月例経済報告
月例経済報告

2023年

3月

22日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.3.22)

基調判断

〈現状〉

・景気は、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、

景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め

等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクと

なっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動

等の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は一部の地域において弱さがみられるものの、緩やかな持ち直しがみられる。

・世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、緩やかな持ち直しが続いている。

・中国では輸出が減少する一方、感染が収束して生産・消費に持ち直しの動きがみられる。

・ユーロ圏では設備投資は持ち直してきたがこのところ一服感がみられ、消費は持ち直しに足踏みがみられる。

・財貿易量は低下傾向となっている。欧米の景況感は製造業で引き続き悪化となったものの、非製造業は改善がみられる。

・欧米の失業率はおおむね横ばい。消費者物価の上昇に一服感がみられるが、上昇率の水準は依然高く、物価安定に向けた

 金融引締めが継続している。世界的な金融引締めに伴う影響、物価上昇等による下振れリスクに引き続き留意が必要である。

 また、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。

 

日本の実質GDP成長率

 202210-12月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比0.0%(年率+0.1%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・個人消費は、雇用者所得が実質ではマイナスとなる中でも、緩やかに持ち直した。22年後半以降、財は弱めの動きとなる一方、

 サービスの持ち直しが回復を牽引した。

・景気ウォッチャー調査(街角景気)の先行き判断は2月も引き続き上昇となった。物価上昇への懸念は下押し要因となる一方、

 新型コロナの5類移行やマスク着用ルールの緩和が先行き期待の押上げに寄与した。

・訪日外客は堅調に増加し、2月は19年比で57%(中国を除くと77%)の水準まで回復した。引き続き、インバウンド需要の拡大

 に期待できる。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、9+0.5%10月▲0.1%11月▲0.4%12月▲0.9%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、10月▲0.9%11月▲1.3%12+1.7%20231+0.7%2+0.1%。 

  ・1月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.4%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、このところ上昇テンポが鈍化している。

 消費者物価は、上昇している。

・国際商品市況は、引き続き、原油・LNG・石炭の価格がロシアによるウクライナ侵略前の水準を下回って推移している。

・国内企業物価は、石油・石炭製品の価格下落に加え、電気・ガス価格激変緩和対策事業の効果により、前年比上昇率が2か月

 連続で低下するなど、上昇テンポが鈍化している。

・消費者物価は、食料等の身の回り品で今後も上昇が見込まれるが、2月の東京都区部速報値では、「電気・ガス価格激変緩和

 対策事業」の効果が前年比上昇率を1.0%pt引下げた。これと同様に、2月の全国でも前年比上昇率は低下する見込みとなっている。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、10+0.9%11月▲2.9%12+0.5%20231+5.5%

・持家着工数は前月比で、10月▲4.4%11月▲1.5%12+0.7%20231月▲0.8%

・貸家着工数は前月比で、10+1.7%11月▲2.5%12月▲1.0%20231+0.1%

・分譲着工数は前月比で、10+2.5%11月▲2.2%12+1.9%20231+20.0%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、10月▲3.5%(出来高▲1.0%)、11月▲6.9%(出来高▲0.5%)、12+0.9%(出来高+0.2%)、

 20231+0.9%(出来高+2.1%)、2+51.7%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

・名目賃金の上昇率は、1990年代末以降、物価上昇率と同程度又は下回る傾向となっている。

一方、2022年の名目賃金上昇率は、過去の春闘結果と名目賃金の関係を上回るなど、物価上昇の下で賃上げが進展している。

・こうした中、23年の春闘の賃上げ率は第一回集計で3.8%と、1993年以来30年ぶりの高い伸びとなった。デフレ脱却と民需

 主導の持続的な成長の実現に向け、物価上昇に負けない継続的な賃金上昇が重要となる。

・女性の年収は、正社員と非正社員とで大きな差がある。また、正社員の定期給与は、年齢が上がるほど男女間での差が拡大

 している。女性の正社員化や男女間格差の縮小を進めることは、平均的な賃金水準の押上げにつながる。

・有効求人倍率は、91.34101.35111.35121.35202311.35(正社員は1.03)となった。

・完全失業率は、82.5%92.6%102.6%112.5%122.5%202312.4%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、総じてみれば改善しているが、そのテンポは緩やかになっている。

  ・2022年の経常利益は、売上増加や円安による押上げ効果もあり過去最高水準。

   四半期ベースで業種別にみると、10-12月期は輸送機械や運輸等で好調が続く一方、食料品や素材関係の製造業では原材料コスト

   増の影響等により前年比で減益となった。

○ 設備投資は、持ち直している。

・企業の設備投資は、22年度の実績は当初計画を上回る見込みとなり、23年度の計画も22年度並みの伸びとなっている。

 好調な収益の下、企業の投資マインドには引き続き力強さがみられる。個社の投資計画では、デジタル化や脱炭素化投資のほか、

 市況悪化の一方で中長期的な需要を見据えた半導体関連の投資もみられる。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

・ 倒産件数は、低い水準ではあるものの、このところ増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20223+146+99+812+720233+6

  「大企業・非製造業」は、20223+96+139+1412+1920233+11

  「中小企業・製造業」は、20223月▲46月▲49月▲412月▲220233月▲5

  「中小企業・非製造業」は、20223月▲66月、▲19+212+620233月▲1

 

生産

 生産は、このところ弱含んでいる。

・製造業の生産は、市況悪化に伴う半導体の在庫調整と、それを受けた海外での半導体製造装置の投資先送り等により、電子部品・

 デバイスや生産用機械でマイナス傾向となるなど、このところ弱含みとなっている。

・コロナ禍で大きく成長した我が国の半導体製造装置の売上高は、中長期的には拡大が見込まれるも、当面は需給の調整局面となり、

 23年度は前年度比マイナスの見込みとなっている。

・こうした中、企業の景況感は製造業で低下傾向となっている一方、サービス業では上昇傾向が続いている。

・鉱工業生産指数は前月比で、110.2%12+0.3%1月▲5.3%2月(予測)+8.0%3月(予測)+0.7%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、10月▲5.4%11月▲6.0%12+0.8%20231月▲15.3%

・電子部品・デバイスは前月比で、10月▲4.1%11+0.5%12月▲0.7%20231月▲4.2%

   ・輸送機械は前月比で、10+4.5%11月▲0.5%12+0.9%20231月▲9.9%

 

外需

○ 輸出・輸入ともに、弱含んでいる。

・我が国の輸出は、半導体市況の軟化等を背景として、アジア向けを中心に全体として弱含みとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、10+1.511月▲1.812月▲0.71月▲0.22+3.5

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。

・物価上昇への懸念が引き続き下押し要因となる一方、インバウンド拡大に加え、新型コロナ5類移行が先行き期待の押上げに

 寄与した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、10月▲2.811月▲1.312+0.51+2.522.5

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は一部に弱さが残るものの、このところ持ち直しの動きがみられる。

   先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、、不動産市場の動向等を注視する必要

   がある。

 ・2210-12月期の実質GDP成長率は前期比で0.0%(前年比+2.9%)となった。

・消費は持ち直しの動きがみられる。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出は減少している。

・固定資産投資はおおむね横ばいとなっている。

・都市部調査失業率はこのところおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率はこのところ低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きがみられる。

○ 韓国・台湾では、景気はこのところ弱い動きとなっている。

○ インドでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は持ち直しに足踏みがみられる。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。 

   先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意

   する必要がある。

202210-12月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+2.7%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

2月の失業率は3.6%となった。

○ 設備投資は緩やかに持ち直している。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工は減少し、住宅価格は下落している。

○ コア物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は持ち直しに足踏みがみられる。

   ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・2210-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で▲0.1% (イギリスは+0.1%、ドイツは▲1.7%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は上昇、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+7.4%2月)、イギリス+6.7%1月)。

○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

2023年

2月

21日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.2.21)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、

景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め

等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクと

なっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動

等の影響や中国における感染拡大の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は一部の地域において弱さがみられるものの、緩やかな持ち直しがみられる。

202210-12月期の実質GDP成長率は、ドイツはマイナス、中国と英国は0%となった一方、アメリカはプラス成長

 が継続した。

2022年末にかけて、世界的な半導体需要の鈍化や中国の景気減速があり、韓国、台湾、タイでは生産・輸出が減少し、

 景気に弱さがみられる。

・欧州では暖冬やエネルギー消費抑制策もあり、天然ガスの在庫確保が進展した。こうした背景もあり、エネルギー価格

 は下落し、欧米の消費者物価の上昇に一服感がみられる。ただし、上昇率の水準は依然高く、物価安定に向けた金融

 引締めが継続している。今後も世界的な金融引締めに伴う影響、物価上昇等による下振れリスクに留意が必要である。

 

日本の実質GDP成長率

 202210-12月期の実質GDP成長率は、前期比+0.2%(年率+0.6%)となった。

・ウィズコロナの下で、旅行・外食等のサービス消費を中心に個人消費が増加するとともに、水際対策の緩和に伴う

 インバウンドの増加もあって外需がプラスに寄与した。

・コロナ禍前(1910-12月期)対比での先進各国の実質GDPの回復状況をみると、我が国は他の先進国と比べて遜色

 ない水準となっている。

・実質GNI(国民総所得)は、輸入物価下落による交易条件の改善や海外からの所得受取増により、実質GDP(国内

 総生産)の伸びを上回る水準となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・財消費が底堅く推移する中、外食・旅行等のサービス消費の回復が継続している。

・宿泊者数(延べ人数)は、全国旅行支援の効果やインバウンド再開により、12月にはコロナ禍前の水準をほぼ回復

 した。

 新車販売は、供給制約が徐々に緩和される中で、振れを伴いつつ、このところ持ち直してきている。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、80.0%9+0.5%10月▲0.1%11月▲0.8%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、9月▲1.7%10月▲0.9%11月▲1.3%12+1.7%20231+0.7%。 

12月の実質総雇用者所得は、前期比で0.0%となった。

 

物価

  ○ 国内企業物価は、このところ上昇テンポが鈍化している。

   消費者物価は、上昇している。 

 ・国内で生産された付加価値全体の物価動向を示すGDPデフレーター上昇率は、昨年末にかけての原油価格下落等に

  伴い輸入デフレーターの押下げ寄与が低下する一方、価格転嫁の進展により消費や投資等の内需デフレーターの

  押上げ寄与が拡大した結果、202210-12月期にプラス転換した。

・国際商品市況は、欧州の暖冬等を背景に、原油・LNG・石炭の価格がロシアによるウクライナ侵略前の水準まで

 低下している。

23年1月の国内企業物価は前月比で横ばいとなっている。電力・都市ガスのプラス寄与が縮小するとともに、石油・

 石炭製品の価格が低下してマイナスに寄与した。

・消費者物価は、財に加えて、一般サービスにおいても上昇するなど、物価上昇に広がりがみられる。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、9月▲5.0%10+0.9%11月▲2.9%12+0.5%

・持家着工数は前月比で、9+1.9%10月▲4.4%11月▲1.5%12+0.7%

・貸家着工数は前月比で、9月▲1.1%10+1.7%11月▲2.5%12月▲1.0%

・分譲着工数は前月比で、9月▲13.7%10+2.5%11月▲2.2%12+1.9%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、8+1.4%(出来高+1.1%)、9+3.2%(出来高▲0.7%)、10月▲3.5%(出来高▲1.0%)、

 11月▲6.9%(出来高▲0.5%)、12+0.9%(出来高+0.2%)、20231+0.9%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

・一人当たり賃金は、2022年は前年比で2.1%と31年ぶりの高い伸びとなった。月次でみると、12月はボーナスの増加を

 受けて大幅なプラスとなった。また、22年の冬のボーナスは31年ぶりの伸びとなり、事業所規模別にみても、中小企業

 を含めて全般的に高い伸びとなった。

・大企業の今春の賃上げについて、各社の個別動向をみると、物価上昇や人手不足の状況下で積極的な賃上げの動きが

 みられる。また、中小企業は過半が22年度に賃上げを実施したが、その理由をみると、物価上昇を理由にする企業割合

 が増加した。物価上昇を意識した賃上げの機運に高まりがみられる。

・物価上昇を超える賃上げの実現に向けては、原材料やエネルギーコストのみならず、賃上げ原資も含めた適切な価格転嫁

 が重要である。

・有効求人倍率は、81.3291.34101.35111.35121.35(正社員は1.03)となった。

・完全失業率は、72.6%82.5%92.6%102.6%112.5%122.5%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

202210-12月期の上場企業の決算をみると、経常利益は、為替変動による評価損で営業外収支が縮小して 前年比

 マイナスとなるも、引き続き高い水準で推移している。本業の動向を示す売上高と営業利益は、ウィズコロナの下での

 人流回復や供給制約の緩和などを背景に堅調に増加している。

○ 設備投資は、持ち直している。

・企業の設備投資は、名目ベースでは過去最高となるなど持ち直し基調が継続している。ただし、資材価格上昇の影響に

 より、実質ベースでは回復が緩やかとなっている。

 投資の内訳をみると、機械投資は足下で持ち直しの動きに足踏みがみられるが、ソフトウェア投資はデジタル化の進展等

 を背景に堅調に増加した。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

・ 倒産件数は、低い水準ではあるものの、このところ増加がみられる。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20223+146+99+812+720233+6

  「大企業・非製造業」は、20223+96+139+1412+1920233+11

  「中小企業・製造業」は、20223月▲46月▲49月▲412月▲220233月▲5

  「中小企業・非製造業」は、20223月▲66月、▲19+212+620233月▲1

 

生産

 生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、10月▲3.2%110.2%12+0.3%1月(予測)0.0%2月(予測)+4.1%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、9月▲1.8%10月▲5.4%11月▲6.0%12+0.8%

・電子部品・デバイスは前月比で、9+0.4%10月▲4.1%11+0.5%12月▲0.7%

   ・輸送機械は前月比で、9月▲10.3%10+4.5%11月▲0.5%12+0.9%

 

外需

○ 輸出は、このところ弱含んでいる。

・我が国の輸出は、半導体市況の軟化や中国の感染拡大を背景にアジア向けで減少し、全体として弱含みとなって

 いる。こうした中、製造業の生産も持ち直しの動きに足踏みがみられる。

2022年の経常収支は、秋ごろまでの資源価格上昇や円安などを受け、貿易収支は過去最大の赤字幅となっている。

 一方、所得収支は過去最大の黒字幅となった。貿易収支を月次の季節調整値でみると、昨年秋以降は原油価格の下落

 等を背景に鉱物性燃料の赤字幅が緩やかに縮小し、1月は前月比で横ばいとなっている。

・訪日外客数は堅調に増加した。国別に19年比での回復状況をみると、23年1月は多くの国で7割程度かそれ以上の

 水準まで回復している。

○ 輸入は、このところ弱含んでいる。

○  貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月連続で下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、9+2.910+1.511月▲1.812月▲0.71月▲0.2

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。

・物価上昇への懸念が引き続き下押し要因となる一方、インバウンド拡大に加え、新型コロナ5類移行が先行き期待の

  押上げに寄与した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、9月▲0.210月▲2.811月▲1.312+0.51+2.5

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、このところ弱さがみられる。

   先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、感染拡大の影響の長期化による下振れリスクに留意

    する必要がある。

 ・2210-12月期の実質GDP成長率は前期比で0.0%(前年比+2.9%)となった。

・消費はこのところ弱含みとなっている。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・輸出はこのところ減少している。

・固定資産投資はこのところ弱含みとなっている。

・都市部調査失業率はこのところおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率はこのところおおむね横ばいとなっている。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ持ち直しの動きがみられる。

○ 韓国・台湾では、景気はこのところ弱い動きとなっている。

○ インドでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は持ち直しに足踏みがみられる。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融

    引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。

202210-12月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+2.9%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

1月の失業率は3.4%となった。

○ 生産はこのところ弱い動きとなっている。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 住宅着工は減少し、住宅価格は下落している。

○ コア物価上昇率はこのところやや低下した。

○ 財輸出はこのところ弱い動きとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は緩やかに持ち直している。

   ドイツ・イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・2210-12月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.4% (イギリスは+0.1%、ドイツは▲1.0%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は上昇、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+7.0%1月)、イギリス+6.7%1月)。

○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ横ばいとなっている。 

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

2023年

1月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R5.1.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、このところ一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、

景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め

等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクと

なっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の

影響や中国における感染拡大の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○  2023年の世界経済は、1月公表の世界銀行の見通しでは先進国を中心に減速が見込まれている。今後も世界的な金融引締めに伴う

  影響、中国における感染拡大、物価上昇等による下振れリスクの高まりに留意する必要がある。

・中国では感染再拡大の影響により消費の弱さが続く中で輸出も減少し、景気はこのところ弱さがみられる。

 こうした影響を受けやすい韓国、台湾では、世界的な半導体需要の鈍化もあり、景気は弱い動きとなっている。

・欧米では、消費者物価上昇率は総じて高いものの、エネルギー価格等の下落を受け、アメリカに続きユーロ圏でも

 一服感がある。雇用面では、求人数はこのところ緩やかに低下した。

 

日本の実質GDP成長率

○  20227-9月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比▲0.2%(年率▲0.8%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・ウィズコロナの下、感染状況がサービス消費を下押しする傾向は弱まっており、22年秋以降は概ねコロナ禍前より

 高い水準で推移している。

・足下の動向について、カード支出を見ると12月後半にかけて財・サービスともに改善しており、年末年始の交通機関

 の利用実績を見ても航空(国内線)や新幹線はコロナ禍前水準に近づいている。

・外食についても、忘年会等の自粛が続くことで居酒屋等では回復に遅れが見られるが、総じてみれば概ねコロナ禍前の

 水準を回復した。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、7+0.2%80.0%9+0.5%100.0%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、8+2.3%9月▲1.7%10月▲0.9%11月▲1.3%12+1.7%

11月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.1%となった。

 

物価

○ 国内企業物価・消費者物価は、ともに上昇している。

・輸入物価は、昨秋以降、国際商品市況が不安定ながらも下落し、円高が加わり下落した。国内企業物価は、輸入物価

 から遅れて変動することから、足下では引き続き上昇している。

・消費者物価について、品目別の価格変化の分布を見ると、上昇率ゼロの品目の割合が減少し、プラス幅の大きい品目の

 割合が増加した。また、当面は、食料品等の値上げが見込まれる。一方、1月に電気・ガス価格激変緩和対策事業が

 開始、支払い月の2月から電気・ガス代の引下げ効果が発現する見込みとなっている。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅建築費が上昇する中で持家着工は弱含んでいるが、貸家着工は、床面積の大きな賃貸住宅を中心に持ち直しの動き

 がみられる。

・金融環境を見ると、固定型の住宅ローン金利は上昇傾向となっている。一方、金利タイプ別割合を見ると、相対的に

 低利の変動金利型が多く、住宅ローン返済額の可処分所得に対する割合も低下傾向となっている。ただし、住宅ローン

 残高は増加しており、金利変動の影響には留意が必要である。

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、8+9.4%9月▲5.0%10+1.5%11月▲3.7%

・持家着工数は前月比で、8+3.1%9+1.9%10月▲6.6%11月▲1.0%

・貸家着工数は前月比で、8+7.9%9月▲1.1%10+3.5%11月▲4.5%

・分譲着工数は前月比で、8+14.6%9月▲13.7%10+4.5%11月▲2.6%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、7月▲9.0%(出来高▲0.4%)、8+1.4%(出来高+1.1%)、9+3.2%(出来高▲0.7%)、

 10月▲3.2%(出来高▲1.0%)、11月▲12.7%(出来高▲0.5%)、12+0.9%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。完全失業率は低水準で推移し、有効求人倍率は持ち直している。

・労働需給がタイト化する中で、パート募集時の平均時給が改善しており、一般労働者の現金給与総額を見ても、

 21年半ば以降、時給の改善が現金給与総額の増加に寄与している。

・処遇改善や会社の将来性不安を理由とした自発的な転職では、転職を通じて賃金の伸びは高まり、仕事に対する

 意欲も改善傾向となっている

・有効求人倍率は、71.2981.3291.34101.35111.35(正社員は1.04)となった。

・完全失業率は、62.6%72.6%82.5%92.6%102.6%112.5%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

○ 設備投資は、持ち直している。

・投資は、足下で、資本財総供給の持ち直しの動きに足踏みがみられるが、ソフトウェア投資は引き続き緩やかに

 増加した。企業による設備投資計画によると、設備投資意欲は引き続き強い。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

・ 倒産件数は、低い水準ではあるものの、このところ増加がみられる。

・ 中小企業の資金繰り環境は緩和的となっている。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20223+146+99+812+720233+6

  「大企業・非製造業」は、20223+96+139+1412+1920233+11

  「中小企業・製造業」は、20223月▲46月▲49月▲412月▲220233月▲5

  「中小企業・非製造業」は、20223月▲66月、▲19+212+620233月▲1

 

生産

 生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・輸送機械に持ち直しの動きがみられる一方、生産用機械(半導体製造装置等)の増勢が鈍化するなど、総じてみると

 持ち直しの動きに足踏み。

需要先を鉱工業出荷でみると、輸送機械工業は供給制約の影響で回復が遅れており、その他業種の輸出向けの出荷が

生産の増加に寄与している。

・鉱工業生産指数は前月比で、9月▲1.7%10月▲3.2%110.2%12月(予測)+2.8%1月(予測)▲0.6%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、8+6.2%9月▲1.8%10月▲5.4%11月▲6.0%

・電子部品・デバイスは前月比で、8月▲6.4%9+0.4%10月▲4.1%11+0.5%

   ・輸送機械は前月比で、8月▲1.0%9月▲10.3%10+4.5%11月▲0.5%

 

外需

○ 輸出は、このところ弱含んでいる。

・我が国の輸出は、アジア向けがこのところ減少し、全体として弱含みとなっている。

 一方、貿易収支を見ると、鉱物性燃料の輸入価格が下落し、赤字幅は縮小した。

・水際対策の緩和を受けて、12月の訪日外客数は2019年平均の半分程度まで回復した。1012月の訪日外国人消費額は

 国別に見ると、一人当たり消費額の増加により、一部で2019年水準を概ね回復している。

2000年半ば以降のサービス輸出の動向を見ると、デジタル関連サービスの伸び悩みなどから、世界に比べ成長に遅れが

 みられる。デジタル人材育成やスタートアップの支援等を通じたデジタル関連産業の競争力強化が重要である

○ 輸入は、このところ弱含んでいる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、8+1.79+2.910+1.511月▲1.812月▲0.2

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、8+6.69月▲0.210月▲2.811月▲1.3121.9

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、このところ弱さがみられる。

  先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、感染拡大の影響の長期化による下振れリスクに留意する

  必要がある。

 ・2210-12月期の実質GDP成長率(前期比)は0.0%となった。

・消費はこのところ弱含みとなっている。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・輸出はこのところ減少している。

・固定資産投資はこのところ弱含みとなっている。

・都市部調査失業率はこのところおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率は低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ低下した。

   ★ 中国の貿易措置緩和(18日~)

    ・新型コロナの感染症分類を引き下げ、隔離措置・濃厚接触者の判定・高リスク地域の設定等を取りやめ。

     感染者数は月に一度の発表に変更。

    ・医療機関における新型コロナ関連死者数は、128日~112日は59938人、11319日は1万2,658人と発表。

    ・当局は、本年の春節前後(17日~215)の旅客数を延べ20.95億人(2019年比29.7%減)と予測。

 

○ 韓国・台湾では、景気はこのところ弱い動きとなっている。

○ インド・タイでは、景気は持ち直している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融引締め

  に伴う影響等による下振れリスクの高まりに留意する必要がある。

20227-9月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率+3.2%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

12月の失業率は3.5%となった。

○ 生産はこのところ弱い動きとなっている。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数はおおむね横ばいとなっている。

○ 設備投資は緩やかに持ち直している。

○ コア物価上昇率は高水準でおおむね横ばいとなった。

○ 財輸出はこのところ弱い動きとなっている。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は緩やかに持ち直している。

   ドイツは、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・227-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.2% (イギリスは▲1.2%、ドイツは+1.6%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は上昇、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.9%12月)、イギリス+7.1%12月)。

○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

 

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスは弱含んでいる。

2022年

12月

21日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.12.21)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、

景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め

等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクと

なっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響や中国における感染動向に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は、中国、韓国等の一部の地域において足踏みがみられるものの、緩やかな持ち直しが続いている。

2023年の世界経済は欧米を中心に減速が見込まれている。

・感染再拡大の動きがみられる中国では消費や生産等の伸びが低下し、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。

 韓国では半導体需要の鈍化の影響等から輸出は弱い動きとなり、景気は弱い動きとなっている。

・欧米の失業率は引き続きおおむね横ばいとなっている。消費者物価の上昇テンポには各国差がみられだしたものの、

 総じて高く、物価安定に向けた金融引締めが継続している。

・今後とも金融資本市場の変動や物価上昇、供給制約等による下振れリスクの高まりに留意が必要である。

 

日本の実質GDP成長率

○  20227-9月期の実質GDP成長率は、前期比▲0.2%(年率▲0.8%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・カード支出の動向は、財が概ね横ばいである一方、サービス消費は、外食は持ち直しテンポが緩やかになっている

 ものの、旅行・宿泊は全国旅行支援等の政策効果もあり着実に持ち直しとなっている。

2022年は、ウィズコロナが進展したことで、感染拡大に伴う対面サービス消費の減少幅は、過去の感染拡大局面と

 比較して大幅に縮小した。

 こうした中、年末年始の旅行予約も昨年を上回る見通しとなっている。

・インバウンドも、水際対策の緩和によって観光目的の訪日外客が大幅に増加した。円安の環境もあり、旅行者一人

 当たりの消費額も、コロナ前の2019年に比べて大きく増加となっている。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、6+0.4%7+0.2%80.0%9+1.0%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、7月▲1.9%8+2.3%9月▲1.7%10月▲0.9%11月▲1.3%。 

10月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.0%となった。

 

物価

○ 国内企業物価・消費者物価ともに、上昇している。

輸入物価・輸出物価はともに下降した。

・国際商品市況は、引き続き不安定な動きが続いている中で、原油(円ベース)は足下ではロシアによるウクライナ

 侵攻前の水準まで低下している。

・国内企業物価は、足下では引き続き高い伸びとなっている。これまでの原油価格等の上昇が時間差を伴って価格に

 反映されること等から、電力・都市ガスのプラス寄与が高まっている。

・消費者物価も輸入物価に対して遅れて変動するため、足下では引き続き上昇している。

 こうした動向も背景に、消費者物価を品目別にみると、食料品を中心に約8割の品目で前年比上昇となるなど、

 物価上昇に広がりがみられる。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、7月▲2.4%8+9.4%9月▲5.0%10+1.5%

・持家着工数は前月比で、7月▲2.8%8+3.1%9+1.9%10月▲6.6%

・貸家着工数は前月比で、7月▲2.8%8+7.9%9月▲1.1%10+3.5%

・分譲着工数は前月比で、7月▲0.7%8+14.6%9月▲13.7%10+4.5%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、6+7.7%(出来高+2.6%)、7月▲9.0%(出来高▲0.4%)、8+1.4%(出来高+1.1%)、

 9+3.2%(出来高▲0.7%)、10月▲3.2%(出来高▲1.0%)、11月▲12.7%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

○ 一人当たり時給(所定内)は、賃上げの流れの定着・拡大、ウィズコロナの下での労働需要の高まりから、一般・

  パートともに緩やかに増加した。

○ 冬のボーナスは、連合の集計によれば、好調な企業収益を背景として前年比6.6%増と2年連続の高い伸びとなる

  見込みである。

○ 民間調査によると、全体の約25%の企業が月給への上乗せや一時金としての支給等を通じ、物価高に対応する手当

  を支給あるいは予定・検討している

   ・有効求人倍率は、61.2771.2981.3291.34101.35(正社員は1.03)となった。

   ・完全失業率は、52.6%62.6%72.6%82.5%92.6%102.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

   ・本年7-9月期の企業の経常利益は、前年同期比で7期連続の増益となっている。水準も7-9月期として過去最高となった。

    特に、円安による押上げ効果もあり製造業が伸びを牽引している。

○ 設備投資は、持ち直している。

○ 業況判断は、持ち直しの動きがみられる。

・ 特に、全国旅行支援やインバウンド再開を背景に非製造業で改善した。一方、原材料コストの上昇は企業の利益を

  圧迫しており、特に中小企業では影響が顕著となっている。

・ 製造業の疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)は、仕入価格の上昇が鈍化し、価格転嫁が徐々に進んで販売

  価格の上昇がみられる中、改善の動きがみられる。ただし、大企業に比べ中小企業が相対的に厳しい状況は継続して

  いる。

・ 倒産件数はおおむね横ばいとなっている。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20223+146+99+812+720233+6

  「大企業・非製造業」は、20223+96+139+1412+1920233+11

  「中小企業・製造業」は、20223月▲46月▲49月▲412月▲220233月▲5

  「中小企業・非製造業」は、20223月▲66月、▲19+212+620233月▲1

 

生産

 生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・製造業の生産は、輸出の動向と連動し、輸送機械は持ち直しの動きだが、電子部品・デバイスは世界的なPC・

 スマホ需要の一服等を背景にこのところ低下している。生産用機械では、受注が底堅い中で納期平準化の動きも

 あり、このところ増勢が鈍化している。

・世界の半導体市場予測は大幅に下方修正となった。長期的なニーズは底堅いものの、コロナ禍での拡大は一服した。

・鉱工業生産指数は前月比で、8+3.4%9月▲1.7%10月▲3.2%11月(予測)+3.3%12月(予測)+2.4%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、7+6.0%8+6.2%9月▲1.8%10月▲5.4%

・電子部品・デバイスは前月比で、7月▲9.2%8月▲6.4%9+0.4%10月▲4.1%

   ・輸送機械は前月比で、7+10.7%8月▲1.0%9月▲10.3%10+4.5%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・品目別にみると、自動車等の輸送機器は持ち直し傾向である一方、半導体等の電気機器及び化学製品は減少傾向と

 なっている。半導体製造装置等の一般機械はこのところ横ばいとなっている

○ 輸入は、おおむね横ばいとなっている。

○  貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、7月▲9.18+1.79+2.910+1.511月▲1.8

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月連続で下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、7月▲4.88+6.69月▲0.210月▲2.811月▲1.3

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

  先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、不動産市場の動向や経済活動の抑制の影響等を

  注視する必要がある。

 ・227-9月期の実質GDP成長率(前期比)は+3.9%となった。

・消費はこのところ弱含みとなっている。

・生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・輸出はこのところ弱い動きとなっている。

・固定資産投資はこのところ弱含みとなっている。

・都市部調査失業率はこのところ上昇している。

・消費者物価上昇率は低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はこのところ低下した。

 

○ 韓国では、景気はこのところ弱い動きとなっている。

○ インド・タイでは、景気は持ち直している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾では、景気はこのところ回復が弱まっている。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。

  ただし、金融引締めに伴う影響等による下振れリスクの高まりに留意する必要がある。

20227-9月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率+2.9%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

11月の失業率は3.7%となった。

○ 生産は底堅く推移している。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数も持ち直しの動きがみられる。

○ 設備投資は緩やかに持ち直している。

○ コア物価上昇率は高水準でおおむね横ばいとなった。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなった。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は緩やかに持ち直している。

   ドイツは、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態にある。

 ・227-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+1.3% (イギリスは▲0.7%、ドイツは+1.6%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはおおむね横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏は上昇、イギリスはおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.6%11月)、イギリス+7.0%11月)。

○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスは弱含んでいる。

2022年

11月

24日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.11.24)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、

景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め

等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクと

なっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は、緩やかな持ち直しが続いている。

20227-9月期の実質成長率は、アメリカは+0.6%、ユーロ圏は+0.2%となった。

・欧米の失業率は総じておおむね横ばいとなっている。消費者物価の上昇が続く中、物価安定に向けて速いテンポで金融

 引締めを実施している。

・英国では消費が弱含み、設備投資がこのところ横ばいとなるなど、景気は足踏みとなっている。

・台湾では半導体の需要鈍化の影響等から生産がこのところ弱い動きとなり、景気回復に弱まりがみられる。

・今後とも金融資本市場の変動や物価上昇、供給制約等による下振れリスクの高まりに留意が必要となる。

 

日本の実質GDP成長率

○  20227-9月期の実質GDP成長率は、前期比▲0.3%(年率▲1.2%)となった。

・個人消費や設備投資など民需を中心とした回復が続く一方、輸入が供給制約緩和に伴う反動増や一時的な要因による対外

 サービス支払い等により前期比で大幅増となり、全体としてはマイナスとなった。

・また、輸入価格上昇(交易条件悪化)により、国内の生産活動の対価として得られる所得が海外に流出する形(交易利得

 の減少)となり、その結果、実質GNI(国民総所得)の伸びは前期比▲0.7%と実質GDPの伸びを下回る。

 交易条件改善に向けては、価格転嫁や高付加価値化、省エネの推進などの取組が重要となる。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・ここ1年間では、ウィズコロナへ移行する中でサービス消費(飲食・宿泊・娯楽等)と半耐久財(洋服等)の回復が牽引

 している。他方で、サービス消費は依然コロナ前の水準を下回る。

10月にかけての動向をカード支出でみると、財は概ね横ばいである一方、サービスが回復することで、消費全体は実質

 ベースで増加している。週次データで直近の状況をみても、外出機会の増加や全国旅行支援等の政策効果もあり、外食・

 宿泊など対面サービスの回復が続く。

・他方、物価上昇の下で実質所得が制約され、マインドも低下する中、家計では消費の抑制が続いており、コロナ禍で生じた

 超過貯蓄はさらに積み上がっている。持続的な消費拡大に向けては、物価上昇に負けない賃上げの実現が重要となる。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、5+0.8%6+0.4%7+0.2%8月▲0.2%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、6月▲2.0%7月▲1.9%8+2.3%9月▲1.7%10月▲0.9%。 

9月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.2%となった。

 

物価

○ 国内企業物価・消費者物価ともに、上昇している。

輸入物価・輸出物価ともに上昇している。

・国内で生産された付加価値全体の物価動向を示すGDPデフレーターは、輸入デフレーターの上昇率に対して、価格転嫁

 の遅れもあって、消費や投資などの国内需要及び輸出のデフレーターの上昇率が下回っていることから、前年比マイナス

 で推移した。

・国際商品市況をみると、不安定な動きが続いている中ではあるが、原油価格等の上昇に一服感もみられる。

・こうした中で、輸入物価は足下で上昇テンポが鈍化。一方、これまでの輸入物価の上昇を背景に、国内企業物価と消費者

 物価は上昇した。

 日次ベースの指標で直近の動向をみると、食料品等の物価は11月に入ってさらに上昇しており、消費者物価は11月も上昇

 が続く見込みである。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、6+2.1%7月▲2.4%8+9.4%9月▲5.1%

・持家着工数は前月比で、6月▲2.0%7月▲2.8%8+3.1%9+1.9%

・貸家着工数は前月比で、6+2.2%7月▲2.8%8+8.0%9月▲1.3%

・分譲着工数は前月比で、6+5.9%7月▲0.7%8+14.6%9月▲13.7%

   公共投資は、底堅く推移している。

・請負金額は前月比で、5月▲2.0%(出来高+2.3%)、6+7.7%(出来高+2.6%)、7月▲9.0%(出来高▲0.4%)、

 8+1.4%(出来高+1.1%)、9+3.2%(出来高▲0.7%)、10月▲3.2%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

○ ハローワークの新規求人数は横ばいだが、有効求人倍率は引き続き上昇し、民間転職市場における求人倍率も上昇が続く

  など、労働需給は引き締まりを見せている。

   一人当たり賃金は、賃上げによる所定内給与の増加などから、前年比でプラスが継続。パート賃金も、ウィズコロナが進展

  して労働需要が高まる中で、これまでの最低賃金引上げによる押上げもあり、堅調な伸びとなった。

   また、転職により賃金が1割以上増加した者の割合は5四半期連続で上昇した。

 こうした流れの下、人への投資強化、成長分野への円滑な労働移動の促進等により、構造的な賃上げを実現することが重要

 となる

 ・有効求人倍率は、51.2461.2771.2981.3291.34(正社員は1.03)となった。

 ・完全失業率は、42.5%52.6%62.6%72.6%82.5%92.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

  ・20227-9月期の上場企業の決算は、製造業・非製造業ともに増収増益となり、経常利益は7-9月期としては過去最高となった。

      製造業で、売上高に比して営業利益の伸びが低いなど原材料価格上昇の影響はみられる一方、円安によって海外での収益が円建てで増加

      したことがプラス要因となった。

○ 設備投資は、持ち直している。

  ・好調な収益も背景とした企業の高い投資意欲の下、コロナ禍で先送りされていた能力増強の機械投資などによって、設備

投資は持ち直している。7-9月期の投資水準は、名目では過去ピークと同程度まで回復したが、実質では未だ低い水準で

あり、新しい資本主義の実現・成長力強化に向けた投資喚起が重要となる。

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・倒産件数はおおむね横ばいとなっている。

・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、202112+1820223+146+99+812+9

  「大企業・非製造業」は、202112+920223+96+139+1412+11

  「中小企業・製造業」は、202112月▲120223月▲46月▲49月▲412月▲5

  「中小企業・非製造業」は、202112月▲420223月▲66月、▲19+212月▲3

 

生産

 生産は、持ち直しの動きがみられる。

・製造業の生産は、輸出の動きと連動し、IC等の電子部品・デバイスが弱含みで推移する一方、供給制約の緩和に伴い

  輸送機械が回復しており、また、世界的に需要が堅調である半導体製造装置や建設・鉱山機械などの生産用機械が増加

  した。

  財別にみると、積極的な設備投資等を背景に、機械や建設資材などの投資財が堅調な伸びとなった。

・鉱工業生産指数は前月比で、7+0.8%8+3.4%9月▲1.7%10月(予測)▲0.4%11月(予測)+0.8%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、6+9.0%7+6.0%8+6.2%9月▲1.8%

・電子部品・デバイスは前月比で、6+11.6%7月▲9.2%8月▲6.4%9+0.4%

   ・輸送機械は前月比で、6+11.8%7+10.7%8月▲1.0%9月▲10.3%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・品目別にみると、世界的なスマホ・PC需要の一服等に伴い電気機器及び化学製品は減少傾向であるが、自動車等の

  輸送機器や一般機械では増加が続く

○ 輸入は、おおむね横ばいとなっている。

○  貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、6月▲1.17月▲9.18+1.79+2.910+1.5

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、6月▲4.97月▲4.88+6.69月▲0.210月▲2.8

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は一部に弱さが残るものの、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが

     期待される。ただし、不動産市場の動向や経済活動の抑制の影響等を注視する必要がある。

 ・227-9月期の実質GDP成長率(前期比)は+3.9%となった。

・消費はこのところ持ち直しのテンポが鈍化している。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出はこのところ増加のテンポが鈍化している。

・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。

・都市部調査失業率はおおむね横ばいとなっている。

・消費者物価上昇率は低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はおおむね横ばいとなっている。

  参考◎貿易措置の緩和(1111日発表)

   ★ 全国統一基準での防疫措置を徹底。

・基準を外れた恣意的な休校、生産停止、交通遮断、診察拒否等を厳禁。

・部品供給や生活保障に関わる重点企業には「ホワイトリスト」制度を実施。

・封鎖対象地域を「高リスク地域」に限定し、封鎖対象者数を最小化(※5日間感染者なしの場合、低リスク地域に移行し、

 速やかに封鎖を解除

・濃厚接触者の隔離期間を短縮(※「7日間の集中隔離+3日間の在宅健康観察」から「5日間の集中隔離+3日間の自宅隔離」

 に変更)、二次濃厚接触者は隔離措置の対象外。

 

○ 韓国では、景気は持ち直しに足踏みがみられる。

○ インド・タイでは、景気は持ち直している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾では、景気はこのところ回復が弱まっている。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な

  金融引締めが進む中での金融資本市場の変動や物価上昇、供給面での制約等による下振れリスクの高まりに留意する必要がある

20227-9月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率+2.6%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

10月の失業率は3.7%となった。

○ 生産は底堅く推移している。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数も持ち直しの動きがみられる。

○ 設備投資は緩やかに持ち直している。

○ コア物価上昇率は高水準でおおむね横ばいとなった。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は総じてみれば緩やかに持ち直している。

   ドイツは、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

 イギリスでは、景気はこのところ足踏み状態である。

 ・227-9月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+0.8%

 (イギリスは▲0.7%、ドイツは+1.1%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはこのところ低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.4%10月)、イギリス+7.2%10月)。

○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直しに足踏みがみられ、イギリスは横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ弱含んでいる。

2022年

10月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.10.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの新たな段階への移行が進められる中、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

○ 世界の景気は、緩やかな持ち直しが続いている。2022年成長見通しは、アメリカで下方修正となったが、 世界全体では変わらずプラス成長の

  見込みとなっている。

・足下、ドイツをはじめユーロ圏では消費に足踏みがみられるものの、欧米諸国の失業率は総じて概ね横ばいとなっている。

 先進国・新興国ともに消費者物価の上昇が続き、金融引締めが進展する中、金融資本市場には不安定な動きがみられる。

 今後も金融資本市場の変動や物価上昇、供給制約等による下振れリスクの高まりに留意が必要である。

・中国では共産党大会において、技術革新や安全保障などの経済関連方針が発表された。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・9月以降、外食や旅行・宿泊などサービス消費の改善が継続している一方、消費を取り巻く環境をみると、雇用情勢が

 改善し、賃上げの流れが定着・拡大する中、総雇用者所得は名目ではプラスだが、物価上昇により実質ではマイナスが

 続く。

・消費者マインドも物価上昇を背景に弱含んでおり、低所得層ほどマインドが低い状況となっている。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、4+1.1%5+0.8%6+0.4%70.0%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、5+1.1%6月▲2.0%7月▲1.9%8+2.3%9月▲1.7%。 

8月の実質総雇用者所得は、前期比で0.0%となった。

 

物価

○ 国内企業物価・消費者物価ともに、上昇している。

輸入物価・輸出物価ともに上昇している。

・国際商品市況は、世界的な金融引締め等を背景に不安定な動きが続く中、足下では円安も進行している。こうした動き

 を受け、国内企業物価も引き続き上昇となった。

・消費者物価は、エネルギーや食料品を中心に9月は3.0%(総合)と引き続き高い伸びとなあっている。スーパー等の

 POSデータから、食料品について日次の物価動向をみると10月に入って更に上昇率が高まっていることなどから、

 消費者物価は10月も上昇が見込まれる。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、5月▲6.5%6+2.1%7月▲2.4%8+9.4%

・持家着工数は前月比で、5+1.4%6月▲2.0%7月▲2.8%8+3.1%

・貸家着工数は前月比で、5月▲4.6%6+2.2%7月▲2.8%8+8.0%

・分譲着工数は前月比で、5月▲15.4%6+5.9%7月▲0.7%8+14.6%

   公共投資は、底堅さが増している。

・請負金額は前月比で、4月▲3.4%(出来高+1.7%)、5月▲2.0%(出来高+2.3%)、6+7.7%(出来高+2.6%)、

 7月▲9.0%(出来高▲0.4%)、8+1.4%(出来高+1.1%)、9+3.2%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

○ 8月の失業率は低下し、就業者数は概ね横ばいの動きとなっている。

○ 有効求人倍率の上昇は継続している。日銀短観9月調査によると、企業の雇用人員判断は不足感が高まっており、特に、

  ウィズコロナの下で消費の改善が続く宿泊・飲食では、春以降の不足感の高まりが顕著となっている。

○ 一人当たり賃金は、前年比でプラスが継続している。堅調だった夏のボーナスと、賃上げによる所定内給与増の寄与が

  大きい。成長と分配の好循環の実現に向け、引き続き、賃上げの流れの継続・拡大が重要である。

  ・有効求人倍率は、41.2351.2461.2771.2981.32(正社員は1.02)となった。

  ・完全失業率は、32.6%42.5%52.6%62.6%72.6%82.5%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

○ 設備投資は、持ち直している。

・日銀短観9月調査によると、今年度の企業の設備投資計画は引き続き二桁の伸びと高い水準となった(前回6月調査から

 上方修正)。

・機械投資も、先行指標である機械受注とともに持ち直している。非居住用の建設投資も、運輸業の倉庫や製造業の工場

 の新設などにより増加傾向となっている。

・各社の個別案件をみても、コロナ禍で先送りされていた能力増強や国内生産の強化、デジタル化や脱炭素など、様々な

     前向きな取組が表れている。

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

  ・日銀短観9月調査によると、非製造業ではウィズコロナの進展 により前回6月調査から改善した一方、製造業では物価高

    の下で横ばいとなった。特に中小企業の製造業では、引き 続き「悪い」が「良い」を上回って推移している。

  ・ 製造業の疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)は、仕入価格の上昇ペースが鈍化し、価格転嫁が進展して販売

    価格が上昇したことで、わずかに改善した。ただし、大企業に比べ中小企業が相対的に厳しい状況は継続している。

  ・こうした中、今年度の経常利益計画は、中小企業において前年度比でマイナスとなった。引き続き、価格転嫁が課題となっ

    ている。

  ・倒産件数はおおむね横ばいとなっている。

  ・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、202112+1820223+146+99+812+9

    「大企業・非製造業」は、202112+920223+96+139+1412+11

    「中小企業・製造業」は、202112月▲120223月▲46月▲49月▲412月▲5

    「中小企業・非製造業」は、202112月▲420223月▲66月、▲19+212月▲3

 

生産

 生産は、持ち直しの動きがみられる。

・製造業の生産は、ICなどの電子部品・デバイスが弱含みに転ずる一方、生産用機械が増加しており、全体として持ち直し

  の動きがみられる。

  財別にみると、企業の前向きな投資行動等を背景に、機械や建設資材などの投資財が堅調な伸びがみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、6+9.2%7+0.8%8+3.4%9月(予測)+2.9%10月(予測)+3.2%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、5月▲5.0%6+9.0%7+6.0%8+6.2%

・電子部品・デバイスは前月比で、5月▲4.2%6+11.6%7月▲9.2%8月▲6.4%

・輸送機械は前月比で、5月▲7.4%6+11.8%7+10.7%8月▲1.0%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・品目別にみると、生産関連の機械や自動車で増加傾向がみられる一方、世界的なスマホ・PCの需要一服等を背景に

  半導体等電子部品やプラスチック等が減少傾向となった

○ 輸入は、おおむね横ばいとなっている。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

  参考 我が国の経常収支は、リーマンショック以降、所得収支に支えられ、貿易中心から投資中心に変化。貿易収支は概ね均衡する下、輸出の増加

         要因は数量から付加価値へと変化した。こうした中、2022年以降、エネルギー輸入は価格上昇を要因に輸入額が大幅に増加し、これに伴い、

         貿易収支も経常収支も赤字化となった。経常収支の改善には、エネルギー構造の改善、知財等を含むサービス輸出の強化、円安を活かした

         輸出拡大が重要となる。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、5+3.66月▲1.17月▲9.18+1.79+2.9

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月ぶりに下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、5+2.26月▲4.97月▲4.88+6.69月▲0.2

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は一部に弱さが残るものの、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが

      期待される。ただし、不動産市場の動向や金融資本市場の変動、経済活動の抑制の影響等を注視する必要がある。

 ・224-6月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+0.4%となった。

・消費は持ち直しの動きがみられる。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出は緩やかに増加している。

・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。

・都市部調査失業率は低下している。

・消費者物価上昇率はこのところ低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はおおむね横ばいとなっている。

○ 韓国では、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

○ インド・タイでは、景気は持ち直している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾では、景気はこのところ回復に足踏みがみられる。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融引締め

      に伴う影響等による下振れリスクの高まりに留意する必要がある

20224-6月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率▲0.6%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

9月の失業率は3.5%となった。

○ 生産は底堅く推移している。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数は弱い動きとなっている。

○ 設備投資はこのところ横ばいとなっている。

○ コア物価上昇率は高水準でおおむね横ばいとなった。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は総じてみれば緩やかに持ち直している。

   ドイツは、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

イギリスでは、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

 ・224-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+3.3%

 (イギリスは▲0.3%、ドイツは+0.6%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏は横ばいとなっている。イギリスはこのところ低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+6.0%9月)、イギリス+7.1%9月)。

○ 輸出は、ユーロ圏はこのところ持ち直しに足踏みがみられ、イギリスは横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ弱含んでいる。

2022年

9月

30日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.9.30)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、ウィズコロナの新たな段階への移行が進められる中、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

世界の景気は、緩やかな持ち直しが続いている。欧米主要国の2022年成長見通しは下方修正となったものの、総じてプラス成長となる見込みと

 なっている。

・失業率は総じておおむね横ばい。欧米の消費者物価は上昇が続いており、物価安定に向けて速いテンポで金融引締めを実施。

 ただし、金融資本市場の変動や物価上昇、供給制約等による下振れリスクの高まりに引き続き留意が必要である。

・英国では消費は弱含んでおり、景気は持ち直しに足踏み。世界的な物価上昇の下で半導体の需要鈍化の影響等から韓国や

 台湾では製造業の景況感が低下し、景気に足踏みが見られる。

 

日本の実質GDP成長率

20224-6月期(2次速報)の実質GDP成長率は、前期比+0.9%(年率+3.5%)となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・足下では、夏場の感染拡大が落ち着きを見せる中で、外食売上や宿泊稼働率も改善の動きとなっている。

・雇用が改善し、賃上げの流れが定着・拡大する中、総雇用者所得は名目ではプラスだが、物価上昇により実質ではマイナス

 となり、消費者マインドも弱含みとなっている。

・家計の消費支出をみると、エネルギー・食料品関連の支出は物価上昇に伴い2019年比でプラスとなっている一方、その他の

 支出はマイナスであり、低所得者層を中心に節約傾向が継続している。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、3+0.2%4+1.1%5+0.8%6+0.4%

  ・消費者態度指数(DI)は前月差で、4+0.2%5+1.1%6月▲2.0%7月▲1.9%8+2.3%。 

  ・7月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.8%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、上昇している。

・国際商品市況は、本年半ば以降、欧米の金融引締め等を背景に下落の動きもみられるなど不安定な動きが続く中、足下では

 円安も進行している。

○ 消費者物価は、8月は前年比+3.0%(総合)と引き続き高い伸びであり、サービス価格もプラスに転じた。物価上昇はエネルギーや食料品といった

   必需品に顕著に現れている。今後も食料品を中心に値上げが予定されており、また、電気代等は市況の動きを時差を伴って反映することから、消費者

   物価の上昇は続くと見込まれる。 

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・建設コストの上昇等を背景に持ち家の着工は弱い動きだが、貸家及び分譲の着工は底堅い動きとなっている。

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、4月▲4.6%5月▲6.5%6+2.1%7月▲2.4%

・持家着工数は前月比で、4月▲2.3%5+1.4%6月▲2.0%7月▲2.8%

・貸家着工数は前月比で、4月▲11.8%5月▲4.6%6+2.2%7月▲2.8%

・分譲着工数は前月比で、43.2%5月▲15.4%6+5.9%7月▲0.7%

   公共投資は、底堅さが増している。

・請負金額は前月比で、3+13.6%(出来高+0.8%)、4月▲3.4%(出来高+1.7%)、5月▲2.0%(出来高+2.3%)、6+7.7%

(出来高+2.6%)、7月▲9.0%(出来高▲0.4%)、8+1.4%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

○ 失業率は、7月はおおむね横ばいとなった。失業率・就業者数は足下で概ね横ばいだが、就業率は女性雇用者の増加等によって上昇傾向が継続

      した。

○ 一人当たり賃金は、前年比でプラスが継続。夏のボーナス(6-7月平均)は、2018年以来の前年比プラスとなった。好調な収益を背景に、規模が

     大きい企業ほどプラス幅が大きい。成長と分配の好循環の実現に向け、引き続き、賃上げの流れの継続・拡大が重要である。

   ・有効求人倍率は、31.2241.2351.2461.2771.29(正社員は1.01)となった。

   ・完全失業率は、22.7%,32.6%42.5%52.6%62.6%72.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

   20224-6月期の企業の経常利益は、大中堅企業を中心に増加し、全体としては過去最高水準となった。他方、中小企業では

      前年同期比・前期比ともにマイナスとなっている。

    ・特に、製造業をみると、大中堅企業では営業利益が微減となる中、円安に伴う為替差益等(営業外収支)が経常利益を押上げ

     ている。一方、中小企業では、原材料高を十分に価格転嫁できずに営業利益が大きく減少した。

  ・円安による営業外収支の押上げも少ない。中小企業の収益力強化に向けては、価格転嫁、輸出促進を含めた販路拡大等が課題

    である

○ 企業の設備投資は、デジタル化等の流れを受けたソフトウェア投資の増加が牽引する中、持ち直しの動きが見られる。

・機械投資も、特に先行指標である機械受注が持ち直した。企業規模別にみると、好調な収益を背景に大中堅企業の投資は

  20224-6月期に前期比で大きくプラスとなった一方、中小企業ではマイナス。収益改善と投資拡大に向けた取組、そのため

  にも価格転嫁が引き続き重要である。

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・ 倒産件数はおおむね横ばいとなっている。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20219+1812+1820223+146+99+10

  「大企業・非製造業」は、20219+212+920223+96+139+13

  「中小企業・製造業」は、20219月▲312月▲120223月▲46月▲49月▲5

  「中小企業・非製造業」は、20219月▲1012月▲420223月▲66月、▲19月▲5

 

生産

 生産は、持ち直しの動きがみられる。

・製造業の生産は、ICなどの電子部品・デバイスが横ばいに転じる一方、設備投資向けの資本財は緩やかに増加しており、

  全体として持ち直しの動きとなった。

・鉱工業生産指数は前月比で、5月▲7.5%6+9.2%7+0.8%8月(予測)+5.5%9月(予測)+0.8%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、4月▲2.7%5月▲5.0%6+9.0%7+6.0%

・電子部品・デバイスは前月比で、4月▲6.6%5月▲4.2%6+11.6%7月▲9.2%

   ・輸送機械は前月比で、4月▲0.1%5月▲7.4%6+11.8%7+10.7%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・自動車は供給制約の緩和から持ち直しているが、世界的なPC・スマホ需要の一服等を背景にICは弱含みとなっている。

我が国最大の輸出先の一つである米国向け輸出の動向をみると、日本は相対的に伸び悩みとなっている。EUは医療用品

  の化学工業製品の寄与が高い。日本は半導体製造装置、建設用・鉱山用機械等の機械機器に競争力を有するが、主力の自動車

  がマイナスに寄与した。

○ 輸入は、持ち直しの動きがみられる。

○  貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月ぶりに上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、4+2.65+3.66月▲1.17月▲9.18月+1.7

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月ぶりに上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、4+0.25+2.26月▲4.97月▲4.88+6.6

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は一部に弱さが残るものの、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待

      される。ただし、不動産市場の動向や金融資本市場の変動、経済活動の抑制の影響等を注視する必要がある。

 ・224-6月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+0.4%となった。

・消費は持ち直しの動きがみられる。

・生産は、持ち直しの動きがみられる。

・輸出は緩やかに増加している。

・固定資産投資は伸びがおおむね横ばいとなっている。

・都市部調査失業率は低下している。

・消費者物価上昇率はこのところ低下している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はおおむね横ばいとなっている。

○ 韓国では、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

○ インド・タイでは、景気は持ち直している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾では、景気はこのところ回復に足踏みがみられる。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは景気は緩やかな持ち直しが続いている。 先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う

      影響等による下振れリスクの高まりに留意する必要がある

20224-6月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率▲0.6%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

8月の失業率は3.7%となった。

○ 生産はおおむね横ばいとなっている。

○ 消費は緩やかながらも持ち直しの動きがみられ、自動車販売台数は弱い動きとなっている。

○ 設備投資はこのところ横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は一部でテンポの鈍化がみられるものの持ち直している。

イギリスでは、景気はこのところ持ち直しに足踏みがみられる。

ドイツは、景気は緩やかな持ち直しが続いている。

 ・224-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+3.1%

 (イギリスは▲0.3%、ドイツは+0.6%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ弱含んでいる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともにこのところ横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+5.5%8月)、イギリス+6.7%8月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直し、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

 

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

 

2022年

8月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.8.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が

進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待

される。ただし、世界的に金融引き締め等を背景とした海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇による家計や企業への影響や供給面での制約に十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

世界の景気は、持ち直しのテンポが鈍化している。

・失業率が低下傾向で推移する一方、世界的な物価上昇、金融引締めが進む中で、46月期GDPは、アメリカ、イギリス、ドイツ

 などでマイナスとなった。

・アメリカでは、個人消費はプラスが続く一方、金利上昇等を背景に、住宅投資、設備投資はマイナスとなった。

・ユーロ圏は、旅行や宿泊などのサービス消費は底堅い動きがうかがえる。

・足下にかけて、物価上昇への懸念等を背景に、欧米の消費者や製造業企業のマインドは低下傾向となっている。

 金融引締めの進展や一層の物価上昇、供給面での制約等による先行きの下振れリスクには留意が必要である。

 

日本の実質GDP成長率

20224-6月期(1次速報)の実質GDP成長率は、前期比+0.5%(年率+2.2%)となった。

・感染対策と経済社会活動の両立維持を背景に対人サービスなど個人消費が増加し、企業収益が改善する中で設備投資も増加する

 など、民需中心にプラス成長となった。

○ 実質GDPはコロナ前(1910-12月)の水準を回復した。

・需要項目別にみると、輸出や個人消費がコロナ前を上回る一方、設備投資は下回っている。

○ 実質GDP(国内総生産)が増加する一方、その対価として得られる所得は、輸入価格上昇(交易条件悪化)により海外に流出する形(交易損失)となり、

   実質GNI(国民総所得)は減少した。輸出競争力向上や省エネ進展などによる交易条件改善の観点からも、設備投資の回復が課題である。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・一部に感染拡大による影響はみられるものの、新車販売が2か月連続で増加するほか、お盆期間の交通機関の利用の高まり、

 3年ぶり開催の夏祭り等のイベントが全国各地で実施されるなど、ウィズコロナの下での活動が進展し、消費回復の動きに幅広

 さがみられる。

・雇用が改善し、賃上げの流れが継続・拡大する中、総雇用者所得は名目では増加している一方、物価上昇によって実質では前年比

 マイナスとなった。こうした中、感染拡大も相まって、消費者マインドは低下した。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、2月▲0.7%3+0.2%4+1.1%5+1.1%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、3月▲2.4%4+0.2%5+1.1%6月▲2.0%7月▲1.9%

6月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.1%となった。

 

物価

○ 国内企業物価は、上昇している。

・国際商品市況は、本年半ば以降、欧米の金融引締めや中国の防疫措置等を背景に下落がみられるなど不安定な動きとなって

 いる。

 国内企業物価は、石油製品や非鉄金属はこうした動きを受け、上昇が鈍化した。

・一方、電気代等は燃料費調整制度の下で市況の動きを時差を伴って反映するため、当面は上昇する見込みである。

○ 消費者物価は、エネルギーや食料品を中心に7月も前年比+2.6%(総合)と引き続き高い伸びとなった。今後も食料品を中心に値上げが予定されて

   おり、消費者物価の上昇は当面続くと見込まれる。 

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、3+6.3%4月▲4.6%5月▲6.5%6+2.1%

・持家着工数は前月比で、3月▲0.1%4月▲2.3%5+1.4%6月▲2.0%

・貸家着工数は前月比で、3+18.7%4月▲11.8%5月▲4.6%6+2.2%

・分譲着工数は前月比で、3月▲2.7%43.2%5月▲15.4%6+5.9%

   公共投資は、底堅さが増している。

    ・請負金額は前月比で、2+0.7%(出来高▲0.7%)、3+13.6%(出来高+0.8%)、4月▲3.4%(出来高+1.7%)、5月▲2.0%

(出来高+2.3%)、6+7.7%(出来高+2.6%)、7月▲9.9%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

○ 失業率は、6月は横ばいとなった。就業者数は増加傾向が継続している。

○ 一人当たり賃金は、6月は夏季賞与の大幅なプラスを受け前年比で大きくプラスとなった。過去20年間で2番目に高い賃上げとなった春季労使交渉、

  過去最大の最低賃金引上げなど、賃上げモメンタムが継続している。

○ 学び直しや労働移動も賃金・所得の上昇に貢献した。OFF-JTと自己啓発を両方実施する者は、片方のみの者に比べ、年収増加が明確となった。

  正社員(40代以下)は転職を通じて平均的に年収が増加、また、足下では転職により賃金が1割以上増加した者の割合は4四半期連続で上昇した。

   ・有効求人倍率は、21.2131.2241.2351.2461.27(正社員は0.99)となった。

   ・完全失業率は、22.7%,32.6%42.5%52.6%62.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

   20224-6月期の上場企業の経常利益(※注;非製造業について、特殊要因(金融関連)による振れを控除したベースは、製造業・非製造業とも

     に増益となり、水準も4-6月期として過去最高となった。本業の利益である営業利益には原材料価格上昇や供給制約による下押し

     の影響がある一方、為替差益等による営業外収益が押し上げの要因となった。

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

   ・企業の設備投資マインドは前向きとなっている。

     コロナ禍・供給制約下で先送りしていた能力増強投資のほか、脱炭素化・デジタルを活用した自動化など重点分野に向けた投資

     意欲も高い。

    他方、脱炭素化やイノベーションにおいては人材不足が課題であり、人的資本の蓄積に向けた取り組みも重要となっている

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

  ・倒産件数はおおむね横ばいとなっている。

  ・業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

  「大企業・製造業」は、20219+1812+1820223+146+99+10

  「大企業・非製造業」は、20219+212+920223+96+139+13

  「中小企業・製造業」は、20219月▲312月▲120223月▲46月▲49月▲5

  「中小企業・非製造業」は、20219月▲1012月▲420223月▲66月、▲19月▲5

 

生産

 生産は、持ち直しの動きがみられる。

・生産は、中国のロックダウンの影響によって生じていた減産が概ね解消されるなど、持ち直しの動きがみられる。

・世界的な半導体不足の状況は当面続くと考えられるものの、世界的な物価上昇の下でスマホ・PC需要に鈍化の動きもあり、足下

  では国内の在庫率も高まっている。こうした中、世界の半導体市場の成長見通しを下方改定する見方もある。

・鉱工業生産指数は前月比で、4月▲1.5%5月▲7.5%6+9.2%7月(予測)+3.8%8月(予測)+6.0%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、3+3.9%4月▲2.7%5月▲5.0%6+9.0%

・電子部品・デバイスは前月比で、3+2.0%4月▲6.6%5月▲4.2%6+11.6%

・輸送機械は前月比で、3月▲5.1%4月▲0.1%5月▲7.4%6+11.8%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・アジアや欧州向けは持ち直しの動きがみられる一方、アメリカ向けは概ね横ばい。引き続き、海外景気の動向に注意が必要で

  ある。

○ 輸入は、持ち直しの動きがみられる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、3+10.14+2.65+3.66月▲1.17月▲9.1

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、2か月連続で下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、3+5.74+0.25+2.26月▲4.97月▲4.8

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は一部に弱さが残るものの、このところ持ち直しの動きがみられる。先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが

  期待される。ただし、経済活動の抑制の影響や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

 ・224-6月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+0.4%となった。

・消費はこのところ持ち直しの動きがみられる。

・生産は、このところ持ち直しの動きがみられる。

・輸出は増加している。

・固定資産投資は伸びが低下している。

・消費者物価上昇率は上昇している。

・製造業購買担当者指数(PMI)はおおむね横ばいとなっている。

○ 韓国では、景気は持ち直しのテンポが鈍化している。

○ インド・タイでは、景気は持ち直している。

○ インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。

○ 台湾では、景気は回復のテンポが鈍化している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直しのテンポが鈍化している。先行きについては、緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、

 金融引き締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。

20224-6月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率▲0.9%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

7月の失業率は3.5%となった。

○ 生産はおおむね横ばいとなっている。

○ 消費は持ち直しのテンポがこのところ鈍化、自動車販売台数はこのところ弱い動きとなっている。

○ 設備投資はこのところ横ばいとなっている。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は一部でテンポの鈍化がみられるものの持ち直している。

イギリス・ドイツは、持ち直しのテンポが鈍化している。

 ・224-6月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+2.5%

 (イギリスは▲0.3%、ドイツは▲0.1%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏は持ち直しに足踏みがみられ、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともにこのところ横ばいとなっている。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+5.1%7月)、イギリス+6.6%7月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直し、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

 

2022年

7月

26日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.7.26)

基調判断

〈現状〉

・景気は、緩やかに持ち直している。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が

進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待

される。ただし、世界的に金融引き締めが進む中での金融資本市場の

変動や原材料価格の上昇、供給面での制約等による下振れリスクに十分注意する必要がある。

 

 

世界経済

世界の景気は、中国において足踏みがみられるものの、持ち直している。

・欧米では失業率が引き続き低下傾向となっている。景気の持ち直しの進展に伴う世界的な需給引締まりに、ウクライナ情勢を

  受けた国際商品市況の高騰等が相まって、消費者物価が一段と上昇した。この下で、世界的に金融引締めが進展した。

・欧米では、サービス消費の持ち直し等を背景に非製造業の景況感は高めに推移する一方、コスト上昇や供給制約等から、製造業

  の景況感は低下した。株価が不安定に推移するなど、世界経済の不確実性に高まりがみられる。

・中国では厳しい防疫措置の影響により2246月期の実質GDP成長率が大きく低下した。企業の景況感、消費・生産は4月に

 大きく低下したが、56月にかけて改善した。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、緩やかに持ち直している。

・外食や旅行等のサービス消費は持ち直しが続く。宿泊者数に加え、7月の交通機関の利用実績も、上昇傾向が続く。

・百貨店の販売額は、人出の増加に伴って改善。高額品や外出増加に伴う衣類等を中心に好調との声が聞かれる。

・物価上昇により、食料・光熱費等の生活必需品への支出がコロナ前を上回る一方、その他への支出はコロナ前を下回り、低所得世帯を中心に節約

 志向の動きがみられる。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、1月▲0.6%2月▲0.7%3+0.2%4+0.7%

       ・消費者態度指数(DI)は前月差で、2月▲1.3%3月▲2.4%4+0.2%5+1.1%6月▲2.0%。 

        ・5月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.1%となった。

 

物価

○ 原材料価格上昇等により、国内企業物価は、6月は前年比+9.2%と上昇が続く。

・我が国の生産者物価を需要段階別にみると、原材料等の上昇に対し、中間需要や最終需要では相対的に上昇幅が小さい。引き続き価格転嫁が

  課題となっている。

一方、アメリカでは、中間需要、最終需要ともに上昇した。

○ 消費者物価は、エネルギーや食料品の値上げを背景に上昇した。6月の前年比は+2.4%と引き続き高い伸び(総合)。民間調査によれば、今後も

     食料を中心に値上げが予定されており、8月以降も食品の多くの品目で値上げが続くと見込まれる。 

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、賃貸マンションや分譲マンションの需要増加を反映し、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、2+6.4%3+6.3%4月▲4.6%5月▲6.5%

・持家着工数は前月比で、2+2.6%3月▲0.1%4月▲2.3%5+1.4%

・貸家着工数は前月比で、2+1.3%3+18.7%4月▲11.8%5月▲4.6%

・分譲着工数は前月比で、2+17.7%3月▲2.7%43.2%5月▲15.4%

   公共投資は、このところ底堅い動きとなっている。

・請負金額は前月比で、221月▲2.4%(出来高▲2.0%)、2+0.7%(出来高▲0.7%)、3+13.6%(出来高+0.8%)、4月▲3.4%(出来高+3.2%)、

 5月▲2.0%(出来高+2.9%)、6+7.7%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直している。

○ 就業者数は増加傾向にあり、失業率は低下傾向となっている。就業率(就業者数/15歳以上人口)も、主に女性の正規雇用の増加により、コロナ

     前を上回る水準まで上昇した。

○ 雇用の過不足感が、宿泊・飲食サービスを中心に幅広い業種で不足超となる中で、ハローワークによるネット経由の日次有効求人も、引き続き増加

     して いる。

○ 総雇用者所得は、雇用者数の増加や賃金の上昇により、名目では前年比プラスとなる一方で、物価上昇の影響で、実質では前年比マイナスと

     なった。2022年春季労使交渉について、賃上げ率は2.07%と昨年を上回った。

民間機関の調査によると、夏のボーナスも、前年比で大幅なプラスとなる見込みである。

       ・有効求人倍率は、10.2021.2131.2241.2351.24(正社員は0.98)となった。

・完全失業率は、122.7%12.8%22.7%,32.6%42.5%52.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

   ・企業の景況感は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。日銀短観6月調査によると、中国の活動制限に伴う供給制約や原材料高を背景に、製造業

        では幅広い業種で前回3月調査から小幅に悪化した。一方、非製造業では、経済活動の回復により、宿泊・飲食サービスなどを中心に小幅に改善

        した。

       ・2022年度の経常利益は、宿泊・飲食サービスの黒字転化が見込まれていることもあり、非製造業では2021年度と同程度の利益が見込まれている。

        一方、多くの製造業では、前年度比マイナスの見込みとなった。

       ・製造業を中心に、仕入価格DIが大幅に上昇しており、価格転嫁の程度を表す疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)は厳しい状況が続く。

         引き続き賃上げと価格転嫁が重要となる。

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

      ・設備の過不足感は、日銀短観6月調査によると、製造業・非製造業ともに概ね解消したものの、設備投資はコロナ前に比べて、依然として低い水準と

         なった。2022年度の設備投資計画は、引き続き前年より増加し、特にソフトウェア投資が大きく増加する見込みとなっている。

   ・業種別にみると、各種機械製造業やサービス業などで前年度比大幅プラスとなった。

   ・売上対比でみた設備投資計画は、過去に比べて積極的であり、今後の売上改善が積極的な設備投資につながることを期待したい

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・ 倒産件数はおおむね横ばいとなっている。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20219+1812+1820223+146+99+10

    「大企業・非製造業」は、20219+212+920223+96+139+13

    「中小企業・製造業」は、20219月▲312月▲120223月▲46月▲49月▲5

        「中小企業・非製造業」は、20219月▲1012月▲420223月▲66月▲19月▲5

 

生産

 生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・供給制約等により、輸送機械は持ち直しに足踏みがみられる。

  また、電子部品・デバイスや生産用機械も、中国の活動制限の影響が残り、増勢が鈍化した。

  工作機械受注は、内需が底堅い一方で、中国等のアジア向けの外需には足踏み感がみられる。

・鉱工業生産指数は前月比で、3+0.3%4月▲1.5%5月▲7.5%6月(予測)+12.0%7月(予測)+2.5%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、2月▲0.6%3+3.9%4月▲2.7%5月▲5.0%

・電子部品・デバイスは前月比で、2月▲0.7%3+2.0%4月▲6.6%5月▲4.2%

   ・輸送機械は前月比で、2+14.8%3月▲5.1%4月▲0.1%5月▲7.4%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・アメリカや欧州向けは、持ち直しの動きがみられる一方、アジア向けは横ばいとなっている。

○ 輸入は、持ち直しの動きがみられる。

・内需の底堅さやアジアからの輸入の堅調さを反映して、持ち直しの動きがみられる。中国の活動制限の影響の緩和などから下げ止まりとなった。

○  貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、4か月ぶりに下降した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、2月▲0.23+10.14+2.65+3.66月▲1.1

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、5か月ぶりに下降した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、2+1.93+5.74+0.25+2.26月▲4.9

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は一部地方での経済活動の抑制の影響が残るものの、このところ持ち直しの動きがみられる。

   先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、当面は一部地方での経済活動の抑制の影響が続くと見込ま

   れる。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

   ・224-6月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+0.4%となった。

・消費はこのところ持ち直しの動きがみられる。

・生産は、このところ持ち直しの動きがみられる。

・輸出は増加している。

・固定資産投資はこのところ伸びやや低下している。

・消費者物価上昇率は上昇している。

・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きがみられる。

○ 韓国・インド・インドネシアでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復のテンポが鈍化している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。

   ただし、金融引き締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。

20221-3月期のGDP成長率(3次推計値)は、前期比年率▲1.6%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

 ・6月の失業率は3.6%となった。

○ 生産はおおむね横ばいとなっている。

○ 消費は緩やかに持ち直し、自動車販売台数はこのところ弱い動きとなっている。

○ 設備投資は緩やかに増加した。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は一部で厳しい状況が残る中で持ち直している。

 イギリスは、持ち直している。

   ・221-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+2.0%

   (イギリスは+3.1%、ドイツは+0.9%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+4.6%6月)、イギリス+6.1%6月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直し、イギリスはこのところ増加している。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

 

 

2022年

6月

20日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.6.20)

基調判断

〈現状〉

・景気は、持ち直しの動きがみられる。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が

進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待

される。ただし、ウクライナ情勢の長期化や中国における経済活動抑制の影響などが懸念される中での原材料価格の上昇や供給面での制約に

加え、金融資本市場の変動等による下振れリスクに十分注意する必要がある。

 

 

世界経済・ウクライナ情勢

世界の景気は、中国において足踏みがみられるものの、持ち直している。

・OECD見通しでは22年の世界成長率は3.0%と、コロナ禍前と同程度の見込みとなった。

ただし、ウクライナ情勢を背景に成長率は下方修正した。

  ・OECD諸国の22年のインフレ率は8.8%34年ぶりの高い伸びとなる見込みである。

・足下の消費者物価は、欧米では前年比89%と、一段と上昇した。

・失業率は引き続き低下傾向となった。この下で、世界的に金融政策の正常化が引き続き進展した。

・ウクライナ情勢の長期化が懸念される中で、エネルギー、食料価格は引き続き高水準で不安定な動きとなった。

・中国では、厳しい防疫措置が徐々に緩和される中で、生産、消費は引き続き伸びが足踏みとなった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、このところ持ち直しの動きがみられる。

・外食や旅行等のサービス消費は持ち直しが続く。ただし、旅行では居住地から近隣県への旅行の回復が中心となっている。

・街角の景況感は、物価上昇への懸念もある一方、人出の増加や夏季の行事・旅行への期待等から上昇した。

・直近まで個人消費を週次の消費金額でみると、6月にかけても概ね平年を上回る水準となった。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、12+0.1%1月▲0.6%2月▲0.7%3+0.2%

      ・消費者態度指数(DI)は前月差で、1月▲1.8%2月▲1.3%3月▲2.4%4+0.2%5+1.1%。 

     4月の実質総雇用者所得は、前期比で▲0.3%となった。

 

物価

○  ウクライナ情勢等を背景とする原材料価格上昇等により、国内企業物価は5月は前年比9.1%上昇が続いており、価格上昇品目にはさらなる広がりが

     みられる。

   消費者物価は、エネルギーや食料品の値上げを背景にこのところ上昇している。

・4月は、携帯通信料引下げ効果の剥落もあり、前年比2.5%と約30年ぶりの高い伸び(総合)となった。

・ただし、G20諸国の半数程度が7%以上となる一方、日本は下位3番目であるなど、諸外国に比べて低い伸びにとどまる。

   我が国のエネルギー・食料品の物価上昇率は、これまで実施してきたガソリン等の激変緩和事業や電気代の燃料費調整制度、小麦の国内価格上昇を抑制する政策等もあり、欧米に比べて低い伸びに留まっている。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、住宅建設は、賃貸マンションや分譲マンションの需要増加を反映し、底堅い動きとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、1月▲2.1%2+6.4%3+6.3%4月▲4.6%

・持家着工数は前月比で、1月▲7.1%2+2.6%3月▲0.1%4月▲2.3%

・貸家着工数は前月比で、1+5.0%2+1.3%3+18.7%4月▲11.8%

・分譲着工数は前月比で、1月▲4.8%2+17.7%3月▲2.7%43.2%

   公共投資は、このところ底堅い動きとなっている。

・請負金額は前月比で、12+0.4%(出来高▲3.2%)、221月▲2.4%(出来高▲2.0%)、2+0.7%(出来高▲0.7%)、3+13.6%(出来高+1.1%)、

4月▲3.4%5月▲2.0%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直しの動きとなった。就業者数は緩やかに増加し、失業率は3か月連続で低下となった。就業率(就業者数/人口)も、特に2564

     の女性において、コロナ前を上回る水準まで上昇した。

○ 求人は持ち直した。求人広告掲載件数をみると、生産工程等やサービスなど、幅広い業種において増加した。ハローワークによるネット経由の日次有効

    求人も、引き続き増加した。

○ 一人当たり賃金は、所定内給与の増加が続いたことなどから、4月も前年比プラスとなった。2022年春季労使交渉について、賃上げ率は2.09%と昨年を

   上回る状況。民間機関の調査によると、夏のボーナスも、4年ぶりのプラスとなる見込みである。

       ・有効求人倍率は、10.2021.2131.2241.23(正社員は0.97)となった。

・完全失業率は、112.8%122.7%12.8%22.7%、32.6%42.5%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

    ・1-3月期の経常利益は、製造業・非製造業ともに前年比で増益となり、概ねコロナ前の2019年を上回る水準となった。非製造業では、飲食サービス業や宿泊業などで、本業の利益を表す営業利益は赤字となった。

      ・中小企業製造業では、経常利益は原材料価格の上昇等を背景に前年比で減益。経常利益(売上高対比)をみると、商品仕入原価などが計上される売上原価の増加が下押しに寄与した。

      ・価格転嫁の程度を表す疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)をみると、中小企業では、加工系製造業において特に悪化した。引き続き価格

       転嫁が重要となる。

 

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

 ・ 1-3月期の設備投資は、製造業では前期比プラスとなった。機械投資には持ち直しの動きがみられる。ソフトウェア投資は月々の

    振れを伴いながら、均してみると緩やかに増加した。

2022年度の設備投資の見通しは、前年度比16.0%増と高い伸びとなっており、脱炭素やエネルギー効率上昇に向けた投資の実現が

 重要となる。

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

・ 倒産件数はおおむね横ばいとなっている。

・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20216+149+1812+1820223+146+9

    「大企業・非製造業」は、20216+19+212+920223+96+7

    「中小企業・製造業」は、20216月▲79月▲312月▲120223月▲46月▲5

    「中小企業・非製造業」は、20216月▲99月▲1012月▲420223月▲6、▲10

 

生産

 生産は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

  ・供給制約等により、輸送機械は持ち直しに足踏みがみられる。また、電子部品・デバイスも、中国の活動制限の影響などから増勢が鈍化しているものの、   

    世界の半導体の需要見通しは、2022年は上方修正され、2023年も一層の増加が見込まれるなど、半導体製品に対する強い需要は今後も続く見込みと

なっている。

・鉱工業生産指数は前月比で、2+2.0%3+0.3%4月▲1.5%5月(予測)+4.8%6月(予測)+8.9%

・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、1+4.8%2月▲0.6%3+3.9%4月▲2.7%

・電子部品・デバイスは前月比で、1+10.4%2月▲0.7%、3+2.0%4月▲6.6%

   ・輸送機械は前月比で、1月▲15.7%2+14.8%3月▲5.1%4月▲0.1%

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・アメリカや欧州向けは、持ち直しの動きがみられる一方、中国は5月も減少した。

○ 輸入は、下げ止まっている。

・輸入は、中国の活動制限の影響の緩和などから下げ止まりとなった。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、1月▲19.62月▲0.23+10.14+2.65+3.6

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、4か月連続で上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、1月▲7.82+1.93+5.74+0.25+2.2

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、一部地方で経済活動が抑制されており、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、当面は一部地方での経済活動の抑制の影響が続くと見込まれる。

また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

   ・221-3月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+4.8%となった。

・消費はこのところ弱い動きとなっている。

・生産は、このところ持ち直しの動きがみられる。

・輸出は増加している。

・固定資産投資はこのところ伸びやや低下している。

・消費者物価上昇率はこのところ上昇している。

・製造業購買担当者指数(PMI)は持ち直しの動きがみられる。

    中国の景気下支え策

                  1.企業支援

               ○本年の減税・税還付を2.8兆円追加(総額52.8兆円)

               ○中小零細企業向け貸付、感染症の影響を受けた人々の住宅ローン返済猶予。

               ○交通・物流向けの特別再貸出(2兆円)。

               ○サービス業の中小零細企業の家賃を3~6カ月減免。

                  2.投資促進

               ○地方専項債券を、原則6月末までに発行・8月末までに使用を完了。

               ○国家重大インフラ発展計画を編成、重大プロジェクトを推進。

                  3.消費促進・家計支援策

               ○乗用車の取得税を減免(減税規模1.2兆円)。

               ○生活保障(救済補助金3.1兆円)。

                  4.雇用対策

               ○新規大卒生を雇う企業に最大一人当たり3万円を補助。

                  5.食料安全保障

  ○コスト上昇を補うため農業補助金2,000億円を支給。 等

○ 韓国・インド・インドネシアでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融資本市場の変動の影響や金融政策正常化の影響等を注視する必要がある。

20221-3月期のGDP成長率(2次推計値)は、前期比年率▲1.5%

○ 雇用者数は増加、失業率はおおむね横ばいとなっている。

 ・5月の失業率は3.6%となった。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は緩やかに持ち直し、自動車販売台数はこのところ弱い動きとなっている。

○ 設備投資は緩やかに増加した。

○ 財輸出は緩やかに増加した。

     

ヨーロッパ経済の動向  

○ ユーロ圏では、景気は一部で厳しい状況が残る中で持ち直している。

イギリスは、持ち直している。

   ・221-3月期のユーロ圏のGDP成長率は前期比年率で+2.5%(イギリスは+3.0%、ドイツは+0.9%)。

○ 個人消費は、ユーロ圏・イギリスともに、持ち直しに足踏みがみられる。

○ 失業率は、ユーロ圏・イギリスともに低下している。

○ 物価(コア物価上昇率)は、ユーロ圏・イギリスともに上昇している。

   ・消費者物価上昇率(コア)は前年同期比で、ユーロ圏+4.4%5月)、イギリス+6.1%4月)。

○ 輸出は、ユーロ圏は持ち直し、イギリスはこのところ増加している。

○ 生産は、ユーロ圏は横ばい、イギリスはこのところ横ばいとなっている。

 

 

2022年

5月

25日

月例経済報告

 

月例経済報告(R4.5.25)

基調判断

〈現状〉

・景気は、持ち直しの動きがみられる。

〈先行き〉              

・先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が

進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待

される。ただし、中国における感染再拡大の影響やウクライナ情勢の

長期化などが懸念される中で、供給面での制約や原材料価格の上昇、

金融資本市場の変動等による下振れリスクに十分注意する必要がある。

また、感染症による影響を注視する必要がある。

 

 

世界経済・ウクライナ情勢

世界の景気は、中国等で感染再拡大の影響がみられるものの、持ち直している。

・1-3月期のGDPは、ユーロ圏、英国では引き続きプラス成長となり、この結果、アメリカ、ユーロ圏に続き、英国もコロナ禍

 前の水準を回復した。アメリカでは生産は緩やかな増加が続き、失業率は欧米ともに引き続き低下した。

 ・国際商品市場におけるエネルギーや食料の価格は、ウクライナ情勢等を背景に高水準で推移。

 ・中国では一部都市での厳しい防疫措置を受け、国内の消費、生産などが足下で大きく減少。海運など物流停滞もみられ、供給制約

  を通じた世界経済への影響に注視が必要。

 

日本のGDP成長率

20221-3月期の実質GDP成長率は、前期比▲0.2%と2期ぶりのマイナスとなった。

個人消費は横ばい、設備投資はプラスに寄与した。

一方、供給制約の緩和やワクチン・治療薬の購入などに伴う輸入増加で外需はマイナスに寄与し、GDP全体としてはマイナスとなった。

感染拡大の中でも内需がプラスという姿は、「ウィズコロナ」の下で、メリハリのきいた対策を講じることができ、経済社会活動を極力継続できるような取り組み

の表れとみられる。

○ 輸入物価上昇が内需に徐々に波及し、GDPデフレーターはプラスとなっている。

○ 年度でみると、2021年度は前年度比2.1%と3年ぶりのプラス成長となった。

 

個人消費の動向

○ 個人消費は、このところ持ち直しの動きがみられる。

・まん延防止等重点措置の解除等を背景に、外食や旅行等のサービス消費は持ち直しとなっている。

特にGW期間は、3年ぶりに行動制限がない中で、こうした分野を中心に活発な動きがみられる。

・直近までの週次の消費金額でみると、5月にかけても平年を上回る水準となっている。

・一方、物価上昇の下、実質総雇用者所得の伸びは抑制されており、こうした動向が消費に与える影響には注意が必要である。

・消費総合指数(実質)は、前期比で、11+2.2%12+0.1%1月▲0.6%2月▲1.2%

・消費者態度指数(DI)は前月差で、120.0%221月▲1.8%2月▲1.3%3月▲2.4%4+0.2%。 

3月の実質総雇用者所得は、前期比で+0.3%となった。

 

物価

○  ウクライナ情勢等を背景とする原材料価格上昇等により、輸入物価は、4月は1974年以来の伸び(前月比)となっている。

○ 国内企業物価は、需要段階別にみると、素原材料や中間財は大きく上昇した。

・一方、最終財も上昇し、価格転嫁がうかがえるが、上昇幅は相対的に小さい。継続的な賃上げと価格転嫁が重要となる。

○ 消費者物価は、エネルギーや食料品の値上げを背景に上昇している。

・4月は、携帯通信料引下げ効果の剥落もあり、前年比2.5%と約30年ぶりの高い伸びとなった(総合指数、消費税増税期間を

  除く)。変動の大きい生鮮食品及びエネルギーを除いた品目からなる「コアコア」でみても、年率換算で2%程度となった

(前月比0.2%、4か月連続)。

○ 民間調査によれば、今後も光熱費や食料品等の品目で値上げが行われる見込みである。

 

住宅投資・公共投資

   住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。 

・住宅着工戸数の総戸数は前月比で、12月▲1.5%1月▲2.1%2+6.4%3+6.3%

・持家着工数は前月比で、12月▲3.3%1月▲7.1%2+2.6%3月▲0.1%

・貸家着工数は前月比で、12月▲0.2%1+5.0%2+1.3%3+18.7%

・分譲着工数は前月比で、11+2.6%12月▲1.5%1月▲4.8%2+17.7%3月▲2.7%

   公共投資は、このところ底堅い動きとなっている。

・請負金額は前月比で、11月▲0.3%(出来高▲1.0%)、12+0.4%(出来高▲3.2%)、221月▲2.4%(出来高▲2.0%)、2+0.7%(出来高+1.1%)、

3+13.64月▲3.4%             

 

雇用・賃金の動向

○ 雇用情勢は、持ち直しの動き。就業者数は緩やかに増加し、失業率は2か月連続で低下となった。1年以上の長期失業者も前年に比べて減少した。

○ 求人は持ち直している。製造業や宿泊・飲食サービス業において求人は増加した。ハローワークによるネット経由の日次有効求人も、引き続き増加。

○ 一人当たり賃金は、所定内給与の増加が続いたことなどから、3月は前年比プラスとなった。また、パート・アルバイト募集時の時給についても、幅広い

  職種において増加傾向で推移している。

    ・有効求人倍率は、111.15121.1710.2021.2131.22(正社員は0.94)となった。

・完全失業率は、102.7%112.8%122.7%12.8%22.7%,32.6%

 

投資・収益・業況

○ 企業収益は、感染症の影響が残る中で、非製造業の一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している。

   ・1-3月期の上場企業の経常利益は、製造業・非製造業ともに増益となり、コロナ前の2019年を大きく上回る水準。機械製品の好調さや物流の活発化、

        資材の取引価格上昇の影響などを受け、多くの業種で増益となった。

   ・ 企業の景況感は、原材料価格の高騰などを背景に、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

○ 設備投資は、持ち直しの動きがみられる。

   ・ ただし、1-3月期のGDP統計によれば、資本財価格等の上昇の下、実質ベースの伸びは名目を下回る。

○ 業況判断は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

  ・ 倒産件数はおおむね横ばい、休廃業・解散は減少となった。

  ・ 業況判断DI(「良い」-「悪い」)ポイントは短観で、

    「大企業・製造業」は、20216+149+1812+1820223+146+9

    「大企業・非製造業」は、20216+19+212+920223+96+7

    「中小企業・製造業」は、20216月▲79月▲312月▲120223月▲46月▲5

    「中小企業・非製造業」は、20216月▲99月▲1012月▲420223月▲6、▲10

 

生産

 生産は、持ち直しの動きがみられる。

・供給制約等により、輸送機械は持ち直しに足踏みがみられる一方、生産用機械や電子部品・デバイスなどが緩やかに増加した。足下では、中国での

 活動制限を受け、国内の様々な業種において、部品・製品調達の遅れや生産活動の停滞が生じており、今後の影響を注視する必要がある。

 ・鉱工業生産指数は前月比で、1月▲2.4%2+2.0%3+0.3%4月(予測)+5.8%5月(予測)▲0.8%

 ・はん用・生産用・業務用機械は前月比で、12月▲3.4%1+4.8%2月▲0.6%3+3.9%

 ・電子部品・デバイスは前月比で、12月▲3.0%1+10.4%2月▲0.7%3+2.0%

    ・輸送機械は前月比で、12+0.9%1月▲15.7%2+14.8%3月▲5.1%

     中国での活動制限に伴う調達や精算等への影響

      自動車…………中国のロックダウンに伴う部品調達難により、国内複数工場 の稼働を一時停止。

      半導体メーカー、製紙業者……中国の港湾の閉鎖に伴い部品を迂回ルートで調達。

    ・電機メーカー…洗濯機、炊飯器、電子レンジ等一部電化製品の新規受注を 停止。

    ・家電量販店……調理家電やエアコン等が一部品薄。

    ・家具小売店……棚やテーブル、ソファ等約40品目が販売停止。

    ・衣料販売店……婦人・紳士衣料品の納品に遅れ。

 

外需

○ 輸出は、おおむね横ばいとなっている。

・我が国の輸出は概ね横ばい。アメリカや欧州向けは、持ち直しの動きがみられる一方、アジアは中国向けの落ち込みにより弱含み。

 輸入は、中国の活動制限の影響などから弱含みとなっている。

○ 輸入は、このところ弱含んでいる。

○ 貿易・サービス収支は、赤字となっている。

 

景気ウォッチャー調査  

○ 景気の現状判断(DI)季節調整値は、2か月連続で上昇した。

・現状・季節調整値DIは前月差で、12+0.7221月▲19.62月▲0.23+10.14+2.6

○ 景気の先行き判断(DI)季節調整値は、3か月連続で上昇した。

・先行き・季節調整値DIは前月差で、12月▲2.9221月▲7.82+1.93+5.74+0.2

  

アジア経済の動向  

〇 中国では、景気は感染の再拡大の影響により、一部地方で経済活動が抑制されており、持ち直しの動きに足踏みがみられる。

先行きについては、持ち直しの動きが続くことが期待される。ただし、当面は一部地方での経済活動の抑制の影響が続くと見込まれる。

また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

   ・221-3月期の実質GDP成長率(前年同期比)は+4.8%となった。

     ・消費はこのところ弱い動きとなっている。

     ・生産は、このところ伸びがやや低下している。

     ・輸出は緩やかに増加している。

     ・固定資産投資はこのところ伸びやや低下している。

     ・消費者物価上昇率はこのところ上昇している。

     ・製造業購買担当者指数(PMI)は低下している。

○ 韓国・インド・インドネシアでは、景気は持ち直している。

○ タイでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。

○ 台湾では、景気は回復している。

  

アメリカ経済の動向 

○ アメリカでは、景気は持ち直している。先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、金融資本市場の変動の影響

や感染症による内外経済への影響等を注視する必要がある。

20221-3月期のGDP成長率(1次推計値)は、前期比年率▲1.4%

○ 雇用者数は増加、失業率は低下した。

 ・4月の失業率は3.6%となった。

○ 生産は緩やかに増加した。

○ 消費は緩やかに持ち直し、自動車販売台数は持ち直しの動きがみられる。

○ 設備投資は緩やかに増加した。

○ 財輸出はおおむね横ばいとなっている。

   ※FOMC5月会合(5/34 決定事項

 ○ 政策金利の誘導目標 範囲を0.50%ポイント 引上げる。

 ○ 6/1から、以下を毎月の削減上限として、 保有資産の削減を開始。

・米国債:300億ドル/