月例経済報告

 

月例経済報告(R1.10.18)

基調判断

〈現状〉

・景気は、輸出を中心に弱さが長引いているものの、緩やかに回復

している。

〈先行き〉              

・先行きについては、当面、弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが

期待される。ただし、通商問題をめぐる緊張、中国経済の先行き、英国のEU離脱の行方等の海外経済の動向や金融資本市場の変動の影響に

加え、消費税率引き上げ後の消費者マインドの動向に留意する必要が

ある。また、令和元年台風19号など相次ぐ自然災害の経済に与える

影響に十分留意する必要がある。

 

 

世界経済

〇 世界では、実質GDP成長率、貿易量の見通しを下方修正した。

〇 景況感は、税造行を中心に低下し、雇用の見方も慎重になっている。

 

個人消費の動向

○ 今世紀に入り最も高い水準の賃上げが6年連続で実現し、雇用者数も増加する中で、

実質総雇用者所得は緩やかに増加した。こうした雇用・所得環境の改善を背景に、個人消費は

持ち直している。

・自動車販売は、2014年のような大幅な駆け込みは見られなかった。

9月には、家電や宝飾品等の高額品などで売り上げの増加がみられた。今後の販売動向を

注視する必要がある。

    ◎ 消費税率引き上げに伴う各種政策

★キャッシュレス・ポイント:還元事業:参加事業者は約1,000社。

                     10/11時点の本事業の対象となる登録加盟店数は、約52万店で

   10/21には約61万店になる見込み。

                     10/17の還元額は1日当たり平均約8億円、合計約60億円と試算

   されている。

★プレミアム付商品券 :ほぼ全ての自治体で10/1から商品券の利用開始。

                     店舗規模の大小を問わず地域の幅広い店舗で利用可

                     (10/8時点で、全国の市区町村の合計で49.4万店)。

★自動車の購入に係る税制措置

★住宅の購入等に係る税制・予算措置

★幼児教育の無償化

★年金生活者支援給付金

★軽減税率制度 

    ・消費総合指数(実質)は、前月比で、5月▲0.5%6月▲1.3%7+0.2%8月▲0.1%

    ・消費者態度指数(DI)は前月差で、5月▲1.0%6月▲0.7%7月▲0.9%8月▲0.7%9月▲1.5%

    ・8月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.1%となった。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、このところ弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、5月▲3.3%6+2.4%7月▲1.3%8月▲0.4%

・持家着工数は前月比で、5月▲2.2%6+2.6%7月▲6.6%8月▲3.2%

・貸家着工数は前月比で、5月▲1.8%6+4.5%7月▲2.8%8月▲0.1%

・分譲着工数は前月比で、5月▲3.6%6+8.3%7+3.8%8+4.6%

   公共投資は、このところ底堅さが増している。

・請負金額は前月比で、5+9.8%(出来高+0.9%)、6月▲8.0%(出来高+1.8%)

 7+14.1%(出来高▲0.7%)、8月▲13.6%9月▲2.0%          

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は着実に改善している一方、人手不足感が高い。

   ・有効求人倍率は、41.6351.6261.5971.5981.59(正社員は1.14)となった。

   ・完全失業率は、42.4%52.4%62.2%72.2%82.2%となった。

   

物価の動向  

  消費者物価は、このところ緩やかに上昇テンポが鈍化している。(9月総合前月比±0.0%)。

○ 消費者物価上昇率(消費税増税の影響を除く)は、9月総合前年比+0.3%

  

投資・収益・業況

〇 企業収益は、2018年度に過去最高を記録し、外需の弱さを背景に製造業では

伸び悩んでいるものの、非製造業は底堅く、全体として高い水準を維持している。

〇 設備投資は、機械投資に弱さも見られるが、緩やかな増加傾向にある。

2019年度の設備投資計画(日銀短観)は、前回(6月)調査に比べ下方修正されたものの、

   前年度比で増加した。

・特にソフトウェア投資が高い伸びとなっている。

  ・製造業では電気自動車等に関連する投資が目立つほか、Society 5.0への対応を進める中で、

製造業・非製造業を問わず、自動化・省力化のためのソフトウェア投資が行われている。

 ◎ 主な業種の2019年度設備投資計画※()内は前年度比

【製造業】

自動車(+6.4%……電気自動車を含むモデルチェンジへの対応

化学(+8.5%………電気自動車用のリチウムイオン電池材料やインバウンド需要を背景とした化粧品等の生産能力増強、

                                IoTAI等の導入による工場基盤の強化

電気機械(5.5%)……車載関連の電子部品やイメージセンサーの生産 能力増強、スマートファクトリーの実現化

【非製造業】

卸売(+15.2%………省人化対策に向けたRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入、ネット通販拡大等に伴う物流施設の整備

運輸・郵便(+4.9%……鉄道の安全対策工事や新型車両の導入、物流施設 の整備、配送伝票等の入力自動化開発

不動産(+8.1%………大型複合施設などの都心部大型開発、物流施設でのAI・ロボット活用

○ 業況は、製造業を中心に、慎重さが増している。

   ・企業の景況感は、全体として「良い」が「悪い」を上回る状態は続いているものの、輸出鈍化の影響

   を受けやすい製造業を中心に引き続き低下している。設備や人員の過不足感を見ると、全体としては 

   不足超だが、製造業では不足感が緩和した。

 ・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、201812+1920193+126+79+512+2

    「大企業・非製造業」は、201812+2420193+216+239+2112+15

    「中小企業・製造業」は、201812+1420193+66月▲19月▲412月▲9

    「中小企業・非製造業」は、201812+1120193+126+109+1012+1

○ 企業収益は、高い水準で底堅く推移している。

    

生産

○ 生産は、このところ弱含んでいる。

・製造業の生産は、輸出の鈍化を受けて、弱含みの動きとなっている。

・鉱工業生産指数は前月比で、7+1.3%8月▲1.2%9月(予測)+1.910月(予測)▲0.5%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、5+4.4%6月▲6.9%7+0.8%8月▲2.7%

・電子部品・デバイスは前月比で、5+6.4%6月▲2.0%7+0.4%8+4.5%

・輸送機械は前月比で、5+3.6%6月▲7.5%7+2.1%、▲1.8%

 

外需

〇 輸出は弱含んでいる。

ICの輸出は下げ止まっているが、工作機械や自動車に弱い動きとなっている。

こうした外需の弱さを受けて生産も弱含みとなった。鉄鋼など素材業種にも弱さがみられる。

 ○ 輸入はおおむね横ばいとなっている。

 ○ 貿易・サービス収支は、おおむね均衡している。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2月連続で上昇した

  ・現状・季節調整値DIは前月差で、6月▲0.17月▲2.88+1.69+3.9

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3月連続で下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、6+0.27月▲1.58月▲4.69月▲2.8

 

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は緩やかに減速している。

   ・20197-9月期の実質GDP成長率(前年比)は+6.0%となった。

・生産は、伸びがやや低下している。

・輸出は、減少した。

・消費は、伸びがやや低下している。

・消費者物価上昇率は、おおむね横ばいとなっている。

〇 韓国では、景気は弱い動きとなっている。

○ 台湾では、景気はこのところ緩やかに回復している。

○ タイでは、景気はこのところ弱い動きとなっている。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

〇 インドでは、景気はこのところ弱い動きとなっている。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は着実に回復が続いている。ただし、米中間の通商問題をめぐる緊張の影響等に留意する必要がある。

      ・20194-6月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+2.0%

○ 雇用者数は増勢が鈍化しており、失業率は低水準でおおむね横ばいとなった。

 ・9月の失業率は、3.5%となった。

〇 コア物価上昇率はこのところ安定している。

○ 生産・設備投資はこのところ弱い動きとなっている。

〇 消費はゆるやかに増加し、自動車販売台数はおおむね横ばいとなった。

○ 製造業の景況指数このところ低下した。

○ 輸出はこのところ弱含みとなっている。

 

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は緩やかに回復しているものの、一部に弱さがみられる。

  ドイツでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 イギリスは、景気は弱い回復となっている。

   ・20194-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.8%

   (イギリスは▲0.9%、ドイツは▲0.3%)。

○ 民間設備投資は、ユーロ圏では機械設備投資はおおむね横ばいとなり、イギリスでは弱い動き

   となっている。

○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに緩やかながら増加した。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなり、イギリスは安定した。

   ・9月の消費者物価上昇率(コア)は前年比で、ユーロ圏+1.2%、イギリス+1.7%

○ 輸出は、ユーロ圏・イギリスともに、このところおおむね横ばいとなった。

  ◎英国のEU離脱の経緯と今後の予定

2019724日 メイ首相が辞任 ジョンソン氏が首相就任

            99EU離脱延期法成立

     102日 英国がEU離脱に関する新提案を公表

          17日 欧州理事会(EU首脳会議): 英国とEUが新たな離脱協定案に合意

         (今後の予定)

            1019日 英国議会下院特別審議

               31日 英国のEU離脱期日

20201231日 移行期間終了