月例経済報告

 

月例経済報告(H30.9.14)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに回復している。

〈先行き〉              

・先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の

効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、海外経済の不確実性、金融資本市場の

変動の影響に留意する必要がある。また、相次いでいる自然災害の経済に

与える影響等に留意する必要がある。

 

2018年4-6月期GDP2次速報

○ 20184-6月期のGDP2次速報値では、設備投資が上方改定されたことなどから、実質成長率 

  は、前期比+0.7%(年率+3.0%)となり、23カ月ぶりの高い成長率となった。

○ 前期1-3期の一時的なマイナスから再びプラス成長に戻り、個人消費や設備投資といった民間

  需要が主導する成長し、名目GDPは553兆円と過去最高を更新した。

 ☆ 米中間の通商問題の動向と日本への影響。

  ●本年7月から、米中2国間で追加関税・対抗措置がとられている。この影響もあり、中国の製造業

   における輸出入の業況判断は、このところ慎重になっている。

  ●中国からアメリカへのモノの輸出の5割がスマートフォンやコンピュータ等であり、日本から中国

   には、その部品となる集積回路や生産用機械等を輸出。こうした日本・中国・アメリカの貿易構造

   を踏まえ、

  ①グローバルなサプライチェーンを通じた影響、

  ②中国のマクロ経済動向が日本経済に与える影響

   に留意しておく必要がある。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。ただし、自然災害の影響に注意する必要がある。

   ・ 消費総合指数は、前月比で、4+1.2%5月▲0.3%6+0.4%7月▲0.8%

   ・ 消費者態度指数(DI)は前月差で、4月▲0.7%5+0.2%6月▲0.1%7月▲0.2%8月▲0.2%

・ 7月の実質総雇用者所得は、前期比で▲1.2%

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、おおむね横ばいとなった。

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、4+5.1%5+2.5%6+0.7%7月▲1.2%

・持家着工数は前月比で、4+0.3%5+2.7%6月▲6.9%7+3.8%

・貸家着工数は前月比で、4+3.1%5月▲3.4%6月▲1.1%7+2.0%

・分譲着工数は前月比で、4+10.8%5+2.4%6月▲20.0%7+14.4%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前年同月比で、4+21.4%(出来高+0.2%)、5月▲5.9%(出来高▲0.3%)、

 6月▲7.1%(出来高▲0.2%)、7月▲2.4%8+1.3%

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢が着実に改善する一方、人手不足感が高い水準となっている。

   ・有効求人倍率は、31.5941.5951.661.6271.63

   (正社員は1.13)となった。

   ・完全失業率は、32.5%42.5%52.2%62.4%72.5%となった。

   

物価の動向  

   消費者物価は、このところ上昇テンポが鈍化している。(7月総合前月比+0.1%)。

○ 消費者物価上昇率(消費税抜き)は、7月総合前年比+0.8%

           

投資・収益・業況

○ 業況は、おおむね横ばいとなった。

・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20179+2212+2620183+246+219+21

    「大企業・非製造業」は、20179+2312+2520183+236+249+21

    「中小企業・製造業」は、20179+1012+1520183+156+149+12

    「中小企業・非製造業」は、20179+812+920183+106+89+5

○ 企業収益は、改善している。

○ 設備投資は、緩やかに増加している。

 

生産

○ 生産は、緩やかに増加している。

・鉱工業生産指数は前月比で、6月▲1.8%7月▲0.7%8月(予測)+5.6%9月(予測)+0.5%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、4+1.3%5+0.5%6月▲3.9%7月▲2.1%

・電子部品・デバイスは前月比で、4月▲5.7%5+3.4%6+2.7%7+1.8%

・輸送機械は前月比で、4+3.9%5月▲5.9%6+0.6%7月▲4.2%

 

外需

輸出・輸入ともにこのところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。

○ 貿易・サービス収支の黒字は、減少傾向にある。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、1カ月ぶりに上昇した

  ・現状・季節調整値DIは前月差で、4+0.15月▲1.96+1.07月▲1.58+2.1

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、1カ月ぶりに上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、4+0.55月▲0.96+0.87月▲1.08+2.4

 

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は持ち直しの動きが続いている。ただし、今後の貿易動向に注意が必要である。

   ・実質GDP成長率は、20184-6月期6.7%

・輸入は高い伸びとなっており、輸出も堅調に増加している。

・乗用車販売台数は、伸びがおおむね横ばいとなった。

・消費は伸びがおおむね横ばいとなっている。

・生産は伸びがおおむね横ばいとなっている。

・固定資産投資は、伸びが低下している。

・消費者物価上昇率は、おおむね横ばいとなっている。

〇 韓国・台湾・インドネシア・タイでは、景気は緩やかに回復している。

〇 インドでは、景気は回復している。

 

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は着実に回復が続いている。ただし、今後の貿易動向に注意が必要である。

  ・20184-6月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+4.2%

〇 雇用者数は増加しており、失業率は低下傾向にある。

 ・8月の失業率は、3.9%となった。

〇 コア物価上昇率は、緩やかに上昇している。

○ 消費は増加、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 製造業の景況指数は堅調に推移している。

○ 生産は、緩やかに増加している。

○ 企業収益は、減税と良好な経済環境を背景に高い伸びとなっている。

  ・184-6期の企業収益は前年比で、+16.1%

○ 財輸出は、おおむね横ばいとなった。

○ 設備投資は、緩やかに増加している。

 ◎(参考)最近のNAFTA再交渉に関する動き

  ●18827日、アメリカ・メキシコ間で大筋合意。カナダは交渉中。

  ●米墨間では自動車の関税がゼロとなる条件を定める原産地規則について、

   ・域内での自動車部品の調達比率を現行の62.5%から75%へ引上げ

   ・4045%の自動車部品は時給16ドル以上の労働者によって生産すること

  などを合意。

 

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は緩やかに回復している。

 ドイツでは、景気は緩やかに回復している。

 イギリスは、景気回復は緩やかになっている。

   ・20184-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で、+1.5%(イギリスは+1.5%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏では増加した。

  イギリスは、緩やかながら増加した。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏はおおむね横ばい、イギリスは低下している。

   ・消費者物価指数(コア)は前年比で、ユーロ圏2.0%8月)、イギリス2.5%7月)。

○ 輸出は、ユーロ圏では持ち直しているが、このところ一服感がある。

  イギリスではこのところおおむね横ばいとなった。

○ 設備投資は、ユーロ圏は緩やかに増加、イギリスでは横ばいとなった。

○ 失業率は、ユーロ圏では低下傾向にあるが、イギリスではおおむね横ばいとなった。