月例経済報告

 

月例経済報告(R2.9.24)

基調判断

〈現状〉

・景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい

状況にあるが、このところ持ち直しの動きがみられる。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動の

レベルを段階的に引き上げていくなかで、各種政策の効果や海外経済

の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待される。ただし、

国内外の感染症の動向や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

 

 

 世界経済

○ 世界の経済活動は、感染拡大防止策の緩和とビジネス再開後に上向いている。

○ 2020年の世界の実質GDP成長率の見通しは上方修正されており、翌21年も回復が続くことが見込まれる。

○ 中国以外のアジア各国・地域では、4~5月を底に生産や輸出の前年比のマイナス幅が縮小した。

欧米でも、経済活動の再開を背景に、生産や輸出が4~5月を底に持ち直す動きがみられる。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、一部に足踏みも見られるが、持ち直している。

・8月のカード支出に基づく消費動向は、旅行・外食等のサービスを中心に足踏みがみられた。

販売側からみると、自動車は増加したが、外食売上はおおむね横ばいとなった。

・9月に入り、週当たり消費額は、過去3年と同程度の水準で底堅く推移している。

・8月末調査の街角景気は改善した。現状・先行きともに、家計・企業・雇用分野のいずれも前月より上昇している。

      ・消費総合指数(実質)は、前期比で、4月▲7.5%5月▲2.0%6+9.7%7月▲4.1%

      ・消費者態度指数(DI)は前月差で、4月▲9.3%5+2.4%64.4%7+1.1%8月▲0.2%

7月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.1%となった。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、弱含んでいる。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、4月▲12.0%5+1.0%6月▲2.4%7+4.8%

・持家着工数は前月比で、4月▲16.1%5月▲2.8%6+4.9%7+0.5%

・貸家着工数は前月比で、4月▲14.3%5+9.9%6月▲8.1%7+8.2%

・分譲着工数は前月比で、4月▲4.5%5月▲4.6%6月▲3.2%7+5.8%

   公共投資は、堅調に推移している。

・請負金額は前月比で、4月▲9.2%(出来高+0.5%)、5月▲0.7%(出来高+2.3%)、6+4.2%(出来高+0.3%)、7月▲2.1%(出来高±0.0%)、8+16.9%           

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、感染症の影響により、弱い動きとなっているなかで、雇用者数等の動きに底堅さがみられる。

雇用情勢は、弱い動きとなっているなかで、5月以降、就業者数は緩やかに増加し、4月に急増した休業者数も7月には3月の水準近くまで

 減少するなど、底堅い動きもみられる。

・日次有効求人数は9月まで3か月連続で前年比のマイナス幅が縮小した。

・賃金にも下げ止まりの兆しがみられ、残業時間の回復から所定外給与のマイナス寄与が縮小。所定内給与は、今年の賃上げにも支えられて、

  底堅く推移した。

・今夏のボーナ(特別給与)全体は前年比減であるものの、同一労働同一賃金制度導入により、パートタイム労働者の賞与面の待遇は改善して

  いる。 

  ・有効求人倍率は、31.3941.3251.2061.1171.08(正社員は0.81)となった。

   ・完全失業率は、32.5%42.6%52.9%62.8%72.9%となった。

   

物価の動向  

  国内企業物価は、緩やかに上昇している。

消費者物価は、横ばいとなっている。(8月総合前月比+0.2%)。

・原油価格の持ち直しや国内外の経済活動再開を受け、企業間取引の物価指標は緩やかに上昇した。

・消費者物価の基調を示すコアコア(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)は、横ばいの動きがみられるが、物価の先行きには注意が必要である。

  

投資・収益・業況

○ 企業収益は、売り上げの減少により、大幅な減少が続いている。

・ただし、資金繰り支援策の下支えもあり、運転資金向けの銀行貸出は増加。コロナ関連倒産の増勢は鈍化しており、倒産件数全体は横ばいとなった。

○ 減益や先行き不透明感を受け、設備投資は、弱い動きとなっている。

  ・先行きは、ソフトウェア投資の計画は底堅いものの、全体として慎重な見方となっている。

  ・設備投資4-6月期の動向は、前期比全産業で▲6.3%

○ 業況判断は、厳しさは残るものの、改善の兆しがみられる。

・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20199+512+020203月▲86月▲349月▲27

    「大企業・非製造業」は、20199+2112+2020203+86月▲179月▲14

    「中小企業・製造業」は、20199月▲412月▲920203月▲156月▲459月▲47

    「中小企業・非製造業」は、20199+1012+720203月▲16月▲26、▲33

 

生産

生産は、持ち直しの動きがみられる。

   ・鉱工業生産指数は前月比で、6+1.9%7+8.7%8月(予想)4.0%9月(予想)+1.9%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、4+4.1%5月▲11.8%6+10.2%7月▲4.6%

・電子部品・デバイスは前月比で、4月▲2.7%5月▲9.2%6+0.6%7+4.6%

・輸送機械は前月比で、4月▲34.8%5月▲20.7%6+24.1%7+30.3%

 

外需

○ 輸出は、主要貿易相手国の経済活動再開が進む中で、持ち直している。

  ・品目別輸出では、引き続き、アメリカ向けを中心に、自動車関連財が持ち直している。

 ○ 輸入は、おおむね横ばいとなっている。

 ○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は4か月連続で上昇した

  ・現状・季節調整値DIは前月差で、5+7.66+23.37+2.38+2.8

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、1か月ぶりに上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、5+19.96+7.57月▲8.08+6.4

 

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は厳しい状況にあるが、このところ持ち直している。

   ・20204-6月期の実質GDP成長率(前年比)は+3.2%となった。

・生産は、持ち直している。

・輸出は、持ち直している。

・消費は、大幅な減少からは持ち直している。

・消費者物価上昇率は、おおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)はおおむね横ばいとなっている。

〇 韓国・タイは、景気は厳しい状況にあるが、下げ止まりつつある。

〇 台湾では、景気は下げ止まっている。

〇 タイでは、景気は依然として厳しい状況にある。

〇 インドネシアでは、景気は厳しい状況にある。

〇 インドでは、景気は極めて厳しい状況にあるが、下げ止まりつつある。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は依然として厳しい状況にあるが、このところ持ち直しの動きがみられる。

20204-6月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率▲31.7%

○ 雇用者数は増加に転じており、失業率は低下している。

 ・8月の失業率は8.4%となった。

○ 生産は持ち直している。

○ 設備投資は下げ止まりの兆しが見られる。

○ 財輸出は持ち直しの動きがみられる。

 

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏・イギリス・ドイツともに、景気は依然として厳しい状況にあるが、このところ持ち直しの動きがみられる。

   ・20204-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲39.4%

   (イギリスは▲59.8%、ドイツは▲33.5%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏、イギリスともに持ち直している。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏はこのところ低下しており、イギリスはおおむね横ばいとなった。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年比で、ユーロ圏+0.6%8月)、イギリス+0.9%8月)。

 

○ 輸出は、ユーロ圏・イギリスともに持ち直しの兆しがみられる。