月例経済報告(H30.8.29) 基調判断 〈現状〉 ・景気は、緩やかに回復している。 〈先行き〉 ・先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策 の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。また、平成30年7月豪雨の 経済に与える影響等に留意する必要がある。 |
2018年4-6月期GDP1次速報
○ 2018年4-6月期の実質成長率は、前期比+0.5%(年率+1.9%)となり、前期のマイナスから再び
プラス成長に戻った。名目GDPは、551兆年と過去最高を更新した。
○ 個人消費が前期比プラス、設備投資は、7四半期連続のプラスとなり、民間需要の増加に支え
られた成長となっている。
○ 今期の設備投資額は、これまで最高であった1997年10-12月期の水準を超えて過去最高
となった。
・ 今年度の設備投資計画をみると、製造業では、輸送用機械・化学・電気機械等中心に、
電機自動車や自動運転等に向けた投資が計画されている。
非製造業では、運輸・不動産・卸売・小売等において、インバウンド需要や都市開発、人手
不足への対応といった投資が見込まれている。
個人消費の動向
○ 個人消費は、持ち直している。
・ 消費総合指数は、前月比で、3月▲0.7%、4月+1.2%、5月▲0.3%、6月+0.2%。
・ 消費者態度指数(DI)は前月差で、3月±0%、4月▲0.7%、5月+0.2%、6月▲0.1%、7月▲0.2%。
・ 6月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.8%。
住宅投資・公共投資
○ 住宅建設は、おおむね横ばいとなった。
・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、3月▲1.5%、4月+5.1%、5月+2.5%、6月+0.7%。
・持家着工数は前月比で、3月▲0.6%、4月+0.3%、5月+2.4%、6月▲0.1%。
・貸家着工数は前月比で、3月+0.6%、4月+3.1%、5月▲0.4%、6月+1.2%。
・分譲着工数は前月比で、3月▲1.2%、4月+10.8%、5月+8.7%、6月▲1.6%
○ 公共投資は、底堅く推移している。
・請負金額は前年同月比で、3月+7.2%(出来高±0.0%)、4月+21.4%(出来高+0.5%)、
5月▲5.9%(出来高▲0.3%)、6月▲7.1%(出来高▲0.2%)、7月▲2.4%。
雇用・賃金の動向
○ 雇用情勢が着実に改善する一方、人手不足感が高い水準となっている。
・有効求人倍率は、2月1.58、3月1.59、4月1.59、5月1.6、6月1.62
(正社員は1.13)となった。
・完全失業率は、2月2.5%、3月2.5%、4月2.5%、5月2.2%、6月2.4%となった。
物価の動向
○ 消費者物価は、このところ上昇テンポが鈍化している。(7月総合前月比+0.3%)。
○ 消費者物価上昇率(消費税抜き)は、7月総合前年比+0.8%。
投資・収益・業況
○ 業況は、おおむね横ばいとなった。
・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、
「大企業・製造業」は、2017年9月+22、12月+26、2018年3月+24、6月+21、9月+21。
「大企業・非製造業」は、2017年9月+23、12月+25、2018年3月+23、6月+24、9月+21。
「中小企業・製造業」は、2017年9月+10、12月+15、2018年3月+15、6月+14、9月+12。
「中小企業・非製造業」は、2017年9月+8、12月+9、2018年3月+10、6月+8、9月+5。
○ 企業収益は、改善している。
・経常利益(2018年4-6月期)は、前年比+16.4%となった。
・製造業では、電気機器(半導体)、石油石炭製品(石油価格上昇)、機械(建設・産業用機械)が
非製造業では、情報通信(データ通信関連サービス)、商社(資源価格上昇)、人材関連
サービス業の堅調が増収に寄与した。
○ 設備投資は、緩やかに増加している。
生産
○ 生産は、緩やかに増加している。
・鉱工業生産指数は前月比で、5月▲0.2%、6月▲1.8%、7月(予測)+2.7%、8月(予測)+3.8%。
・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、3月+0.3%、4月+1.3%、5月+0.5%、6月▲3.9%。
・電子部品・デバイスは前月比で、3月+2.5%、4月▲5.7%、5月+3.4%、6月+2.7%。
・輸送機械は前月比で、3月+0.8%、4月+3.9%、5月▲5.9%、6月+0.6%。
外需
○ 輸出・輸入ともにこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。
○ 貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。
景気ウォッチャー調査
○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、1カ月ぶりに下降した。
・現状・季節調整値DIは前月差で、3月+0.3、4月+0.1、5月▲1.9、6月+1.0、7月▲1.5。
○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、1カ月ぶりに下降した。
・先行き・季節調整値DIは前月差で、3月▲1.8、4月+0.5、5月▲0.9、6月+0.8、7月▲1.0。
○ 7月の景気ウォッチャーでは、猛暑等によるマイナスの影響がみられる。
北関東地区コンビニ(やや良)……暑さのせいもあり、前年より売上はプラスで推移している。
特に、ジュース、アイス等の夏物商材が前年を大きく超えている。
南関東地区衣料品専門店(不変)…連日の猛暑と台風の予想で、外出を控える人が多く、日中も人が
歩いていない状況が続き、来客数が激減している。
近畿地区百貨店(やや悪)………前月の大阪北部地震に引き続き、今月は平成30年7月豪雨の
影響で前年比は大幅に悪化した。梅雨明け後は極端な暑さが
続いており、入店客数は低迷している。
北陸地区スーパー(やや悪)……平成30年7月豪雨と中旬以降の気温上昇によって、野菜や果物
の価格が高騰している。来客数は減少し、購入単価が増加して
いる。
(参考)景気ウォッチャー調査における「平成30年7月豪雨」の影響
★地域別現状判断DI(上昇-下降)では、中国地方で41.2(前月差▲6.5)、四国で44.1(前月差▲5.6)となるなど、
豪雨被害の影響が比較的大きかった地域において、大幅な低下がみられた。
アジア経済の動向
○ 中国では、景気は持ち直しの動きが続いている。
・実質GDP成長率は、2018年4-6月期6.7%。
・輸入は高い伸びとなっており、輸出も増加している。
・乗用車販売台数は、伸びがおおむね横ばいとなった。
・消費は伸びがおおむね横ばいとなっている。
・生産は伸びがおおむね横ばいとなっている。
・固定資産投資は、伸びが低下している。
・消費者物価上昇率は、おおむね横ばいとなっている。
〇 韓国・台湾・インドネシア・タイでは、景気は緩やかに回復している。
〇 インドでは、景気は内需を中心に回復している。
アメリカ経済の動向
○ アメリカでは、景気は着実に回復が続いている。ただし、今後の貿易動向に注意が必要である。
・2018年4-6月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+4.1%。
〇 雇用者数は増加しており、失業率は低下傾向にある。
・7月の失業率は、3.9%となった。
〇 コア物価上昇率は、緩やかに上昇している。
○ 消費は堅調な所得環境に支えられ増加、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。
○ 製造業の景況指数は堅調に推移している。
○ 生産は、緩やかに増加している。
○ 財輸出は、緩やかに増加している。
○ 設備投資は、緩やかに増加している。
ヨーロッパ経済の動向
○ ユーロ圏では、景気は緩やかに回復している。
ドイツでは、景気は緩やかに回復している。
イギリスは、景気回復は緩やかになっている。
・2018年4-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で、+1.5%(イギリスは+1.5%)。
〇 金融政策は、ユーロ圏は据え置き、英国は利上げした。
○ 個人消費は、ユーロ圏では増加した。
イギリスは、緩やかながら増加した。
○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏はおおむね横ばい、イギリスはこのところ低下している。
・消費者物価指数(コア)は前年比で、ユーロ圏2.1%(7月)、イギリス2.5%(7月)。
○ 輸出は、ユーロ圏では持ち直しているが、このところ一服感がある。
イギリスではこのところおおむね横ばいとなった。
○ 設備投資は、ユーロ圏は緩やかに増加、イギリスでは横ばいとなった。
○ 失業率は、ユーロ圏では低下傾向にあるが、イギリスではおおむね横ばいとなった。