月例経済報告

 

月例経済報告(H28.7.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。

・消費者物価は、このところ上昇テンポが鈍化している。

〈先行き〉              

先行きについては、雇用・所得環境の改善傾向が続くなかで、各種政策の

効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待される。ただし、海外経済で弱さがみられており、中国をはじめとするアジア新興国や資源国等の

景気が下揺れし、わが国の景気が下押しされるリスクがある。

また、英国のEU離脱問題など、海外経済の不確実性の高まりや金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。さらに、平成28(2016)熊本地震の経に与える影響に十分留意する必要がある。

個人消費の動向

○ 個人消費は消費者マインドに足踏みがみられる中、おおむね横ばいである。

   ・ 消費総合指数は、前月比で2+0.3%3+0.1%4+0.1%5+0.3%

○ 織物・衣服・身の回り品小売業販売額は上昇し、旅行販売額が減少した。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、このところ持ち直しの動きがみられる。

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、2+11.6%3+2.0%4+0.2%52.3%

     ・持家着工数は前月比で、2+5.6%3+4.6%4月▲4.7%5+1.1%

・貸家着工数は前月比で、2+10.9%、3月▲4.4%、4月+10.6%5+0.4%

・分譲着工数は前月比で、2+15.0%3+12.5%4月▲6.0%5+3.1%

   公共投資は、緩やかに減少している。

・請負金額は前月比で、2月▲8.3%(出来高▲1.3%)、3+4.1%(出来高▲0.8%)、

 4+19.9%5月▲11.8%(出来高▲0.2%)、6月▲4.9%

 

雇用・賃金の動向

   有効求人倍率は上昇傾向にある。

・有効求人倍率は、31.3041.3451.36

・完全失業率は、23.3%33.2%43.2%

   総雇用者所得は、緩やかに増加してきている。

5月の名目総雇用者所得は前年比で+1.4%、実質総雇用者所得は前年比で+2.2%

 

物価の動向  

    消費者物価は、このところ上昇テンポが鈍化している(5月総合前月比+0.1%)。

 

投資・収益・業況

○ 業況判断は、慎重さが増している。

○ 中小企業の仕入価格DI(前年比「上昇」-「下落」)は、低下傾向にある。

   ・中小企業の仕入・販売価格の動向について、中小企業月次景況観測(商工中金)の「販売価格

 DI-仕入価格DI」は、2月▲2.93月▲4.74月▲6.35月▲6.36月▲7.6

   ・中小企業景況調査(日本公庫)の「販売価格DI-仕入価格DI」は、、2+3.23月▲1.9

    4月▲5.65月▲7.46月▲7.1

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

   ・機械受注は前月比で、3+5.5%4月▲11.0%5月▲1.4%4-6月期見通し▲3.5%)。

・資本財総供給は前月比で、3+2.1%4+2.7%5+1.5%1-3月期▲3.1%)。 

 

生産

○ 生産は、このところ横ばいである。

・鉱工業生産は、前月比で、4+0.5%5月▲2.6%6月(予測)+1.7 %7(予測)+1.3%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、4+0.8%5月▲2.6%6月(予測)▲0.5%

 7(予測)0.6%

・電子部品・デバイスは前月比で、4+0.3%5月▲3.4%6月(予測)▲0.4%

 7(予測)+2.9%

・輸送機械は前月比で、4月▲0.3%5+0.8%6月(予測)+4.2%7(予測)+3.1%

○ 化学・化学製品の生産は減少した。

○ 乗用車はおおむね横ばい、軽乗用車は、このところ減少している。

 

外需

   輸出はおおむね横ばいである。

○ 旅行収支の受取は前月比で、4月▲4.9%5月▲0.3%

   ・訪日中国人一人当たりの消費額は減少傾向にある。

○ 訪日外客数は前月比で、4月▲4.1%5月▲2.4%6+7.1%

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)は3か月連続の低下となり、季節調整値は1か月ぶりの低下となった。

・現状判断DIは前月差で、3+0.84月▲1.95月▲0.56月▲1.8

   ・現状・季節調整値DIは前月差で、3月▲3.04月▲1.65+0.66月▲0.7

○ 景気の先行き判断(DI)は1か月ぶりの低下となり、季節調整値も1か月ぶりの低下となった。

   ・先行き判断DIは前月差で、3月▲1.54月▲1.25+1.86月▲5.8

  ・先行き・季節調整値DIは前月差で、3月▲0.44月▲2.45+1.76月▲4.9

 

中国経済の動向  

○ 中国では、景気は緩やかに減速している。

   ・164-6月期成長率は、6.7%である。

○ 固定資産投資は、減少している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は回復が続いている。

○ 消費は増加した。

○ 賃金の伸びは、おおむね横ばいとなった。

 

ヨーロッパ経済の動向  

○ EU離脱問題に伴う不透明感の影響に留意が必要である。

○ イギリスの消費者信頼感は、大幅に下落した。

★ EU条約に基づく、イギリスのEU離脱手続き(見込み)

  ・ 英国がEU(欧州理事会)に離脱の意思を通知

  ・ 英国とEUとの将来的な関係の枠組みを考慮しつつ、   英国の離脱に関する取決めを定める

   協定を交渉、締結

  ・ 締結された協定の発効日、又は、それが存在しない場合は離脱通知から2年後、EU条約の

   英国への適用を終了(離脱)

 

   (※ただし、欧州理事会での全会一致により交渉期間を2年以上に延長可)