(1)過剰生産能力の解消(合併・再編の促進等)
(2)ビジネスコストの軽減(各種行政手数料・税負担の軽減等)
(3)不動産在庫の解消(戸籍制度改革の着実な実施等)
(4)必要な供給の拡大(企業のイノベーション支援、農業の近代化等)
(5)金融リスクの予防(地方政府債務リスクの解消等)
○ その他アジア
・韓国では、景気は内需を中心にこのところ持ち直しの動きがみられる。
・台湾では、景気は弱い動きとなっている。
・インドネシアでは、景気は内需を中心にこのところ持ち直しの動きがみられる。
・タイでは、景気は減速している。
・インドでは、景気は内需を中心に緩やかに回復している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は回復が続いている。
○ 雇用者数は増加。賃金の伸びはやや高まっている。
○ 製造業の景況指数は低下している。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏では、景気は緩やかに回復している。
○ ユーロ圏の失業率は、高水準ながら低下している。
○ ユーロ圏の消費は増加した。
○ ユーロ圏の輸出はこのところ弱い動きである。
○ ヨーロッパ主要国への難民申請者の推移<2015年、庇護申請者数、( )は前年比>
・EU 108.2万人 (72.6%)
・ドイツ 47.7万人 (135.2%)
・スペイン 1.0万人 (83.3%)
・イタリア 7.8万人 (20.6%)
・フランス 5.9万人 (▲8.4%)
・ハンガリー 17.7万人 (313.6%)
・スウェーデン 14.9万人 (83.1%)
・英国 3.2万人 (▲2.1%)