月例経済報告

 

月例経済報告(H28.3.23)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。

・消費者物価は、緩やかに上昇している。

〈先行き〉              

先行きについては、雇用・所得環境の改善傾向が続くなかで、各種政策の

効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待される。ただし、海外経済で弱さがみられており、中国をはじめとするアジア新興国や資源国等の景気

が下揺れし、わが国の景気が下押しされるリスクがある。こうした中で、海外経済の不確実性の高まりや金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。

個人消費の動向

○ 個人消費は消費者マインドに足踏みがみられる中、おおむね横ばいである。

   ・ 消費総合指数は、前月比で、11月▲1.1%12+0.3%1+0.6%

○ 自動車販売は、おおむね横ばいである。

   ・新車販売台数〈含軽〉は前月比で、12+1.6%1+1.3%2月▲6.1%

   外食は、持ち直しの動きがみられる。

・外食売り上げは、前月比で、11月▲0.2%12月▲0.1%1月▲0.3%

○ 家電は、おおむね横ばいである。

○ 百貨店売り上げは、おおむね横ばいである。

   ・百貨店売り上げは前月比で、12+2.1%1月▲4.3%2+2.4%

○ 旅行は、おおむね横ばいである。

   消費者マインドは、足踏みがみられる。

   ・消費者態度指数は前月差で、12+0.11月▲0.22月▲2.4

○ 先行き不安、円高、株等がマイナスに寄与した。

  

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、10月▲4.3%11+2.8%12月▲2.2%1+1.5%

     ・持家着工数は前月比で、10月▲2.9%11+2.1%12月▲5.1%1+6.8%

・貸家着工数は前月比で、10月▲12.4%11+3.5%12+1.4%1月▲0.8%

・分譲着工数は前月比で、10+3.9%11+6.1%12月▲6.1%1月▲0.9%

   公共投資は、緩やかに減少している。

・請負金額は前月比で、11+3.3%(出来高▲2.3%)、12月▲5.3(出来高▲1.5%)、

 1月+7.6%(出来高+1.6%)、2月▲8.3%

・手持ち工事高は前月比11+0.0%12+0.1%1+0.4%

 

雇用・賃金の動向

   有効求人倍率は上昇している。

・有効求人倍率は、111.25121.2711.28

・完全失業率は、103.1%113.3%123.3%13.2%

   総雇用者所得は持ち直してきている。

1月の名目総雇用者所得は前年比で+2.2%、実質総雇用者所得は前年比で+2.4%

○ 非正規雇用者比率はおおむね横ばいとなった。

○ 労働分配率は低下傾向にある。

 

物価の動向  

    消費者物価は、緩やかに上昇している。

1月のコア(生鮮食品を除く総合;固定基準)は、前月比▲0.3%

1月のコアコア(生鮮食品、石油製品その他特殊要因を除く総合;連鎖基準)は、前月比▲0.1%

   消費者物価(コア)は、前年とおおむね同水準である。

1月のコア(生鮮食品を除く総合;固定基準)は、前年比+0.1%

12のコアコア(生鮮食品、石油製品その他特殊要因を除く総合;連鎖基準)は、前年比+1.0%

   食料が上昇に寄与しており、このところ、生鮮食品の価格は前年と同水準となった。

   ガソリン・電気代には、下落の動きがみられる。

 

投資・収益・業況

○ 中小企業の仕入れ価格と販売価格のDIの差は、30年ぶりの低水準となった。

○ 中小企業の仕入価格DI(前年比「上昇」-「下落」)は、低下傾向にある。

   ・中小企業の仕入・販売価格の動向について、中小企業月次景況観測(商工中金)の「販売価格

 DI-仕入価格DI」は、10月▲6.311月▲5.312月▲7.51月▲5.92月▲2.9

   ・中小企業景況調査(日本公庫)の「販売価格DI-仕入価格DI」は、10月▲6.811月▲2.0

    12月▲4.51月▲0.42+3.2

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

   ・機械受注は前月比で、11月▲14.4%12+1.0%1+15.0%1-3月期見通し+6.4%)。

・資本財総供給は前月比で、11+1.9%12月▲3.9%1+3.8% 

○ 企業収益は、非製造業を中心に改善傾向にある。

 

生産

○ 生産は、このところ横ばいである。

・鉱工業生産は、前月比で、12月▲1.7%1月+3.7%2月(予測)▲5.2%3(予測)+3.1%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、12月▲2.7%1+7.2%2月(予測)▲5.0%

 3(予測)+5.2%

・電子部品・デバイスは前月比で、12+3.9%1+6.3%2(予測)11.4%3月(予測)▲3.8%

・輸送機械は前月比で、12月▲2.0%1+2.9%2(予測)12.4%3月(予測)+13.0%

○ 電子部品・デバイスは、スマートフォン関連財が力強さに欠ける。

○ 乗用車は在庫調整の進展を受け、持ち直しの動きがある。

○ 工作機械の受注は減少していたが、足下では横ばいである。

 

外需

   輸出はおおむね横ばいである。

○ 貿易・サービス収支は、黒字に転じている。

○ 輸入はおおむね横ばいとなっている。

○ 旅行収支の黒字幅は拡大傾向にある。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)は、2か月連続の低下となった。

・現状判断DIは前月差で、12+2.61月▲2.12月▲2.0

   ・現況・季節調整値DIは前月差で、12+0.41月▲2.02月▲3.9

○ 先行き判断(DI)は、3か月ぶりの低下となった。

   ・先行き判断DIは前月差で、120.01+1.32月▲1.3

  ・先行き・季節調整値DIは前月差で、12月▲0.31月▲1.72月▲3.7

 

中国経済の動向  

○ 中国では、景気は緩やかに減速している。

・中国の消費は堅調に推移している。

     ・輸出は減少した。

    ・生産の伸びが鈍化している 

★ 3516日 全国人民代表会議の主な内容

   ◎ 「中高速成長」の実現と産業の高度化のため、より積極的な財政政策と柔軟かつ適切な金融政策を

   実施

    ・16年GDP成長率目標は6.5~7%(15年実績6.9%)

    ・営業税から付加価値税への全面的な切替えを通じた減税や各種料金の免除(0.5兆元)、インフラ

     投資(鉄道0.8兆元、道路1.7兆元等)を実施

    ・財政赤字は5,600億元増、財政赤字の対GDP比は152.4%から16年3%前後に拡大

    (※1元=17.5円)

  ◎ 鉄鋼・石炭等の過剰生産能力問題の解消に向け、合併・再編、債務再編、清算等により

   「ゾンビ企業」を積極的に処理するとともに、従業員の再就職等を支援

  ◎ 第13次5か年計画期間中(1620年)の成長は6.5%以上を維持し、20年までに実質GDPと

   1人当たり所得を10年の2倍に

 

アメリカ経済の動向 

   アメリカでは、企業部門の一部に弱めの動きもみられるが、景気は回復が続いている。

○ 201510-12月期実質GDP成長率は+1.0%

   消費は増加、賃金の伸びはやや高まっている。

○ 財輸出はこのところ弱い動きである。

 

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、企業部門の一部に弱めの動きもみられるが、景気は緩やかに回復している。

○ ユーロ圏の10-12月期実質GDPは、前期比年率+1.3%

○ ユーロ圏の失業率は、高水準ながら低下した。

○ ユーロ圏の消費は、増加した。

 

○ ユーロ圏の輸出は、弱い動きである。