月例経済報告

 

月例経済報告(R2.2.20)

基調判断

〈現状〉

・景気は、輸出が引き続き弱含むなかで、製造業を中心に弱さが

一段と増した状態が続いているものの、緩やかに回復している。

先行き〉              

・先行きについては、当面、弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されるが、新型コロナウイルス感染症が内外経済に与える影響に十分 注意する必要がある。また、通商問題を巡る動向等の海外経済の動向や金融資本市場の変動の影響にも留意する必要がある。

 

 

GDP 201910-12月一次速報

○ 20191012月期の実質GDP成長率は、前期比▲1.6%(年率▲6.3%)と5四半期ぶりの

   マイナスとなった。

  ・公需が経済を下支えするも、民需が弱い動きとなり、内需全体としてマイナス寄与となった。

外需は、輸入が民需の弱さに応じて減少し、輸出に弱さがあるものの、全体としてはプラス寄与

となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、持ち直している。

   ・民需の弱さの主因である個人消費(GDP速報)は、消費税率引上げに伴う一定程度の駆け込み需要

 の反動減等により、前期比▲2.9%の減少となった。 しかし、今回の駆け込み需要と反動減は、

 前回の消費税率引上げ時ほどではなかったとみられる。

   ・消費総合指数(実質)は、前月比で、9+2.3%10月▲4.2%11+1.0%12月▲1.1%

    ・消費者態度指数(DI)は前月差で、9月▲1.5%10+0.6%11+2.5%12+0.4%1月±0.0%

12月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.1%となった。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、9月▲0.9%10月▲1.1%11月▲5.2%12月▲1.9%

・持家着工数は前月比で、9月▲4.3%10月▲1.8%11月▲3.1%12月▲1.0%

・貸家着工数は前月比で、9月▲2.6%10月▲2.4%11月▲0.5%12月▲0.8%

・分譲着工数は前月比で、9+4.1%10+1.7%11月▲14.1%12月▲4.5%

   公共投資は、堅調に推移している。

・請負金額は前年比で、9月▲2.0%(出来高+0.3%)、10+5.5%(出来高+0.8%)、

11月▲0.7%(出来高+0.6%)、12月▲7.3%1+5.2%            

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は改善している。

労働需給は引き締まった状態が続いており、雇用者数や労働者の給与も今世紀に入り最高

 水準の賃上げが6年連続で実施された。その結果、実質総雇用者所得は、緩やかに増加し、

 消費を下支えしている。

   ・有効求人倍率は81.5991.57101.57111.57121.57(正社員は1.13)となった。

   ・完全失業率は、82.2%92.4%102.4%112.2%122.2%となった。

   

物価の動向  

  消費者物価は、このところ上昇テンポが鈍化している。(12月総合前月比+0.1%)。

○ 消費者物価上昇率は、12月総合前年比+0.1%

  

投資・収益・業況

〇 企業収益は、高い水準にあるものの、製造業を中心に弱含んでいる。  

〇 設備投資は、設備投資は緩やかな増加傾向にあるものの、一部に弱さがみられる。

○ 業況は、製造業を中心に、引き続き慎重さが増している。

・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20193+126+79+512+020203+0

    「大企業・非製造業」は、20193+216+239+2112+2020203+18

    「中小企業・製造業」は、20193+66月▲19月▲412月▲920203月▲12

    「中小企業・非製造業」は、20193+126+109+1012+720203+1

    

生産

○ 生産は、引き続き弱含んでいる。

 ・鉱工業生産指数は前月比で、11月▲0.1%12+1.2%1月(予測)+3.5%、2月(予想)+4.1%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、9+8.0%10月▲6.4%11月▲8.7%12+16.2%

・電子部品・デバイスは前月比で、9月▲1.8%10+0.9%11+0.1%12+3.3%

・輸送機械は前月比で、9月▲0.2%10月▲7.8%11+4.1%12月▲4.0%

 

外需

○ 輸出は引き続き弱含んでいる

 ○ 輸入はこのところ弱含んでいる。

 ○ 貿易・サービス収支は、黒字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した

  ・現状・季節調整値DIは前月差で、10月▲10.011+2.712+0.91+2.2

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

 ・先行き・季節調整値DIは前月差で、10+6.811+2.012月▲0.41月▲3.7

 

アジア経済の動向  

〇 中国では、緩やかな減速が続いている。そうした中で、新型コロナウイルス感染症が経済活動に

影響を与えている。

   ・201910-12月期の実質GDP成長率(前年比)は+6.0%となった。

・生産は、このところ伸びがやや上昇した。

・輸出は、このところ下げ止まりの動きがみられる。

・消費は、伸びが低下している。

・消費者物価上昇率は、このところ高まっている。

〇 韓国では、景気は弱い動きとなっている。

〇 台湾では、景気は緩やかに回復している。

〇 タイでは、景気は弱い動きとなっている。

〇 インドネシアでは、景気回復は、緩やかになっている。

〇 インドでは、景気は弱い動きとなっている。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は回復が続いている。

      ・201910-12月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+2.1%

○ 雇用者数は増加しており、失業率は低水準でおおむね横ばいとなった。

 ・1月の失業率は、3.6%となった。

○ 生産は弱い動きとなっている。

〇 設備投資は減少している。

〇 消費はゆるやかに増加し、自動車販売台数はおおむね横ばいとなった。

○ 製造業の景況指数はおおむね横ばいとなっている。

○ 輸出はおおむね横ばいとなっている。

 

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は弱い回復となっている。

  ドイツでは、景気は弱含んでいる。

  イギリスは、景気は弱い回復となっている。

  ・201910-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.2%

   (イギリスは+0.1%、ドイツは+0.1%)。

○ 民間設備投資は、ユーロ圏では機械設備投資はおおむね横ばいとなり、イギリスでは弱い動き

   となっている。

○ 個人消費は、ユーロ圏は緩やかながら増加、イギリスではおおむね横ばいとなった。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏はおおむね横ばいとなり、イギリスは安定した。

  ・消費者物価上昇率(コア)は前年比で、ユーロ圏+1.3%1月)、イギリス+1.4%12月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は弱含み、イギリスはこのところ増加となった。