農林水産大臣退任にあたって

8月4日(木)

農林水産省にて

千代田区霞が関

8月3日の臨時閣議で農林水産大臣の辞表を提出をしてまいりました。

300余日の農林水産大臣としての任務でありましたが、多くの職員の皆さんに支えられて、また関係団体の皆様の御指導もいただきながら楽しく任務を遂行できたことは、大変ありがたいことでした。

後顧の憂い無く大臣として農林水産省を去ることができますことも、大変感謝を申し上げます。

 

私は、昨年の10月7日に大臣を拝命いたしました。

その2日前がTPPの大筋合意がなされた日でございましたが、保秘義務のかかった交渉でございましたから、国民の皆さんにTPPの合意内容をしっかりとお伝えをするということが最も大事なことだと思い、大臣就任と同時に、職員の皆さんと一緒になって、国民の皆様への説明に努力をしてまいりました。

また、TPP政策大綱をまとめさせていただき、それに基づいて安倍総理から平成27年度補正予算のご指示もございましたので、TPP対応を含めた補正予算を編成し成立をさせ、予算の配分をさせていただきました。

TPPにつきましては、多くの国民の皆様に正しく理解が進んでいるように思いますけれども、まだ一部、国民の皆様の中には誤解に基づく御批判もあることも承知をしております。今後とも国民の皆様へ丁寧な説明を重ねていくことは大事なことなのではないかと考えております。

 

また、あってはならないことでございましたけれども、熊本地震が発生いたしました。

我々はまず食料の供給をするということが任務でございましたので、直ちに局長を中心とする対策本部を熊本に作らせていただき、食料の供給に努力をしてきたところでありますが、多くの食料関係業界の御理解と御協力もいただき、また、民間の輸送関係の企業の御協力もいただき、自衛隊の方々の御協力もいただいて、なんとか食料を供給をするというところは役割が果たせたのではないかと考えております。

現場の視察も何度となくさせていただきました。最初は正直に申し上げて、この現場は本当に復旧できるんだろうかなと思う現状でありましたが、今までの長い経験を農林水産省は持っておりますので、今までの経験を活かしてやれば大丈夫だと、そのことをしっかりと認識することができましたし、多くの被災者の方々や土地改良区の理事長をはじめ、農協の皆様等々よく御説明を申し上げて復旧に取り組んでまいりました。

耕作できない面積がどれくらいになるのかということを大変案じておりましたが、水がどうしても間に合わないところは、水稲から大豆や麦に代えていただく対応を取っていただいて、不耕作地は100㏊から300㏊ぐらいで収まるのではないかというところまでこぎ着けることができました。

職員の皆さんも本当によく頑張ってくれたと思っています。協議会を回りながらいろいろ御説明を申し上げて積極的に地域のいろんな会議に出席をさせていただいて努力をしてきた成果であったと思いますが、私は最後に熊本にお邪魔をさせていただいて、多くの農家の皆様や漁業者の皆様が再生産に意欲を持って取り組んでおられることを、大変ありがたいことだと思いますし、力強く思いました。

今後とも、農水省としてできるだけのお支えをしていくということが大事なことだと考えております。

 

大臣を去るに当たりまして少し気がかりなのは、東日本大震災でございます。

今、避難されていた方々が自分たちの住んでいた村に戻れる地域が広がりつつあります。そこに戻っていただいて、どう営農を再開をしていただくのかということが大変大事な課題でもあります。しかし、5年が経過をしておりますから、お互いに5歳年を取ったことになります。現場の皆様が高齢化されたことに非常に御心配をしておられますし、また、若い人たちが離農していくのではないかという御心配があることも気になるところでありますが、東日本大震災の復旧・復興というのは、やはり農業者の皆様や水産業を営んでおられる皆様が再生産に意欲を持って取り組んでいただくようになって初めて復興がなしえたということになるのだろうと思いますので、このことは引き続きみんなで努力をしなければならない課題なのではないか、そう考えております。

 

また、農政新時代の初年度でございましたから、農政新時代とはどういう時代を目指しているのか等々についてもかなりキャラバンをやらせていただいて、多くの皆様に御参加をいただきました。私も現地の意見交換会に何回か出席をさせていただきました。

今後は攻めの農林水産業の実現に向けて頑張らなければならないことはそのとおりであります。特に農林水産物・食品の輸出拡大をさらに図っていくということが、大事なことだなというふうに思っております。また、中間管理機構を活用した農地の蓄積・集約化ということもさらに進めていかなければなりません。

最も大事なことは、米政策を推進をしていくということだと思っています。30年度から制度が変わりますけれども、しかし今が一番大事な助走の期間でして、おかげさまで飼料米等への転作が順調に進んでおりますので、このまま平成30年度を越えて31年、32年という形で需要と供給のバランスの取れた主食米の生産というものができるようにしていくということが米政策にとっては大事なことなのではないかと思っておりますが、助走期間としての期間、しっかりした対応をできたのではないかとそう思っております。我々が目指しますのは、水田フル活用という理念でございますから、そこがぶれることのないように頑張っていくということが大事なことだなというふうに考えております。

 

私が大臣に就任させていただいて農林水産業の団体の皆様との懇談会を定期的に開かせていただくということを申し上げ、何回か開かせていただきました。事が起きてから議論をするのではなくて、お互いにどういう問題があるのか、お互いに将来にどういう不安があるのか等々について前向きな議論ができたことは大変ありがたいことだったと思います。

やはり、第一次産業に関係をする団体の皆さんとの意思疎通ということは非常に大事なことだと思っております。それぞれの立場を考えながら絶え間なく前進をしていくということが大事なことであろうというふうに思っております。

 

国際案件につきましては、G7の農業大臣会議を新潟で開催をさせていただき、議長を務めさせていただくという栄に浴しましたこと、大変ありがたいことだったと思っております。

また、新潟宣言を採択をしていただき、農村地域の活性化、食料供給のシステムの強化改善、持続可能な農林水産業の確立等G7として合意ができて宣言が採択をできたことは非常に意義があったと思っています。また、G20で閣僚コミュニケを採択をできまして、我々からはイノベーションやバリュチェーンの推進等について意見を申し上げたところでありますが、そのことが採択されたということも大変意義のあることだったと思っております。

 

第190回の通常国会におきましては、「漁業経営に関する保証制度の改善のための漁船損害等補償法及び漁業災害補償法の一部を改正する法律」が成立をいたしまして、全国的な枠組みの中で安心をしていただける制度ができるという大変意義のある法律が成立できたと考えています。また、「森林法等の一部を改正する法律」の成立をみましたことも日本の今後の林業、そしてどう森林を守り、発展させていくかという視点からも大事な法律が成立ができたと思っています。

また、予算関係では平成27年度の補正予算として農林水産関係で4,008億円、平成28年度の当初予算として2兆3,000億円、また平成28年度の第一次補正として熊本地震の災害復旧予備費の創設ができましたし、また、8月2日の閣議において、平成28年度第二次補正についての方向付けができましたことも大変意義があったと考えております。

 

農林水産大臣在任中、23の都道県を回らせていただき、27回ほど地方に出張させていただけたということが、一番経験としてはありがたいことでございました。

その中でいろんな良いものも見ましたし、また、少し気になるところもありました。こういうところを、私と一緒に見た職員の方々が問題意識を持って、今からしっかり頑張っていただけるのではないかなと思っております。

 

今度とも、自民党の一国会議員として、微力を尽くしてまいります。ご指導ご鞭撻を賜りますよう、引き続き、宜しくお願い申し上げます。

 

                                              衆議院議員  森山 ひろし

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