〇 第200回国会は、67日間の会期で、令和元年10月4日に召集され、12月9日に閉会いたし
ました。
〇 今国会では、衆議院提出法律案7件、参議院提出法律案1件及び内閣提出法律案16件が
成立しました。
〇 成立した法律案は、「ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律案」
「農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律案」「地域人口の急減に対処するための
特定地域づくり事業の推進に関する法律案」「地域再生法の一部を改正する法律案」
「母子保健法の一部を改正する法律案」「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に
関する特別措置法の一部を改正する法律案」等、次の通りです。
【衆議院議員提出法律案】
〈国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律案〉
・ 一般職の国家公務員の給与改定に伴い、国会議員の秘書の給与の額を改定する必要があるためである。
〈ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律案〉
・ 「らい予防法」を中心とする国の隔離政策により、ハンセン病元患者家族等が、偏見と差別の中で、ハンセン病元患者との間で望んでいた
家族関係を形成することが困難になる等長年にわたり多大の苦痛と苦難を強いられてきたことに鑑み、
・ ハンセン病元患者家族の被った精神的苦痛を慰謝するための補償金の支給に関し必要な事項を定めるとともに、
・ ハンセン病元患者家族等の名誉の回復等について定める必要があるためである。
〈ハンセン病問題の解決の促進に関する法律の一部を改正する法律案〉
・ ハンセン病問題解決の一層の促進のため、「らい予防法」を中心とする国の隔離政策により、ハンセン病の患者であった者等のみならず、
その家族も、偏見と差別の中で長年にわたり多大の苦痛と苦難を強いられてきたことに鑑み、
・ 名誉の回復、福祉の増進等の規定の対象にハンセン病の患者であった者等の家族を加えるとともに、
・ 国立ハンセン病療養所における医師等の兼業に関する国家公務員法の特例を設ける等
・ 国立ハンセン病療養所における医療及び介護に関する体制の整備及び充実を図る必要があるためである。
〈行政書士法の一部を改正する法律案〉
・ 近時の行政書士制度を取り巻く状況の変化を踏まえ、
・ 法律の目的に国民の権利利益の実現に資することを明記し、
・ 社員が一人の行政書士法人の設立を可能とする措置を講ずるとともに、
・ 行政書士会による会員に対する注意勧告に関する規定を設ける必要があるためである。
〈地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律案〉
・ 地域人口の急減に直面している地域において、地域社会及び地域経済の重要な担い手である地域づくり人材が安心して活躍できる環境の
整備を図ることが喫緊の課題であることに鑑み、
・ 特定地域づくり事業協同組合の認定その他特定地域づくり事業を推進するための措置等を定めることにより、
・ 特定地域づくり事業を推進し、
・ 併せて地域づくり人材の確保及びその活躍の推進を図る必要があるためである。
〈母子保健法の一部を改正する法律案〉
・ 母性及び乳児の健康の保持及び増進を図るため、
・ 市町村は産後ケアセンター等において、
・ 産後ケアを必要とする出産後一年を経過しない女子及び乳児に対して、
・ 心身のケアや育児のサポート等の産後ケア事業を行うことにより、
・ 出産後も安心して子育てができる支援体制を確保する必要があるためである。
〈令和元年特定災害関連義援金に係る差押禁止等に関する法律案〉
・ 令和元年特定災害関連義援金に係る拠出の趣旨に鑑み、被災者等が自ら令和元年特定災害関連義援金を使用することができるようにするため、
・ 令和元年特定災害関連義援金について、差押えを禁止する等の必要があるためである。
【参議院議員提出法律案】
〈商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律の一部を改正する法律案〉
・ 商業捕鯨の再開等捕鯨を取り巻く状況を踏まえ、
・ 鯨類の持続的な利用の確保を図るため、
・ 鯨類科学調査の定義を改めるとともに、
・ 捕鯨業の適切かつ円滑な実施のための措置等について定める必要があるためである。
【内閣提出法律案】
〈地域再生法の一部を改正する法律案〉(198回国会からの継続審議)
・ 地域の活力の再生を総合的かつ効果的に推進するため、
・ 認定地域再生計画に基づく事業に対する特別の措置として、
・ 地域住宅団地再生事業に対する建築基準法等の特例及び
・ 民間資金等活用公共施設等整備事業に対する株式会社民間資金等活用事業推進機構の業務の特例を追加する等の措置を講ずる必要があるため
である。
〈医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案〉(198回国会からの継続審議)
・ 医薬品、医療機器等が安全かつ迅速に提供され、適正に使用される体制を構築するため、
・ 医療上特に必要性が高い医薬品及び医療機器について条件付きで承認申請資料の一部省略を認める仕組みの創設、
・ 虚偽・誇大広告による医薬品、医療機器等の販売に係る課徴金制度の創設、
・ 医薬品等行政評価・監視委員会の設置、
・ 薬剤師による継続的服薬指導の実施の義務化、
・ 承認等を受けない医薬品、
・ 医療機器等の輸入に係る確認制度の創設等の措置を講ずる必要があるためである。
〈一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案〉
・ 人事院の国会及び内閣に対する令和元年八月七日付けの職員の給与の改定に関する勧告に鑑み、一般職の国家公務員の俸給月額、住居手当及び
勤勉手当の額の改定を行う等の必要があるためである。
〈特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案〉
・ 一般職の国家公務員の給与改定に伴い、特別職の職員の給与の額を改定する必要があるためである。
〈裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案〉
・ 一般の政府職員の給与改定に伴い、裁判官の報酬月額の改定を行う必要があるためである。
〈検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案〉
・ 一般の政府職員の給与改定に伴い、検察官の俸給月額の改定を行う必要があるためである。
〈農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律案〉
・ 我が国で生産された農林水産物及び食品の輸出の促進を図るため、
・ 農林水産物・食品輸出本部の設置並びに基本方針及び実行計画の策定について定めるとともに、
・ 輸出証明書の発行等、輸出事業計画の認定その他の措置を講ずる必要があるためである。
〈肥料取締法の一部を改正する法律案〉
・ 最近における肥料を取り巻く諸情勢の変化に鑑み、
・ 肥料の品質の確保及び肥料生産等に関する規制の合理化を図るため、
・ 肥料の公定規格に使用される原料についての規格を追加するとともに、
・ 届出により普通肥料と特殊肥料を配合した肥料の生産を可能とするほか、
・ 肥料の表示の基準の整備等の措置を講ずる必要があるためである。
〈防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案〉
・ 一般職の国家公務員の例に準じて防衛省職員の俸給月額等を改定する等の必要があるためである。
〈情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案〉
・ 情報処理システムが戦略的に利用され、
・ 多様なデータが活用される高度な情報化社会の実現を図る観点から、
・ 情報処理システムを良好な状態に維持するために必要な情報処理システムの運用及び管理に関する指針の策定、
・ 情報処理システムの運用及び管理に関する取組の状況に関する認定制度の創設並びに当該認定を 受けた者に対する支援を行うとともに、
・ 情報処理システムの高度利用を促進するための独立行政法人情報処理推進機構の業務の追加等の 措置を講じる必要があるためである。
〈構造改革特別区域法の一部を改正する法律案〉
・ 経済社会の構造改革及び地域の活性化を図るため、
・ 清酒の製造を体験するための製造場の製造免許に係る酒税法(昭和二十八年法律第六号)の特例措置及び
・ 地方公共団体による特定市街化調整区域をその施行地区に含む土地区画整理事業に係る都市計画法(昭和四十三年法律第百号)の特例措置を
追加する必要があるためである。
〈会社法の一部を改正する法律案〉
・ 会社をめぐる社会経済情勢の変化に鑑み、株主総会の運営及び取締役の職務の執行の一層の適正化等を図るため、
・ 株主総会資料の電子提供制度の創設、
・ 株主提案権の濫用的な行使を制限するための規定の整備、
・ 取締役に対する報酬の付与や費用の補償等に関する規定の整備、
・ 監査役会設置会社における社外取締役の設置の義務付け等の措置を講ずる必要があるためである。
〈会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案〉
・ 会社法の一部を改正する法律の施行に伴い、商業登記法その他の関係法律の規定の整備等を行う必要があるためである。
〈外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案〉
・ 最近における我が国に対する投資活動を取り巻く環境の変化に鑑み、我が国への投資の一層の活性化を図りつつ対内直接投資等の適切な調整
を図る観点から、
・ 対内直接投資等及び特定取得に係る届出についての特例を設けるとともに、
・ 対内直接投資等に該当する行為の範囲等について所要の見直しを行う必要があるためである。
〈公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案〉
・ 公立の義務教育諸学校等における働き方改革を推進するため、
・ 教育職員について労働基準法第32条の4の規定による一年単位の変形労働時間制を条例により実施できるようにするとともに、
・ 文部科学大臣が教育職員の業務量の適切な管理等に関する指針を策定及び公表することとする必要があるためである。
〈港湾法の一部を改正する法律案〉
・ 海洋再生可能エネルギー発電設備等の円滑な設置及び維持管理を図るため、
・ 国土交通大臣が指定した港湾の埠頭を構成する行政財産の貸付けに係る制度を創設するほか、
・ 国際基幹航路に就航する外貿コンテナ貨物定期船の寄港回数の維持又は増加を図るため、
・ 国土交通大臣が国際戦略港湾の港湾運営会社に対し必要な情報の提供等を行うこととする等の措置を講ずる必要があるためである。