月例経済報告

 

月例経済報告(H30.5.23)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに回復している。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の

効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。

2018年1-3GDP1次速報)

○ 2018年1-3月期の実質成長率は前期比▲0.2%(年率▲0.6%)となった。

    これまで8四半期連続で前期比プラス成長が続いた後のマイナスであり、「景気は緩やかに回復

    している」との見方に変わりはない。

○ 2018年1-3月期の個人消費は、横ばいとなった。

   ・ 天候不順による野菜価格の上昇、前期に増加したスマートフォン需要の反動減などが要因と

    なったとみられる。

○ 2017年度の実質成長率は+1.5%と3年連続のプラス成長となった。

   ・ 名目総雇用者所得は、1997年以来、21年ぶりの高い伸びとなっている。

   ・ 海外経済についても、緩やかな回復が続いており、企業の景況感も堅調。

     IMFやOECDの予測では、今後2年間の世界経済の実質成長率は+3.9%と堅調な成長

    になると予測されている。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

   ・ 消費総合指数は、前月比で、12月▲1.0%、1月▲0.0%2+0.4%3月▲0.4%

   ・ 消費者態度指数(DI)は前月差で、12月±0%1月±0%2月▲0.3%3月±0%4月▲0.7%

・ 3月の実質総雇用者所得は前期比で+2.1%

※景気の状況判断

 ●やや良

  ・スーパー(北海道)……気温が上昇し、春らしい季節となったことで春物衣料を中心に

                 来客数が増加傾向となっている。

  ・一般レストラン(北陸)……春になり、大きな学会の開催や新しい施設のオープンなど、

                  人が動くシーンが多くなってきている。春休みやゴールデン

                  ウィークなどの観光シーズンによって県外客が多くなり、来客

                  数が前年以上に増えている。

 ●不変

  ・百貨店(近畿)……季節の変化に伴い、衣料品を中心に消費が活発化している。好調な

               インバウンドとの両輪で、景況感は良くなっている。

  ・商店街(九州)……天候も良くなり、野菜類の値段が下がったが、魚類はまだ高い状態

              である。加えて、大手企業が4月から食材の値上げをしていることが

              家計を圧迫しているとみられる。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、弱含んでいる。

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、12月▲0.7%1月▲3.1%2月▲1.3%3月▲1.5%

・持家着工数は前月比で、12月▲0.1%1+0.5%2月▲0.6%3月▲0.6%

・貸家着工数は前月比で、12月▲3.5%1月▲2.2%2月▲0.9%3+0.6%

・分譲着工数は前月比で、12+0.2%1月▲4.9%2月▲5.6%3月▲1.2%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前年同月比で、12月▲0.2%(出来高+1.0%)、 1月▲11.5%(出来高+0.2%)、

2月▲4.0%(出来高+0.1)、3+7.2%(出来高+0.1%)、4+21.4%

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、着実に改善している。

   ・有効求人倍率は、111.56121.5911.5921.5831.59

   (正社員は1.08)となった。

   ・完全失業率は、112.7%122.8%12.4%22.5%32.5%となった。

   

物価の動向  

   消費者物価は、このところ緩やかに上昇している(4月総合前月比▲0.4%)。

○ 消費者物価上昇率(消費税抜き)は、4月総合前年比+0.6%

           

投資・収益・業況

○ 業況は、改善している。

・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20176+179+2212+2620183+246+20

    「大企業・非製造業」は、20176+239+2312+2520183+236+20

    「中小企業・製造業」は、20176+79+1012+1520183+156+12

    「中小企業・非製造業」は、20176+79+812+920183+106+5

○ 企業収益は、改善している。

  ・20181-3期の上場企業の経常利益は、前年同期比+7.7となった。

  ◎主な増益要因

    <製造業>前年同期比+6.1%

    ①輸送用機器:生産体制の革新

    ②化学:電機機器材料、化粧品堅調

    ③医薬品:新薬開発等

   <非製造業>前年同期比+10.4%

    ①情報通信:データ通信需要拡大

    ②商社:資源価格上昇

    ③不動産:オフィスビル等の需要堅調

○ 設備投資は、緩やかに増加している。

 

生産

○ 生産は、緩やかに増加している。

・鉱工業生産指数は前月比で、1月▲4.5%2+2.0%3+1.4%4月(予測)+3.1

 5月(予測)▲1.6%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、12+5.0%1月▲7.8%2+3.6%3+0.3%

・電子部品・デバイスは前月比で、12+3.4%1月▲6.3%2+4.8%3+2.5%

・輸送機械は前月比で、12+6.4%1月▲14.1%2+10.3%3+0.8%

 

外需

輸出は持ち直し、輸入は持ち直しの動きが見られる。

   ・世界的な半導体需要の増加が、日本のアジア向け輸出の伸びに寄与した。

○ 貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2カ月連続で上昇した

  ・現状・季節調整値DIは前月差で、12月▲0.21月▲4.02月▲1.33+0.34+0.1

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、6カ月ぶりに上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、12月▲0.71月▲0.32月▲1.03月▲1.84+0.5

 

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は持ち直しの動きが続いている。

   ・実質GDP成長率は、20181-3月期6.8%

・輸入は高い伸びとなっており、輸出も堅調に推移している。

・乗用車販売台数は、減税措置終了後も堅調に推移している。

・雇用は改善が続いている(1-3期求人倍数1.23倍、都市部登録失業率3.89%)。

・消費は伸びがおおむね横ばいとなっている。

・生産は伸びがおおむね横ばいとなっている。

・固定資産投資は、伸びが低下している。

・消費者物価上昇率は、おおむね横ばいとなっている。

〇 韓国では、景気は緩やかに回復しつつある。

○ 台湾では、景気は緩やかに回復している。

○ タイ・インドネシアでは、景気は持ち直している。

〇 インドでは、景気は内需を中心に緩やかに回復している。

 

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は着実に回復が続いている。

  ・20181-3月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+2.3%

〇 雇用者数は増加しており、失業率は低下傾向にある。

4月の失業率は、3.9%(約17年振りに4%を下回る。また、広義の失業率も金融危機直前

 の最低水準を下回る)

〇 コア物価上昇率は、緩やかに上昇した。

○ 小売売上高は、18年1~3月は伸びが鈍化するも4月は堅調に増加している。

○ 製造業の景況指数は堅調に推移している。

○ 生産は、緩やかに増加している。

○ 財輸出は、緩やかに増加している。

 

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は緩やかに回復している。

ドイツでは、景気は緩やかに回復している。

イギリスは、景気回復は緩やかになっている。

   ・20181-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で、+1.6%(イギリスは+0.4%)。

   ・大寒波やインフルエンザ、ストライキにより、1-3月期成長率が下押しされた。

   ・ドイツは、労働力・設備・原材料の不足から、供給制約に直面している。

〇 個人消費は、ユーロ圏では増加した。

  イギリスは、このところ、増加のテンポが緩やかになっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏、イギリスともにおおむね横ばいとなった。

   ・消費者物価指数(コア)は前年比で、ユーロ圏1.1%4月)、イギリス2.4%3月)。

○ 輸出は、ユーロ圏では持ち直し、イギリスでは持ち直しの動きがみられる。

○ 設備投資は、ユーロ圏は緩やかに増加、イギリスでは横ばいとなった。

○ 失業率は、ユーロ圏では低下傾向にあるが、イギリスではおおむね横ばいとなった。