月例経済報告

 

月例経済報告(H28.11.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。

・消費者物価は、横ばいとなっている。

〈先行き〉              

先行きについては、雇用・所得環境の改善傾向が続くなかで、各種政策の

効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待される。ただし、海外経済での不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。

 

 個人消費の動向

 ○ 個人消費は、総じて見れば底堅い動きである。

   ・ 消費総合指数は、前月比で、6+0.0%7+0.5%8月▲0.9%9+0.3%

   ・ 消費者態度指数(DI)は、前月差で、7月▲0.58+0.79+1.010月▲0.7

   総雇用者所得は、緩やかに増加してきている。

9月の名目総雇用者所得は前年比で+1.5%、実質総雇用者所得は前年比で+2.8%

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、このところ横ばいとなっている。

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、6月▲1.3%7+0.1%8月▲4.9%9+3.0%

     ・持家着工数は前月比で、6+2.9%7+1.3%8月▲3.1%9月▲4.6%

・貸家着工数は前月比で、6月▲2.3%7+6.8%8月▲1.1%9+0.4%

・分譲着工数は前月比で、6月▲6.2%7月▲8.4%8月▲12.4%9+24.1%

   公共投資は、底堅い動きをみせている。

・請負金額は前月比で、 7月▲1.1%(出来高▲0.8%)、 8+8.1%(出来高▲1.3%)、

 9+5.6%(出来高±0%)、10月▲15.5%

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は改善している。

   ・有効求人倍率は、71.3781.3791.38(正社員は、0.88)で、1991年8月以来

    251カ月ぶりの高水準となった。

・完全失業率は、73.0%83.1%93.0%で、19955月以来、約21年ぶりの低水準

 となった。

 

物価の動向  

    消費者物価は、横ばいとなっている(10月総合前月比+0.7%)。

○ 消費者物価上昇率(消費税抜き)は、10月総合前年比+0.1%

   ・台風や日照不足の影響による生鮮食品価格の高騰が上昇に寄与し、石油製品の下落が下降に寄与した。

 

投資・収益・業況

○ 業況は、一部に慎重さがみられるものの、おおむね横ばいとなっている。

・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、6+69+6、先行き+6

    「大企業・非製造業」は、6+199+18、先行き+16

    「中小企業・製造業」は、6月▲59月▲3、先行き▲5

    「中小企業・非製造業」は、6月±09+1、先行き▲2

○ 収益は、企業収益は高い水準にあるものの、改善に足踏みがみられる。

○ 設備投資は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

 

生産

○ 生産は、このところ持ち直しの動きがみられる。

・鉱工業生産は、前月比で、8+1.3%9+0.6%10月(予測)+1.1%11(予測)+2.1%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、8+2.2%9+3.8%10月(予測)+3.4%

 11(予測)+4.9%

・電子部品・デバイスは前月比で、8+6.2%9月▲2.7%10月(予測)+6.2%

 11(予測)+4.8%

・輸送機械は前月比で、8月▲1.7%9+4.5%10月(予測)+1.3%11(予測)+1.8%

 

外需

   輸出・輸入ともに、おおむね横ばいとなっている。

   ・日本の全体の輸出数量は前月比で、+0.5%

○ 貿易サービス収支の黒字は、横ばいとなっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月連続の上昇となった。

   ・現状・季節調整値DIは前月差で、7+2.58+2.89+0.610+3.0

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月連続の上昇となった。

  ・先行き・季節調整値DIは前月差で、7+6.98+2.39+1.110+1.5

 

中国経済の動向  

○ 中国では、各種政策効果もあり、景気はこのところ持ち直しの動きがみられる。

  ・7-9月期のGDP成長率は前年同期比で、+6.7%

○ 輸出はこのところ弱い動きである。

○ 消費は堅調に増加しているが伸びがやや低下、生産は伸びがおおむね横ばいとなっている。

○ 固定資産投資は、このところやや持ち直しの動きがみられる。

○ 消費者物価上昇率は、おおむね横ばいとなっている。

 

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は回復が続いている。

  ・7-9月期のGDP成長率は、前期比年率+2.9%

○ 消費は増加している。

○ 住宅着工はおおむね横ばい、設備投資はこのところ持ち直している。

○ 雇用者数は増加しており、失業率は低水準でおおむね横ばいとなっている。

○ 生産は、持ち直しの動きがみられる。

 ★ トランプ次期米国大統領が選挙期間中に表明した経済関連の政策

  ・税制改革、通商政策改革、規制緩和等を通じ、4%成長、2,500万人以上の雇用創出を実現

  ・税制改革(個人所得税の税率区分を7段階から3段階に簡素化、法人税率は35%から15%に引下げ)

  ・PPPの活用等により、10年間で1兆ドルのインフラ投資の推進

  ・メキシコ国境に壁を建設するなど、移民政策を厳格化

  ・TPPからの脱退、NAFTAの再交渉等、通商政策を見直し

  ・オバマ政権により導入された医療保険制度改革法の廃止

 

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏の景気は、企業部門の一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復し、イギリスの景気は回復した。

   ・7-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で、+1.4%(イギリスは+2.0%

 ★欧州の今後の主な政治日程

 ◎2016

  ・124日 イタリア憲法改正の国民投票(上院の立法に関する権限縮小等を問う)

  ・124日 オーストリア大統領選挙(5月のやり直し選挙)

 ◎2017

  ・1月頃  英国最高裁の判決(EU離脱手続に係る議会承認の必要性の有無)

  ・315日 オランダ総選挙

  ・3月末日までに、英国のEU離脱通告

  ・423日 フランス大統領選挙(第1回投票)

  ・57日 フランス大統領選挙(決戦投票)

  ・8月~10月 ドイツ総選挙