月例経済報告

 

月例経済報告(R1.11.22)

基調判断

〈現状〉

・景気は、輸出を中心に弱さが長引いているものの、緩やかに回復し 

いる。

〈先行き〉              

・先行きについては、当面、弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが

期待される。ただし、通商問題をめぐる緊張、中国経済の先行き、英国のEU離脱の行方等の海外経済の動向や金融資本市場の変動の影響に

加え、消費税率引き上げ後の消費者マインドの動向に留意する必要が

ある。

 

2019年7-9月期GDP(1次速報)

〇 20197-9月期の実質GDP成長率は、前期比+0.1%、年率に換算すると+0.2%と4期連続の

プラスとなった。

 ・海外経済の減速などから外需がマイナスに寄与したものの、個人消費や設備投資、公共投資と

いった内需が増加し、全体として景気の緩やかな回復を示す結果となった。

・消費税率引上げによる影響には十分注意するとともに、台風等の被害からの復旧・復興の取り組み

を更に加速し、あわせて米中貿易摩擦など海外発の下方リスクによる悪影響に備える必要がある。

 

世界経済

〇 世界経済は、回復テンポが鈍化した。

 ・G20の成長率は2018年後半から低下傾向が続いており、2019年第3四半期も更に低下する

見込みとなった。

 背景には、米中貿易摩擦等による世界的な財貿易の伸びの低下がある。これにより、主要国・

地域の製造業生産の伸びも軒並み低下した。特に、外需の影響を受けやすいドイツでは、前年

を下回って推移している。

 

個人消費の動向

○ 10月の家電販売・自動車販売は、9月の売上増の反動や台風の影響等により減少した。政策効果 

   もあって、スーパーの売上は底堅い。消費者マインドの影響に注意が必要である

 ◎ 販売状況に関するヒアリング調査

家電……10月の売上は前年比2割減。11月初めは、客数が前年を上回る数字になっており、客単価が低下

       するなかでも、前年並みの売上に繋がっている。

      反動減については、12月頭には元に戻ると考えている。

自動車10月の自動車販売台数(軽自動車は除く、登録ベース)は、大幅なマイナスとなった。台風等

の自然災害による来店者数の減少や、201810月の水準が新型車効果により高かったこと

の反動、稼働日が前年と比べて一日少なかったことが下押しに作用した。

旅行……国内旅行については、一部交通機関の復旧の遅れなど台風被害の影響が広範囲かつ長期に

亘っていることや、それに伴う自粛的なムードの広がりなど、旅行・レジャーに対するマインドの

低下が懸念される。なお、消費税率改定の影響は今のところ直接的にはみられない。海外旅行は

      総じて前年を少し上回る状況。

外食……10月は、台風19号等の影響が下押し要因となったほか、消費税率引上げ後の外食控えも

マイナスに寄与したとみられる。

スーパー…食品部門について駆け込み後の反動減による影響を感じるのは、ビール等の酒類が10

1週目に落ち込んだ程度。2週目以降は、一部地域で台風19号の影響による落ち込みは

みられたものの、全体で反動減の影響はほとんどみられなかった。

コンビニ10月の売上高は、キャッシュレス・ポイント還元制度による押上げ効果もあり、想定より良かった。

たばこは、2018年のたばこ税率引上げ時より今回の方が駆け込み・反動減が小さく、既に

持ち直している。

  ・消費総合指数(実質)は、前月比で、6月▲1.3%7+0.7%8月▲0.2%9+1.3%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、6月▲0.7%7月▲0.9%8月▲0.7%9月▲1.5%

9月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.0%となった。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、このところ弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、6+2.4%7月▲1.3%8月▲0.4%9月▲0.9%

・持家着工数は前月比で、6+2.6%7月▲6.6%8月▲3.2%9月▲4.3%

・貸家着工数は前月比で、6+4.5%7月▲2.8%8月▲0.1%9月▲2.6%

・分譲着工数は前月比で、6+8.3%7+3.8%8+4.6%9+4.1%

   公共投資は、堅調に推移している。

・請負金額は前月比で、6月▲8.0%(出来高+1.8%)7+14.1%(出来高▲0.7%)、

8月▲13.6%(出来高+1.0%)、9月▲2.0%(出来高+0.1%)、10+5.5%   

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は着実に改善している。

   ・有効求人倍率は、51.6261.5971.5981.5991.57(正社員は1.13)となった。

   ・完全失業率は、52.4%62.2%72.2%82.2%92.4%となった。

   

物価の動向  

  消費者物価は、このところ緩やかに上昇テンポが鈍化している。(10月総合前月比±0.0%)。

○ 消費者物価上昇率(消費税増税の影響を除く)は、10月総合前年比▲0.0%

  

投資・収益・業況

〇 企業収益は、高い水準にあるものの、製造業を中心に弱含んでいる。労働需給は引き締まって

いるが、海外経済農動向を背景とした製造業の先行きに注視が必要である。  

〇 設備投資は、機械投資に弱さも見られるが、緩やかな増加傾向にある。

2019年度の機械受注の推移は、前月比で7月▲6.6%8月▲2.4%9月▲2.9%

○ 業況は、製造業を中心に、引き続き慎重さが増している。

・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、201812+1920193+126+79+512+2

    「大企業・非製造業」は、201812+2420193+216+239+2112+15

    「中小企業・製造業」は、201812+1420193+66月▲19月▲412月▲9

    「中小企業・非製造業」は、201812+1120193+126+109+1012+1

○ 企業収益は、高い水準にあるものの、製造業を中心に弱含んでいる。

    

生産

○ 生産は、外需の弱さを受けて、このところ弱含んでいる。ただし、スマートフォン関連を中心に、

電子部品・デバイスの生産には持ち直しの動きがみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、8月▲1.2%9+1.7%10月(予測)+0.611月(予測)▲1.2%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、6月▲6.9%7+0.8%8月▲2.7%9+8.0%

・電子部品・デバイスは前月比で、6月▲2.0%7+0.4%8+4.5%9月▲1.8%

・輸送機械は前月比で、6月▲7.5%7+2.1%8月▲1.8%9月▲0.2%

 

外需

〇 輸出は弱含んでいる。

 ○ 輸入はおおむね横ばいとなっている。

 ○ 貿易・サービス収支は、おおむね均衡している。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月ぶりに下降した

  ・現状・季節調整値DIは前月差で、7月▲2.88+1.69+3.910月▲10.0%

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、7月▲1.58月▲4.69月▲2.810月▲2.8%

 

アジア経済の動向  

○ 中国では、景気は製造業を中心に一段と弱い動きがみられ、緩やかな減速が続いている。

   ・20197-9月期の実質GDP成長率(前年比)は+6.0%となった。

・生産は、伸びが低下している。

・輸出は、減少した。

・消費は、伸びが低下している。

・消費者物価上昇率は、このところ高まっている。

〇 韓国では、景気は弱い動きとなっている。

○ 台湾では、景気は緩やかに回復している。

○ タイでは、景気は弱い動きとなっている。

○ インドネシアでは、景気回復は、緩やかになっている。

〇 インドでは、景気はこのところ弱い動きとなっている。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は着実に回復が続いている。ただし、米中間の通商問題をめぐる緊張の影響等に留意する必要がある。

20197-9月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+1.9%

○ 雇用者数は増勢が鈍化しており、失業率は低水準でおおむね横ばいとなった。

 ・10月の失業率は、3.6%となった。

○ 生産はこのところ弱い動きとなっている。

〇 設備投資は減少している。

〇 消費はゆるやかに増加し、自動車販売台数はおおむね横ばいとなった。

○ 製造業の景況指数このところ低下した。

○ 輸出はこのところ弱含みとなっている。

 

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は弱い回復となっている。

ドイツでは、景気は弱含んでいる。

イギリスは、景気は弱い回復となっている。

   ・20197-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.9%

   (イギリスは+1.2%、ドイツは+0.3%)。

○ 民間設備投資は、ユーロ圏では機械設備投資はおおむね横ばいとなり、イギリスでは弱い動き

  となっている。

○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに緩やかながら増加した。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなり、イギリスは安定した。

   ・10月の消費者物価上昇率(コア)は前年比で、ユーロ圏+1.2%、イギリス+1.8%

○ 輸出は、ユーロ圏は弱含み、イギリスはおおむね横ばいとなった。

  ◎英国のEU離脱の経緯と今後の予定

2019724日 メイ首相が辞任 ジョンソン氏が首相就任

          99EU離脱延期法成立

    102日 英国がEU離脱に関する新提案を公表

17日 欧州理事会(EU首脳会議): 英国とEUが新たな離脱協定案に合意

             29日 英国とEUが最長2020年1月31日までの離脱期日延期に合意

英国議会下院で総選挙を1212日に行う特例法案を可決

(今後の予定)

 20191212日 英国下院選挙

2020年 131日 英国のEU離脱期限

1231日 移行期間終了