月例経済報告(H28.12.21) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、一部に改善の遅れもみられるが、緩やかな回復基調が続いて いる。 〈先行き〉 先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の 効果もあって、緩やかに回復していくことが期待される。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。 |
個人消費の動向
○ 個人消費は、持ち直しの動きがみられる。
・ 消費総合指数は、前月比で、7月+0.5%、8月▲0.9%、9月+0.8%、10月+0.4%。
・ 消費者態度指数(DI)は、前月差で、8月+0.7、9月+1.0、10月▲0.7、11月▲1.4。
・ 10月の実質総雇用者所得は前年比で+2.5%。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、このところ横ばいとなっている。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、7月+0.1%、8月▲4.9%、9月+3.0%、10月▲0.1%。
・持家着工数は前月比で、7月+1.3%、8月▲3.1%、9月▲4.6%、10月±0.0%。
・貸家着工数は前月比で、7月+6.8%、8月▲1.1%、9月+0.4%、10月▲5.1%。
・分譲着工数は前月比で、7月▲8.4%、8月▲12.4%、9月+24.1%、10月▲3.1%。
○ 公共投資は、底堅い動きをみせている。
・請負金額は前月比で、 8月+8.1%(出来高▲1.3%)、9月+5.6%(出来高+0.3%)、
10月▲15.5%(出来高▲1.3%)、11月▲4.8%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢は改善している。
・有効求人倍率は、8月1.37、9月1.38、10月1.40(正社員は、0.89)で、1991年8月以来
25年2カ月ぶりの高水準となった。
・完全失業率は、8月3.1%、9月3.0%、10月3.0%で、1995年5月以来、約21年ぶりの低水準
となった。
物価の動向
○ 消費者物価は、横ばいとなっている(10月総合前月比+0.7%)。
○ 消費者物価上昇率(消費税抜き)は、10月総合前年比+0.1%。
投資・収益・業況
○ 業況は、緩やかに改善している。
・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、6月+6、9月+6、12月+10、先行き+8。
「大企業・非製造業」は、6月+19、9月+18、12月+18、先行き+16。
「中小企業・製造業」は、6月▲5、9月▲3、12月+1、先行き▲4。
「中小企業・非製造業」は、6月±0、9月+1、12月+2、先行き▲2。
○ 収益は、企業収益は高い水準にあるものの、改善に足踏みがみられる。
○ 設備投資は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。
・7-9月期の規模別業種別設備投資は前期比で、
「全規模全産業」+0.4%、
「大中堅製造業」▲4.5%、
「大中堅非製造業」+6.6%、
「中小製造業」+5.4%、
「中小非製造業」▲7.4%。
生産
○ 生産は、このところ持ち直してきている。
・鉱工業生産は、前月比で、9月+0.6%、10月±0.0%、11月(予測)+4.5%、12月(予測)▲0.6%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、9月+3.8%、10月▲0.6%、11月(予測)+12.2%、
12月(予測)▲4.8%。
・電子部品・デバイスは前月比で、9月▲2.7%、10月+4.6%、11月(予測)+1.2%、
12月(予測)+3.4%。
・輸送機械は前月比で、9月+4.5%、10月▲0.6%、11月(予測)+1.3%、12月(予測)+2.2%。
外需
○ 輸出は持ち直し、輸入はおおむね横ばいとなっている。
・輸出は持ち直しの動きがみられる。
・アジア向け電子部品・半導体等製造装置の輸出の伸びが上昇に寄与した。
○ 貿易・サービス収支の黒字は、増加傾向にある。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、5か月連続の上昇となった。
・現状・季節調整値DIは前月差で、8月+2.8、9月+0.6、10月+3.0、11月3.2。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、5か月連続の上昇となった。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、8月+2.3、9月+1.1、10月+1.5、11月+1.6。
アジア経済の動向
○ 中国では、各種政策効果もあり、景気はこのところ持ち直しの動きがみられる。
・輸出はこのところ弱い動きである。
・消費は堅調に増加しているが伸びがやや低下、生産は伸びがおおむね横ばいとなっている。
・固定資産投資ののびは、このところやや持ち直しの動きがみられる。
・消費者物価上昇率は、おおむね横ばいとなっている。
〇 韓国では、景気は持ち直しの動きが一段と緩やかになっている。
〇 台湾・タイでは、景気はこのところ持ち直しの動きがみられる。
〇 インドネシアでは、景気は持ち直しの動きが緩やかになっている。
〇 インドでは、景気は内需を中心に緩やかに回復している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は回復が続いている。
・7-9月期のGDP成長率は、前期比年率+3.2%。
○ 消費は増加、自動車販売台数は高水準でおおむね横ばいとなっている。
○ 住宅着工はおおむね横ばい、住宅価格は緩やかに上昇している。
〇 設備投資は、このところ持ち直している。
○ 雇用者数は増加しており、失業率はこのところ低下し、賃金の伸びは高まっている。
○ 生産は、持ち直しの動きがみられる。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏の景気は、企業部門の一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復し、イギリスの景気は回復した。
・7-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で、+1.4%(イギリスは+2.0%)